当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」という当社の経営理念をグループビジョンとして、世の中に良い影響力を与えるサービスを、「期待を超える=感動」のエッセンスに徹底してこだわり、提供していくことを企業のミッションとしております。
(2)目標とする経営指標等
持続的な成長を目指していくため、主な経営指標として売上高、営業利益を特に重視しております。また、従業員エンゲージメント事業及びコミュニティエンゲージメント事業はBtoB・SaaS・サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、KPI(Key Performance Indicators)として、利用企業数・運用コミュニティ数、利用企業・運用コミュニティの平均月額収益、売上高ストック比率等を重要指標として運営を行っております。
(3)経営環境及び経営戦略
経営環境につきまして、当社グループが従業員エンゲージメント事業として提供している「TUNAG(ツナグ)」及びコミュニティエンゲージメント事業として提供している「FANTS(ファンツ)」ともに、成長性の高い市場を領域に属していると認識しております。
「TUNAG」につきましては、テクノロジーの進化や働き方に対する価値観の変化が急激に進むこの時代に、事業や会社の長期的な成長を左右するのは「人と組織」の強さと捉えて、企業と従業員、そして従業員同士の相互信頼関係であるエンゲージメントの高い会社作りを推進するサービスを展開しております。生産年齢人口の減少が続き、人材定着や離職改善への意識は今後一層高まっていくことが予想され、最近のHR Tech※1の展示会でエンゲージメントにフォーカスしたサービスが取り扱われ、また、エンゲージメント関連の書籍の出版も増えております。
「FANTS」につきましても、SNSの発達によって個人による情報発信の機会が広がる中で、オンラインサロン市場が拡大しております。サロンの開設者としても著名人からSNS上でフォロワーが多い一般人等に広がり、利用者としても若年層・ネットユーザーを中心に認知度を高めております。
また、「TUNAG」が属する国内のSaaSモデルサービス市場は、2023年度に1兆4,000億円を超え、2027年度には2兆990億円へと拡大すると予測されており※2、「FANTS」が属する国内ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は、2023年度に1兆600億円を超え、2027年度には1兆7,400億円へと拡大すると予測されております※3。
※1 人事・人材領域におけるテクノロジーを活用したサービスの総称。
※2 富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」による。
※3 サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ「2024年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」による。
① 国内市場における顧客基盤の拡大
国内市場においては、売上高成長率の最大化を最優先とし、「TUNAG」、「FANTS」の契約企業数・平均MRRの成長を進めてまいります。
「TUNAG」においては、注力業界の策定、プロモーションの強化、アライアンスの強化による契約企業数の拡大と、1,000名以上のアカウント数の契約企業の拡大、アップセル・クロスセルの拡大、ユーザーコミュニティの活性化による平均MRRの伸長に注力し、売上高成長率の最大化を進めてまいります。
「FANTS」においては、人材採用の加速とオフィス移転による体制強化、プロダクトの機能拡張、総合的なコミュニティ運営サポートの強化を推進し、オンラインコミュニティ市場の拡大を図ります。
② 更なるノウハウの活用
「企業向けのエンゲージメント市場」と「コミュニティ向けのエンゲージメント市場」の2つのエンゲージメント領域で、企業向け、コミュニティ向けの異なる市場を開拓することで、グループで培ったノウハウを活かし、多面的な収益拡大を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
さらなる成長を実現するため、対処すべき課題は以下のとおりであると認識しております。
① 人材の確保と組織力の強化
持続的な事業継続には、事業拡大に対応できる人材の採用を継続し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。経営理念や行動指針に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、社内のエンゲージメントを高め、社員が早期に活躍できるよう社内施策の整備や環境構築に努めてまいります。
② 新規契約獲得力の強化
当社グループは、「TUNAG」・「FANTS」それぞれのサービスにおいて、テレマーケティングやダイレクトメールなどの「アウトバウンド活動」と、パートナー開拓や広告プロモーションなどによる「インバウンド活動」を組み合わせながら、営業活動を行っています。今後も、営業人員の増員や教育体制の整備を行いながら、「TUNAG」における金融機関や「FANTS」における芸能事務所など、それぞれのサービス特性に合わせたパートナーの開拓や広告プロモーションの強化を行いながら、マーケットシェアの拡大を図ります。
③ 継続率の確保
導入顧客における効果最大化のため、サービス利用を支援するカスタマーサクセス部門の新規採用や教育体制の整備を行うことで、高い継続率の維持に取り組みます。加えて、顧客企業における効果の最大化のみならず、顧客間のネットワークを形成することにより、外部への広告・宣伝効果を創出し、新規顧客の開拓の効率化を図ります。
④ 技術革新への対応
インターネット業界においては常に技術革新が起こっており、顧客ニーズに対応する技術をいち早く取り込むことが競争優位性を維持していく要因となります。当社グループは、顧客ニーズに対応すべく、外部サービスとの連携を含め、新たな技術を吟味しながら、サービス機能の拡充に努めてまいります。
⑤ 情報管理体制
当社グループは、顧客及びその従業員に関する個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要な課題であると認識しております。現在も情報管理については細心の注意を払っておりますが、子会社を含めたセキュリティの確保や社内体制の整備を継続してまいります。
⑥ 新規事業による収益基盤の強化
当社グループのエンゲージメントプラットフォーム事業は、国内の「働き方改革」や「DX」への注目を背景に、サービスを拡大しており、今後もこの傾向は続くものと考えております。
今後の技術革新や急速な景気変動に対して、当該事業内においても企業を中心とする「TUNAG」とコミュニティを中心とする「FANTS」で補完関係を形成しておりますが、人事領域やサブスクリプション型にとらわれない事業の創出など、当社グループ全体で更なる収益基盤の強化を行ってまいります。
⑦ 利益の定常的な創出
当社グループの収益モデルは、サービスが継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型のビジネスモデルですが、収益を積み上げていくために費用が先行して計上されるという特徴があります。一方で、事業拡大に伴う人件費、採用費、広告宣伝費等の費用については、顧客基盤の拡大に伴い売上高に占める比率を低減させていくことが可能となるため、今後の新規顧客獲得活動や継続率の確保により、収益性の向上に努め、利益を定常的に創出できる体制を目指す方針であります。
⑧ 感染症への対応
新型コロナウイルス感染症による新規感染者数は、当連結会計年度においても一定水準を維持して推移しましたが、当社グループはウェビナーやWeb商談などオンライン体制の構築により、増収を継続することができました。
今後も感染症や自然災害等の有事の際にも販売活動及びサービス提供を継続できるよう体制の整備や、新規事業による収益源の多様化を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、サステナビリティに関する活動を推進・支援する体制として、CSR委員会を組成しております。CSR委員会は社内の有志のメンバーも加わり、サステナビリティを含むステークホルダーとの関係についてボトムアップ形式で議論を行い、経営陣に対して提案を行っております。
サステナビリティに関する方針については、経営会議及びリスク管理委員会で議論を行い、重要事項については取締役会への報告を行っております。ガバナンスの詳細については
(2)戦略
当社グループは、CSR活動を支える指針として「会社の状況や特性にあった継続可能な活動であること」、「社員が積極的に関与し、考える活動であること」、「三大経営資源のどれか一つに偏らない活動であること」の3つの基本方針を定めております。ステークホルダーの皆さまからの信頼とご支持を、持続的な成長への礎とするため、基本方針を遵守し活動を推進しております。また、持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みは以下の通りです。
1 環境
当社は、持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を通じた自然環境保護を推進してまいります。オフィスには高機能繊維と木材のハイブリッド素材「LIVELY WOOD」が採用され、主要構造には愛知県東三河産の木材を使用したオフィスで環境に配慮しております。また、環境保護の観点から、紙類の使用を削減するペーパーレス化を推進しています。
2 人的資本
当社グループは、人と組織の強さを示す「エンゲージメント」を、「会社と従業員および従業員同士の信頼関係」と定義し、人と組織が持続的に成長できる人材育成の仕組みを構築しています。
当社は、人的資本ROIを重要な指標と位置づけ、組織への取り組みが企業価値の向上にどのように寄与するかを定量的に評価しています。自社開発の従業員サーベイ「TERAS」を活用し、組織や部署のエンゲージメント状況を可視化することで、人事施策の分析および改善に役立てています。また、優れた個人やチームの取り組みを積極的に表彰し、社内外に発信する文化を醸成しています。「スタカネ」と呼ばれる相互称賛の象徴となる鐘を全オフィスに設置し、事業成長に貢献した従業員が鐘を鳴らすことで、拠点を超えて社員全員で称え合う環境を整えています。さらに、MVPや新人賞など、半期ごとに活躍したメンバーを部門別に表彰する「スタメンアワード」を実施し、成長機会を最大化する文化を構築しています。
社外に向けた取り組みとしては、「TUNAG」を活用し、エンゲージメント向上に取り組む企業を表彰する「エンゲージメントアワード」を開催しています。先進的で効果的な取り組みを広く周知することで、国内企業全体のエンゲージメント向上に寄与しています。
ダイバーシティについては、ジェンダー平等の実現に向け、公平で透明性の高い人事制度を採用し、女性の活躍を推進しています。また、時代の変化に対応できる多様性のある職場環境を構築するため、テレワークやフレックス制度など多様な働き方を導入し、多様な人材が活躍できる職場づくりを進めています。
(3)リスク管理
当社グループにおいては、サステナビリティに関するリスクについては経営会議及びリスク管理委員会で議論を行い、重要事項については取締役会への報告を行っております。詳細は、「
(4)指標及び目標
当社は、上記「戦略」において記載しました、持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みの指標として、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」に対応したKPIを設定し、進捗を管理しています。
当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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(注)1.上記の指標は提出会社のものであり、連結子会社は含まれておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
① 経営環境の変化について
当社グループが運営するエンゲージメントプラットフォーム事業は企業を主要顧客としており、働き方改革やDX推進などのITに関する投資マインドの向上により、顧客企業を増やしてまいりましたが、顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数の減少をはじめ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
当社グループが事業展開しているインターネット関連市場は、技術革新や新サービスの登場が頻繁に生じる業界であります。当社グループにおいても、最新の技術動向について、勉強会やセミナーなど外部有識者からの情報収集を行いつつ、新たな技術分野に明るい人材の採用や社内における教育体制の整備に努めております。しかしながら、技術革新の変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
当社グループが運営するエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」を提供する人事領域において、クラウドサービスを提供する競合企業が大手・中小問わず増え続けております。その中において、「TUNAG」は、「組織課題の解決」をソリューションとしており、育成、人事、労務管理、採用といった顧客側で導入されている人事領域のサービスとは直接競合せず、かつ連携※する形で導入を推進することができると当社は考えております。
※例えば、他社の組織診断結果を元にした社内制度の導入、趣味嗜好等も盛り込んだ人材データベースの構築、日報・勤怠報告の運用、リファラル採用等の協力を発信等
また、導入企業の増加による運営ノウハウの蓄積も、競合サービスに対する優位性の確保に寄与するものと考えております。しかしながら、他社による類似サービス提供による価格競争の激化や予期しないサービスの登場などにより、新規契約数の減少や既存顧客の解約数が増加する可能性など当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 感染症や自然災害について
当社グループが運営するエンゲージメントプラットフォーム事業は、企業の従業員やコミュニティの会員が利用するサービスになるため、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の拡大や自然災害により、顧客及び当社グループ従業員における勤務状況の変化や顧客企業・団体の経営状況の悪化により、新規導入の延期や中止などに及ぶ可能性があります。また、展示会の中止や顧客への訪問制限など、営業活動に影響を及ぼす可能性があります。当事業がストック型の収益モデルであることに加え、有事の際にもサービスの提供や営業活動が行うことのできる体制整備、新規事業による収益源の多様化により、リスクの低減をすすめておりますが、想定を超える災害が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社グループサービスに関するリスク
① 解約について
当社グループサービスの利用企業に対するサブスクリプション型の売上につきまして増加傾向を続けておりますが、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び事業計画においても一定の解約数を織り込んでおりますが、想定を超える解約が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の製品への依存について
当社グループの売上高の大部分が、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」により構成されております。オンラインコミュニティプラットフォーム「FANTS」を2020年5月に提供を開始するなど、「TUNAG」に依存しない収益基盤の構築を進めてまいりますが、上記(1)のとおり環境変化や技術革新、競合企業の新規参入などにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ システムトラブルについて
当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー環境の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する備えをしております。しかしながら、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 重大な不具合について
当社グループの提供するソフトウエアはアップデートを継続的に実施しており、厳しい品質チェックを行った上で顧客への提供を行っておりますが、提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理体制について
当社グループでは、業務に付随して顧客企業に関する個人情報を含む多数の情報資産を取り扱うため、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施しております。また、個人情報に関しては、プライバシーマークを取得し、個人情報の保護に関するマネジメントシステムを整備・運営するとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO/IEC 27001:2022」の認証を取得し、その他の情報資産及びグループ各社においてもこれらの運用を準用するなど、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 広告宣伝活動等の投資について
当社グループの各事業において、新規顧客の獲得は重要な活動であり、認知度の向上及び潜在顧客層の開拓のため広告宣伝活動を実施してまいりました。これまでWEB広告を中心としておりましたが、新たな施策として、テレビCMやタクシー広告を導入し、認知度向上を図っております。媒体の選定に際しては、効果の予測および検証を行った上で慎重に実施しておりますが、想定した広告効果が得られず、新規顧客の獲得が計画通りに進まない可能性があります。また、広告宣伝費の増加により、短期的には当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、テレビCMやタクシー広告などのマスメディアを活用した広告施策は、社会的反響やブランドイメージに影響を及ぼす可能性があり、広告表現や内容に関するリスクも考慮する必要があります。万一、当社グループの広告表現等が社会的に否定的な評価を受けた場合、ブランド価値の毀損や顧客の信用低下を招く可能性があります。
⑦ 新規事業について
当社グループはこれまで主として人事領域に事業展開をしてまいりましたが、事業規模の拡大と収益源の多様化に向けて人事以外の領域において新規事業を行っていく方針であります。ただし、新規事業につきましては、予め成長性やリスクを十分に調査・検討し実行してまいりますが、安定収益を創出するには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、新規事業が想定していた成果を上げることができなかった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
① 社歴が浅いことについて
当社グループは2016年1月に設立された社歴の浅い会社であるため、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報として不十分な可能性があります。
② 人材の確保や育成
当社グループが今後事業を拡大していくためには、人材の確保、育成が重要であると認識しております。しかしながら、当社グループが求める優秀な人材の採用が滞る、社内の人材の流出が進むといった場合には、新規顧客の営業活動の減少や既存顧客へのサービス水準の低下などにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制の構築について
当社グループは、健全な成長を続けるためには、コーポレートガバナンスと内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。コーポレートガバナンスに関しては、経営の効率性、健全性を確保すべく、監査等委員会の設置や内部監査及び内部統制システムの整備によりその強化を図っておりますが、事業の拡大ペースに応じた人員増強や育成、体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制及び知的財産権等に関するリスク
① 知的財産権について
当社グループは、提供するサービスの名称につき商標登録を行っており、将来実施していくサービスについても同様に商標登録を行っていく方針であります。また、他社の知的財産権につきましても、侵害のないよう顧問弁護士等と連携し対応を講じております。しかしながら、当社グループの知的財産権の侵害や当社の他社知的財産権の侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報保護について
当社グループは、提供するサービスに関連して個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用や改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、アクセスできる社員を限定するとともに、「個人情報保護規程」等を制定し、全従業員を対象とした社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインを遵守しております。
また、当社はプライバシーマークを取得するとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO/IEC 27001:2022」の認証を取得し、個人情報を含む情報資産の管理体制を強化しております。グループ各社においても、これらの運用を準用する等、個人情報保護に関するマネジメントシステムを整備・運営しております。しかしながら、何らかの理由により当社グループが保有する個人情報等に漏洩、改ざん、不正使用等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ その他訴訟等について
当社グループは本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続は結果の予測が困難であり、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの手続において当社グループの責任を問うような判断がなされた場合には、社会的信用の毀損や多額の費用の発生により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループがプラットフォーム事業を行う中で、サービス利用者による法令や公序良俗に反するコンテンツの設置等の不適切な行為が行われる場合、問題となる行為を行った当事者だけでなく、取引の場を提供する者として責任追及がなされる可能性があります。
(5)その他
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、役員及び従業員等に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、当連結会計年度末現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は1.0%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
②役員に対する長期貸付金について
当社は、当事業年度において代表取締役に対し550,000千円の貸付を実施しております。本貸付に関しては、貸付契約に基づき適正な利率および返済スケジュールを設定しておりますが、財務状況の変化等により、予定どおりの返済が行われない場合には、当社のキャッシュ・フローおよび財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、本件についてはコーポレート・ガバナンスおよび適切なリスク管理の観点から、取締役会等において適宜審議・監督を行い、透明性の確保に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、エンゲージメントプラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて327,282千円増加し、2,165,549千円となりました。これは、主に現金及び預金が255,897千円、その他の流動資産が47,613千円減少した一方で、役員に対する長期貸付金が550,000千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて197,243千円増加し、819,964千円となりました。これは、主に未払法人税等が91,131千円、未払費用が49,932千円、契約負債が38,930千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ130,038千円増加し、1,345,584千円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び剰余金の配当の支払いにより、利益剰余金が102,661千円、新株予約権の権利行使により資本金が7,400千円、資本剰余金が7,400千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当社が属するHR Techサービス領域については、従来からの「働き方改革」の推進に加え、テレワーク・在宅勤務の定着、政府による電子化・DX推進、さらには生成AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用拡大などを背景に、市場の関心が引き続き高まっております。加えて、人材不足の深刻化や多様な働き方への対応ニーズの高まりも相まって、HR Techの重要性は一層増しています。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」という当社の経営理念をグループビジョンとして、主要サービスであるエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」及びオンラインコミュニティプラットフォーム「FANTS(ファンツ)」を事業軸として事業拡大を進めてまいりました。そして、創業事業であるエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」を通じて得た知見を活かし、100%子会社である「株式会社STAGE」を2021年に設立し、エンゲージメント経営を人材採用の視点から支援する新しい人材紹介事業の運営を開始しております。また、意思決定の迅速化のため、100%子会社である「株式会社スタジアム」を2023年1月に設立し、「FANTS(ファンツ)」の更なる事業展開を進めております。2023年2月にはクラウドセキュリティサービス「Watchy(ウォッチー)」(旧名称:漏洩チェッカー)の提供を開始しました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は売上高2,692,572千円(前連結会計年度末比43.3%増)、営業利益224,666千円(前連結会計年度末比36.4%増)、経常利益224,922千円(前連結会計年度末比38.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益137,345千円(前連結会計年度末比9.6%増)となりました。
(従業員エンゲージメント事業「TUNAG(ツナグ)」)
従業員エンゲージメント事業は、Webマーケティングの強化やWeb商談の活用により、潜在的な需要へのアプローチに注力してきました。加えて、利用企業向けのオフラインイベントの開催など利用企業の支援(カスタマーサクセス)の強化、テレビCMやタクシー広告などのプロモーション活動にも取り組んでおります。その結果、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」は堅調に成長を続け、2024年12月末時点での利用企業数は1,055社(前連結会計年度末比288社増)、平均MRRは195千円(前連結会計年度末比5千円増)となりました。
(コミュニティエンゲージメント事業「FANTS(ファンツ)」)
コミュニティエンゲージメント事業は、「TUNAG」が保有する組織運営・組織活性化に有用な多数の機能をコミュニティ運営向けに拡張・再構築し、2020年5月よりコミュニティ運営プラットフォーム「FANTS」の提供を開始しました。注力マーケットの見直し等の戦略変更や、人材採用による体制強化により、運営コミュニティ件数は増加し、売上高の成長性は上昇基調に回帰しています。その結果、オンラインコミュニティプラットフォーム「FANTS」の2024年12月末時点での運営コミュニティ数は187件(前連結会計年度末比47件増)、平均MRRは56千円(前連結会計年度末比41千円減)となりました。
(人材紹介事業「STAGE(ステージ)」)
人材紹介事業は、エンゲージメント経営を人材採用の視点から支援する新しい人材紹介事業として2022年4月から本格的に事業を開始しました。市場環境の変化や競争の激化により、収益性は低迷しており、当連結会計年度においては、事業計画や組織体制の見直しを行っております。市場開拓や知名度向上のための成長投資コストが引き続き発生している状況ではありますが、ターゲット市場の再選定や広告費用の効率化により、収益構造の改善に向けた取り組みを進め、事業の持続可能性を高めてまいります。
(注)平均MRR:対象月末時点における月額利用料の合計を利用企業数、運営コミュニティ件数で除した金額です。一時的な売上高は含みません。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ44,102千円増加し、1,087,780千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は391,850千円(前年同期は202,124千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額224,922千円及び未払費用の増加額49,932千円、契約負債の増加額38,930千円、売上債権の増加額47,595千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は310,597千円(前年同期は45,831千円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入300,000千円及び貸付けによる支出550,000千円、有形固定資産の取得による支出42,341千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は37,149千円(前年同期は53,004千円の獲得)となりました。これは主に、配当金の支払額による支出35,230千円及び長期借入金の返済による支出16,656千円、ストック・オプションの行使による収入14,800千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
販売実績は、次のとおりであります。
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当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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2,692,572 |
143.3 |
(注)1.当社グループは、エンゲージメントプラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、地代家賃等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は定期預金の預入等によるものであります。運転資金は自己資金を基本としており、当連結会計年度末における借入金残高は18,358千円となっております。
⑥ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標等」に記載の通り、売上高、営業利益、利用企業数・運用コミュニティ数、利用企業・運用コミュニティの平均月額収益、売上高ストック比率等を重要指標としております。
(利用企業数・運用コミュニティ数及び利用企業・運用コミュニティの平均月額収益)
「TUNAG」においては、新規顧客獲得活動および利用企業におけるアップセル等により、利用企業数及び利用企業の平均月額収益ともに四半期ごとに安定的に増加いたしました。
(利用企業数:1,055社 平均月額収益:195千円)
「FANTS」においては、新規顧客獲得活動により、四半期ごとに運用コミュニティ数は増加しておりますが、利用企業の平均月額収益は減少しております。
(運用コミュニティ数:187件 平均月額収益56千円)
(売上高ストック比率)
「TUNAG」において、売上高ストック比率は順調に増加し、当連結会計年度末時点で90%を超過しております。今後もストック比率は高止まりが継続する見込みで、安定的な収益基盤を構築してまいります。
「FANTS」においては、事業開始より期間が短いことやグッズ売上やイベント売上等のフロー収益割合が大きいことから、当連結会計年度末時点で43.7%と「TUNAG」と比較すると低くなり、その変動も大きい状況にありますが、新規サロンの獲得と既存サロンの収益拡大を両輪で推進することでストック収益の積み上げを図り、収益の安定化と高成長の両立を目指してまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。