文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げ、当社の有するAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術とノウハウをもとに、アルゴリズム及びソフトウエアを開発・提供することで、企業の課題解決やチャレンジを支援することを目指しております。
特に、EC分野における不正検知サービスを中核サービスとして位置づけ、決済コンサルティングサービス及びデータサイエンスサービスとのシナジー効果を発揮することで持続的な成長を図り、セキュリティ・ペイメント・データサイエンスの技術で新しい価値を作り上げる会社として、企業価値の最大化を図ってまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための指標
当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、当社の主力製品である「O-PLUX」のストック収益の金額を重要指標としております。
(3) 経営環境及び中長期的な経営戦略
消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2019年の調査「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、前年比7.65%増の19.3兆円となり、依然として高い成長率を維持しております。一方、クレジットカード番号等の情報を盗まれ不正に使われる「番号盗用被害」が急増しており、一般社団法人日本クレジット協会による「日本のクレジット統計 2019年版」によりますと、2019年の番号盗用被害額は前年比約19%増の約223億円となり、2014年の約3.3倍に達しております。
このような状況を受け、改正割賦販売法においては、クレジットカード番号等の不正な利用を防止するために必要な措置を講じることが義務化され、また、その実務上の指針となる、「クレジットカード・セキュリティガイドライン1.0版(クレジット取引セキュリティ協議会)」においては、非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策として、加盟店に対して「属性・行動分析(不正検知システム)」等の方策をリスク状況に応じて導入することが求められるなど、不正対策に対する社会的要請はますます高まっております。
こうした経営環境下において、当社は、以下の事項を中長期的な経営戦略として、事業推進してまいります。
① 主力製品である「O-PLUX」の更なる成長
EC市場の継続的成長及びオンライン決済における不正被害の急増、並びに法規制等の不正対策に対する社会的要請の高まりといった事業環境にあって、当社の主力製品である「O-PLUX」のニーズはますます高まるものと考えており、今後の更なる成長に向けて以下施策を実行してまいります。
(a) アライアンスの強化
決済代行会社(注1)、ECパッケージ・ショッピングカートベンダー(注2)等とのシステム連携をより一層加速することで、導入企業のシステム開発負荷を低減するとともに導入サイクルの短期化を図り、EC事業者を中心とした更なる新規利用企業の獲得を進めてまいります。さらに、システム連携のみならず、それらアライアンスを生かした新たな機能・サービスの開発を行い、「O-PLUX」がEC事業者にとって更に付加価値の高い製品となるよう取り組んでまいります。
(b) サービス領域の拡張
「O-PLUX」は、これまで主にECにおける物販分野においてサービス提供してまいりましたが、2020年6月に、旅行業界、チケット業界、デジタルコンテンツ等のWebサービス業界に特化した新たなサービスの提供を開始いたしました。「O-motion」によるデバイス特定等のセキュリティに関する技術やデータサイエンスの技術など、当社が有するあらゆる技術・ノウハウを「O-PLUX」に活用することで、更なるサービス領域の拡張を図ってまいります。
(c) 後払い決済事業者への導入促進及び長期利用継続の維持
当社は、後払い決済を提供する後払い決済事業者に対して、審査エンジンとして「O-PLUX」を提供しておりますが、後払い決済市場は、近年拡大を続けており、今後も成長が見込まれるため、当社は、決済コンサルティングサービスとのシナジー効果を発揮することで、引き続き、後払い決済事業者への「O-PLUX」導入を促進するともに、長期的な利用継続の維持を図ってまいります。
② データサイエンスサービスによる新たな収益機会の獲得
当社のデータサイエンスサービスは、当社のAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術・ノウハウをもとに、マーケティングや生産効率向上等に資するアルゴリズムを企業に開発・提供しております。2019年12月期において、データサイエンスサービスの売上高全体に占める割合は6.3%と僅少ではありますが、本サービスは、当社の「SaaS型アルゴリズム提供事業」を、既に不正検知サービスとして展開しているEC分野のみならず、小売・流通業や製造業をはじめとした様々な分野において展開する足掛かりを作ることを企図しております。今後も、データサイエンスサービスの提供を促進する中で、新たなSaaS型サービスを企画・開発し、事業領域の拡大及び新たな収益機会の獲得に努めてまいります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
①優秀な人材の確保及び教育研修等の強化による社員の能力の維持・向上
当社の業容拡大に伴い優秀な人員の確保と更なる社員の能力の維持・向上が必要であると考えております。当社では即戦力の人材確保を目的とした中途採用と将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用による採用活動を積極的に行ってまいります。また、人材育成・開発を重要課題と位置づけ、持続的な成長を支える人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。
②製品開発投資の促進
当社は国内ECの不正検知市場において、市場の形成と拡大に貢献してまいりました。しかしながら、海外競合製品が日本市場へ参入し、近年、競争が一段と激化してきております。また、不正の多様化及び複雑化により不正検知に求められる精度や品質が今後より高度化していくものと予測しております。こうした状況の中で、当社は今後の成長性確保、競争優位性を高めるため、主力製品である「O-PLUX」の高機能化および新機能開発を進めるために、更なる製品開発投資を推進してまいります。
③当社及び当社サービスの認知度向上
当社及び当社サービスは、国内外の競合企業と比較して認知度においては不足していると認識しております。今後、更なる収益拡大を図るためには、なお一層の自社ブランドの確立、認知度の向上が必要であると考えております。費用対効果を見極めながらインターネットや展示会以外のマスメディア等も活用し更なる認知度の向上に努めてまいります。なお、株式上場による社会的認知度の向上も意図しております。
④内部管理体制の強化
当社は、更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、コンプライアンス体制の強化及び確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化と効率化の徹底を図ることが重要であると考えております。当社といたしましては、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。
(注)1.EC事業者と各決済機関の間に立ち、多様な決済を一括の契約及び管理システムで利用できるサービスを提供する会社のこと。
2.ECサイトの運営に必要な商品管理、在庫管理、売上管理等の機能が統合的に実装されたシステムを提供する事業者のこと。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 市場の動向について
当社の主たる事業領域であるEC市場、セキュリティ市場及びデータサイエンスの市場は、インターネット環境の整備、インターネットの利用拡大等を背景に市場規模の拡大を続けておりますが、当該市場を取り巻く新たな規制の導入や、その他予期せぬトラブル等により、市場の成長が鈍化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新への対応について
当社は、提供する各サービスの価値向上のために有効であると思われる新たな技術やノウハウを積極的に取り入れ、サービス機能の拡充及び強化を進めていく方針ですが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に開発費等の費用が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合について
当社は、EC市場、セキュリティ市場及びデータサイエンス市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、まだ発展途上の市場ではあるものの、今後多くの企業の参入が見込まれ、競合サービスが増加する可能性があります。そのため、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) プロジェクトの検収時期の変動あるいは収支の悪化について
当社事業の一部において、顧客の検収に基づき売上高を計上しております。そのため、当社はプロジェクトごとの進捗を管理し、計画どおりに売上高及び利益が計上できるように努めております。しかしながら、プロジェクトの進捗によって納期が変更され、検収時期が遅延し、計画どおりに売上を計上することができない場合があります。
特に各四半期、年度末に予定されていた検収が、翌四半期末や翌事業年度に遅れると当該期間での当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システム障害について
当社では情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得し、リスクマネジメントに努めておりますが、サービスの基盤をインターネットに依存しているため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、サーバー設備の強化や稼働状況の監視等により未然防止策を実施しております。
このような対応にも関わらず大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) AWSサーバー障害時について
当社の提供するサービスは、外部クラウドサーバー(Amazon Web Services、以下「AWS」という。)にてサービスを提供しており、AWSの安定的な稼働が当社の業務遂行上必要不可欠な事項となっております。AWSは、世界中に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)で運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えておりますが、AWSの不備や人為的な破壊行為、自然災害等、当社の想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の逸失等を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社が社会的信用を失うこと等が想定され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)地理的リージョン
地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているため1つのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。
(注2)アベイラビリティゾーン
リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。
(注3)FISC安全対策基準
金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準のことをいいます。
(7) 個人情報保護法による規制について
不正検知サービスにおいて、利用企業から受領している審査データは、利用企業におけるハッシュ化(元のデータから一定の計算手順に従ってハッシュ値と呼ばれる規則性のない固定長の値を求め、その値によって元のデータを置き換えること。)等の処理の結果、特定の個人が識別されることのない態様により受領しておりますが、当社は、当該データについて、個人情報保護法に定める個人情報と同等に取り扱うべく、規程や業務フローを制定し、情報管理体制を整備しております。併せて、役員及び従業員を対象とした社内教育を通じて、関連ルールの周知徹底及びルール遵守に対する意識向上を図るとともに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得しております。
しかしながら、個人情報が当社の関係者や業務提携先の故意又は過失により、外部へ流出もしくは悪用される事態が発生した場合には、当社が損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社並びに運営サービスの信頼性やブランドが毀損し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制について
当社は企業活動に関わる各種法令の規制を受けておりますが、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。当社は、各種法令の規制を遵守するべく社内体制を整備・強化しておりますが、今後、既存法令等の改正や新たに当社の行う事業を規制する法的規制が適用されることとなった場合、また、不測の事態により、万が一法的規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 特定の市場・取引先への依存について
2019年12月期における当社の売上高に占める主要取引先上位5社の売上高合計の割合は64.7%であり、また、それら取引先はいずれも後払い決済事業者であることから、特定の市場・取引先への依存度が高い状況にあります。本書提出日現在において、後払い決済市場は、将来の成長が見込まれていますが、今後、予期しない環境の変化により、当該市場の成長に何らかの問題が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、現時点において、それらの取引先である後払い決済事業者と当社との関係は良好な状態であり、一部取引先との間で長期契約を締結しておりますが、それらの取引先の経営方針に変更が生じ、契約条件の変更等があった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 外注先の確保について
当社の事業においては、必要に応じて、システムの設計、構築等について協力会社に外注しております。
現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 特定人物への依存について
当社創業者である岩井裕之は、当社の大株主かつ代表取締役であり、当社の経営方針や事業戦略の立案及び決定における中核として重要な役割を果たし、新たな事業モデルの創出においても中心的な役割を担っております。当社は権限移譲等を行うことで同氏に依存しない経営体制の整備に努めておりますが、現状、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 新規事業について
当社は今後も、積極的に新サービスもしくは新規事業に取り組んでまいりますが、これによりシステムへの先行投資や、広告宣伝費等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、展開した新領域での新規事業の拡大及び成長が当初の予定どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) ベンチャーキャピタル等の持株比率について
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は2,337,081株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が保有する株式数は782,085株、保有比率は33.5%であります。
新規株式公開にかかるベンチャーキャピタル等の保有目的は、当該株式の新規株式公開以降において当該株式を売却し、キャピタルゲインを得ることにあります。よって、当社の株式公開後、当社の株主であるベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の全部または一部を売却することが予想され、その場合、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題の一つとして位置づ
けております。しかしながら、現状では、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても将来の事業展開と経営体質の強化を目的に必要な内部留保を確保していくことを基本方針としております。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討してまいる方針ですが、現時点において配当実施の可能性及び、その実施時期につきましては未定であります。
(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社は、役職員等の意欲や士気を高め、一層の収益拡大と体質強化を図ることを目的として、ストックオプション(新株予約権)を発行しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は323,484株であり、発行済株式総数2,337,081株の13.8%に相当します。今後これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。
(16) 税務上の繰越欠損金について
当社は、2019年12月期末時点において、税務上の繰越欠損金を有しております。今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(17) 調達資金の使途について
当社が計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、不正検知サービスにおけるシステムのアーキテクチャ刷新等に伴うソフトウエア開発、決済コンサルティングサービスにおける後払い決済システムに係るソフトウエア開発、借入金及び社債の返済に充当する予定等として充当する予定であります。
しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に柔軟に対応していくため、調達資金の使途を現時点での計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を得られない可能性もあります。
(18) 人材の確保・育成について
当社は、経営に不可欠な資源は「ヒト」であり、優秀な人材を確保し従業員満足度を上げることで、社員が最大限の力を発揮できると考えており、適材適所の配置、市場環境に対応できる能力を獲得させるための教育、社内コミュニケーションの円滑化などに努めております。しかしながら、当社が人材の確保、活用、育成強化に十分対応できない事象が発生した場合、経営判断、成長力や競争力が影響を受ける可能性があります。
(19) 知的財産権に関するリスク
当社は、第三者の特許権及び商標権等の知的財産権に関して、外部の弁理士などを通じて調査する等、その権利を侵害しないよう留意するとともに、必要に応じて当社の知的財産権の登録等について申請することで、当該リスクの回避を検討しております。しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性や当社の事業分野で第三者による知的財産権が成立する可能性があることから、当社による第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性は否定できず、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より、損害賠償請求、使用差し止め請求、又はロイヤリティの支払い要求などが発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 小規模組織について
当社は、2020年10月31日現在において、取締役7名、従業員26名と小規模な組織となっており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の事業規模の拡大に応じて、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第9期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて、265,072千円増加し、894,691千円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて103,628千円増加し、695,204千円となりました。これは主に、現金及び預金が72,151千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて、161,443千円増加し、199,486千円となりました。これは主にソフトウエア仮勘定が138,990千円増加したことによるものであり、当社の中核サービスである不正検知サービスにおけるシステムのアーキテクチャ刷新に伴うソフトウエアの開発によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて149,793千円増加し、400,425千円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて64,400千円増加し、157,204千円となりました。これは主に未払金が51,300千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて85,393千円増加し、243,221千円となりました。これは主に、社債が105,000千円増加したことによるものであり、事業運営にあたり十分な流動性が確保できたものと考えております。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて115,278千円増加し、494,266千円となりました。これは主に、当期純利益114,488千円の計上に伴い、利益剰余金の金額が同額増加したことによるものであります。
第10期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は906,036千円となり、前事業年度末に比べ210,831千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が207,263千円増加したことによるものであります。固定資産は336,620千円となり、前事業年度末に比べ137,134千円増加いたしました。これは主にソフトウエア仮勘定が87,934千円増加したことによるものであり、当社の中核サービスである不正検知サービスにおけるシステムのアーキテクチャ刷新に伴うソフトウエアの開発によるものであります。
この結果、総資産は1,242,657千円となり、前事業年度末に比べ347,965千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は314,896千円となり、前事業年度末に比べ157,692千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が170,960千円増加したことによるものであります。固定負債は305,422千円となり、前事業年度末に比べ62,201千円増加いたしました。これは主に長期借入金が92,201千円増加したことによるものであり、事業運営にあたり十分な流動性が確保できたものと考えております。
この結果、負債合計は620,318千円となり、前事業年度末に比べ219,893千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は622,338千円となり、前事業年度末に比べ128,072千円増加いたしました。これは主に四半期純利益129,081千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は49.8%(前事業年度末は54.9%)となりました。
②経営成績の状況
第9期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度(2019年1月1日~2019年12月31日)における我が国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調が続いております。しかしながら、通商問題の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費動向にも留意する必要があり、景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社が関連する消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2018年の調査「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、前年比約9%増の17.9兆円となり、依然として高い成長率を維持しております。一方で、不正アクセスやマルウェア等によってカード情報の漏えいが多発し、番号盗用被害額も年々増加傾向にあることから、クレジット取引セキュリティ協議会は、「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画2019」において、非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策の一つである「属性分析・行動分析」として、常に最新化された条件設定により自動判定が行われる「不正検知システム」を導入することが望ましいとするなど、より具体的にセキュリティ強化のための取組を求めております。
このような経済状況のもとで、当社は、引き続き不正検知サービス「O-PLUX」の販売拡大に努めてまいりました。既存顧客の持続的な成長とともに、オウンドメディアの立ち上げ等マーケティング活動による認知度向上及び新規顧客開拓に努めた結果、当事業年度の「O-PLUX」のストック収益(定額課金である月額料金と審査件数に応じた従量課金である審査料金の合計額)は524,092千円(前年同期比7.1%増)に拡大しました。また、2019年11月には、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会が主催する「第14回ニッポン新事業創出大賞」において、事業の新規性、革新性及び実績が評価され、経済産業大臣賞を受賞しました。不正ログイン検知サービス「O-motion」においては、チケット業界の大手企業への導入が実現しており、引き続き多分野での販路開拓に取り組んでおります。その他、EC構築の要となる決済メニュー導入に関するコンサルティングサービスや、統計・機械学習等の知見を用いて企業の経営課題の解決を支援するデータサイエンスサービスを提供しております。
以上の結果、当事業年度の売上高は745,680千円(前年同期比3.6%増)、営業利益99,036千円(前年同期比19.4%増)、経常利益91,499千円(前年同期比12.6%増)、当期純利益114,488千円(前年同期比42.1%増)となりました。
なお、当社はSaaS型アルゴリズム提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第10期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期累計期間(2020年1月1日~2020年9月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、このところ持ち直しの動きが見られます。世界経済情勢におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、金融資本市場の変動などのリスクがあり、景気の先行きは不透明な状況となっております。
消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による2019年の調査「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、前年比7.65%増の19.3兆円となり、依然として高い成長率を維持しております。一方、クレジットカード番号等の情報を盗まれ不正に使われる「番号盗用被害」が急増している近年の状況を受け、改正割賦販売法において、クレジットカード番号等の不正な利用を防止するために必要な措置を講じることが義務化され、また、その実務上の指針となる、「クレジットカード・セキュリティガイドライン1.0版(クレジット取引セキュリティ協議会)」においては、非対面取引におけるクレジットカードの不正利用対策として、加盟店に対して「属性・行動分析(不正検知システム)」等の方策をリスク状況に応じて導入することが求められるなど、不正対策に対する社会的要請はますます高まっております。
このような経済状況のもとで、当社は、引き続き不正注文検知サービス「O-PLUX」の販売拡大に努めてまいりました。既存顧客の持続的な成長とともに、オウンドメディアの立ち上げ等マーケティング活動による認知度向上及び新規顧客開拓に努めた結果、当第3四半期累計期間の「O-PLUX」のストック収益額(定額課金である月額費用と審査件数に応じた従量課金である審査費用の合計額)は430,876千円(前年同期比12.7%増)に拡大しました。また、2020年5月には、旅行、チケット、Webサービスの各業界に特化した不正検知サービスの提供を開始しました。不正アクセス検知サービス「O-motion」においては、日本ヒューレット・パッカード株式会社の提供する多要素認証基盤IceWall MFAとの連携を完了させるなど、機能充実を図りつつ引き続き多分野での販路開拓に取り組んでいます。その他、後払い決済に関するシステム提供及びコンサルティングを行う決済コンサルティングサービスや、AI、統計学、数理最適化等データサイエンスにおける最適な技法を用いて分析し、アルゴリズムを開発・提供するデータサイエンスサービスを提供しております。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は619,329千円、営業利益128,345千円、経常利益121,050千円、四半期純利益129,081千円となりました。
なお、当社はSaaS型アルゴリズム提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第9期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ72,151千円増加
し、590,011千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであり
ます。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、73,548千円(前年同期は50,401千円の収入)となりました。これは主に税引
前当期純利益88,492千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、112,221千円(前年同期は43,611千円の収入)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出103,780千円によるものであり、当社の中核サービスである不正検知サービスにおけるシステムのアーキテクチャ刷新に伴うソフトウエアの開発によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、110,824千円(前年同期は585千円の支出)となりました。これは主に社債の発行による収入146,986千円によるものであり、事業運営にあたり十分な流動性が確保できたものと考えております。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(b) 受注実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(c) 販売実績
第9期事業年度及び第10期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。なお、当社はSaaS型アルゴリズム提供事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載をしております。
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サービスの名称 |
第9期事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
第10期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
金額(千円) |
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不正検知サービス |
591,666 |
110.6 |
485,673 |
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決済コンサルティングサービス |
106,845 |
70.9 |
91,441 |
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データサイエンスサービス |
47,168 |
138.0 |
42,215 |
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合計 |
745,680 |
103.6 |
619,329 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度及び第10期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
第8期事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
第9期事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
第10期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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GMOペイメントサービス株式会社 |
153,887 |
21.37 |
164,182 |
22.02 |
138,856 |
22.42 |
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ジャックス・ペイメント・ ソリューションズ株式会社 |
108,145 |
15.02 |
120,205 |
16.12 |
121,057 |
19.55 |
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株式会社ジャックス |
- |
- |
101,920 |
13.67 |
76,845 |
12.41 |
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ヤマトクレジットファイナンス 株式会社 |
99,315 |
13.79 |
77,511 |
10.39 |
- |
- |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.第8期事業年度の株式会社ジャックスに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.第10期第3四半期累計期間のヤマトクレジットファイナンス株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積による不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは、繰延税金資産の計上であり、当社は繰延税金資産の回収可能性について毎期検討を行っております。当社の繰延税金資産の回収可能額は、将来の課税所得の予測に大きく依存しておりますが、課税所得の予測は将来の事業環境や当社の事業活動の推移、その他の要因により変化いたします。将来、課税所得の予測に影響を与える諸要因に変化があり、当社が繰延税金資産の回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産を取り崩し、損益計算書の法人税等調整額が増加し、当期純利益が減少いたします。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社の資金需要のうち主なものは、システム運用に係る原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、システム開発への投資によるものであります。
これらの資金は、自己資金、金融機関からの借入、社債発行及び新株発行等により資金調達していくことを基本としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討行う予定であります。
なお、当事業年度における借入金等の有利子負債の残高は292,828千円となっております。また、当事業年度における現金及び現金同等物の残高は590,011千円となっております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標として、当社主力製品である「O-PLUX」のストック収益の金額を重要な経営指標と位置づけております。
当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当第3四半期累計期間末の「O-PLUX」のストック収益は、既存顧客の持続的な成長とともに、オウンドメディアの立ち上げ等マーケティング活動による認知度向上及び新規顧客開拓に努めた結果、前年同期比の112.7%の水準となっております。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、順調に推移しているものと認識しております。
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2017年12月期 |
2018年12月期 |
2019年12月期 |
2020年12月期 第3四半期 |
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「O-PLUX」のストック収益(千円) |
450,431 |
489,333 |
524,092 |
430,876 |
該当事項はありません。
第9期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当社は、日々複雑化・多様化する不正(不正注文、不正アクセス等)に対抗していくため、最新の不正手口及び技術情報の調査及び基礎研究を行うとともに、市場ニーズに応える新たな機能の製品化のための活動等を行っております。
当事業年度における研究開発費の総額は、
第10期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は