当社グループの事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、四半期報告書提出日(2022年2月14日)現在において当社グループが判断したものです。
なお、当社グループと従前の沢井製薬株式会社(以下「沢井製薬」という。)の連結グループの範囲に実質的な変更がないため、沢井製薬が2021年6月28日に提出した有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」と同様の内容であり、当第3四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
(1) 「医薬品医療機器等法」等による規制
当社グループ傘下の企業は「医薬品医療機器等法」等関連法規の規制を受けており、事業所所在の各都道府県の許可・登録・免許及び届出を必要としております。当社グループは、十分な法令遵守体制をとっておりますが、かかる医薬品製造販売業の許可等に関して法令違反があった場合には、監督官庁から業務停止、許可等の取り消し等が行われ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 薬価制度及び医療制度の変更
当社グループの主要製品、商品である医療用医薬品を販売するためには、日本においては国の定める薬価基準への収載が必要です。薬価については市場実勢価の調査が行われ、その実勢価格をベースに政策的な側面も加味した薬価改定により多数の品目の薬価が引き下げられます。また、増大する医療費の適正化を目的として薬価制度や医療保険制度の改革議論が引き続き行われており、その動向には細心の注意を払って経営方針・経営戦略に反映させておりますが、薬価引下げ率や制度変更の内容によっては、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 知的財産に関する訴訟
当社グループは物質・用途・製法・結晶形・用法・用量・製剤に関する特許並びに意匠及び商標等の知的財産権に関し徹底した調査を行い、また、不正競争防止法も十分に考慮した製品開発を心掛けておりますが、当社グループが販売するジェネリック医薬品の先発医薬品には物質・用途特許の期間満了後も複数の製法・結晶形・用法・用量又は製剤に関する特許等が残っていることが多く、当該特許等に基づき訴訟を提起される場合があります。このような事態が生じた場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 競合等の影響
当社グループは、日本において販売している製品が度重なる薬価引き下げのため不採算となり、販売中止を余儀なくされることのないように、適正利益を確保した価格で販売するように努めておりますが、多数のメーカーがジェネリック医薬品市場に参入すると、厳しい競争の中で価格の低下を招きやすくなります。さらには、先発医薬品メーカーが、オーソライズドジェネリックの投入等の諸施策により特許満了後の市場シェア低下への対応に努めており、その動向次第では当社グループが計画していた売上収益が確保できないことも想定されます。また、他社に先駆けて毎年数品目のジェネリック医薬品を上市できる研究開発力が当社グループの強みですが、競合他社の研究開発力の向上による競合リスクも高まってきており、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 製品回収・販売中止
当社グループが販売するジェネリック医薬品の有効成分は、先発医薬品においてその使用実績から有効性と安全性が一定期間にわたって確認されており、また再審査・再評価を受けたものであり、基本的には未知の重篤な副作用が発生するリスクは極めて小さいものです。しかしながら、予期せぬ新たな副作用の発生、製品への不純物混入、新たな検査基準の設定又は厳格化といった事象が発生した場合には、製品回収・販売中止を余儀なくされるとともに当該事故等の内容によっては製造物責任を負う場合があり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 自然災害等による生産の停滞、遅延
当社グループでは、地震・風水害等の自然災害、その他新型コロナウイルス感染症を含むパンデミック等の重大な健康リスクに対しては、人命尊重を第一に事業が継続できるよう、BCPや危機管理規程等の整備・運用による対応を図っております。当社グループは、福岡県、兵庫県、千葉県、茨城県及び米国に生産拠点を配置し製造所の分散及び製造機器の共通化等により操業停止リスクの低減を図っておりますが、自然災害、技術上・規制上の問題等の発生により、生産拠点の操業が停止した場合には、当該生産拠点で製造する製品の供給が停止し経営成績に影響を与える可能性があります。また、重要な原材料については、複数ソース購買などサプライチェーンリスクの管理・対応に努めておりますが、特定の取引先から供給を受けているものがありますので、自然災害等の要因によりその仕入れが停止し、その代替が困難である場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(7) グローバル事業展開等
当社グループは、ジェネリック医薬品シェアの高まりに伴う国内市場の成長鈍化を見据え、従来から持続的な成長を目指し、海外展開、資本提携及び企業買収等による新規事業展開の検討を図っており、事業採算性のほか関連法令・政治経済情勢を含め十分な調査に努めておりますが、当初の想定を超える予期せぬ事情変更や投資に見合う効果が得られない場合があり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 企業買収等
当社の子会社である沢井製薬は、2017年4月20日に、1,050百万米ドルの対価により、Upsher-Smith Laboratories, LLC(以下「USL」という。)の買収に合意し、同年5月31日に買収が完了しました。また、沢井製薬は同年11月13日に、USLの100%持分を保有する当社完全子会社Sawai America INC.(以下「SAI」という。)の持分の20%をSumitomo Corporation of Americas(以下「米州住友商事」という。)に譲渡する持分譲渡契約を米州住友商事との間で締結し、2018年1月3日に当該譲渡が完了しております(なお、SAIは、2017年12月にLimited Liability Companyの形態に移行した上で社名をSawai America LLCに変更しております)。なお、USLの買収に伴い、当第3四半期連結会計期間末の要約四半期連結財政状態計算書において40,834百万円ののれんを計上しております。米国のジェネリック医薬品市場において主要企業の一角を担うUSLの買収は、世界最大のジェネリック医薬品市場である米国市場における早期の基盤構築に大きく寄与するものと考えており、沢井製薬とUSL双方の強みを活かした連携によるシナジー創出に努めておりますが、USLの経営環境や事業の変化、統合の進捗遅延、デューデリジェンスにおいて判明しなかった事象等に起因して、同社買収において期待されていた効果が得られない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じるなど、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(9) 情報管理
当社グループは、社内外の個人情報・営業秘密その他多くの重要な情報を保有しております。社内規程を整備し、ITセキュリティ対策や外部のデータセンターを含む複数拠点におけるデータの保存等を実施するほか、情報セキュリティ委員会を設置して教育・啓発を実施する等、情報管理の徹底に努めておりますが、システム障害や事故等により漏洩、改ざん、喪失等が発生した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) その他
上記のほか、金融市況・為替変動によるリスク、コンプライアンスを含むコーポレート・ガバナンスに関するリスク、気候変動をはじめとする環境問題リスク、少子高齢化に伴う中長期的な人手不足等、様々なリスクがあり、ここに記載のリスクが当社グループにおけるすべてのリスクではありません。当社は、当社の代表取締役が委員長を務めるグループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、発生頻度と事業に与える影響度から特に重要なリスクを絞り込んでディスカッションを行うなど、リスクに対して必要な対応・対策の整備に努めるほか、関連テーマについて別途グループコンプライアンス委員会、グループサステナビリティ委員会等において、より詳細に検討いたします。また、eラーニング等のツールを活用した定期的な教育啓発活動等により、役職員が法令違反や社会規範に反するリスクの低減を図っております。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社は2021年4月1日付で単独株式移転により設立され、当連結会計年度が第1期となっておりますが、従前の沢井製薬の連結グループの範囲に実質的な変更がないことから、以下の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析では、沢井製薬の2021年3月期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)及び同連結会計年度末(2021年3月31日)を比較情報として用いております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。同基準に基づいた当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上収益148,627百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益23,936百万円(前年同期比4.8%増)、税引前四半期利益23,731百万円(前年同期比5.0%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益15,883百万円(前年同期比8.7%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しています。同基準に基づいた当第3四半期連結累計期間の「コア営業利益」は、24,181百万円(前年同期比14.7%減)となりました。
当社グループは、持株会社体制の下、2021年5月に長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」と2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「START 2024(以下「中計」という。)」を発表しました。長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」では、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」「新たな成長分野の開拓」を3つの柱としています。また、中計においては、ジェネリック医薬品事業では新製品の売上増加、安定供給力の強化、新規事業への進出に向けては、デジタル・医療機器事業、オーファン医薬品事業(ALS等)、健康食品事業の3領域に重点的にリソースを投入することとしております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(日本セグメント)
日本事業においては、2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)において、「2020年(平成3年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進を検討する」とされています。その後、2019年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)において、「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」ことが明記されました。さらに、2020年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品の更なる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価や、ジェネリック医薬品の普及上ポイントとなる一般名での処方を推進するために、一般名処方加算の評価の見直しが行われることとなりました。また、ジェネリック医薬品の数量目標に関しては、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」と定められています。これらにより、2021年9月の政府の薬価調査でジェネリック医薬品使用割合は速報値で79.0%となっています。
その一方で、2018年4月に通常の薬価改定、2019年10月には消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定、2020年4月に通常の薬価改定、2021年4月には初めてとなる中間年の薬価改定、そして、2022年4月に通常の薬価改定の予定と、毎年薬価改定が行われている状況となっており、当社グループを取り巻く収益環境は一層厳しいものとなっております。
このような中で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業をはじめとした複数のジェネリック医薬品企業の薬機法違反を起因として、ジェネリック医薬品全体で供給不安が発生しております。このため、2021年9月に厚生労働省から発表された「医薬品産業ビジョン2021」には「製造所の実態を把握し、適切なGQPで製品が製造されているかを管理監督できるもののみが製造販売業者となるべきである」「医療現場に継続して安定的に供給することの重要性を再認識すべきである」と明記される等、品質や供給体制がジェネリック医薬品産業・企業の優先課題として認識されております。
このような環境におきまして、中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディングカンパニーとして、業界全体への信頼回復と「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」に向け「品質管理の一層の強化」と共に、「新製品の売上増加」、「安定供給力の強化」に取り組んでおります。
品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生していることから、中核会社の沢井製薬を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組により、品質に係るリスクを最小限に抑えています。また、2021年6月には医療関係者の皆さまが安心してご使用いただけるよう、沢井製薬での製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開しました。
生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大とひっ迫する需給状況の中、さらなる高効率・低コストを追求しており、沢井製薬の全国6つの工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、10月には第二九州工場の敷地内に最終的に30億錠の生産能力となる新たな固形剤棟の建設を開始しました。さらに、12月には小林化工株式会社(以下「小林化工」という)の生産活動に係る資産及び関連部門人員を当社グループが譲り受けることで合意し、譲渡契約を締結しました。小林化工の譲り受ける資産、転籍いただく人材は新たに設立したトラストファーマテック株式会社が受け入れ、自社生産能力年間200億錠以上の早期確立へ向け、取り組んでまいります。また、11月には東日本第2物流センターを開設・稼働し、物流面での供給体制も強化しました。
製品開発・販売面においては、沢井製薬が2021年6月に『エスゾピクロン錠』を含む8成分23品目を発売し、12月に『レベチラセタム錠』を含む5成分9品目が新たに薬価収載されました。
更に新たな取組みとして、オンライン診療の認知の急速な拡大、普及とともに重要となってくるPHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、同年5月に株式会社インテグリティ・ヘルスケアと協業を開始しました。その後、10月にはインテグリティ・ヘルスケア社が提供しているPHR管理システム「Smart One Health」を、沢井製薬ブランドのパーソナルヘルスレコード(PHR)管理アプリ「SaluDi(サルディ)」として、リリースしました。また、生活習慣病を中心とする慢性疾患の予防から治療にPHRデータの管理・共有を通して貢献するサービスとして、医療機関だけでなく、企業や健康保険組合、自治体に対して、さまざまなソリューションを展開していく予定です。
新型コロナウイルス感染症への対策については、災害BCPとして2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、社内においてはオフィスの換気・除菌の強化を図り、従業員の手指消毒・手洗い・マスク着用・検温の励行を徹底し感染予防を行ってまいりました。上記に加えて、会議の原則WEB化、長距離出張の抑制など社内ルールの見直しを行うとともに、フレックスタイム制・時差出勤・在宅勤務等への勤務体系変更も柔軟に対応しながら、国内の各工場を継続して稼働し、安定供給の確保に努めました。社外においても、政府による緊急事態宣言下では、医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問自粛を行い、WEB等を活用した業務にシフトする等の対応を行いました。今後、本感染症の影響が長引けば、原材料の輸入や物流の停滞による医薬品供給面への影響、コロナ禍での患者さんの受診抑制による需要面への影響、及び医薬品の情報提供活動の制限等の影響も予想されます。当社グループは、医薬品製造販売業を中核事業としていることから、ワクチン接種率が上昇していく中であっても、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、売上収益は125,291百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は21,210百万円(前年同期比6.9%減)、コア営業利益(参考値)は23,737百万円(前年同期比2.5%減)となりました。
(米国セグメント)
米国事業においては、2017年5月にUSLを買収し米国市場進出を果たしており、中計では、「既存のブランド薬およびジェネリック医薬品の販売推進による売上への寄与」「ニッチなジェネリック医薬品を中心にさらなる製品ラインナップの充実」「沢井製薬との協働による難易度の高いパイプラインと製品ラインナップの強化」を成長ドライバーとして「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」を行うこととし、USLの持分20%を所持している住友商事株式会社の米国子会社Sumitomo Corporation of Americasと共に取り組んでまいります。
米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準を記録したこと等により、ジェネリック医薬品価格は直近では持ち直しの兆しがみられるものの、下落基調となっております。USLにおきましては、2019年に取得したブランド品であるTosymra™の販売に対する新型コロナウイルス感染症の流行によるマイナスの影響は軽減がみられ、数量は回復基調を示してきてはおりますが、ジェネリック主力品への競合他社の参入が続いたことに加え、主力ブランド品であるQudexyへもジェネリックの参入があり、依然として経営環境は厳しいものとなっております。
このような環境におきまして、上市製品の拡充に取り組み、ジェネリック医薬品としては、2021年5月に『モキシフロキサシン点眼液』、同年6月に『イソトレチノインカプセル』、同年8月に『カルバマゼピン徐放錠』を発売しました。
また、同年4月に既存のコロラド州のデンバー工場につきセール・アンド・リースバック取引を行い、当該工場の製品をUSL本社敷地内に建設中の新工場に今後集約することで、品質と効率のさらなる向上に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症への対策については、2020年3月初めには部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を行ってまいりました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行し、従業員の感染防止対策を施すとともに、ITを活用した営業活動に切り替えました。一方、米国ではワクチンの接種が順調に伸長し、経済活動が正常化しつつあります。本感染症により、患者さんの受診控え、営業活動の制限などによる影響もみられましたが、USLとしましては、引き続き感染予防・対策を徹底し、ヒトの生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
また、USL取得に際して調査・訴訟の解決時に補填される寄託口座を契約相手と設定しておりましたが、当第3四半期に契約相手との合意に基づきリリースしたことにより、精算益が4,066百万円発生しました。
この結果、売上収益は23,336百万円(前年同期比12.8%減)、セグメント利益は2,726百万円(前年同期比4,152.5%増)、コア営業利益(参考値)は436百万円(前年同期比89.1%減)となりました。
当第3四半期連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は221,475百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,801百万円増加いたしました。これは主に、現金及び現金同等物が4,887百万円増加、売上債権及びその他の債権が4,755百万円増加、また安定供給に向けた増産対応等によりたな卸資産が4,541百万円増加したためです。非流動資産は189,653百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,986百万円増加いたしました。これは主に、無形資産が償却等により2,136百万円減少した一方、子会社での設備投資等により有形固定資産が1,948百万円増加、またのれんが換算の影響で1,530百万円増加したためです。
この結果、資産合計は411,128百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,787百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は94,952百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,500百万円増加いたしました。これは主に、その他の金融負債が支払期日を迎えたこと等により1,775百万円減少した一方、安定供給に向けた増産対応等により仕入債務及びその他の債務が2,602百万円増加、売上収益の増加に伴い返金負債が2,750百万円増加、また2022年6月に償還予定の社債を流動負債に振替えたこと等により社債及び借入金が11,061百万円増加したためです。非流動負債は59,518百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,621百万円減少いたしました。これは主に前述のとおり、社債を流動負債に振替えたこと等により社債及び借入金が12,246百万円減少したためです。
この結果、負債合計は154,470百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,879百万円増加いたしました。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末における資本合計は256,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,908百万円増加いたしました。これは主に、四半期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は56.6%(前連結会計年度末は55.5%)となりました。
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は59,156百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,887百万円増加いたしました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益23,731百万円、減価償却費及び償却費13,130百万円、売上債権及びその他の債権の増加4,028百万円、たな卸資産の増加4,157百万円、仕入債務及びその他の債務の増加3,643百万円、法人所得税等の支払額6,020百万円を主因として26,475百万円の収入(前年同期比10,018百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出9,525百万円、有形固定資産の売却による収入3,088百万円、無形資産の取得による支出7,256百万円を主因として13,731百万円の支出(前年同期比1,172百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額5,693百万円を主因として8,177百万円の支出(前年同期比765百万円の支出減)となりました。
(3) 当社グループの経営方針
当社グループは、2030年度(2031年3月期)に向けた長期ビジョン及びそのファーストステップとして2023年度(2024年3月期)を最終年度とする3か年の中期経営計画を策定しました。
長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」
1.2030年度に目標とする企業グループイメージ
(創りたい世界像)
より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界
(ありたい姿)
個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける、存在感のある会社
2.財務目標
売上収益 4,000億円 ROE 10%以上
中期経営計画「START 2024」
1.重点戦略
<1> 国内ジェネリック市場におけるシェア拡大
・新製品による売上増加
・自社工場建設、他社工場買収等、あらゆる手段を講じた供給能力の強化
<2> 米国事業における将来の成長に向けた事業投資
・既存のジェネリック医薬品及びブランド医薬品にフォーカスした短期的な売上増加
・難易度の高いパイプラインと製品ラインナップの拡充による長期的な成長の実現
<3> 新たな成長分野の開拓
・新薬(希少疾患)、デジタル・医療機器、健康食品の3領域に重点的なリソース投入
・当該期間中に300億円の投資枠を設定
2.社会課題解決に向けた取り組み
<1> 持続可能な社会保障制度と医療アクセス向上への貢献
ジェネリック医薬品による医療費節減効果として、日米ジェネリック事業の売上全体の約2倍を節減
<2> 新規事業による健康寿命延伸への貢献
未病・予防を含む、より広いヘルスケア領域に事業拡大
3.資本政策
<1> 成長に向けた投資を積極的かつ効果的に実施
研究開発・製品等買収約750億円、設備投資約700億円、新規事業(投資枠)300億円
<2> 配当性向30%をめどに安定的かつ継続的に配当を実施
3年間での配当総額約170億円(年間130円/株)以上
(4) 当社グループの現状認識
日本事業では、1961年に実現された国民皆保険制度の恩恵を受け、日本は世界最高水準の長寿社会を実現してきました。その反面、医療費をはじめとする社会保障費用は、年々増加の一途を辿っているため、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなり、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になりつつあります。
このような状況に対して、近年、医療の質を落とすことなく、医療の効率化(医療費の削減)を図るべく、ジェネリック医薬品の使用促進が図られてきました。
政府は2017年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針)において「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する」とし、2019年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)においても「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」とし、さらに、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の数量シェアを、2023 年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」としています。
ジェネリックシェア80%時代を迎える中、2020年末以来、準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、他のジェネリック医薬品企業の薬機法違反を起因とするジェネリック医薬品全体での供給不安が発生している等、ジェネリック医薬品が担う責任と重要性の高まりに応じて、従来以上に安定供給体制、品質に対する信頼性の確保及び情報収集・提供体制の整備・強化等が求められており、GE業界のリーディングカンパニーとして、業界全体への信頼回復に努めていくことが当社グループとして果たすべき社会的責任であると認識しています。
一方、政府により決定された薬価制度の抜本改革によって、最初のジェネリック医薬品収載から12年経過後のジェネリック医薬品の原則1価格帯化や、通常の2年に1度の薬価改定の間の年度においても薬価調査・薬価改定(中間年改定)が導入されたことにより、今後薬価の下落幅が拡大する可能性があります。
米国事業では、米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準を記録したこと等により、ジェネリック医薬品価格は直近では持ち直しの兆しがみられるものの、この後も下落する可能性があります。さらに、当社グループ主力ブランド品への他社ジェネリックの参入、新型コロナウイルス感染症の流行による販売減といった外的要因による経営環境への影響は今後も継続する可能性があります。
このような経営環境の中で当社グループは、「なによりも健やかな暮らしのために」の企業理念の下で、ジェネリック医薬品事業では、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を比類のないものに高め、競争に打ち勝つこと、米国事業では、既存のブランド薬およびジェネリック医薬品の販売推進による売上への寄与、ニッチなジェネリック医薬品を中心にさらなる製品ラインナップの充実、沢井製薬との協働による難易度の高いパイプラインと製品ラインナップの強化を成長ドライバーとしていくこと、さらには、新たな成長分野の開拓をし、新規事業へ進出していくことが持続的に成長していくために不可欠との判断の下、その達成のために次の(5)にあげた8点が最重要課題であると認識しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 高付加価値ジェネリック医薬品のいち早い開発と確実な上市
競合が多いジェネリック医薬品業界において競争に打ち勝つためには、市場環境、患者さんや医療従事者のニーズに応えた他社品目との差別化が重要であり、また、一番手で上市することがジェネリック医薬品として患者さんのニーズに応えることにもなります。特許・技術・コスト・効率化等の諸課題に挑戦し、高付加価値ジェネリック医薬品の確実な一番手上市を目指してまいります。
② 安定供給の維持・確保
治療を必要とする患者さんの元に高品質な医薬品を安定的に供給することは、医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つです。世界中から高品質で適切な原材料を確保し、適宜適切かつ継続的な設備投資、厳格な基準による製造管理・品質管理を行うとともに、的確な需要予測と適正在庫の確保を行うことを通じて、安定供給の維持・確保を図り、ジェネリック医薬品の需要増に対応してまいります。また、災害時にも安定供給を維持できるよう策定したBCP(事業継続計画)に基づき、原材料の複数ソース化、生産機械の共通化、代替要員の確保、人財の多能職化並びに工場間の人財交流及び技術の標準化等に取り組んでまいります。
③ 信頼性の向上
「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」に対応した品質確保、市販後安全対策への対応は当然のことであります。更なる信頼性向上を目指し、より高いレベルに設定した自主品質基準の遵守、国内及び海外の製造工場の査察、医薬品リスク管理への対応、並びに医薬品医療機器等法等の遵守体制の強化を図ってまいります。
④ 情報提供の充実
医薬品は、正確な情報を伴ってはじめて患者さんの治療目的が達成されるものであります。MRの活動のみならず、ウェブやコールセンター等のマルチチャネルを効率的に活用し、情報提供力の充実・強化を図ります。正確な効能・効果、用法・用量、副作用、品質や付加価値といった医薬品情報のほか有用な情報を医療関係者に迅速かつ確実に提供し、顧客満足度の向上に努めてまいります。
⑤ マーケティング機能の充実
競争優位を確立するためには、マーケット分析に基づいた的確な開発品目の選定、ターゲティングの明確化によるMRの生産性の向上が不可欠であります。マーケティング機能の充実と薬価制度改革や医療政策の変化等に伴う競争環境の変化を踏まえた営業戦略の見直しを図ってまいります。
⑥ 米国事業基盤の構築・強化
当社グループであるUSLが、継続的に成長し、収益性を向上させるべく、既存製品における主力製品への注力、新規製品、パイプラインの拡充に取り組んでまいります。同時に、生産効率化に向けた設備投資や、全般的なコストの見直し等のコストコントロール施策にも取り組んでまいります。
⑦ 新規事業への進出
高齢化社会の進展により、既存のジェネリック医薬品市場が安定成長に移行する中、予防・未病に対する人々の価値観は変化し、新たな事業機会が幅広く創出されつつあり、加えて、ヘルスケア・医療に対するニーズはますます多様化・高度化していくことが予想されますので、既存事業への投資に加え、当社グループの新たな収益の柱とするべく、新薬事業(オーファン疾患)、デジタル・医療機器、健康食品の3領域に重点的にリソースを投入することで新たな事業基盤を構築してまいります。
⑧ 企業ガバナンスの強化
グループ企業理念の浸透、グループコンプライアンス委員会の活動強化、リスク管理の充実、内部統制の整備・拡充といったコーポレート・ガバナンスの強化とグループサステナビリティ委員会の活動推進を行ってまいります。また、環境変化に的確に対応できるよう意思決定や事業展開のスピードを追求するとともに、コスト削減等による徹底したコスト競争力の強化や業務の効率化、業容拡大に伴う経営基盤の整備・強化、会社の成長を支える人財の育成、ダイバーシティへの取組みといった様々な側面からの企業ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
(6) 従業員数
① 連結会社の状況
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。
② 提出会社の状況
(注) 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。
(7) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画は次のとおりであります。
本計画については、上記確定事項に加え、他社を含む市場の動向や沢井製薬の新製品開発状況等を勘案しながら約5,500百万円の追加投資を検討しております。
(8) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の当社グループにおける研究開発費の総額は12,867百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(生産活動に係る資産及び関連部門人員の譲受契約)
当社は、2021年11月29日開催の取締役会において、小林化工株式会社(本社:福井県あわら市)の生産活動に係る資産及び関連部門人員を譲り受ける旨の決議を行い、小林化工株式会社及びその親会社であるオリックス株式会社(本社:東京都港区)と譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表等 要約四半期連結財務諸表注記 2.作成の基礎」に記載のとおりであります。