当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。同基準に基づいた当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上収益48,231百万円(前年同期比4.5%減)、営業利益4,820百万円(前年同期比43.2%減)、税引前四半期利益4,815百万円(前年同期比42.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益3,672百万円(前年同期比41.8%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しています。同基準に基づいた当第1四半期連結累計期間の「コア営業利益」は、6,146百万円(前年同期比30.6%減)となりました。
当社グループは、持株会社体制の下、2021年5月に発表した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」と2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「START 2024(以下「中計」という。)」において、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」「新たな成長分野の開拓」を3つの柱としております。また、中計においては、ジェネリック医薬品事業では新製品の売上増加、安定供給力の強化、新規事業への進出に向けては、デジタル・医療機器事業、オーファン医薬品事業(ALS等)、健康食品事業の3領域に重点的にリソースを投入することとしております。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(日本セグメント)
日本セグメントにおいては、「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)と「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)により、ジェネリック医薬品の数量目標の設定やインセンティブ強化を含めた取り組みが明示され、また、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)では、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされています。そして、2022年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。その結果、2021年9月の政府の薬価調査による最新のジェネリック医薬品使用割合は79.2%となっています。
その一方で、2018年4月に通常の薬価改定、2019年10月には消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定、2020年4月に通常の薬価改定、2021年4月には初めてとなる中間年の薬価改定、そして、2022年4月の通常の薬価改定と、昨今は毎年薬価改定が行われる状況となっており、当社グループを取り巻く収益環境は一層厳しいものとなっております。
このような中で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業をはじめとした複数のジェネリック医薬品企業の薬機法違反を起因として、ジェネリック医薬品全体で供給不安が生じています。このため、2021年9月に厚生労働省から発表された「医薬品産業ビジョン2021」には「製造所の実態を把握し、適切なGQPで製品が製造されているかを管理監督できるもののみが製造販売業者となるべきである」「医療現場に継続して安定的に供給することの重要性を再認識すべきである」と明記される等、品質や供給体制がジェネリック医薬品産業・企業の優先課題とされています。
このような環境におきまして、中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、業界全体への信頼回復に努めつつ、当社グループとして「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」に向け「品質管理の一層の強化」を図るとともに、「新製品の売上増加」と「安定供給力の強化」に取り組んでおります。
品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生していることから、中核会社の沢井製薬を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組により、品質に係るリスクを最小限に抑えております。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取組を行ってまいりました。
生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大と供給不安の中、さらなる高効率・低コストを追求しており、沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年3月期に、第二九州工場の敷地内に最終的に30億錠の生産能力となる新たな固形剤棟の建設を決定いたしました。また、小林化工株式会社(以下「小林化工」という。)から、新たに設立したトラストファーマテック株式会社に生産活動に係る資産を譲受し、2022年4月に関連部門人員を受け入れました。今後、これらの資産の活用により、自社生産能力年間200億錠以上の早期確立へ向け、体制の構築に取り組んでまいります。それらと合わせ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。
製品開発・販売面においては、沢井製薬にて2022年6月に『フェブキソスタット錠、OD錠』を含む5成分11品目が薬価収載されました。
また、沢井製薬において、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、3つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。
さらに新たな取組として、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、2022年4月に沢井製薬ブランドのパーソナルヘルスレコード(PHR)管理アプリ「SaluDi(サルディ)」及びインテグリティ・ヘルスケアのPHR管理システム「Smart One Health」と東京大学COI個別化保健医療講座(岸暁子特任助教)開発の行動変容促進システム「MIRAMED®」を活用した特定保健指導を連携させ、「健康~未病~特定保健指導~受診勧奨のワンストップサービス」の実現可能性や効果の検証を行うことを発表いたしました。
新型コロナウイルス感染症への対策については、災害BCPとして2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、社内においてはオフィスの換気・除菌の強化を図り、従業員の手指消毒・手洗い・マスク着用・検温の励行を徹底し感染予防を行っております。加えて、会議の原則WEB化、長距離出張の抑制など社内ルールの見直しを行うとともに、フレックスタイム制・時差出勤・在宅勤務等への勤務体系変更も柔軟に対応しながら、国内の各工場を継続して稼働し、安定供給の確保に努めております。社外においても、政府による緊急事態宣言下では、医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問自粛を行い、WEB等を活用した業務にシフトする等の対応を行いました。今後、本感染症の影響が長引けば、原材料の輸入や物流の停滞による医薬品供給面への影響、コロナ禍での患者さんの受診抑制による需要面への影響、及び医薬品の情報提供活動の制限等の影響も予想されます。当社グループは、医薬品製造販売業を中核事業としていることから、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、日本セグメントにおける売上収益は38,704百万円(前年同期比11.0%減)、セグメント利益は4,570百万円(前年同期比43.5%減)、コア営業利益(参考値)は5,220百万円(前年同期比43.5%減)となりました。
(米国セグメント)
米国セグメントにおいては、2017年5月にUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下「USL」という。)を買収し米国市場進出を果たしており、中計では、「既存のブランド薬及びジェネリック医薬品の販売推進による売上への寄与」「ニッチなジェネリック医薬品を中心にさらなる製品ラインナップの充実」「沢井製薬との協働による難易度の高いパイプラインと製品ラインナップの強化」を成長ドライバーとして「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」を行うこととし、USLの持分20%を所持している住友商事株式会社の米国子会社Sumitomo Corporation of Americasとともに取り組んでまいります。
しかしながら、米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準を記録したこと等により、下落基調となっています。USLにおきましては、ジェネリック主力品への競合他社の参入が続いたことに加え、主力ブランド品であるQudexy®へもジェネリックの参入があり、依然として経営環境は厳しいものとなっております。2022年3月期には、USLの持続的成長のあり方を検討し、事業再構築に着手することに伴い米国セグメントの将来計画を見直した結果、のれんをはじめとした米国セグメントの資産について減損損失68,770百万円を認識することとなりましたが、今期は、売上収益安定に向けた施策や、研究開発部門を含めたコストの削減の徹底等を通じて早期黒字化に向けた様々な施策の実行に取り組んでおります。
さらに、2022年3月期に既存のコロラド州のデンバー工場につきセール・アンド・リースバック取引を行い、当該工場の製品をUSL本社敷地内に建設中の新工場に今後集約することで、品質と効率のさらなる向上に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症への対策については、2020年3月初めには部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を行ってまいりました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行し、従業員の感染防止対策を施すとともに、ITを活用した営業活動に切り替えました。一方、米国ではワクチンの接種が順調に伸長し、経済活動が正常化しつつあります。本感染症により、患者さんの受診控え、営業活動の制限などによる影響もみられましたが、USLとしましては、引き続き感染予防・対策を徹底し、ヒトの生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、米国セグメントにおける売上収益は9,527百万円(前年同期比36.1%増)、セグメント利益は250百万円(前年同期比36.4%減)、コア営業利益(参考値)は924百万円(前年同期はコア営業損失383百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は215,306百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,183百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が借入の実行等により3,179百万円増加、売上債権及びその他の債権が米国セグメントでの販売増及び為替換算の影響等により3,516百万円増加、棚卸資産が日本セグメントでの安定供給力の強化に向けた生産の影響等により5,922百万円増加したためです。非流動資産は150,053百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,674百万円増加しました。これは主に、米国セグメントで建設中の新工場に係る建設仮勘定が支払い及び為替換算の影響で増加したこと等により有形固定資産が1,704百万円増加したためです。
この結果、資産合計は365,359百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,857百万円増加しました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は88,724百万円となり、前連結会計年度末に比べ115百万円減少しました。リベートの支払タイミング等により返金負債が2,591百万円増加した一方、未払法人所得税等が支払等により2,051百万円減少、またその他の流動負債が未払賞与の計上対象期間の相違等により1,408百万円減少しました。非流動負債は69,299百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,720百万円増加しました。これは主に、借入の実行により借入金が8,721百万円増加したためです。
この結果、負債合計は158,023百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,605百万円増加しました。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本合計は207,336百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,252百万円増加しました。これは主に、四半期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は53.7%(前連結会計年度末は54.4%)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は50,896百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,179百万円増加しました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益4,815百万円、減価償却費及び償却費4,234百万円、売上債権及びその他の債権の増加2,569百万円、棚卸資産の増加4,557百万円、返金負債の増加2,080百万円、法人所得税等の支払額2,984百万円を主因として1,143百万円の収入(前年同期比9,454百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,457百万円、無形資産の取得による支出1,729百万円を主因として4,205百万円の支出(前年同期比245百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増10,000百万円、長期借入れによる収入9,500百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額2,846百万円を主因として5,379百万円の収入(前年同期は2,628百万円の支出)となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の当社グループにおける研究開発費の総額は3,197百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは、小林化工から人員を受け入れたことを主として、日本セグメントにおいて488名増加しております。なお、従業員数は就業人員数であります。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。