第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績に関する説明

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復傾向にあります。しかしながら、物価上昇の継続による個人消費への影響や米国の通商政策などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループが属するインターネット業界・オンラインゲーム業界においては、需要の面では、大手企業を中心に「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」と呼ばれるデジタル技術の活用による変革の流れが引き続き力強いものとなっており、企業や政府・自治体における旺盛なIT投資が継続しております。また、供給の面では、デジタル人材の不足が依然として深刻な状況にあり、需給ギャップの拡大とそれに伴う人材獲得競争の激化が見られ、ソフトウェア等の開発単価は上昇傾向にあります。さらに、近年、生成AIへの注目度が高まっており、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル等の技術的発展が進む中、生成AIの実用化に向けた取り組みがユーザー・ベンダーともに本格化しております。

このような経営環境において、当社グループは「ザ・インターネットカンパニー」というビジョンのもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」をミッションに掲げ、その実現に向けてWebソリューション事業・デジタル人材育成派遣事業・推しカルチャー&ゲーム事業を展開し、DX化に伴う需要拡大や開発単価の上昇等の追い風の下、収益拡大を図っております。

また、中期ビジョンである「アピリッツVISION2030」の取り組みを推進しております。当社グループには若手エンジニアを始めデジタル人材が多数在籍しており、今後も採用を強化する方針であることから、長期的な人材への投資・教育が必要であると考えております。従業員1人1人の成長が事業成長及び社会貢献へ繋がる事を鑑み、人と事業が継続して成長できる環境作りを行うことを目的としております。具体的には、組織における横串のコミュニティを活性化し、相互理解や助け合い文化の促進を行う「共創・共学」、学びの継続ができる環境構築によりデジタル人材の育成を行う「人材育成」、学びを継続することによる「生産力向上」の3つの要素により実現できるものと考えており、最終的には多くのサービス開発を通して、事業・収益拡大を実現させ、社会に多数のデジタル人材を輩出することで「豊かな社会」の実現を目指してまいります。

さらに、当社グループが成長戦略として掲げるM&A戦略の面では、その実現によりデジタル人材の確保・育成と事業領域の拡大に取り組んでおります。引き続き、積極的なM&Aの実行を進めてまいります。なお、過年度から当中間連結会計期間末までに実現したM&Aは以下のとおりであり、いずれも完全子会社化しております。

時期

名称

事業内容

2022年1月

株式会社ムービングクルー

ファンクラブサービスの企画・開発・運営等

2022年7月

株式会社Y's

IT人材派遣、Webサイト制作等

2024年6月

Bee2B株式会社

Webサービス、システム開発・構築、運用・保守、コンサルティング等

2024年10月

株式会社クエイル

スマホアプリ・Webアプリケーション開発、AWSを主軸としたインフラ・クラウドサービスの構築・移行・運用、Webサイト制作等

2025年4月

株式会社JUTJOY

SES、エンジニア教育、受託開発、営業・採用・教育支援、マーケティング等

 

(注)1.株式会社ムービングクルーは、2025年6月1日付けで当社へ吸収合併しております。

2.株式会社JUTJOYは、株式会社Y'sがその全株式を取得しており、当社の孫会社に当たります。

 

 

以上の結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は、以下のとおりとなりました。

売上高 5,156,884千円(前年同期比22.2%増)

営業損失 18,507千円(前年同期は営業利益13,262千円)

経常損失 25,340千円(前年同期は経常利益10,681千円

親会社株主に帰属する中間純損失 35,531千円(前年同期は16,163千円)

 

当中間連結会計期間におけるセグメント別の業績は次のとおりです。

なお、当中間連結会計期間より報告セグメントの変更を行っており、以下の業績に関する記述は、変更後の報告セグメントの区分に基づいております。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

また、セグメント間取引消去前の金額を記載しております。

 

 Webソリューション事業

Webソリューション事業においては、顧客のニーズに合わせたサービス設計から開発・保守までの一連の業務を請け負うことによるロイヤリティループの形成、若手に責任あるポジションを経験させ開発エンジニアとしての技能の向上を図りそれをまた新たな若手に繋げていくことによる成長スパイラルの形成から、継続的な案件受注や新規案件のタッチポイントの増加を企図しております。

好調な市場環境の下、当社及びグループ会社ともに案件の引き合いは多く、売上高は順調に成長しております。一方で、不採算案件への注力にあたり、外注費等の費用が増加したことから、利益は下振れる結果となりました。

この結果、当中間連結会計期間における売上高は1,949,283千円(前年同期比30.7%増)、セグメント利益は231,725千円(前年同期比25.5%増)となりました。

 

 デジタル人材育成派遣事業

デジタル人材育成派遣事業においては、急速に進むデジタルビジネスの進展とそれを支えるデジタル人材の需給ギャップが構造的に問題となっており、質の高いデジタル人材に対するニーズが依然として高まっております。

当社グループでは、未経験に近い人員の採用を行い、過去から積み上げた質の高い教育を積極的に行うことで、質の高いデジタル人材を顧客に提供しております。

当中間連結会計期間においてもデジタル人材の派遣の需要は引き続き堅調に推移しており、売上高は順調に成長しております。

また、新たに、人材派遣・人材育成に強みを持つ株式会社JUTJOYがグループインしたことで、成長の源泉であるデジタル人材の教育・育成が加速することによるシナジー効果を見込んでおります。なお、株式会社JUTJOYのM&Aに伴う一時的な費用の増加により、利益は下振れる結果となりました。

この結果、当中間連結会計期間における売上高は920,496千円(前年同期比23.7%増)、セグメント利益は22,982千円(前年同期比35.4%減)となりました。

 

 推しカルチャー&ゲーム事業

推しカルチャー&ゲーム事業においては、主としてオンラインゲームとファンクラブサービスの運営を行っております。「推し活」と呼ばれるユーザーの消費行動は年々活発なものとなっており、当社グループにおいては、IPを活用した「推し活」ビジネスを推進しております。

オンラインゲーム運営では、『けものフレンズ3』及び『UNI’S ON AIR(ユニゾンエアー)』がいずれも2025年3月にサービス開始5.5周年を迎えたことを記念して周年イベントを開催し売上に貢献いたしました。

また、2025年6月には、従前まで株式会社gumiと共同運営を行っていた『乃木坂的フラクタル』の運営サービスを当社へ完全移管し、運営パイプラインの拡大を進めております。

なお、従前より運営体制の効率化や外注の内製化を継続して行っており、原価は低減傾向にあります。当中間連結会計期間においては『乃木坂的フラクタル』やその他新規案件への対応にあたり、一時的に外注費等の費用が増加しましたが、下期にかけてはアプリ外決済の導入を進めており、利益体質の更なる改善を図っております。

さらに、IPを活用した他社との新作協業ゲームプロジェクトの検討を進めております。

この結果、当中間連結会計期間における売上高は2,326,930千円(前年同期比14.9%増)、セグメント利益は131,118千円(前年同期比18.0%減)となりました。

 

(2)財政状態に関する説明

(資産)

当中間連結会計期間末の資産合計は、5,717,323千円と前連結会計年度末に比べて42,732千円の減少となりました。流動資産は51,340千円減少し、4,393,238千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が239,343千円、その他流動資産が140,265千円増加した一方で、現金及び預金が422,757千円減少したこと等によるものです。固定資産は8,607千円増加し、1,324,084千円となりました。これは主に、投資その他の資産が51,045千円増加した一方で、のれんが42,608千円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当中間連結会計期間末の負債合計は、3,375,439千円と前連結会計年度末に比べて9,890千円の増加となりました。これは主に、未払金が146,238千円、その他固定負債が115,698千円増加した一方で、長期借入金が154,234千円、その他流動負債が94,792千円減少したこと等によるものです

 

(純資産)

当中間連結会計期間末の純資産合計は、2,341,883千円と前連結会計年度末に比べて52,623千円の減少となりました。これは主に、新株予約権が1,772千円増加し、また新株予約権の行使により資本金、資本準備金が6,603千円それぞれ増加した一方で、親会社株主に帰属する中間純損失の計上により35,531千円、配当金の支払により32,070千円、利益剰余金が減少したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,871,193千円と前連結会計年度末に比べて422,757千円の減少となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は193,373千円(前年同期は81,992千円の支出)となりました。これは主に税金等調整前中間純損失25,457千円、減価償却費20,664千円、のれん償却額49,864千円、売上債権及び契約資産の増加209,378千円、棚卸資産の減少10,615千円、前払費用の増加160,154千円、仕入債務の減少53,288千円、未払金の増加134,906千円、法人税等の支払額33,436千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は22,596千円(前年同期は139,092千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出19,148千円、差入保証金の差入による支出28,161千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入17,714千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は206,786千円(前年同期は179,190千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出186,340千円、配当金の支払額33,653千円があったこと等によるものであります。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発費の総額は5,474千円です。なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(吸収合併契約)

当社は、2025年3月17日開催の取締役会決議に基づき、当社の完全子会社である株式会社ムービングクルーを吸収合併する合併契約を締結し、2025年6月1日付で吸収合併しております。なお、本合併は、2025年4月25日の当社の株主総会で承認可決されております。

詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)(共通支配下の取引等)(連結子会社の吸収合併)」をご参照ください。

 

(新設分割契約)

当社は、2025年6月13日開催の取締役会において、2025年8月1日を効力発生日として、当社の推しカルチャー&ゲーム事業に関する権利義務について、新設分割により、新たに設立する株式会社アピリッツ・ファンカルチャーパートナーに承継させることを決議いたしました。

詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(簡易新設分割による子会社の設立)」をご参照ください。