第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は「知を創集し道具にする」をミッションに掲げております。世界に遍在する知(データ)を創集し、その集合知を誰にでも使える道具(ツール)へと変え、顧客に届けることで顧客ビジネスの生産性向上および収益成長に貢献してまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社が今後更なる成長と発展を遂げるためには、主に「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の事項へ対応していくことが経営戦略上、重要と認識しております。

 デジタル化の加速により、DXに取り組む企業は今後増加が見込まれます。そうした企業の課題に応えられるようサービスを強化し、販売チャネルを強化することで、それらの企業へ自社のサービスを届けます。それにより、顧客基盤の拡大と顧客ごとの収益性の向上を通じて、長期的な企業価値向上を実現します。

 サービス強化のための対応策として、①新規商品投入と既存商品を絡めたクロスセルの強化、②Webサイトを中心としたマーケティングのバリューチェーンの前後(集客改善といった前工程や、Webサイトで獲得した見込み顧客の営業といった後工程)への拡張、③新規ソリューション開発のためのパートナー企業との連携の強化の3点を主に推進します。

 

具体的には以下のような成長戦略を実行します。

 

A.新ソリューションの投入とクロスセルの強化

 当社は、顧客との継続的接点を活かし、顧客に新たに生まれた課題をいち早く捕捉し、その他のソリューションを提供する「クロスセル」を行うこと、またクロスセルを行えるソリューション群を増やすことでLTV(顧客生涯価値)の最大化を進めます。

 

マーケティング関連の新ソリューションの投入

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B.マーケティング周辺領域へのソリューションの拡張

 当社は、「AIアナリスト」のアルゴリズムを軸として、インプットするデータの幅を広げることで、アウトプットする改善提案および付随するアクションの幅も広がります。分析ソリューションとして対応する領域を拡張し、「AIアナリスト」の付加価値を高めます。具体的な拡張領域として、SFA/CRM(*1)、MA(*2)ツール、販売管理・在庫管理システムなどが挙げられます。

 

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C.パートナー企業との連携による新規ソリューションの開発

 当社は自社開発商品である「AIアナリスト」を顧客に直接提供するだけでなく、同時に保有ビッグデータおよび改善提案アルゴリズムなど、「AIアナリスト」の保有するコア・コンピタンスを切り出し、パートナー企業へ提供しています。それにより、当社のアルゴリズム等の提供を受けたパートナー企業は、自身のソリューションやサービスの中に当社アルゴリズム等を組み込むことが可能です。当社の支援を受けたパートナー企業は、顧客に対してソリューションやサービスの付加価値を高め、競合他社と差別化を行うことが可能となります。

 このように当社は、自社のコア・コンピタンスをもとに様々な企業とコラボレーションすることで新たな事業をつくりやすいという特性をもちます。これまでの主な顧客として、広告代理店やWeb制作会社、Webコンサルティング会社、マーケティング・ソリューション提供会社などがあります。

 また、提携の型として、ホリゾンタル型(*3)としてパートナー企業サービスへの組み込みによるパッケージ化(リコー株式会社との「BtoBマーケティングドライバー」)や、バーティカル型(*4)としてパートナー企業の業界特化型「AIアナリスト」としてのOEM提供(株式会社JTBコミュニケーションデザインとの「AIアナリスト forツーリズム」)など、自社ケイパビリティのレバレッジを行います。

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上記の実現のために、優秀な人材の確保、認知度の向上、新規事業の立ち上げ、開発体制の強化、ビッグデータの蓄積・解析体制の強化、事業パートナーとの提携の強化等により、事業拡大を図る方針です。

 

(*1)SFAはSales Force Automationの略で、問い合わせなどの接点を得たあとに営業担当が契約に結びつけるまでを担う営業支援システム。そして、CRMはCustomer Relationship Managementの略で、契約後の顧客の契約状況を管理する顧客管理システム。

(*2)マーケティングオートメーション(Marketing Automation)の略で、企業のマーケティング活動において、旧来は人手で繰り返し実施していた定型的な業務や、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組みのこと。

(*3)ホリゾンタル(Horizontal)とは「水平」を意味する単語で、勤怠管理やMAツールのような業界・業種に関係なく「人事向け」や「マーケ向け」など特定の職種が使用するタイプのもの。

(*4)バーティカル(Vertical)とは「垂直」を意味する単語で、業種ごとに特化した機能を持つもの。その特性から「業界特化型」とも呼ばれる。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は事業進捗の客観的な指標として、売上高、売上高総利益率および営業利益に加え、顧客基盤の広さと当社保有データの量を示す登録サイト数、1顧客から得る売上高である1社当たり理論LTV(顧客生涯価値、1社当たり理論LTV=1社当たりの12ヶ月平均初期売上+1社当たり平均リカーリングレベニュー/社数ベース12ヶ月平均解約率)を重要な経営指標とし、成長性や収益性を向上させていきます。

 

(4)経営環境

 当社が属する国内DX市場の規模は、株式会社富士キメラ総研が2020年9月に公表した「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、2019年に7,912億円となりました。また、当該市場は、企業のDXやそれに伴うアナリティクスおよびAI活用の取り組みの一層の広がりを受け、拡大を見せております。昨今、多くの企業において、データを収集するだけでなく、その利活用を可能とするDXやAIの活用を通じて、その企業活動の生産性を向上させ、競争力を増すことが重要な経営課題となってきているためです。当該市場は、2023年までの間に1兆7,848億円まで拡大し、その年間平均成長率は+22.6%という成長率が見込まれております。

 また、当社の提供する「AIアナリスト」が属する国内AIシステム市場はさらに大きく成長しております。IDC Japan株式会社が2020年6月に公表した「国内AIシステム市場予測」によると、AIによる様々な効果測定の指標を設定したことや、これらの指標を用いてプロジェクトに経営層を巻き込むなどの取り組みが功を奏する事例が増えており、2019年の市場規模(エンドユーザー支出額ベース)は818億円と前年比成長率は+56.0%となりました。同社は2024年まで年平均成長率は+33.4%で推移し、2024年には3,459億円になると予想しております。

 また、そういったDXを実現するソフトウェアの中でも、多くの企業はパッケージ型ではなく、SaaS型のソフトウェアを選択する割合が増えています。SaaSは、システムを短期間かつ低初期コストで導入できることや、APIにより他システムとの連携が容易であることなどにより導入が増えており、ソフトウェア市場の拡大をけん引しております。特に、業務自動化やコミュニケーション効率化などを目的とした製品需要が増えており、中でも、パッケージからSaaSへと移行が進むグループウェア、新たなコミュニケーションの手段として導入が進むビジネスチャットなどのコラボレーションソフトウェア、また、顧客接点を強化するCRM(営業系)、マーケティングオートメーションなどの伸長をベースとして、2019年度には5,646億円あったSaaS市場は、2023年度には8,174億円と年平均成長率+9.7%(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2019年版」2019年10月)の拡大が見込まれております。

 当社は、アナリティクスソフトウェアをSaaSという形で提供することで、顧客と継続的な接点をもっております。これにより、当社は顧客ロイヤルティを高めつつ、顧客のデータを長く蓄積することで、他社に対して参入障壁を築いております。また同時に、先行して多くの企業の利用データを集めているため、その集合知によるソフトウェアの改善が可能であることが、提供価値の点においても先行優位性を活かした参入障壁の構築に活きております。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社の経営環境に与える影響は、現時点において限定的なものではありますが、先行きは不透明な部分もあり、継続して注視してまいります。現状の経営環境においては経営方針・経営戦略等を見直す必要は無いと認識しておりますが、当該感染症の経済社会に対する影響が今後さらに拡大・長期化した場合には、社会全体の生活様式の変化に伴い、経営方針・経営戦略等を見直す可能性があります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①新規事業の立ち上げ・新規機能の開発

 当社が提供する既存サービスは継続的な取引を行う顧客基盤を確立しており、安定的な月額利用料収益を得ております。

 近年のAIやデータアナリティクス、SaaSに対する関心の高まりに象徴されるように、当社の提供するサービスが属する各市場は今後ますます市場成長が見込まれており、市場のニーズにあった機能およびサービスをいち早く投入し、新規事業を立ち上げ続けることが重要な課題と認識しております。

 特に「AIアナリスト」をプラットフォームとしたストック型の収益を安定的に獲得することができるサービスの開発を継続的に行い、さらなるステップアップを視野に入れた事業の収益性向上を目指してまいります。

 当社は、大企業を中心にWACULコンサルティングのサービス提供や、アカデミアおよびビジネスの先端をいく人材を顧問とする社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を通じて、PoC(Proof of Concept:新規アイディアの検証・実証)を積極的に行い、そこで得られた知見をソリューションに落とし込む形で新規事業の立ち上げおよび「AIアナリスト」の新規機能開発をより一層推進し、社会に普及させていきます。

 

②優秀な人材の確保

 当社は専門性の高い優秀な人材の確保及び在籍する人員の育成に注力し、少人数での効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた組織体制の整備を進めてまいりました。

 今後のDX市場の拡大に伴う事業拡大及び収益基盤の強化を図るにあたり、引き続き優秀な人材を確保・育成することは当社の事業展開を図る上で重要と認識しておりますが、優秀な能力を持つ人材獲得は、他社とも競合し、安定した人材確保が容易ではない状況が今後も継続すると考えております。これまで同様、効率的な事業運営を意識しつつ、事業規模に応じた優秀な人材の組織体制の整備を進めることが課題であると認識しております。

 開発部門においては、サービスの利便性及び機能の向上ならびに新規サービス開発のため、優秀なエンジニアの継続的な採用を継続的に行ってまいります。また、営業・マーケティング部門においては、収益基盤の強化と合わせて適時に採用を行ってまいります。

 

③認知度の向上

 当社は、これまで広告宣伝活動に頼らず、当社が持つWebマーケティング技術及び提供サービスの機能優位性に拠る形での顧客の獲得を図って参りました。その結果として、現在、幅広い業種の企業に当社サービスを導入頂き、継続的な取引による顧客基盤の構築を実現することができていると考えております。

 しかしながら、事業の更なる拡大を図るにあたり、当社ブランド及びサービスのより一層の確立が重要となるため、広告宣伝及びプロモーション活動による認知度の向上が重要な課題であると認識しております。

 

④開発体制の強化

 当社のサービスは高度な処理能力などが求められるため、専門性の高い優秀な開発部門の人材の確保及び育成をすることで、サービスの品質向上に取り組んでまいりました。

 しかしながら先進的な技術開発力を継続して持ち続けることは容易ではなく、継続的な人材の確保及び開発プロセスの改善、社内におけるノウハウの共有や教育訓練等が重要な課題と認識しております。

 

⑤ビッグデータの蓄積・解析体制の強化

 当社のサービスに連携された顧客のGoogleアナリティクスのデータは日々データベースに蓄積され、それらを解析することで顧客へ高品質なサービスを提供しております。

 顧客へさらなる付加価値及び新たなサービスを提供するためには、それらのビッグデータに基づき、AI技術を駆使したより高度なデータ活用を行っていくことが重要な課題と認識しております。

 引き続き、有識者と顧問契約を締結し、適宜情報交換を行うことでビックデータの蓄積・解析体制の強化に努めてまいります。

 

⑥事業上のパートナー企業との提携の強化

 当社は、提供サービス「AIアナリスト」を自社の販売部門から直販することで顧客基盤を構築してまいりました。

 今後「AIアナリスト」及びその周辺サービスをさらに拡販・成長するためには、事業パートナーとの提携の強化が重要な課題と認識しております。具体的には、当社がまだリーチできていない顧客層をすでに保有している販売パートナーや、「AIアナリスト」の機能で提案されるサイトの改善提案を元に実装・実行等を行うソリューションやサービスを持つパートナーとの提携強化に努めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。また当社のコントロールできない外部要因や必ずしもリスク要因に該当しない事項についても記載しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、リスク回避あるいは発生時に迅速に対応する所存ですが、当社の経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 

(1)市場など自社を取り巻く環境に関するリスク

①業界市場について

 当社が事業を展開する国内DX市場及び国内AIシステム市場は成長を続けております。当社はこの市場成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、サービスの提供・拡販を図っております。

 しかしながら、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合には、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社が同様のペースで順調に成長しない可能性があります。さらに、市場が成熟していないため、今後、大手企業による新規参入等により市場シェアの構成が急激に変化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②競争環境の激化について

 当社は、新規参入や新製品の普及など競争環境の激化を重要な課題として認識しております。DX市場の拡大に伴い、当社の属する市場に新規参入者が増えた場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は独自データの蓄積などを通じて、こうした脅威の軽減を図っています。具体的には、Googleアナリティクスを通じたアクセス解析データ等のビッグデータと、その分析から生まれる改善施策の成否といったノウハウを蓄積しております。

 

③Google Inc.の動向について

 当社の「AIアナリスト」等はGoogle Inc.が提供するGoogleアナリティクスと連携してサイトデータを取得し、データ解析をするサービスとなっております。当社は、継続的により良好な関係の維持に努めておりますがGoogle Inc.の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④法的規制について

 現在のところ当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、近年インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきております。今後、Cookieの使用の制限など、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、事業運営に制約を受けることで、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤技術革新等について

 当社が事業展開しているインターネット関連市場では、情報技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが求められております。当社としても、技術革新に応じたシステムの拡充・改善及び事業戦略の修正などを迅速に行う必要があるものと考えております。そのため、当社はアジャイル開発(*)を行うことで、迅速にシステム開発を行い機能の追加及びユーザビリティを強化する体制を敷いております。

 しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、その対応に係る追加のシステム開発費用が発生する可能性がありますが、システム開発等の適切な対応に支障が生じた場合には、各サービスにおける競争力の低下及び顧客の流出等を招く可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(*)アジャイル開発とは、少人数の開発チームが特定機能の開発といった小さく切り分けたゴールの達成のために作業を進める体制をとり、納品を繰り返す開発スタイル。これまでのウォーターフォール型の開発では、最初に仕様を事細かに決めるので、開発を開始したのちの仕様変更には柔軟に対応できなかった。

 

⑥システム障害・不具合について

 当社の事業はインターネットを利用しているため、自然災害、事故、不正アクセスなどによって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能などのシステム障害が発生する可能性があります。当社は、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じておりますが、これらの対策を講じているにも拘らず、障害が発生した場合には、当社に直接的損害が生じるほか、当社のサーバーの作動不能や欠陥等に起因する取引の停止等については、当社のシステム自体への信頼性の低下を招きかねず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ビジネスモデル等の自社の事業に起因するリスク

①特定経営者への依存について

 当社の代表取締役社長である大淵亮平は、当社設立以来、当社の事業に深く関与し、デジタルマーケティングに関する豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務執行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 同様に当社の取締役インキュベーション本部長である垣内勇威は、創業初期から当社の事業に深く関与し、デジタルマーケティングに関する豊富な知識と経験を有しており、研究開発および新規事業の立案やその実行に際して重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務執行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②新規事業について

 当社では今後、市場のニーズにあったサービスをいち早く投入し、新規事業を立ち上げ続けることが重要な課題と認識しており、特に「AIアナリスト」をプラットフォームとしたストック型の収益を安定的に獲得することができるサービスの開発を継続的に行い、さらなるステップアップを視野に入れた事業の収益性向上を目指してまいります。

 しかしながら、各新規事業・サービスは構想段階であり、結果的に実現しない又は実現したとしても十分な収益が獲得できず撤退する可能性があります。当社といたしましては事前に十分な検証を行った上で開発等を開始する方針ではありますが、結果的に新規事業に失敗した場合、コストのみが計上されることから当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③単一事業であることについて

 当社の売上は、「AIアナリスト」及びその関連サービスで構成されており、単一事業となっております。当社が属するDX市場の成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、当該市場の成長が鈍化するような場合、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④特定サービスへの依存について

 当社の売上高全体に占める「AIアナリスト」及びその関連サービスを含むプロダクト事業の占める割合が高く、その販売を拡大させることによって当社の業績が向上する見通しであり、同サービスに依存しております。

 収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、サービスの拡大や、新たに当社の柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおりますが、同サービスが顧客のニーズと乖離した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤LTV(顧客生涯価値)について

 当社はDXプラットフォームを提供するため、顧客が当社のプラットフォーム上で当社に対して生み出す収益が、当社がその顧客を獲得するのに費やすコストをどれだけ上回るかが投資リターンを図るうえで重要であると認識しております。そのため、顧客1社当たりの累積売上高であるLTV(顧客生涯価値)が重要と認識しております。当社は、新規サービスの投入および既存サービスの機能強化を通じて、アップセル・クロスセルによる特定期間における売上高の増大および契約継続率などを見ながら、LTV(顧客生涯価値)の維持・向上を図っていきます。しかしながら、何らかの施策の見誤りやトラブル等で特定期間の売上高または契約継続率が著しく低下した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

LTV(顧客生涯価値)の推移

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⑥プラットフォームビジネスにおける先行投資について

 当社が展開する「AIアナリスト」を中心としたプラットフォームビジネスは、開発人員及び営業人員の採用、広告宣伝活動等の先行投資を必要とする事業であり、結果として当社は創業以来2020年2月期まで営業損失を継続して計上しておりました。

 今後も、より多くの顧客の獲得を目指し、開発や営業などにおける優秀な人材の採用・育成を計画的に行うとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・プロモーション活動、顧客獲得のためのマーケティングコスト投下などを効果的に進め、売上高拡大及び収益性の向上に向けた取り組みを行っていく方針であります。しかしながら、想定どおりの採用・育成が進まない場合、マーケティングPR等活動の効果が得られない場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

 当社では、役員、従業員、社外協力者等に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は807,000株であり、発行済株式総数6,892,000株の11.7%に相当しております。

 

⑧情報管理体制について

 当社では、業務に関連して多数の顧客の情報資産を取り扱っております。そのため当社は、「情報セキュリティ管理規程」を制定し、アドミニストレーション統括部の管掌のもと、情報の秘密区分指定と区分ごとの保管方法等を定めるほか、役職員に対する情報セキュリティに関する定期的な教育研修を実施する等、情報管理体制の強化に努めております。また、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格であるISO27001の認証を取得しており、これに沿って、情報セキュリティ基本方針を策定するとともに、情報セキュリティ委員会を定期的に開催しISMSの適切な構築・運用についての審議を行っております。

 しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨システム開発について

 当社は、システムに関わる投資・開発を継続的に行っております。当社の開発したサービスに不具合が生じた場合や、連携しているツールの仕様が大きく変わった場合、開発人員の獲得が進まないために開発が予定どおりに進まない場合など、利用者が損害を被った場合は、損害賠償の支払などにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩知的財産権について

 当社による第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪内部管理体制の強化について

 当社は、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。今後は人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、事業の拡大ペースに応じた内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫コンプライアンス体制について

 当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため当社は、「リスク・コンプライアンス管理規程」を制定し、当該規程に基づきリスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催して全社的なコンプライアンスに関する事項の審議・検討を行うほか、定期的に社内研修を実施し、コンプライアンスに関する役職員の意識向上を図っております。しかし、これらの取り組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、現在当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することにより、更なる事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながると考えております。

 将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

⑭新型コロナウイルス等の感染症の蔓延に関するリスク

 当社は、新型コロナウイルス等の感染症の蔓延によるDXの重要性が増すことにより、中長期的には恩恵を享受する事業を展開しております。しかし、そうした感染症の蔓延により、国内の経済活動の停滞に伴い、店舗の休業などを余儀なくされるなど事業に甚大な影響を受ける顧客が一部おり、そうした顧客の減少により、一時的に当社の成長スピードが鈍化する可能性があります。特に「AIアナリストAD」については、企業のマーケティングコストの予算に係る影響を受けるため、景気の低迷に伴う予算削減等により、当社の成長スピードが鈍化する可能性があります。

 また、この新型コロナウイルス感染症の収束時期や新たな感染症の蔓延を正確に予測することは困難であり、感染症の蔓延が長期化または頻発した場合には、当社の事業への影響が長期化する可能性があります。

 

⑮ベンチャーキャピタル等の株式所有割合に伴うリスク

 当事業年度末現在でのベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の保有当社株式数は2,085,000株であり、発行済株式総数6,892,000株の30.3%に相当しております。

 このベンチャーキャピタル等が保有する当社株式は、キャピタルゲインを目的に市場で売却される可能性があり、当社株式の株価形成に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して206,665千円増加し、711,178千円となりました。これは、流動資産が107,960千円増加したこと、固定資産が98,705千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に株式の発行により現金及び預金が72,879千円増加したこと、業務拡大により売掛金が23,111千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に既存サービスの改良完了及び公開によりソフトウエアが61,253千円増加したこと、繰延税金資産が38,592千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して26,408千円増加し、244,630千円となりました。これは、主に流動負債が55,458千円増加したことによるものであります。流動負債の増加は、主に業務拡大により未払金が28,489千円増加したこと、未払消費税等が19,267千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して180,257千円増加し、466,547千円となりました。これは、株式の発行より資本金が48,300千円、資本準備金が48,300千円増加したこと、当期純利益の計上により利益剰余金83,657千円増加したことによるものであります

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の懸念が台頭するなか、対面によるマーケティング及びセールスの活動が制約され、多くの企業が新しい社会への対応を迫られています。当社ではその変化に各企業が対応できるよう、マーケティング及びセールスのDXの実現の支援を進めております。

当社では、企業のDXの実現性を高めるために、「AIアナリスト」や「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」などを含む「AIアナリスト・シリーズ」を組み合わせ、顧客にワンストップで課題解決のためのソリューションを展開してまいりました。また、DX実現に向けて情報を求める企業に向けて、DX実現の手法に関する調査・提言等を書籍の出版や大手メディアへの寄稿、自社主催の大型オンラインイベントなど多面的に発信するなど、積極的な営業・マーケティング活動を行いました。

また、「DXコンサルティング」は、コロナ禍により、DXに本格的に取り組みたいという企業に対して戦略立案フェーズから支援を行う案件が増加しました。

当事業年度には、a.DXプラットフォーム機能の追加・強化、b.バリューチェーンの拡張、c.パートナー連携を通じた、ケイパビリティ獲得によるサービス強化を継続的に行ってまいりました。

a.DXプラットフォーム機能の追加・強化のため、「AIアナリスト」をPDCA全体を支援するマーケティングDXプラットフォームとして、2020年2月に大幅なアップデートを行いました。具体的には、これまでのコア機能であった改善提案に加え、施策管理や施策の効果検証の追加、レポート機能の強化を行っております。これにより、顧客のデジタルマーケティングの業務フローに寄り添うプロダクトへと「AIアナリスト」は進化しております。

b.バリューチェーンの拡張のため、当社プロダクト「AIアナリスト」のもつWebサイト内のデータに加え、その前段階となる集客領域であるWeb広告データの保有・分析を強化しております。そのひとつとして「AIアナリスト」は、Googleの検索連動型広告等の出稿が行える「Google広告」やGoogle、Yahoo!JAPAN、Facebook等のWeb広告媒体向けの出稿を横断的に管理できるツール「Shirofune」との連携を開始しました。また、「AIアナリスト」による提案の改善施策の質向上のために、これまでユーザーもしくは当社カスタマーサクセスチームが行っていた類似ページのグルーピングをAIが自動で行う機能の開発・実装を行いました。これにより、提案の質の向上だけでなく、プロダクトの自動化領域が広がったことで分析工数のさらなる削減が実現しました。

c.パートナー連携としては、「Go To トラベル事業」により一層DXの推進の必要性が高まった観光業向けに、ポストコロナと観光業におけるDXを見据え、株式会社JTBコミュニケーションデザインと当社の共同開発で、「AIアナリスト」の分析内容などを観光業に特化したものに変更した「AIアナリスト forツーリズム」の提供を開始しました。

 

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高712,016千円(前年同期比46.5%増)、営業利益71,697千円(前事業年度は営業損失140,979千円)、経常利益56,861千円(前事業年度は経常損失141,715千円)、当期純利益83,657千円(前事業年度は当期純損失142,004千円)となりました。

なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

当社事業のKPIである登録サイト数、1顧客から得る売上高である1社当たり理論LTV(顧客生涯価値、1社当たりの12ヶ月平均初期売上+1社当たり平均リカーリングレベニュー/社数ベースの12ヶ月平均解約率)、売上総利益率は以下のように推移しております。

登録サイト数は、当事業年度において34,623サイト(前年同期比10.0%増)となっております。これは、上述の書籍の出版や大手メディアへの寄稿、自社主催の大型オンラインイベントなど多面的に発信するなど、積極的な営業・マーケティング活動を行ったことが主な要因として増加しました。

LTV(顧客生涯価値)は、当事業年度において3,445千円(前年同期比38.9%増)となっております。これは、クロスセルへの取組み強化と解約率の低減が主要因として増加しました。クロスセルは主に「AIアナリストAD」、「AIアナリストSEO」の利用を既存顧客に積極的に働きかける営業活動を行う等の取組みを行った結果増加しております。解約率は、DXプラットフォームとしてのアップデートとクロスセル率の向上により、顧客の業務プロセスにより貢献・定着することができた結果低減しております。

売上総利益率は、当事業年度において86.4%(前年同期比2.0ポイント減)となっております。これは主に「AIアナリストAD」「AIアナリストSEO」の売上が拡大したことにより売上総利益率が低下した一方、売上総利益率の高い「AIアナリスト」の売上が堅調に推移したため、売上総利益率は前期と同様の水準を維持しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ82,879千円増加し、当事業年度末には446,801千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は110,095千円(前事業年度は169,874千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益が56,861千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が19,380千円、未払消費税等の増加額が19,267千円あった一方で、売上の増加に伴い売上債権の増加額が23,111千円あったことによるものであります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は64,860千円(前事業年度は36,847千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が73,937千円あったことによるものであります

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は37,644千円(前事業年度は123,080千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入が96,600千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が51,810千円あったことによるものであります

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自2020年3月1日

至2021年2月28日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DX事業

712,016

146.5

 (注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。