第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「私たちは人々との出会いを大切にし、常に新たなチャレンジと実現化の努力により生きがいと豊かさを提供し、健全な発展を通して社会に貢献する経営を目指します。」を経営理念とし、「医薬品」「健康食品」「化学品」の3つの事業で培ってきた多彩な製造・加工技術を糧にし、環境に配慮した安心・安全な製品・サービスを提供し続けることをミッションに掲げ、事業を展開しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は中期的には売上の拡大と併せて、より収益力を高めていくことが必要と考えております。3事業それぞれの顧客ニーズ、市場動向を見据えた新たな取り組み、当社保有設備を活用した付加価値の高い製品拡販、海外展開を事業拡大の施策として売上拡大を目指します。併せて生産効率の向上を図りながら、売上高総利益率、売上高経常利益率の向上を目指す方針であります。

 

(3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等

現在の国内及び世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により経済活動に深刻な影響を及ぼしており、当面厳しい状況が続くと見込まれます。そのような環境の下、当社は不採算事業の見直しにより、医薬品・健康食品・化学品の主力3事業に注力する体制を整えてまいりました。これら3事業に経営資源を集中し、問題解決型の企業として技術力の向上を続けるとともに、新たな成長エンジンを創出していくべく、以下の施策に取り組んでまいります。

 

① 医薬品事業

輸入原薬においては、引き続き調達先の発掘、品質管理や薬事対応のサポートによる採用品目の増加と、採用実績のある原薬の横展開により売上拡大を図ってまいります。自社での原薬合成・受託加工に関しては、生産部門を本社工場へ集約、開発部門を埼玉開発センターに集約し、開発・生産体制を整えました。現在、原薬合成の開発依頼はもとより、精製・粉砕・異物除去等の受託加工案件など、様々なリクエストがございます。社内資源を最大限活かしつつ、各開発案件を着実に立ち上げて取引の拡大につなげてまいります。

 

② 健康食品事業

健康食品事業においては、大型OEM案件の終了や不採算事業の縮小により、減少した売上の回復が急務と考えております。これまでのスティックタイプに、より容量の大きいTパウチ・ショットタイプも加え、積極的な営業活動を行っております。健康食品事業も「健康」と「美容」関連のテーマを中心に数多くの開発案件依頼をいただいております。従来型の顧客の要望に応じた製品企画に加え、本社所在地である九州の魅力ある原料を取り扱う取引先とも連携しながら、「訴求力の高い開発製品」の提案にも力を入れてまいります。

 

③ 化学品事業

化学品事業では、強みである液体処理技術を活かすため、製商品の強化は重要なものと考えております。近年、技術力の高い海外イオン交換樹脂メーカーとの関係を深め、製品の共同開発に取り組んでいます。既存品の代替や特殊用途に対応する製品など、顧客ニーズを満たす製品を開発し、案件獲得を進めてまいります。注力する分野として、今後需要の増加が見込まれるエネルギー産業や精密機器産業向けのイオン交換樹脂の拡販を強化してまいります。

 

 

④ 開発案件立ち上げのスピードアップに向けた連携

各事業での開発案件の立ち上げを迅速に行うため、営業・開発・生産・品質保証の各部門のさらなる連携強化が必要と考えております。品質管理体制、量産化技術を速やかに連動させながら早期の立ち上げ及び安定供給に努めてまいります。

 

⑤ 生産技術の向上

生産の効率化に向けての改善を更に進めてまいります。2022年5月期は、省人化を目的として、健康食品ゼリー製造ラインの一部自動化に伴う設備投資を予定しております。

 

⑥ 従業員の意欲、能力の向上

当社は、従業員の目標設定、業績等の査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、より充実した教育研修の実施により人材を育成していく体制を強化していくことも課題であると考えております。

 

 

2 【事業等のリスク】

以下において、当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

(1) 原材料・商品の仕入について

医薬品原薬は、それを使用する医薬品メーカー等が製造する特定の製剤の仕様に応じて主に海外から継続的に調達しております。当社の原薬輸入及び原材料仕入に係る価格が市況変動及び為替相場等の事情によって急激に変動した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外原薬メーカーの経営状態、販売方針、供給体制、許認可及び現地政情等の影響により、原薬の調達が遅延、難航あるいは不可能となった場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場及び顧客動向について

医薬品事業に関して原薬及び製剤の販売量は当該製剤の市場での需要変動、競合製品の動向等による影響を受ける可能性があります。商材の特性上特定の相手先との取引に依存する割合が比較的高く、2021年5月期における当社の売上高の24.5%不二化学薬品株式会社(医薬品卸売業、資本金5,000万円、売上高22,110百万円(2020年9月期))に対するものであります。顧客の販売戦略の変更や生産・在庫調整等が取引額に大きく影響する可能性があります。また、当社の取引先が企業再編、あるいは資本変更等により他社の傘下に入ること等が発生した場合には、その親会社等の意思決定に取引先動向が左右されることから取引額が減少し、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。健康食品事業に関しては大手健康食品メーカーだけではなく大手医薬品メーカーが健康食品業界に新規参入してきており、ガリバー企業の影響で当社の販売機会喪失につながった場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。化学品事業に関しては中国や韓国からの安い水処理商材が日本へ輸入されております。これらが製品技術を付けてきた時に一気に価格競争が激化し、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 許認可及び法的規制に関するリスク

当社は医薬品原薬の販売に関して薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、薬機法施行規則及びそれらに関するGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)省令等の規制を受けており、主に次頁の承認・許認可等を受けております。当社は、当該許認可等を受け、また維持すべく諸条件及び関係法令の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可等の取消又は停止等の行政処分事例は発生しておりません。しかし、意図せぬ法令違反等によりこれらの許認可に対し行政庁より許可の取り消しや業務の停止等、不利益処分が下された場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす恐れがあります。

また、健康食品そのものを単独に規定する法律は存在せず、健康食品の明確な定義もありません。しかしながら販売者が、健康食品等を特定疾病や身体機能への効果を標ぼうし販売すると、医薬品等を規定する「薬機法」における無許可無認可医薬品の販売としてみなされることになります。その他の法的規制としては、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上・増進を図る見地から、食品の規格・添加物・衛生管理・営業許可を定めた「食品衛生法」、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めることにより公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を確保することを目的とした「不当景品類及び不当表示防止法」、健康増進の総合的な推進に関した基本的な事項を定めるとともに国民の健康の増進を図るための措置を講ずることを定めた「健康増進法」、食品の安全性の確保に関し、基本理念及び施策の策定に係わる基本方針を定め、関係者の責任及び役割を明らかにすることにより、食品の安全性の確保を総合的に推進することを目的とした「食品安全基本法」があります。

当社としては、法律を遵守するよう最善の注意と努力を行うとともに、監督諸官庁に対する報告及び照会・指導の要請並びに立会いの受け入れを行い、指導内容に対しては迅速に改善をすることで対応しております。しかしながら予期しない法律又は規制の変更及び現行の法的規制における法令の解釈・適用によって新たな対策が必要になった場合には、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社の主要な承認・許認可等は以下のとおりです。

許認可等の名称

所管官庁等

有効期間

主な許認可取消事由

医薬品製造業許可証

福岡県

5年

薬機法第75条第1項

医薬品販売業許可証

福岡県/東京都

6年

薬機法第75条第1項

向精神薬輸入業者免許書

厚生労働省

5年

麻薬及び向精神薬取締法第51条

毒物劇物一般販売業登録票

福岡県/東京都/茨城県

6年

毒物及び劇物取締法第19条第4項

毒物劇物製造業登録票

厚生労働省

5年

毒物及び劇物取締法第19条第4項

毒物劇物輸入業登録票

厚生労働省

5年

毒物及び劇物取締法第19条第4項

菓子製造業(パン以外)

福岡県

6年

食品衛生法第55条、第56条

清涼飲料水製造業

福岡県

6年

食品衛生法第55条、第56条

JISマーク表示制度認証

一般財団法人日本品質保証機構

3年

JIS Q 1001 15

 

 

(4) 品質に関するリスク

当社は、取り扱う医薬品原薬や製剤、健康食品の製造の品質に関して、取扱及び生産工程での管理徹底、継続的な研究開発によりその維持・向上に取り組んでおり、日本国内のGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及び食品GMPの品質基準に適合する生産体制を備えております。しかしながら、外的要因等の影響によりこうした生産体制の維持が困難となり製品の品質低下が生じた場合、社会的信用力や営業上の競争力が低下することにより、当社の経営成績及び財政状態は重大な影響を受ける可能性があります。

当社では、品質管理基準等に適合するよう細心の注意を払い品質保証に取り組んでおりますが、原薬供給もしくは開発製造、受託製造を行う医薬品に関して品質保証の取組みの範囲を超えてこれらの事態による販売中止、製品回収もしくは損害賠償等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、医薬品の発売後に予期していなかった副作用が発生したり、製造過程での製品への異物混入等が発見される、あるいは薬機法に基づく再審査や再評価において、品質、有効性もしくは安全性に関して不適当と評価される可能性があります。

輸入供給する原薬についても、特に海外における原薬製造の部分においては日本国内の種々の基準や規制に適合する製品が供給されるよう、継続した製造工程や製造環境等のコントロールが不可欠であり、納品後に異物混入が見つかるなどして回収を余儀なくされる場合があります。

 

(5) 薬価改定等の影響について

医療用医薬品は政府の制定する薬価基準により保険価格が定められており、定期的に実施される薬価改定により販売が好調な品目等において薬価の引き下げ等が行われた場合の影響が予想されます。薬価改定後には、医薬品製造販売における販売価格低下、利益幅減少等の影響や、原薬販売における需要変動や販売価格低下、利益幅減少等の影響が生じ、政府による医療保険制度抜本改革と併せ当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 競合に関するリスク

当社では、医薬品事業について自社で分析を行う設備を有しており、日本国内の品質基準への対応の面で取引先からも相応の評価を得ております。また、医薬品製造販売においても少量多品種生産に対応可能な工場を保有することから製造受託において競合他社に比べ優位な部分もあるものと考えております。しかしながら、競合他社の分析設備導入や同種工場新設によっては当社の優位性が損なわれ経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

健康食品事業については、スティックゼリーの製造において、高速充填機を複数台所有し、中規模・大規模の案件にも対応できる体制を有しております。しかしながら、競合他社の設備導入等による増産対応によっては当社の優位性が損なわれ経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

化学品事業についてはイオン交換樹脂の粉砕・乾燥設備を保有しているのは国内でも稀であり、長年の加工実績により培われた技術は直ぐに真似出来ない領域まで来ています。しかしながら、一般的な水処理用途(純水製造等)で使用される製品については、特別な技術を必要とせず価格面による優位性が第一となり、取り扱う競合他社も多く、取引額の減少から経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権に係る紛争に関するリスク

物質、製法、用途、製剤等に関する特許権等、他者の権利の存否が製品開発に大きな影響をもたらすため、当社は特許権を中心とした知的財産権に関し調査を実施しております。しかしながら、当社と知財権者との見解の相違から、無効審判請求の申立を含む法的紛争に発展する可能性(当社が原告)や特許抵触の疑義があることを理由に法的紛争に発展する可能性(当社が被告)が想定され、そのような場合には判決の内容により当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 設備・固定資産に関するリスク

当社は、固定資産を多数所有しており、経済情勢の変化等に伴ってそれらの資産価値が著しく変動し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

また、当社が保有する製造設備の中には、導入から長期間が経過した資産も含まれます。適時適切な修繕・メンテナンス・更新等を計画実施しておりますが、老朽化による予期せぬ機器不具合や不慮の故障により製造スケジュールに影響が生じる可能性があります。

設備導入に際しては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な検討を行っておりますが、新規開発品目の販売開始時期の遅延、又は販売予定数量の減少等が発生し、当初の事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 研究開発に関するリスク

当社は、取引先からの開発依頼案件、受託案件に関する研究開発活動、製法や品質の分析活動を行っております。これらの活動は、製造販売、業務受託に先行して開始する場合が多々ありますが、必ずしも見込んだ収益獲得につながらない可能性があり、これらの活動を通じて過大な先行投資が行われた場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、新規開発商品を市場に出す際に、承認手続き等が必要な場合には計画的に対応しておりますが、当社又は取引先メーカー等において計画どおりの承認取得ができない場合には市場への供給に遅延が生じ、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) 自然災害、事故等に係るリスク

当社の工場拠点は福岡県、茨城県にあり、自然災害等で両拠点同時に被害を受ける可能性は低いと考えられます。しかし、医薬品、健康食品、化学品全ての生産拠点は福岡県に集中し、当社の工場は全てにおいて直ちに代替が効くものではないことから、災害や事故等が発生した場合、製造設備等への損害、製造ラインの停止、取引先や工場近隣住民への補償等により、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症に対しては、当社では、従業員の安全確保のため、国内の感染状況に応じ、在宅勤務や時差出勤の実施、事務所内のソーシャルディスタンスの確保、不急の出張・外出の自粛、Web会議等の活用、手指の消毒・マスク着用の推進、検温等の体調管理など感染拡大防止に向けた取り組みを実行し、安定した製品・サービスの提供に努めておりますが、従業員に感染者が発生した場合、一時的に工場の操業や営業活動の停止をするなどの対応が必要となる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化により、取引先の業績悪化や方針変更が発生した場合、開発案件の停止や取引の遅延、縮小などで、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 金利変動について

当社では、金融機関からの借入によって製造設備、運転資金その他必要な資金を調達しておりますが、有利子負債の金額は売上高に比して多額なものであると認識しています。今後、市場において金利が上昇した場合には当社の借入金利も上昇することが予想され、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の借入金には財務制限条項が付されている契約があり、これらには純資産の減少及び経常損失の計上に関する財務制限条項が付されております。万一、当社の業績が悪化し、財務制限条項に抵触した場合には、当該契約による借入金の返済を求められる結果、当社の財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 売掛金回収に関するリスク

当社では、取引先各社との売掛取引に際しては十分な与信管理の元で販売を行っておりますが、予期せぬ取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 税務上の繰越欠損金について

当社は、過去の子会社吸収合併により、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の事業が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、法人税、住民税及び事業税の金額が増加することとなり、当社の経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 安全性確保及び環境保全に関するリスク

製造、分析、研究の過程等で使用し、又は発生する化学物質の中には、人体、生態系、その他環境に悪影響を与える可能性のある物質も含まれます。当社は、関連諸法令の遵守を徹底すると共に、有害物質の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し、土壌汚染、水質汚濁及び悪臭その他環境被害の発生防止に取り組んでおります。しかしながら、取り扱う物質の特性上予期し得ない現象や結果が発生する可能性も否定はできず、万一事業活動に関係する環境問題が発生した場合には、損害賠償義務の発生やブランドイメージの毀損等経営に影響を与える結果となる可能性があります。また、関連諸法令の改定に伴って多額の対策費用が発生する場合等においても、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 人材確保について

当社は今後の事業継続・拡大のため質の高い人材を継続的に確保していくことが重要な課題であると認識し人材確保に注力しておりますが、周辺情勢の変動により人材を十分に確保できなかった場合には当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16) 機密情報の管理に係るリスク

当社は、各事業における業務受託等において、取引先の生産計画や新製品の開発に関する機密性の高い情報を取得する場合があります。当社では、機密情報の授受に際し秘密保持契約締結を徹底しているほか、従業員教育やIT統制を通じて機密情報の管理の徹底を図っておりますが、万が一情報漏洩等が発生した場合には、当社の信用の失墜等により、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 大株主のリスクについて

当社の筆頭株主である村山哲朗の本書提出日現在での議決権所有割合(自己株式を除く)は30.01%であります。なお、同氏は2021年8月27日開催の株主総会にて当社の代表取締役会長を退任し、相談役に就任しております。議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針であります。しかしながら、何らかの事情によって、同氏が当社株式をやむを得ず売却することとなった場合、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、引き続き厳しい状態となりました。1回目の緊急事態宣言の解除後、緩やかに持ち直しの動きがみられつつありましたが、感染の再拡大による緊急事態宣言の再発出や変異株の発生など、依然新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立たず、先行き不透明な状態が続いております。ジェネリック医薬品業界においては、2020年9月までに後発医薬品の使用割合を80%とする政府目標を掲げ、普及が進められてきました。引き続き後発品の使用促進に取り組んでいくとともに、後発品の信頼性向上のため、さらなる管理体制強化、安定供給確保が求められてきております。

このような環境下で、当社においても感染拡大防止に配慮しつつ事業活動を継続してまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響で進捗の遅れや受注の減少があった案件もありましたが、一方で影響を受けていないもしくは好調に推移した案件もあり、全体として新型コロナウイルス感染症拡大による売上への影響は軽微でありました。

その結果、当事業年度における経営成績は、売上高4,942,963千円(前年同期比6.4%減)、営業利益369,336千円(前年同期比22.7%増)、経常利益339,322千円(前年同期比21.9%増)、当期純利益180,714千円(前年同期比425.5%増)となりました。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

なお、当事業年度より非連結決算に移行したことから、セグメント別の業績について、前事業年度との比較は行っておりません。

 

① 医薬品事業

採用実績のある原薬の横展開により売上が増加した一方、新型コロナウイルス感染症対策の影響で花粉症等の抗アレルギー薬用原薬の販売が減少したこと、原料変更申請の承認が遅れ販売が後ろ倒しになった原薬があったことなどから、売上高は減少しました。しかし、前事業年度に埼玉工場を閉鎖したこと及び合成工場の減損損失を計上したことにより製造経費が減少したため、売上総利益率は改善しました。

その結果、医薬品事業における売上高は2,487,426千円となり、営業利益は474,655千円となりました。

 

 

② 健康食品事業

前事業年度に販売終了した大口OEMゼリーと撤退した錠剤関連製品の影響が大きく、売上高は大きく減少しました。前述の大口OEMゼリーを除いたゼリー製品については、通信販売を行っている顧客向けの製品を中心に好調に推移しました。売上高は減少しましたが、利益率の低い製品の減少や外注加工費などの製造経費の減少により、売上総利益率は改善しました。

その結果、健康食品事業における売上高は799,637千円となり、営業損失は44,182千円となりました。

 

③ 化学品事業

新型コロナウイルス感染症の影響による装置納入の延期や保留などもありましたが、イオン交換樹脂の分野においては、既存の医薬品製造向け、半導体関連向けの案件や新規案件獲得が好調に推移しました。

その結果、化学品事業における売上高は1,655,899千円となり、営業損失は61,137千円となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当期末における総資産は、前事業年度末に比べて173,642千円減少し、4,612,324千円となりました。

 

① 流動資産

受取手形が141,393千円減少、売掛金が49,521千円減少した一方、現金及び預金が119,423千円増加、仕掛品が47,393千円増加、商品及び製品が44,612千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて24,669千円増加し、3,494,514千円となりました。

 

② 固定資産

建物が107,600千円減少、機械及び装置が95,891千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて198,312千円減少し、1,117,810千円となりました。

 

③ 流動負債

短期借入金が800,000千円減少、1年内返済予定の長期借入金が203,072千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて1,064,886千円減少し、2,114,923千円となりました。

 

④ 固定負債

長期借入金が202,480千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて190,504千円減少し、1,163,399千円となりました。

 

⑤ 純資産

その他資本剰余金が600,629千円増加、繰越利益剰余金が180,362千円増加、自己株式の処分131,138千円などにより、前事業年度末に比べて1,081,748千円増加し、1,334,001千円となりました。

その結果、自己資本比率は28.9%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当社は、前連結会計年度においては連結キャッシュ・フロー計算書を作成しており、単体のキャッシュ・フロー計算書は作成していないため、前年同期との比較分析は行っておりません。

当事業年度における現金及び現金同等物は1,000,373千円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、487,669千円の収入となりました。これは主に、棚卸資産の増加額121,459千円、その他負債の減少額101,679千円などによるキャッシュの減少、売上債権の減少額202,616千円、税引前当期純利益199,616千円、減損損失136,633千円、減価償却費124,322千円などによるキャッシュの増加によるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、57,734千円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49,040千円などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、310,512千円の支出となりました。これは主に、短期借入金の減少による支出800,000千円、長期借入金の返済による支出405,552千円、自己株式の処分による収入731,768千円、株式の発行による収入166,345千円などによるものです。

 

(4) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

医薬品事業

612,967

健康食品事業

594,463

化学品事業

780,385

合計

1,987,816

 

(注) 1.金額は、製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前事業年度については記載しておりません。

 

(5) 受注実績

当社は一部受注実績の記載になじまない商材があるため、当該記載を省略しております。

 

(6) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

医薬品事業

2,487,426

健康食品事業

799,637

化学品事業

1,655,899

合計

4,942,963

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第75期事業年度

(自 2020年6月1日 

 至 2021年5月31日

金額(千円)

割合(%)

不二化学薬品株式会社

1,210,683

24.5

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前事業年度については記載しておりません。

 

 

(7) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

当事業年度における経営成績の状況の概要は「(1)経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります

 

・売上高

当事業年度における売上高は、4,942,963千円と前年同期と比べ337,343千円の減収6.4%減)となりました。医薬品事業での、変更申請の承認遅れによる売上の後ろ倒しや、健康食品事業での、大型OEM案件の終了、錠剤関連製品の販売縮小による売上減少が大きく影響しました。

 

・売上総利益

当事業年度における売上総利益は、1,651,568千円と前年同期と比べ66,676千円の増益4.2%増)となりました。3事業とも前年同期と比べ売上総利益率は改善しました。医薬品事業においては、埼玉工場の閉鎖や前事業年度に行った減損による経費の減少、健康食品事業においては、収益性の低い製品が減少したことや製造量の減少に伴う外注加工費等の経費の減少、化学品事業においては、収益性の高い製品の販売が好調であったことが影響しました。

 

・営業利益

当事業年度における営業利益は、369,336千円と前年同期と比べ68,218千円の増益22.7%増)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、旅費交通費を中心に経費が減少しました。当事業年度においては上場に伴う費用が増加しましたが、販売費及び一般管理費合計は1,282,231千円と前年同期と比べ3,666千円の減少0.3%減)とほぼ前年同期と同等となりました。

 

・経常利益

当事業年度における経常利益は、339,322千円と前年同期と比べ61,037千円の増益21.9%増)となりました。

 

・当期純利益

当事業年度における当期純利益は、180,714千円と前年同期と比べ146,322千円の増益425.5%増)となりました。特別損失として、健康食品事業のゼリー製造設備について減損損失を計上しております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、売上減少、新規案件の獲得減少により、投資回収の可能性が低下したと判断したことによるものです。

 

経営成績等の状況を踏まえた、経営方針及び課題への取り組みについては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析・検討内容については、「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。これらの短期及び長期的な必要資金は自己資金や金融機関からの借入金を中心とし、金融商品等での運用や投機的な取引を行わないことを基本としています。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠1,650,000千円のコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。

 

資金の流動性については、事業計画、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じて外部資金の調達を行うことにより維持していきます。なお、通常時は、月商の1.5倍を目安に現預金の残高を確保することとしております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の課題について

経営者の問題意識と今後の課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等

当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高総利益率、売上高経常利益率を重要指標としております。第75期事業年度は、上記「① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおり、売上は減少したものの、製造経費の減少や製品の売上構成の変化により、売上総利益及び経常利益は増加し、売上高総利益率及び売上高経常利益率も改善しました。今後も原価及び経費の低減を図りつつ、売上の拡大に努めてまいります。

 

第74期事業年度

(自 2019年6月1日

  至 2020年5月31日

第75期事業年度

(自 2020年6月1日

  至 2021年5月31日

売上高(千円)

5,280,306

4,942,963

売上総利益(千円)

1,584,891

1,651,568

売上高総利益率(%)

30.0

33.4

経常利益(千円)

278,285

339,322

売上高経常利益率(%)

5.3

6.9

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社は、セグメントごとに開発部門を置き研究開発活動を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は32,020千円であります。

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。

 

(1) 医薬品事業

医薬品事業では、埼玉開発センターに開発部門を置き、医薬品原薬の製法開発及び受託案件の検討を継続的に行っております。原薬合成の新規案件における製法開発や、粉砕や精製などの加工案件への対応などに取り組み、当事業年度の医薬品事業における研究開発費の額は19,998千円となりました。

 

(2) 健康食品事業

健康食品事業では、本社に開発部門を置き、OEM顧客が要望する機能成分の苦みや臭みなどをマスキングする処方組の検討や試作を行うとともに、消費者ニーズに即した商品やトレンドを反映した商品の開発を行っております。顧客要望の実現化や、賞味期限延長可能な処方の提案などにより、当事業年度は21品目を新規売上につなげ、健康食品事業における研究開発費の額は1,622千円となりました。

 

(3) 化学品事業

化学品事業では、本社に開発部門を置き、イオン交換樹脂等の用途開発や用途開発したイオン交換樹脂等を用いた水処理装置の設計などを継続的に行っております。また、海外メーカーとのイオン交換樹脂の共同開発も継続して行っており、既存製品の代替品や特殊な用途に対応できる製品の開発を進めています。当事業年度には、耐久性に優れた高架橋度イオン交換樹脂(ULシリーズ)を製品化し、引き続き性能向上に取り組んでおります。当事業年度の化学品事業における研究開発費の額は10,399千円となりました。