当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「健康」と「環境」をテーマに社会に貢献することを目指し(パーパス)、「私たちは人々との出会いを大切にし、常に新たなチャレンジと実現化の努力により、社会に貢献する企業を目指します。」を経営理念として掲げております。
投下資本をより有効に活用する観点から、2026年5月を目途に健康食品事業から事業撤退することを決定いたしました。今後は、「医薬品」「化学品」の2つの事業に経営資源を集中させ、チャレンジと技術・ソリューションに価値を置く問題解決型の企業として、持続的な成長を目指します。
(2) 中期経営計画
当社では、2025年5月期を最終年度とする3か年計画『中期経営計画2025』を策定し、長期ビジョンとしての2032年5月期売上高100億円・営業利益率10%以上に向けて、成長に向けた取り組みを強化する3か年と位置づけておりました。
この3年間においては、海外でのインフレを背景に急激に進んだ円安や原材料費や人件費の高騰等の外部環境の変化が生じました。こうした環境変化に対応すべく、為替変動に対応した販売価格の設定や製造コストの低減を図ってまいりましたが、予定していた輸入原薬の新規採用における進捗の遅れや想定を上回る外部環境の変化により、売上高及び営業利益は当初計画に届かず、未達となりました。
一方で、財務健全性を重視した経営を継続した結果、自己資本比率については計画を上回る水準を確保し、また配当性向についても安定的な株主還元を実現し、目標を達成することができました。
これらの結果を踏まえ、2028年5月期を最終年度とする新たな3か年の計画『中期経営計画2028』を策定いたしました。本計画では、「事業の再構築と更なる成長に向けた基礎固め」をテーマに「既存事業の伸長と新市場・新技術へのチャレンジ」「売上増に対応した製造体制構築、製造設備の拡充」「アライアンスの積極活用」「人的資本経営の導入に向けた土台作り」「資本コストを意識した効率的な経営」を柱とし、経営資源の再配分と重点事業の伸長及び将来の成長に向けた投資を進めるとともに、財務戦略においては、引き続き自己資本の充実と資本効率の最適化を両立させ、株主還元についても安定的な配当を維持することで、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
計画の達成状況を判断するための客観的な指標は以下のとおりです。
(注)上記目標値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等
昨今の世界情勢を受け、原薬調達におけるカントリーリスクの懸念は高まっており、医薬品原薬の複数購買化はいっそう進むと考えております。当社においても、多地域からの調達ネットワークを強化し顧客の新たな要望に応えるとともに、既存品の安定供給に向けた施策を実施してまいります。また、メーカーとしての当社の技術と資源を最大限活かし、必要な設備投資を行いながら、お客様からいただいた多くの開発案件を着実に立ち上げ、取引の拡大につなげてまいります。
新規案件の獲得が進み売上は伸長していたものの、原材料費や人件費の高騰に加えて、多様化する開発案件に対するコスト増等により収益改善の限界が見えてきました。そのような状況と、他の成長事業において製造能力増強を目的とした人員や製造スペース・倉庫等の拡充を急ぐ状況を鑑み、当事業より撤退することを決定いたしました。今後は、契約の残る受託製造品を確実に顧客へ届けることに注力するとともに、撤退により確保した人員を含めた経営資源の有効活用を進めてまいります。
③ 化学品事業
競合が多く激しい競争はあるものの、海外・国内共にイオン交換樹脂市場は堅調に成長しております。当社は長年培ってきた液体処理技術を活かし、各々の顧客の抱える課題を解決すべく製商品の開発を強化してまいります。海外のイオン交換樹脂メーカー等との共同開発にも積極的に取り組み、社会課題の解決に資する技術をはじめとした用途開発と、海外を含む新たなターゲット市場の開拓を加速させてまいります。
高品質な製品を安定的に提供するため、品質管理体制の強化は重要なものと考えております。新製品の立ち上げが増加していくなかでも効率的に安定した品質管理を行えるよう、自動化装置等の設備投資を行いながら管理体制の維持・強化に努めてまいります。
新製品の立ち上げや製造量の増加に対応すべく、生産技術の向上に取り組み、工場スペースの有効活用や最適な設備配置、工場インフラの強化など、今まで以上に効率的で安定生産が可能な体制を構築してまいります。
魅力ある企業として持続的に成長するためには、人材への投資とエンゲージメント向上は不可欠だと考えております。当期は、「経営理念」の一部を見直し、加えて、人的資本経営の土台作りとして「大切にする価値観(コアバリュー)」を設定することで上位概念を整理し、企業としてありたい姿を明確にしました。今後は、同時にまとめた各々のポリシー(人材関連の方針)に基づき「採用」「育成」「評価」「職場環境」の仕組みと運用の改善を継続することで、従業員の意欲を引き出し、個々の能力を伸ばし、エンゲージメントを高めることで、企業価値の継続的な成長につなげます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において当社が判断したものであります。
当社は、「健康」と「環境」をテーマに社会へ貢献するというパーパスのもと、医薬品、健康食品、化学品の3つの分野でお客様に様々なサービスを提供しております。「健康」、「環境」というテーマは、サステナブルな社会の実現のために、非常に重要であると認識しており、それらに関連する高品質なサービスの提供が、当社の使命であると考えております。
なお、投下資本をより有効に活用する観点から、2026年5月を目途に健康食品事業から事業撤退することを決定いたしました。今後は、「医薬品」「化学品」の2つの事業に経営資源を集中させ、チャレンジと技術・ソリューションに価値を置く問題解決型の企業として、持続的な成長を目指します。
当社は、サステナビリティに関する取り組みを推進するに当たって、経営会議を主要機関と位置付け、会議のなかでサステナビリティに関する提案や執行状況の報告を各部門の責任者が行い、出席者でその提案や報告内容について協議を行っております。そのなかでも特に重要な事案については、取締役会に付議し、審議を行っております。
また、当社ではリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置しており、これらの委員会を通じて、サステナビリティに関係するリスクの把握及び対応を行っています。
詳細は、「
当社は、「私たちは人々との出会いを大切にし、常に新たなチャレンジと実現化の努力により、社会に貢献する企業を目指します。」という経営理念を掲げており、その担い手である優秀な人材を将来にわたって確保することが不可欠であるため、「優秀な人材の確保」をサステナビリティ関連の重要なリスクと認識しています。そのリスクへの対処の一環として、以下のとおり「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を策定し、働き手にとって魅力的な会社になるべく改善を継続しています。
また、「チャレンジ」「技術・ソリューション」「エンゲージメント」「地域から世界へ」「安心安全」の5つからなる「大切にする価値観(コアバリュー)」を設定し、会社としてどのような価値観を持つ人材を大切にしていくかを明確にしております。
① 人材育成方針
当社では、年齢・国籍・性別等の属性を問わず、優秀な人材を積極的に採用し、継続的な育成により、優秀な人材が働きがいを感じながら、自立的に能力を発揮できる体制を確保し続けることを人材育成の方針とし、以下の取り組みを進めております。
・公平な人事評価制度の運用及び評価者研修の実施
・従業員エンゲージメント向上のための管理職研修の実施
・定期的なコンプライアンス教育・ハラスメント教育の実施
・情報セキュリティ研修の実施
② 社内環境整備方針
当社では、社員の安全と心身の健康を維持増進し、それにより従業員それぞれが持っている能力を十分に発揮できるよう、社内環境の整備に取り組むことを社内環境整備方針とし、具体的には以下の環境整備の取り組みを進めております。
・有給休暇の取得推進
・男性従業員の育児休業取得推進
・内部通報制度の浸透
・オフィスカジュアル制度の浸透
・インフラ整備及びAI活用の推進
上記方針を進めていくため、「評価委員会」「育成委員会」「採用委員会」「職場環境委員会」の4つの委員会を設置し、各課題解決のための取り組みを開始しました。
当社では、全体的なリスク管理機関として、取締役と本部長で構成するリスク管理委員会を設置し、委員会において、例年重要なリスクの見直しと選定を行い、月に1回開催される委員会にて、その進捗や対応内容の報告が行われております。
また、事業継続力強化計画を策定して、中小企業庁の認定を受けており、有事への対策についても取り組みを進めております。
当社では、「(2) 戦略」において記載しております、人材育成方針及び社内環境整備方針に下記の目標を掲げ、目標の達成に向けて取り組みを行っております。また、新たに設置した委員会の活動により、今後指標及び目標の見直しや新たな指標及び目標の設定を行う予定です。
(注) 1.配偶者が出産した場合の当社男性社員の育児休業取得は対象者がありませんでした。男性育児休暇の取得を希望する従業員全員が取得できる状況を維持します。また、希望しない社員の選択も尊重いたします。
以下において、当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
(1) 原材料・商品の仕入に関するリスク
医薬品原薬は、それを使用する医薬品メーカー等が製造する特定の製剤の仕様に応じて主に海外から継続的に調達しております。当社の原薬輸入及び原材料仕入に係る価格が市況変動及び為替相場等の事情によって急激に変動した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外原薬メーカーの経営状態、販売方針、供給体制、許認可及び現地政情等の影響により、原薬の調達が遅延、難航あるいは不可能となった場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場及び顧客動向に関するリスク
医薬品原薬の販売量は当該製剤の市場での需要変動、競合製品の動向等による影響を受ける可能性があります。液体処理市場においては、顧客の工場操業度、設備投資の動向により需要が変化し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は現状、特定の相手先との取引に依存する割合が比較的高く、2025年5月期における当社の売上高の上位5社が占める割合は32.8%となります。顧客の販売戦略の変更や生産・在庫調整等が取引額に大きく影響する可能性があります。また、当社の取引先が企業再編、あるいは資本変更等により他社の傘下に入ること等が発生した場合には、その親会社等の意思決定に取引先動向が左右されることから取引額が減少し、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 許認可及び法的規制に関するリスク
当社は医薬品原薬の販売に関して薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、薬機法施行規則及びそれらに関するGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)省令等の規制を受けており、主に下記の承認・許認可等を受けております。当社は、当該許認可等を受け、また維持すべく諸条件及び関係法令の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可等の取消又は停止等の行政処分事例は発生しておりません。しかし、意図せぬ法令違反等によりこれらの許認可に対し行政庁より許可の取り消しや業務の停止等、不利益処分が下された場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす恐れがあります。
また、健康食品そのものを単独に規定する法律は存在せず、健康食品の明確な定義もありません。しかしながら販売者が、健康食品等を特定疾病や身体機能への効果を標ぼうし販売すると、医薬品等を規定する「薬機法」における無許可無認可医薬品の販売としてみなされることになります。その他の法的規制としては、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上・増進を図る見地から、食品の規格・添加物・衛生管理・営業許可を定めた「食品衛生法」、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めることにより公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を確保することを目的とした「不当景品類及び不当表示防止法」、健康増進の総合的な推進に関した基本的な事項を定めるとともに国民の健康の増進を図るための措置を講ずることを定めた「健康増進法」、食品の安全性の確保に関し、基本理念及び施策の策定に係わる基本方針を定め、関係者の責任及び役割を明らかにすることにより、食品の安全性の確保を総合的に推進することを目的とした「食品安全基本法」があります。
当社としては、法律を遵守するよう最善の注意と努力を行うとともに、監督諸官庁に対する報告及び照会・指導の要請並びに立会いの受け入れを行い、指導内容に対しては迅速に改善をすることで対応しております。しかしながら予期しない法律又は規制の変更及び現行の法的規制における法令の解釈・適用によって新たな対策が必要になった場合には、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要な承認・許認可等は以下のとおりです。
(4) 品質に関するリスク
当社は、取り扱う医薬品原薬や健康食品の製造の品質に関して、取扱い及び生産工程での管理徹底、継続的な研究開発によりその維持・向上に取り組んでおり、日本国内のGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)及び食品GMPの品質基準に適合する生産体制を備えております。しかしながら、外的要因等の影響によりこうした生産体制の維持が困難となり製品の品質低下が生じた場合、社会的信用力や営業上の競争力が低下することにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、品質管理基準等に適合するよう細心の注意を払い品質保証に取り組んでおりますが、原薬供給もしくは開発製造、受託製造を行う医薬品に関して品質保証の取り組みの範囲を超えてこれらの事態による販売中止、製品回収もしくは損害賠償等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、医薬品の発売後に予期していなかった副作用が発生したり、製造過程での製品への異物混入等が発見される、あるいは薬機法に基づく再審査や再評価において、品質、有効性もしくは安全性に関して不適当と評価される可能性があります。
輸入供給する原薬についても、特に海外における原薬製造の部分においては日本国内の種々の基準や規制に適合する製品が供給されるよう、継続した製造工程や製造環境等のコントロールが不可欠であり、納品後に異物混入が見つかるなどして回収を余儀なくされる場合があります。
(5) 薬価改定等に関するリスク
医療用医薬品は政府の制定する薬価基準により保険価格が定められており、定期的に実施される薬価改定により販売が好調な品目等において薬価の引き下げ等が行われた場合の影響が予想されます。薬価改定後には、医薬品製造販売における販売価格低下、利益幅減少等の影響や、原薬販売における需要変動や販売価格低下、利益幅減少等の影響が生じ、政府による医療保険制度抜本改革と併せ当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 競合に関するリスク
当社では、医薬品事業において自社で分析を行う設備を有しており、日本国内の品質基準への対応の面で取引先からも相応の評価を得ております。また、医薬品製造販売においても少量多品種生産に対応可能な工場を保有することから製造受託において競合他社に比べ優位な部分もあるものと考えております。しかしながら、競合他社の分析設備導入や同種工場新設によっては当社の優位性が損なわれ、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
化学品事業についてはイオン交換樹脂の粉砕・乾燥設備を保有しているのは国内でも稀であり、長年の加工実績により培われた技術は直ぐに真似できない領域まで来ています。しかしながら、一般的な水処理用途(純水製造等)で使用される製品については、特別な技術を必要とせず価格面による優位性が第一となり、取り扱う競合他社も多く、取引額の減少から経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 知的財産権に係る紛争に関するリスク
物質、製法、用途、製剤等に関する特許権等、他者の権利の存否が製品開発に大きな影響をもたらすため、当社は特許権を中心とした知的財産権に関し調査を実施しております。しかしながら、当社と知財権者との見解の相違から、無効審判請求の申立を含む法的紛争に発展する可能性(当社が原告)や特許抵触の疑義があることを理由に法的紛争に発展する可能性(当社が被告)が想定され、そのような場合には判決の内容により当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 設備・固定資産に関するリスク
当社は、固定資産を多数所有しており、経済情勢の変化等に伴ってそれらの資産価値が著しく変動し、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が保有する製造設備の中には、導入から長期間が経過した資産も含まれます。適時適切な修繕・メンテナンス・更新等を計画実施しておりますが、老朽化による予期せぬ機器不具合や不慮の故障により製造スケジュールに影響が生じる可能性があります。
設備導入に際しては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な検討を行っておりますが、新規開発品目の販売開始時期の遅延、又は販売予定数量の減少等が発生し、当初の事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 研究開発に関するリスク
当社は、取引先からの開発依頼案件、受託案件に関する研究開発活動、製法や品質の分析活動を行っております。これらの活動は、製造販売、業務受託に先行して開始する場合が多々ありますが、必ずしも見込んだ収益獲得につながらない可能性があり、これらの活動を通じて過大な先行投資が行われた場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、新規開発商品を市場に出す際に、承認手続き等が必要な場合には計画的に対応しておりますが、当社又は取引先メーカー等において計画通りの承認取得ができない場合には市場への供給に遅延が生じ、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 自然災害、事故等に関するリスク
当社の工場拠点は福岡県、茨城県にあり、自然災害等で両拠点同時に被害を受ける可能性は低いと考えられます。しかし、医薬品、健康食品、化学品全ての生産拠点は福岡県に集中し、当社の工場は全てにおいて直ちに代替が効くものではないことから、災害や事故等が発生した場合、製造設備等への損害、製造ラインの停止、取引先や工場近隣住民への補償等により、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 金利変動に関するリスク
当社では、金融機関からの借入によって製造設備、運転資金その他必要な資金を調達しておりますが、今後、市場において金利が上昇した場合には当社の借入金利も上昇することが予想され、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の借入金には財務制限条項が付されている契約があり、これらには財務諸表の純資産額、経常利益、当期利益等について一定水準の維持を条件とする財務制限条項が付されております。万一、当社の業績が悪化し、財務制限条項に抵触した場合には、当該契約による借入金の返済を求められる結果、当社の財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 売掛金回収に関するリスク
当社では、取引先各社との売掛取引に際しては十分な与信管理の元で販売を行っておりますが、予期せぬ取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 税効果会計に関するリスク
繰延税金資産の計算にあたっては、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 安全性確保及び環境保全に関するリスク
製造、分析、研究の過程等で使用し、又は発生する化学物質の中には、人体、生態系、その他環境に悪影響を与える可能性のある物質も含まれます。当社は、関連諸法令の遵守を徹底するとともに、有害物質の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し、土壌汚染、水質汚濁及び悪臭その他環境被害の発生防止に取り組んでおります。しかしながら、取り扱う物質の特性上予期し得ない現象や結果が発生する可能性も否定はできず、万一事業活動に関係する環境問題が発生した場合には、損害賠償義務の発生やブランドイメージの毀損等経営に影響を与える結果となる可能性があります。また、関連諸法令の改定に伴って多額の対策費用が発生する場合等においても、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 人材確保に関するリスク
当社は今後の事業継続・拡大のため質の高い人材を継続的に確保していくことが重要な課題であると認識し人材確保に注力しておりますが、周辺情勢の変動により人材を十分に確保できなかった場合には当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 機密情報の管理に関するリスク
当社は、各事業における業務受託等において、取引先の生産計画や新製品の開発に関する機密性の高い情報を取得する場合があります。当社では、機密情報の授受に際し秘密保持契約締結を徹底しているほか、従業員教育やIT統制を通じて機密情報の管理の徹底を図っておりますが、万が一情報漏洩等が発生した場合には、当社の信用の失墜等により、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(17) ITに関するリスク
当社は、各拠点・外部との通信ネットワークや様々なITシステムを使用し事業活動を行っております。円滑な事業活動のため、通信ネットワークやITシステム、機器等の適切な管理に努めておりますが、管理の不備やシステム障害、自然災害、サイバー攻撃等により通信ネットワークやITシステムの停止、誤作動が発生した場合には、正常な事業活動の継続が困難となり、当社の事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調な企業収益、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復等により、緩やかな回復傾向にありましたが、物価の高騰や金融・為替市場の変動、不安定な国際情勢やアメリカの政策動向による経済環境への影響などにより、先行きは不透明な状況になっております。
このような状況の下、当社は厳正な品質管理の実施や原材料・商品の安定調達を基本として、新製品の開発や新分野への進出及び生産効率の改善に努めてまいりました。
その結果、当事業年度における経営成績は、売上高6,653,028千円と前年同期と比べ283,931千円(4.5%増)の増収、営業利益432,188千円と前年同期と比べ10,350千円(2.5%増)の増益、経常利益430,093千円と前年同期と比べ1,987千円(0.5%増)の増益、当期純利益は241,277千円と前年同期に比べ88,919千円(26.9%減)の減益となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
自社製造原薬については、開発案件やテスト生産は増加したものの、既存製品における前年の一時的な需要増の反動により前年同期の売上を下回りました。輸入原薬については、抗炎症薬用原薬などの売上増加や新規取り扱い原薬の販売開始などで売上が増加しましたが、事業全体としての売上は前年同期比で減少しました。開発センター移転に関連する費用や減価償却費の増加等により開発費が増加したものの、売上品目構成の変化や為替変動に応じた価格設定が進んだことなどにより原価率が改善し、営業利益は前年同期並みとなりました。
その結果、医薬品事業における売上高は3,217,862千円と前年同期と比べ40,653千円(1.2%減)の減収、営業利益は473,568千円と前年同期と比べ2,334千円(0.5%減)の減益となりました。
前事業年度に販売開始した新規の大型OEM案件や美容系製品を中心とした既存製品の売上が増加したため、前年同期比で売上が増加しました。売上増加に伴い工場稼働率は向上したものの、外注加工等の製造費用も増加したことから原価率は前年同期と同程度にとどまりました。また、案件増加に対応するため開発部門を強化したことにより販売費及び一般管理費が増加しました。これらの状況を踏まえ、当事業の今後の収益性や会社全体の成長等を勘案した結果、2025年6月の取締役会にて当事業の撤退を決議し、原材料の評価損や撤退に関する費用を計上したため、営業利益は大きく減少しました。
その結果、健康食品事業における売上高は1,043,260千円と前年同期と比べ208,794千円(25.0%増)の増収、営業損失は98,556千円(前年同期は37,791千円の営業損失)となりました。
半導体向け市場の活性化等を背景に主力のイオン交換樹脂の売上が好調に推移したことに加え、受託加工案件において受託量が増加したことなどから、事業全体として前年同期の売上を上回りました。原価率については、製造体制の見直しの効果等により改善しました。PFAS等の新たな分野への進出を見据え開発体制及び販売体制を強化したことに伴い、開発費や販売費が増加しましたが、売上総利益増加により営業利益は増加しました。
その結果、化学品事業における売上高は2,391,905千円と前年同期と比べ115,790千円(5.1%増)の増収、営業利益は57,176千円(前年同期は16,273千円の営業損失)となりました。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて205,306千円増加し、5,264,574千円となりました。
① 流動資産
商品及び製品が129,131千円増加、前渡金が80,819千円増加、仕掛品が66,971千円増加、売掛金が64,261千円増加、電子記録債権が237,049千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて128,000千円増加し、3,608,522千円となりました。
② 固定資産
機械及び装置(純額)が64,361千円増加、建物(純額)が42,004千円増加、工具、器具及び備品(純額)が34,992千円増加、建設仮勘定が92,331千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて77,305千円増加し、1,656,051千円となりました。
③ 流動負債
その他の流動負債が139,478千円減少、電子記録債務が97,453千円減少、1年内返済予定の長期借入金が80,444千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて137,587千円減少し、1,455,333千円となりました。
④ 固定負債
長期借入金が141,100千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて162,333千円増加し、1,357,458千円となりました。
⑤ 純資産
繰越利益剰余金が153,947千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて180,560千円増加し、2,451,781千円となりました。
その結果、自己資本比率は46.6%となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は1,028,068千円となり、前事業年度末に比べ22,358千円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、215,961千円の収入(前年同期は637,701千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益350,048千円、減価償却費161,748千円、売上債権の減少額178,431千円などによるキャッシュの増加、棚卸資産の増加額183,526千円、仕入債務の減少額155,428千円などによるキャッシュの減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、370,504千円の支出(前年同期は232,230千円の支出)となりました。これは主に、医薬品開発センターの移転に関連した有形固定資産の取得による支出328,813千円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、123,200千円の収入(前年同期は209,954千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入750,000千円、長期借入金の返済による支出528,456千円、配当金の支払いによる支出87,240千円、短期借入金の返済による支出10,000千円などによるものです。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造費用によっております。
当社は一部受注実績の記載になじまない商材があるため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当事業年度における経営成績の状況の概要は「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。
・売上高
当事業年度における売上高は、6,653,028千円と前年同期と比べ283,931千円の増収(4.5%増)となりました。医薬品事業では、新規取引品目も含め輸入原薬の販売が好調に推移しましたが、自社製造原薬の既存品の売上が前年同期を下回り、事業全体の売上は微減となりました。一方、健康食品事業では前事業年度に開始した大口のOEM製品を中心に売上が増加、化学品事業ではイオン交換樹脂の販売や受託製造の売上が好調に推移し、全社の売上としては前年同期を上回ることができました。
・売上総利益
当事業年度における売上総利益は、1,960,317千円と前年同期と比べ105,506千円の増益(5.7%増)となりました。化学品事業において前事業年度に行った製造体制の見直しの効果が表れてきたことや工場稼働率が向上したことなどにより売上総利益率が改善しました。一方、健康食品事業においては、売上が増加し工場稼働率も向上したものの、それに伴い製造費用も増加したため売上総利益率は前事業年度と同水準にとどまりました。
・営業利益
当事業年度における営業利益は、432,188千円と前年同期と比べ10,350千円の増益(2.5%増)となりました。医薬品開発センター移転に伴う減価償却費の増加や、各事業での販売体制、開発体制の強化により販売費及び一般管理費合計は1,528,128千円と前年同期と比べ95,155千円の増加(6.6%増)となりました。
・経常利益
当事業年度における経常利益は、430,093千円と前年同期と比べ1,987千円の増益(0.5%増)となりました。借入金の増加による支払利息の増加などにより営業外費用が増加しました。
・当期純利益
当事業年度における当期純利益は、241,277千円と前年同期と比べ88,919千円の減益(26.9%減)となりました。前事業年度は役員保険の解約により保険解約返戻金を計上し特別利益が増加しましたが、当事業年度は健康食品事業の撤退決定により減損損失を計上したため、当期純利益は大きく減少しました。
経営成績等の状況を踏まえた、経営方針及び課題への取り組みについては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
財政状態の分析・検討内容については、「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。これらの短期及び長期的な必要資金は自己資金や金融機関からの借入金を中心とし、金融商品等での運用や投機的な取引を行わないことを基本としています。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠総額1,300,000千円のコミットメントライン契約(対2行)及び借入枠総額300,000千円の当座貸越契約(対2行)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。
資金の流動性については、事業計画、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じて外部資金の調達を行うことにより維持していきます。なお、通常時は、月商の1.5倍を目安に現預金の残高を確保することとしております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の課題について
経営者の問題意識と今後の課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等」に記載しております。
⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期経営計画」に記載しております。
当社は、セグメントごとに開発部門を置き研究開発活動を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
(1) 医薬品事業
医薬品事業では、医薬品開発センターに開発部門を置き、原薬の製法開発及び受託案件の検討を継続的に行っております。原薬の合成・加工案件や医薬品添加剤の製造案件への対応、原薬のより効率的な製法開発などに取り組み、当事業年度の医薬品事業における研究開発費の額は
健康食品事業では、本社に開発部門を置き、顧客が要望する機能成分の苦みや臭みなどをマスキングする処方組の検討や試作を行うとともに、消費者ニーズに即した商品やトレンドを反映した商品の開発を行っており、当事業年度の健康食品事業における研究開発費の額は
化学品事業では、本社に開発部門を置き、イオン交換樹脂等の用途開発や、イオン交換樹脂や分離膜を用いた水処理装置の設計などを継続的に行っております。また、海外メーカーとのイオン交換樹脂の共同開発にも取り組んでおり、既存製品の代替品や特殊な用途に対応できる製品の開発を進めております。各種イオン交換樹脂の開発、検証や液体処理装置の設計などにより、当事業年度の化学品事業における研究開発費の額は