第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「一人ひとりが「自分のストーリー」を生きていく世の中をつくる」という経営ビジョンのもと、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供することをミッションとして、個人の知識・スキル・経験を売買するスキルのマーケットプレイス「ココナラ」を中心とした事業を展開しております。

 モノの市場は2000年以降のIT勃興期の中でEコマースによるオンライン取引が進んだ結果、複数の大手企業の寡占状態であり、現在ビッグデータ等の活用により、効率性、収益性を追求する環境になっております。一方で、今後サービス市場においてもEC化が進展すると試算されております。(情報通信総合研究所「スキルシェア市場規模に関する調査報告書(2019年)」)また、当社が属するスキルシェア市場では、近年になってオンライン取引ができる市場が活用され始めております。スキルシェア市場はサービス市場に属することから、スキルシェア市場においてもEC化が進んでいくと考えております。その中で、当社は2011年に創業し、スキルシェア市場において、いち早くサービスのオンライン取引市場であるサービスECを提供しており、今後のサービスECの拡大の中で、スキルシェア市場のパイオニアとしてサービスEC市場を牽引するとともに先行者利益を享受することを目指しております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社はあらゆる人が自分の経験や強みの価値に気づき、それを求める人に提供できるようになることで、より自分らしい人生を歩むことができる社会を目指しております。そして、あらゆる分野において誰かの力を借りたいような困りごと、依頼したいこと等が発生した際に「困ったらココナラ」と想起され、利用されるよう、経営戦略を策定しております。当社サービスは、あらゆる人の多様な課題を対象としているため、各ユーザーによって数多くのカテゴリでサービス購入されることを重要な事業戦略の一つとして考えております。そのため、全体の流通高を重要な経営指標として設定し、企業規模の拡大、企業価値の向上を目指しております。

 

(3)経営環境及び経営戦略等

 スキルシェアの潜在市場規模は、スキルシェア(非対面・対面)の2030年予測で9,743億円、社会的な認知度向上や利用への不安解消などの課題が解決し個人の利用促進が進んだアップサイドの市場規模は2030年予測で1.9兆円との試算も出ております。(シェアリングエコノミー協会 情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査結果(2019年)」)

 かかる状況において、総務省が公表した「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究の請負の報告書(2017年)」によると、日本におけるスキル×シェアの利用率は3.7%であり、米国29.6%と比較して低い状況であり、仮に、副業解禁など米国と同等の条件が揃う場合、日本のスキル×シェア市場は拡大余地が大きいと考えております。日本政府においては、厚生労働省がモデル就業規則を改訂して副業を許容する内容に変更され、経済産業省主導の「電子商取引規則に関する準則」にて、シェアリングエコノミーを活用した副業を容認する等、政府を挙げて副業解禁の流れが出来ており、日本の大企業においても副業を容認する動きが広がっております。

 したがって、当社としては、知識・スキル・経験を持つ出品者による副業解禁に伴う出品の増加が見込まれる状況と考えております。また、一方で働き方改革による労働基準法改正で長時間労働を是正する動きになっているため、残業削減による収入減に対して副業で収入を増加したいという出品者側のニーズ、また、外部のスキルを活用することによる残業削減という購入者側のスキルシェアの活用ニーズが創出される流れができております。さらに、Withコロナにおけるニューノーマルの生活様式となり、個人では働き方の変化や在宅余暇の活用、法人では非対面取引や外部委託の活用増加の流れが出来ていると当社は考えております。その結果、スキルシェア市場の成長が大きく見込まれると考えております。

 かかる環境を踏まえ、市場全体の拡大とともに、当社はテイクレートを維持しつつ有料購入ユーザー数及びARPPUを拡大することで流通高を拡大し、また、中長期的には営業利益率の上昇も目指してまいります。具体的な経営戦略は以下のとおりであります。

 当社はあらゆる知識・スキル・経験が集約されるプラットフォームを目指して、社会に対するあらゆる接点を創出することでココナラ経済圏を構築して今後も成長を実現してまいります。具体的にはサービス提供手法(オンライン、オフライン)の拡張、カテゴリ(汎用型、特化型)の拡張、マッチング手法(1対1、1対多)の拡張及び課金手法(都度、継続)の拡張の4つの軸を拡大します。当該4つの軸を拡大することで、結果として、個人だけでなく、中小企業、大企業を含めたユーザー属性の拡張を目指してまいります。大企業約1万社、中規模企業約56万社に対して、小規模事業者は約325万社(経済産業省 2014年度版 経済センサス)と非常に大きな機会があります。大企業、中規模企業が必要とするような大規模なプロジェクト管理については既存の大手クラウドソーシング企業が存在するものの、小規模事業者が必要とするようなロゴ作成、HP作成等の小規模で多様なニーズに応えるサービスECは競合する大手がまだいない状況であると考えており、多種多様な出品者を揃える当社の開拓余地が大きいと考えております。既存のクラウドソーシング企業は、大規模プロジェクトの管理や営業等で労働集約型のビジネスモデルになっておりますが、当社がターゲットとする中小企業のニーズは、プラットフォーム上で完結するニッチなサービスであるため、固定費に占める人件費率が相対的に低く抑えられる収益性の高い有望な市場と考えております。具体的な施策は、下記の通りであります。

① 法人向けの高品質のサービスを提供できる高いレベルのスキルを有する出品者が出品しやすいように、段階的に出品可能な価格帯を変更しております。

② 2018年2月に開始した「PRO認定制度」により、一般的に知識・スキル・経験のレベルが高い、いわゆるプロの出品者を検索可能にしており、ビジネス目的でも対応可能なサービスが増加しております。さらに、購入者である法人の利便性向上のため、請求書払い等が利用可能な法人アカウント機能を2019年4月に開始しております。

③ 法人顧客が購入しやすいマッチング方法を確保する施策として、2018年5月に「見積り・カスタマイズ相談」機能を開始しております。これにより特定のサービス紹介ページを閲覧した購入者が出品者に対して提供サービスを個別カスタマイズした提案依頼を非公開で行うことができるようになりました。さらに、2018年11月に「出品者検索」機能と出品者の「プロフィールページ」をリニューアルし、当サイトにおいて出品者が自身の経歴、保有資格、受賞歴や、作品ポートフォリオなどを紹介できるようになり、それを閲覧した購入者が見積り・仕事の相談機能を通して、気に入った出品者に提案依頼を非公開で行うことができるようになりました。これらによって、主にビジネス利用目的の購入が増えております。

 従来「ココナラ」を利用していたのは、個人の購入者が中心でしたが、今後はビジネス目的でも「ココナラ」を利用し易くなるよう、上記各種機能のリニューアルなどの施策を継続して導入する方針であります。ビジネスで「ココナラ」を利用する場合は、個人で利用する場合と比較し、サービス単価が高額となる傾向があるため、ビジネス目的での利用を取り込んでいくことで、ARPPUが上昇すると考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 出品サービス数の増加に対する検索及び購入の容易さの継続的向上

 「ココナラ」は多様なニーズに対応する出品を揃えることで、仕事や相談の窓口となる存在を目指しております。2020年11月末現在、出品サービス数は約40万件と、多様なニーズに対応するサービス数となっていますが、購入者が欲しいサービスをスムーズに発見できるようにし、また、サービスを検索後に購入完了まで容易にたどりつく必要があると認識しております。

 かかる課題に対処するため、当社では出品サービスが適切なカテゴリで出品されることを担保するために、適宜カテゴリを見直し、追加、修正を行っております。この際、ユーザーの利便性や利用頻度向上などの観点から、特定のカテゴリを異なるサービスとして独立して運営することも候補に検討を行っております。また、サービス選択後、購入者が普段から利用する決済手段がないことで、購入完了までたどりつけないことが無いように、当社では多様な決済手段を導入しており、クレジットカード決済、キャリア決済及び銀行振込等が利用可能となっております。

 

② 新規ユーザー獲得のための認知度の向上

 政府が「1億総活躍社会の実現」を達成するための対策の一つとして、副業・兼業の促進を図っております。「ココナラ」が副業・兼業の受け皿となるように、幅広い利用者が利用できる多種多様なサービスを取り扱うマーケットプレイスとして認知されるためには、購入者、出品者ともに登録数の増加が必要と認識しております。
 従来は、口コミに代表される有料広告を用いない方法によって利用者登録が増加してきましたが、2016年8月期より本格的にオンライン広告を開始し、2017年7月、2019年6月から8月並びに2020年7月から8月にはテレビCMを放映するなど、現在では様々な広告により登録数の拡大を行っております。現在のオンライン広告(テスト広告を除く)は顧客のターゲティング化がより進んだ結果、広告費用を1年程度で回収できる状況になっております。当面の方針としては、オンライン広告を中心とした手法により新規ユーザーを獲得してまいりますが、今後は、集客方法の選択肢としてテレビCMも継続して実施してまいります。テレビCMについては、初めて実施した2017年7月のテレビCMについては、当社分析によると、テレビCM期間中の効果、及び過去の成長トレンドを考慮したテレビCM期間後の間接的な効果を考慮すると約3年で回収できており、また、当社サービスの認知度も着実に増加していることを株式会社電通マクロミルインサイト及び株式会社クロスマーケティングの調査で確認しております。今後も過去に行ったテレビCMの効果分析を考慮して、より効果の大きい放送局、時間帯等をターゲットとして、利益の確保を意識しながら慎重に実施の可否及びタイミングを決定してまいります。

 

③ 提供手段の拡充

 2020年7月より対面して役務提供を行う「ココナラミーツ」を「ココナラ」とは別のサイトとしてリリースしました。これにより、従来オンライン上ではサービスが提供できなかったようなサービスの出品も可能となり、サービスの多様さの拡大に寄与するものと考えております。

 今後も提供手段を増やしていくことで、多様なマッチングの機会の創出を図ってまいります。

 

④ カテゴリの拡充

 現在の当社サービスは「ココナラ」を中心として、「ココナラ法律相談」及び「ココナラミーツ」となっております。当社の方針としては、「ココナラ」を「ココナラ」に行けば解決するという相談のゲートウェイ(相談の窓口)と位置づけており、「ココナラ法律相談」や「ココナラミーツ」のような、独自のUIの方が利用者の利便性が高いサービスや、「ココナラ」とは別のビジネスモデルが必要なサービスについては、「ココナラ」内ではなく、姉妹サービスとして、専門カテゴリを随時立ち上げていくことで、取扱いカテゴリの数を増加させていく予定であります。その際には当社のプラットフォームの特性を活かして、専門家を抱える企業等との事業提携も検討してまいります。

 また、「ココナラ」内においても、2018年8月及び2019年6月にカテゴリの見直しを行っており、カテゴリの新規追加、名称変更、統合・移動を実施いたしました。カテゴリの見直しは、購入者にとってはサービスをより探しやすくなり、出品者にとってはサービスをより出品しやすくするために行っております。また、幅広いカテゴリを扱っていることで不況期においてもいずれかのカテゴリの需要増加が見込まれることにより、安定的に成長する基盤となると当社は考えております。例えば、足元のコロナ禍において、自粛期間中にWEBを活用した法人需要の増加でWEB関連のカテゴリが拡大し、自粛後においては法人のネット活用の推進、個人の副業意欲の増加からデザインや動画・写真のカテゴリが拡大しております。今後も需要の高まりを反映した新設カテゴリを適宜設置していくほか、カテゴリの名称変更、統合・移動を実施し、購入者、出品者の双方にとって利便性が高くなり、取引の活性化に寄与する施策を検討してまいります。

 

⑤ 安心・安全なサービス体制の強化

 当社の営む「ココナラ」は、取引が出品者及び購入者であるユーザー間で行われるため、サービスを提供する出品者の信頼性の確認が容易ではなく、トラブル対応等に不安があることを理由に、「ココナラ」の利用を控えるといったことが起こりうると考えております。

 当社では、「ココナラ」が安心・安全に取引を行える場所であり続けることを非常に重要な課題として認識しており、カスタマーサクセスのスタッフが中心となり、安心・安全なサービス購入体験を担保するため、利用規約、ご利用ガイドの見直し、サービスやメッセージの監視や出品者の本人確認などを行っております。また、出品サービスの健全性を保つために、専任のスタッフを配置しております。専任スタッフは週次で定例ミーティングを実施し、出品サービスの理解を深めるとともに、新たな論点などを議論しております。このような取組に関して、2017年11月には一般社団法人シェアリングエコノミー協会が定めるシェアリングエコノミー認証制度を取得いたしました。当該認証制度は、シェアリングエコノミーに基づくサービスが、内閣官房IT総合戦略室がモデルガイドラインとして策定した「遵守すべき事項」に基づいており、シェアリングエコノミー協会が認定した自主ルールに適合していることを証明する制度です。今後も利用者が安心・安全に「ココナラ」を利用できるように継続的な取り組みを行ってまいります。

 

⑥ 情報管理体制の強化

 当社が運営する「ココナラ」では、利用者の個人情報を取り扱っており、強固な情報管理体制の確保が重要であると認識しております。

 情報セキュリティ管理規程及び情報セキュリティ管理マニュアルを制定し、また、情報システムにおける管理体制強化を目的として情報システム開発・運用管理規程及び情報システム開発・運用管理マニュアルを制定し、運用をしておりますが、今後も情報管理体制について重要な課題として認識し、情報管理体制を強化するべくサイバーセキュリティに関する各種施策を推進してまいります。

 

⑦ システムの安定稼動

 当社が運営する「ココナラ」は、インターネットを通じたサービスであり、システムの安定稼動が不可欠であります。

 かかる課題に対処するために、登録者数の増加によるデータ量の増加に対応するためのシステム投資をはじめ、リアルタイムでの各種KPIモニタリングと対応ガイドラインによるサイトアクセスやデータ量増加への初動の強化など運用監視体制の強化を引き続き行ってまいります。

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスク

① シェアリングエコノミー市場について

 当社が事業を展開する国内シェアリングエコノミー市場は、今後も継続的な拡大が見込まれています。これは、副業や兼業といった「働き方改革」というトレンドに後押しされるためと考えております。シェアリングエコノミーにおけるサービス領域は一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると5つのサービス領域があり、シェア×スキル、シェア×モノ、シェア×お金、シェア×移動及びシェア×空間といった幅広い市場が存在します。このうち当社のサービスが属するシェア×スキルのサービス領域は、「働き方改革」を通して潜在労働力となっている専業主婦やシニア、失業者などの新たな収入源として拡大する余地があると考えております。

 ただし、市場自体が未成熟であると考えられることから、今後、法令整備の進展、当業界におけるトラブルや取引の安全性等にかかる問題等の発生、利用者ニーズの変化等、シェアリングエコノミー市場における様々な環境変化が生じる可能性があります。当社の事業はこれらの市場動向の影響を受ける可能性があり、上記の予測通りにシェアリングエコノミー市場が拡大しなかった場合や、当社サービスが当該市場及び利用者ニーズの変化に応じた適切な対応が取れない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 当社が事業展開する国内の「スキルシェア」にかかるサービス領域においては、今後の市場規模拡大に伴い、新規参入が相次ぐ可能性があります。

 クラウドソーシングについては、取引は依頼者が提案依頼したカテゴリに限定されることや受託側の価格交渉の余地が小さいといったことがある一方で、当社が運営するマッチング型のプラットフォームの場合は、出品者側が提供できるスキルを先に出品し購入者がサービス一覧から選択する購入形態により潜在需要の顕在化による需要創造につながり、出品者側が自分で値付けできることで高いモチベーションにつながる等、棲み分けができている状況であると考えております。

 また、当社サービスについて、現時点における当社及び他社サービスにおける出品数及び評価件数等を踏まえると、「スキルシェア」サービスにおけるカテゴリーリーダー的なポジションを構築しているものと認識しており、当該要素が一定の参入障壁になっているものと考えております。また、海外の類似サービスによる日本市場への参入についても、日本語対応が求められる商慣習が強いことを考慮すると、出品者の属性として外国籍が主である海外の類似サービスを購入者側は受け入れにくいと考えられ、当社サービスへの影響は小さいものと考えております。

 今後もユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度向上に向けた取り組みを積極的に行ってまいりますが、海外大手事業者の個人間取引プラットフォームにおける本格的な日本進出や、他社の新規参入により競争が激化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インターネット関連ビジネスについて

 当社のサービスは、主にインターネットを媒体としておりますが、インターネットやスマートデバイスの更なる普及・利用拡大、関連市場の拡大等を背景として、従来オフラインで提供されてきたサービスがオンラインに置き換わっており、インターネットサービスがより生活において身近な存在になっております。

 しかしながら、インターネット通信環境の悪化、スマートデバイスの普及の著しい鈍化、不正使用等の弊害の発生等、予期せぬ要因により今後の当社サービスの拡大を阻害するような状況が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新型コロナウイルス感染症の影響について

 当社が展開するオンラインでのサービス提供市場は、新型コロナウイルス感染症に対する企業における働き方の変化や個人の余暇の過ごし方の変化によって需要が増加しており、今後も新型コロナウイルス感染症に対する社会的な変化に後押しされる可能性があります。

 しかし、国内及び海外主要各国において新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息に向かわず、今後数年にわたり拡大が続いた場合には、深刻な経済的影響が生じ、市場の縮小や個人消費の冷え込みに繋がることが予想されます。今後、事態がさらに深刻化、長期化した場合や、その他の想定し得ない状況の変化があった場合には、当社サービスへの需要の減少や当社サービスに関連する活動への支障など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)当社事業に関するリスク

① 「ココナラ」における特定カテゴリの高いシェアについて

 「ココナラ」では、多様な知識・スキル・経験の販売を可能としており、相談系カテゴリでは「占い」、「恋愛・結婚」といったものから、制作・ビジネス系カテゴリには「Webサイト制作・Webデザイン」、「動画・写真・画像」といったカテゴリが存在しております。

 「ココナラ」において「占い」カテゴリのサービス全体に占める割合は高い状況にあり、2019年8月期通期、2020年8月期通期及び2021年8月期第1四半期における同カテゴリの当社流通高全体に占める割合はそれぞれ41.6%、32.2%及び28.8%(同営業収益に占める割合は51.2%、40.7%及び36.6%)となっております。

 「占い」カテゴリに関しては、文字情報提供が基本となるサービスであり、従来からインターネット上のコンテンツとして普及していたこと、また、個人間で相談ができること、購入者は匿名で利用できること、「ココナラ」が500円から利用できるため価格帯がマッチしたことなど、当社サービスとの親和性が高いと考えられることから、他の分野よりも構成比が高くなっているものと考えております。

 当社としては、近年のプロダクト機能の開発において、主に制作・ビジネス系カテゴリの出品及び取引拡大を企図した施策を導入しており、例えば、2018年2月に制作・ビジネス系カテゴリにおいて「PRO認定制度」及びビデオチャット機能の導入、2018年5月に「見積り・カスタマイズ相談機能」の導入、2018年11月に「出品者検索」の導入、2019年4月に法人アカウントの導入等の施策を実施しております。その結果、「占い」カテゴリのシェアは低下傾向にあるものと考えておりますが、今後も「占い」カテゴリのシェアが高い状態が継続された場合は、購入ユーザーの嗜好の変化等に係る顧客離れや、競合他社の存在による急激な「占い」カテゴリのユーザー離脱が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社サービス及びサイト運営について

(a)サイト利用にかかる安全性について

 当社が運営する「ココナラ」では、21カテゴリにおいて多種多様なサービスが出品及び取引されております。当社は、ユーザー間の取引の安全性のため、利用規約及びサービス利用にかかるガイドライン等において禁止行為や出品禁止サービスを詳細に定め、定期的に見直しを実施しております。また、違反報告機能によりユーザーによる問題サービス等の通報体制の構築、サービスの健全化専任の担当人員配置及び社内マニュアル・基準等の策定により、出品サービス及び取引内容にかかる監視体制の構築及び継続的な運用を実施しております。

 なお、「ココナラ」で売買されるサービスは、主としてトークルーム(サービス購入後に出品者と購入者のみが見られる非公開ページ)上において、購入者と出品者がコミュニケーションをとることで、役務が提供されていることから、出品サービス及びその取引について適宜かつ適時に網羅的な監視等を行うことには限界があるものと認識しております。そのため「ココナラ」では、購入者の支払代金について取引完了まで当社内に留保する仕組み(エスクロー機能)を提供することにより、不適切取引に対する牽制を図り、ユーザー間取引にかかる安全性向上に努めております。

 しかしながら、「ココナラ」では無形商材である「知識・スキル・経験」を売買することから、ユーザー間のサービス品質等にかかる認識相違が生じる可能性があり、ユーザーの悪意の有無に関わらず、トラブル等が生じる可能性があります。当社監視体制が有効に機能しない、又は有効性が低下した結果、当社サービスにおいて重大なトラブルが発生又は増加した場合には、「ココナラ」の安全性に懸念が生じ、信頼性の低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社は、利用規約において売買契約の当事者となるものではない旨及びトラブル等については当事者間で解決する旨を定めておりますが、当社がユーザーからプラットフォーム運営者としての責任を問われることにより、損害賠償請求やその他対応費用等が発生する可能性があり、その場合にも当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(b)出品サービスの健全性について

 当社に出品されているサービスは、多種多様なサービスがあり、カテゴリ又は出品内容に応じて様々な法規制を受けており、これらに違反するものや、社会通念上は望ましくないと考えられるサービスが出品される可能性があります。当社においては、上記の通り、禁止行為や出品禁止サービスを定めるとともに、社内ガイドライン等を整備し、不適切と考えられる出品サービスについて監視及び排除を行っております。以下は、出品サービスにおいて当社が留意すべき分野として監視対応等を行っている項目となります。

 「ココナラ」内の「占い」カテゴリ等において、多様な占い分野に関するサービスが出品されており、その一部には「エネルギーワーク」や「ヒーリング」等といった行為(以下、「施術」という)が含まれるサービスがあります。当社は、「施術」サービスについて、占い業界においては1ジャンルとして認知されているものと考えておりますが、一般的には不適切な行為やトラブル等が生じ易いサービス形態と考えられているサービスであると認識しております。ただし、当社は、「施術」サービスについて、過去の取扱実績において、高い購入満足度が示されている傾向があること等も鑑み、当該サービスは、購入者の悩みや課題等に対して十分なアドバイス行為(鑑定・アドバイス・カウンセリング等)が提供されていると考えられる出品サービスのみを取り扱うこととし、施術行為のみで完結するサービス等については排除に努めております。

 「ココナラ」内の「マネー・副業・アフィリエイト」カテゴリを中心として、主に副業のやり方や、お金の稼ぎ方等のノウハウ提供やツールの販売等(いわゆる「情報商材」と称される分野)といった多様なサービスが出品されております。当社は、金融商品取引法や景品表示法等の各種法規制に違反している可能性のあるサービスを排除するため、弁護士がレビューをしたガイドラインに基づいてサービス内容を確認し、必要に応じて、サービス内容を変更させるまたはサービスの取下げをするなどの体制を構築することにより、不適切な行為及びトラブル等の発生防止に努めております。

 上記以外にも、一般的に公序良俗に反するものとして猥褻・出会い系・犯罪につながるもの、サービス内での誹謗中傷行為や医療行為に準ずるもの、第三者の著作権侵害や、当社利用規約等に反して、個人情報を取得し、当社の監視が及ばない外部へ誘導するサービス等といった、当社の利用者のみならず、第三者の権利を侵害する又は不利益を生じさせる可能性が高いサービス、暗号資産やICOに関するサービスといった当社の方針によって出品禁止としているサービスなどを詳細に定め、監視対応を実施することにより、不適切行為及びトラブル等の発生防止に努めております。

 しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、当社サービス内において重大なトラブル等が発生した場合には、当社が責任を問われる可能性があるほか、当社出品サービスに関連する業界等において社会的批判や風評等が生じるような事件・事象等が発生するなど、当社サービスの信頼性を損なう状況が発生した場合、当社サービスに対して監視対応の強化や出品基準の厳格化に関する要請が強まる可能性があるほか、ユーザーの離脱が生じる可能性があります。これらの要因により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ユーザーの獲得及び継続性の維持について

 当社の事業が成長していくためには、ユーザーの継続的な獲得及びユーザーによる継続的な利用が重要であると考えております。これらを促進するためには、安心・安全に利用できる取引環境の提供に加えて、ユーザーニーズに応じた出品サービスの獲得に注力すると共に、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーのリテンション強化のためのマーケティング活動を継続的に推進してまいります。

 今後、ニーズに応じたサービスを獲得できない場合やマーケティング効果が十分に得られない場合に、新規ユーザーの獲得、ユーザーの継続利用が低迷する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、広告宣伝活動の一環としてテレビCMを2017年8月期、2019年8月期及び2020年8月期に日本全国を対象として実施しており、ユーザーの新規獲得及び当社サービスの知名度向上について一定の効果が出ているものと認識しております。今後のテレビCMについては、費用対効果等を考慮し、慎重に検討した上で、実施する方針であります。しかし、想定通りの広告効果が得られる保証はなく、収益増加に繋がらなかった場合や想定以上の広告宣伝費を投下することが必要になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 事業領域拡大への投資について

 当社は、今後もサービス、案件、ユーザー、コンテンツなどの各種マッチング経路の拡充などプロダクト機能の開発や、対面サービスの「ココナラミーツ」などの新事業領域の拡大への取り組みを進めていく予定であり、これによる事業規模の拡大及び収益力の向上に努めてまいりますが、これらの実現には、人材の採用、サービス・システム開発費用等の追加的な支出が発生し、さらに、事業領域の拡大が目論見通りに推移しないことで、追加的な支出についての回収が行えず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定のプラットフォーム事業者の動向について

 当社の事業は、スマートフォン向けアプリケーションを提供しており、Apple Inc.及びGoogle Inc.の両社にアプリケーションを提供することが現段階の当社の事業の重要な前提条件であります。これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業体制に関するリスク

① 特定人物への依存について

 当社の代表取締役である南章行は、当社の創業者であり、設立以来、代表取締役として、企業理念、経営方針及び事業戦略の決定において重要な役割を果たしておりました。また、当社の代表取締役である鈴木歩は、2017年3月以来、取締役として経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしておりました。

 当社では、2020年9月に、代表取締役を2名体制とし、南章行を代表取締役会長に、それまで取締役であった鈴木歩を代表取締役社長CEOに選任しております。また、執行役員制度のもと新たに2名を選任し合計3名の執行役員の体制とするなど、特定人物に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により南章行または鈴木歩が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保と育成について

 当社は、継続的な事業拡大や事業領域の拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。現在も、将来的な事業拡大を踏まえた先行的な人員増強を行っており、主にプロダクト開発や、各種ユーザー対応、ユーザー獲得や継続にかかるスタッフの増員を計画し、積極的に採用を進めております。

 しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び事業領域の拡大等に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 小規模組織であることについて

 当社は、本書提出日現在、取締役4名、監査役3名、従業員115名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。

 当社は、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システムトラブルについて

 当社の全てのサービスはインターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する取り組みを継続的に実施しております。しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、想定以上のアクセス増加による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制に関するリスク

① インターネットにおける法的規制について

 当社が運営するサービスでは、「電気通信事業法」、「資金決済法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「プロバイダ責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「弁護士法」といった法規制の対象となっております。

 これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築などを行っていく予定であります。また、2016年1月には業界団体となる「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」の立ち上げに参画し、業界として独自規制の制定を検討するなど、業界全体の健全性向上に努めております。しかし、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化などが行われ、当社が運営する事業が規制の対象となるなど制約を受ける場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 著作権、商標権、知的財産権等について

 当社は、著作権、商標権、知的財産権等の法令等の下、事業活動を行っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。また、出品者に対しても当社はガイドラインを掲載し、サービスを掲載する際は権利に関する確認を行う対応を求めております。

 しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報保護について

 当社が運営する「ココナラ」では、メールアドレスをはじめとする利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。

 しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し不正に悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の業績及び企業としての社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。

④ 弁護士法および同法の関連法規

 当社が運営する「ココナラ法律相談」では、弁護士へのマーケティング支援サービスを提供しており、弁護士法、同法の関連法規、および各単位弁護士会の規則・ガイドラインなどの規制の対象となっております。例えば、弁護士法第72条において報酬を得る目的での弁護士に対する訴訟事件等の周旋は禁止されておりますが、「ココナラ法律相談」の運営においては、弁護士法及び同法の関連法規等を遵守するために、適宜顧問弁護士に相談し、問題がないことを確認して事業運営を行っております。

 しかしながら、同法の内容又は解釈が変更された場合には、「ココナラ法律相談」の事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経営成績及び財政状態について

① 過年度業績等について

 当社の過去5期間における主要な経営成績の推移は以下の通りであります。過年度においては、当社サービスの利用者及び取引拡大に伴い、営業収益は増加傾向で推移しておりましたが、事業の立ち上げ及び拡大に伴う社内体制の整備やユーザー獲得のためのマーケティング費用等の計上が先行してきたことから、過去5期間においては2018年8月期を除き当期純損失を計上しております。特に2017年8月期、2019年8月期及び2020年8月期においては、各第4四半期にユーザー獲得を目的として日本全国を対象としたテレビCMを展開したことによる広告宣伝費負担の増加が各期の赤字要因の多くを占めております。

 なお、当社業績については、テレビCMが未実施となった2018年8月期には通期において当期純利益を計上しているほか、同第2四半期以降においては、テレビCMを実施しない四半期においては継続的に営業利益を計上するに至っております。

 2020年8月期は、継続的な流通高の拡大による営業収益増加の一方で、事業成長を図るための先行投資的な人員拡充等及び第4四半期におけるテレビCMの展開等から、第1四半期から第3四半期は営業利益を計上したものの低水準に留まり、通期においては営業損失及び当期純損失を計上しております。

 また、2021年8月期第1四半期は、前期実施のテレビCMの効果もあり、営業収益の拡大及び営業利益を計上しておりますが、同通期決算においては、テレビCM展開は計画していないものの、継続的な人材投資等による費用増加を見込んでおり、第2四半期以降の利益水準は第1四半期と比較して低水準に留まる可能性があります。

 今後における当社業績について、想定する新規ユーザーの獲得、購入転換、単価の上昇等による収益拡大が進まない場合には、当社が策定する利益計画達成に支障が生じる可能性があり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(単位:千円)

回次

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

決算年月

2016年8月

2017年8月

2018年8月

2019年8月

2020年8月

営業収益

215,161

385,785

766,836

1,138,467

1,775,555

営業利益又は営業損失(△)

△204,367

△784,910

41,543

△1,038,135

△80,864

経常利益又は経常損失(△)

△195,048

△785,389

40,039

△1,052,674

△83,767

当期純利益又は当期純損失(△)

△195,340

△785,656

46,845

△1,054,356

△94,001

 (注)1.第5期から第7期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。

2.第8期及び第9期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

また、2019年8月期以降における四半期の重要な経営成績の推移は以下の通りであります。

(単位:千円)

回次

第8期(2019年8月期)

決算年月

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

営業収益

249,651

254,511

298,625

335,678

営業費用

216,435

223,034

264,327

1,472,806

(内、広告宣伝費)

(36,754)

(35,107)

(46,310)

(1,167,285)

営業損益(△は損失)

33,216

31,477

34,298

△1,137,127

(注)第8期の各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツによる四半期レビューを受けておりません。

(単位:千円)

回次

第9期(2020年8月期)

決算年月

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

営業収益

378,979

397,030

446,107

553,438

営業費用

316,732

361,461

417,084

761,141

(内、広告宣伝費)

(49,907)

(49,345)

(69,455)

(318,240)

営業損益(△は損失)

62,246

35,568

29,022

△207,702

(注)第9期の各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツによる四半期レビューを受けておりません。

(単位:千円)

回次

第10期

(2021年8月期)

決算年月

第1四半期

営業収益

612,976

営業費用

543,366

(内、広告宣伝費)

(72,408)

営業損益(△は損失)

69,609

 

② 繰越欠損金について

 当社は、事業拡大のための積極的な人材投資、広告宣伝等を行ってきたことから、第9期事業年度末時点において税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、利益計上が継続した場合には、繰越欠損金が解消されることにより、法人税、住民税及び事業税の金額が増加することとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(6)その他

① ベンチャーキャピタル等の持株比率について

 本書提出日現在において、当社発行済株式総数20,474,000株のうち、計10,381,200株はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「VC等」という。)が所有しており、VC等が保有する当社株式の公募増資前の発行済株式総数に対する割合は50.7%と高い水準となっております。一般にVC等による未公開企業の株式所有目的は、株式公開後に売却を行いキャピタルゲインを得ることであります。今回当社が計画している上場後において、VC等が所有する当社株式を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、取締役、監査役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。また、今後もストック・オプション制度などの株式報酬型のインセンティブを活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後株式が付与された場合、または、今後付与される新株予約権について、権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は、2,595,500株であり、発行済株式総数20,474,000株の12.7%に相当しております。

 

③ 調達資金の使途について

 当社が予定している公募増資による調達資金については、テレビCMをはじめとする認知度の向上や、新規ユーザー数の増加及び既存ユーザーの利用率の向上などを目的とした広告宣伝費、優秀な人材確保のための採用費及び人件費等の費用、流通高及び人員の増加など事業の拡大に伴うシステム費、通信費や、借入金の返済等に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態の状況

第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)

(資産)

 当事業年度末における資産合計は前事業年度末より840,963千円増加し、1,945,118千円となりました。これは主に、必要な手元流動性が増加したことにより現金及び預金が543,887千円増加(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額219,148千円)、流通高の増加により売掛金が125,337千円増加、本社移転に伴う敷金の支払いにより差入保証金が120,002千円増加、本社移転に伴う設備投資等により有形固定資産が90,498千円増加したことによるものであります。

 

(負債

 当事業年度末における負債合計は前事業年度末より934,964千円増加し、1,773,610千円となりました。これは主に、運転資金としての新規借り入れにより短期借入金が460,000千円増加、流通高の増加により預り金が219,628千円及び前受金が79,135千円増加、本社移転に伴う設備投資等により未払金が91,553千円増加、営業収益の増加により未払消費税等が65,068千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は前事業年度末より94,001千円減少し、171,507千円となりました。これは繰越利益剰余金が94,001千円減少したことによるものであります。

 

第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)

(資産)

 当第1四半期会計期間末における資産合計は前事業年度末より12,358千円増加し、1,957,476千円となりました。これは主に、必要な手元流動性が増加したことにより現金及び預金が23,199千円増加(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額17,165千円)、旧本社の敷金の回収により差入保証金が13,227千円減少したことによるものであります。

 

(負債

 当第1四半期会計期間末における負債合計は前事業年度末より53,021千円減少し、1,720,589千円となりました。これは主に、過年度の本社移転に伴う設備投資の支払い等により未払金が72,187千円減少、未払消費税等が31,969千円減少、流通高の増加により預り金が17,211千円及び前受金が31,953千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第1四半期会計期間末における純資産合計は前事業年度末より65,379千円増加し、236,887千円となりました。これは利益剰余金が65,379千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、消費税増税もあり、景気の減速や企業業績の低迷も懸念されている状況となっております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大懸念により、株や為替等の動向は不確実であり、先行きは不透明な状況となっております。

 このような環境の下、当社におきましては、プロダクト機能開発やマーケティング施策に注力してきました。プロダクト機能開発としては、2020年4月にユーザーが記事やコンテンツを投稿できる「ブログ」機能を開始し、コンテンツ分野へ展開しております。このリリースのほか、当事業年度において、ユーザーの更なる利便性向上につながる開発、施策に努めてまいりました。また、前事業年度にリリースした「出品者検索」、「法人アカウント」や、同じく前事業年度にリニューアルした「プロフィールページ」、「仕事・相談の公開依頼」などの機能を通して、当事業年度において制作・ビジネス系カテゴリを中心に利用が拡大しました。マーケティング施策としては、2020年7月及び8月にユーザー獲得を目的として日本全国を対象としたテレビCMを展開しました。

 この結果、当事業年度の流通高は6,207,300千円(前期比60.9%増)、営業収益は1,775,555千円(前期比56.0%増)、営業損失は80,864千円(前期は1,038,135千円の営業損失)、経常損失は83,767千円(前期は1,052,674千円の経常損失)、当期純損失は94,001千円(前期は1,054,356千円の当期純損失)となりました。主にテレビCMにかかる広告宣伝費を前期より縮小したこと等により、営業損失、経常損失、当期純損失の額は縮小しております。

 なお、当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。

 

第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)

 第1四半期累計期間におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり、徐々に持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症再拡大の兆しが顕著になる等、先行きは極めて不透明な状況が続いております。

 このような環境の下、当社におきましては、2020年9月に「ココナラ」内で書かれたブログを、「有料ブログ」として販売・購入できる機能をリリースいたしました。これらのほか、当第1四半期累計期間においてはユーザーの更なる利便性の向上につながる開発、施策に努めてまいりました。

 この結果、当第1四半期累計期間の流通高は2,129,067千円、営業収益は612,976千円、営業利益は69,609千円、経常利益は65,952千円、四半期純利益は65,379千円となりました。

 なお、当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物は前事業年度末より543,887千円増加し、1,284,176千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、274,373千円の収入(前年同期は1,007,219千円の支出)となりました。これは主に流通高の増加による預り金の増加額219,628千円(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額219,148千円)、流通高の増加による前受金の増加額79,135千円、営業収益の増加による未払消費税等の増加額65,068千円及び未収消費税等の減少額61,021千円等による資金の増加があった一方で、流通高の増加による売上債権の増加額125,337千円及び税引前当期純損失の計上83,767千円等による資金の減少があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、190,485千円の支出(前年同期は7,375千円の支出)となりました。これは主に本社移転に伴う差入保証金の差入による支出138,857千円及び本社移転に伴う設備投資等による有形固定資産の取得による支出56,628千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、460,000千円の収入(前年同期は1,349,125千円の収入)となりました。これは短期借入金の純増加額460,000千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 販売実績は次のとおりであります。

サービスの名称

第9期事業年度

(自 2019年9月1日

至 2020年8月31日)

第10期第1四半期累計期間

(自 2020年9月1日

至 2020年11月30日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

営業収益(千円)

「ココナラ」

1,682,415

153.2

578,656

その他

93,139

232.9

34,320

合計

1,775,555

156.0

612,976

 

(注)1.当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、当社は、「ココナラ」及び「ココナラミーツ」において、出品者が提供するサービスを売買できるプラットフォームを運営しており、かかる売買に対する手数料収入を得ております。また、「ココナラ」及び「ココナラミーツ」においては、エスクロー決済を導入しており、購入者は、事前に購入代金を決済し、サービス提供が完了するまで、当社にて出品者への代金を預かっております。かかる取引フローを踏まえ、当社は、出品者が出品サービスの提供が完了した時点で、貸借対照表において、購入者により事前に決済された購入代金の総額(当社の手数料収入及び出品者へ支払うべき代金の相当額を含む)を売掛金として計上し、当社の手数料収入を控除した出品者へ支払うべき代金額を預り金として計上しております。他方、同時点で損益計算書においては、当社の手数料収入のみを営業収益として計上しております。なお、出品サービスの提供前に、決済代行会社より当社に入金があった場合は、貸借対照表において、購入者により事前に決済された購入代金の総額を前受金として計上しております。

 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。

 

(固定資産の減損)

 当社は、固定資産の減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。

 

② 経営成績の分析

第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)

(流通高)

 当事業年度の流通高は、前事業年度より2,349,079千円増加し、6,207,300千円となりました。これは主に取引件数の増加及び取引単価が上昇したことによるものであります。

 

(営業収益)

 当事業年度の営業収益は、前事業年度より637,087千円増加し、1,775,555千円となりました。これは主に流通高が増加したことによるものであります。

 

(営業費用、営業利益)

 当事業年度の営業費用は、前事業年度より320,183千円減少し、1,856,419千円となりました。主な減少要因は広告宣伝費ですが、これはテレビCM放映の規模を縮小して実施したことによります。この結果、営業損失は80,864千円(前期は1,038,135千円の営業損失)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当事業年度の営業外収益は2,829千円、営業外費用は5,732千円発生しております。この結果、経常損失は83,767千円(前期は1,052,674千円の経常損失)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度は特別利益及び特別損失は計上しておりませんが、法人税、住民税及び事業税2,289千円及び法人税等調整額を7,943千円計上しております。この結果、当期純損失は94,001千円(前期は1,054,356千円の当期純損失)となりました。

 

第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)

(流通高)

 当第1四半期累計期間の流通高は、2,129,067千円となりました。これは主に取引件数の増加及び取引単価が上昇したことによるものであります。

 

(営業収益)

 当第1四半期累計期間の営業収益は、612,976千円となりました。これは主に流通高が増加したことによるものであります。

 

(営業費用、営業利益)

 第1四半期累計期間の営業費用は、543,366千円となりました。これは主に、人件費、決済代行会社の決済手数料、新オフィスの家賃、採用費及び広告宣伝費によるものであります。この結果、営業利益は69,609千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当第1四半期累計期間の営業外収益は684千円、営業外費用は4,341千円発生しております。この結果、経常利益は65,952千円となりました。

 

(四半期純利益)

 当第1四半期累計期間は特別利益及び特別損失は計上しておりませんが、法人税、住民税及び事業税572千円を計上しております。この結果、四半期純利益は65,379千円となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要)

 当社における資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、システム関連費にかかる運転資金になります。なお、当社は、エスクロー決済を導入しています。エスクロー決済とは、事業者が一旦利用者から代金を預かり、その後、利用者の方で不備なくサービスの受領が確認できた時点で、事業者からサービス提供者に対し、預かっていた代金を引き渡す決済サービスを指します。

 

(契約債務)

 2020年11月末現在の契約債務の概要は次のとおりであります。

区分

合計
(千円)

年度別要支払額

1年以内
(千円)

1年超
2年以内
(千円)

2年超
3年以内
(千円)

3年超
4年以内
(千円)

4年超
(千円)

短期借入金

730,000

730,000

 

(財務政策)

 当社は現在、運転資金等については、自己資金及び金融機関からの借入金により資金調達することとしております。また、当社は運転資金の機動的かつ安定的な調達を可能にするため、主要取引金融機関と総額820,000千円の当座貸越契約を締結しております。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,284,176千円でありますが、その内、当社が出品者へ支払うべき代金として一時的に受領している預り金の残高が531,743千円あります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。