当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、市場予測のとおりの堅調さを維持しております。
大企業製造業では、自動車等の加工業種が改善傾向を示した一方、鉄鋼や石油等の素材業種は悪化を示しております。
また、非製造業では、建設や情報サービス等の業種が改善傾向を示した一方、宿泊・飲食サービスや不動産等の業種は悪化を示しております。
米国の関税政策について日米合意を踏まえて不確実性が低下する一方で、その影響を業況へ織り込む動きが顕わとなりつつあります。
物価高に繋がる価格転嫁の進展が業績改善要因となっているものの、反面で人件費・物流費等のコスト上昇や消費の下押しが懸念されております。
また、当社グループ全体の事業領域である人材ビジネス市場の状況は、2025年8月の完全失業率(季節調整値)は2.6%(前年同月2.5%、前月2.7%)、有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍(前年同月1.23倍、前月1.22倍)、新規求人倍率(季節調整値)は2.15倍(前年同月2.32倍、前月2.17倍)の国内雇用状況であり、若干の下落傾向を示しつつも高水準にて堅調に推移しております。
当社グループの主要な事業である「HRソリューション事業 人材派遣・受託」が主にサービス提供を行っているゲーム業界においては、2024年の国内家庭用ゲームのハード・ソフト市場は、ハードは1,894.0億円で前年対比70.8%、ソフトは1,119.2億円で前年対比82.1%、ハード・ソフト合計では3,013.2億円と前年対比74.6%(出典:ファミ通ゲームソフト・ハード売上ランキング 2024年年報)の減少傾向を示しております。
一方で、2024年の世界のモバイルゲーム市場規模は12兆4,103億円で前年比141.2% 、日本の市場規模は1兆7,290億円で前年比145.5%(出典:ファミ通モバイルゲーム白書2025、一部為替を考慮)と世界・日本共に拡大傾向を示しております。
国内家庭用ゲーム市場規模は減少傾向にあるものの、次世代機のリリース等もあり、今後もゲーム市場は概ね安定的に推移する事が見込まれます。
しかしながら、開発費の高騰や開発期間の長期化、海外企業の日本市場での台頭もあり、モバイルを中心としたソーシャルゲーム並びにコンシューマーゲーム共に多くの国内デベロッパー各社が継続して苦戦を強いられているのも事実であります。
このような環境の中、当社グループの「HRソリューション事業 人材派遣・受託」では、ゲーム会社各社の業績が軟調に推移する中、ゲーム及びエンターテインメントの周辺領域の新規取引先の開拓のみならず、M&Aを活用した新規領域への参入により、グループ全体での派遣事業の配属者数の拡大に取り組んで参りました。
また、「HRソリューション事業 人材紹介」の業績は軟調ながら、「メディア&ソリューション事業」の業績は堅調に推移いたしました。
これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高4,716,091千円(前年同期比8.8%増)、営業利益676,969千円(前年同期比2.8%減)、経常利益656,913千円(前年同期比6.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益415,997千円(前年同期比5.4%減)となりました。
報告セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<HRソリューション事業 人材派遣・受託>
主要な事業である「HRソリューション事業 人材派遣・受託」におきましては、主力のゲーム会社向け人材派遣サービス、並びにゲーム会社を中心とした顧客からの受託サービスを展開しております。
「HRソリューション事業 人材派遣・受託」では、中長期的には成長が見込まれているゲーム市場に対して、安定的な事業の継続拡大を企図して、ゲーム業界の大手並びに中堅企業への網羅的な求人獲得活動の継続、ゲーム業界志望者に対する効率的なマーケティング活動の実施、業界向けイベント開催を通した当社認知度の向上等に取り組んでおります。
人材派遣サービスにおいては、ゲームソフト・アプリケーション市場がモバイルを中心としたソーシャルゲームでは開発費の高騰や開発期間の長期化、海外企業の日本市場での台頭等から、多くのデベロッパー各社が苦戦の継続を強いられる状況下、市場全体として苦戦している状況にあります。
このような状況に対し、ゲーム及びエンターテインメントの周辺領域への取り組み、商圏の拡大を企図した取り組みである関西圏及び九州圏への進出、また、取り扱う契約形態の多様化観点からフリーランスマッチング市場への参入を進め、売上基盤の拡大に継続して努めて参りました。
また、2025年4月には大阪を拠点にクリエイター専門の人材サービスを展開する株式会社レッツアイを連結子会社化し、既存のゲーム業界と親和性の高いWeb職種をはじめとした職種の多様化に努めると共に、関西圏の顧客基盤の拡大を図り、2025年7月にはテレビ番組制作業界において人材サービスや業務受託を展開する株式会社BRAISE並びに株式会社ジーズ・コーポレーションを連結子会社化し、映像制作業界へ進出しております。
受託サービスにおいては、主にゲームタイトルのデバッグ業務を受託しており、守秘性が高いことから、新宿区に専用オフィスを設置しております。
現在稼働中の案件は安定的に推移しており、人材派遣事業との連携を図り、新規案件のリード獲得数増加に努めております。
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高3,157,574千円(前年同期比15.0%増)、セグメント利益587,621千円(前年同期比8.7%減)となりました。
<HRソリューション事業 人材紹介>
「HRソリューション事業 人材紹介」におきましては、メーカー・建設・不動産・エネルギー・IT・ゲーム・エンタメ等の業界を中心とした顧客企業に対して、アッパーミドル層を中心とした高いプロフェッショナル性を持つ求職者を紹介する職業紹介サービスを展開しております。
「HRソリューション事業 人材紹介」の市場において、構造的な労働力不足を背景に、国内企業における人材ニーズは各業界共通して高水準が維持されている反面、賃上げなどによる待遇改善が進んでいることから転職市場における人材の流動性が鈍化しております。
しかしながら、雇用人員判断では全規模並びに全産業での不足超幅が拡大を示しており、中長期的な市場の活性化が見込まれております。
この市場動向に対して、採用ニーズの高い既存取引企業向けの専任アカウンティングチームを編成、中小企業を中心とした新規企業の開拓を継続。AIも活用し一人の登録人材に対する提案求人数を拡大し生産性を向上させております。
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高791,355千円(前年同期比4.2%減)、セグメント利益288,023千円(前年同期比9.3%減)となりました。
<メディア&ソリューション事業>
「メディア&ソリューション事業」におきましては、製造業界・工場に特化した求人メディア「工場ワークス」を運営しております。
また、受託・その他のサービスとして、長年にわたり積み重ねたノウハウとHRTechを活用した採用アウトソーシングコンサルティングにより、企業の採用課題の解決を支援するサービス等を展開しております。
「メディア&ソリューション事業」の主な市場において、大企業製造業での景況感が悪化しつつあるものの中長期的には横ばいの見込であり、雇用人員判断で全規模並びに全産業での不足超幅が拡大を示すとおり、人材の獲得が困難な状況が継続しております。
また、新卒・中途のいずれの採用領域も既存の求人メディアのほかダイレクトリクルーティングサービスや人材紹介サービス、SNS系スカウトサービスなど様々な転職支援サービスが立ち上がり(「メディアとプラットフォームの分散化」)、求職者側の転職行動が多様化し人材の獲得難に拍車がかかる状況となっております。
メディアサービスにおいては、「応募者対応」への組織的な拡充強化に努め 、希望条件に合った求人案内や面接対策・書類作成支援など転職応募から面接・採用に至るまでの応募者対応サービスを展開し、SNSを活用した集客プロモーションとコミュニケーションツールの導入を進め、求職者との接点量拡大とLTV向上によるユニークユーザー数の拡大を図り、集客チャネルが多様化する中で集客効率の高いチャネルを見極めて費用投下し、緻密なアロケーションを実施することで広告プロモーション適正化を図っております。
採用支援サービスにおいては、業務シェアリングとプロジェクト間の人材ローテーションを実施し、業務プロフェッショナル人材の育成に取り組んでおります
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高772,598千円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益277,946千円(前年同期比9.6%増)となりました。
②財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,078,460千円増加し、7,692,889千円となりました。
これは主に、業績、配当金の支払、還付納税、及び株式会社レッツアイ、株式会社BRAISEの株式取得等を反映した結果の、現金及び預金の増加375,338千円、売掛金の増加237,472千円、及びのれんの増加309,796千円等によるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて754,348千円増加し、1,551,836千円となりました。
これは主に、業績、配当金の支払、納税等、及び株式会社レッツアイ、株式会社BRAISEの株式取得等を反映した結果の、1年内返済予定の長期借入金の増加221,277千円、未払法人税等の増加235,820千円等によるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて324,112千円増加し、6,141,052千円となりました。
これは主に、業績、配当金の支払等を加味した利益剰余金の増加200,020千円、RS(譲渡制限付株式報酬)の付与に伴う処分等による自己株式の減少119,708千円等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の87.3%から79.2%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて362,138千円増加し、4,356,380千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は830,697千円(前年同期は495,076千円の収入)となりました。主な増加要因として、税金等調整前中間純利益656,913千円、主な減少要因として、法人税等の支払額35,080千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は217,452千円(前年同期は37,338千円の収入)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出204,183千円、大阪支店移転に伴う差入保証金の差入による支出8,739千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は251,107千円(前年同期は1,052,514千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払216,394千円、長期借入金の返済による支出36,324千円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」をご参照下さい。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当社グループの主な資金需要は、人件費(給与及び賞与、法定福利費等)の支払、人材を募集するために利用する採用広告費、法人税及び配当金の支払いであります。また、一時的な資金需要として、情報システム投資や新規事業に係る設備投資、自己株式の取得、M&A等を想定しております。
②財務政策
当社グループは、事業の運転資金や新規事業に係る資金需要については自己資金による充当を基本としております。事業規模の急激な変動等に伴い運転資金が追加的に必要となる場合やM&Aを含む新規事業に係る資金需要が生じた場合には、財務健全性を考慮しながら当面は銀行借入により調達する方針であります。なお、当社の成長に必要な人材採用関連投資や設備投資に加え、M&Aを含む新規事業への投資は引き続き行っていく予定でございますが、手許資金に余剰感があり、株主の期待収益率を上回る投資が見つからない場合には、配当や自己株式の取得により株主への還元を行っていく予定であります。
該当事項はありません。