第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第49期

第50期

第51期

第52期

第53期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

4,425,524

5,359,056

6,476,419

7,091,921

6,516,011

経常利益

(千円)

209,266

416,757

668,338

639,343

54,492

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

113,262

327,482

477,043

509,571

14,584

持分法を適用した場合の

投資利益

(千円)

資本金

(千円)

376,621

420,254

421,469

421,739

421,739

発行済株式総数

(株)

4,150,000

4,415,000

4,424,000

4,426,000

4,426,000

純資産額

(千円)

1,226,868

1,640,659

2,080,920

2,548,528

2,471,025

総資産額

(千円)

3,618,880

4,094,472

5,180,594

5,754,517

5,412,535

1株当たり純資産額

(円)

295.63

371.61

470.37

575.83

558.67

1株当たり配当額

(円)

10.00

15.00

15.00

15.00

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

37.40

75.35

107.99

115.23

3.29

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

37.38

73.96

107.65

115.13

自己資本比率

(%)

33.90

40.07

40.17

44.29

45.65

自己資本利益率

(%)

11.90

22.84

25.64

22.01

株価収益率

(倍)

56.39

27.09

34.72

21.75

配当性向

(%)

13.27

13.89

13.02

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

215,465

24,489

60,295

495,213

197,325

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

38,865

45,929

230,267

357,407

188,346

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

214,989

118,436

170,916

158,955

39,613

現金及び現金同等物の

期末残高

(千円)

576,565

528,642

529,698

508,549

557,141

従業員数

(名)

345

359

370

448

455

株主総利回り

(%)

97.2

179.0

120.7

52.8

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

-)

102.0

107.9

152.5

150.2

最高株価

(円)

2,134

5,240

3,955

4,500

2,626

最低株価

(円)

1,050

1,492

1,701

2,130

916

 

 

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3.2020年10月15日開催の取締役会決議により、2020年11月11日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っていますが、第49期の期首に株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

4.第49期の1株当たり配当額及び配当性向については配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

5.当社株式は2021年3月24日付をもって東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場したため、第49期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新規上場日から第49期の末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

6.2021年3月24日付をもって東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場いたしましたので、第49期の株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。

7.株主総利回りの算定に使用した比較指標につきましては、2022年4月4日の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、JASDAQ INDEX スタンダードから継続して比較可能な配当込みTOPIXに変更しております。

8.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。なお、2021年3月24日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第50期の期首から適用しており、第50期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

10.第53期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

11.第53期の自己資本利益率、株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。

 

2【沿革】

年月

概要

1975年1月

富山県高岡市において、志貴野メッキ株式会社がメッキ材料の購入・販売を目的の100%子会社として、株式会社シキノ(資本金400万円)を設立。

1985年2月

本社を富山県魚津市江口へ移転。

1986年5月

志貴野メッキ株式会社がエレクトロニクス事業を開始。

1986年11月

志貴野メッキ株式会社がマイコンのソフトウエア・ハードウエア業務(現電子システム事業)を開始。

1987年5月

志貴野メッキ株式会社が半導体検査用基板(バーンインボード)の設計・製作事業(現電子システム事業)を開始。

1988年1月

株式会社シキノ電子に商号変更。

志貴野メッキ株式会社の電子事業部(現電子システム事業)の業務を当社に移管。

1988年8月

ICのレイアウト設計業務(現マイクロエレクトロニクス事業)を開始。

1990年4月

計測技術関連業務を開始。

1992年1月

株式会社シキノハイテックに商号変更。

1998年12月

富山県魚津市吉島に吉島工場を新設。

2001年3月

ISO14001(環境マネジメントシステム)の認証取得。

2003年11月

志貴野メッキ株式会社との親子会社関係を解消。

2004年10月

ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証取得。

2004年11月

カネボウ株式会社(現クラシエホールディングス株式会社)の電子関連事業(現マイクロエレクトロニクス事業)を譲受。

2004年11月

カメラ開発事業(現製品開発事業)を開始。

2004年11月

大阪デザインセンターを大阪府大阪市中央区に開設。

2004年11月

福岡県北九州市若松区に北九州地区の営業拠点として九州事業所を開設。

2005年10月

東京都港区に関東地区の営業拠点として、東京テクニカルセンターを開設。

2006年1月

株式会社小野測器の半導体検査装置事業を譲受。

2006年8月

大阪デザインセンターを大阪市淀川区へ移転。

2010年12月

ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得。

2011年7月

東京テクニカルセンターを東京都港区芝公園へ移転及び東京デザインセンターに名称変更。

2012年3月

本社を富山県魚津市吉島に新築移転。吉島工場を魚津工場に名称変更。

2012年6月

シンガポールに、現地法人Shikino High-Tech Singapore Pte.Ltd.を設立。

2015年2月

現地法人Shikino High-Tech Singapore Pte.Ltd.を清算。

2018年2月

資本金を17,031万円に増資。

2020年4月

福岡デザインセンターを福岡県福岡市早良区に開設。

2021年3月

東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。

資本金を41,262万円に増資。

2022年2月

九州事業所を拡張。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)からスタンダード市場に移行。

福岡デザインセンターを拡張。

2022年6月

MagikEye Incと資本業務提携。

2022年7月

熊本事業所を熊本県熊本市中央区に開設。

2023年3月

当社株式が東京証券取引所貸借銘柄に選定。

2023年5月

富山県魚津市に第二工場を稼働。

2023年11月

横浜デザインセンターを神奈川県横浜市港北区に開設。

2024年1月

株式会社アウトソーシングテクノロジーの電子関連事業の一部を譲り受け、福島県いわき市に福島事業所を開設。

2024年6月

神奈川事業所を開設。

 

3【事業の内容】

 当社は、半導体に関する事業分野について設計・生産・販売・サービス活動を展開しております。魚津工場及び福島事業所では、電子機器製品や半導体検査装置、システム製品、カメラモジュール製品などを生産しており、本社、東京デザインセンター、横浜デザインセンター、大阪デザインセンター、福岡デザインセンター、神奈川事業所、九州事業所及び熊本事業所の各拠点では営業、設計開発及び保守業務を行っております。また、販売については、一部を除き直販体制をとっております。

 なお、次の3部門は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 以下の(※)表記のある用語・内容につきましては、本項末尾の《用語解説》の項におきまして解説しておりますので、ご参照ください。

 当社の事業セグメント別の主要製品及び技術は、次のとおりです。

事業セグメント

区分

主要製品及び技術

電子システム事業

半導体検査・装置関連

バーンイン装置、バーンイン装置レンタル、バーンインボード(※1)、半導体部品の検査ボード、半導体のテストプログラム、各種電子機器検査用ボード、専用計測器、高速通信機器、電子機器の開発・設計・製造

マイクロエレクトロニクス事業

LSI(※2)設計

(アナログ・デジタル)

電源IC(※3)設計、高速I/F(※4)設計、イメージセンサ設計、画像処理系LSI設計、FPGA(※5)設計、ASIC(※6)設計、技術者派遣

IPコア(※7)

JPEG(※8)、MIPI(※9)、ISP(※10)

製品開発事業

製品開発事業

画像関連機器、CMOS(※11)カメラモジュール、画像処理システム、画像処理モジュール

 

(1)電子システム事業

 電子システム事業では、半導体製造工場で使用される検査関連機器及び装置を扱っております。半導体検査業務は顧客企業の製品に必要な工程であり、特に車載向けの顧客製品では、同工程は重要な検査工程です。

 当社は半導体検査工程のうち、主に車載用半導体部品に検査実施が要求されるバーンイン装置とバーンインボード及び周辺機器や治具の開発・製造を行っております。

 また、半導体周辺機器開発により培われた技術で、産業顧客の製品生産工程における検査ボードや専用計測器、更には各種電子機器の開発・設計・製造を行っております。

 

(2)マイクロエレクトロニクス事業

 マイクロエレクトロニクス事業では、半導体のLSI設計(アナログ・デジタル)及びIPコアの開発などを行っております。

 LSI設計アナログ系では、回路設計、レイアウト設計、特性評価から、テスト部門との連携によるLSIテストプログラム作成までの一貫設計体制を構築しております。また、設計技術者の人材派遣を行っております。特に、高速I/F及び電源ICの設計技術で設計・評価技術を確立しております。また、LSI設計デジタル系では、画像処理及び高速I/Fをメインに設計しております。開発したLSIの主な用途としましては、デジタル情報家電(携帯電話、DVD、デジタルカメラ、液晶テレビなど)及び車載機器関連(カーナビゲーションなど)となっております。

 ASIC開発で培った画像処理技術をベースに、オリジナルIPコアの開発を行っており、豊富な実績を誇るIPコアのライセンスから周辺回路設計やカスタマイズまで対応可能であります。

 

(3)製品開発事業

 画像技術を活用した産業用組込カメラ、画像処理カメラの開発・製造及びシステムの開発を行っております。複雑な画像処理をカメラ単体で実現可能としており、画像検査や計測、各種認識処理等、様々な用途に幅広く活用できます。専用クリーンルームを完備した国内自社工場での一貫生産による、高信頼性と中長期にわたる安定供給を実現しています。

 システム開発事業は、主に画像処理システムを開発しております。カメラを中心としたソフト開発を行っており、組み込みカメラシステム分野での技術力が強みとなっております。

 

《用語解説》

(※1) バーンインボード

 バーンインは、半導体の初期不良を除去する選別方法の一種で、半導体製品を通常の使用状態よりも高温環境下で動作させることで、通常の使用環境であれば2~3年以内で故障するおそれのある半導体を取り除くテスト工程(パッケージバーンインテスト)です。バーンイン装置は、高温環境下をつくる試験装置、バーンインボードは、半導体を動作させる周辺回路を持ち、バーンイン装置内で駆動するボードのことです。

 

(※2) LSI(Large Scale Integrated Circuit)

 「LSI」とは、シリコンウェハ(半導体製品の製造に使用される導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質)で形成される大規模集積回路を意味しております。「LSI」は、Large Scale Integrationの略称であり、「半導体」とも呼ばれています。

 

(※3) IC(Integrated Circuit)

 半導体集積回路。トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの素子を集めて基板の上に装着し、各種の機能を持たせた電子回路のことです。

 

(※4) I/F回路(アイエフ回路)

 受信機・通信機において周波数変換された信号を処理する電子回路のことです。

 

(※5) FPGA(Field Programmable Gate Array)

 ユーザーが欲しい機能を作る(プログラムする)ことができる論理LSIのことです。マイクロプロセッサやASIC(ある特定用途のために設計されたIC)の設計図を送り込んでシミュレーションすることができます。

 

(※6) ASIC(Application Specific Integrated Circuit)

 ある特定の用途のために設計されたICのことです。注文に応じてゼロから設計するフルカスタムICと、あらかじめ特定の機能を持った回路ブロックを組み合わせた「半完成品」をもとに、配線を変えることで要求に合わせるセミカスタムICの2種類があります。

 

(※7) IPコア(Intellectual Property)

 「IPコア」とは、LSIを構成するための部分的な回路情報のうち、特に単一機能でまとめられた物を指します。「IPコア」は、Intellectual Property Coreの略称です。

 

(※8) JPEG(Joint Photographic Experts Group)

 静止画像データの圧縮方式の一つです。ISOにより設置された専門家組織の名称がそのまま使われています。圧縮の際に若干の画像劣化を許容する(一部のデータを切り捨てる)方式と、まったく劣化のない方式を選ぶことができ、許容する場合はどの程度劣化させるかを指定することが可能です。現在のデジタルカメラのほとんどは、記録画像のファイル形式にJPEGを使用しています。

 

(※9) MIPI(Mobile Industry Processor Interface)

 非営利な企業団体MIPI Alliance(本部米国:ノキア、テキサス・インスツルメンツ等により設立)が策定する、モバイル機器のカメラやディスプレイとのインターフェイス規格です。

 

(※10) ISP(Image Signal Processor)

 「ISP」とは、カメラの中に入っている機能であり、画像の信号を処理する機能です。

 

(※11) CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)

 半導体素子の構造の一つで、金属酸化物でできた一対のP型トランジスタとN型トランジスタを組み合わせたもの。消費電力が少なく高速に動作するため、半導体製品の多くに採用されております。

 

[事業の系統図]

0101010_001.png

 

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

455

42.0

11.4

4,950

 

セグメントの名称

従業員数(人)

電子システム事業

180

マイクロエレクトロニクス事業

149

製品開発事業

57

全社(共通)

69

合計

455

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.臨時従業員数(契約社員、パートタイマー)は、その総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)として記載されている従業員は、管理部門等に所属しているものであります。

 

(2)労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

9.6

85.7

58.1

65.4

31.6

(注)3

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.男女の賃金差異に影響を与えている主な理由は以下のとおりであります。

(1) 正規雇用労働者

 男性は管理職者が多い一方、女性は管理職に占める割合が9.6%とまだ少なく、またエンジニアとして都市部に勤務し都市手当を受給する者及び扶養する者を有し家族手当を受給する者の多くは男性社員であります。

 また、育児短時間勤務者は全員が女性社員であり、労働時間を換算せず、実績値で算出しております。

(2) パート・有期労働者

 男性は、正社員から定年を迎えた継続雇用者が多く比較的給与水準が高い一方、女性は勤務時間の短いパート社員が多く、かつパート社員は労働日数や労働時間を換算せず、実績値で算出しております。