第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)企業理念

[社是]

和して拓く

[社訓]

一、社業を通じ社会に奉仕

一、企業の永続と繁栄

一、社員の幸福と人格の向上

[行動指針]

自ら考え自ら行動する。挑戦なくして成功はない。

[経営理念]

我が社は、お客様の信頼を得る製品とサービスを創り出し、立ち止まらず、高いモラルを有し、発展し続ける企業を目指します。

[Mission]

テクノロジーで新しい価値を創造し、安全・安心・効率的な社会の実現に貢献

[Vision]

社会が求めるソリューションを「計測」×「デバイス」×「カメラ」で提案・実現

[Value]

常に「どうあるべきか」を念頭にチャレンジ、事実を直視し考え行動する「Fact・Think・Act」の実践

 

(2)経営方針

 当社は、2025年度~2027年度の中期経営計画において、次の4項目を経営の基本方針としております。

1.中核事業の競争力強化

2.新技術・新製品の創出、早期事業化

3.新市場、グローバル事業の拡大

4.デジタルインフラ活用と人材育成

 

(3)経営環境

 当社を取り巻く環境としましては、AI関連を中心に半導体は継続して増産基調にあり、国内半導体市場は活性化の動きが見られます。また、カーボンニュートラルや車載EV化に向け、パワー半導体市場においても活性化が進むものと見込まれます。一方、車載半導体の在庫調整局面の継続や車載EVの成長鈍化など、厳しい動きも見られます。また、グローバルでの政治体制変化による不確実性は増大しており、中国経済の低迷も継続するなど、先行き不透明な状況が続くと見込まれます。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、2025年度~2027年度中期経営計画の中で、2027年度の目標を次のとおりとしております。

 

2027年度目標

売上高

85億円~

経常利益率

6.5%~

ROE

15%~

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 成長戦略

 成長戦略に向けた計画の実行、中核事業の成長加速、新技術や新製品の創出早期化・事業化推進、新市場、グローバル戦略の推進に取り組んでまいります。

② 品質と信頼性の追求

 顧客最優先と品質至上を徹底し、信頼性を高め、価値ある製品とサービスを提供します。具体的には、設計品質、製造品質、サービス品質の向上を目指します。

③ 優秀な人材の育成・確保

 当社の成長力の源泉となる人材育成は、全従業員対象のeラーニング・新人研修・選抜研修・階層別研修・スキルアップ研修・コンプライアンス研修等の社内外教育を優先事項として取り組んでまいります。また、採用活動においては、人材の多様化に配慮して広い視野で実施することとし、機会を広げるためWEB面接を多用し、将来を担う優秀な人材の確保に努めてまいります。

④ 従業員エンゲージメントの向上と企業風土の浸透

 当社は、「社是」「社訓」「行動指針」を掲げており、風土やチャレンジ精神の向上を目指しながら定着に向けて取り組んでおります。当期においても様々な施策に取り組みましたが、今後も採用、育成、評価などの人事サイクルに組み込みながら、従業員との共有を図り根付かせ、エンゲージメントのさらなる向上に努めてまいります。

⑤ コーポレート・ガバナンスの推進

 持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要と考え、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに監督体制の構築を図っております。また、経営の健全化の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を強化するため、当社全体でリスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを実施しております。加えて、取締役会の多様性、独立社外取締役の活用など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)考え方・体制

 当社を取り巻く環境や社会問題、それらとの関係に目を向け、企業価値の向上につながる取組を進めることが重要な経営課題の一つであると認識し、品質・環境方針を定めています。冒頭の宣言では「当社は、社訓、経営理念、品質ポリシー実現のため、品質・環境マネジメントシステムを構築し、継続的な改善に努め、方針、目標を達成することにより、社会に貢献します」としております。品質・環境マネジメント体制は、ISO14001の認証を取得し、「品質・環境委員会」の組織のもと活動を統制しています。

 また、全社的なリスク管理における重要リスクを挙げ、この中でサステナビリティ課題が当社の事業にもたらすリスクと機会を把握し、それらに適切に対応できるようモニタリングしています。これは「リスク・コンプライアンス委員会(以下、「RC委員会」という。)」の組織のもと活動を統制しています。

 さらに、社会貢献への取組、SDGsへの取組については、人事総務部において活動を統括しています。

 現在は、サステナビリティについて専門の組織を設けておりませんが、今後必要に応じて組織設置を検討していく考えであります。そのうえで「社会と経済をつなぐサステナビリティの推進」を掲げ、サステナビリティ関連情報の発信に係る機能強化や、各種施策への取り組みを検討していきます。

 

[ガバナンス]

 当社は、上記の考え方・体制のもと、「品質・環境委員会」は品質・情報管理本部長を委員長とし、「RC委員会」は代表取締役社長を委員長として活動しております。「RC委員会」においては、リスク管理の観点からも四半期ごとに委員会を開催し、現状報告とリスクを把握しており、重要事項は適宜取締役会に報告し、監督が適切に図られる体制を整えています。

 

[リスク管理]

 当社は、様々なリスクに対応するため、代表取締役を委員長とする「RC委員会」及び「内部監査室」を設置し、「リスク管理規程」に従って、未然防止の観点からリスクの認識と対応策の整備・運用を行うとともに、リスクが顕在化あるいはその恐れが生じた場合には、早期に適正な対応をとる体制を整えています。「リスク管理規程」では、当社が抱えるリスクを特定したうえで分類し、所管部署が管理することとしており、その運用に関する情報は「RC委員会」にて四半期ごとに定期的に集約して、適宜取締役会に報告しています。サステナビリティ関連のリスクについては、取締役会や幹部会において「事業環境・事業戦略リスク」に係る重要リスクに特定し、人事総務部が管理しています。

 

(2)気候変動に関する取組

 当社は、気候変動がリスクと機会の両面から当社の持続的な成長に影響を及ぼす可能性があることを認識しております。現在はまだ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示を進めておりませんが、今後、提言内容を気候変動関連リスク・機会への対応を進める際の指針として活用することを検討してまいります。

 

[戦略]

 当社は、気候変動がもたらすリスク・機会として想定される事項と、それらが当社の事業・戦略・財務計画に与える影響を検討し、リスク低減や企業価値向上に向けた施策を講じてまいります。気候変動への対応は長期的で不確実性の高い課題であることから、戦略を検討するにあたっては、中期(~2030年)、長期(~2050年)の時間軸を設定し、気候変動に関する物理的リスク、移行リスク・機会として想定される事項を特定したうえで、複数の外部シナリオ下における戦略や財務計画への影響・対応方針等を検討していきます。

 

[指標及び目標]

 当社は、気候変動への対応として、主な温室効果ガスの排出要因である電力の調達方法を見直し、2023年稼働の第二工場で消費する電力の100%を再生可能エネルギーにしたことを皮切りに、2024年5月にはオフサイトPPA(パワーパーチェスアグリーメント)契約を締結し、2025年3月より本社・魚津工場で太陽光発電による電力供給を開始しました。これらにより、本社・魚津工場・第二工場での使用電力の36.4%が再生可能エネルギーとなり、年間で約261トンのCO2排出量の削減となる予定です。2030年度までに当社全体で消費する電力の100%を再生可能エネルギーに切り替え、Scope2(間接的なCO2排出量)排出量をゼロにすることを目指します。

 

 

(3)人的資本経営の取組

① 人材戦略の考え方

 当社では「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)企業理念」に記載の考えを掲げており、長年の「技術力」と「ものづくり力」を活かし、当社ならではの「新しい価値」を創造し、時代の要求に応えていくことが企業価値の最大化にもつながると考えています。これが当社の採用活動や当社従業員のエンゲージメントの源泉となっています。

 また、この考えの下、2027年までの中期経営方針の中で目指す企業イメージとして、従業員に関する以下の事項を掲げております。

・失敗を恐れずチャレンジすることができる会社

・多様性があり、風通しの良い会社

・社員が誇れる・働き甲斐があり、社員が成長できる会社

 

 こうした中期の将来像を実現していくために、多様性に富んだチャレンジ精神旺盛な人材を採用・育成し、全ての人材の能力発揮のための環境を整備することを人材戦略の基本的な考え方としています。

 

② 人材の採用・育成について

 社是・社訓・行動指針に掲げているとおり、会社が永続的に繁栄することで社会貢献を目指すこと、その原動力は人材すなわち従業員であり、そのチャレンジ精神・行動力によって当社の企業価値の向上に取り組むことのできる人材や、高いコミュニケーション能力を発揮し、多様なステークホルダーとの共存意識を有する人材、現状に満足せず、より高い次元を目指そうとする人材を積極的に採用しています。

 また、採用後の人材育成の方針として、社内の各組織が、同じ目的に向けて効果的に行動するために、集団としての「意識」と「能力」を継続的に高め伸ばし続ける組織である「学習する組織」を実現することで人と組織が活性化し続けることを目指します。

 このための人材育成方針の実現に向けた戦略として、以下の3点を掲げております。

・自発的成長を促す

・エンゲージメントの向上

・社会人基礎力を鍛える

 

 キャリアの前半は、基礎的研修による適性発見、中堅クラスは自薦も可能な積極的な研修と将来に向けた選抜研修、管理職クラスはコーチング研修や幹部候補生研修、更には選抜によるエグゼクティブ研修により、機会の提供を通じて、従業員の能力伸長や適性発見を図り、俯瞰的な視点と強みとなる専門分野を兼ね備えた人材を育成してまいります。

 2023年4月より、これまで以上に人材育成に注力するため人事課を設置し、採用から育成・研修、登用までトータルで人材開発を実施しております。

 育成・研修について、従業員個々人のキャリアの段階に応じた内容を学ぶ階層別研修や、社内外での様々な研修等を用意してまいります。また、従業員が自らの意思で積極的に専門的な知識や最新の情報を吸収し、広い視野や自由な発想力を獲得することのできる環境の整備を更に推進してまいります。

 

③ 全ての人材の能力発揮のための環境整備等について

(a)多様な人材の活躍推進

 当社では、性別・国籍・年齢などにかかわらず、多様な人材が活躍できるよう、採用方針とともに常に啓蒙を実施しています。育児期の従業員のために法定を上回る両立支援制度を整備しているほか、男性の育児参加が増えていくことが社会全体の女性活躍の推進につながるという考えに基づき、男性従業員の育児支援制度の利用を積極的に推奨しており、2024年度においては、6名の男性従業員が育休を取得し、取得率は85.7%、平均取得日数は21.2日となりました。

 

 

分類

項目

2023年度

2024年度

男性従業員の

育休取得の状況

育休取得率

80.0%

85.7%

(取得者数)

(4人)

(6人)

平均取得日数

44.0日

21.2日

 

 また、女性従業員については、出産・育児等の重大な局面に伴い、キャリアのブランク期間が発生しやすいことから、特に会社のサポートが重要であると考えています。そのため、育休からの復職前面談などによるスムーズな復職をサポートする取組や育児との両立支援制度を充実させることで、過去3年間の育休からの復職率は100%の水準を維持しています。このように、女性従業員がキャリアを中断することなく、働き続けられる環境を整備するとともに、女性管理職の登用についても積極的に取り組んでいます。これらの取組の結果、2025年3月末時点の女性管理職は5人、女性管理職比率は9.4%となっております。これに続く中堅従業員(主任・係長級)には10人の女性従業員を将来の管理職候補として登用しております。今後は、新たに登用目標を設け、女性管理職を2026年度までに5名以上、2030年度までに10名以上とすることを目標としてまいります。

 なお、2025年3月末時点で、中途採用従業員の比率は66.4%、中途採用従業員管理職の比率は74.5%となっており、中途採用に積極的であること、中途入社のハンディが無い実態が現れております。また、外国人従業員の比率は0.9%、外国人管理職の比率は0.0%となっております。引き続き、性別・国籍・年齢に関わらず、技術・金融・ITなどの業務経験や専門的なスキルを持つ人材を中心に中途採用を実施していくとともに、外国人については業務経験のない新卒採用も行い、優秀な人材を登用していくことで、中途採用管理職の維持・向上及び外国人管理職の登用に努めてまいります。

 

(参考)当社における中途採用従業員・外国人従業員の登用状況(2025年3月末時点)

項目

全体

中途採用従業員

外国人従業員

従業員数

(比率)

455名

(100.0%)

302名

(66.4%)

4名

(0.9%)

管理職数

(比率)

55名

(100.0%)

41名

(74.5%)

0名

(0.0%)

 

 そのほか、シニア従業員のより一層の活躍を促進するため、2006年4月より、60歳で定年退職したのち、再雇用制度に基づいて65歳まで働くことを可能としております。今後の検討事項として、定年年齢を60歳から引き上げ変更する定年延長を検討したいと考えております。定年延長を実施して、60歳以降に期待する役割や処遇について見直しを行うことにより、従業員が60歳で一度退職するという意識を持つことなく、引き続き高い使命感や責任感を保ったまま、安心して業務に取り組むことができる環境を整備したいと考えております。シニア従業員の持つ豊富な業務経験や知見を活かして、技術の伝承などを推進していきたいと考えております。

 

(b)ウェルビーイング

 全ての従業員が能力を最大限に発揮するためには、心身が健康であるとともに、熱意や活力をもって働くことを通じて、社会的にも満たされた状態(well-being)になることが重要です。当社では、従業員の考え、困りごとの把握及び人事施策の改善へとつなげるために代表取締役社長によるダイレクトコミュニケーションを実施しております。会社に対する愛着・帰属意識を高めていくため、組織エンゲージメントの向上に努めてまいります。2024年度は管理職階層に対してはダイレクトコミュニケーションを実施し、また全従業員に対しては「従業員満足度調査」を実施する等、現在の仕事の満足度、今後の目標、環境改善要望、組織風土、処遇、経営について等、多岐にわたる項目について回答してもらい、現状認識とともに課題を集約して改善に活かす動きを行っております。

 また、健康経営の推進に向けた取組については、これまで傷病者への適切なケア・早期復職に向けた支援など、産業医と連携した取り組みを中心に行いましたが、2024年度の傷病者数は9名と前年と同じとなりました。それでも、定期健康診断受診率、ストレスチェック受検率はいずれも100%となっており、心と身体の健康に関する相談や面談、情報提供等をより行いやすい体制を整備しており、今後は健康経営の推進体制の更なる強化及び傷病等の未然防止に向けた活動にも注力し、当社で働く全ての従業員が最大限に能力を発揮できる環境を整備してまいります。

 加えて、当社では、従業員の長期的な資産形成を支援する観点から、福利厚生制度として従業員持株会制度を導入しており、また、確定拠出年金のマッチング拠出制度を導入しております。2025年3月末時点で、従業員持株会は従業員の20.9%が加入し、確定拠出年金は従業員全員が加入しております。また、52.2%の従業員がマッチング拠出を行っております。当社では、確定拠出年金の運用について従業員自身が正しい金融知識を身に付け、資産形成の一助となるよう1年に1回は運用機関から専門家を講師として招き、研修を実施しており、今後も自律的な資産形成の促進を支援してまいります。

 

④ 人的資本に関するデータ

項目

分類

2023年度

2024年度

従業員数

(比率)

全従業員

448名

(100.0%)

455名

(100.0%)

中途採用従業員

304名

(67.9%)

302名

(66.4%)

外国人従業員

4名

(0.9%)

4名

(0.9%)

管理職数

(比率)

全従業員

46名

(100.0%)

55名

(100.0%)

中途採用従業員

34名

(73.9%)

41名

(74.5%)

外国人従業員

0名

(0.0%)

0名

(0.0%)

 

項目

分類

2023年度

2024年度

従業員数(名)

*うち数は重複する場合がある。

全従業員

448

455

うち男性

341

344

(比率)

(76.1%)

(75.6%)

うち女性

107

111

(比率)

(23.9%)

(24.4%)

うち外国人

4

4

(比率)

(0.9%)

(0.9%)

うち中途採用

304

302

(比率)

(67.9%)

(66.4%)

採用数(名)

新卒採用

7

15

うち女性

1

1

うち外国人

0

0

中途採用

85

15

うち女性

37

6

うち外国人

2

0

平均勤続年数(年)

全従業員

11年0ヶ月

115ヶ月

男性従業員

11年8ヶ月

12年1ヶ月

女性従業員

8年9ヶ月

9年0ヶ月

定期健康診断受診率

100.0%

100.0

ストレスチェック受検率

100.0%

100.0

傷病者数

9名

9

平均残業時間

(時間)

全従業員

25時間40分

21時間06分

男性従業員

28時間47分

24時間54分

女性従業員

14時間59分

10時間36分

平均有給休暇取得日数(比率)

13.3日

12.7

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社は、これらのリスク発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。

 なお、以下に記載された事項は、当社の全てのリスクを網羅するものではありません。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)事業環境に関するリスク

① 景気変動について

 半導体産業は、デジタル家電、モバイル通信端末の成長及び自動車の半導体搭載比率の増加等により、今後も成長が期待されております。一方、半導体業界には、シリコンサイクルと呼ばれる業界特有の景気変動が想定され、その影響を受けることが考えられます。最終製品であるエレクトロニクス製品の需要動向の変動に対し、供給が需要を上回り、価格が低下した場合は半導体メーカーが投資抑制を行うため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社について

 国内外のメーカーとの価格競争の激化により、販売価格が著しく下落する可能性があります。また、高シェア製品でも将来も優位に立てる保証はありません。他社新製品の開発により販売数量が減少するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 顧客の設備投資の変動について

 当社の半導体検査装置は、半導体製造における後工程で主に使用されておりますが、半導体業界は市場動向により需給の変動が激しく、顧客の設備投資の動向も、これに合わせて短期で変動する傾向にあります。当社の想定よりも急激な需給の変動が生じた場合、需要増に対応し切れず、受注機会を逸し、急激な需要減により、受注獲得が困難になる等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制等について

 当社では、事業活動を展開するにあたり、種々の法的規制に適切に対応するよう努めております。中でも海外向けの輸出入においては、行政当局等との法令解釈の相違など、意図せぬ形での違反行為を犯すリスクを完全に排除しきれません。違反行為との判断が下された場合、多額の費用負担の発生及び企業イメージに悪影響を与える可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 労働者派遣法改正について

 当社は無期雇用型技術者派遣事業を行っております。今後新たな法規制が設けられた場合、事業活動に制限を受ける等の影響を及ぼす可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 品質管理・製造物責任について

 当社は、品質管理体制を整備してISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得し、品質管理に万全を期す体制を整備しておりますが、欠陥が発生しない保証はありません。製造物責任賠償保険に加入しておりますが、製造物賠償につながる製品の欠陥は、そのコストや当社に対する評価を著しく低下させ、売上高の減少等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 環境への責任について

 当社は、環境管理体制を整備してISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得し、環境に関する諸法規に対応した設備を保有し、当該関連諸法規に対応した処理を行っておりますが、関連諸法規の改正による追加の設備投資又は人為的ミス等により環境汚染が発生した場合や、関係法令の改正等により新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 資材・供給品の調達について

 当社の生産活動には、資材、部品及びその他の供給品が必要です。当社では、信頼できる仕入・外注先を選定し、十分な受入検査体制をとっておりますが、現在は資材、部品不足による調達の難易度はピークアウトしたとはいえ、予断を許さない状況は続いております。万が一、欠陥のある資材、部品及びその他の供給品が納入され、当社製品の信頼性及び評判に悪影響を及ぼした場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業内容に関するリスク

① 収益構造が下期偏重となることについて

 当社の主要顧客である企業は3月決算が多く、顧客の予算編成は、通期又は半期単位で行われ、特に国内企業は下期偏重の予算執行となる傾向があります。当社製品を顧客が購入する場合においても、この予算執行のタイミング及び顧客の製品開発サイクルに影響される傾向にあります。このため、当社の業績は下期偏重となっております。

 

② 特定顧客との取引について

 当社は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおり、特定顧客への依存度が高い状況にあります。当社は、新規事業や新規得意先の開拓により特定の得意先に依存しない収益体制を構築すべく努めているほか、今後においても従来の重要な得意先からの受注獲得に努め、良好な関係を維持していく方針であります。しかしながら、今後も依存の高い顧客から継続的な受注を得られる保証は無く、何らかの理由により顧客との関係に変化が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新等への対応について

 当社が製品・サービスを提供する半導体業界は、技術進歩が著しく、また激しいコスト競争に晒されております。当社では、多様化する顧客ニーズを把握するため営業拠点を充実させるとともに、今後予想される技術変革をいち早く予測し、新製品、新技術等の研究開発活動を推進しておりますが、顧客が要求するニーズに対して、競合他社よりも先行対応できなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ロイヤルティ契約について

 当社は顧客との間において、当社製品を搭載した電子機器又は半導体製品などの出荷台数等に応じて、ロイヤルティを受領する契約を締結しております。したがって、当社のロイヤルティによる売上高は、顧客の電子機器又は半導体製品などの出荷台数に影響を受けることになります。顧客の販売実績が見込みを下回り、販売時期が計画より変更となった場合、当社の売上高、利益ともに影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 為替相場の変動について

 当社は海外においても事業を展開していることから、外国為替相場の大きな変動は当社の外貨建てで取引されている売上高並びに仕入高に影響し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営管理体制に関するリスク

① 人材の確保及び育成について

 当社の事業では、電子回路の基礎知識から応用技術までの幅広い知識を有する優れた技術者を確保し維持する必要があります。これらの人材を十分に確保できなかった場合及び将来優秀な技術者が多数離職した場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報管理について

 当社では、取引先等の機密情報については、社内規程の整備や従業員への教育等を行うことにより情報漏洩の防止に努めております。しかしながら、万が一、情報漏洩が起きた場合、多額の費用負担の発生及び企業イメージの悪化により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権について

 当社では、必要に応じて、製品又はその技術に関して知的財産権の特許出願等を行い、法的保護を受ける方針であります。今後、当社の事業分野における第三者の特許権等が成立し登録された場合もしくは当社が認識していない特許権等が成立している場合等、当該第三者から損害賠償や使用禁止、あるいは当該特許権等に関する対価の支払等の請求を受けた場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 固定資産の減損について

 当社では、土地、建物、機械設備等多くの固定資産を保有しています。管理会計上の区分を基準に、事業用資産は事業本部別、賃貸用資産は個別資産ごとにグルーピングしておりますが、各事業本部の収益性の低下に伴う将来キャッシュ・フローの悪化により、固定資産の減損処理を行う必要性が生じた場合に、当社の財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 株式価値の下落について

 当社は、投資有価証券の一部として国内上場企業等の株式を保有していますが、株式価値の下落により保有株式の評価損を計上し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害等について

 当社の事業拠点は、主に富山県魚津市、大阪府大阪市、東京都港区、福岡県福岡市・北九州市、熊本県熊本市、神奈川県横浜市、福島県いわき市に立地しており、当地及びその周辺で地震、台風等の自然災害、事故又は当社がコントロールできない事象が発生した場合、操業の停止等様々な損害を受ける可能性があります。当社はBCP(事業継続計画)活動に取り組んで上記損害の影響軽減に努めており、さらに損害保険にも加入しておりますが、考えうるすべての損失について保険に加入しているわけでなく、当社の受ける損失すべてが保険により補填される保証はありません。そのため、上記のような事象が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つと考え、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。しかしながら経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、5,412,535千円となり、前事業年度末に比べ、341,982千円減少いたしました。これは主に、契約資産が313,985千円、ソフトウエアが239,528千円、繰延税金資産が104,149千円増加した一方、ソフトウエア仮勘定が229,300千円、売掛金が226,452千円、電子記録債権が119,272千円、製品が113,602千円、受取手形が100,351千円、原材料及び貯蔵品が86,068千円、建物が79,229千円減少した影響によるものであります。

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、2,941,509千円となり、前事業年度末に比べ、264,479千円減少いたしました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が159,935千円増加した一方、未払金が125,259千円、未払法人税等が80,829千円、支払手形が64,632千円、短期借入金が50,000千円、賞与引当金が48,008千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は、2,471,025千円となり、前事業年度末に比べ、77,502千円減少いたしました。これは主に、繰越利益剰余金が80,972千円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は45.7%(前事業年度は44.3%)となりました。

 

② 経営成績の概況

 当事業年度における世界経済は、欧米におけるインフレの鈍化や中央銀行による政策金利の引き下げが行われるなど、景気の緩やかな回復基調が見られましたが、米国新政権による関税政策により、先行きの不透明感が急速に高まりました。また、中国では不動産市場の低迷や内需の不振が長期化し、ロシア・ウクライナの紛争問題、中東地域の情勢混迷も継続するなど、経済の先行きが見通せない状況で推移しました。国内においては、エネルギーや食品価格の高騰等による物価上昇が進展しましたが、雇用・所得環境の改善による個人消費の回復やインバウンド需要の増加等の動きもあり、景気全体としては緩やかな回復基調で推移しました。半導体市場においては、生成AIの活用が拡大する中、サーバーやデータセンター向け需要が市場の伸びを大きく牽引しましたが、パソコンやスマートフォン、車載向け等の需要は低調に推移しました。

 このような環境の中、電子システム事業においては、自動車市況の低迷や車載用半導体の市場在庫過多による生産調整局面が続き、また、一部顧客においてテストコスト削減を目的とした雰囲気温度内でのバーンインレス化が急速に進んだこともあり、バーンインボードを中心とする半導体後工程商材の受注が大きく減少しました。一方で新商材として取り組んでいるAI製品向けバーンインボードの受注及び高電力LSIやセンサー向けカスタムバーンイン装置で使用するバーンインボードの受注が伸びました。また、次世代機としてのカスタムバーンイン装置の顧客要求内容も具体化し、開発に着手しました。産業機器向け製品では、車載機器向け専用計測器が仕向け・用途が変化したことにより1台あたりの受注額が大きく減少しましたが、その一方で非車載計測機器開発案件の具体的作業は順調に進んでおり、一部製品ではリピート生産時期の具体的協議開始に至りました。前事業年度の第4四半期より新たな拠点となった福島事業所においては、既存顧客製品の受注が市況の低迷により想定以上に減少しましたが、新たな顧客の開発案件は順調に進捗しており、2025年度の量産時期協議に着手するなどの取り組みを継続しました。

 マイクロエレクトロニクス事業においては、アナログLSI設計受託売上の安定化に向けて、センサー半導体に注力するとともに、自動車分野等の電源、海外顧客に注力しました。また、デジタルLSI設計受託についても自動車分野向けデジタル設計に注力しました。このほか、画像系IP販売とデジタル系の設計受託を目的に、FPGAボードを活用したプラットフォームを準備し、これを活用したIP、設計受託の拡販活動を進めるとともに、業界における旺盛な半導体需要のために設計人材の確保が難しい状況は続いていることから、海外技術者の採用も積極的に進めました。

 製品開発事業においては、インフラ、産業、医療分野で引き続き販売活動を進めました。インフラ分野の一つである国内ATMの市場は減少していますが、セルフレジなどPOSターミナル市場や医療用検査機器市場は増加傾向にあるなど、市場によって濃淡があります。また、今後の販売拡大に向けて、海外ビジネスパートナーの探索や欧州、韓国での製品拡販も進めるとともに、新たな市場ニーズにお応えするため200万画素ネットワークカメラ、150万画素グローバルシャッターMIPIカメラやAIソリューション向け製品の後継機を開発し、製品のラインナップ増強を進めています。医療・介護向けカメラシステムの製品については開発完了し、商品販売の準備が整いました。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高6,516,011千円(前期比8.1%減)となり、営業利益は56,300千円(同90.7%減)、経常利益は54,492千円(同91.5%減)となりました。また、電子システム事業の福島事業所や製品開発事業の固定資産に関し、現下の収益性の低下を鑑みて将来キャッシュ・フローの見積りを行った結果、減損損失150,892千円を特別損失として計上したことから、税引前当期純損失は87,525千円となりましたが、将来減算一時差異のスケジューリングの見直しによる繰延税金資産の計上も作用して、法人税等調整額が△104,289千円の計上となったことから、当期純損失は14,584千円(前事業年度は当期純利益509,571千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.電子システム事業

 電子システム事業は、車載用半導体の市場在庫過多により主要顧客の生産調整が続く中、設備投資が抑制・凍結され、車載向けバーンインボード受注減少が継続しました。また、車載向け専用計測器も仕様・仕向けが変わることにより、受注額が大きく減少しました。

 これらの結果、売上高は3,019,749千円(前期比13.8%減)、セグメント営業損失は29,293千円(前事業年度はセグメント営業利益434,228千円)となりました。

 

b.マイクロエレクトロニクス事業

 マイクロエレクトロニクス事業は、次世代自動車向けのLSI開発が堅調に推移し、アナログLSIに関しては、電源設計での増額と海外顧客からの設計案件受注により大幅な増加となりました。一方、デジタルLSIについては市況悪化の影響により、設計受託の需要が大きく減少しました。IPのロイヤリティーは堅調に推移しました。

 これらの結果、売上高は2,068,759千円(前期比1.7%減)、セグメント営業利益は168,900千円(同30.6%減)となりました。

 

c.製品開発事業

 製品開発事業は、国内ATM向けやセルフレジ向けビューカメラが減少し、カメラ製品の受託開発も低調な結果となりました。一方、昇降機向けビューカメラや医療検体検査装置向けセンシングカメラは好調でした。また、鉄道列車内向けカメラなど計画外の需要もありましたが、事業全体としての販売減少を補うには至りませんでした。なお、新商品の開発は完了し、順次販売を開始しているとともに、各種応用装置や生産の自働化を目的とした画像センシング用途での引き合い及び製品のサンプル販売は増加している状況です。

 これらの結果、売上高は1,427,503千円(前期比3.7%減)、セグメント営業損失は83,306千円(前事業年度はセグメント営業損失73,143千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、557,141千円となりました。前事業年度末に比べて48,592千円増加いたしました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は197,325千円(前期比60.2%減)となりました。これは主に、税引前当期純損失87,525千円、減価償却費147,710千円、減損損失150,892千円、売上債権及び契約資産の減少額132,090千円、棚卸資産の減少額159,225千円、その他の負債の減少額187,893千円、法人税等の支払額110,089千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は188,346千円(前期比は47.3%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出96,584千円、無形固定資産の取得による支出106,098千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は39,613千円(前事業年度は158,955千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の減少額50,000千円、長期借入れによる収入300,000千円、長期借入金の返済による支出140,065千円、配当金の支払額66,312千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

電子システム事業(千円)

2,960,825

82.0

マイクロエレクトロニクス事業(千円)

2,074,868

98.6

製品開発事業(千円)

1,408,782

94.4

合計(千円)

6,444,476

89.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。

2.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子システム事業

3,517,391

124.7

1,149,319

186.2

マイクロエレクトロニクス事業

2,065,217

101.6

559,374

98.6

製品開発事業

1,101,916

76.1

623,902

65.7

合計

6,684,525

106.1

2,332,596

109.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。

2.金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

電子システム事業(千円)

3,019,749

86.2

マイクロエレクトロニクス事業(千円)

2,068,759

98.3

製品開発事業(千円)

1,427,503

96.3

合計(千円)

6,516,011

91.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去項目はありません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社

1,121,847

15.8

690,093

10.6

株式会社デンソー

674,850

9.5

613,910

9.4

ルネサスエレクトロニクス株式会社

768,326

10.8

502,596

7.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の業績は、売上高6,516,011千円(前期比8.1%減)となり、営業利益は56,300千円(同90.7%減)、経常利益は54,492千円(同91.5%減)となりました。電子システム事業の福島事業所や製品開発事業の固定資産に関し、現下の収益性の低下を鑑みて将来キャッシュ・フローの見積もりを行った結果、減損損失150,892千円を特別損失として計上したことから、税引前当期純損失は87,525千円となりましたが、将来減算一時差異のスケジューリングの見直しによる繰延税金資産の計上も作用して、法人税等調整額が△104,289千円の計上となったことから、当期純損失は14,584千円(前事業年度は当期純利益509,571千円)となりました。

 当事業年度における総資産は5,412,535千円となり、前事業年度末に比べ341,982千円減少いたしました。当事業年度における負債合計は、2,941,509千円となり、前事業年度末に比べ、264,479千円減少いたしました。当事業年度における純資産合計は2,471,025千円となり、前事業年度末に比べ、77,502千円減少いたしました。

 なお、財政状況の詳細においては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。

 当社の経営成績に重要な影響を与える主要因として、主要顧客の受注状況、販売状況が挙げられます。その対応の詳細については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」に記載しております。

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、前述の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の概況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資金需要

 当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料仕入、外注費の支払及び製造費用並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また設備資金需要のうち主なものは、生産並びに生産技術効率の向上のための設備投資であります。

 

c.財務政策

 当社の主たる市場である半導体に関連する事業分野は特有の急激な需要変動が生じやすいため、このような経営環境に対応すべく自己資本比率の向上により強固な財務体質の強化・維持に努めております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.棚卸資産

 当社は、棚卸資産の評価において原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、一定期間を超えて滞留する棚卸資産については、規則的に帳簿価額を切下げる方法を採用しております。将来、市況の変動や需要動向により、追加の評価減が必要になる場合があります。

 

b.受注損失引当金

 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

c.繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産については、将来の課税所得の見積りにより回収可能性の評価を行っております。繰延税金資産の回収可能性に影響を与える要因の発生が予測される場合には、繰延税金資産の計上金額に影響を及ぼします。

 

d.固定資産の減損会計

 当社は、資産を用途により事業用資産、賃貸用資産に分類しております。また、管理会計上の区分を基準に、事業用資産は事業本部別、賃貸用資産は個別資産ごとにグルーピングしております。

 減損の対象となった固定資産は、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った差額を減損損失としております。将来、この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

5【重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社は、半導体産業の技術革新に対応していくため、電子システム事業、マイクロエレクトロニクス事業、製品開発事業において新技術等の研究開発に取り組んでおり、当事業年度の研究開発費の総額は301,582千円となっております。

 主な研究開発成果及び進行状況は次のとおりであります。

(1)電子システム事業

 自社の新製品開発に取り組みました。当事業年度における研究開発費の金額は12,671千円であります。

(2)マイクロエレクトロニクス事業

 IPコアの研究開発に取り組みました。当事業年度における研究開発費の金額は95,947千円であります。

(3)製品開発事業

 カメラ関連の開発及びシステム開発に取り組みました。当事業年度における研究開発費の金額は192,964千円であります。