当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「私たちは一人ひとりの可能性を信じ、自分らしさと笑顔あふれる社会を共創します。」という理念のもと、障害のある方々が生き生きと働き続けられることができるように「一人ひとりに適した支援(個別支援)」をすることを会社の経営の基本方針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、「就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス」「自立訓練(生活訓練)サービス」を、①非就労フェーズ(通所が週2日程度で職業準備性が低い)の障害者も含めた幅広い受け入れを行うことで「ターゲット」を差別化し、②様々な悩みや不安、課題を抱える障害のある方一人ひとりに適した支援を徹底的に提供(「個別」と「支援」)することでそれを可能にし、③ドミナント展開を行うことで経営資源を効率的に活用してまいります。また、④引きこもりという社会課題解決のために事業化した「Cocorport College」の卒業生が、ココルポートが運営する就労移行支援事業所へ通所するという事業シナジーを生んでおります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と企業価値の向上のため、売上高及び経常利益を重要な経営指標と位置付けております。
そして、重要な財務経営指標である売上高と経常利益成長を判断するための重要な非財務経営指標を事業所数、利用者数(通所数)、就職者数、定着者数(定着率)として各経営課題に取り組んでおります。
事業所数、利用者数(通所数)、就職者数、定着者数(定着率)を重要な非財務経営指標と考えている理由は以下のとおりであります。
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事業所数、利用者数(通所数) |
当社事業では、1つの事業所でサービスを提供できる利用定員数が「障害者総合支援法」に基づく省令で定められているため、売上高の成長には事業所数の拡大を進める必要があります。また、利用者数(通所数)は売上高を構成する基本単位となるため、成長を判断するための重要な非財務経営指標としております。 |
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就職者数、定着者数(定着率) |
就職者数及び定着者数の向上は、次年度以降の基本報酬単価決定の算定基礎となり、報酬単価(売上単価)の向上となるため、成長を判断するための重要な非財務経営指標としております。 |
(4) 経営環境
日本における障害者数は増加傾向にあり、内閣府「令和6年度版障害者白書」によれば1,160.2万人となっております。こうした社会環境の下、企業や国・地方公共団体が達成を義務付けられている障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられ、2024年4月には2.5%となっております。(参考:1976年時点の法定雇用率は1.5%)。また、2018年には精神障害者が障害者雇用義務の対象に加わり、厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業における雇用障害者数「64万2,178人」、実雇用率「2.33%」はともに過去最高を更新しております。一方で、法定雇用率達成企業の割合は50.1%となっていることや、法定雇用率自体も2026年7月に2.7%に引上げられる(厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)ことから、今後も障害者雇用の拡大は見込まれ、それを支援する障害福祉サービスの拡大余地も引き続き大きいと考えられます。
こうした社会環境下にあって、就労移行支援サービスは、質の高いサービスを提供する必要性が求められるようになり、多くの就職者数を輩出するなど、より成果を出した事業所に報酬単価向上を通じて報いる流れが進んでおります。指定障害福祉サービスにおける報酬額は、厚生労働省において「就労移行支援サービス」と「自立訓練(生活訓練)サービス」といったサービスごとに定められておりますが、「就労移行支援サービス」の報酬単価は、2018年4月の報酬改定以降、利用者の就職後の就労定着実績に応じて基本報酬が大きく増減するように変更されております。
「就労移行支援サービス」については、この報酬単価改定の影響によって就職者を輩出できない事業所は報酬単価の減少により利益率が悪化し、その影響により就労移行支援事業所数は減少するものの、サービス需要は減少することなく維持された状態(注)にあります。一方で、就職者を多く輩出する事業所は、今まで以上に高い利益率を獲得することになるため、利益率が改善する事業所と利益率が悪化して市場から退出せざるを得ない事業所の2極化が進み、就職者を多く輩出する「支援の質が高い」事業者は、マーケットシェアを拡大していくと考えられます。
(注) 厚生労働省 社会福祉施設等調査:結果の概要
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、法令を遵守し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組み、継続的に企業価値を高めていく上で、以下の項目を重要課題として取り組んでまいります。
① 知名度の向上
当社は、「指定障害福祉サービス」を行っておりますが、事業内容の認知度はまだまだ高いとは言えず、今後は当社の事業をより浸透させることが求められます。当社は、非就労フェーズ(通所が週2日程度で職業準備性が低い)の障害者も含めた幅広い受け入れを行っているため、知名度向上が利用者獲得(紹介)の機会増につながるものと考えており、1人でも多くの障害のある方に自立に向けた支援を提供することを通じて、自分らしく前向きに地域社会へ参加する人が増えるように取り組んでまいります。
② 人材の確保と社員育成
当社における事業はすべて障害のある方に対する直接的な支援であり、重要指標である利用者数(通所数)、就職者数、定着者数(定着率)等を継続的に保つための最大の要素は、高品質なサービスを提供できる人材の質であるとの認識から、人材の「採用と育成」に大きな経営資源を割いております。そのため、当社の理念に共感していただける人材の継続的確保及び定着化を重要な課題の一つとして認識しております。
③ 就労定着支援サービスの強化
当社の就労定着支援サービスにおきましては、当社サービスを経て就職をした利用者が、その職場で長く働き自立することができるようになるまで支援することが必要であると認識しております。当社では、笑顔で長く働き続けられるよう、「就業面」はもちろん、「生活面」や「体調面」も含めて、土台からしっかりサポートするため月1回以上の面談を必須にするなど、今後も一層の支援を図ってまいります。
④ 自立訓練(生活訓練)サービスの強化
2020年4月からサービス提供を開始している自立訓練(生活訓練)サービス(Cocorport College)を強化することは、社会課題である引きこもりの解消につながると考えております。また、就労移行支援サービス利用前段階の方(就職までまだ考えられない方)を自立訓練(生活訓練)サービス(Cocorport College)で受け入れることにより、自立訓練(生活訓練)サービス(Cocorport College)利用終了後に就労移行支援サービス(就職後は就労定着支援サービス)を提供することによって、より一体としてサービスを提供できるようになり、それが利用者へのより大きな付加価値提供につながると認識しております。
自立訓練(生活訓練)サービスの強化は、各種サービスの利用者獲得などのシナジー効果を高めるものと考えております。更に2024年4月より、精神的な不調により休職した方の復職支援ニーズに応えるため、リワーク専門の自立訓練(生活訓練)サービス(Cocorport Rework)を開始し、休職されている方々への復職支援も開始しております。
⑤ 事業基盤の強化
・事業所数の拡大
当社事業は、一つの事業所でサービスを提供できる利用定員数が「障害者総合支援法」に基づく省令で定められている中、当社は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、就労移行支援サービス及び自立訓練(生活訓練)サービスともに事業所数を拡大してきておりますが、今後の継続的な事業の成長には、一層の事業所数拡大を進める必要があると考えております。
・提供サービスの質の向上
今後継続的に事業所開設を行う際に、どの事業所でも質の高いサービスを提供するためには、一人ひとりごとに異なる悩みや不安、課題に寄り添った個別支援(一人ひとりに適した支援)の徹底が必要になります。そのために、研修を充実させ、行動指針の浸透を図っておりますが、今後一層強化し、各事業所に浸透させる必要があると考えております。
・地域・関係機関との連携強化
障害のある方の個別最適なサービスを提供するために、行政・クリニック・支援機関といった社会資源への働きかけも重視しております。社会資源からの紹介を通じて、障害のある方に当社の質の高いサービスを利用していただき、障害のある方の就労移行実績を継続的に示すことで、社会資源からの紹介を更に増やせるものと考えております。今後もドミナント展開を徹底し、地域・関係機関との連携を強化することは重要な課題であると考えております。
⑥ 事業関連法令の遵守
当社が展開する事業は、各種法令及び制度に基づいたサービス提供であり、障害者総合支援法及びその関連法令の遵守が事業継続の前提となります。当社では、これらの法令に基づき事業活動を行う中で、今後の法改正に柔軟に対応しつつ、持続可能な指定障害福祉サービス体制の構築を推進してまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、持続的な企業価値向上を実現するためには、コーポレート・ガバナンスの強化は重要な課題の一つであると認識しております。当社では、業務執行に対する監督体制を強化することにより透明性の高い経営を目指すとともに、内部統制機能の強化及びコンプライアンス遵守を推進し、企業価値の持続的向上を実現する体制の構築に努めております。具体的には、社外取締役の活用や監査役会、会計監査人、内部監査室との連携を図り、取締役会の経営戦略策定機能・監督機能を十分に発揮できる体制を整えております。今後におきましても、内部統制の実効性を高めコーポレート・ガバナンスを充実していくことにより内部管理体制の強化を図り、リスク管理の徹底とともに強固なコンプライアンス体制の構築に取り組んでまいります。
⑧ 財務上の課題
財務上の課題については、安定的に営業キャッシュ・フローを獲得できており、財務基盤は安定していると考えています。今後とも新規事業所開設に伴う投資活動を継続する予定ですが、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした財務基盤を維持しており、現時点で優先的に対処すべき財務上の課題はありませんが、上記事業上の課題に対する対処及び継続的な設備投資を実行できるよう、投資と内部留保の適切なバランスを検討し、事業の営業キャッシュ・フローの改善等に対処するなど、財務体質のさらなる強化に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社は、「私たちは一人ひとりの可能性を信じ、自分らしさと笑顔あふれる社会を共創します。」という企業理念を掲げ、役員並びに従業員一人ひとりの、「Cocorport11」という行動指針の実践により、「指定障害福祉サービス事業」を通じた社会課題の解決と持続可能性のある企業価値の向上を実現する企業体制の構築、人材の育成・社内環境の整備に取り組んでおります。
<企業理念>
<行動指針:Cocorport11 (ココルポートイレブン)>
2019年に、経営陣のみならず全従業員で定めた、企業理念を実現する上での行動指針です。
当社は、現状、サステナビリティに関する基本方針等は定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理をしております。「リスク管理規程」に基づき、代表取締役社長を委員長として、常勤役員及び部長職全員が出席する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、サステナビリティ関連を含めて多様なリスクを把握、評価、対策等を実施し、適切なリスク管理に努めております。「リスク・コンプライアンス委員会」は、毎月1回顕在化したリスクやヒヤリハットレベルの事象の把握と対策の検討・実施を定例で行い、四半期に1回又は必要に応じて随時取締役会へリスク管理状況の報告を行い、半期に1回全社でリスク等の洗い出し・再評価を行うというサイクルを継続することで当社のリスク管理体制の推進を図っております。
リスク管理体制については、「
(2)戦略
当社が提供する「指定障害福祉サービス事業」は、障害のある方に対する直接的な支援であり、障害のある方が社会で自立することによる社会課題の解決と持続可能性のある企業価値の向上を実現するにあたっては、「お一人おひとりに適した支援(『個別』と『支援』)」を可能とする人材の確保及び育成が欠かせません。そのため、当社における人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針としては、採用においては、当社の掲げる企業理念に共感し、かつ行動指針Cocorport11を体現できる人材ということを基準として、多様な属性、能力、経験等を持った人材採用を行うこととしております。また、入社後の人材育成においても同様に、企業理念の実現及び行動指針Cocorport11の体現につながる人事制度、教育研修制度の充実並びに社内環境の整備を、以下の人事ポリシー(ココルポートHR7)に基づき、推進しております。
<人事ポリシー:CocorportHR7>
「開かれた制度」、「公平な取り扱い」、「多様性に応える」、「一人はチームのために」、
「自らを磨く」、「チャレンジを讃える」、「正しいことをする」
一方で、採用された多様な属性、能力、経験等を持った人材が、公平感ややりがいを感じながら働けるよう、性別にとらわれない人材登用や安心して働ける育児・介護関連制度等、福利厚生・制度の充実による社員への還元を図れるように社内環境の整備も推進しております。当期2024年6月期においては、社内環境整備の一環として、翌期2025年6月期からの賞与制度の導入と、年間休日を115日から120日へ変更し、よりよい社内環境の整備を進めております。
(3)指標及び目標
当社では、上記(2)戦略において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、現在次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標及び目標 |
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当事業年度実績 |
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育児休業取得率 |
男性社員 70% 女性社員100% |
男性社員 80% 対象10名において8名取得 女性社員 100% 対象14名において14名取得 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から、当社として必ずしも主要なリスクとは考えていない事項も含まれております。
当社としては、これらのリスクを予め十分に把握した上で、発生の予防及び対処に万全を期す所存でありますが、投資判断につきましては本項記載以外のものも含めて慎重に検討していただきたいと思っております。また、これらのリスク項目は、本書提出日現在において、当社が判断したものであり、発生の可能性のあるリスクの全てを網羅するものではありませんのでご留意願います。
なお、以下の記載のうち、将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 法的規制等について
(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:法改正時、影響度:大)
当社は、事業活動を行う上で、障害者総合支援法等、様々な法規制の適用を受けておりますが、これらの法規制を遵守するため、法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等の情報を遅滞なく収集し、かつ、これらの法規制に抵触することのないように監督官庁と適宜連絡や確認を取りながら事業を進めております。しかしながら、何らかの事情により法規制に抵触する事態が生じた場合、事業活動への制約が生じ、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。特に当社事業は、障害者総合支援法に基づき国及び各都道府県・市町村から報酬を得るサービスであり、当該報酬制度は3年に1回改定が行われるため、想定を超える改定が行われた場合、報酬単価に影響し、当社の売上高、損益及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
なお、各事業所は、都道府県知事、政令指定都市市長又は中核市市長から設置の指定(6年ごとの更新)を受けるものであり、その中でも就労移行支援事業所、自立訓練(生活訓練)事業所の指定には人員、設備及び運営に関する基準が規定されており、これらの規定に従って営業する必要があります。当社の提供する「指定障害福祉サービス事業」に必要な指定は、以下のとおりです。
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取得 |
所轄官庁 |
許認可名称 |
許認可内容 |
有効期限 |
主な許認可取消事由 |
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当社 各事業所 |
都道府県等 |
指定障害福祉サービス |
障害者総合支援法の就労移行支援 |
6年ごとの更新 |
障害者総合支援法第50条(指定の取消し等) |
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障害者総合支援法の就労定着支援 |
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障害者総合支援法の自立訓練(生活訓練) |
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障害者総合支援法の特定相談支援 |
障害者総合支援法第51条の29の2(指定の取消し等) |
指定は事業所単位で取得しており、法人全体として組織的な不正が認められるといった場合を除き、指定の取消し等についても事業所ごとに検討されます。現時点において、当社の運営する事業所に指定取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後何らかの原因によりこれらの指定が取消しされた場合や営業停止となった場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
特に、就労移行支援事業所、自立訓練(生活訓練)事業所が指定を受ける際の利用定員については、「障害者総合支援法」に基づく省令(注)1にて、「事業者は、利用定員を超えてサービスの提供を行ってはならないが、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない」ことが定められております。
また、厚生労働省の通知(注)2にて、報酬の減算対象は、単日で定員の150%、3か月の平均が定員の125%をそれぞれ超過する場合と定められております。そして、各都道府県知事は減算の対象となる定員超過
利用については指導すること、また、指導に従わず、減算対象となる定員超過利用を継続する場合には、指定の取消しを検討することと定められており、その運用は各自治体に委ねられております。
さらに、厚生労働省の通知(注)3には、「原則として利用定員の超過は禁止だが、適正なサービスの提供が確保されること」を前提として、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、利用定員を超過することが可能である旨定められております。
当社では、法規制への抵触リスクを低減するために上記省令及び各種通知等に抵触することのないように各自治体と適宜連絡や確認を取りながら事業を進めておりますが、今後、各自治体の運用方針や通知事項が変更され、何らかの事情により当社が遵守できない事態が生じた場合、これまでどおりの運営が困難となり、影響を受けた当該事業所の売上の減少等により、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(注)1.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの
事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省令第171号)
2.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等
及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日 障発第1031001号)
3.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの
事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日 障発第1206001号)
② 競合について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が属する指定障害福祉サービス業界は、提供するサービス内容が人材の質に左右される傾向の強い業種であるため、当社の持つ採用力や人材育成のノウハウは短期間で構築することは難しいと考えております。当社では、中長期的な経営戦略(①幅広い受け入れ②「個別」と「支援」③ドミナント展開)を実行することで、競合に対する優位性を確保しながら事業を進めておりますが、本書提出日現在においては、サービス提供エリアにおける競争環境は激化する兆しもあり、更なる競合他社の事業の拡大や新規参入等によって他社に優位性を奪われた場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
③ 特定サービスへの依存について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:法改正時、影響度:大)
当社の主力サービスは就労移行支援サービスであり、その売上高の構成比は2024年6月期で84.4%となっております。今後は新規事業である自立訓練(生活訓練)サービスの展開を進めていくことにより就労移行支援サービスに係る売上高の構成比率が低下していくように進めておりますが、当社の運営する就労移行支援事業所に指定取消しや営業停止が発生した場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 個人情報保護について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社サービスの特性上、利用者及び保護者の氏名、住所、職業等の個人情報保護法に定められた個人情報を保持しております。当社では、これらの個人情報の保護を重大な経営課題と認識し、個人情報の適正な取得及び厳重な管理のために、2020年にプライバシーマークを取得した上で、社内システムにおいては、不正アクセス等を防止するためのセキュリティ対策・ネットワーク保護施策を行い、また従業員の人為的ミスによる個人情報漏洩を回避するために技術的対策を導入し、全従業員に対しては、各種規程の周知徹底、並びに社内教育を実施し、個人情報漏洩の防止に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、何らかの原因によって個人情報が流出した場合、当社への社会的信用が失墜し、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
② 新規事業所の開設計画について
(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、事業所を賃借する形で運営しており、新規開設する事業所の賃借物件の確保については、取引先業者からも幅広く情報を入手するように努めておりますが、当社のニーズに合致する条件の物件が必ずしも確保されるとは限りません。また、仮に当社の計画に沿った物件を確保しても計画された利用者数を確保できない場合には、事業所の新規開設が計画どおり行われない可能性があります。当社では、新規開設する事業所の賃借物件及び利用者数確保の検討等、新規開設計画に則した運営に鋭意取り組んでまいりますが、上記の事情により、新規事業所の開設が計画どおり実行できない事態が発生した場合、事業成長のスピードが減速するなど、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業所の賃借物件について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、事業所を賃借する形で運営しており、定期建物賃貸借契約に基づく契約期間満了時に再契約できず事業所の運営が継続できない場合、事業所を運営休止せざるを得なくなる可能性があります。そのため、定期建物賃貸借契約の賃借物件については、再契約できない場合を想定し、事業所周辺の物件を恒常的にリストアップするようにしておりますが、契約期間満了までに契約更新ができず、当該事業所に代わる物件を近隣に確保できない場合、事業成長のスピードが減速するなど、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
④ 事業所における事故について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社では、事業所の運営に関し、利用者及びスタッフの安全確保を重大な経営課題として認識し、行政の指導内容に沿った厳格な運用により安全管理に努めております。しかしながら、事業所には机等の什器備品があり、それらに当たったり躓いたりすることで事故が発生する可能性や、事業所で食事提供を行う場合には、冷凍状態から温めてお弁当を提供しているため、食中毒や感染症等が発生する可能性があり、これらの事故が発生した場合、利用者の流出や指定取消しにより、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑤ 大規模な自然災害・感染症について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社では、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、当社の事業所運営地域は、神奈川県をはじめとした関東地区の割合が高く(本書提出日現在での全事業所数に対する関東地区の合計事業所数の割合は82.0%)、特に関東地区においての台風、地震、津波等の自然災害の発生や、また、新型コロナウイルス感染症等の感染症の流行が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、利用者の通所が困難となること、また政府の方針により事業所を閉所するなどにより、経営成績、財務状況に影響を与える可能性があります。当社としては、台風、地震、津波等の自然災害の発生については、策定しているBCPに則り、利用者及び従業員の安全を最優先に行いながらも事業継続する体制の整備を進めており、また新型コロナウイルス感染症等の感染症の流行に対しては、予め行政と密に連携して通所型訓練と遜色のない在宅型の個別訓練ができる環境を整備し、感染状況を踏まえつつ、即座に利用者の在宅型訓練への切り替え及び従業員の在宅勤務への切り替えを行うことで感染防止できるように取り組んでおります。ただし、事態が長期化し、事業所が開設できなくなった場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑥ 情報システム障害発生について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は今後の事業拡大、業務の効率化を図るためシステム投資を積極的に行う方針であります。システムを活用するに当たっては、適正な情報システム運用環境を整え、また関連規程類の整備や利用者教育を推進することで業務効率化を推進しており、情報システム障害が発生した場合でも、迅速に各事業所の業務の通常化を図る対策と情報システムの冗長化を進める対策をしております。しかしながら、情報システムの利用が進むことで、万が一、大規模なシステム障害が発生し復旧に時間を要する等、何らかの理由でシステムの障害が発生し事業所の運営や本社業務が滞った場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑦ 訴訟等について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社では発達障害や精神障害がある方を主たる対象としたサービスを提供しております。当社はサービスを提供する全従業員に対して教育研修を実施し、多様な状況に対応できるためのマニュアルの整備等により、事故の発生防止や緊急事態に対応できるように取り組んでおります。しかし、利用者の病状の悪化等による訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じた場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑧ 風評等の影響について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の事業は、利用者やその家族に加え、就労先の企業や、行政、教育機関、医療機関等の関係機関、又は地域社会との連携により成り立っております。当社の従業員には、企業理念を浸透させ、コンプライアンスを遵守する意識を高く保つように従業員教育を徹底しております。しかしながら、従業員の不祥事等何らかの事象の発生や、当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) 組織体制に関するリスク
① 人材の確保及び育成について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社が展開する事業は、発達障害や精神障害がある方を主たる対象としたサービスであり、新規拠点の開設に伴い、有資格者を含む専門的な知識や指導技術を持った人材の確保が急務となっております。このため当社では、経験者を対象とした通年での採用活動と並行して、適性を有する新卒学生や未経験者を採用し、研修部門による様々な研修や情報提供を行うことで一から人材を育成するなど、人材の拡充に取り組んでおります。
しかしながら、今後、人材の確保と育成が事業所開設のスピードに追いつかない場合や既存人員の流出等が生じた場合、事業成長のスピードが減速するなど、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
② 内部管理体制について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、企業価値を最大化すべく、事業拡大に遅れることなく従業員の育成、人員の増強を図ることで内部管理体制の一層の充実を図ると共に、コーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備・運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
③ 特定経営者への依存について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は常勤の取締役3名がそれぞれの管掌領域において業務推進及び連携を図り、全社の事業推進をしております。代表取締役社長佐原敦矢は経営方針や事業戦略の決定など当社の企業活動全般の推進において、取締役岩元勝志は管理部門における業務推進及び社内体制の整備において、取締役長尾吉祐は指定障害福祉サービス事業全般の事業推進及び事業拡大において、重要な役割を果たしております。当社では事業の拡大に伴い各部門における中核従業員の採用や育成及び権限委譲を行い、常勤の取締役に依存しない体制構築を推進し、経営組織の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により常勤の取締役3名の業務遂行が困難となった場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4) 財務状況に関するリスク
① 固定資産の減損について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、積極的な新規事業所開設の推進による新規拠点の内装工事や什器備品等の固定資産残高が増加しております。当社では、減損処理が発生しないよう、各拠点の収益管理を徹底し、採算性の悪い拠点に対しては業績回復に向けた対策を講じておりますが、事業所の業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
② 有利子負債について
(顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は運転資金及び新規事業所開設の設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しており、2024年6月末時点の有利子負債依存度は0.4%となっております。今後当社としては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組むことによりリスクの低減に努める方針ですが、現行の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合、当社の事業成長のスピードが減速するなど、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5) その他のリスク
① 新株予約権行使による株式価値希薄化について
(顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権(以下「ストックオプション」という。)を付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員に対するインセンティブとしてストックオプションを付与する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、2024年6月末時点におけるストックオプションによる潜在株式数は158,000株であり、発行済株式総数3,618,150株の4.4%に相当します。
② 配当政策について
(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題と認識しており、健全な財務体質の維持及び将来の事業拡大に備えるために内部留保のバランスを図りながら、各期の経営成績及び財政状態を勘案して、利益配当による株主に対する利益還元の実施を基本方針としております。当事業年度までは、将来の利益還元実現のための事業所拡大等の先行投資を進めることが経営上の最重要課題であったことから、配当を実施しておりませんでしたが、2024年8月14日付「配当政策の基本方針の変更及び定款一部変更に関するお知らせ」にありますとおり、今般、当社の経営環境及び今後の経営計画を踏まえ、引き続きの健全な財務体質の維持及び将来の事業拡大に備えるための内部留保を確保しつつも、株主の皆様への利益還元が可能と判断し、配当政策の基本方針を変更いたしました。変更後の配当政策の基本方針は2025年6月期より適用いたしますが、変更後におきまして、外部環境等様々な要因により、想定どおりの配当を実施することができない等の状況が生じ、配当政策の基本方針に影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金使途について
(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
上場時の公募増資等により調達した資金の使途については、主に「指定障害福祉サービス事業」拡大のための新規事業所開設費、人材採用費、IT環境の整備強化費等に充当する予定です。しかしながら、当社が属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を投資した場合においても、想定した投資効果が得られない場合、当社の売上高、損益及び財務状況に影響を与える可能性もあります。なお、資金使途計画に重大な変更が発生した場合には、適時適切に開示してまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度のわが国経済は、経済活動の正常化に伴い個人消費に回復の動きがみられています。一方で、長期化するウクライナ情勢や円安にともなう物価上昇が継続しており、当面不透明な状況が続くものと見込まれております。
当社を取り巻く障害福祉サービス業界においては、障害者数は増加傾向にあり1,160.2万人となっております(内閣府「令和6年度版障害者白書」)。また、障害者の法定雇用率(民間企業に義務付けられている障害者の雇用率)は段階的に引上げられ、2024年4月には2.5%となりました(1976年時点の法定雇用率は1.5%)。2018年には精神障害者が障害者雇用義務の対象に加わりました。厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業における雇用障害者数「64万2,178人」、実雇用率(民間企業に実際に雇用されている障害者の雇用率)「2.33%」はともに過去最高を更新しております。一方で、法定雇用率達成企業の割合は50.1%となっていることや、法定雇用率自体も2026年7月に2.7%に引上げられる(厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)ことから、今後も障害者雇用の拡大は見込まれ、それを支援する障害福祉サービスの拡大余地も引き続き大きいと考えられます。
このような環境の下、当事業年度においても社会課題解決に応えるべく拠点数増加を推進し、前事業年度末の93拠点(就労移行支援事業所69拠点、自立訓練(生活訓練)事業所(Cocorport College)23拠点、指定計画相談支援事業所1拠点)から12拠点増加し合計105拠点へと拡大し(就労移行支援事業所74拠点、自立訓練(生活訓練)事業所(Cocorport College、Cocorport Rework)31拠点)、サービスの拡大を図ってまいりました。
これらの結果、当事業年度における経営成績は、売上高5,750,811千円(前期比13.1%増)、営業利益704,041千円(前期比15.0%増)、経常利益718,720千円(前期比20.5%増)、当期純利益525,584千円(前期比16.0%増)となりました。
また、当社は指定障害福祉サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は2,459,975千円となり、前事業年度末に比べ555,119千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が436,704千円、売掛金が123,237千円増加したこと等によるものであります。固定資産合計は708,993千円となり、前事業年度末に比べ105,350千円増加いたしました。これは主に新規拠点増加に伴い有形固定資産が62,676千円、敷金及び保証金が32,768千円増加したこと、並びに繰延税金資産が12,044千円増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、3,168,968千円となり、前事業年度末に比べ660,470千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は654,193千円となり、前事業年度末に比べ75,021千円増加いたしました。
これは主に1年内返済予定の長期借入金が26,296千円減少した一方で、未払費用が59,809千円、預り金が21,894千円、役員賞与引当金が12,060千円増加したこと等によるものであります。
固定負債合計は165,075千円となり、前事業年度末に比べ45,991千円増加いたしました。これは主に長期借入金が8,738千円及びリース債務が3,083千円減少した一方で、賃借不動産の退去に備えた資産除去債務が57,779千円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、819,268千円となり、前事業年度末に比べ121,012千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は2,349,700千円となり、前事業年度末に比べ539,457千円増加いたしました。
これは主に新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ6,936千円増加したこと、及び当期純利益の計上に伴い繰越利益剰余金が525,584千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度末の自己資本比率は74.1%(前事業年度末は72.2%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末と比べて436,704千円増加し、1,271,469千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は562,618千円(前事業年度は421,415千円の獲得)となりました。
これは主に売上債権の増加による123,237千円及び法人税等の支払額204,746千円等の支出があった一方で、税引前当期純利益718,720千円、減価償却費59,739千円をそれぞれ計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は101,383千円(前事業年度は139,161千円の使用)となりました。これは主に新規拠点開設に伴う有形固定資産の取得による支出67,213千円並びに敷金及び保証金の差入による支出31,328千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は24,530千円(前事業年度は505,325千円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使に伴い、株式の発行による収入13,439千円があった一方で、長期借入金の返済による支出35,034千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス |
4,850,909 |
113.0 |
|
自立訓練(生活訓練)サービス |
898,543 |
113.8 |
|
その他 |
1,358 |
― |
|
合計 |
5,750,811 |
113.1 |
(注)1.当社は「指定障害福祉サービス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
神奈川県国民健康保険団体連合会 |
1,646,011 |
32.4 |
1,784,897 |
31.0 |
|
埼玉県国民健康保険団体連合会 |
1,130,206 |
22.2 |
1,265,601 |
22.0 |
|
東京都国民健康保険団体連合会 |
977,814 |
19.2 |
1,122,307 |
19.5 |
|
千葉県国民健康保険団体連合会 |
869,445 |
17.1 |
909,409 |
15.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.固定資産の減損処理
財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、固定資産の減損については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b.資産除去債務
財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、資産除去債務については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価、売上総利益)
サービス拡大を目的に、当事業年度は就労移行支援事業所を前事業年度と比べて5事業所増加(前事業年度69事業所から74事業所)し、自立訓練(生活訓練)事業所の事業所数を8事業所増加(前事業年度23事業所から31事業所)いたしました。事業所数の増加に伴い、前事業年度と比べて通所数は35,142通所増加となり、447,029通所となりました(前事業年度比8.5%増)。売上高については、前事業年度と比べて667,007千円増加し、5,750,811千円(同13.1%増)となりました。売上原価については、従業員数増加に伴う労務費が328,194千円増加、事業所数増加に伴う地代家賃が85,654千円増加、利用者増加に伴う利用者研修費が36,982千円増加したこと等により、前事業年度と比べて499,539千円増加し、4,072,716千円(同14.0%増)となりました。その結果、売上総利益は、前事業年度と比べて167,468千円増加し、1,678,095千円(同11.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、広告宣伝費が30,216千円増加したこと等により、前事業年度と比べて75,776千円増加し、974,054千円(同8.4%増)となりました。その結果、営業利益は704,041千円(同15.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、助成金収入が8,858千円増加したこと等により、前事業年度と比べて9,948千円増加し、16,475千円(同152.4%増)となりました。営業外費用は、株式交付費11,864千円並びに上場関連費用7,964千円の減少等により、前事業年度と比べて20,717千円減少し、1,795千円(同92.0%減)となりました。
その結果、経常利益は718,720千円(同20.5%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、当期純利益)
特別利益及び特別損失は発生せず、また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前事業年度と比べて49,676千円増加し、193,135千円(同34.6%増)となりました。
これらの結果、当期純利益は525,584千円(同16.0%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、障害福祉サービスの提供及び事業所の運営に係る人件費及び外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所開設に伴う設備投資が主なものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は13,487千円となっております。
また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,271,469千円となっております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)」に記載のとおり、売上高及び経常利益を重要な経営指標と位置付けております。そして、重要な経営指標である売上高と経常利益の向上のため、事業所数、利用者数(通所数)、就職者数、定着者数(定着率)等を重要指標として、各経営課題に取り組んでおります。なお、定着者数の目標は2年以上経過している各Officeは年間10名以上(就職者数は最低限年間10名以上)が目標となります。
第13期については、事業所数は前事業年度と比べて、就労移行支援事業所は5事業所増加(前事業年度末69事業所から74事業所)、自立訓練(生活訓練)事業所は8事業所増加(前事業年度末23事業所から31事業所)となりました。事業所数の増加に伴い、前事業年度と比べて通所数は35,142通所増加(前事業年度比8.5%増)となりました。これらの結果、売上高は667,007千円増加(同13.1%増)、経常利益は122,358千円増加(同20.5%増)となりました。
a.重視する経営指標の推移
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前事業年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
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売上高(千円) |
5,083,804 |
5,750,811 |
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経常利益(千円) |
596,362 |
718,720 |
b.売上高を構成する主要な経営指標
該当事項はありません。
該当事項はありません。