第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(経営方針)

当社は、通販事業者の通販サイトを経由して購入した通販利用者に希望の商品が届いた時の感動を提供できることが、経営方針の原点であると考えます。そのため、当社はビジョンに『変化を先取りし、人々の感動体験を進化させ続ける』として掲げ、通販物流事業を通してビジョンを実現し続けるために事業の拡大を達成したいと考えます。

 

(経営戦略)

当社は、20年以上にわたり、通販物流事業者の物流代行サービスを続けてまいりました。今後、通販物流代行サービスのリーディングカンパニーを目指し、既存顧客の満足度向上及び新規顧客の開拓をさらに図るため、以下のミッションを掲げ、事業を拡大させてまいります。

・グローバルな視点から流通を俯瞰する

・誰よりもその先のお客様に役立つソリューションを探求する

・通販/小売物流のプロフェッショナル集団を目指す

・最先端テクノロジーを活用することにより、高付加価値を実現する、「感動創造」No.1企業をめざす!

具体的な戦略としては、①グローバル物流の動向調査、②顧客ニーズ変化に対応するFC運営、③人材開発、を推進してまいります。

① グローバルな視点での活動

近年のAmazonに代表される米国及び中国を中心とした巨大EC企業の台頭による出荷数の増加や日本国内における労働人口の減少によるドライバー不足を解消する目的から、「運賃値上げ」や「荷受量の総量制限」等の「物流クライシス」が顕在化するなど、物流に関する環境は大きく変化してきております。

また、日本国内は、人口減少や高齢化からくる将来的な消費の減少がいわれておりますが、消費者の購買動向は実店舗からインターネット又はオムニチャネル(注1)化が進むことが見込まれることから、EC市場は引き続き成長過程にあると考えております。

今後も通販物流では、新規ECプラットフォーマー(注2)の台頭や宅配プレーヤーの変遷など、現時点では予測できない変化が起こることが考えられます。

このような環境の下、当社は、20年以上に渡り物流代行を続けてきた経験を活かしつつ、最新のグローバル物流動向を継続的に調査していくとともに良いものを採り入れながら、業務効率化を進め、日本の通販物流のリーディングカンパニーを目指してまいります。

しかしながら、日本国内の人口減少や高齢化から総需要は減少していくことが十分に考えられることから、海外展開も視野に入れ、主に成長著しいと思われるASEAN地域については地元企業と連携を図り、当社の通販物流のノウハウを共有しながら、慎重に進めてまいります。

② 顧客ニーズ変化に対応するFC運営

当社は、当社独自のWMSの機能強化や他社システムとの連携を行ってまいりましたが、競合他社も自前のWMSを持つなど同様の動きを見せており、現在のWMSの機能だけでは他社との差別化が難しくなってきております。そこで当社は、WMSに関しては他社システムとの連携を進める一方、通販事業者である顧客が安心して当社に物流代行を任せていただけるよう、通販物流の周辺サービスを拡充させてまいります。

具体的には、化粧品や医薬部外品など、薬機法の認可が必要な商品の取り扱いを全てのFCで行うことができるように整備しております。今後も様々な事業者がECに参入することが想定され、多種多様な商品を安全に保管、梱包、発送する当社は顧客ニーズに対応していくため、今後も様々な法令に対応してまいります。また、FC内での商品写真の撮影やカスタマーサポート等の運営代行サービスの幅も広げております。

当社は、FC内の業務効率の向上にも力を入れております。関東及び関西の2つのエリアでの稼働により、配送コストの削減や配送リードタイムの短縮に加え、関東エリアではFC間の距離が20km程度と比較的近くに開設するドミナント戦略を採用して、機動的に人員や商品の移動を行うことで、通販事業者の繁忙の波に柔軟に対応(波動対応)しております。また、一部のFCでは、無人搬送車、自動製函機及び自動封函機を試験的に導入し、FC内の自動化を推進しております。また、FCでの従業員からは常時、改善提案を提案できる制度を設けており、毎月の改善提案は大小合わせて数百に及ぶ等、より良い業務効率を求めて日々改善を続けております。

③ プロフェッショナル人材開発

当社は、上記のビジョン及びミッションを達成するために重要なことは、プロフェッショナル人材の開発であると考えており、今後もプロフェッショナル人材開発プログラムの構築を積極的に続けてまいります。

具体的には、人材開発課を新設し、各種研修を受けられる体制の整備を進めております。また、社員が積極的に業務に関連する資格を取得することを推奨しており、会社が認めた資格については、取得費用については会社が全額負担することや奨励金等の制度を設けております。今後も当社で働く人材が最も活躍できるように仕組みの充実を図ってまいります。

 

(注1) オムニチャネルとは、買物の入り口、受取、決済、配送等のチャネルが複数用意されており、消費者の希望に合わせて効率よく商品を届ける仕組化であり、消費者が商品を欲しい時にいつでも注文できて希望する場所で受け取れるサプライチェーンであります。

(注2) ECプラットフォーマーとは、多くの消費者や第三者が特定のインターネットサイト上に集まり、情報発信、広告及び決済などのサービスが行われている中、モノの売買をインターネット上で行える基盤(プラットフォーム)を提供する企業や個人であります。

 

(経営環境)

近年、スマートフォンやタブレットといった進化した身近なデバイスの多様化、通販サイトのクリエイティブの向上及び決済手段の多様化等、購入者に対して使いやすい環境が整備されたこと等から、ECで商品を購入する消費者が増加しております。

当社の通販物流事業を取り巻く物販系分野におけるBtoC-EC市場(注3)は、2019年は市場規模10兆515億円(前年比8.09%増)、EC化率6.76%(前年比0.54ポイント増)と、市場規模及びEC化率(注4)ともに拡大傾向が続いており(注5)、EC市場は今後も引き続き拡大すると予想されております。

 これらの背景から、今後はECビジネス展開に注力する企業が増加することが予測されております。当社は、会社設立から通販物流事業を中心にサービス展開し、通販事業者の様々な商品に対応し実績とノウハウを蓄積しており、更なるサービスの強化・拡充を図ってまいります。

 

(注3) BtoC-EC市場とは、消費者向け電子商取引のことをいいます。

(注4) EC化率とは、店頭(オフライン)やオンライン、電話やFAX、対面販売等も含めたすべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合をいいます。

(注5) 「令和元年度 電子商取引に関する市場調査」 経済産業省

 

(目標とする経営指標)

当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高及び経常利益であります。

売上高は、当社及び業界の成長を表す指標と判断しており、業界、競合他社及び当社の成長度合いを計る指標として総合的に判断して決定し、売上高の拡大を目指してまいります。

売上高計画における具体的な策定方法といたしましては、物流業界、倉庫業界及び顧客となるEC業界の将来展望を指標として、当社独自の戦略により業界成長率にどの程度上乗せして成長できるかを見込んでおります。

経常利益については、当社が持続的な成長を実現するための源泉となり、人員計画や設備投資計画の実行や株主還元を行う上での重要な指標になると考え、総合的に判断して決定し、経常利益の拡大を目指してまいります。

売上高計画の策定内容に対して、必要コストを見積り、売上原価並びに販売費及び一般管理費を算出しております。具体的には、利益に影響が大きい人員計画、設備投資計画、運送料や賃借料等の動向を勘案し、策定しております。

 

 

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下の項目であると認識しております。

(1) 物流代行サービスの効率化

当社は、変化する通販事業者の需要動向を考慮し、適切な人員配置や業務効率の改善、FCの延床面積の拡大に努めることにより、適正な収益を獲得しております。しかしながら、労働人口の減少や雇用情勢の改善から人材の確保は難しくなってきております。したがって、業容の拡大には人員の採用手法の多様化への対応や教育制度を整備するとともに国内外の先端技術を導入することによるシステマティックな効率化の向上が必要不可欠であると考えており、これらを強化することによって物流代行サービスの効率化を進めるとともに、収益性の向上を図り、財務体質の強化に積極的に取り組んでまいります。

 

(2) 人材の採用及び育成

当社は、持続的な成長を達成するためには、各分野で専門的な能力を持った優秀な人材の確保が重要であると考えております。しかしながら、労働人口の減少や雇用情勢の改善から人材の確保は難しくなってきております。したがって、採用手法の多様化への対応や教育制度を整備するとともに、従業員定着率の向上を目指し、福利厚生制度の拡充やワークライフバランスを考慮した働きやすい職場環境づくり等、就業環境の改善に積極的に取り組んでまいります。

 

(3) 新規・周辺領域サービスの拡充

当社は、持続的な成長を達成するためには、既存サービスの品質や業務効率の向上が重要であると認識しております。したがって、技術革新、通販事業者や通販利用者のニーズの変遷を迅速に取り入れ、新規・周辺領域サービスの拡充に積極的に取り組んでまいります。

 

(4) 情報管理体制の強化

当社は、顧客である通販事業者の注文に対する物流代行を行っており、購入者の個人情報を含む膨大な注文に関する情報を保有しております。そのため、システム設計、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定等、取り扱いには十分な注意を払っております。情報の取り扱いに際しては、ISMS認証(ISO27001)及びプライバシーマークを取得し、個人情報保護方針及び社内規程に基づき、情報管理体制の整備・運用を強化することで情報漏洩防止に取り組んでまいります。

 

(5) 内部管理体制の強化

当社は、経営目標を達成するためには健全かつ効率的な内部管理体制の強化が必要不可欠であると考えております。そのために業務フローの整備や文書化を進めるとともに内部監査等による運用状況の確認と改善に努めております。また、リスク管理やコンプライアンスについては、常勤役員が出席するリスクコンプライアンス委員会を運営することで恒常的に意識を高めており、引き続き経営者を中心とした内部管理体制の強化に積極的に取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する項目のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある重要な項目を記載しております。また、当社が必ずしも事業等のリスクとは考慮していない項目についても、投資者に対する情報開示の観点から記載しております。

なお、文中の将来に関する項目は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 事業環境について

① EC市場の成長性

当社の顧客である通販事業者が利用するEC市場は、スマートフォンやタブレットと進化した身近なデバイスの多様化、通販サイトのクリエイティブの向上及び決済手段の多様化等、購入者に対して使いやすい環境が整備され、Eコマース化の拡大により安定的な成長を持続していることから、当社事業の需要拡大に良い影響を与えております。

しかしながら、今後のEC市場の成長鈍化や主要顧客がデバイスの多様化やインターネットサービスの進化に対応できなかった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は営業力を強化し、有望分野を中心に新規顧客を継続的に獲得していくことで、主要顧客の売上高の変動による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

② 他社との競合

当社が属する通販物流業界は、EC市場の拡大に伴い、それを好機として競合他社は増加しつつあります。当社の提供する物流代行サービスや運営代行サービスは、通販事業者が満足する品質や価格の提供を維持することに努めており、競合他社が増加しつつあるものの、当社事業は順調に拡大しております。

しかしながら、競合他社との品質や価格等の競争が激化した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は従業員に対し、品質や業務効率の向上を目的とした改善提案活動を推奨しており、日々の創意工夫を実作業に反映し共有していく取り組みを継続しております。また、試験的ではあるものの自動搬送ロボット(AGV)、製函機や封函機の導入による「自動化・半自動化」を進めており、競合他社に対して品質や価格で対抗できる体制を整備し続けることで、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

③ 宅配事業者による影響

当社の通販物流事業は、宅配事業者に宅配サービスを委託し、購入者に商品を届けることができることでサービスの提供が成り立っております。現在、宅配事業者を取り巻く市場環境は、重労働問題や雇用情勢改善による人手不足もあり、労働者の賃金値上げにより、当社も運賃値上げ等の影響を受けております。当社の宅配サービスの外注先については、大手宅配事業者に委託する割合が相対的に大きく、これらの会社が何らかの事情で宅配事業が行えなくなることやこれらの会社との取引ができなくなる可能性はゼロではありません。

このようなリスクを踏まえ、当社は既存の大手宅配事業者との継続的な交渉、他の大手宅配事業者や地域宅配事業者の新規開拓等に努めておりますが、これらの施策にも係わらず、運賃値上げや宅配個数制限の影響を回避できなかった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ FCの賃貸借契約に関するリスク

当社の通販物流事業は、拠点であるFCを賃貸借するにあたり、主に貸主と賃貸借契約を締結しております。定期賃貸借契約においては、契約期間中は解約できない旨が定められておりますが、契約期間満了後は貸主の意思等により必ずしも更新されるとは限りません。普通賃貸借契約においては、解約予告期間が定められており、貸主の都合等により中途解約が可能となっております。これらの賃貸借契約が何らかの要因で継続できない状況となった場合は、新規FCの開設や既存FCを活用する方針であります。

しかしながら、代替拠点を確保できない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ FCの賃借料上昇のリスク

当社の通販物流事業は、④に記載のとおり、拠点であるFCを賃貸借するにあたり、主に貸主と賃貸借契約を締結しております。なお、定期賃貸借契約においては契約更新時、普通賃貸借契約においては契約期間中に、相場環境の上昇を理由に賃借料の引き上げを求められることが考えられ、その場合には適正な賃借料を検証し、貸主と協議を行ったうえで、賃借料の決定、契約の解約又は更新の可否を行う方針であります。しかしながら、貸主との協議にも係わらず、賃借料上昇に伴う価格の引き上げを通販事業者にご理解頂けない場合や契約の解約又は終了により、これに代替するFCの確保が困難となった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は既存貸主、物流不動産仲介会社及び金融機関から物流不動産情報を常時収集し、次のFC開設計画が滞ることがないよう努めており、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

なお、本書提出日現在、当社が賃借しているFC1件について、賃貸人から建物賃料増額等請求事案を提起されております。当社は、顧問弁護士と協議の上、妥当と判断する賃借料の増額金額を未払費用として計上しておりますが、賃貸人の請求を全面的に認める判決となった場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制について

当社の通販物流事業は、「倉庫業法」、「貨物利用運送事業法」、「個人情報保護法」等の法的規制が存在します。当社では、上記を含む各種法的規制について、法令遵守体制の整備・強化及び社員教育を行っております。

本書提出日現在において各種許認可等の取消事由は発生しておりませんが、今後新たな法令の制定や既存法令等の改正又は解釈の変更が行われ、当社が新たな規制に適時適切に対応することができない場合、許認可等の取消を受けた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

現在、5つのFCは倉庫業法に基づく営業倉庫として、1つのFCは貨物利用運送事業法に基づく保管施設として許認可を受け、運営を行っております。

このようなリスクを踏まえ、当社はこれらの法令規則の改正又は解釈の変更については、顧問弁護士等に相談しつつ対応していくことにしております。例えば、通販事業者から新たな商品を預かることとなった場合、その商品の取り扱いにおいて許認可等の要否を当該通販事業者に確認し、場合に応じて顧問弁護士等に確認の上、取り扱いを開始することとしており、行政処分等により業務運営に支障をきたすことがないように留意しております。

 

許認可事業

法律

監督官庁

許認可等の内容

有効期限

取消事由

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

登録

なし

同法第21条

第一種貨物利用運送事業

貨物利用運送

事業法

国土交通省

登録

なし

同法第16条

 

 

(3) 設備投資について

当社は、今後のEC市場に伴う当社事業の需要拡大に備え、FCの新設や既存FCの機能強化等を目的とした設備投資を行っております。FCの新規開設を行った場合には、新規投資に見合う水準までFCの稼働率が上昇するまでに一定の期間を要するほか、借入面積の増加に伴う賃借料負担の増加や新FC立上げに伴う人員増強のための労務費増加等の先行投資が発生するため、一時的に営業損益の低下要因となる傾向があります。

さらに、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果や資金回収が得られない場合又は資産が陳腐化した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は、設備投資案件の内容により、取締役会において、設備投資計画に基づく十分な検討を行った上で投資の意思決定をしており、また、投資実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施し、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

 

(4) 人材の採用及び育成について

当社事業が、持続的な成長を達成するためには、人材の確保及び育成が重要であると考えております。現在、労働人口の減少や雇用情勢の改善による人手不足の影響もあり、従業員の採用は厳しい状況であります。今後、雇用情勢がさらに悪化し、従業員の採用や育成した従業員の定着が順調に進まなかった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は、人事・教育部門の人員強化を継続して行い、新卒採用による人員の確保や採用手法の多様化への対応や教育制度の整備を継続しております。また、従業員定着率の向上を目指し、福利厚生制度の拡充やワークライフバランスを考慮した働きやすい職場環境づくり等、就業環境の改善に積極的に取り組み、従業員の定着と優秀な人材確保を図ることで、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

(5) 情報セキュリティについて

当社は、顧客である通販事業者の商品の配送に関して、購入者の個人情報を含む膨大な注文に関する情報を保有しております。そのため、システム設計、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定等、情報の取り扱いには十分な注意を払っており、ISMS認証(ISO27001)及びプライバシーマークを取得の上、個人情報保護方針及び社内規程を整備し、情報管理体制の運用を強化しております。

しかしながら、不測の事態による個人情報の喪失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用失墜による顧客喪失等、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) システム障害について

当社の事業運営は、倉庫管理システムであるWMS(Warehouse Management System)等、主にインターネットを経由して処理されるよう設計されております。したがって、想定外の自然災害又は事故、コンピューターウィルスによる不正侵入もしくは誤操作等による大規模なシステム障害の発生により業務が停滞した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は、セキュリティレベルが高いと考えられるサーバーの利用、役職・役割に応じた適切なアクセス権限の設定等、システム障害の未然防止に努めるとともに、万が一のシステム障害の発生の事態に備え、外部機関と連携し対応するシステム部門の人員を継続的に強化し、システム障害による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

(7) 特定人物への依存について

当社の代表取締役社長であり、創業者である角井亮一は、経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業運営において重要な役割を果たしております。また、当社は特定の個人に過度に依存することがないよう、経営幹部役職者を拡充し、経営人材の育成及び権限委譲を進めております。

しかしながら、同人がなんらかの理由により経営者として業務執行ができなくなった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は、必要に応じて中途採用による経営幹部の採用を行うとともに教育制度を拡充することで、経営幹部育成を行い、特定人物への依存による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

 

(8) コンプライアンスに関するリスクについて

当社は、リスク管理規程及びコンプライアンス規程に基づき、リスクコンプライアンス委員会を設置し、法令違反等のリスク低減について協議し、その結果を役職員の法令遵守体制の整備・強化及び社員教育に役立てております。

しかしながら、上記に反し当社の役職員が法令違反行為等を行うことや情報管理体制の不備による個人情報の喪失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜等、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は、法的規制に対する情報収集と対応や、情報管理体制を整備し続けることで、訴訟等のリスクの軽減に努めております。その他業務における誤謬、事故や法令違反等についてリスクコンプライアンス委員会に報告・協議するとともに労働基準法やハラスメント防止法に係わる社員教育や内部通報制度の整備等により、重大な事態にならないよう未然防止策の導入を進め続けることで、訴訟等による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。

 

(9) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役職員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、対象者に付与されている新株予約権が行使された場合には、既存株主の保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

なお、当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は338,400株であり、発行済株式総数3,400,000株の9.95%に相当します。

 

(10) 新型コロナウイルスの影響について

当社は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う稼働停止を最大限回避するため、就業時の予防対策を行っております。役職員等に対し、出社時の検温や出社時及び外出からの帰社時の手洗いとうがいを行わせるとともに、役職員の周辺で感染者が出ていないか等の情報収集を行い、感染予防対策を行っております。

しかしながら、上記対策を行っているにも係わらず、当社の役職員等への新型コロナウイルス感染が発生した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 災害リスクについて

当社は物流センターを運営し、顧客の商品の保管・発送業務を行っています。このため、地震や風水害等の災害により、物流センターが被害を受け、又は輸送経路が遮断されるなどの事態が発生した場合、物流業務が停滞し、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社は従業員が帰宅できなかった場合の食料品等の備蓄品を各FCに備えており、非常電源を設置しております。また、関東と関西にそれぞれ拠点を配置することで、どちらかの地域で事業が継続できる体制をとっております。経営管理面においては、社内サーバーをクラウド環境にて管理する等の体制を整えております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済活動の停滞により、依然として厳しい状況にあり、段階的に経済活動の再開による持ち直しの動きが見られたものの、先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社の通販物流事業を取り巻く物販系分野におけるBtoC-EC市場は、2019年は市場規模10兆515億円(前年比8.09%)、EC化率6.76%(前年比0.54ポイント増)と、市場規模及びEC化率ともに拡大傾向が続いております。2020年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い同年4月初旬に政府により発令された緊急事態宣言以降、外出自粛等の影響による個人の消費活動の大きな変化に伴い、いわゆる「巣ごもり消費」の傾向が強くなってきており、当社の主たる顧客である通販事業者が属するEC市場は今後も引き続き拡大すると予想されております。

このような事業環境の中、新規顧客獲得及び既存顧客との取引量拡大に対応するため、2021年1月に千葉県習志野市に習志野FC(延床面積4,700坪)を新規開設いたしました。これにより、2021年3月末における当社が運営するFC数は、東京都に2施設、千葉県に1施設、埼玉県に2施設、大阪府に1施設の合計6施設、総延床面積は37,900坪となりました。

この結果、当事業年度の業績は、売上高10,696,866千円(前年同期比27.6%増)、営業利益は238,426千円(前年同期比180.8%増)、経常利益は241,154千円(前年同期比134.8%増)、当期純利益は151,557千円(前年同期比98.0%増)となりました。

 

財政状態の状況

 (資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べて、1,737,259千円増加し5,016,622千円となりました。これは主に、流動資産のうち、現金及び預金が1,372,174千円、売掛金が226,892千円増加したこと、固定資産のうち、差入保証金が220,510千円増加したことによるものです。

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて、765,796千円増加し2,959,525千円となりました。これは主に、流動負債のうち、買掛金が221,127千円、未払金が247,700千円、未払法人税等が108,151千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて、971,463千円増加し2,057,096千円となりました。これは、新株の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ412,600千円増加したこと、当期純利益の計上等により繰越利益剰余金が145,617千円増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,249,284千円となり、前事業年度末と 比べて1,372,174千円の増加となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は830,982千円(前事業年度は242,491千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益239,778千円、減価償却費113,248千円、仕入債務221,127千円、未払金249,317千円の増加等により資金増加があった一方、売掛金233,249千円の減少等により資金減少があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は265,377千円(前事業年度は265,754千円の使用)となりました。これは主に、差入保証金の支出220,575千円、有形固定資産の取得による支出43,020千円により資金減少があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は806,540千円(前事業年度は35,301千円の獲得)となりました。これは主に、新株の発行による収入817,062千円により資金増加があったことによるものです。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績

当社の受注実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績を示すと、以下のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは、通販物流事業の単一セグメントであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

通販物流事業(千円)

10,696,866

127.6

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

(株)LDH JAPAN

1,280,075

15.3

1,537,690

14.4

(株)カーブスジャパン

1,037,402

12.4

1,023,017

9.6

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高、売上原価及び売上総利益)

当事業年度における売上高は10,696,866千円(前年同期比27.6%増)となりました。これは主に新規顧客の獲得及び既存顧客との取引量が拡大したことにより、運送売上高が増加したことに加え、第21期に開設した足立FC及び大阪FCの稼働率が上昇し、保管業務や管理業務が含まれるセンター売上高が増加したことによるものです。また、売上原価は9,857,932千円(同25.5%増)となりました。これは主に出荷量が増加したことによる荷造運賃及びFC内作業スタッフの労務費の増加に加え、保管面積の増加によって賃借料等が増加したことによるものです。この結果、売上総利益は838,934千円(同58.0%増)となりました。

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は600,508千円(前年同期比34.6%増)となりました。これは主に営業及び間接部門の強化に伴う人件費の増加、外形標準課税の適用に伴う租税公課の増加、並びに人材育成に伴う研修費が増加したことによるものです。この結果、営業利益は238,426千円(同180.8%増)となりました。

(営業外損益及び経常利益)

当事業年度における営業外損益は2,728千円(前年同期比84.7%減)となりました。これは主に上場に伴う株式公開費用等の増加により営業外費用が増加したことによるものです。この結果、経常利益は241,154千円(同134.8%増)となりました。

(特別損益及び当期純利益)

当事業年度における特別損益は△1,376千円となりました。これは主に保有する投資有価証券の評価損計上によるものです。また、法人税、住民税及び事業税90,963千円並びに法人税等調整額△2,742千円を計上しております。この結果、当期純利益は151,557千円(前年同期比98.0%増)となりました。

 

財政状態の分析

財政状態の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社における資金需要は、主として荷造運賃、賃借料等の運転資金及びFC新設時の設備導入並びに保証金の差入等があります。運転資金の財源については自己資金により賄い、FC新設等の資金につきましては、株式上場時の新株発行による調達資金の活用及び金融機関からの調達を予定しております。なお、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,249,284千円となっており、また、取引銀行2行と当座貸越契約を締結しているため、十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表等は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因にもとづき見積り及び判断を行っておりますが、不確実性があるため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び経常利益を重要指標としております。

第22期事業年度は、上記「① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおり、売上高及び経常利益ともに増加しました。今後も原価及び経費の低減を図りつつ、売上高及び経常利益の拡大に努めてまいります。

 

前事業年度

(自 2019年4月1日

2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

2021年3月31日)

売上高(千円)

8,385,453

10,696,866

経常利益(千円)

102,705

241,154

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。