文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
我が国の光産業は、光技術の絶え間ない革新により、情報通信、ディスプレイ・照明、情報記録、情報入出力、レーザ・光加工、光エネルギー、センシング・計測等さまざまな産業分野に光技術の応用が広がり、国内出荷額だけでも14兆円規模(一般財団法人光産業技術振興協会「光産業動向調査」2018年10月22日より)の一大産業に成長しております。ビッグデータ、半導体等の微細化、情報通信の大容量高速化など近年のイノベーションの進展は、電気から光の時代への移行を加速しております。光技術の絶え間ない革新に支えられ、今後も引き続き、大きく発展していくとみられる中で当社は、世の中に無い、また敢えて他社ができないものに取り組み、グローバルニッチトップの製品化/事業化に成功してまいりました。3つの経営理念、
「研究成果を社会に還元し、キーマテリアルを世界に向けて発信する」
「顧客へマテリアルソリューションを提供し、社会の発展に貢献する」
「単結晶を核とした製品を開発し、未来の市場機会を創造し続ける」
のもとに、オープンイノベーションパートナーとしてのユーザーの技術シーズと技術ニーズをマッチングさせ、新たな付加価値を創造するコーディネーターを担ってまいります。同時に、「世の中に無い、また敢えて他社ができないものに取り組む」ベンチャー精神を発揮し、世界でもユニークな光学技術で世界のイノベーションの拡大に貢献する企業をめざしてまいります。
(2)経営戦略等
当社は、上記の経営方針の下、光学分野の次世代製品開発、レーザ加工、レーザセンシングといった新領域の新製品開発とともに、コア技術である単結晶の高品質化開発といった基盤技術の研究開発を推進してまいります。これらの開発については、取締役会、経営会議等により議論され、随時進捗確認を行っております。
また、中長期的な経営の指針として、「光学技術の蓄積」、「光学分野における技術者集団の形成」、「市場における新たな需要の発掘」、「事業譲受のノウハウの集積」を図り、各市場において高付加価値な製品の開発を実現し、それにより高いシェアを獲得することにより収益性を高め、企業価値の増大を達成してまいります。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長に向けて、①売上高成長率、②営業利益率を意識した経営を行ってまいります。
①売上高成長率を採用する理由は、当社は創業後の20年間、概ね5年毎に約2倍の増収を実現してきており、今後も同様の成長率をキープすることが重要と考えているためです。
②営業利益率を採用する理由は、日本の製造業の経営分析をする上で広く利用されている指標のためです。
(4)経営環境
電気の20世紀から光の21世紀と言われる社会変革は、光通信技術による情報革命が主導してまいりました。1980年代の光ファイバ、インターネットの一般家庭への導入、データセンターの活用によるクラウドサービスの拡大、スマートフォンの普及、さらに5Gの導入と技術の進展はとどまるところを知りません。ただ、これでもまだ光の機能性の一部を利用したにすぎません。具体的には、製造現場でのレーザ加工、医療分野での眼科やがんの診断及び治療、ディスプレイ、精密計測、農業利用などへの展開に向けた開発が進展しています。こうした光学分野の環境をもとに、それぞれの事業毎の経営環境は「第1 企業の概況 3 事業の内容」にも一部記載しておりますが、半導体事業及びヘルスケア事業の事業環境について以下に記載いたします。
世界の半導体市場は、元々比較的変動の大きい市場と言われておりますが、加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けております。2021年1月の米調査会社のガートナーの発表によると、2020年の世界半導体市場は前年比7.3%増の4,498億ドルとなっております。また、当社の半導体事業は、特に、半導体ウエハ表面検査における半導体ウエハ欠陥検査装置市場向けとなりますが、グローバルネット株式会社「世界半導体 製造装置・試験/検査装置市場年鑑2020」によると、同市場規模は、2016年299,620百万円、2017年341,179百万円(前年比13.9%増)、2018年370,953百万円(同8.7%増)、2019年312,405百万円(同15.8%減)、2020年(予測)374,768百万円(同20.0%増)、2021年(予測)400,327百万円(同6.8%増)、2022年(予測)424,883百万円(6.1%増)、2023年(予測)432,625百万円(1.8%増)、2024年(予測)470,609百万円(8.8%増)と、2019年に落ち込みが見られたものの、顕著に推移しております。
ヘルスケア市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、肺炎の診断向け装置、特にCT装置の需要が高まり、当社製品のユーザーである医療機器メーカーにおいても、がん診断装置向けのリソースをCT装置向けにシフトする動きが顕在化しました。そのため、当社への需要も一時的に減少しましたが、2020年8月以降は需要を取り戻して推移し、ヘルスケア事業における当事業年度下期の売上高は、806百万円(同46.6%増)となり、年間では前年を上回る水準となりました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 各種研究開発の促進
当社が推進する光技術の応用範囲は、世界規模で拡大しており、IoTやAI、ビッグデータといったイノベーションを支える半導体の微細化、医療機器の高度化等に伴い、当社の製品への需要も拡大基調にあります。一方、レーザによる加工やセンシングといった新領域・新用途への的確かつスピーディーな開発、製品化が求められてもおります。こうした展開には各種研究開発の推進が不可欠であり、また当社の独自性、技術的な優位性を保つ上でも同様であります。研究開発の推進には、社内の人的及び資金的資源に加え、東京大学、大阪大学、東北大学、理化学研究所等の大学、研究機関との研究連携や、政府機関の研究開発補助などの資金面での支援も積極的に活用しております。
② 優秀な人材の採用
これらの当社製品への需要増や開発促進に対応するため、即戦力の技術者の採用とともに優秀な若手技術者の採用や人材開発が大きな経営課題になっていると認識しております。新卒採用については、国内の大学や研究室との継続的な連携を進めることや、学生の履修状況に応じた製品製造・開発の実体験型インターンシップ等の実施により卒業生の採用に繋げ、採用難の状況の中でも計画に沿った実績を重ねております。過去5年の新卒採用の実績は、2017年4月3名(うち大学院卒1名)、2018年4月4名、2019年4月9名(うち大学院卒4名)、2020年4月7名、2021年4月7名となっております。中途採用については、優秀な人材について年々採用のハードルが高まる中、各地各所で開催される企業説明会や人材紹介会社を通じて当社の魅力やマーケットでの製品優位性を効果的にアピールし、業務拡大に対応できる即戦力の確保に成果を上げております。正社員の中途採用における過去3年の実績は、2019年2月期14名、2020年2月期11名(うちパートからの正社員登用2名)、2021年2月期30名となっております。人材開発については、適材適所を考慮した配置や各階層に応じたレベルアップ研修・フィードバックを継続的に実施するとともに、次世代の中核となる技術者の育成を見据えて社会人博士号の取得支援などの施策を重層的に進めております。
③ 財務体質の健全化
当社は、当社製品の需要増に対応するためには、既存設備の増強と継続的な研究開発が必要と考えております。一方で、これら設備投資又は研究開発投資を支える財務基盤の確保も重要な課題の一つと認識しております。具体的には、自己資本比率等の指標により財務体質の健全性を確認しながら、各投資のタイミングと投資額について検討しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)市場リスク
① 顧客動向によるリスク
当社の顧客層は、医療機器、半導体、レーザなど世界各地のメーカーに拡がっております。さまざまな産業セクターへの営業活動を行い、これら顧客企業の個別の経営状態の変動による影響を極小化する努力をしております。しかしながら大幅な為替変動や、地政学的要因などにより、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社が提供する製品需要は、常に次世代製品の先行開発投資に追随する性格のものであり、顧客企業での次世代投資、製品転換が遅れることで当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社では、経営会議や取締役会等において、当社顧客の業界動向の把握に努めており、仮に財政状態や業績に悪影響を及ぼす予兆を検知した場合には、遅滞なく経営判断を行う体制を構築しております。
② 特定の取引先への依存リスク
当社の2020年2月期、2021年2月期の販売先は、それぞれ140社超、120社超ありますが、そのうち、特定の6取引先に対する売上が、2020年2月期、2021年2月期それぞれにおいて75%超、80%超となっております。
当社の業績は、これらの販売先への販売次第で偏りが生じる場合があります。2020年2月期及び2021年2月期の両上半期は、営業以下各段階で赤字計上となっております。なお、2020年2月期、2021年2月期ともに通期では黒字転換となっております。
また、参考情報ですが、2020年2月期全社売上高3,065百万円に対する6社合計売上高は2,317百万円、2021年2月期全社売上高3,579百万円に対する6社合計売上高は2,943百万円となっております。
当社としましては、継続的に新たな用途の市場創造、市場参入及び新規顧客開拓を実施することにより、特定の取引先への依存リスク低減に努めてまいります。
③ 海外事業展開に関するリスク
当社は、材料・部品の調達及び当社製品の輸出等において海外との商取引を行っております。当事業年度における売上高のうち、約73%が海外売上高となっております。当社の主要な販売国は、米国となっております。今後は、中国を含むアジア各国との取引が増勢となることが見込まれ、従って、取引先所在国において、予測し得ない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社では、経営会議や取締役会等において、販売対象地域の状況把握に努めており、仮に財政状態や業績に悪影響を及ぼす予兆を検知した場合には、遅滞なく経営判断を行う体制を構築しております。
④ 開発進捗遅延によるリスク
当社の開発投資は、自社での投資や顧客の支援による投資などさまざまな形態がありますが、顧客の開発スケジュールや生産計画または当社製品の代替技術の台頭などにより、当社の開発進捗が大幅に遅延あるいは変更となる場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新領域事業に関するリスク
当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、また、光学分野での新たなマーケットを開拓するために、新領域事業への取り組みを進めていく方針であります。新領域事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新領域事業が当初の計画どおりに推移せず、新領域事業への投資に対する十分な回収を行うことができなかった場合、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
(2)調達リスク
① 資材調達によるリスク
当社は、さまざまな原材料や光学部品等を購入して使用していますが、その中には特殊な原材料や部品も含まれています。重要なものは複数ベンダーによる購買や在庫積み増し等の対策を講じて安定製造、安定供給に努めていますが、一部代替が利かないものも存在します。特に、ヘルスケア事業でシンチレータ単結晶の製造に使用する酸化ルテチウムの産出国は中国、ロシア、オーストラリアであり、当社は主に中国から調達しております。従って、中国の国家政策等により、その調達に問題が発生した場合には、生産計画に支障が生じ、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社では、複数ベンダーによる購買、商社等を通じた調達市場動向の早期把握、また在庫積み増し等の対策を講じて安定製造、安定供給に努めています。
② 原材料価格の変動によるリスク
当社が製造で使用する原材料の中で、ヘルスケア事業にてシンチレータ単結晶の製造に使用する酸化ルテチウムは、レアアースであります。レアアースの価格は変動が大きく、価格の変動を販売価格に転嫁できない場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
これに対して、当社では、経営会議や取締役会等において、レアアースの価格動向の把握に努めており、仮に価格変動の予兆を検知した場合には、原材料の前倒し仕入れ等の経営判断を遅滞なく行う体制を構築しております。
(3)法務(コンプライアンス含む)、知的財産に関するリスク
① 知的財産管理に関するリスク
当社は、知的財産権が事業活動・製品競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、知的財産権の取得による自社権利の保護に努める一方で、他社の知的財産権を調査し、問題の発生防止を図っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じた場合や、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 情報漏洩リスク
当社の事業の中には、秘密保持契約を締結した上で顧客の製品開発に関わる技術情報や営業情報を預かり、取り扱う業務があります。役職員にはこの重要性を知らしめ、啓発、教育を行い、秘密保持誓約書を提出させる等、情報漏洩の防止には万全を期していますが、万が一情報の漏洩が発生した場合には、当社が賠償責任を負う可能性があります。
③ コンプライアンスリスク
当社は、当社の役職員に対し、コンプライアンス研修の実施等をとおしてコンプライアンス意識の醸成を図っております。しかしながら、万が一、当社の役職員がコンプライアンスに違反する行為を行った場合には、当社の社会的信用、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)財務に関するリスク
① 固定資産の減損に関するリスク
当社は、キャッシュ・フローを生み出す資産又は資産グループの最小単位として、工場単位(第1・2工場、第3工場、横浜事業所)を基本とした資産のグルーピングを行っております。
当該資産又は資産グループが属する工場の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 金利変動リスク
当社は、将来にわたって必要な設備を新規取得あるいは更新のため、設備投資資金や運転資金を金融機関からの借入金により賄っております。有利子負債には変動金利条件となっているものがあります。変動金利による調達に関しましては、金利スワップ契約等を活用することで金利変動に伴うリスクの軽減に努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 有利子負債に関するリスク
当社における2021年2月期末における有利子負債は総資産の58%となっております。当社は、金利上昇によるリスクを軽減するため、新規での長期借入を固定金利での契約を優先させ、また現預金を確保しつつ営業キャッシュ・フローによる借入金の返済促進などによる財務体質の強化に努めておりますが、今後、急激かつ大幅な金利上昇が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替の変動に関するリスク
当社は、一部の海外との取引において日本円以外の通貨を用いて行っております。当該通貨の急激な為替変動があった場合には、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して、当社では、経営会議や取締役会等において、為替動向の把握に努めており、仮に財政状態や業績に悪影響を及ぼす予兆を検知した場合には、遅滞なく経営判断を行う体制を構築しております。
(5)その他のリスク
① 人材確保に関するリスク
当社の事業継続及び拡大においては、光学関連技術者、管理体制強化に伴う管理部門、当社製品、技術を広く提供するための営業部門への有能な人材確保が必要です。
当社では、有能な技術者及び次世代経営幹部の採用を進めております。また、組織活性化と優秀な人材の定着を図っております。しかしながら、計画どおりの採用が実現できず、技術者の確保が十分にできない場合には、人材確保に関する経費の増加や、適切な人材配置が困難となり事業拡大に制約が発生するなどにより、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 自然災害・事故災害の影響
当社の生産拠点の内、本社、第1・2工場及び第3工場は、山梨県北杜市に集中しております。生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が重大な損害を被った場合は、売上の大幅な減少や設備の修復等に多額の費用負担が発生することにより、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、情報管理、ネットワーク管理にも冗長性、災害対応等に対するバックアップ体制を構築しておりますが、大規模かつ長時間の停電発生や何らかの外的要因による情報ネットワークの遮断などによる事業活動の中断及び停止により、当社の財政状態及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産につきましては、前事業年度末に比べ869百万円増加し、6,565百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が88百万円、のれんが62百万円とそれぞれ減少した一方で、現金及び預金が505百万円、仕掛品が409百万円とそれぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債につきましては、前事業年度末に比べ547百万円増加し、5,054百万円となりました。これは主に、短期借入金が150百万円、1年内返済予定の長期借入金が58百万円とそれぞれ減少した一方で、長期借入金が528百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産につきましては、前事業年度末に比べ322百万円増加し、1,511百万円となりました。これは主に、ストックオプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ5百万円、当期純利益の計上により利益剰余金が310百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により急速に悪化し、2021年4月発表の国際通貨基金(以下、「IMF」という。)による2020年の世界経済の成長率はマイナス3.3%と推定される一方で、2021年に6.0%、2022年に4.4%の成長を遂げると異例の不確実性の中でも回復の予測がなされております。日本経済でも概ね同様な基調で、2020年の成長率はマイナス4.8%に対して、2021年は3.3%、2022年は2.5%の成長と推定されております(IMF「世界経済見通し2021年4月」より)。
当社の当事業年度は、一部製品で新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、半導体、ヘルスケア両事業で主に下半期から増収基調となりました。当社は、光学事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、以下に製品の市場別に売上高の状況等を説明いたします。
光計測・新領域事業におきましては、単結晶技術、光学分野でのコア技術の新用途・新製品を立案・開発し、試作・開発ベースでの小規模案件を中心にビジネスを進めております。当事業年度における同事業の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部製品の販売がやや低調に推移し、前年同期比8.8%減の525百万円となりました。
半導体事業におきましては、世界の半導体市場が、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によるマイナス影響がある一方、5G(第5世代移動通信)スマートフォンの増加やライフスタイルの変化による半導体需要増から、2020年5.1%増、2021年8.4%増のプラス成長が予想され(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計、2020年12月1日発表)、そうした動きなども反映し、半導体装置メーカーなどからの当社製品への引き合い及び受注状況は増勢で推移しております。当事業年度における同事業の売上高は、前年同期比34.9%増の1,729百万円となりました。
ヘルスケア事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、2020年前半は一時的な需要減がありましたが、その後回復し、通期では前期実績を上回り、当事業年度における同事業の売上高は、前年同期比9.8%増の1,324百万円となりました。
その結果、当事業年度の売上高は3,579百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益は365百万円(前年同期比197.4%増)、経常利益は322百万円(前年同期比207.8%増)、当期純利益は310百万円(前年同期比303.4%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ505百万円増加し、当事業年度末には1,171百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は568百万円(前事業年度は126百万円の減少)となりました。これは主に税引前当期純利益322百万円(前事業年度は税引前当期純利益104百万円)、減価償却費が224百万円(前事業年度は減価償却費208百万円)、のれん償却額62百万円(前事業年度はのれん償却額116百万円)、修繕引当金の増加額28百万円(前事業年度は修繕引当金の増加額99百万円)、未払金の増加額70百万円(前事業年度は未払金の減少額14百万円)、前受金の増加額92百万円(前事業年度は前受金の減少額15百万円)、売上債権の減少額88百万円(前事業年度は売上債権の増加額445百万円)が生じた一方で、たな卸資産の増加額372百万円(前事業年度はたな卸資産の増加額239百万円)、仕入債務の減少額18百万円(前事業年度は仕入債務の増加額69百万円)及び法人税等の支払額6百万円(前事業年度は法人税等の支払額60百万円)が生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は300百万円(前事業年度は508百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出244百万円(前事業年度は有形固定資産の取得による支出498百万円)が生じたこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は241百万円(前事業年度は333百万円の増加)となりました。これは主に株式の発行による収入11百万円(前事業年度は株式の発行による収入68百万円)、長期借入れによる収入1,016百万円(前事業年度は長期借入れによる収入444百万円)が生じた一方で、短期借入金の純減少額による支出150百万円(前事業年度は短期借入れによる収入250百万円)、社債の償還による支出25百万円(前事業年度は社債の償還による支出25百万円)、割賦債務の返済による支出59百万円(前事業年度は割賦債務の返済による支出60百万円)、長期借入金の返済による支出547百万円(前事業年度は長期借入金の返済による支出339百万円)が生じたこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における生産実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。
|
事業区分 |
当事業年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
前年同期比(%) |
|
光計測・新領域事業(千円) |
466,128 |
81.1 |
|
半導体事業(千円) |
1,168,524 |
153.1 |
|
ヘルスケア事業(千円) |
820,556 |
80.6 |
|
合計(千円) |
2,455,209 |
104.2 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における受注実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。
|
事業区分 |
当事業年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
|
光計測・新領域事業 |
673,250 |
117.1 |
294,755 |
404.2 |
|
半導体事業 |
1,913,551 |
129.6 |
558,033 |
123.8 |
|
ヘルスケア事業 |
1,452,315 |
144.1 |
129,020 |
951.6 |
|
合計 |
4,039,117 |
132.0 |
981,809 |
182.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当社は、光学事業の単一セグメントであります。当事業年度における販売実績を事業区分別に記載すると以下のとおりです。
|
事業区分 |
当事業年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
前年同期比(%) |
|
光計測・新領域事業(千円) |
525,874 |
91.2 |
|
半導体事業(千円) |
1,729,355 |
134.9 |
|
ヘルスケア事業(千円) |
1,324,389 |
109.8 |
|
合計(千円) |
3,579,619 |
116.8 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2019年3月1日 至 2020年2月29日) |
当事業年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
||
|
販売高 (千円) |
割合 (%) |
販売高 (千円) |
割合 (%) |
|
|
Marubeni America Corporation |
1,166,418 |
38.1 |
1,323,351 |
37.0 |
|
株式会社日立ハイテク |
624,772 |
20.4 |
602,233 |
16.8 |
|
Skyverse Technology Co., Ltd |
- |
- |
430,000 |
12.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.Marubeni Specialty Chemicals Inc.とMarubeni America Corporationが2020年8月1日付で合併し、Marubeni America Corporationとなっております。
4.Skyverse Technology Co., Ltdは、2021年1月11日付で、SHENZHEN NANOLIGHTING LAB LTD.からSkyverse Technology Co., Ltdへ商号変更しております。
5.Skyverse Technology Co., Ltdの前事業年度における販売高は、総販売高に占める割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度におきましては、特に今後の事業拡大に対応する即戦力の技術者の採用と優秀な若手技術者の採用に注力し、新卒採用の実績は7名、即戦力の中途採用は30名と合計37名の増員を実現いたしました。今後人材開発にも取り組んでいく計画であります。当社は、光学事業の単一セグメントでありますが、事業区分別に売上高を以下に記載いたします。
a.売上高
当事業年度において、半導体事業では量産販売のレーザ増産に備えた製造ラインの増強や人材増員を進めてまいりました。同事業での上半期の需要はやや低調でありましたが、下半期から量産タイプのレーザの出荷が本格化し、前年同期比34.9%増の売上高1,729百万円となりました。ヘルスケア事業では、新型コロナウイルス感染症の影響で上半期に一時的な需要減少がありましたが、下期以降は持ち直しを見せ通期では前年同期比9.8%増の1,324百万円となりました。光計測・新領域事業では、新型コロナウイルス感染症の影響で一部製品の受注、販売に影響が及び前年同期比8.8%減の525百万円となり、当事業年度の全社売上高は、前年同期比16.8%増の3,579百万円となりました。当社が経営目標として掲げる前年同期比増収率20%には3.2ポイント未達となりましたが、来期以降目標達成へ一層取り組みを強化してまいります。
b.売上総利益
当事業年度の全社の増収額514百万円は、半導体事業で447百万円と大半を占めます。半導体事業は、ヘルスケア事業、光計測・新領域事業に比べて相対的に原価率が低いため、前年同期比で売上総利益率は5.2ポイント上昇し、売上総利益は316百万円増加し、1,083百万円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
前年同期比で研究開発費が23百万円、給料及び手当が25百万円、減価償却費が1百万円増加し、のれん償却額が54百万円減少し、販売費及び一般管理費は73百万円増加し、717百万円となりました。その結果、営業利益は、前年同期比242百万円増加し、365百万円となりました。当社が経営目標として掲げる営業利益率10%に対して当事業年度は10.2%と目標を達成することができました。
d.経常利益
当事業年度における営業外収益は、17百万円となりました。その主な内訳は、補助金収入12百万円及び助成金収入3百万円です。営業外費用は、59百万円となりました。その主な内訳は、支払利息48百万円です。
これらの結果、当事業年度における経常利益は、前年同期比217百万円増加し、322百万円となりました。
e.特別利益及び特別損失
当事業年度における特別利益、特別損失はありませんでした。
f.税引前当期純利益
当事業年度における税引前当期純利益は、前年同期比217百万円増加し、322百万円となりました。
g.法人税等
当事業年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は、前年同期比15百万円減少し、12百万円となりました。
h.当期純利益
当事業年度における当期純利益は、前年同期比233百万円増加し、310百万円となりました。当事業年度におけるROE(自己資本利益率)は、23.0%であり、今後ROEなど使用自己資本の効率や資本コストを意識した経営目標を検討してまいります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、製造用の設備の取得費、研究開発費、原材料等の購入費用、一般管理費等の営業費用であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
日々の営業活動及び製品製造のための仕入れに係る資金の受け取りと支払いの差により発生する短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入で賄い、自己資本では賄えない固定資産投資等への対応資金である長期運転資金の調達につきましては、金融機関引き受けの私募社債の発行、また金融機関からの長期借入やリースを中心に、また必要に応じて資本での調達も検討することとしております。
なお、当事業年度末における社債、借入金、リース債務及び割賦未払金を含む有利子負債の残高は3,829百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,171百万円となっております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、成長性、収益性及び資本効率性を判断する指標として、売上高成長率及び営業利益率を経営指標として捉えております。当事業年度における売上高成長率は16.8%、営業利益率は10.2%となっております。
売上高成長率の向上をめざす施策としては、新たな用途と顧客の開拓を進めてまいります。新たな用途につきましては、光技術の応用範囲は世界規模で拡大しており、レーザによる加工や計測といった新領域・新用途への事業領域の拡大を進めております。新たな顧客の開拓の主な候補は、半導体事業やヘルスケア事業での現在の顧客の競合先が当社にとっての新たな顧客となります。
営業利益率の向上をめざす施策としては、より付加価値の高い製品の開発を進めてまいります。具体的には、研究開発活動を行っております、医療用ボタン電池や自動車用電池を用途とする固体電池材料、放射能汚染モニタリング、セキュリティ、石油探査、医用SPECT装置を用途とするGPS結晶、5G・データセンタ通信用デバイスを用途とするアイソレータ用単結晶等となります。
該当事項はありません。
当事業年度の研究開発活動は、大きく製品開発と基盤技術開発の二つの分野に区分されます。更に、製品開発は、新製品開発と既存製品の改良開発に区分されます。当社の研究開発は、各事業部において行っておりますが、基盤技術開発は、主にコアテクノロジ事業部で行っております。これは、基盤技術に相当する単結晶の探索や製法開発は、コアテクノロジ事業部が担当しているためです。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は
当事業年度における各区分の主要な研究開発の概要は以下のとおりです。
なお、当社は、光学事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しております。
(1)製品開発
① 新製品開発
光学技術の応用分野は拡大を続けております。当社では、センシング向けのレーザ開発に優先して取り組んでおります。センシングの具体的用途は、環境計測(ガス検知)とLiDAR(※1)向けです。独自開発のみならず、ユーザーである装置メーカーや開発助成機関との共同での開発も随時進めております。
(※1)LiDAR(Light Detection and Ranging)は、対象物にレーザ光を照射し、その反射光を光センサでとらえて距離を測定するリモートセンシング方式です。
② 既存製品の改良開発
当社にて製品として販売しているレーザのうち、波長が213nm、266nm、532nmについて高出力化した次世代製品をユーザーの要求仕様に対して、他社に先駆けての市場投入をめざして開発を進めております。
(2)基盤技術開発
当社は、当社の保有するコアテクノロジ技術の深耕として、新たな特性を持つ単結晶材料の探索や、単結晶の新たな製法開発などに取り組んでおります。主な開発中の製品とその期待される用途は以下のとおりです。これら開発中の製品はユーザーにおける評価を受けながら製品化をめざしております。
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開発中の製品 |
期待される主な用途 |
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単結晶固体電池材料 |
医療用ボタン電池、自動車用電池 |
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GPS単結晶 |
放射能汚染モニタリング、セキュリティ、石油探査、医用SPECT装置 |
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アイソレータ用単結晶 |
5G・データセンタ通信用デバイス |
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GaN用基板単結晶 |
パワー半導体、可視光レーザ |
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蛍光体単結晶・デバイス |
レーザ照明、水銀ランプ代替、プロジェクタ光源 |
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CW/QCW213nmレーザ |
最先端計測、半導体検査装置 |
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フェムト秒レーザ |
OLED・MicroLEDディスプレイ製造、微細加工 |
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マスク描画用レーザ |
フォトマスク、露光機 |