文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)経営方針
当社はグループ理念として、ミッション、バリュー、ビジョンを定め、当社グループの経営における基本方針としております。
(1)ミッション
増収増益企業を共創するネットワークの拡大を通じて 一人ひとりがしあわせを実感できる社会を創造する
(2)ビジョン
100社、1000億、1万人
中小企業100社のネットワーク
グループ売上高 1000億円
グループ営業利益 100億円
社 員 数 1万人
(3)バリュー
① 意志
「絶対こうなる」と強烈に思い続ければ必ず実現する、「こうなりたい」程度では実現しない
② 逆算
現状維持は衰退、自らが望む将来像から逆算してゴール、プロセス、スケジュールを具体的な目標にする
③ 勇気
変わる勇気、嫌われる勇気等、真の勇気を持つ、卑怯な行動はしない
④ 努力
一番を目指して競合他社に勝つ努力をし続ける
⑤ 価格
企業の栄枯盛衰は「値決め」で決まる、売上最大・経費最小、原価意識・採算意識を持つ
⑥ 尊重
「ために」ではなく「共に」、互いを尊重し、平等な関係で信頼しあい、それぞれが持てる力を尽くす
2)経営環境
(1)社会環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続きました。一方で、物価上昇の継続や米国の通商政策等が、わが国の景気を下押しするリスクとなり、先行きは不透明な状況が続いております。
(2)事業環境
① グループ全体の事業環境
当社は、地域に根差した中小企業の成長支援を行う、「企業支援プラットフォーム」を構築し、子会社に対しグループ共通の価値観や業績向上への取り組みの支援を行うとともに、「企業支援プラットフォーム」のさらなる充実を図るため、資本提携によるグループネットワークの拡大を進める取り組みを行っております。
わが国では、経営者の高齢化が進む中で中小企業の事業承継が社会的な課題として認識されております。また最近では、円安・物価高の継続や人手不足などの事業環境の変化に対応し、企業を成長させるため、人への投資、設備投資、М&A、研究開発投資、海外展開の推進などが注目されております。
加えて、中小企業庁が2025年7月に公表した「2025年版『中小企業白書』」によると、中小企業における後継者不在率は減少傾向にあるものの、60歳以上の経営者が過半数を占めるなど、経営者年齢の水準は依然として高い状況が続いており、中長期的な事業承継のニーズは今後も拡大していくものと見込んでおります。
② セグメント別の事業環境
a.建設関連サービス事業
建設関連サービス事業は、発注者の約8割を行政(国、都道府県、自治体など)が占めております。当社グループでは、事業の発注を受け、土木、建築工事に関わる調査計画、設計、施工管理、維持点検等の「建設コンサルタント業務」の提供を行うとともに、発注者である行政の組織の中で、公共工事の発注に伴って発生する工事の監督、積算や検査などの業務を職員(公務員)に代わって行う「発注者支援サービス」も提供しております。
当事業の市場動向について概観しますと、2025年度の公共事業関係費の一般会計予算は、財務省が2025年4月に公表した「令和7年度 国土交通省・公共事業関係予算について」によると、公共事業関係費の一般会計予算は6兆858億円(前年度比+0.0%)であり、前年度と同水準を維持しております。なお当該予算編成にあたっては、「防災・減災、国土強靭化の推進」、「地方創生や生産性向上・成長力強化に向けた取組」、「担い手の確保・処遇改善への対応」、「国民の安全・安心の確保」などが基本的な考え方として示されております。
建設投資の見通しについては、(一財)建設経済研究所が2025年4月に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2025年4月)」によると、2024年度は73兆9,500億円(前年度比4.0%増)と前年度を上回る水準に、2025年度は74兆9,300億円(前年度比1.3%増)と前年度と比べて微増となる予測がされております。うち、政府投資については2024年度が23兆6,600億円(前年度比4.6%増)、2025年度が24兆500億円(前年度比1.6%増)となり、微増になると予測されております。
以上より、当事業の市場は、今後も同水準で底堅く推移していくものと見込んでおります。
b.人材関連サービス事業
人材関連サービス事業は、事務スタッフ派遣、建設技術者派遣、製造業派遣を主要な事業としております。その他の関連する事業として、交通誘導や施設の警備等を行う警備事業、日本で受託した図面作成等業務をカンボジアにて行う海外アウトソーシング事業及びカンボジア人技能実習生送出事業を行っております。
当事業の市場動向について概観しますと、まず有効求人倍率については、厚生労働省が2025年5月に公表した「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)」によると、2024年度平均で1.25倍(2023年度平均 1.29倍)と前年をやや下回る動きが見られました。
労働者派遣事業の状況については、厚生労働省が2025年3月に公表した「令和5年(2023年)度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、派遣労働者数は約212万人(前年度比1.4%減)、と前年をやや下回りました。一方で、派遣先件数は約80万件(前年度比0.4%増)、年間売上高は9兆500億円(前年度比3.3%増)となり、いずれも前年度に比べ増加しました。
警備業の状況については、警察庁が2024年7月に公表した「令和5年における警備業の概況」によると、2023年12月末現在の、警備業法第4条に基づく認定業者数は1万674業者(前年比150業者、1.4%増)、警備員数は58万4,868人(前年比2,754人、0.5%増)、売上高は3兆3,060億円(前年比2,191億円、6.6%減)となり、警備業者数、警備員数が増加する一方で、売上高は減少しました。これには、調査方法を従来とは異なるWEB調査に変更したことに伴い、令和5年末の回答業者数が大幅に減少したことが影響しております。なお、令和6年の「警備業の概況」は、2025年7月に公表されており、2024年12月末現在の、警備業法第4条に基づく認定業者数は1万811業者(前年比137業者、1.3%増)、警備員数は58万7,848人(前年比2,980人、0.5%増)、売上高は3兆4,478億円(前年比1,418億円、4.1%増)となり、業者数、警備員数、売上高のいずれも前年を上回りました。
外国人の雇用状況については、厚生労働省が2025年1月に公表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)」によると、外国人労働者数は230万2,587人(前年比12.4%増)、外国人を雇用する事業所数は34万2,087か所(前年比7.3%増)となり、平成19年に届出が義務化されて以降、最高を更新しました。在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が71万8,812人(前年比20.6%増)、次いで、「身分に基づく在留資格」が62万9,117人(前年比2.1%増)、「技能実習」が47万725人(前年比14.1%増)、「資格外活動」が39万8,167人(前年比12.9%増)、「特定活動」が8万5,686人(前年比19.5%増)となりました。
わが国では人口の減少と高齢化の進行により、労働力人口が大幅に減少することが懸念されていることから、女性・若者・高齢者・就職氷河期世代等の活躍促進に向けた政策なども検討されております。今後は、限りある労働力に対する需要の高まりとともに、当事業の市場は拡大していくものと見込んでおります。
c.建設事業
建設事業においては、道路や橋梁施設工事等のインフラ関連工事や法面工事等の専門工事を全般的に行っております。
当事業の市場動向につきましては、a.建設関連サービス事業 の記載と同様であり、当事業の市場は、今後も同水準で底堅く推移していくものと見込んでおります。
d.介護事業
介護事業においては、通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(認知症専用デイサービス)、居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)、住宅型有料老人ホームの運営を行っております。
当事業の市場動向について概観しますと、介護保険事業の状況については、厚生労働省が2025年7月に公表した「介護保険事業状況報告の概要(令和7年4月暫定版)」によると、2025年4月末現在の介護保険第1号被保険者数(65歳以上の方)は3,585万人(2023年4月3,586万人、2024年4月3,591万人)、要介護(要支援)認定者数は723.0万人(2023年4月696.1万人、2024年4月710.1万人)、居宅(介護予防)サービス受給者は430.3万人(2023年4月 411.2万人、2024年4月 422.4万人)、地域密着型(介護予防)サービス受給者数は91.6万人(2023年4月 89.5万人、2024年4月 91.0万人)となり、介護保険事業の利用者数は全体として増加傾向にあります。
介護サービスは、要介護者、家族等の生活を支えるうえで欠かせないものであり、人材の不足や物価上昇の継続等、事業環境の先行きは不透明さを増しておりますが、中長期的に介護事業の社会的必要性は高まるものと考えられることから、当事業の市場は今後拡大していくものと見込んでおります。
3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは売上高の中長期的な成長を重視しております。また、安定的な利益確保を目指し、売上高営業利益率を客観的な管理指標としております。なお、今後は2025年8月に公表した中期経営計画に基づき、売上高及びEBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却額)を管理指標としてまいります。
4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは「企業支援プラットフォーム」を通じて、各企業の自律的なオーガニック成長を後押ししております。企業が成長することでグループ全体の資金力も強化され、その力を基盤に「従業員承継型M&A」を推進し、非連続的な成長に取り組んでおります。
当社グループの成長戦略である非連続的な成長を実現する「従業員承継型M&Aの推進」と、各企業のオーガニックな成長を後押しする「企業支援プラットフォームの提供」を進めるための課題は、M&A方針の認知度、M&A候補企業情報の確保、M&A資金の調達であると認識しております。
これらの課題に対処するために、以下の施策を実施してまいります。
・当社グループのM&A方針の認知度向上
・M&A候補企業の検討業種・規模の拡大
・M&Aソーシング先の拡大
・グループ内資金の有効活用と調達先の拡大
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティに関するリスクについて、リスクマネジメント委員会にて継続的に審議・検討を行う方針です。リスクマネジメント委員会は、最高責任者を当社代表取締役社長とし、総務部を統括部署、各グループ会社を担当部署、各社社長を担当部署責任者として構成し、原則として年2回開催しています。
また、サステナビリティ関連の包括的なリスク及び機会については、取締役会において識別、評価を行う方針です。
(2)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティを含む全社的なリスクに対応するため、代表取締役社長直轄の内部監査室と、取締役会の諮問機関であるリスクマネジメント委員会が連携し、リスクの特定・評価・対応を行っています。
また、サステナビリティ関連の包括的なリスク及び機会について、特に管理を要するものについては、定期的な報告または見直しを行うことで適切に管理をしていく方針です。
当社グループは、「増収増益企業を共創するネットワークの拡大を通じて 一人ひとりがしあわせを実感できる社会を創造する」というミッションを掲げ、社員一人ひとりを最も重要な経営資本のひとつと位置付けています。人材関連サービス事業セグメントでは国籍・性別・年齢・社歴・学歴を問わず多様な人材を確保し、警備会社における高齢者雇用、介護事業における女性活躍推進など、既存事業に根差した形でダイバーシティを推進しています。また、メイホーフィロソフィの実践を通じ、能動的主体的な人材の育成を行い、組織全体の一体感や帰属意識を醸成しています。将来的には、こうした人材から次世代の経営リーダーを輩出し、持続的な成長と社会課題解決の両立を目指します。なお、社内制度としては、コース別人事制度の導入や、定期的な1on1ミーティングを通じてキャリア形成の支援や心理的安全性の確保を行っています。今後は、こうした制度運用の成果や課題を可視化し、さらなる働きやすい環境の整備につなげてまいります。
(4)指標及び目標
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)建設関連サービス事業
① 公共事業への依存
当社グループの建設関連サービス事業は、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、国及び地方公共団体の公共投資予算に大きく左右されます。このため、国及び地方公共団体の公共投資予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 価格競争
公共事業の予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、同業他社との価格競争が激化することにつながりかねず、受注単価が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 業績の季節的変動
当社グループの建設関連サービス事業は、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、受注案件の納期並びに売上高が3月末に集中する傾向にあることから、下記「当連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)の各四半期連結会計期間の業績」のとおり、当社グループの売上高及び収益も第3四半期連結会計期間に偏重する傾向がある一方、第3四半期以外の四半期業績については低調な着地となる可能性があります。
当連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)の各四半期連結会計期間の業績
(単位:千円)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合計 |
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売上高 |
797,849 |
1,091,194 |
1,438,487 |
844,869 |
4,172,399 |
|
セグメント利益又は損失(△) |
△11,817 |
190,579 |
404,441 |
△15,853 |
567,350 |
④ 工事の瑕疵
当社グループでは、実務訓練や社内教育により、徹底した成果品の品質確保及び品質向上に注力しておりますが、万一、成果品に瑕疵が発生し、入札の指名停止措置などの行政処分を受けるような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(2)人材関連サービス事業
① 景況による影響及び取引先の生産体制
当社グループの人材関連サービス事業は、主として人材派遣サービスの事業を行っており、サービス業、建設業及び製造業への人材派遣の割合が高い状況であります。このため、当社グループが人材派遣する取引先の属する業界が業況不振となる場合や工場の海外移転など生産体制が変化し、人材派遣の受け入れを行わないような状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 労働者派遣法等の改正
人材派遣サービスは、労働者派遣法等の労働関連法令による規制を受けております。社会環境の変化に伴い、法令改正や規制強化などが行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 労働・社会保険の加入及び料率の影響
当社グループは、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に基づき、雇用する派遣労働者の就業状況等を踏まえ、労働・社会保険に加入させております。このため、労働・社会保険料率が上昇し、当社グループの保険料負担部分が増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(3)建設事業
① 公共事業への依存
当社グループの建設事業は、建設関連サービス事業と同様に、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、国及び地方公共団体の公共投資予算に大きく左右されます。このため、国及び地方公共団体の公共投資予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 取引先の信用リスク
事業会社との取引では、一取引における契約金額が多額になり、支払条件によっては、工事代金の回収に長期間を要する場合があります。当社グループは取引先の信用リスク回避の方策を講じておりますが、取引先の信用不安が顕在化し、資金回収が不能となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 労働災害及び事故
建設事業は、その事業の性質上、他の事業と比較して、業務中の事故発生率が高い傾向にあります。当社グループは、社内研修を通じた安全教育や危険予知活動により、従業員に対して安全管理を徹底しておりますが、万一、人命に係る重大な労働災害や事故が発生した場合には、信用力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
④ 工事の瑕疵
当社グループでは、実務訓練や社内教育により、徹底した成果品の品質確保及び品質向上に注力しておりますが、万一、成果品に瑕疵が発生し、入札の指名停止措置などの行政処分を受けるような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 人件費の高騰
労働人口の減少等の労働市場の環境変化により、人件費の急激な上昇が生じる可能性があります。その一方で、契約額に人件費の上昇分を転嫁できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(4)介護事業
① 安全管理及び健康管理
介護事業は、その事業の性質上、高齢者を対象にサービスを提供しております。このため、利用者の体調悪化や当社グループ施設内での転倒などにより重大な事故に発展する可能性があります。従業員に対して社内研修や実務訓練を通して、利用者の安全・健康管理には万全を期していますが、万一、重大な事故が発生した場合には、お客様から損害賠償請求を受けるだけでなく、当社グループの信用力の低下、業務停止などの行政処分を受けることにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 介護保険制度の改定
介護事業は、介護保険法等の各種関連法令によって規制を受けます。介護報酬制度は3年ごとに改定が行われるため、当社グループの収益源である介護報酬の改定内容が当社グループに対してネガティブな方向で行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 人材確保
介護事業は、介護保険法により有資格者によるサービスが義務付けられており、提供するサービスによっては、必要な有資格者数を確保する必要があります。当社グループでは必要人員数を確保するため、積極的に採用活動を行うとともに、働きやすい職場環境づくりを行うことにより、離職率の低減を行っておりますが、計画通りに有資格者の確保が行えなかったり、想定以上に離職率が高くなったりする場合には、施設の新設ができない、あるいは現在提供しているサービスの停止を余儀なくされるなどにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(5)全事業共通
① 買収に伴うリスク
当社グループは、積極的に企業買収を実行する予定ですが、企業の売却希望者の減少や買収希望者の増加により、当社グループが取り上げることができる案件数が減少し、計画通りに企業買収を実行できなくなる可能性があります。また、買収を実行する際には、デューデリジェンスを実施いたしますが、買収後に偶発債務等が確認され、想定外に多額の費用が発生した場合や、企業文化の融和が進まないことなどにより、企図したメリットやシナジーが得られない場合には、投下資金の回収ができないなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 新事業領域への進出リスク
現状、新事業領域へ進出する際には、ゼロからのスタートではなく、十分に実績のある企業のM&Aを主な手段として実施する予定であります。
全く知見のない新事業領域における企業をM&Aをする場合は、知見のある領域におけるM&Aと比べ、属する業界動向、適用を受ける法令、当該企業の置かれた状況など、より慎重な検討を重ねて実施致しますが、想定していない事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 法的規制
当社グループは、4つの事業を展開しており、事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、建設業法、建築基準法、建設コンサルタント登録規程、補償コンサルタント登録規程、労働者派遣法、介護保険法等の様々な法規制の適用を受けております。当社グループでは、これらの法規制の遵守を徹底するために、社内規程・マニュアルを整備し、適切な運用を行っておりますが、万一、法規制に抵触するような事態が発生した場合には、業務停止などの行政処分や信用力の低下などにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
④ 自然災害
当社グループは、地域のサポーターとして、特定の地域への進出に留まらず、全国展開を図ってまいります。地震、火災、洪水、津波等の自然災害が発生した際は、当社グループ役職員の人命確保および拠点の維持・確保、業務継続体制の確保に努めておりますが、想定外の自然災害が発生し、事業継続に深刻な支障をきたす場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 情報漏洩
当社グループは、各事業の運営に際し、顧客情報をはじめ業務上取り扱う重要情報を大量に保有しております。当社グループから重要情報が漏洩した場合には、顧客に対する損害賠償責任等による直接的な費用に加え、信用力の低下や社会的な責任問題等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 固定資産の減損
当社グループが保有する固定資産の価値が、経済情勢等の変化に伴う収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上する必要が出てくることとなるため、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑦ 資金調達に対する金利の変動
当社グループは、金融機関から多額の借入を行っております。現行の借入金利が変動により高くなり、金利負担が増加したり、今後の資金調達における金利負担も増加したりすることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 大株主との関係について
当連結会計年度末現在、当社代表取締役であり筆頭株主である尾松豪紀の所有株式は、同氏の配偶者である尾松恵子の所有株式数を含めると、発行済株式(自己株式を除く。)の総数の過半数となります。
今後も相当数の当社株式を保有し引き続き筆頭株主となる予定ですが、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、取締役の選解任、企業結合取引等の当社の重要な決定に影響を与えるなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑨ 特定の人物への依存について
代表取締役である尾松豪紀は、当社グループにおける経営の最高責任者であり、経営方針の決定をはじめ、事業戦略の立案や実行など当社グループの発展において重要な役割を果たしております。
同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑩ 訴訟等について
当社グループでは、コンプライアンス委員会の開催や社外の専門家との連携のほか、社内規程・マニュアルの整備などにより、法令等遵守体制の強化を図っておりますが、法規制等の改正動向に適時適切に対応できない場合や契約条件の解釈の齟齬などを原因として、当社グループが第三者から訴訟等を受ける可能性があります。
また、当社グループでは、実務訓練や社内教育により徹底した成果品確保及びサービスの向上に注力しておりますが、万一、成果品やサービスに瑕疵が発生した場合、取引先から訴訟を受ける可能性があります。
以上のようなリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑪ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本方針としておりますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、2017年2月に純粋持株会社として設立されて以来、配当を行っておりません。将来的には、内部留保の充実状況及び取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益の還元を目指してまいります。しかしながら、現状においては配当実施の可能性およびその実施時期等については未定であります。
なお、当社の剰余金の配当につきましては、「会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」を定款に定めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は6,601,351千円となり、前連結会計年度末に比べ1,011,120千円減少いたしました。
流動資産は2,844,930千円となり、前連結会計年度末に比べ734,284千円減少いたしました。これは主に、売掛金が19,302千円増加したものの、現金及び預金が597,863千円、電子記録債権が118,715千円、流動資産のその他(前渡金等)が35,734千円減少したことによるものであります。
固定資産は3,756,422千円となり、前連結会計年度末に比べ276,836千円減少いたしました。これは主に建物及び構築物が327,983千円増加したものの、のれんが330,943千円、建設仮勘定が153,435千円、無形固定資産のその他(顧客関連資産等)が52,442千円、繰延税金資産が39,265千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は4,413,764千円となり、前連結会計年度末に比べ1,178,565千円減少いたしました。
流動負債は2,747,504千円となり、前連結会計年度末に比べ320,524千円増加いたしました。これは主に、買掛金が91,576千円減少したものの、未払消費税等が216,701千円、契約負債が151,992千円、未払法人税等が51,945千円増加したことによるものであります。
固定負債は1,666,260千円となり、前連結会計年度末に比べ1,499,090千円減少いたしました。これは主に、資産除去債務6,770千円増加したものの、長期借入金1,463,292千円、役員退職慰労引当金が40,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,187,587千円となり、前連結会計年度末に比べ167,446千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を168,261千円計上し同額の利益剰余金が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は33.1%(前連結会計年度末26.5%)となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続きました。一方で、物価上昇の継続や米国の通商政策等が、わが国の景気を下押しするリスクとなり、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境は、建設関連サービス事業及び建設事業では、政府による防災・減災、国土強靱化の推進により、公共投資が底堅く推移しました。人材関連サービス事業では、全国の有効求人倍率が1.25倍前後の水準が続き、人材需要が堅調に推移しました。介護事業では、わが国の高齢化率の上昇とともに国内の要介護認定者数の増加が続いており、居宅サービス受給者数・施設サービス受給者数ともに緩やかな増加傾向がみられました。
このような状況のもと、当社は新たに関連会社支援部、人材育成部、DX推進部を設置するとともに、2024年10月1日付で各中間持株会社の役割を当社に集約するグループ内組織再編を行い、グループ個社の利益拡大に向けた支援体制を強化してまいりました。
また、2025年5月1日付で株式会社ナスキーキャリア(宮城県仙台市)の株式の取得(当社の子会社化)を行い、人材関連サービス事業の強化を図りました。これにより、当社を含むグループネットワークは22社となりました。
なお、株式会社ナスキーキャリアは、当第4四半期連結会計期間より、当社グループの業績に貢献しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高13,007,061千円(前年同期比25.7%増)、営業利益472,173千円(同221.9%増)、経常利益444,143千円(同401.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益168,261千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失87,891千円)となりました。また、EBITDA※については、1,015,489千円(前年同期比72.1%増)となりました。なお、株式会社ナスキーキャリアの株式取得に伴うアドバイザリー費用等及びM&Aの取り組みに伴う費用として12,300千円が販売費及び一般管理費に含まれております。また、税効果会計適用後の法人税等の負担率が高率になっておりますが、これは税効果を認識しないのれんによるものであります。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント別の売上高及び利益は、連結相殺消去前の数値を記載しております。
(建設関連サービス事業)
建設関連サービス事業においては、期首の受注残高が堅調に売上高に転嫁できたこと、当第2四半期においては、底堅く受注もできたことから、売上高は4,172,399千円(前年同期比6.2%増)となりました。
セグメント利益は、上記に加え、株式会社ノース技研(2021年10月グループ加入)ののれんの償却が完了したことなどから、567,350千円(同24.7%増)となりました。
受注高については、3,973,576千円(同0.6%増)となり、受注残高は2,269,845千円(同0.6%増)となりました。
(人材関連サービス事業)
人材関連サービス事業においては、株式会社レゾナゲート(2024年2月グループ加入)ならびに株式会社ナスキーキャリア(2025年5月グループ加入)の売上高が寄与したことに加え、株式会社メイホーアティーボ、株式会社スタッフアドバンスの人材派遣事業が好調に推移したことなどから、売上高は3,504,082千円(前年同期比43.8%増)となり、セグメント利益は、205,210千円(同64.9%増)となりました。
(建設事業)
建設事業においては、今田建設株式会社ならびにハーミット株式会社(2023年11月グループ加入)が当事業に加わったことから、売上高は4,453,931千円(前年同期比39.6%増)となりました。
セグメント利益は、上記に加え、前年に発生した株式取得に伴うアドバイザリー費用等の一時費用が当期においては発生しなかったことなどから、227,120千円(前連結会計年度はセグメント損失49,148千円)となりました。
受注高については、前年よりも発注時期が遅れていることなどから、3,544,362千円(前年同期比4.4%減)となり、受注残高は1,905,760千円(同32.3%減)となりました。
(介護事業)
介護事業においては、デイサービスの各事業所の稼働率が順調に推移したこと、2024年9月にオープンした住宅型有料老人ホーム「アルトのお家 旦島」の入居者数も順調に推移したことなどから、売上高877,512千円(前年同期比10.8%増)となりました。
一方、セグメント利益は、住宅型有料老人ホーム「アルトのお家 旦島」に係る諸費用の発生に加え、2024年10月以降の社会保険の適用の拡大を受けて人件費が増大したこと、食材費、燃料費、光熱費の高騰から、98,861千円(同22.3%減)となりました。
※ EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して597,863千円減少し、753,208千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,118,086千円の増加(前連結会計年度は662,143千円の増加)となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益451,822千円の計上、のれん償却額360,954千円の計上、未払消費税等の増加額203,328千円、減価償却費182,362千円の計上、契約負債の増加額151,992千円によるものであります。資金減少の主な内訳は、法人税等の支払額160,445千円、仕入債務の減少額91,831千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは241,795千円の減少(前連結会計年度は1,703,256千円の減少)となりました。資金減少の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出282,748千円によるものであります。資金増加の主な内訳は、短期貸付金の純減少額58,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,473,777千円の減少(前連結会計年度は1,265,629千円の増加)となりました。資金減少の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,759,532千円によるものであります。資金増加の主な内訳は、長期借入れによる収入300,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業では、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載しておりません。
a.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
建設関連サービス事業 |
3,973,576 |
+0.6 |
2,269,845 |
+0.6 |
|
建設事業 |
3,544,362 |
△4.4 |
1,905,760 |
△32.3 |
|
合計 |
7,517,938 |
△1.8 |
4,175,605 |
△17.7 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.人材関連サービス事業及び介護事業については、受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
建設関連サービス事業 |
4,172,399 |
+6.2 |
|
人材関連サービス事業 |
3,504,082 |
+43.8 |
|
建設事業 |
4,453,931 |
+39.6 |
|
介護事業 |
877,512 |
+10.8 |
|
セグメント間の内部売上高 |
△863 |
- |
|
合計 |
13,007,061 |
+25.7 |
(注)主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
国土交通省 |
1,055,691 |
10.2 |
- |
- |
(注)当連結会計年度における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・内容検討等
(売上高)
当連結会計年度の売上高は13,007,061千円となり、前連結会計年度に比べ2,659,179千円増加いたしました。これは、建設関連サービス事業で242,316千円、人材関連サービス事業で1,067,968千円、建設事業で1,263,434千円、介護事業で85,461千円、前連結会計年度より増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は9,833,218千円となり、前連結会計年度に比べ2,143,956千円増加いたしました。これは主に、売上高の増加に伴い外注費等が増加したこと、人員増に伴い人件費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ515,223千円増加し3,173,844千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,701,670千円となり、前連結会計年度に比べ189,718千円増加いたしました。これは主に、人員増に伴い人件費が増加したこと、のれん償却額が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ325,504千円増加し472,173千円となりました。また売上高営業利益率は3.6%(前連結会計年度は1.4%)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は37,781千円となり、前連結会計年度に比べ18,537千円減少いたしました。これは主に、保険解約返戻金が7,491千円、受取地代家賃が2,050千円増加したものの、為替差益が29,993千円減少したことによるものであります。一方で営業外費用は65,811千円となり、前連結会計年度に比べ48,595千円減少いたしました。これは主に、支払利息が18,892千円、為替差損が10,904千円増加したものの、営業外費用のその他(シンジケートローン手数料等)が78,390千円減少したことによるものであります。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ355,562千円増加し444,143千円となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は17,924千円となり、前連結会計年度に比べ16,127千円増加いたしました。これは主に、固定資産売却益が16,279千円増加したことによるものであります。一方で特別損失は10,245千円となり、前連結会計年度に比べ645千円減少いたしました。これは主に、和解金が4,000千円、減損損失が3,180千円、投資有価証券売却損が2,473千円増加したものの、特別損失のその他(固定資産除去損等)が10,303千円減少したことによるものであります。
法人税等(法人税等調整額を含む)は283,561千円となり、前連結会計年度に比べ116,183千円増加いたしました。これは、課税所得が前連結会計年度に比べ増加したこと等によるものであります。税金等調整前当期純利益に対する税金費用の比率は62.8%で、前連結会計年度の210.6%から147.8ポイント減少しておりますが、これは、税効果を認識しないのれんの減少等によるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は168,261千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失87,891千円)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、適用を受ける法令の改正等には細心の注意を払い情報収集に力を入れる等、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因について低減し、適切な対応に努めてまいります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は大きく分けて、運転資金需要と投資資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、従業員に対する給与等の人件費、建設事業及び建設関連サービス事業における外注費、材料費等の取引先への支払いによるものであり、投資資金需要の主なものは、既存事業の拡大や新規事業への進出を目的とした企業買収資金や設備投資資金であります。
運転資金需要に対しては、事業で生み出す営業キャッシュ及び手許流動性資金で賄うことを基本方針としつつ、一時的に資金需要が偏った場合には、金融機関からの短期借入金で賄っており、投資資金需要については、金融機関からの長期借入金で賄っております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の中長期的な成長を重視しております。また、安定的な利益確保を目指し、売上高営業利益率を客観的な管理指標としております。当連結会計年度における営業利益率は3.63%(前年同期比2.21ポイント増)でした。引き続き当該指標が改善されるよう努めてまいります。なお、過年度の指標の推移は次のとおりであります。
|
項目 |
2021年6月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
2024年6月 |
2025年6月 |
|
売上高(千円) |
5,274,487 |
6,112,595 |
7,370,810 |
10,347,883 |
13,007,061 |
|
営業利益(千円) |
383,819 |
342,809 |
462,358 |
146,669 |
472,173 |
|
営業利益率(%) |
7.28 |
5.61 |
6.27 |
1.42 |
3.63 |
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(1)固定資産(新本社ビル)の取得
当社は、2025年8月21日開催の取締役会において、固定資産の取得(新本社ビル)に向けた手続きに着手することを決議しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(2)株式取得による企業統合
当社は、2025年4月10日開催の取締役会において、株式会社ナスキーキャリアの発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、2025年4月10日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
当社は、2025年9月11日開催の取締役会において、株式会社未来政策研究所の発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、2025年9月11日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(3)ローン契約に付される財務上の特約
当社は、2024年4月1日前に締結された財務上の特約が付された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年内閣府令第81号)の附則第3条第4項により記載を省略しております。
該当事項はありません。