第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

1.経営方針

 当社は、「夢をはぐくむひとりひとりに、快適で美しいくらしを提供します」の基本理念のもと、常に時代の先を読み、お客様のニーズに応えられる新たな「空環(空間と環境)」創りを目指すために、「空環創造宣言」を掲げ、世の中に生きる人々、ひとりひとりの「空環創造」を支援することをミッション(使命)としております。

 また、技術力、製品力、企画力及び提案力をみがき、高品質なマットレス及びベッドフレーム・リビングソファ・インテリア用品をお客様に提供することで、日常生活の中で暮らしを支え社会に貢献するとともに、売上・利益の増大と経営効率の向上を図ることを経営方針としております。

 

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2.中長期的な会社の経営戦略

 当社が事業内容とするベッド・リビングソファ・インテリア用品等の業界においては、少子高齢化・人口減少に伴い、新規・買替え需要の顧客獲得をかけた競争が激化しており、さらに製造小売業(SPA)の台頭も加わり、持続的発展のため、より一層の競争力強化の施策を進めていくことが必要となっております。

 そのため当社は2023年5月11日に発表いたしました中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」の各取組みにより、経営基盤の強化を着実に進展させてまいりました。

 

 当社は、高付加価値商品を求める消費者動向の多様化や、眠りの質への関心の高まり等の市場環境の好転を背景に、コラボレーション企画や多様な顧客ニーズに応える商品展開、新ブランドの立ち上げやインバウンドに伴う商業施設向け需要の取り込み、海外展開やショップ/ショールームの拡充等により、さらなる成長路線を目指すものです。

 

 このような市場環境下において、以下の業界ポジションから当社の強みを活かしたビジネスモデルを展開してまいります。

①主要ブランドの業界におけるポジション

 当社は中価格帯から高価格帯の幅広いマルチブランド商品層を保有する、業界内でも特徴的な企業であり、主要ブランドの業界におけるポジションは次のとおりであります。今後現有ブランドのさらなる市場シェア拡大とともに新たなブランド発掘にも取り組んでまいります。

 

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②当社の強みとビジネスモデル

 当社の強みは幅広いマルチブランド商品層を保有しているところにあり、そのマルチブランドによる幅広い商品層を核に、商業施設向けと一般消費者向けの相乗効果で売上・利益の極大化を図るというビジネスモデルを展開してまいります。

 

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③中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」

 当社は長期ビジョンとして2031年までに空環創造宣言企業を目指し、現在2023年度~2025年度(2024年3月期~2026年3月期)までの3年間を対象とした中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」の最終年度であるとともに、当社の創業75周年という節目の年にあたり同計画の各施策を遂行中です。

 企業ミッションである空環創造宣言の完成に向け、変革と挑戦に着手し基盤整備を行ってまいります。

 

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3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長による企業価値の向上を目的として、収益力を高め、経営の効率化を図るため、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、営業利益、EBITDA、ROE、配当性向を新たに指標といたします。今後は中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」の施策実行により、これら各指標の向上を目指してまいります。

 

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4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、主力「Serta(サータ)」ブランドの継続的な強化、ドリームベッドブランドの再構築、ショップ/ショールームのさらなる展開、並びに総合的な人事政策の実現が課題であると認識しております。

 従い、これら課題に対して中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」に基づき、次のとおり成長施策として①~③を、基盤整備施策として④~⑤に重点的に対処してまいります。

①マルチブランド戦略の強化拡大

②販売チャネルの強化拡大

③生産技術・能力・機能の拡充

④戦略遂行を支える財務・投資戦略

⑤ES(Employee Satisfaction)・エンゲージメント向上・サステナビリティ経営の実現

 

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(1)マルチブランド戦略の強化拡大

 当社の強みは、複数のブランドの国内独占販売権を有し、これを当社の高い技術力と製造力で支えることによって、幅広い商品群を販売するマルチブランド戦略を展開できることにあります。

 このマルチブランド戦略を強化拡大することにより、Serta(サータ)ブランドをはじめとした既存ブランドの収益力を強化し、さらには新たなブランドをラインナップに加え、事業の強化拡大を図ってまいります。

 製品戦略として、Serta(サータ)においては、若年層の顧客をターゲットにしたノンコイルマットレス「Serta On a Cloud」を新たに導入したように、引き続き新モデルの投入を進めてまいります。またligne roset(リーン・ロゼ)においては、ジャパンフィットしたモデルやトータル提案商品の市場投入に取り組みます。またベッドマットレスにおいて、現存のブランドに加えて2025年10月に新たなブランドを投入する予定であり、マルチブランド戦略を強力に進めてまいります。

 プロモーション戦略として、継続的に実施しているデジタルマーケティング(SNS広告等)の広告効果を最大化のうえブランド価値を伝えるとともに、新たに導入したCRM(Customer Relationship Management)を活用し、より一層のBtoBtoCの構築を進めてまいります。

 さらに物流サービスにおいて、運送業務と積込み業務を分離して業務の平準化、時間管理を強化し、ラストワンマイルの物流サービスの向上と対応エリア、対応件数拡大に取り組んでまいります。

 

(2)販売チャネルの強化拡大

 次の取組みにより、販売チャネルの強化による売上拡大を図ります。

 2024年6月の名古屋ショールームリニューアル、リーン・ロゼ名古屋新設、2025年3月の大阪ショールーム、リーン・ロゼ大阪リニューアルの効果を高めるとともに、全国主要都市でのショップ/ショールームの拡大に努めてまいります。

 2024年11月に開設した当社公式ECサイトによるブランドプロモーションを進め、売上拡大を図ります。

日本国内チャネルのほか、成長する海外市場への取り組みを強化し、2026年3月期中の輸出販売を目指します。

 

(3)生産技術・能力・機能の拡充

 2024年に稼働を開始しました新工場内の無人搬送供給設備によりさらなる効率化を図り、加えて新規設備の導入に投資していくことで、今後の受注増に対しても対応可能な体制を構築してまいります。

 

(4)戦略遂行を支える財務・投資戦略

 ショールームやショップ等、事業展開のための積極的な戦略投資、自己株式取得や自己資本利益率の向上による株主還元の充実、さらに内部留保を増やしつつ自己資本比率を向上する等、成長及び基盤整備施策を支える財務投資戦略を展開いたします。特に資本コストや株価を意識した経営を推し進めるべく社内管理体制を整え、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(5)ES・エンゲージメント向上・サステナビリティ経営の実現

 Employee Satisfaction(従業員満足度、ES)のための働き方改革、処遇改善や健康経営推進による人的資本への投資のほか、環境に配慮したサステナビリティ商品の開発やマットレスリサイクルシステムの推進によって、サステナビリティ経営の実現を目指します。

 具体的には、ES・エンゲージメント(EG)において、まず2026年3月期より完全週休二日制を導入しております。また社内コミュニケーションツールである「TUNAG」や次期女性管理職の育成も視野に入れた女性活躍促進プロジェクトの推進、従業員意識調査等を活用した人事戦略の展開、残業時間の削減、男性育児休業取得率の維持向上、男女間賃金格差の軽減等を通じてESとEGの向上を図ります。

 サステナビリティにおいて、環境に配慮した商品開発、及びマットレス廃棄問題の解消や顧客利便性向上等のためのマットレス回収リサイクルシステムの構築、並びに物流におけるモーダル物流への取組み推進によるCO2削減対策により、今後も持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 1950年に創業した当社のルーツは、戦後の社会奉仕事業にあります。

当社は「夢をはぐくむひとりひとりに、快適で美しいくらしを提供します」の基本理念のもと、お客様のニーズに応えられる新たな「空環(空間と環境)」創りに取り組んでまいりました。

 2021年6月に東証市場第二部(現スタンダード市場)へ上場し社会的責任を果たすべく、①快適で美しい暮らしの提供、②環境への配慮、③地域と社会への貢献、④公正かつ適切な経営の実現、⑤働きやすい組織づくり、を同年12月にSDGs宣言として掲げました。

 なかでも②環境への配慮に対してはTCFDフレームワークに基づき、気候変動問題の他、持続可能な社会の実現に向け取り組んでおります。

 また「ESG課題に関するマテリアリティ及びKPI」を次のとおり設定しております。なお、文中の将来に関する事項は、当会計年度末現在において、当社が判断したものです。

 

[ESG課題に関するマテリアリティ及びKPI]

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(1)ガバナンス

 当社はサステナビリティ委員会を設置し、代表取締役社長を委員長とし、事務局として経営企画部内にサステナビリティ室を設けております。2021年12月に掲げましたSDGs宣言にそれぞれ数値目標を設定し、今後も持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

[リスクと機会についての取締役会による監視体制]

 サステナビリティ委員会委員長のほか、当社の取締役及び代表取締役社長が指名する執行役員を構成員として、常勤監査役及び社外役員はオブザーバーとして出席できるものとしたサステナビリティ委員会を、四半期に1回開催しております。その内容は定期に担当取締役より取締役会へ報告しております。

 

[リスクと機会を評価管理する上での経営の役割]

 当社が認識するリスクにおいて、そのリスクと評価を管理していくことが当社経営の役割と考えております。例えば異常気象による災害に対しては、河川氾濫防止のため当社工場地下の貯水槽への一時貯水体制を取っております。さらにマットレス廃棄やCO2問題等に対しては、リサイクル回収の事業化やCO2削減のための物流効率の向上での対応を図っております。

 

(2)戦略

①サステナビリティに関する戦略

 当社は想定される気候変動リスク及び機会を下記のとおり特定し、リスクにおいてはそれぞれに関連する「事業等のリスク」を当てはめ、さらに中長期における当社への影響度を評価しております。なお、リスクへの対応策並びに当社の取組みにつきましては3「事業等のリスク」をご参照ください。

 

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②人的資本に関する戦略

人材育成に関する方針

 当社はSDGs宣言において、「働きやすい組織づくり」を掲げており、安全で健康に働くことのできる労働環境整備のもと、積極的な人材育成と働き方改革の実践により、誰もが働きやすくやりがいを持てる組織を目指しています。

 

[人材育成方針]

 当社の基本理念を実現するために、人材育成方針として夢をはぐくむひとりひとり(個客)に支えられる最適組織・人材が「組織・人材ビジョン」との考えから、組織として大事にすべきことを4つのキーワードであらわし、その頭文字と個客志向を標榜する「CS(Customer Satisfaction)」を掛け合わせDCS組織(D:double)としました。

当社の考える「人材」「ソウルフル」「こだわり」とは次のとおりです。

・「人材」とは内面のスピリットと挑戦する姿勢を兼ね備えた人材像を表現。

・「ソウルフル」とは誠意、情熱、パイオニアスピリッツを兼ね備えていること。

・「こだわり」とはプロ意識(自信と結果)を指す。

 

[プロセスが可視化できるDCS組織]

・コミットメント(Commitment)

・コラボレーション(Collaboration)

・シンプル(Simple)

・スピード(Speed)

 

③社内環境整備に関する方針

 当社が今後ありたい組織像の実現に向けて、健康経営体制の推進を基盤として取組み、人事制度改革を通じて人的資本投資を中心とした次の3つの人材戦略を展開していきます。

1)働きやすい環境づくりとして、職場環境の整備・長時間労働の削減・有給休暇取得の促進等の働き方改革や健康経営の実現に向けた取り組みを強化します。

2)求める人材像や要員数等、現状とのギャップを埋める人材採用・人材育成施策として、教育研修体系・自己啓発環境の充実等への取り組みを強化していきます。

3)役割・成果等の組織貢献度に応じた、等級・評価・報酬制度への見直しを軸とする新人事制度を2024年3月期より導入しており、今後はその効果を測定のうえ検証してまいります。

 

④社内環境整備に関する指標の内容及び当該指標を用いた目標

 当社は、Employee Satisfaction(従業員満足度、以下「ES」という)とEngagement(エンゲージメント、以下「EG」という)が相互に高まっていくことで、社員目標と会社目標のベクトルが合い、一体感をもった取り組みにつながり、ひいては会社業績を押し上げる原動力になるものと考えており、中期経営計画「Dreambed202Change & Challenge Plan」においてESの向上に取り組むものです。

 具体的には「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております女性管理職比率の向上、男性育児休業取得率の向上、及び男女間給与格差是正等とともに、処遇改善、人事評価制度の効果測定、人材育成研修の充実、ES及びEGの独自指標をそれぞれ社内目標として設定し、ESの向上を推進してまいります。

 そこから長期ビジョンである「マルチブランドを活かし、マットレス、ソファ、寝装品から周辺家具まで幅広く取り扱うことで空環創造宣言を完成」のために、当社の目指す組織像に向けてES×EGの両輪を回して、新規事業に主体的に取り組む気運を社内に醸成するよう、人材育成を図ります。

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(3)リスク管理

[気候関連リスクの識別・評価プロセス]

 各事業部よりリスク及び機会をリスク・コンプライアンス委員会及びサステナビリティ委員会へそれぞれ報告し、両委員会のなかで気候関連リスクを識別し、当社戦略への影響等を評価しております。

 

[気候関連リスクの管理プロセス]

 両委員会で識別・評価された結果をもって、具体的取組みをリスク・コンプライアンス委員会の所管である総務部、並びにサステナビリティ委員会の所管である経営企画部サステナビリティ室より各事業部へ指示し、また両委員会へ報告するという循環でもって管理しております。

 

[気候関連リスクに対する総合的リスクへの統合プロセス]

 代表取締役社長を委員長とする両委員会が情報を共有し協働することで、気候関連リスクを識別・評価し、担当取締役によりその状況を取締役会へ報告しております。

 

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(4)女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差について

①女性管理職比率

 当社は、育児、介護、配偶者の転勤等に伴う多様な働き方を支援する制度を導入するとともに、従業員が身につけるべきスキルを明確にして、それに必要な人材の育成・確保・維持のための施策を講じることで、女性従業員のさらなる活躍と管理職への登用を推進しており、2024年3月期からの10年以内に全管理職の10%程度を女性管理職へ登用することを経営目標として掲げております。

 現在当社における男女構成比率は男性7:女性3ですが、そのなかから会社貢献度が高く今後の活躍が期待できる社員を女性管理職候補として選抜し、比率数値ありきではなく、本人のキャリア志向も踏まえたうえで各種研修を行い、各事業部門において計画的に養成してまいります。

 

※自己申告書の提出

 年に1回、全社員より自己申告書の提出により社員の自己キャリア、健康面、家庭事情、異動希望、会社に対する要望を申告できる仕組みを構築しております。

 

②男性育児休業取得率

 属人的業務とならないように業務のマニュアル化を進め情報の共有化を図り男性育児休業の取得を促進した結果、2025年3月期には60.0%となりました。引き続き男性の育児休業取得の社内周知及び啓蒙を定期的に実施の上、安心して取得できる環境づくりを行い、さらに向上させるよう取り組んでまいります。

 

③男女間賃金格差

 男女間の賃金格差は、従業員におけるパート・有期労働者の比率が女性の方が高いという人員構成と、管理職等の上位職への女性登用状況が不十分という職位分布の両面に起因しております。この格差を是正するため、女性正規従業員の積極採用と、女性管理職等、上位職への登用を進めてまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると判断している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項の記載については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、当社の事業に関連するすべてのリスクを全て網羅するものではありません。

 当社は、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催して、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、法規制等の定期的なモニタリングを実施して、その検証・評価を行っております。また、事業継続計画を定め、初動対応、安全確保と事業の早期復旧・継続のための体制の構築・整備に尽力いたしております。

 なお、当事業年度の財政状態・経営成績に影響を及ぼしたと考えられる事項については、検証・評価を行い、具体的取り組みについて検討しております。

 

1.事業環境に関するリスク

 当社が行っているホームファニシング事業は、家具・インテリア業界を主たる販売先としており、またコントラクト事業は、ホテルの新規及びリニューアル案件の獲得に注力していることから、国内景気、個人消費や旅行需要、訪日外国人の動向等の影響を受けやすく、市場の需要が減少した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、マルチブランド戦略により多様な消費者のニーズを捉えた付加価値の高い製品・サービスを提供するとともに、設計・デザイン事務所等を介した商業施設向け需要の開拓、周辺家具等への商材拡大と営業・提案力の強化、海外市場の展開に向けた調査・検討を行っております。

 

2.ライセンス契約に関するリスク

 当社は、自社ブランド製品だけではなく「Serta(サータ)」「ligne roset(リーン・ロゼ)」「ruf(ルフ)」等、複数の海外ブランドとライセンス契約を締結し、自社製造を行っております。海外提携ブランド各社とは、長年にわたり良好な信頼関係の構築に努めており、有価証券報告書提出日現在において契約継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、今後、何らかの事情によりライセンス契約を解消することになった場合、または、ロイヤリティ料率等の契約条件が大幅に変更されることとなった場合は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3.製品の欠陥に関するリスク

 当社は、お客様の満足と信頼を得るために、デザイン開発、製造、販売を一貫して行っており、製品の品質管理には万全の態勢を整えておりますが、万一製品に欠陥が生じた場合には、リコールの実施を含む製品の安全確保のためのコストの発生やブランド価値の毀損を招き、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、製造部門においては品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」に継続的に適合すべく管理体制を整備し、定期的にチェックするとともに、開発部門においても商品開発時に社内基準に基づく試験等を実施し、製品の品質維持・向上に努めております。

 

4.原材料の調達に関するリスク

 当社は、原材料及び商品を国内外から調達しておりますが、中には少数の特定の仕入先からのみ入手可能な特殊なもの、仕入先や供給品の代替が困難なもの、ライセンス元や素材メーカーと共同開発したオリジナルの原材料があります。そのため、気候変動や国際的な需要拡大、地政学リスク等による需給動向の変化に伴い、調達競争が激化し、購入価格の高騰や資材の供給の遅延、中断が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、各担当部門において仕入価格表の管理、複数社購買による適正価格維持、新規調達先の検討・開拓、資材価格の変動状況把握などにより、原材料等の安定的な調達に努めております。

 

5.コスト上昇等に関するリスク

 当社は、大型の製品・商品を取り扱っていることから、その運賃が営業コストの相当部分を占めており、運送会社のドライバー不足や燃料高騰等から運賃の値上げ等が予想されます。そこで当社では、運送各社と良好な関係を築くとともに、積載効率向上によるトラックドライバー不足への対応や負担軽減に取り組み、輸送能力の確保と全国輸配送ネットワークの構築に努めております。

 また、工場等の光熱費の高騰や協力会社の加工費値上げも予想されることから、節電をはじめとしたエネルギー省力化への取り組みや協力会社との人材育成を含めた対応策の協議を継続的に実施しています。

 加えて、当社は、海外から原材料、商品の一部を仕入れているため為替リスクを有しております。必要に応じて為替予約などを通じたリスクヘッジを検討してまいりますが、これらのリスク回避策を超える急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

6.法的規制等に関するリスク

 当社は、事業活動を行う上で様々な法律の適用を受けておりますが、取引先等を相手方とする各種クレームの発生、訴訟、係争、またこれらに起因する損害賠償請求の当事者となった場合、法的手続に関連した多額の費用発生や事業活動に支障をきたす恐れがあり、万が一、当社に不利な司法判断等がなされた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、「内部統制システムの基本方針」や「リスク管理規程」を制定し、コンプライアンス体制の強化・推進と各種クレームの発生、訴訟、係争等の発生可能性の低減に取り組んでおります。

 特に第三者の知的財産権については、担当部門において月次チェックを実施するともに、社員教育等を行うことにより権利侵害の未然防止に取り組んでおります。

 

7.自然災害等に関するリスク

 自然災害や大規模火災、電力等の社会インフラの障害や感染症の流行等により、事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、事業継続計画を策定して、関連マニュアルの整備、役職員の安否確認・連絡体制の構築、定期的な訓練の実施等により、役職員の人命・安全確保と事業の早期復旧及び継続を図るための体制構築・整備を行なっております。

 

8.人材の確保に関するリスク

 当社は、継続的な事業の成長・拡大のため、定期的な新卒採用や中途採用を行なっておりますが、少子高齢化により若年層の人材確保が困難になることが予測されます。加えて人件費の上昇や人材の社外流出により、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」において「ES・エンゲージメント向上・サステナビリティ経営の実現」として「働き方改革、処遇改善及び健康経営推進」を掲げており、各種施策の実施による優秀な人材の確保・定着、研修制度の充実による人材育成を強化してまいります。

 

9.情報セキュリティに関するリスク

 当社は個人情報を含め多くの情報を有しており、各種の情報システムを利用して業務を遂行しているため、システムの機能停止や機能障害等のインシデントが発生した場合は、効率的な業務を妨げる可能性があります。また、情報漏洩が発生するような場合には、当社の信用を毀損する可能性があります。

 また、当社は、お客様や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社の機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、情報セキュリティ管理規程及び情報セキュリティポリシーに則り、ウイルス感染やサイバー攻撃等による対策を強化して、適切な技術対策や社内管理体制の整備、社員の情報リテラシーを高めるための教育等の対策を講じてセキュリティの強化に努めております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項の記載については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ505百万円増加し11,267百万円となりました。

 流動資産は、前事業年度末に比べ392百万円増加し、4,456百万円となりました。主な増加要因は、売掛金の増加112百万円、現金及び預金の増加90百万円及び原材料及び貯蔵品の増加79百万円等であります。

 固定資産は、前事業年度末に比べ113百万円増加し6,810百万円となりました。これは、減価償却の進行による減少がある一方、有形固定資産における建設仮勘定の増加74百万円、無形固定資産におけるソフトウエア仮勘定の増加56百万円等によるものであります。これらは基幹システムのマイグレーション等によるものであります。

 

(負債)

 負債合計は、前事業年度末に比べ219百万円増加し6,759百万円となりました。

 流動負債は、前事業年度末に比べ469百万円増加し4,701百万円となりました。主な増減要因は、短期借入金の増加303百万円、その他における未払消費税等の増加183百万円、未払金の増加133百万円、支払手形の減少257百万円等であります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ250百万円減少し2,058百万円となりました。これは、主に長期借入金の減少200百万円等によるものであります。

 

(純資産)

 純資産合計は、前事業年度末に比べ286百万円増加し4,508百万円となりました。主な増減要因は、当期純利益の計上による増加415百万円、期末配当金及び中間配当金の支払いによる減少131百万円等であります。

 この結果、自己資本比率は、前事業年度末に比べ0.8ポイント増加し40.0%となりました。

 

②経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用や賃上げ等による所得環境の改善が進むとともに個人消費が伸長し、インバウンド需要の拡大もあり緩やかな回復基調で推移している一方で、世界的には今なお混迷が続いているロシアによるウクライナ侵攻や中東紛争、さらには中国経済における個人消費や不動産市場の停滞、アメリカのトランプ政権の関税政策の動向等、依然として先行きは不透明な状況にあります。

 

 このような経済環境下において、当社は2023年5月11日に発表いたしました中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」の中間期となる2025年3月期において、次のとおり各種施策を着実に遂行してまいりました。

 

1)マルチブランド戦略の強化拡大

製品戦略

・Serta(サータ)ブランド

 「眠りの快適さ」と「機能性」を追求したラグジュアリーリラックスを電動ベッドで実現することを開発目的に、パラマウントベッド株式会社とのコラボレーション企画として電動ベッド向けマットレスを開発し販売を開始しました。またSerta(サータ)では初となるノンコイルマットレス「Serta On a Cloud」を若年層の顧客をターゲットにAmazonにて販売を開始しました。

・dream bed(ドリームベッド)ブランド

 お客様にわかりやすく、選びやすく、快適なデザイン、をコンセプトに、従来モデルのラベルやデザインを一新した創業75周年記念モデル「ピュアドリーム」の販売を開始しました。

・ligne roset(リーン・ロゼ)ブランド

 彫刻のような凸凹感のキルティングを施したROSETKashima(ロゼカシマ)を、アッパー層向けアイテムとしてリニューアルしました。

プロモーション戦略

 情報を通じた顧客関係構築による顧客満足度向上や販売促進強化のため、CRM(Customer Relationship Management)を導入しました。

2)販売チャネルの強化拡大

 2024年6月に名古屋ショールームをリニューアルするとともに、リーン・ロゼ名古屋を新設し、2025年3月には、大阪ショールーム及びリーン・ロゼ大阪をリニューアルいたしました。

 また、2024年11月にブランドプロモーションを主目的とした多様なお客様の購買ニーズに応えるため、当社公式ECサイトを開設しました。

3)生産技術・能力・機能の拡充

 新たに工場内に無人搬送供給設備を新設することにより効率化を図り、今後の受注増に対しても対応可能な体制を構築しております。

4)戦略遂行を支える財務・投資戦略

 株主還元として、2024年3月12日~2024年8月9日の期間で、自己株式の取得50,000株を実施するとともに2025年2月12日に期末配当金1円増加し年間33円とすることを決定いたしました。これにより配当性向は32.5%となりました。

5)ES・エンゲージメント向上・サステナビリティ経営の実現

 従業員のエンゲージメント向上を目的に、2024年10月より社内コミュニケーションの活性化ツールとして「TUNAG」を導入しました。また女性が活躍できる環境整備のため、女性活躍促進プロジェクトを立ち上げました。

 社会課題への対応としては、物流における2024年問題、ドライバー不足への対応として積載率の管理強化による車数の削減や新たにモーダル物流を組み入れた配送もスタートさせ、CO2排出削減への対応も進めております。

 

 以上の結果、当事業年度の業績は、売上高11,509百万円(前年同期比18.5%増)、営業利益595百万円(同211.2%増)、経常利益583百万円(同89.8%増)、当期純利益415百万円(同62.8%増)となりました。

 なお、当社はホームファニシング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 当社の各販売経路別の売上高の状況は以下のとおりです。

 

 「家具販売店向け」は、マットレスにおいてSerta(サータ)の各新商品(スイートシリーズ、アリウム、シリウス)、及びdream bed(ドリームベッド)の新商品(ピュアドリーム)の販売増加に加え、ラグジュアリーホテルとのコラボレーション企画が前期を上回り、さらにligne roset(リーン・ロゼ)各商品の販売も引き続き好調を維持していることから、前事業年度と比して939百万円増加し8,142百万円となりました。

 「商業施設向け」は、ホテル業界の宿泊稼働率がコロナ禍前まで改善し、マットレスのリニューアルや新規案件への投資需要は旺盛で、当社足元の受注状況は増加傾向にあります。加えて当期は大口案件を獲得したことから、前事業年度と比して671百万円増加し1,472百万円となりました。

 「ショップ/ショールーム」は、引き続き主力商品であるROSETTogo(ロゼトーゴ)の販売好調とともに、ROSETPrado(ロゼプラド)の10周年、ROSETCalin(ロゼカラン)の30周年と各記念キャンペーンも奏功し、また名古屋ショールームのリニューアル及びリーン・ロゼ名古屋の新設も寄与し、受注が過去最高となる等大幅に伸長したことから、前事業年度と比して186百万円増加し1,503百万円となりました。

 「ハウスメーカー向け」は、ハウスメーカーによる催事の開催は前期並みであったなか、前事業年度と比して9百万円増加し280百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ90百万円増加し、747百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、481百万円(前年同期比55.4%減)となりました。これは主に税引前当期純利益573百万円、減価償却費349百万円等によるものであります。一方で、売上債権の増加額181百万円、仕入債務の減少額165百万円、棚卸資産の増加額138百万円等による資金の減少がありました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、335百万円(同77.1%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出272百万円、無形固定資産の取得による支出62百万円によるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、55百万円(前年同期は551百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出200百万円及び配当金の支払額131百万円等によるものであります。一方で、短期借入金の純増加額303百万円による資金の増加がありました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a-1.生産実績

当事業年度における生産実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。

商品分類の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

マットレス

2,288,060

118.5

ベッドフレーム

369,056

119.6

ソファ

629,278

126.6

寝装品

156,395

96.8

その他

242,928

126.1

合計

3,685,719

119.2

(注)金額は製造原価によっております。

 

a-2.仕入実績

当事業年度における仕入実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。

商品分類の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

マットレス

193,605

183.9

ベッドフレーム

1,271,067

103.7

ソファ

29,631

105.5

寝装品

170,851

109.4

その他

215,919

125.7

合計

1,881,075

115.5

(注)金額は仕入価格によっております。

 

b.受注実績

当事業年度における受注実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。

商品分類の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

マットレス

4,496,047

111.8

414,281

102.1

ベッドフレーム

2,509,517

99.5

236,005

115.4

ソファ

2,806,474

124.2

425,792

102.4

寝装品

490,312

102.2

40,957

108.7

その他

1,275,386

170.3

158,133

110.4

合計

11,577,738

115.4

1,275,170

105.7

 

c-1.販売実績(商品分類別)

当事業年度における販売実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。

商品分類の名称

当事業年度
(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前事業年度
(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比

金額(千円)

金額(千円)

(%)

マットレス

4,487,401

3,949,371

113.6

ベッドフレーム

2,478,036

2,552,278

97.1

ソファ

2,796,390

2,042,094

136.9

寝装品

487,019

485,762

100.3

その他

1,260,461

679,103

185.6

合計

11,509,308

9,708,610

118.5

(注)主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

c-2.販売実績(販売経路別)

当事業年度における販売実績を販売経路別に示すと、次のとおりであります。

販売経路の名称

当事業年度
(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前事業年度
(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比

金額(千円)

金額(千円)

(%)

家具販売店向け

8,142,536

7,202,849

113.0

商業施設向け

1,472,628

801,473

183.7

ショップ/ショールーム

1,503,904

1,317,000

114.2

ハウスメーカー向け

280,992

271,348

103.6

その他

109,247

115,939

94.2

合計

11,509,308

9,708,610

118.5

 10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上高)

 当事業年度の売上高は、11,509,308千円(前年同期比18.5%増)となりました。これは主に、「その他」を除くすべての販売経路で売上高が増加したことよるものであります。

 

(売上原価)

 当事業年度の売上原価は、5,509,050千円(同16.2%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴うものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、5,405,109千円(同13.2%増)となりました。これは主に販売促進費、営業運賃等の増加によるものであります。

 

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は595,148千円(同211.2%増)となりました。

 

(営業外収益)

 当事業年度の営業外収益は、27,245千円(同81.8%減)となりました。この減少要因は主に、前事業年度では保険解約返戻金108,270千円がありましたが、当事業年度にはなかったことによるものであります。

 

(営業外費用)

 当事業年度の営業外費用は、39,351千円(同15.3%増)となりました。これは主に、支払利息によるものであります。

 

(経常利益)

 上記の結果、経常利益は583,042千円(同89.8%増)となりました。

 

(特別利益)

 当事業年度の特別利益はありません。前事業年度では、八千代第一工場縫製完成棟に係る助成金200,000千円等がありました。

 

(特別損失)

 当事業年度の特別損失は、9,256千円(前年同期比89.2%減)となりました。この減少要因は主に、固定資産除却損の減少77,820千円によるものであります。

 

(当期純利益)

 上記の結果、当期純利益は415,092千円(同62.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 

(有利子負債)

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

2,096,000

2,096,000

長期借入金

1,800,000

200,000

400,000

400,000

800,000

リース債務

8,915

1,725

3,451

3,451

287

上記の表において、貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

(財政政策)

 当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備等の長期資金は長期借入金で調達することを基本としております。

 なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,904,915千円となっております。また当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は747,057千円となっております。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因)

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、営業利益、EBITDA、ROE、配当性向を重要な経営指標として位置づけております。

 前事業年度並びに当事業年度の経営指標は、次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

金額(千円)

金額(千円)

(%)

売上高

9,708,610

11,509,308

118.5

営業利益

191,235

595,148

311.2

EBITDA

528,596

944,483

178.7

ROE(自己資本利益率)

6.2%

9.5%

 

配当性向

51.6%

32.5%

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 当社が技術援助等を受けているライセンス契約は下記のとおりです。

①Serta Simmons Bedding,LLC

国名

アメリカ合衆国

主な契約内容

日本国内における同社ブランドのマットレスの製造、販売及び商標等の使用許諾に関する独占的ライセンス契約

契約締結日

1978年12月28日

契約期間

2025年1月1日~2029年12月31日(左記期間中の基準売上高を達成している場合、更に5年間自動更新)

ロイヤリティ

同社ブランド製品の販売実績に応じた料率を乗じた金額、もしくは販売計画金額に一定率を乗じた金額を最低金額として支払っております。

その他

広告費用について、年間の販売計画金額に一定率を乗じた金額、もしくは一定の最低金額を支出することが定められております。

②ROSET SAS

国名

フランス共和国

主な契約内容

日本国内における同社ブランドの椅子、肘掛け椅子及びソファの製造、販売及び商標等の使用許諾に関する独占的ライセンス契約

契約締結日

ソファ:1981年5月25日

家具 :1997年5月6日

契約期間

ソファ:2024年5月25日~2025年5月24日(1年ごとに自動更新)

家具 :2024年5月6日~2025年5月5日(1年ごとに自動更新)

ロイヤリティ

同社ブランド製品の販売実績に一定率を乗じた金額、もしくは一定額を最低金額として支払っております。

その他

③RUF BETTEN GMBH

国名

ドイツ連邦共和国

主な契約内容

日本国内における同社ブランドの各種ベッド、マットレス、付属品家具、ランプ、テーブル、カットボード等の一部の製造、販売に加え、商標の使用許諾や同社の有する技術面での協力関係を構築すること等を目的とした独占的ライセンス契約

契約締結日

(発効日)

2007年8月1日

契約期間

2024年8月1日~2025年7月31日(1年ごとに自動更新)

ロイヤリティ

同社ブランド製品の販売実績に一定率を乗じた金額、もしくは一定額を最低金額として支払っております。

その他

④KING KOIL LICENSING COMPANY, INC.

国名

アメリカ合衆国

主な契約内容

日本国内における同社ブランドのマットレスの製造、販売及び商標等の使用許諾に関する独占ライセンス契約

契約締結日

(発効日)

2024年11月13日

契約期間

2024年11月13日~2029年12月31日(以降は、両社協議により更に5年間または両当事者で合意されたその他の期間で更新)

ロイヤリティ

同社ブランド製品の販売実績に一定率を乗じた金額、もしくは一定額を最低金額として支払っております。

その他

(注)1.上記は当事業年度末現在における契約に基づく内容を表示しております。

2.上記契約の解除事由は個々の契約により異なりますが、概ねその基本的な規定事項としては、破産、解散、差押え、仮差押え、仮処分、会社更生、債務不履行、契約不履行、機密保持義務違反、反社会的勢力取引にあたる等に該当する場合となっております。

 

 

 当社が締結している資金調達に関する契約

相手方の名称

契約締結日

契約期間

内容

株式会社広島銀行

(兼エージェント)

株式会社もみじ銀行

株式会社商工組合中央金庫

株式会社山陰合同銀行

株式会社百十四銀行

2022年12月27日

2022年12月30日から2034年3月31日まで

借入金額:2,000,000千円(2022年12月30日1,000,000千円、2023年6月30日500,000千円、2023年12月29日500,000千円)

適用利率:基準金利+スプレッド

借入目的:当社が縫製完成棟(2024年1月稼働)を建設するための資金調達

契約形態:株式会社広島銀行をエージェントとするタームローン型シンジケートローン

以下の財務制限条項が付されています。

a) 2023年3月期以降、各年度の決算期末日における単体の貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持すること

b) 2023年3月期以降、各年度の決算期における単体の損益計算書に示される経常損益が、2期連続して損失とならないようにすること

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、年1回の展示会(10月)及びドリーム会(取引先共栄会であり、7月に総会を実施)に向けた新商品の開発、大型ボランタリーチェーンに向けたOEM商品の開発及びライセンス生産品の日本仕様への変更の3つに区分されます。

 当社は、商品開発の専門部署である商品企画部を有しており、デザイン設計担当者7名、知財・技術担当者1名、市場調査担当7名の体制でデザインの原案作成から最終の商品の仕上がりのチェックまで、単一の部署で行っております。今後も、当社の有する知的財産権の保護、他社の有する知的財産権の侵害未然防止について取り組んでいくとともに、市場に選ばれる魅力的な商品を生み出し続けるべく研究開発活動に注力してまいります。

 なお、当社は、ホームファニシング事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しています。

 当事業年度における研究開発費の総額は、105,506千円となりました。

 主な研究開発活動を下記に記載しております。

 

(1)展示会及びドリーム会向け商品開発(定期開発)

①展示会向け

 開発課所属のデザイナーが決められた試作数の枠に対して5倍から10倍のスケッチ案を出し、その中から選ばれた商品を試作品として製作しております。商品企画部内で複数回の内見会及び、営業社員向け内見会を経て最終的に選抜された試作品を、展示会に出展します。

 なお、設計・品質・構成パーツ等の調達資材及び調達取引先については協力工場と連携しコストやクオリティを協議します。デザイン及び機能、商品名については、特許、商標、意匠等、知的財産権に関する検討、調整を実施しています。

 そして展示会にて、取引先からいただいた評価をもとに、量産に対する最終の採用・不採用を商品企画部にて決定しています。量産化に際しては、あらためて知的財産権チェックを行っています。

 商品の本格リリースまでに複数の段階を経ることで、採用可能性の低い商品については早期に不採用にし、より採用可能性の高い商品をリリースするよう取り組んでおります。

 10月の展示会では、ベッドフレーム17台、マットレス7種類、その他(※)28種類のリリースを決定いたしました。

(※)その他は、マットレス以外の寝装品、ナイトテーブル等の家具、生地やクッション等が該当します。

 

②ドリーム会(取引先共栄会)向け

 当社は、ドリーム会に加盟いただいている取引先に対して、要望に応じてドリーム会加盟取引先限定のベッドフレーム、マットレスを開発することにより競争力アップのサポートを行っております。開発する商品は、主に既存の売れ筋商品のデザインに沿った値ごろ感のある商品を意識しております。

 

(2)OEM商品の開発(不定期開発)

 昨今、小規模販売店の廃業等が増加しており、大型ボランタリーチェーンとの取引が増加しています。その中で、当社は、大型ボランタリーチェーンとの共同で商品開発を行い、取引先ブランドのOEM商品として供給をしております。取引先の要望を中心とした商品の開発となりますので、営業担当と開発担当が折衝にあたっており、OEM商品開発としてベッドフレーム11台、マットレス27種類の商品開発を行いました。

 

(3)ライセンス生産品の日本仕様への変更

 「ligne roset(リーン・ロゼ)」ブランドにおけるライセンス生産品が該当します。当社が、日本国内市場に商品を展開する上で、日本人の生活様式や体格にあった使い心地を実現するため、ソファのウレタンや家具底面に使用する素材等を選別して、試作品を繰り返し制作しております。

 日本市場への新作としてソファ3種類、その他アイテム1種類を発表し、当社工場及び協力工場にてライセンス生産を行いました。