第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

① 企業理念

 「人と人のこころのつながりをサポートし、社会のこころを豊かにする」という企業理念のもと、地域の人々を結び、人々の人生を豊かにするさまざまな活動を企画提案・実行します。故人やご先祖を想い、手を合わせるという行為の中に、人と人とのこころのつながりがあり、人を想うあたたかな気持ちがあります。寺院コンサルティング事業においては、そうした人が人を想うこころのつながりとして葬送文化の伝承をサポートすることで、人々の人生、ひいては社会のこころを豊かにします。

 

② ビジョン

 「ポジティブな超高齢社会を創造する」というビジョンのもと、今後訪れると想定される超高齢社会をポジティブなものとするための活動を行います。寺院コンサルティング事業においては、当社の永代供養墓が時代のニーズに合致していることを踏まえ、多くの寺院や墓地の利用者に当社の永代供養墓を提供します。また、今後の供養のあり方を先取りした、新たな墓制供養のあり方を積極的に提案します。

 

③ ミッション

 「みんなの未来を安心とワクワクで満たすサービスを提供する」というミッションのもと、人々の未来需要を積極的に読み取り、当社の提供するサービスにより、人々の未来を安心とワクワクで満たすことで、ポジティブな超高齢社会の創造に貢献いたします。寺院コンサルティング事業においては、時代のニーズを踏まえた供養の形を追究し続け、寺院を通じて社会に安心感や満足感を永代に提供し続けられるよう、寺院を拠点として故人を含めた人と人とがつながる「場」を提供します。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

(開苑寺院数)

 寺院との契約締結は、当社サービス提供の基盤であり、当社の収益力向上のためには、新規寺院との契約締結を進め、提携寺院数を継続的に増加させることが重要となります。新規寺院との契約締結後、提携寺院により管轄する都道府県庁の墓地経営許可を取得したのち、当社により永代供養墓建立工事に着工し一定期間を経て開苑、永代供養墓募集代行業務等を開始いたします。このため、開苑寺院数(契約締結後に開苑した寺院数)を重要業績評価指数(KPI)とし、寺院開発の施策を通じて収益力の向上に取り組んでおります。なお、売上高及び開苑寺院数の推移は以下のとおりであります。

 

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(売上高及び1寺院当たり売上高)

 当社の開苑寺院から収受する永代供養墓募集代行手数料(売上高)は、顧客と寺院の成約による成約額から生じます。2024年8月期において成約額は3,266百万円であり、当該成約額から収受した当社の永代供養墓募集代行手数料等(売上高)は2,376百万円、1寺院当たり売上高は30百万円となっております。寺院との永代供養墓募集代行契約を10年から20年にわたる長期の契約とし、永代供養墓の成約状況及び残区画数に合わせて適時に永代供養墓の増設を行うことで、1寺院当たりの売上高を逓減させることなく一定水準を維持しております。この永代供養墓の増設は、2024年8月期末の開苑寺院80寺院のうち40%の寺院で過去1度以上実施されており、売上高の維持に取り組んでおります。当社の業績向上のためには、適切なエリア開発に基づく開苑寺院数の増加のみならず、開苑寺院における顧客の訪問件数及び顧客と寺院の成約率の維持向上、永代供養墓の増設並びに高い手数料率の維持による開苑寺院当たりの売上高の安定的な確保が重要となります。このため、「売上高」及び「1寺院当たりの売上高」を重要業績評価指標(KPI)とし、これらの数値を向上させる施策を通じて収益力の向上に取り組んでおります。

 

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2020年8月期

2021年8月期

2022年8月期

2023年8月期

2024年8月期

成約額(百万円)※1

2,246

2,495

2,470

2,665

3,266

売上高(百万円)※2

1,587

1,815

1,782

1,928

2,376

開苑寺院数

49

53

59

74

80

1寺院当たり売上高

(百万円)※3

33

35

31

29

30

※1 成約額は、墓地の利用者が墓地購入のために決済した金額の総額であります。

※2 売上高は、成約額から永代供養など宗教活動の対価として寺院に配分する志納料を除いた当社の募集代行手数料(税抜)等であります。

※3 1寺院当たり売上高は、売上高を期中平均開苑寺院数((前事業年度末開苑寺院数+当事業年度末開苑寺院数)/2)で除して計算しております。

 

(3)経営環境

 国内の年間死亡数予想は2024年において1,508千人とされ、その後も増加しピーク時の2040年には現在の約1.1倍である1,665千人になると推計されている一方で、国内の年間出生数予想は2024年において779千人とされ、2040年には718千人にまで減少すると推計されています。

 超高齢社会の進展に伴い少子高齢化や核家族化が進むにつれ、血縁関係の断絶・希薄化が珍しくなくなったことから、人々が利用する墓地の維持管理及びその費用負担、親族等による後継ぎが困難となる傾向にあり、また新たに墓地の利用を希望する場合でも利用の意思決定が行い難い傾向にあることから、従来型の墓地管理承継者がいない中高年層が生前に永代供養墓を購入するケースが増加しており、当社が寺院へ企画提案する永代供養墓の潜在的な需要は益々高まっております。

 

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※横軸は暦年表記

 

(実績値)

「政府統計の総合窓口(e-Stat)」-統計データを探す-統計名「人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生」

「人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡」

厚生労働省-「統計情報・白書」-令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況

(推計値)

「国立社会保障・人口問題研究所-日本の将来推計人口(令和5年推計)-出生中位(死亡中位)推計(令和5年推計)」

 

 年間死亡数が増加する一方で年間出生数が減少していく社会環境においては、死者の埋葬絶対数は増加する一方で、墓地の承継者は減少していく構造にあります。墓の引越しである「改葬」の件数は2023年度において166千件を数え、1997年度の69千件と比較しておよそ2.4倍に増加しており(※1)、遠方で利用する墓地の維持等のために行う改葬の需要が増加しております。また2022年3月から2023年9月にかけて行われた総務省の調査によれば、公営墓地や納骨堂を有する全国765市町村のうち、承継がなされず死亡者の縁故者がいない無縁墳墓等を有する市町村数は58.2%を占め、うち無縁墳墓等の焼骨の移管・墓石撤去の着手にまで至った市町村はわずか6.1%となっており(※2)、従来の一般的な墓地を維持できず放置される状況となっています。

※1 「政府統計の総合窓口(e-Stat)」、統計データを探す-統計名「衛生行政報告例」から引用

※2 総務省報道資料「墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として」から引用

 

 

(市場規模の推計)

年間死亡数が増加していくことに合わせて、墓市場全体の規模成長が見込まれていますが、それ以上に永代供養墓市場の成長が見込まれています。墓市場全体は2017年に2,788億円ほどであったものが、2030年には2,864億円と推計されており、その成長率は2.7%となる見込みである一方、永代供養墓市場においては、2017年の348億円から2030年の777億円とその成長率は123.3%と推計されています。

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当社が依頼した株式会社矢野経済研究所「永代供養墓市場に関する調査」よりデータ抜粋

※市場規模推定における前提・仮定(件数ベース)

・墓の購入者の出現率に影響を与えうる因子を「人口・世帯数」と「死亡者数の増減」と規定

・このうち、将来的な死亡者数の増減率は、あらゆる種類の墓の購入者の出現率に等しく影響を与えるものと仮定

・一般墓の購入者の出現率は、過去5年間と同様のペースで今後も微減傾向が継続するものと仮定

・納骨堂及び樹木葬の購入者の出現率は5年ごとに一定の割合で鈍化していくものと仮定

※永代供養墓市場は、樹木葬、納骨堂、その他の墓種別に分かれる

※市場規模推定における前提・仮定(金額ベース)

・墓種別の平均購入価格が、2021年と変わらず今後も一定であると仮定

 

近年の核家族化世帯の増加による後継者問題、それに伴う寺離れ・墓離れといった言葉に代表されるように、墓地を取り巻く社会環境においては、墓地の利用者や墓地を提供する寺院が抱える多くの「課題」が存在します。それを解決する手段として、墓地の利用者に後継者がいなくても寺院が永代に渡り供養・管理を行う永代供養墓の需要は拡大すると見込まれています。

 

(4)経営戦略等

 当社は、超高齢社会における年間死亡数の増加及び出生数の減少による墓地の承継者不足に対応し、墓地の利用者及び寺院が抱える課題の解消と向き合い、「お墓といえばエータイ」を目指してまいります。

 主力の永代供養墓募集代行業務においては、当社独自の手法により、墓地利用者及び寺院のニーズに合致した永代供養墓の安定供給及び永代供養墓利用者の安定確保を継続して実現し、寺院における永代供養墓の運営に係る費用を当社が負担することで高い募集代行手数料率を確保すると同時に、旧来の石材業者の提供する伝統的なデザインとは異なる視点でデザイン性が高く高品質を目指した永代供養墓の低費用化、並びに適切なエリア展開に基づく募集代行費用の効率化を実現しています。これらを前提に、更なる寺院及び顧客の満足度向上のため、①寺院開発戦略、②寺院提携エリア開発によるドミナント戦略強化、③ワンストップ×フルサポートによる永代供養墓利用者の獲得戦略に注力してまいります。

① 寺院開発戦略

 現在の開苑寺院や石材店等の業務提携業者、顧問紹介サービス、当社従業員その他人脈を駆使した紹介案件の能動的な創出により、参入障壁の高い寺院に対する効果的かつ効率的なアプローチを実践してまいります。特に、2024年8月期末の開苑寺院80寺院のうち25%を占める20寺院が現在の開苑寺院からの紹介であることから、永代供養墓募集代行契約を通じた寺院への貢献に基づく寺院との良好な関係構築、それに伴う情報収集及び必要に応じたトップ営業を徹底して行うことにより、引き続き提携寺院からの継続的な紹介案件の創出を実現します。

 

② 寺院提携エリア開発によるドミナント戦略強化

 年齢別人口分析や存在する競合他社及び寺院数など関連する指標を用いてより潜在性のあるエリアを選定のうえ、当該エリアにおける将来の墓地需要の予測やこれまでの開苑寺院の販売実績を勘案し提携すべき寺院数を算出、寺院周辺地域に特化したサービスとして新規エリアにおいては主要都市を中心に開発し、既存展開エリアにおいては空白エリアへの展開並びに既存開苑寺院での増設を行い、十分な墓地数を確保し効果的かつ効率的な提携寺院エリアを構築するドミナント戦略を実践してまいります。当該エリアにおいて獲得した提携候補寺院については、AIなどを活用(既存開苑寺院における売上実績、住所、商圏人口等を学習)した当社独自の基準(年間見込成約額約40百万円)に基づき、安定的な収益獲得の実現のために増設スペースも見越した業務提携の意思決定を実施しております。増設スペースについては、新規建立時点で空いているスペースはもとより、将来の墓じまいで更地となることが見込まれるようなスペースの確保も見越し、意思決定を実施しております。さらに、既に広告宣伝活動により一定の永代供養墓マーケットが作られている既存開苑寺院では、販売実績から増設後の売上見込みが予測しやすく、安定的な収益が獲得できます。これらにより、各エリアにおいては当社ブランドの高い認知と信頼性を獲得し、高い売上高を確保すると同時に、永代供養墓建立業者に対する工事費、寺院見学者の獲得に向けた広告宣伝費及びそれに関連する人件費といった費用の効率化を実現し利益率の継続的な改善を実現します。開発の対象となるエリアは関東地方※を中心とし、九州地方及び東海地方等への展開を開始したほか、関西地方への展開も開始しております。

※東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県においてアプローチ可能な寺院数を6,300寺院と推定しております。

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③ ワンストップ×フルサポートによる永代供養墓利用者の獲得戦略

 寺院との永代供養墓募集代行契約の締結後は、寺院や墓地の利用者のニーズに合う永代供養墓の企画提案、建立を行い、これまでに培った知見に基づく広告戦略としてポータルサイトや自社HP等のオンライン広告、新聞広告や折込チラシのポスティング等のオフライン広告の実施、またこれら広告により獲得した現地見学者に対し現地常駐スタッフが安心した墓地選びのサポートを実施することで、潜在層の掘り起こしや顕在層の確実な獲得を実施し安定した1寺院当たりの売上高の確保に努めてまいります。また、テレビCMなどのマス広告を実施することにより、永代供養墓における認知の獲得に努めてまいります。

 

 永代供養墓マーケットにフォーカスすることで、①寺院開発戦略、②寺院提携エリア開発によるドミナント戦略強化、③ワンストップ×フルサポートによる永代供養墓利用者の獲得戦略によって創出される売上高拡大及び費用効率化といった競争優位性について、さらなる成長が期待されます。現状、類似するビジネスを実施している企業が少なく、また開苑寺院数等の規模も当社と比較し僅少であるため、先行者の優位性を大きく確保できるといった利点も有しており、継続して速度を有した事業推進を行ってまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 潜在能力のある開苑寺院のさらなる確保

 永代供養墓の募集代行契約に伴う募集代行手数料(売上高)の成長のためには、当社との提携により財務基盤が強化され、かつ、周辺顧客への永代供養墓の普及がおおいに期待できる、潜在能力のある開苑寺院を増加させることが必要不可欠です。

 近年の墓地利用者のニーズとしては、単一の寺院で複数の永代供養墓のタイプから選択でき、より生活圏に近い立地であることが求められる傾向が強くなっております。そのため、将来に向けて墓地の利用者のニーズに合致する開苑寺院を確保していくことを重要な事業上の課題と認識し、墓地の利用者及び寺院の課題を解決する寺院コンサルティングを通じて、現在の開苑寺院や業務提携業者、その他人脈を駆使した紹介案件の能動的な創出により、参入障壁の高い寺院に対する効果的かつ効率的なアプローチを実践してまいります。

 

② サービス水準の継続的な向上

 当社は、常に当社が企画提案する永代供養墓やそれに付随するサービス、価格に関して、寺院・墓苑・葬儀業者等との間において一定の競争状態に晒されておりますが、当社は低価格戦略を採用しておりません。そのため、寺院・墓苑・葬儀業者等に対する競争力を維持するには、独自性のある事業展開を推進するとともに、永代供養墓品質やサービス水準の向上を継続的に図っていくことが不可欠であると考えております。またこれらを実現するために、寺院開発をはじめ営業やマーケティングなど各役割に細分化した機動的な組織体制の構築に取り組んでまいります。

 

③ コンプライアンス体制の整備

 当社では、法令を遵守するため、コンプライアンス規程等に則り、3ヵ月に1回開催するコンプライアンス委員会、適宜実施する研修会等を通じて全役職員への徹底を図っております。特に当社が永代供養墓の募集代行業務を行うにあたっては、提携する寺院及び当社は、「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)、同施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第24号)」及び各自治体の条例等の法規制に則っており、各自治体における判断基準や慣行に則した対応を求められます。そのため当社は、当社の行う永代供養墓募集代行業務が法令に違反することのないよう、顧問弁護士をはじめとした法律の専門家との連携、社外役員(弁護士)からの助言をもとに当該法規制の理解及び法令遵守の徹底を図ってまいります。

 

④ 内部管理体制の強化

 当社は、更なる事業領域の拡大を目指しておりますが、急速に変化する事業環境に適時に対応しつつ持続的な成長を維持するために、内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、経験値のある人材の採用や社内コミュニケーションの充実を図ることで内部管理体制の実効性を高め、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることにより、リスク管理の徹底、業務効率化を図ってまいります。

 

⑤ 優秀な人材の確保と組織体制の強化

 当社は、今後の更なる成長のために、優秀な人材の確保及び組織体制の強化が不可欠であると認識しております。このため、教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げを行っていくとともに、継続的な採用活動を通じて、当社の経営理念にあった人材の登用を進めてまいります。

 

⑥ 新規事業の展開について

 永代供養墓・葬儀事業における寺院・顧客のニーズは時代に伴って変化するため、当社においても、寺院・顧客のニーズを先取りした新規事業を展開していくことが重要な課題であると認識しております。このため、寺院との定期的なコミュニケーションや顧客のアンケート調査などを実施するとともに、各種メディアや業界誌による情報収集を行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティに対する取組の検討とその対応について、管理部を中心とした関係各部署間での連携において実施しており、認識した経営課題については取締役会を中心とするコーポレート・ガバナンス体制に基づき、解決に向けた取組を行っております。なお、サステナビリティに関する方針については、重要な事項がある場合はコンプライアンス委員会及びリスク管理委員会にて審議のうえ、取締役会において議論、決議することとしております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社は、サステナビリティに関する取組のうち、特に人材の育成並びに長期的な雇用の継続に関する取組を経営上重要な戦略であると考えております。当社における人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

① 人材育成方針

 当社は、ポジティブな超高齢社会を創造するため、「みんなの未来を安心とワクワクで満たすサービスを提供する」ことをミッションに掲げており、従業員一人ひとりの未来も安心とワクワクで満たすべきだと考えております。そのため、行動指針として「向上力」「協調力」「傾聴力」を掲げ、従業員同士が互いに「ありがとう」を引き出す行動を自ら進んでとれるよう促すと同時に、人事評価制度にて各等級に併せたコンピテンシーを設けることで、各人の成果に応じた報酬を付与し当社に適した人材を育成しています。

 

② 社内環境整備方針

 当社は、全従業員が互いに安心とワクワクを共有できるような風通しのよい組織風土の醸成を目指しております。そのため、月1回の社長通信にて代表取締役社長と従業員のコミュニケーションの機会を設けるほか、年1回の社員総会では経営陣とのコミュニケーションに加え、部を超えた従業員同士のコミュニケーションの場を提供、これにより従業員と意識の共有や経営の透明化を図っております。また、月1回のパルスサーベイによる従業員満足度調査や経営陣への質疑応答、なんでも相談室の設置などの施策を講ずるほか、ランチ会等の従業員相互のコミュニケーションの場の提供を行っております。

 

(3)リスク管理

 当社は現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連のリスク管理における記載はいたしませんが、コンプライアンス規程及びリスク管理規程を作成し、サステナビリティを含む様々なリスクについて管理部がその有するリスクの洗い出しを行い、主要リスクの認識、リスクの種類に応じた管理を行い、予防的に可能な対策をできる限り施すことを基本としております。また、予防的に可能な対策を講じた場合は、必要に応じ当該対策の実施状況及び実効性について内部監査等で確認を行うこととしております。

 また、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会において、各種リスク管理の方針等に関する審議等を行い、重要な事項がある場合は取締役会において報告を行う体制となっております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する当社の実績を長期的に評価し、管理及び監視するために用いられる情報としての指標及び目標を具体的に定めておりませんが、今後の事業を進める中でその精緻化を図ってまいります。また、人的資本に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関しましては、当社は現在、人的資本規模に対して特定の数値的目標を採用するのが困難であるために従業員満足度、離職率、女性管理職比率、男性育児休暇取得率、男女間賃金格差などの目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく対応に努める方針であります。当社のリスク管理体制に関しましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)事業環境

① 経営環境変動のリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:大)

 当社は、日本国内において単一セグメントである寺院コンサルティング事業を営んでおり、その収益は墓地市場、葬儀市場及び仏壇市場といった日本のライフエンディング市場に大きく依存しております。日本のライフエンディング市場は、日本の人口構成の高齢化に伴い拡大傾向にあるとの見方もある一方で、葬儀やお墓に関するニーズは多様化しており、各商材・サービスの単価は下落傾向にあります。特に当社の主たる領域である永代供養墓は一般的な墓地と比較し価格の低い商品であるため、当社は多様化するニーズに対応すべく新たな商品の開発、高品質なサービスの提供、きめ細やかな顧客対応の実現を徹底して行うほか、ライフエンディング市場における積極的な事業開発を行っておりますが、今後、単価の下落等によりライフエンディング市場が縮小した場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 競争激化に関するリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:中)

 当社は、ライフエンディング市場においてお墓や供養等に関連するサービスを提供する企業や宗教法人と競合しております。当社は顧客や提携寺院との継続的な関係性を重視したサービスの提供を前提に新たな商品の開発、高品質なサービスの提供、きめ細やかな顧客対応の実現を徹底して行うほか、ライフエンディング市場における積極的な事業開発を行うことで競争力の強化を図っておりますが、当社と類似のサービスを提供する企業・法人や新規参入の激化により顧客の減少や価格の下落等が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)事業内容

① 人材確保及び育成に関するリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:中)

 当社は、今後も事業を積極的に展開していく方針であり、事業成長のためには優秀な人材の確保及び育成を継続的に行っていく必要があるものと認識しております。そのため、当社は採用計画に従って年間を通じて積極的な採用活動を行い、研修制度の充実を図るなど人材の確保及び育成に努めてまいります。しかしながら、今後、人材の確保と育成が事業の展開速度に追い付かない場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 寺院との業務提携に関するリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:長期/影響度:小)

 当社は、寺院との業務提携が将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠であると認識しております。当社は寺院との業務提携をより強固なものとすべく、新たな商品の開発や高品質なサービスの提供、きめ細やかな顧客対応の実現を徹底して行うことによる寺院からの信頼獲得に注力するほか、寺院の抱える様々な問題に対してコンサルティングを通じて支援を行い寺院と当社の双方にメリットのある解決策を提言しておりますが、当該解決策により当初想定した効果を得ることができず寺院への支援が機能しなくなった場合及び将来の寺院獲得が想定どおりにいかなかった場合には、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 売上高の季節的変動について(発生可能性:高/顕在化の時期:短期/影響度:小)

 顧客が当社開苑寺院を訪問する際には外気温等の季節的影響を受けやすいことから、第1四半期(9月から11月)及び第3四半期(3月から5月)に需要が増加し、第2四半期(12月から2月)及び第4四半期(6月から8月)に需要が減少するため、それに比例して当社の売上高や利益に変動が生じる可能性があります。

 

④ 減損に関するリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:短期/影響度:小)

 当社は、永代供養墓の建立に関連して長期前払費用を計上しておりますが、当該資産は減損会計の適用対象となる固定資産に該当いたします。寺院開発基準の精緻化や経営会議等を通じた提携可否の意思決定において、開苑寺院の収益性を担保しておりますが、当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さず、減損損失を認識する必要性が生じた場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)法的規制

① 法規制に関するリスク(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:中)

 当社が永代供養墓の募集代行業務を行うにあたっては、提携する寺院及び当社は、「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」(以下「墓埋法」という)、「同施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第24号)」、各自治体の条例等の法規制に則っており、各自治体における判断基準や慣行に則した対応を求められます。当社は、当社の行う永代供養墓募集代行業務が法令に違反することのないよう、顧問弁護士をはじめとした法律の専門家との連携、社外役員(弁護士)からの助言並びに各自治体とも適時、適切に連携して当該法規制の理解及び法令遵守の徹底を図っておりますが、今後、わが国の墓制に対する上記の法規制が変更された場合、提携する寺院及び当社の永代供養墓の建立、運営方法に変更が生じ、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 また、当社が提供する永代供養墓募集代行業務により寺院が収受した金員については、寺院においては宗教活動による収益として法人税法における課税対象外であると整理をしておりますが、今後の税制改正等により、寺院に対して当該収益に係る法人税の課税がなされる可能性があります。これにより、寺院における当社の永代供養墓募集代行業務の導入インセンティブが低下し、寺院との業務提携の解消や業務提携速度の低下が発生した場合には、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)組織体制

① 情報セキュリティに関するリスク(発生可能性:低/顕在化の時期:短期/影響度:大)

 当社は、事業活動を通して当社及び顧客・寺院・取引先などについての個人情報や機密情報を入手することがあります。当社では、ISMSの取得やセキュリティ環境の強化、従業員等のアクセス制限を徹底することでこれらの情報の厳格な管理に努めておりますが、コンピュータウィルスへの感染、不正アクセス、その他不測の事態などにより、情報の漏えい・紛失、重要データの破壊・改ざんなどが起きた場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 個人情報の保護について(発生可能性:低/顕在化の時期:短期/影響度:大)

 当社は、顧客・寺院の登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律57号)の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針及び個人情報保護規程を定めているほか、Pマークの取得やセキュリティ環境の強化、従業員等のアクセス制限の徹底及び社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の財務状況及び経営成績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他

① 自然災害や環境問題等の発生に関するリスク(発生可能性:低/顕在化の時期:長期/影響度:大)

 当社は、提携寺院の開発エリアを多様化することで収益の安定化を図っておりますが、今後、大地震、暴風雨、洪水その他の天災地変等が発生した場合、特に当社の開苑寺院の多数を有する関東エリアで当該事象が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 感染症について(発生可能性:中/顕在化の時期:短期/影響度:中)

 感染症が想定を上回る規模で発生及び流行した場合、社会的な生産活動の停滞、原材料の供給不足、顧客資料請求数の減少といった影響を受ける可能性があります。特に寺院における現地案内活動が制限される状況となった場合には、売上高が減少するといった直接的な影響を受ける可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社は、本社管理部が中心となり、全ての従業員とその家族の健康維持を最優先とし、感染予防・拡大防止のための措置、勤務形態、顧客対応等を指示するなど、BCP体制を構築しております。加えて、各地域の行政の指針・ガイドラインに沿って、状況に応じた判断・対応をとるとともに社内外に情報を発信しております。

 

③ 訴訟等について(発生可能性:中/顕在化の時期:長期/影響度:中)

 当社は、法令及び契約等の遵守のため、コンプライアンス規程を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、当社が事業活動を行うなかで、寺院、顧客、外注先をはじめとした取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があり、かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社の財務状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社の社会的信用の毀損によって、当社の財務状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ インターネットによる風評被害(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:中)

 当社は、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながら、インターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社の事業、業績及び財務状況、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 支配株主との関係について(発生可能性:低/顕在化の時期:短期/影響度:中)

 当社の支配株主である樺山伸一は、当社の創業者であります。本書提出日現在、樺山伸一及び同氏の資産管理会社である株式会社エージーアイ、並びに同氏の子息である樺山玄基の所有株式数を含めると発行済株式総数の100.0%を所有しております。樺山伸一及び樺山玄基は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しておりますが、双方の意見が必ずしも一致するわけではないため、支配株主の利益追求により少数株主の利益が害される利益相反が発生する可能性があります。また、樺山伸一及び同氏の資産管理会社並びに樺山玄基が当社株式の一部又は全てを売却した場合、その売却の方式、タイミング、規模等によっては、当社株式の需給関係及び市場価格に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 配当政策について(発生可能性:中/顕在化の時期:中期/影響度:小)

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、事業成長と戦略的投資のバランスを見極めながら、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社の業績が計画どおりに進展しない場合には、配当政策に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低/顕在化の時期:中期/影響度:小)

 当社は、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や指揮を高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は111,500株であり、発行済株式総数の2.8%に相当します。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

第20期事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)

 当事業年度における我が国経済については、新型コロナウイルス感染症に基づく行動制限の緩和に伴い、経済活動の正常化が進むなか、消費者の動きに持ち直しの動きがみられる一方で、物価の高騰など依然として不透明な状況が継続しております。当社の属するライフエンディング市場においては、引き続き少子高齢化や核家族化が進むにつれ、それによる血縁関係の断絶・希薄化が加速したことから、墓地の管理承継者がいない中高年層が生前に永代供養墓を購入するケースが増加しており、当社の永代供養墓の潜在的な需要は益々高まる傾向にあります。

 当事業年度におきましては、寺院コンサルティング事業の更なる成長及びシェアの拡大を目指し、新規契約寺院の獲得及び既存開苑寺院における収益性の向上に努めてまいりました。

 新規契約寺院の開苑については、2023年9月に浄久寺、10月に壽仙院、2024年1月に松竹院、2月に本福寺、3月に光厳寺、4月に正覚寺、6月に達磨寺、7月に報恩寺及び常光寺の合計9寺院で募集代行を開始し、主として個別墓及び樹木葬の販売代行により売上高を伸ばしました。既存開苑寺院の収益性については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から緩やかに回復したほか、マーケティング部による自社HP施策や広告効果の見直し改善活動が功を奏し寺院見学予約数が増加、成約額を後押ししました。一方、費用面においては、新規契約寺院の販売開始に伴い長期前払費用償却費が増加したほか、寺院数の増加及び人事評価制度の見直しに伴い人件費が増加しましたが、既存開苑寺院の収益性の改善による効果から、利益率は回復傾向となりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は2,376,316千円(前期比23.2%増)、営業利益は506,141千円(前期比24.3%増)、経常利益は507,517千円(前期比24.6%増)となり、当期純利益は297,366千円(前期比7.8%増)となりました。

 なお、当社は寺院コンサルティング事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載をしておりません。

 

第21期中間会計期間(自 2024年9月1日 至 2025年2月28日)

 当中間会計期間における当社を取り巻く環境は、個人消費の回復やインバウンド需要の増加などにより景気持ち直しの動きがあった一方、ウクライナや中東地域をめぐる情勢の緊迫化や継続した円安傾向の影響をうけた物価上昇などから、依然として先行きが不透明な状況が続きました。このような環境の中、当社は好調であった広告媒体を中心にさらに集客方法の見直しを実施、加えて、自社HPの改修や寺院墓地案内の手法の見直しに努めた結果、寺院訪問顧客数及び成約率がさらに改善し、既存開苑寺院の売上高が順調に推移しました。また、新規寺院の開苑について引き続き注力することにより2024年10月に2寺院を開苑し、売上高を後押ししました。

 この結果、当中間会計期間の経営成績は、売上高1,400,424千円、営業利益412,856千円、経常利益413,951千円、中間純利益288,606千円となりました。

 なお、当社は寺院コンサルティング事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載をしておりません。

 

② 財政状態の状況

第20期事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)

(資産)

 当事業年度末における流動資産は2,007,647千円となり、前事業年度末と比較して396,192千円増加いたしました。これは主として、新規寺院の開苑に伴う初期投資の回収により現金及び預金が418,420千円増加したことによるものであります。また当事業年度末における固定資産は1,264,670千円となり、前事業年度末と比較して218,706千円増加いたしました。これは主として、新規寺院の開苑に伴う初期投資の増加により長期前払費用が138,997千円増加したこと、及び繰延税金資産が67,825千円増加したことによるものであります。

 上記の結果、当事業年度末の総資産は3,272,318千円となり、前事業年度末と比較して614,899千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は599,240千円となり、前事業年度末と比較して332,727千円増加いたしました。これは主として、人事評価制度の見直しに伴い賞与引当金が109,734千円増加したこと、及び未払法人税等が184,064千円増加したことによるものであります。また当事業年度末の固定負債は136,569千円となり、前事業年度末と比較して15,195千円減少いたしました。これは主として、社債が10,000千円減少したほか、長期預り金が3,218千円減少したことによるものであります。

 上記の結果、当事業年度末の負債合計は735,809千円となり、前事業年度末と比較して317,532千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は2,536,508千円となり、前事業年度末と比較して297,366千円増加いたしました。これは、当期純利益297,366千円を計上したことに伴う繰越利益剰余金の増加によるものであります。

 

第21期中間会計期間(自 2024年9月1日 至 2025年2月28日)

(資産)

 当中間会計期間末における資産合計は3,293,379千円となり、前事業年度末に比べ21,061千円増加いたしました。

 当中間会計期間末における流動資産は1,847,342千円となり、前事業年度末に比べ160,304千円減少いたしました。これは主として、現金及び預金が166,910千円減少したことによるものであります。また、固定資産は1,446,037千円となり、前事業年度末に比べ181,366千円増加いたしました。これは主として、投資その他の資産の長期前払費用が190,930千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当中間会計期間末における負債合計は588,264千円となり、前事業年度末に比べ147,544千円減少いたしました。

 当中間会計期間末における流動負債は455,097千円となり、前事業年度末に比べ144,142千円減少いたしました。これは主として、未払法人税等が58,719千円減少したこと、未払消費税等が43,504千円減少したこと、賞与引当金が24,790千円減少したこと及び未払金が10,333千円減少したことによるものであります。また、固定負債は133,167千円となり、前事業年度末に比べ3,402千円減少いたしました。これは、固定負債のその他が3,402千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当中間会計期間末における純資産合計は2,705,115千円となり、前事業年度末に比べ168,606千円増加いたしました。これは、中間純利益288,606千円を計上した一方、配当金120,000千円の計上により、利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

第20期事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)

 当事業年度における現金及び現金同等物は前事業年度末と比較して418,420千円増加し、1,970,955千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により増加した資金は961,654千円となりました。これは主として、税引前当期純利益の計上445,608千円、長期前払費用償却額の計上232,297千円、賞与引当金の増加109,734千円、未払金の増加44,480千円及び法人税等の支払額24,633千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少した資金は531,259千円となりました。これは主として、長期前払費用の取得による支出506,421千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により減少した資金は11,973千円となりました。これは主として、社債の償還による支出10,000千円によるものであります。

 

第21期中間会計期間(自 2024年9月1日 至 2025年2月28日)

 当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,804,045千円となり、前事業年度末に比べ、166,910千円の減少となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって得られた資金は、281,229千円となりました。これは主として、法人税等の支払額184,064千円、未払消費税等の減少43,504千円、賞与引当金の減少24,790千円、仕入債務の減少11,872千円による資金の減少があった一方で、税引前中間純利益413,951千円、長期前払費用償却額の計上138,262千円等による資金の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出された資金は、322,152千円となりました。これは主として、長期前払費用の取得による支出318,060千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出された資金は、125,987千円となりました。これは、主として配当金の支払120,000千円を実施したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 第20期事業年度及び第21期中間会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、当社は寺院コンサルティング事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

第20期事業年度

(自 2023年9月1日

至 2024年8月31日)

第21期中間会計期間

(自 2024年9月1日

至 2025年2月28日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

売上高(千円)

寺院コンサルティング事業

2,376,316

123.2

1,400,424

 (注)売上高のうち損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、主な相手先別の実績については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。また当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

第20期事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,376,316千円(前事業年度比23.2%増)となりました。これは主として、2023年9月に浄久寺、10月に壽仙院、2024年1月に松竹院、2月に本福寺、3月に光厳寺、4月に正覚寺、6月に達磨寺、7月に報恩寺及び常光寺の合計9寺院で新規に募集代行を開始し、主として個別墓及び樹木葬の販売により売上高を伸ばしたほか、既存開苑寺院におけるマーケティング部による広告効果の改善施策及び自社HPの改善施策により寺院見学予約数が増加、さらに永代供養営業部における成約率改善施策により成約率が向上、成約額を後押しした結果であります。

 

(売上原価・売上総利益)

 当事業年度における売上原価は754,799千円(前事業年度比21.5%増)となり、売上高の増加に伴い増加いたしました。これは主として、新規契約寺院の販売開始に伴い長期前払費用償却費が59,106千円増加(前事業年度比34.1%増)したことに加え、個別の寺院に特化した広告宣伝費が29,320千円増加(前事業年度比15.4%増)したほか、寺院数の増加及び人事評価制度の見直しに伴い人件費が51,434千円増加(前事業年度比34.0%増)したことによるものであります。

 上記より、当事業年度における売上総利益は1,621,516千円(前事業年度比24.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は1,115,375千円(前事業年度比23.9%増)となりました。これは主として、複数寺院をまとめたエリアに特化した広告宣伝費が17,071千円増加(前事業年度比12.9%増)したほか、経営管理体制の強化及び人事評価制度の見直しに伴い人件費が133,264千円増加(前事業年度比33.4%増)したことによるものであります。

 上記より、当事業年度における営業利益は506,141千円(前事業年度比24.3%増)となりました。

 

(営業外収益・営業外費用・経常利益)

 当事業年度における営業外収益は1,503千円となりました。これは主として、受取利息166千円、補助金収入444千円を計上したものであり、前事業年度から重要な変動はありません。また当事業年度における営業外費用は127千円となりました。これは主として、社債利息114千円を計上したことによるものであり、前事業年度から重要な変動はありません。

 上記より、当事業年度における経常利益は507,517千円(前事業年度比24.6%増)となりました。

 

(特別利益・特別損失・税引前当期純利益)

 当事業年度における特別利益の計上はありません。また当事業年度における特別損失は61,908千円となりました。これは、3寺院における固定資産の減損損失38,058千円を計上したほか、提携していた寺院の墓地の移設に関する支援費用23,850千円を計上したことによるものであります。

 上記より、税引前当期純利益は445,608千円(前事業年度比9.4%増)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は297,366千円(前事業年度比7.8%増)となりました。これは、上記の営業利益及び経常利益の増加によるものであります。

 

第21期中間会計期間(自 2024年9月1日 至 2025年2月28日)

(売上高)

 当中間会計期間における売上高は1,400,424千円となりました。これは主として、2024年10月に浄林寺、萬福寺の2寺院で新規に募集代行を開始し、主として個別墓及び樹木葬の販売により売上高を伸ばしたほか、既存寺院におけるマーケティング部による広告効果の改善施策及び自社HPの改善施策により案内予約数が増加、さらに永代供養営業部における成約率改善施策により成約率が向上、成約額を後押しした結果であります。

 

(売上原価・売上総利益)

 当中間会計期間における売上原価は424,172千円となりました。これは主として、新規契約寺院の販売開始に伴い長期前払費用償却費が増加したことに加え、個別の寺院に特化した広告宣伝費が増加したほか、寺院数の増加及び人事評価制度の見直しに伴い人件費が増加したことによるものであります。

 上記より、当中間会計期間における売上総利益は976,251千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

 当中間会計期間における販売費及び一般管理費は563,395千円となりました。これは主として、複数寺院をまとめたエリアに特化した広告宣伝費が増加したほか、人事評価制度に基づく好調なトップラインを反映した賞与引当金繰入額が増加したことによるものであります。

 上記より、当中間会計期間における営業利益は412,856千円となりました。

 

(営業外収益・営業外費用・経常利益)

 当中間会計期間における営業外収益は1,176千円となりました。これは主として、受取利息を計上したものであります。また、当中間会計期間における営業外費用は81千円となりました。これは主として、社債利息を計上したことによるものであります。

 上記より、当中間会計期間における経常利益は413,951千円となりました。

 

(特別利益・特別損失・税引前中間純利益)

 当中間会計期間における特別損益はありません。

 上記より、税引前中間純利益は413,951千円となりました。

 

(中間純利益)

 当中間会計期間における中間純利益は288,606千円となりました。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社における資金需要は、主として運転資金であります。運転資金の需要のうち主なものは、業容拡大のための寺院開発費用及び永代供養墓建立費、寺院開発及び営業に関する人件費、サービス品質のさらなる向上のための現地常駐スタッフの人件費、並びに集客及びブランディングに関する広告宣伝費であります。この財源については、自己資金の効率的な運用に努めております。なお、事業活動を円滑に実行できるよう、適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先としております。具体的には、何らかの理由により顧客からの入金が滞った場合でも取引先に対する支払に遅れが発生せず、かつ、必要に応じて金融機関からの資金調達を実行するまでの間、事業運営に支障が出ない水準の預金残高を維持しております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。