第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、グループ経営理念を以下のとおりとし、グループの総合力を発揮するなか、お客さまや地域の課題解決に取り組むことで、地域の持続的な成長に貢献してまいります。

〔グループ経営理念〕

「グループ経営理念」は、株式会社十六銀行の基本理念を受け継ぎ、十六フィナンシャルグループにおける基本的な精神として、全役職員の活動のよりどころとするものであり、「私たちの使命」、「私たちのめざす姿」、「私たちの価値観」で構成しております。また、これを実践していくための役職員の具体的な行動を「私たちの行動基軸」としております。

 


 

(2) 中長期的な経営戦略

当社グループは、2023年4月からグループ経営の羅針盤となる「長期ビジョン」(10年間)と、長期ビジョンの前半5か年を計画期間とする「第2次中期経営計画」をスタートさせております。

① 長期ビジョン「16Vision-10」(2023年4月~2033年3月)

10年後のなりたい姿である長期ビジョンのテーマは、「一歩先を行き、いつも地域の力になる」としております。140年超の歴史を有する株式会社十六銀行が培った、広く深い顧客基盤や日々集積する情報、張り巡らされた人的ネットワークを活用するとともに、事業領域の拡大等への環境完備を強みとして、常に一歩先を行き、いつも地域の力になる地域総合金融サービスグループを目指してまいります。

 


 

〔長期ビジョンで大切にする価値観〕

当社グループでは、長期ビジョンの実現に向け、「お客さま」や「役職員」への在り方につきまして、以下のとおり定めております。全役職員がこの価値観を大切にし、共有するなか、私たちが生まれ育ったこの地域で、キラリと輝く人や企業を育ててまいります。

 


 

② 第2次中期経営計画(2023年4月~2028年3月)

長期ビジョンの前半5か年を計画期間とする第2次中期経営計画を「1st stage」とし、10年後のなりたい姿からバックキャストで描いた「トランスフォーメーション戦略」「ヒューマンイノベーション戦略」「マーケットインアプローチ戦略」「地域プロデュース戦略」の4つの基本戦略を全社的な取組みとして推進していくことで長期ビジョンの実現を目指してまいります。

 


 

〔長期ビジョン実現に向けた変革〕

長期ビジョンを実現させるためには、従来からの既成概念に捉われず、新たな発想でトランスフォーメーションを巻き起こしていく必要があり、『C~E』のXを軸とする7つのトランスフォーメーションにより、サステナビリティを実現させてまいります。

 


 

 

(3) 目標とする経営指標

① 長期ビジョン:2023年4月~2033年3月(10年間)

当社は、長期ビジョンの実現に向けて、社会課題の解決と、企業としての持続的な成長や企業価値向上を両立していく方針であります。

付加価値の向上や効率化の推進により、預貸金や為替といったコアビジネスの真価を発揮しつつ、事業領域の拡大や新規事業への挑戦により、総合金融サービス機能をフル活用するなかで、成長分野での収益拡大を目指してまいります。


② 第2次中期経営計画:2023年4月~2028年3月(5年間)

長期ビジョンの前半5か年を計画期間とする第2次中期経営計画におきましては、「総合金融サービスグループ」として、グループシナジーを最大限に発揮するなか、収益性・効率性・健全性の向上をはかり、着実な利益成長と強固な財務基盤を目指してまいります。


③ 第2次中期経営計画の達成状況

第2次中期経営計画の2年目である2024年度におきましては、連結当期純利益について、2027年度の200億円以上の目標に対し208億円、連結ROEについて、5%以上の目標に対し4.81%、連結修正OHRについて、50%台の目標に対し58.17%、連結自己資本比率について、11%以上の目標に対して11.23%の実績となりました。

4つの基本戦略のもと、グループの収益性・効率性・健全性は向上しており、第2次中期経営計画は順調に進捗しております。

<計数目標2027年度>

項 目

目 標

2024年度実績

連結当期純利益

200億円以上

208億円

連結ROE

5%以上

4.81%

連結修正OHR

50%台

58.17%

連結自己資本比率

11%以上

11.23%

 

 

(4) 対処すべき課題

雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、国内景気は緩やかな回復基調が続くと見込まれております。一方で、継続的な物価上昇や深刻な人手不足により、先行きには依然として不透明感が漂っております。また、米国の通商政策をめぐる動きが世界経済に急激な変化をもたらし、不確実性を一層高める要因となっております。

加えて、地域経済は、人口減少や超高齢社会の進展と産業構造の変化や事業承継・後継者問題を背景とする企業数の減少により、将来的な市場規模の縮小が懸念されております。

こうした環境のなか、当社グループは、2023年4月からグループ経営の羅針盤となる「長期ビジョン」(10年間)と、長期ビジョンの前半5か年を計画期間とする「第2次中期経営計画」をスタートさせております。

長期ビジョンのテーマは、「一歩先を行き、いつも地域の力になる」としており、いかなる環境変化にも備えられるよう変革を進めてまいりました。「異業種との連携」や「新会社の設立」により築き上げてきた幅広い事業領域を強みとして、地域にとって大切なテーマでお客さまの一歩先を行き、地域でリーダーシップを発揮していける存在を目指しております。

 

創立150周年の節目である2027年10月まで残り3年余りとなりました。この3年間で「ホップ・ステップ・ジャンプ!」する成長イメージを描き、大きな飛躍を実現してまいります。そして、2025年度は、力強い第一歩「ホップ」を踏み出します。グループ一丸となって、全社員が力強い一歩を踏み出すチャレンジングな1年としてまいります。

新時代を拓く「地域総合金融サービスグループ」へと進化するために、当社グループは、グループ経営理念に掲げる、「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」を果たしつつ、企業価値の向上をはかることで、お客さま、株主のみなさまをはじめとする全てのステークホルダーの方々のご期待にお応えしてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1) サステナビリティ

当社グループでは、サステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針として「サステナビリティ方針」を策定しています。

 

「サステナビリティ方針」

十六フィナンシャルグループは、サステナビリティへの取組みを重要な経営課題と認識しています。気候変動をはじめとするさまざまな社会課題の解決に本業である「地域総合金融サービス業」を通じて取り組み、グループ経営理念である「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

(※)サステナビリティの定義:お客さま・地域の成長と豊かさを実現できる社会を創り、将来の世代に引き継ぐこと

 

 

また、「サステナビリティ方針」のもと、環境、社会、ガバナンスの分野における行動指針として、各種方針を定めています。

 

サステナビリティに関する主な方針


 

① ガバナンス

当社グループでは、「サステナビリティ方針」で公表しているとおり、サステナビリティへの取組みを重要な経営課題と認識しています。また、「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、「地域経済の活性化」「地域社会の持続的発展」「環境保全と気候変動対策」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの高度化」を重点課題(マテリアリティ)としています。

この課題に適切に対応するため、取締役社長を議長とし、グループ経営会議の構成員、統括部長、サステナビリティ統括室長等により構成される「サステナビリティ会議」を設置しています。同会議は、原則として3か月に1回以上開催し、気候変動を含むサステナビリティに関する取組方針の策定、目標の設定及び取組状況の確認といった重要事項について審議しており、その結果を経営戦略やリスク管理に反映しています。また、同会議における審議事項については、取締役会へ3か月に1回以上定期的に報告し、適切に監督される体制を整備しています。

さらに、サステナビリティ会議の下部組織として、「サステナブルビジネス」「環境活動」「D&I」「気候変動・生物多様性」を所管する4つのワーキンググループを設置しています。各ワーキンググループは、担当常務役員を含む、グループ各社の組織横断的なメンバーで構成されており、原則として毎月1回以上開催し、それぞれが所管する事項について審議した結果を、サステナビリティ統括室に報告しています。

サステナビリティに関するガバナンス体制

 


 

 

② 戦略

多様化・複雑化する環境・社会課題を解決し、「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に貢献することが、金融機関としての大きな役割であり、当社グループにとっての重要な戦略となります。

「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、当社グループの経営理念、事業内容、地域特性等を考慮し、5つの重点課題(マテリアリティ)を設定しています。また、これらの重点課題に取り組むため、ビジネス、マネジメントの両面から特に注力すべき取組施策を定め、当社グループ全体で取り組んでいます。

 


 

 

 

③ リスク管理

当社グループは、サステナビリティ関連の機会とリスクを、ビジネス、環境、D&Iなどの観点から認識し、サステナビリティ会議にて審議しています。サステナビリティ関連のリスクを低減しつつ、ビジネス機会を創出することで、当社グループの企業価値向上に努めています。

また、当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定します。2025年3月の取締役会においては、「気候変動に関するリスク」「自然災害リスク」を含む10のトップリスクを選定しています。気候変動に関するリスク管理については、「(2)気候変動 ③リスク管理」において後述します。

④ 指標と目標

当社グループは、サステナビリティへの取組みを一層強化していくために、5つの重点課題(マテリアリティ)に対して、10項目の「サステナビリティKPI」を設定しています。「サステナビリティKPI」の進捗状況については、サステナビリティ会議にてモニタリングし、その結果を取組みに反映しています。

 


 

 

(2) 気候変動

気候変動に伴う自然災害や異常気象は経済活動に様々な影響を及ぼし、取引先が実施する気候変動対策は取引先の企業価値を左右する重要な要素となるとともに、その対応次第では当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたなか、当社グループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、同提言が開示を推奨する枠組みに基づく情報開示に取り組んでいます。

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。

② 戦略

(気候変動に伴う機会とリスク)

当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、グリーンファイナンス、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。

 

評価項目

主な機会やリスク

時間軸

 

製品・サービス

お客さまの脱炭素社会への移行を支援する投融資やコンサルティング提供等、ビジネス機会の増加

短期~長期

市場

災害対策のための公共事業やお客さまの設備投資に伴う資金需要の増加

中期~長期

資源効率

・省資源、省エネルギー化、新技術の活用による事業コストの低下

・リサイクル等を通じた資源効率の向上による調達コストの低下

短期~長期

短期~長期

評判

・地域のレジリエンス強化に向けた、防災・減災に関する地公体等との協力体制構築の増加

・気候変動に関する適切な取組みと開示による企業価値の向上

短期~長期

 

短期~長期

 

 

物理的

リスク

急性

・異常気象の増加・深刻化に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

・当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断

短期~長期

 

短期~長期

慢性

・降水や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

中期~長期

移行

リスク

政策・法律

・気候変動に関する政策、規制強化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

市場

・消費者行動の変化、原材料コストの上昇などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

・脱炭素社会への移行に伴う既存事業モデルの陳腐化による企業価値の低下

中期~長期

 

中期~長期

 

技術

・低炭素技術への投資の失敗、移行コストなどに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

評判

・気候変動への適切な取組みや開示が他社比劣後することによる企業価値の低下

短期~長期

 

※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度

 

 

(気候変動に伴うビジネス機会への対応)

脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。

 

◇環境課題解決へのファイナンス

お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。

 

 <グリーンローン・グリーン私募債>

再生可能エネルギー発電設備の導入や省エネ性能の高い機器への切替えなど、資金使途を環境課題の解決に資する資金に限定した融資商品です。外部機関からセカンドオピニオンを取得するスキームにより、社会や利害関係者に向けて、自社の環境への取組姿勢を発信することができます。

 <サステナビリティ・リンク・ローン>

SDGs・ESGに関する事業挑戦目標であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成度合いに応じて金利などの貸出条件を優遇する融資商品です。パリ協定が求める水準と整合する温室効果ガス排出量削減目標の設定などにより、お客さまの脱炭素経営への取組みを支援します。

 <ポジティブインパクトファイナンス>

企業活動が、環境・社会・経済のいずれかの側面に与える影響を包括的に分析・評価し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資するKPIを設定する融資商品です。KPI達成状況のモニタリングを通じて、お客さまの取組みを継続的に支援します。

 

 

◇地域企業の脱炭素化支援

お客さまの脱炭素経営を支援するため、各種コンサルティングサービスを順次開発し、ラインナップを充実させています。

GHG排出量の可視化、削減目標の設定を実施する脱炭素コンサルティングは、2021年8月の取扱開始以降、352社に提供しています。また、そのうち6割以上の企業が当社グループのサポートにより、中小企業版SBTの認定を取得しています。

 

取扱開始

サービス内容

取扱件数(件)

2021

年度

2022

年度

2023

年度

2024

年度

合計

2021年8月

脱炭素コンサルティング

47

91

79

135

352

2021年8月

中小企業版SBT認定取得支援

43

109

76

230

2023年2月

脱炭素経営移行計画レビュー

2023年8月

温室効果ガス排出量マネジメントシステム

161

125

286

2024年3月

カーボン・オフセット認証取得支援

 

 

 

(気候変動に伴うリスクの事例)

当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。

リスクカテゴリー

定義

物理的リスクの

事例

 

移行リスクの

事例

 

時間軸

時間軸

信用リスク

お客さまの財務状況の悪化等により、オフ・バランス資産を含めた資産の価値が減少ないし消失し損失を被るリスク

大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下

短期~長期

気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下

中期~長期

市場リスク

金利、為替及び株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産及び負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し損失を被るリスク並びに資産及び負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク

大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落

短期~長期

気候変動に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落

短期~長期

流動性リスク

運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク

大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生で被災したお客さまの資金需要発生による預金流出

短期~長期

気候変動リスクへの対応の遅れに伴う当社グループの信用悪化による資金調達環境悪化及び預金流出

短期~長期

オペレーショナル
・リスク

業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク

当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断

短期~長期

気候変動への不適切な対応等に伴う罰金、訴訟による損失

短期~長期

 

 

(シナリオ分析)

気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。

◇物理的リスク

雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。

物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約66億円の増加が見込まれるという結果となりました。

◇移行リスク

与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。

 

移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)」「NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約22億円の増加が見込まれるという結果となりました。

 

物理的リスク

移行リスク

シナリオ

IPCC/RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

IPCC/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)

IEA/NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)

リスク事象

大規模水害

脱炭素社会への移行

分析対象

岐阜県・愛知県内の貸出先

岐阜県・愛知県内の不動産(建物)担保

(保証付住宅ローンは除く)

電力セクター

自動車セクター

分析内容

お客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化

当社グループの不動産(建物)担保の毀損

お客さまの費用増加や売上高減少に伴う業績悪化

分析期間

2050年まで

2050年まで

分析結果

与信関係費用増加額 最大約66億円

与信関係費用増加額 累計約22億円

 

※ IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル

※ IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関

 

分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。

 

(炭素関連資産)

2025年3月末の株式会社十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。

セクター

貸出残高 (百万円)

割合

エネルギー

75,144

1.5%

運輸

160,452

3.1%

素材・建築物

964,533

18.9%

農業・食料・林産物

80,295

1.6%

合計

1,280,424

25.1%

 

※ 貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計

※ エネルギーセクターは、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く

 

③ リスク管理

(リスクの特定・評価プロセス)

当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定します。2025年3月の取締役会においては、「気候変動に関するリスク」「自然災害リスク」を含む10のトップリスクを選定しています。異常気象・自然災害の増加や、気候変動対策における国際的機運の高まりを踏まえてふまえて選定したものであり、これらのリスクへの対応の遅れ等による貸出先の業績悪化やビジネスモデルの陳腐化をリスクシナリオとした予兆管理やリスクコントロール策を講じています。

(リスクの管理プロセス)

当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みを整備しており、グループ全体の金融リスクを「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」に分類のうえ、管理しています。気候変動リスクや自然災害リスクについては、金融リスクのリスクドライバーであるとの考えのもと、信用リスクやオペレーショナル・リスクなどのリスク管理の枠組みで管理しています。

また、収益、リスク、資本を有機的に結合し、一体管理を通じて企業価値の向上を目指す観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。気候変動リスク、自然災害リスクについては、モニタリング指標を「サステナブルファイナンス年間実行額」と定め、持続可能な社会の実現に向けた取組みについて、適切な管理に努めています。

 

(投融資方針の策定)

当社グループでは、「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」を定めています。気候変動リスクの低減や生物多様性の保全など環境・社会的課題に向けポジティブな影響を及ぼす取組みへの投融資に積極的に取り組む一方で、重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資は禁止または慎重に対応することを定めています。また、気候変動、生物多様性・自然資本の損失、人権課題には相互関係があり、これらの課題に対して統合的に取組みを進めるべきであると認識しています。

◇基本方針

十六フィナンシャルグループ(当社及び連結子会社により構成される企業グループをいう。)は、環境・社会的課題解決に向けた取組みを、投融資業務を通じて積極的に支援することにより、お客さまの中長期的な企業価値向上や持続的成長に寄与するよう努めます。

一方、環境・社会に対する重大なリスクまたは負の影響を与える可能性のある投融資については、慎重に判断することで、その影響を低減・回避するよう努めます。

 

 

1 環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす投融資

環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす、以下の投融資については積極的に取り組みます。

(1) 再生可能エネルギーや省エネルギーなど気候変動リスクの低減に資する取組み

(2) 水資源や森林資源の保護など生物多様性の保全に資する取組み

(3) 創業、イノベーション創出、事業承継など地域経済の持続的発展に資する取組み

(4) 高齢化、少子化等の課題に対応する医療、福祉、教育の充実に資する取組み

 

2 環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資

環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性がある投融資については以下の方針とします。

 

(1) セクター横断的に禁止する投融資

児童労働や強制労働、人身売買等の人権侵害への直接的または間接的な関与が認められる企業に対する投融資等は行いません。

「ワシントン条約」に違反する事業、「ラムサール条約指定湿地」や「ユネスコ指定世界遺産」へ負の影響を与える事業に対する投融資等は行いません。

 

 

(2) 特定セクターに対する取組方針

石炭火力発電

石炭火力発電は、他の発電方式と比べ温室効果ガスの排出量や有害物質の排出量が多いといわれており、気候変動や大気汚染等、環境に重大な負の影響を及ぼす可能性があります。

石炭火力発電所の新設及び既存発電設備の拡張を資金使途とする投融資等は行いません。ただし、災害時対応や日本政府のエネルギー政策に沿った案件等を例外的に検討する場合は、慎重に対応します。

石炭採掘

石炭採掘事業に対する投融資等については、採掘現場の運営等が適切に管理されない場合、炭鉱事故による労働災害の発生や有害廃棄物による地域住民・社会、生態系へ負の影響を及ぼす可能性があることから、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

石油・ガス採掘、

石油・ガスパイプライン敷設

石油・ガス採掘事業、石油・ガスパイプライン敷設に対する投融資等については、石油・ガス採掘、石油・ガスパイプライン敷設が、流出事故による海洋・河川の汚染、地域住民・社会、生態系へ負の影響を及ぼす可能性があることから、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

大規模水力発電

新規の大規模水力発電事業(出力30MW以上かつダム壁の高さが15メートル以上)に対する投融資については、水力発電がダム建設に伴い生態系に負の影響を与える可能性があることや、住民移転が地域社会に負の影響を与える可能性があることから、お客さまが行う環境や社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

非人道的兵器製造

クラスター弾、対人地雷、生物・化学兵器の非人道性を踏まえ、資金使途にかかわらず、こうした兵器を製造する企業に対する投融資等は行いません。

パーム油農園開発

パーム油が、日常生活に欠かせない製品に使用されている原料である一方で、パーム油農園の開発において、気候変動や地域住民・社会、生態系へ負の影響や、違法伐採や児童労働などの人権侵害が行われている可能性があります。

パーム油農園開発に対する投融資等については、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

森林伐採

大規模な森林破壊は気候変動や地域住民・社会、生態系へ重大な負の影響を及ぼす可能性があります。

大規模な森林伐採や違法な森林伐採、焼却が行われている事業に対して投融資等を行いません。また、森林伐採を伴う資金使途に対する投融資等については、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

 

 

 

④ 指標と目標

(GHG排出量実績)

当社グループでは、自社のGHG排出量(Scope1,2)に加え、サプライチェーンにおける排出量(Scope3)についても算定しています。

 

2024年度 GHG排出量実績(速報値)

算定項目

GHG排出量(t-CO2)

Scope1

直接排出

1,301

Scope2

間接排出

1,685

Scope1,2の合計

 

2,986

Scope3

カテゴリ1

購入した製品・サービス

14,454

カテゴリ2

資本財

6,251

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,338

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

1,833

カテゴリ5

事業活動から出る廃棄物

74

カテゴリ6

出張

174

カテゴリ7

雇用者の通勤

2,441

カテゴリ13

リース資産(下流)

457

カテゴリ15

投融資 ※

11,443,416

Scope3の合計

 

11,470,438

 

※ Scope3カテゴリ15投融資の内訳は、後述の「(投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)の削減目標と実績)」に記載

 

(当社グループのGHG排出量(Scope1,2)の削減目標と実績)

当社グループのエネルギー使用に伴って発生するGHG排出量(Scope1,2)について、2030年度までにカーボンニュートラルを達成することを目標とし、脱炭素社会の実現に向けて取り組みます。

Scope1,2の目標

2030年度までにカーボンニュートラルを達成する。

 

 

当社グループのGHG排出量(Scope1,2)

 


 

2024年度のGHG排出量は、2013年度比77.2%の削減となりました。店舗照明のLED化や高性能な空調設備への更新などの省エネ施策を実施したほか、CO2フリー電気の導入を拡大し、再エネ比率の向上にも努めました。CO2フリー電気は、2021年11月より株式会社十六銀行本店ビル、2023年10月より同行電算センター・事務センタービル、2024年6月より同行岐阜県87店舗等に導入しています。また、環境価値の地産地消を目的に、岐阜県内の水力発電により創出されたFIT非化石証書3,000MWhを購入し、1,263t-CO2をオフセットしました。引き続き、CO2フリー電気の導入拡大や環境配慮型店舗の導入、営業車両のHV・EV化等を検討のうえ、GHG排出量削減に向けて取り組みます。

なお、2021年度から2023年度までの実績については、数値の信頼性を確保するため、独立した第三者の保証を取得しています。

 

 

(投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)の削減目標と実績)

金融機関のGHG排出量においては、投融資を通じた間接的な排出(Scope3カテゴリ15)が大きな割合を占めるため、これらの算定、モニタリング、削減への取組みを進めることが重要となります。当社グループでは、PCAFスタンダードの算定手法を活用し、保有有価証券(国内上場株式・社債)及び事業性融資(国内法人向け融資)を対象として投融資先のGHG排出量を算定しています。引き続き算定対象範囲の拡大や算定精度の向上に努めるとともに、算定結果を活用して投融資先の脱炭素に向けた取組みを支援し、投融資先のGHG排出量について2050年度までにカーボンニュートラルを達成することを目指します。

なお、PCAF算定基準の変更や投融資先のGHG排出量の開示拡大等により、今後の算定結果が大きく変化する可能性があります。

Scope3カテゴリ15の目標

2050年度までにカーボンニュートラルを達成する。

 

 

投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)(速報値)

(t-CO2)

セクタ―

上場株式・社債

事業性融資

合計

Scope1+2

Scope3

Scope1+2

Scope3

Scope1+2

Scope3

石油・ガス

997

92,423

376,609

147,157

377,606

239,580

電力・ユーティリティ

292,188

297,003

182,301

377,876

474,489

674,879

空運

0

0

3,916

1,007

3,916

1,007

海運

3,749

1,129

819

982

4,568

2,111

陸運

2,746

5,553

292,364

138,328

295,110

143,881

自動車

4,619

314,061

31,470

256,821

36,089

570,882

金属・鉱業

8,205

12,551

252,565

176,430

260,770

188,981

化学

9,459

21,058

463,133

425,571

472,592

446,629

建築資材・資本財

10,188

442,609

257,534

1,729,493

267,722

2,172,102

不動産管理・開発

119

1,582

4,478

49,661

4,597

51,243

飲料・食品

6,814

17,070

890,238

385,495

897,052

402,565

農業

77

1,428

46,274

29,354

46,351

30,782

製紙・林業

221

1,288

53,061

95,707

53,282

96,995

その他

37,843

227,067

714,692

2,248,033

752,535

2,475,100

合計

377,225

1,434,822

3,569,454

6,061,915

3,946,679

7,496,737

データクオリティスコア

1.7

1.8

3.4

3.5

カバー率

90.3%

98.5%

 

 

対象アセット

上場株式・社債、事業性融資(国内法人向け融資)

 

*財務データ不足先は除く

算定方法

GHG排出量=Σ(各投融資先の排出量×当社グループの投融資の寄与度)

 

*各投融資先の排出量は企業開示データ等を使用。データが取得できない場合は、PCAFデータベースから引用した売上高あたりの先進国・セクター別の排出係数を用いて推計

 

*寄与度=当社グループの投融資残高/投融資先の資金調達総額

基準年度

2024年度

 

*投融資残高 : 2025年3月末時点の残高
*投融資先の財務データ : 2025年3月末時点で当社グループが保有する最新の決算期データ

 

 

(サステナブルファイナンス実行額目標)

当社グループでは、お客さまの環境課題の解決に向けた取組みを本業を通じて支援し、脱炭素社会の実現に貢献するため、サステナブルファイナンスの実行額について以下の目標を設定しています。

 

 2030年度目標額(9年間累積)

2024年度までの実行額

進捗率

サステナブルファイナンス実行額

2兆円

6,851億円

34.2%

 

うち環境分野

8,000億円

2,547億円

31.8%

 

※サステナブルファイナンス:持続可能な社会の実現に資するSDGs・ESGへの取組みに向けた投融資等

※環境分野:環境への負荷を軽減する取組みに向けた投融資等

 

 

(3) 人的資本

① ガバナンス

人材の採用や育成及び人員配置など、人的資本経営にかかる各種施策については、取締役社長を議長とし、取締役副社長、取締役専務執行役員及び取締役常務執行役員を構成員とするグループ経営会議での審議を経て決定しております。

 

② 戦略

当社グループは、グループ経営理念において、私たちの価値観(value)のひとつとして「多様性と受容(Diversity & Inclusion)」を掲げております。これを受け、2023年度から2027年度を計画期間とする第2次中期経営計画では「ヒューマンイノベーション戦略」を掲げ、長期ビジョンである「一歩先を行き、いつも地域の力になる」の実現を目指し、以下の方針のもと、人材の価値を最大限に引き出すとともに、役職員一人ひとりが自立的に活躍できる組織環境を整備しております。

 

●人材育成方針

当社グループでは、お客さまや地域の成長と豊かさ、サステナビリティ、長期ビジョン「一歩先を行き、いつも地域の力になる」の実現のため、能力を最大限に発揮し、お客さまとの信頼関係を構築でき、グループの各種戦略を積極的にチャレンジできる人材の育成に努めてまいります。

 


 

 

●社内環境整備方針

当社グループでは、グループ経営で最も重要な人材の育成を中心に、役職員のモチベーションアップやスキル向上に資する取組みを実行し、役職員一人ひとりが自立的に活躍できる組織環境を整備してまいります。

 


 

●経営戦略と人事戦略の融合

<長期ビジョンの実現に向けた人材戦略>

グループ経営理念の追求及び長期ビジョンへの到達には、職員一人ひとりがサステナビリティ方針や第2次中期経営計画において展開される戦略及び施策に対応できるスキルの定着を目指すとともに、その職員一人ひとりの成長に向けて適切に環境を整備し提供していくことで、人材の価値の最大化をはかっていく必要があります。

IT・DXについては、情報処理安全確保支援士や応用情報技術者試験、基本情報技術者試験などの上位デジタル資格・試験の合格者及びITデジタル関連業務の6か月以上経験者を「IT・DX人材」と定義し、戦略を支える人材ポートフォリオとして、2030年度末に300名の目標を掲げて育成しております。(2024年度末現在238名)

また、地域企業の脱炭素経営を支援するため、炭素会計アドバイザー資格3級の合格者数を2025年度末に600名とする目標を掲げ、2024年度末において417名が合格し、カーボンニュートラルナビゲーター(脱炭素経営コンサルティング)の契約件数352件(2024年度末までの累計)に繋げております。

このほか、地域企業の経営承継の課題解決に貢献するための知識習得として、2024年度末において金融業務2級 事業承継・M&Aコースに1,198名が合格しております。経営承継・M&A分野にて、より高度な専門性を有する職員の育成に取り組むことで、2023年7月に株式会社日本M&Aセンターホールディングスとの合弁会社として設立したNOBUNAGAサクセション株式会社とともに、経営承継コンサルティング件数の増加に繋げております。

<重要ポジション人材の育成と登用>

2023年度より導入した「エキスパート制度」には、2024年度中に23名の応募があり、新たに10名をエキスパートに任命しております。エキスパートに任命した職員は22名となり、本人の同意なく他部署への異動を行わず、専門性を重視した評価を行うことで、経営戦略の実現を担う重要ポスト人材の育成をはかっております。

 

 

●チャレンジングな組織風土の醸成

<グループ全体における人的リソースの最適化>

2023年4月に株式会社十六銀行に籍を置く全職員が、持株会社である当社に転籍し、当社を起点として連結子会社への人的リソースの最適配分や、職員の個性を活かした配置を進めております。また、グループ会社間での昇進・昇格を伴うクロス人事も実施しており、人材交流を通じた新たな経験による成長とグループ連携の一層の強化を進めております。

<新人事制度の浸透>

2023年4月からは、新たな人事制度をスタートしております。職員が「マイビジョン(私のめざす姿)」を表明し、グループ経営理念と重ね合わせるなかで、実現したいこと、チャレンジしたいことをコミットする「マイビジョン・コミット」や、職員の趣味、特技、資格、地域貢献活動、仕事から離れた特性などを評価する「ダイバーシティレビュー」など、新たな評価制度を通じて、職員の自立性、独自性、独立性に基づくサステナブルな成長を促すとともに、多様性を引き出し、職員一人ひとりが地域の生活者として豊かな人生を実現することを目指しております。

<キャリア選択機会の提供>

各種業務への社内公募を行うキャリアチャレンジ制度には、2024年度は延べ86名から応募が寄せられました。職員が自身の「マイビジョン(私のめざす姿)」をイメージし、自分らしく成長できる機会を提供することで、今後も意欲的でチャレンジングな職員の成長を後押ししてまいります。

 

●適切な人的資本投資

<自立的な成長支援>

長年に亘って続いてきた金融緩和政策が歴史的転換点を迎えるなど、急速に変化する環境に柔軟に対応し、持続的な成長を目指していくためには、過去に得た知見や経験だけでは物事に対処することは困難であり、知識のアップデートや学び直し(リスキリング)など、職員一人ひとりの主体的かつ継続的な学びが重要となります。

こうしたなか、当社グループでは職員に対し、階層別・業務別に多様な研修カリキュラムを提供しております。階層別研修では、新入社員に対する入社後3か月間の研修のほか、入社後2年間を育成期間と位置づけた「新入社員基礎力養成研修」「新任役席者研修」や「新任管理職研修」、新任支店長や新任マネージャーを対象とした「マネジメント研修」を実施しております。また、業務別研修では、「融資業務研修」や「預り資産営業研修」に加え、「対話力やソリューション営業力の強化に向けた研修」を実施しております。さらに、サクセッションプランの一環として、次代を担うミドルマネージャーを育成するために当社のエグゼクティブ・アドバイザーである一條和生IMD教授を講師に招き、全29名の受講のもと「リトリート・ワークショップ2024」を開催いたしました。

これらの研修を実施した結果、2024年度の研修費用は76,966千円、研修時間(延べ)は89,066時間となりました。

また、職員の積極的な自己啓発を支援するために「自己啓発資格取得奨励金制度」を設け、指定する資格・検定試験に合格した場合に奨励金を支給しており、2024年度の「自己啓発資格取得奨励金制度」の利用件数は418件、合計奨励金額は6,098千円となりました。なお、2025年4月には、新たに4つの資格を制度の対象に加えるなど、多様なチャレンジを後押ししております。

<能力と職務に応じた給与体系と賃上げ>

2023年4月にスタートした新人事制度では、年齢ではなく、能力と職務に応じた処遇を実現する給与体系を構築いたしました。また、2025年7月には、3年連続のベースアップを実施し、定期昇給と合わせ、平均4.4%の賃上げを実施いたします。シニア層について重点的な配分を行うとともに、2026年4月には初任給を月額28万円に引き上げるなど、優秀かつ多様な人材の確保に努めております。

 

 

●人材・働き方の多様性確保

<新卒採用の強化>

優秀かつ多様な人材の確保を目的に、新卒採用活動においては、多様なバックグラウンドを持つ学生との接点を強化しております。これにより、2025年度入社につきましては、計画どおり、地域、学部、専攻分野など、多様な属性を持つ人材を2009年度以来となる150名採用いたしました。

<女性の活躍支援>

当社グループでは、職員一人ひとりが性別にかかわらず多様な活躍ができるよう、リスキリングの機会充実に努めております。また、女性管理職の育成を目指す「次世代リーダー研修」や「女性管理職向け融資業務研修」など、女性の活躍推進に向けた研修を継続的に実施しております。こうした取組みの結果、2024年度末時点の女性管理職比率は11.2%となりました。

<仕事と生活の両立支援>

当社グループでは、職員が仕事と生活の調和をはかりながら能力を十分に発揮できるよう、両立支援制度の拡充に取り組んでおります。

2023年4月より、育児短時間勤務と育児時間外勤務免除の期間を子が小学校3年生を修了するまでに拡充しました。加えて、育児短時間勤務の勤務時間を6時間または7時間とし、始業時刻から終業時刻の範囲内で柔軟な勤務を可能とした結果、2024年度の利用者数は117名となりました。このほか、職員の0歳から小学校就学前までの子供を保育する企業内保育施設「じゅうろくスマイルルーム」を2016年より運営しており、2024年度は15名の職員が利用しております。また、2017年4月に導入した配偶者出産休暇(3日間の特別休暇)の取得は社内で定着しており、2024年度の男性の育児休業取得率(7日以上)は95.4%となりました。現在は、男性職員による長期の育児関連休暇・休業の取得促進にも注力しております。

さらに、仕事と生活の両立・有給休暇取得促進のため導入されている半日年次有給休暇の活用や、休暇が取得しやすい職場づくりを通して有給休暇取得率の向上に努めており、2024年度の取得率は59.6%となりました。

<外部連携・人材交流による多様性の確保>

当社グループは、人的資本経営における多様性の確保が持続的な成長に不可欠であるとの認識のもと、多様なバックグラウンドや知見を持つ人材の活躍を推進するため、外部との連携を通じた積極的な人材交流を行っております。

具体的には、協業先であるソフトバンク株式会社からの人材受入れ(2024年度末6名)及び当社からの人材派遣(2024年度末2名)をはじめ、業務提携先である株式会社りそなホールディングス(2024年度末1名)、STATION Ai株式会社(2024年度末1名)、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社(2024年度末2名)への人材派遣を実施しております。加えて、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社、株式会社電算システムホールディングス、株式会社日本M&Aセンターホールディングスとの合弁によるグループ会社運営を通じた連携など、多様な形態での人材交流により、組織内に幅広い視点や専門性を取り込み、当社グループ全体の多様性の確保に繋げております。

<設備環境>

設備面では、職員全員に業務用スマートフォンを貸与し、場所を問わず円滑なコミュニケーションが可能となる環境を整備しております。また、2023年9月からの「Google Workspace」導入により、ファイルの共同編集、グループチャット、オンライン会議、カレンダー共有などをスムーズに行うことができる環境を整え、効率的なデジタルコミュニケーションを実現しております。さらに、2025年4月より、Google版生成AIモデルである「Gemini」の利用を開始し、より一層の業務効率化と生産性向上を推進しております。

<エンゲージメントサーベイの実施>

当社グループは、人的資本を経営の重要な基盤と位置づけ、職員のエンゲージメント向上を推進しております。その施策の一つとして、エンゲージメントサーベイを2024年7月(第1回)と2025年2月(第2回)に実施いたしました。これらのサーベイ結果に基づき、引き続き当社グループ全体の持続的な成長を支える職場環境の構築に注力していくことで、職員がより高い働きがいを実感できるよう努めてまいります。(2025年度以降は毎年1回実施予定)

実施時期

2024年7月

2025年2月

前回比

エンゲージメント総合スコア

65.8

66.4

+0.6

 

(注) 株式会社リクルートのサーベイ「Geppo」を利用し、職員エンゲージメントを調査しております。調査結果から、組織や環境、エンゲージメントに関する現状分析を行い、組織改善のための施策に繋げております。

 

③ リスク管理

当社グループでは、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるトップリスクの一つとして「人的・コンプライアンスリスク」を選定しております。

具体的には、地域総合金融サービス業として相応しい知識とコンプライアンス意識を持った人材が確保できないこと、人材の過度な流出、不適切な行為による当社グループの企業価値低下といった事象が、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響をもたらす可能性があると認識しております。

当社グループでは、人材確保のために新卒採用を中心とした採用活動に注力するとともに、人材育成や処遇の向上、多様で柔軟な働き方や社内DXの推進を通じて定着を支援しております。また、健全な企業文化を醸成するため、コンプライアンス研修の継続・徹底、倫理方針の遵守徹底、内部通報制度の周知などに努めております。

さらに、当社グループでは、グループ経営理念に掲げる「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に向けて人権の尊重が重要な経営課題であると認識し、「人権方針」を制定しております。ハラスメント行為の禁止や時間外労働の低減、役職員一人ひとりに対する人権啓発研修等の実施などを行動指針として、事業活動における人権尊重の取組みを推進しております。

 

〔人材育成の5つの柱〕

 


 

④ 指標と目標

<指標の内容並びに指標を用いた目標及び実績>

 

 

指標の内容

目標

2024年度実績

内容

時期

経営戦略と人事戦略の融合

IT・DX人材の育成(注)1

300

2030年度末

238

炭素会計アドバイザー資格3級合格者数

600

2025年度末

417

人材・働き方の多様性確保

男性の育児休業取得率(7日以上)(注)2

100

2030年度末

95.4

有給休暇取得率

80

2030年度末

59.6

女性管理職比率

20

2030年度末

11.2

エンゲージメントスコア

前年比向上

66.4

 

(注) 1 IT・DX人材とは、情報処理安全確保支援士や応用情報技術者試験、基本情報技術者試験などの上位デジタル資格・試験の合格者及びIT・デジタル関連業務の6か月以上経験者としております。

2 社内の育児目的休暇を含む育児休業等を7日以上取得した者の人数により算出しております。「第1 企業の概況」中、「5 従業員の状況」に記載の育児・介護休業法の規定に基づく「男性労働者の育児休業取得率」とは算出方法が異なるものであります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

(1) トップリスクの認識

当社グループでは、蓋然性及び影響度の観点から「今後約1年以内に、事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスク事象」をトップリスクとして選定し、あらかじめ必要な対策を講じてリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的に対応可能とする管理に努めています。

2025年3月の取締役会にて選定したトップリスクは以下のとおりです。

リスク事象

リスクシナリオ(例)

金利ある世界での競争激化

・貸出金・預金の獲得競争の激化

・預金の調達コスト上昇及び流動性リスクの増大

景気後退、金融市場混乱

・金利上昇、株価下落による有価証券評価損益の悪化

インフレ再燃、報復関税の応酬、中国不動産不況からの景気後退

政治・地政学リスク

米国を中心とする自国第一主義による世界の分断進行

ロシア・ウクライナ戦争及び中東情勢緊迫の長期化

・中台・朝鮮半島有事の勃発

サイバー攻撃・DXの急激な進展

外部委託先を含むサイバー攻撃による顧客からの信認低下

生成AIの台頭等デジタル化の進展による他業界との競争激化

反社会的勢力への対応及びマネー・ローンダリング対策の不備

・反社会的勢力との取引発生による信用失墜

・マネー・ローンダリング対策不備、外為法令等違反による行政処分・信用失墜

人的・コンプライアンスリスク

情報漏えい、横領、インサイダー取引等の不適切な行為による当社グループの企業価値低下

・グループの成長や業務継続に不可欠な人材確保難化

与信関係費用増大

インフレ再燃による原材料高、人手不足による企業業績の悪化

システム障害

システム障害による顧客からの信認低下

気候変動に関するリスク

・脱炭素対応の遅れによる当社グループの企業価値低下

・異常気象に伴う事業停止・担保価値の低下

・脱炭素化移行の遅れによる企業業績の悪化・与信関係費用増加

自然災害リスク

・大規模な地震、風水害の発生による資産の毀損・業務継続困難

 

当社グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、株主・投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、株主・投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、株主・投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(2) 外部環境等に関するリスク

自然災害の激甚化、深刻な感染症の流行やサイバー攻撃などの外的要因によるリスクへの対応としてそれぞれにリスク事案を想定した業務継続計画を策定し、重要な業務を維持すべき水準において提供し続けるために、外部環境の変化に合わせ計画内容の見直し及び初動対応訓練を適宜実施しておりますが、不測の事態が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、さらには社会的評価の低下を招く可能性があります。

業務継続計画で
想定する不測の事態

影響

大規模地震や台風等の

自然災害

・営業店等施設の損壊による業務停止、修復費用の発生

・役職員の罹災による就労困難

・株価・債券価格の下落

・取引先の倒産や延滞が増加 等

深刻な感染症の流行

・役職員の感染症罹患による就労困難

・株価・債券価格の下落

・取引先の倒産や延滞が増加 等

サイバー攻撃

・個人情報の流出による補償、信用失墜

・不正操作によるデータの改竄、資金流出

・システム障害による業務停止、それに付随した補償費用支払及び信用失墜

インターネットバンキングの不正利用による被害発生

フィッシングサイト、フィッシングメールによる被害発生 等

通信障害や外部委託先に起因するシステム運用に関する障害

・個人情報の流出による補償、信用失墜

・不正操作によるデータの改竄、資金流出

・システム障害による業務停止、それに付随した補償費用支払及び信用失墜 等

 

 

(3) 銀行業務固有のリスク

① 信用リスク

信用リスクとは、与信先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失し、当社グループが損失を被るリスクをいいます。その主な内容及び対応は以下のとおりであります。

リスクの内容

対応

(イ)不良債権の増加

当社グループは、地方公共団体、一般事業先及び個人などに対して融資並びに保証業務を行っております。これら業務については、信用リスク管理を適切に行っておりますが、国内・海外の景気動向、当社グループの営業地域における景気動向、不動産市況、取引先の経営状況及び経済環境の変動等によっては、不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があり、その結果、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・統一的な尺度であるVaR(Value at Risk)※を用いて、その値をリスク量として月次で計測し、計測したリスク量が配賦資本の範囲内に収まるようリスク管理体制を整備し業務運営を行っております。

・信用格付と業種に基づき個社別の与信限度額を設定しております。

・業種別総与信額ガイドラインにより、相対的にリスクが高い業種について総与信額上限をガイドラインとして設定しております。

 

 

※VaR計測の前提

統計手法

モンテカルロ・シミュレーション法

信頼区間

99%

保有期間

1年

測定頻度

月次

 

 

(ロ)貸倒引当金の増加

当社グループは、自己査定基準に基づき貸出金等の資産査定を行い、債務者区分に応じて必要と認める額を貸倒引当金として計上しておりますが、経済状態全般の悪化により、設定した前提及び見積りの変更、担保価値の下落、またはその他の予期せぬ理由により貸倒引当金の積み増しを余儀なくされるおそれがあり、その結果、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの経営理念、経営戦略・方針、内部管理態勢、融資方針やリスク管理等を踏まえ認識した信用リスクをより適確に反映するため、新たな見積り方法を適用した場合、貸倒引当金を積み増す可能性があります。

(ハ)貸出先の信用不安

当社グループは、取引先に債務不履行等が発生した際、法的な権利の実行によらず、私的整理による再建に経済合理性が認められると判断される場合には、取引先に対して債権放棄、または追加貸出などを行って支援を継続する場合もあり得ます。その結果、与信関係費用が増加し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ニ)担保価値の下落

当社グループは、与信の安全性を確保するために、取引先の不動産や有価証券に担保権を設定することがありますが、不動産市況の低迷や有価証券価格の下落等により、担保処分時において、当初の想定どおりに不動産もしくは有価証券を処分できない可能性があります。その結果、与信関係費用が増加し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ホ)特定の取引先等への貸出の集中

特定の取引先に与信が集中し、当該大口与信先の信用状況が悪化した場合には、与信関係費用が増加し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ヘ)特定業種への貸出の集中

業界動向の影響を受けることにより、当該業種に属する企業の財政状態が悪化した場合には、与信関係費用が増加し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ト)地域経済の動向からの影響

当社グループは岐阜県及び愛知県を主な営業基盤としています。そのため、地域経済が悪化した場合には、取引先の信用状況の悪化等により、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 市場リスク

市場リスクとは、金利、為替及び株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産及び負債の価値が変動し損失を被るリスク並びに資産及び負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスクをいいます。その主な内容及び対応は以下のとおりであります。

リスクの内容

対応

(イ)預貸金等の金利変動リスク

預金や市場からの資金調達と貸出金等による資金運用に適用される金利は、取引の契約時点、あるいは契約後の予め定められた金利更改時点の約定期間別の市場金利を基準に決定されます。したがって、株式会社十六銀行の資金調達・運用の期間毎の残高構成によっては、市場金利の変動要因が当社グループの収益にとってマイナスに作用する可能性があります。

・統一的な尺度であるVaR(Value at Risk)※を用いて、その値をリスク量として日次もしくは月次で計測し、計測したリスク量が配賦資本の範囲内に収まるよう有価証券の残高や損失額に限度額を設定しております。

・市場リスクを適切に管理するための組織体制を整備し、定期的なモニタリングを通じて業務運営を行っております。

 

※VaR計測の前提

統計手法

分散共分散法

信頼区間

99%

保有期間

金利変動
リスク

6か月

価格変動
リスク

10営業日または6か月

測定頻度

金利変動
リスク

月次

価格変動
リスク

日次

 

(ロ)有価証券の価格変動リスク

当社グループは、有価証券運用業務を行っており、金利、株価、為替の変動等により損失を被るリスクに晒されております。

リスク・シナリオ

影響

国内または海外の市場金利が上昇した場合

保有する国債をはじめとする債券ポートフォリオの価値が減少

株価が大幅に下落した場合

保有する株式ポートフォリオに減損または評価損が発生

為替が円高になった場合

外貨建資産が減価

 

上記いずれの場合も、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ)デリバティブ取引

株式会社十六銀行は取引先のニーズにお応えするほか、同行の資産・負債の金利リスク等のヘッジ、または一定の限度額範囲で収益獲得を目的としたトレーディング取引等のため、デリバティブ取引を利用しております。ただし、相場の変動あるいは取引の相手方が倒産などにより契約通りに取引を履行できなくなった場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 流動性リスク

流動性リスクとは、資金の運用と調達に絡み正常な取引を履行できないリスクをいいます。その主な内容及び対応は以下のとおりであります。

リスクの内容

対応

(イ)資金繰りリスク

運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達や手持ち有価証券の売却による資金調達を余儀なくされることにより損失を被る可能性があります

・定期的に金融危機などを想定したシナリオをもとに流動性のストレステストを実施しております。

・資金の出し手に対し、定期的に資金調達枠を確認しております。

(ロ)市場流動性リスク

市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることにより損失を被る可能性があります。

 

④ 自己資本に係るリスク
   自己資本比率規制

当社は、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められた国内基準である4%以上に維持しなければなりません。また、株式会社十六銀行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である4%以上に維持しなければなりません。これらの自己資本比率が基準である4%を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。

本項に記載した様々なリスク要因の不利益な展開に伴い自己資本が毀損した場合、自己資本比率の基準及び算定方法が変更された場合には、連結・単体の自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 業務運営に関するリスク

① オペレーショナル・リスク

オペレーショナル・リスクとは、業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象(自然災害や外部からの不正等)により損失を被るリスクをいいます。その主な内容及び対応は以下のとおりであります。

リスクの内容

対応

(イ)事務リスク

当社グループの役職員等が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより、業務もしくは風評上に悪影響を及ぼす可能性があります。

・オペレーショナル・リスクを適切に管理するための組織体制及び諸規程を整備し、統制自己評価(CSA(Control Self Assessment))により、業務に潜在するリスクを評価し、リスクの高い業務を対象に改善検討を行っております。

・システムの安定稼動の維持に努めるとともに、コンピュータシステムの事故・故障等の発生、あるいはコンピュータシステムの不正使用やサイバー攻撃その他の不正アクセス、コンピュータウイルスの感染等による異例事案が発生した場合に備えて、コンピュータシステム障害・異例時の対策に関する規程の整備やバックアップ体制の充実、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の活動等を実施しております。

 

CSIRTとは、コンピュータやネットワーク(特にインターネット)上で何らかの問題(主にセキュリティ上の問題)が起きていないかどうか監視すると共に、万が一問題が発生した場合にその原因解析や影響範囲の調査を行ったりする組織の総称をいいます。

 

 

・人材の育成や教育・研修活動を通じて法令等遵守意識の醸成に努めております。

・業務継続計画を策定し、初動対応訓練を適宜実施して備えております。

(ロ)システムリスク

当社グループは勘定系システムをはじめ、様々なコンピュータシステムに業務の多くの部分を依存しています。異例事案が生じた場合、その程度によっては、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担、その他の損失や追加負担費用が発生する可能性、当社グループの信用や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染等のリスクに対処するための対策や、厳格化する関連規制への対応には、多額のコストを要することや当社グループの事業上の制約となる可能性があり、当社グループの業務の遂行や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ)法務リスク

当社グループの役職員等の業務上における顧客に対する過失等による義務違反、不適切なビジネス慣行及びマーケット慣行から生じる損失及び損害(和解、あっせん、調停並びに仲裁等により生ずる罰金、違約金及び損害賠償金等を含む。)が発生した場合には、業務の遂行や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ニ)人的リスク

当社グループにおける人事運営上の不公平及び不公正(報酬、手当または解雇等の問題)または差別的行為(セクシャルハラスメント等)から生じる損失及び損害が発生した場合には、業務の遂行や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ホ)有形資産リスク

当社グループの店舗、事務所、電算センター等の施設は、常に地震や台風等の災害その他の事象による損害を被るリスクに晒されております。災害その他の事象から生じる土地、建物及び設備等の有形資産の毀損及び損害が発生した場合には、業務の遂行や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ヘ)風評リスク

当社グループに関するネガティブな報道やインターネット等を通じた悪質な風評の流布が発生した場合には、これらが正確な事実に基づいたものか否かにかかわらず、当社グループの経営成績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ト)外生的な事象によるリスク

「(2) 外部環境等に関するリスク」をご参照下さい。

 

② 財務に関するリスク
(イ) 税効果会計

現時点の会計基準に基づき、将来実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上しておりますが、繰延税金資産が会計上の判断または何らかの制約により減額された場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ロ) 固定資産の減損会計に関するリスク

固定資産の減損に係る会計基準または適用指針が変更された場合、あるいは保有する固定資産に損失が発生した場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ) 退職給付債務に関するリスク

退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、または実際の年金資産の時価が下落した場合には、未積立退職給付債務が増加することにより、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ その他のリスク
(イ) 情報漏洩に係るリスク

当社グループは事業活動を遂行していくうえで、顧客情報を大量に保有しているため、情報管理に関する規程及び体制の整備、役職員等一人ひとりに対する教育の徹底をはかっておりますが、当社グループの役職員等が正確な事務を怠る、あるいは不正等を起こすことにより、外部への漏洩や紛失、改竄及び災害による消失等を招いた場合には、取引先からの損害賠償請求など直接的な損害や、風評上に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ロ) 外部委託に伴うリスク

当社グループは、外部委託先が委託業務の遂行に支障をきたす事態となった場合、顧客情報の漏洩等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、外部委託する対象業務には銀行基幹システムにかかる運用・保守も含まれ、委託先のデータセンター等で何らかの障害が発生した場合には、銀行業務の運営に支障をきたし、その程度によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ) 金融犯罪に係るリスク

キャッシュカードの盗難や振り込め詐欺をはじめとする金融犯罪が多発している現状を踏まえ、当社グループは、セキュリティ強化をはかっております。しかしながら、金融犯罪の高度化等により、被害を受けた取引先への補償や、未然防止対策に係る費用が必要となる場合には、当社グループの経費負担が増大し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ニ) 重要な訴訟事件等の発生に係るリスク

現在特に記載すべき事項はありませんが、今後の事業活動の過程で訴訟等を提起される可能性があります。

(ホ) 格付低下のリスク

当社及び株式会社十六銀行は外部格付機関から格付を取得しておりますが、仮に格付が引き下げられた場合には、当社グループの資本及び資金調達における条件が悪化し、収益性の低下から経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(へ) 規制変更に関するリスク

当社グループは、現時点での規制(法律、政策、実務慣行を含む)に従って業務を遂行しておりますが、将来におけるこれらの規制の新設・変更・廃止によって生じる事態が、業務の遂行、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ト) 持株会社の収益構造に関するリスク

当社は銀行持株会社であり、当社の収入の大部分は子会社である株式会社十六銀行から受領する配当金等に依存しております。一定の状況下では、様々な規制上または契約上の制限により、この金額が制限される場合があります。また、株式会社十六銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当金等を支払えない等の状況が生じた場合には、当社は株主に対する配当の支払いができない可能性があります。

(5) その他の重要なリスク

① ビジネス戦略が奏功しないリスク

当社グループは、経営計画に基づく様々なビジネス戦略を実施しておりますが、各種施策は必ずしも奏功するとは限らず、以下のような要因が生じた場合など、当初想定した成果をもたらさない場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

日本銀行の政策金利引き上げ等に伴う預金の調達コストの上昇により、貸出における利鞘が改善しないこと

・手数料収入が想定とかい離すること

・効率化等各種変革の効果が想定とかい離すること

・出資・資本提携等の効果が想定とかい離し、のれん等の無形固定資産の価値が毀損すること

② 競争に関するリスク

当社グループは岐阜県及び愛知県を主な営業基盤としていますが、当該営業基盤における他金融機関との競争に加え、金融制度の大幅な規制緩和等により、AIやブロックチェーン等のデジタル技術の進展をもとにした他業種からの金融業界への参入が相次いでおり、競争が一段と激化してきております。その結果、当社グループの競争力が相対的に低下し、業務の遂行及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 業務範囲の拡大に伴うリスク

当社グループは、地域金融機関を取り巻く環境の変化に対応するため、2021年10月1日に持株会社体制へ移行し、規制緩和に対応した新規事業への参入など、事業領域を拡大することで、経営成績の維持、向上に取り組んでおりますが、新たな事業領域におけるリスクが、想定を上回る、または想定していなかったものであった場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

〔財政状態及び経営成績の状況〕

当連結会計年度のわが国経済は、マイナス金利の解除や物価上昇などデフレからの脱却を実現しつつ、緩やかな回復基調を維持しました。企業部門においては、価格転嫁の進展などにより収益が堅調に推移し、脱炭素化や自動化・DX化への設備投資が幅広い分野で進みました。鉱工業生産は弱含みの業種がみられたものの、インバウンド需要は好調を維持しました。家計部門においては、高水準の賃上げが継続し、雇用・所得環境が改善するなかで、個人消費も底堅く推移しました。海外では、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化などの地政学リスクが引き続き意識されていますが、世界経済は、インフレの沈静化とそれに伴う金融緩和期待が高まるなかで推移しました。また、日本銀行の政策変更と米国の金利動向を背景に、夏場に1ドル160円を超えた為替相場はその後一転急速な円高に転じ、年末にかけては再び円安方向へ向かうなど激しい乱高下を見せました。

一方で2024年7月には、日経平均株価がバブル後の最高値を更新したことに加え、年末の終値も過去最高値を更新しました。直近では、2025年1月に就任した米国トランプ大統領の保護主義的な政策により、世界経済の不確実性が高まっています。日本銀行が2024年3月にマイナス金利政策を終了し、段階的に政策金利を引き上げるなど、日本は長らく続いた超低金利の状況から脱し、「金利のある世界」へ回帰しつつあります。

当社グループの主要な営業基盤である岐阜・愛知両県におきましても、大手自動車メーカーの一部車種の生産停止があったものの、設備投資は堅調に推移し、輸送用機械を中心に生産や輸出が増加しました。さらに、インバウンド需要の増加により、飲食や観光などのサービス業が復調するなど、地域経済全体としては緩やかな回復が続きました。

こうした状況のなか、当連結会計年度の連結業績は、次のとおりとなりました。

 

<財政状態>

当連結会計年度末の連結財政状態につきましては、総資産は前連結会計年度末比599億97百万円増加7兆5,954億77百万円となり、負債は前連結会計年度末比879億11百万円増加7兆1,719億27百万円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比279億14百万円減少4,235億50百万円となりました。

主要な勘定残高につきましては、預金等(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比338億64百万円減少6兆3,678億70百万円、貸出金は前連結会計年度末比1,655億33百万円増加5兆39億47百万円、有価証券は前連結会計年度末比1,662億83百万円減少1兆3,070億46百万円となりました。

 

<経営成績>

当連結会計年度の連結経営成績につきましては、経常収益は、資金運用収益および株式等売却益が増加したことなどから、前連結会計年度比74億66百万円増加の1,363億1百万円、経常費用は、資金調達費用が増加したことなどから、前連結会計年度比41億35百万円増加の1,050億62百万円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度比33億30百万円増加の312億38百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比15億22百万円増加の208億40百万円となりました。

報告セグメントの損益状況につきましては、銀行業におきましては、経常収益は前連結会計年度比56億19百万円増加の1,008億92百万円、経常費用は前連結会計年度比33億10百万円増加の720億54百万円となり、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比23億8百万円増加の288億37百万円となりました。

リース業におきましては、経常収益は前連結会計年度比10億96百万円増加の284億44百万円、経常費用は前連結会計年度比7億48百万円増加の276億36百万円となり、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比3億47百万円増加の8億7百万円となりました。

金融商品取引業、クレジットカード業等のその他におきましては、経常収益は前連結会計年度比28億28百万円増加の181億34百万円、経常費用は前連結会計年度比4億9百万円増加の94億28百万円となり、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比24億19百万円増加の87億6百万円となりました。

 

〔キャッシュ・フローの状況〕

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の増加などにより28億76百万円の収入(前連結会計年度は1,567億68百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却などにより1,078億34百万円の収入(前連結会計年度は706億57百万円の収入)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより89億12百万円の支出(前連結会計年度は65億43百万円の支出)となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、当連結会計年度中に1,017億97百万円増加1兆700億66百万円となりました。

 

① 国内・国際業務部門別収支

資金運用収支は前連結会計年度比15億22百万円増加544億16百万円、役務取引等収支は前連結会計年度比10億80百万円減少175億11百万円、その他業務収支は前連結会計年度比17億19百万円増加△106億74百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

49,143

3,750

52,894

当連結会計年度

50,934

3,481

54,416

うち資金運用収益

前連結会計年度

49,318

10,191

59,510

当連結会計年度

55,155

8,732

△30

63,857

うち資金調達費用

前連結会計年度

175

6,441

6,616

当連結会計年度

4,220

5,250

△30

9,441

信託報酬

前連結会計年度

3

3

当連結会計年度

2

2

役務取引等収支

前連結会計年度

18,220

371

18,591

当連結会計年度

17,128

382

17,511

うち役務取引等収益

前連結会計年度

24,198

528

24,727

当連結会計年度

23,575

535

24,110

うち役務取引等費用

前連結会計年度

5,978

157

6,135

当連結会計年度

6,446

152

6,599

その他業務収支

前連結会計年度

△787

△11,606

△12,393

当連結会計年度

△12,735

2,060

△10,674

うちその他業務収益

前連結会計年度

28,214

2,088

30,303

当連結会計年度

28,587

2,539

△6

31,119

うちその他業務費用

前連結会計年度

29,001

13,694

42,696

当連結会計年度

41,322

478

△6

41,794

 

(注) 1 「国内業務部門」とは、当社及び連結子会社の円建取引であります。

「国際業務部門」とは、連結子会社の外貨建取引(含むユーロ円建取引)であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門との間における取引額等であります。

3 国内業務部門の資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

 

 

② 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

資金運用勘定の平均残高は前連結会計年度比4,066億56百万円増加の7兆1,105億98百万円となり、資金運用利回りは前連結会計年度比0.01ポイント上昇の0.89%となりました。資金調達勘定の平均残高は前連結会計年度比215億63百万円増加の6兆9,903億85百万円となり、資金調達利回りは前連結会計年度比0.04ポイント上昇の0.13%となりました。

(イ) 国内業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

6,563,013

49,318

0.75

当連結会計年度

6,992,130

55,155

0.78

うち貸出金

前連結会計年度

4,707,343

38,244

0.81

当連結会計年度

4,882,102

41,816

0.85

うち商品有価証券

前連結会計年度

98

0

0.47

当連結会計年度

30

0

0.22

うち有価証券

前連結会計年度

1,237,537

10,218

0.82

当連結会計年度

1,206,874

10,983

0.91

うちコールローン及び
  買入手形

前連結会計年度

34,710

6

0.01

当連結会計年度

360

1

0.53

うち預け金

前連結会計年度

500,423

773

0.15

当連結会計年度

842,582

2,258

0.26

資金調達勘定

前連結会計年度

6,827,500

175

0.00

当連結会計年度

6,869,459

4,220

0.06

うち預金

前連結会計年度

6,279,770

133

0.00

当連結会計年度

6,346,086

3,567

0.05

うち譲渡性預金

前連結会計年度

13,000

2

0.01

当連結会計年度

13,000

9

0.07

うちコールマネー及び
  売渡手形

前連結会計年度

93,335

△34

△0.03

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
  受入担保金

前連結会計年度

114,403

11

0.01

当連結会計年度

122,553

276

0.22

うち借用金

前連結会計年度

333,831

49

0.01

当連結会計年度

394,570

356

0.09

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当社及び株式会社十六銀行以外の連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内業務部門」とは、当社及び連結子会社の円建取引であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度439,287百万円、当連結会計年度63,061百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,000百万円、当連結会計年度7,000百万円)及び利息(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

(ロ) 国際業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

223,803

10,191

4.55

当連結会計年度

178,637

8,732

4.88

うち貸出金

前連結会計年度

12,929

263

2.03

当連結会計年度

9,125

170

1.87

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

198,473

8,710

4.38

当連結会計年度

159,822

7,377

4.61

うちコールローン及び
  買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,720

0

0.01

当連結会計年度

1,579

0

0.01

資金調達勘定

前連結会計年度

224,196

6,441

2.87

当連結会計年度

181,095

5,250

2.89

うち預金

前連結会計年度

14,290

16

0.11

当連結会計年度

12,968

17

0.13

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び
  売渡手形

前連結会計年度

1,438

79

5.52

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

113,242

6,042

5.33

当連結会計年度

98,622

4,991

5.06

うち債券貸借取引
  受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

5,330

304

5.72

当連結会計年度

3,545

201

5.67

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、株式会社十六銀行以外の連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「国際業務部門」とは、連結子会社の外貨建取引(含むユーロ円建取引)であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度33百万円、当連結会計年度31百万円)を控除して表示しております。

 

 

(ハ) 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺
消去額

合計

小計

相殺
消去額

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

6,786,816

△82,874

6,703,942

59,510

59,510

0.88

当連結会計年度

7,170,768

△60,169

7,110,598

63,887

△30

63,857

0.89

うち貸出金

前連結会計年度

4,720,272

4,720,272

38,507

38,507

0.81

当連結会計年度

4,891,228

4,891,228

41,987

41,987

0.85

うち商品有価証券

前連結会計年度

98

98

0

0

0.47

当連結会計年度

30

30

0

0

0.22

うち有価証券

前連結会計年度

1,436,011

1,436,011

18,928

18,928

1.31

当連結会計年度

1,366,696

1,366,696

18,361

18,361

1.34

うちコールローン

  及び買入手形

前連結会計年度

34,710

34,710

6

6

0.01

当連結会計年度

360

360

1

1

0.53

うち預け金

前連結会計年度

502,143

502,143

773

773

0.15

当連結会計年度

844,162

844,162

2,259

2,259

0.26

資金調達勘定

前連結会計年度

7,051,696

△82,874

6,968,822

6,616

6,616

0.09

当連結会計年度

7,050,555

△60,169

6,990,385

9,471

△30

9,441

0.13

うち預金

前連結会計年度

6,294,060

6,294,060

149

149

0.00

当連結会計年度

6,359,055

6,359,055

3,585

3,585

0.05

うち譲渡性預金

前連結会計年度

13,000

13,000

2

2

0.01

当連結会計年度

13,000

13,000

9

9

0.07

うちコールマネー

  及び売渡手形

前連結会計年度

94,774

94,774

44

44

0.04

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

113,242

113,242

6,042

6,042

5.33

当連結会計年度

98,622

98,622

4,991

4,991

5.06

うち債券貸借取引

  受入担保金

前連結会計年度

114,403

114,403

11

11

0.01

当連結会計年度

122,553

122,553

276

276

0.22

うち借用金

前連結会計年度

339,162

339,162

354

354

0.10

当連結会計年度

398,115

398,115

557

557

0.14

 

(注) 1 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門との間における取引額であります。

2 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度439,321百万円、当連結会計年度63,092百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,000百万円、当連結会計年度7,000百万円)及び利息(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

③ 国内・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は前連結会計年度比6億17百万円減少241億10百万円となり、役務取引等費用は前連結会計年度比4億64百万円増加65億99百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

24,198

528

24,727

当連結会計年度

23,575

535

24,110

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

3,707

4

3,711

当連結会計年度

3,229

3

3,233

うち為替業務

前連結会計年度

3,417

200

3,618

当連結会計年度

3,608

197

3,805

うち信託関連業務

前連結会計年度

59

59

当連結会計年度

75

75

うち証券関連業務

前連結会計年度

4,379

302

4,682

当連結会計年度

4,694

314

5,009

うち代理業務

前連結会計年度

105

105

当連結会計年度

113

113

うち保護預り・

貸金庫業務

前連結会計年度

169

169

当連結会計年度

162

162

うち保証業務

前連結会計年度

1,914

20

1,935

当連結会計年度

1,848

18

1,867

うちクレジット

カード業務

前連結会計年度

2,707

2,707

当連結会計年度

2,777

2,777

役務取引等費用

前連結会計年度

5,978

157

6,135

当連結会計年度

6,446

152

6,599

うち為替業務

前連結会計年度

318

69

387

当連結会計年度

366

70

437

 

(注) 1 「国内業務部門」とは、当社及び連結子会社の円建取引であります。

「国際業務部門」とは、連結子会社の外貨建取引(含むユーロ円建取引)であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門との間における取引額であります。

 

 

④ 国内・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

6,376,251

12,483

6,388,734

当連結会計年度

6,340,600

14,270

6,354,870

うち流動性預金

前連結会計年度

4,619,178

4,619,178

当連結会計年度

4,608,420

4,608,420

うち定期性預金

前連結会計年度

1,730,253

1,730,253

当連結会計年度

1,677,512

1,677,512

うちその他

前連結会計年度

26,819

12,483

39,302

当連結会計年度

54,667

14,270

68,937

譲渡性預金

前連結会計年度

13,000

13,000

当連結会計年度

13,000

13,000

総合計

前連結会計年度

6,389,251

12,483

6,401,734

当連結会計年度

6,353,600

14,270

6,367,870

 

(注) 1 「国内業務部門」とは、連結子会社の円建取引であります。

「国際業務部門」とは、連結子会社の外貨建取引(含むユーロ円建取引)であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門との間における取引額であります。

3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

4 定期性預金=定期預金

 

 

⑤ 貸出金残高の状況
(イ) 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

4,838,414

100.00

5,003,947

100.00

製造業

604,031

12.48

592,455

11.84

農業、林業

4,924

0.10

4,853

0.10

漁業

7

0.00

7

0.00

鉱業、採石業、砂利採取業

6,379

0.13

2,883

0.06

建設業

144,478

2.99

146,581

2.93

電気・ガス・熱供給・水道業

55,240

1.14

58,038

1.16

情報通信業

13,535

0.28

12,949

0.26

運輸業、郵便業

106,589

2.20

130,632

2.61

卸売業、小売業

280,888

5.81

282,986

5.65

金融業、保険業

394,472

8.15

391,097

7.81

不動産業、物品賃貸業

469,656

9.71

492,144

9.83

学術研究、専門・技術サービス業

23,347

0.48

23,591

0.47

宿泊業

14,734

0.31

14,923

0.30

飲食業

17,123

0.35

16,565

0.33

生活関連サービス業、娯楽業

30,940

0.64

27,866

0.56

教育、学習支援業

6,106

0.13

6,376

0.13

医療・福祉

95,724

1.98

96,573

1.93

その他のサービス

32,470

0.67

32,074

0.64

地方公共団体

480,861

9.94

502,683

10.05

その他

2,056,904

42.51

2,168,665

43.34

特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

合計

4,838,414

5,003,947

 

(注) 「国内」とは、連結子会社であります。

 

(ロ) 外国政府等向け債権残高(国別)

該当事項はありません。

 

 

⑥ 国内・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

172,543

172,543

当連結会計年度

181,748

181,748

地方債

前連結会計年度

520,160

520,160

当連結会計年度

494,449

494,449

社債

前連結会計年度

307,826

307,826

当連結会計年度

284,174

284,174

株式

前連結会計年度

185,933

185,933

当連結会計年度

141,511

141,511

その他の証券

前連結会計年度

134,550

152,315

286,865

当連結会計年度

78,163

126,999

205,163

合計

前連結会計年度

1,321,014

152,315

1,473,329

当連結会計年度

1,180,047

126,999

1,307,046

 

(注) 1 「国内業務部門」とは、当社及び連結子会社の円建取引であります。

「国際業務部門」とは、連結子会社の外貨建取引(含むユーロ円建取引)であります。

ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門との間における取引額であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

⑦ 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は株式会社十六銀行1社です。

(イ) 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

資産

科目

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

銀行勘定貸

169

100.00

223

100.00

合計

169

100.00

223

100.00

 

 

負債

科目

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

169

100.00

223

100.00

合計

169

100.00

223

100.00

 

(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。

 

(ロ) 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

科目

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

銀行勘定貸

169

169

223

223

資産計

169

169

223

223

元本

169

169

223

223

負債計

169

169

223

223

 

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用し、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては2024年3月31日は粗利益配分手法、2025年3月31日は標準的計測手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1 連結自己資本比率 (2/3)

10.81

11.23

2 連結における自己資本の額

3,488

3,616

3 リスク・アセットの額

32,260

32,185

4 連結総所要自己資本額

1,290

1,287

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社十六銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

株式会社十六銀行(単体)の資産の査定の額

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

129

116

危険債権

483

449

要管理債権

20

17

正常債権

48,781

50,413

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

当連結会計年度の業績は次のとおりであります。

〔連結損益状況〕

 

前連結会計年度

(百万円)(A)

当連結会計年度

(百万円)(B)

 前連結会計年度比
(百万円)(B)-(A)

連結コア業務粗利益 (注)1

73,376

76,853

3,477

資金利益

52,894

54,416

1,522

役務取引等利益

18,595

17,513

△1,082

その他業務利益(除く国債等債券損益)

1,887

4,922

3,035

経費(除く臨時処理分)

44,176

44,707

531

連結コア業務純益 (注)2

29,200

32,145

2,945

国債等債券損益

△14,280

△15,597

△1,317

連結実質業務純益 (注)3

14,919

16,548

1,629

与信関係費用

917

2,145

1,228

うち一般貸倒引当金繰入額

△1,076

△372

704

うち不良債権処理額

2,004

2,533

529

株式等関係損益

13,331

15,851

2,520

その他

573

985

412

経常利益

27,908

31,238

3,330

特別損益

△106

△615

△509

うち退職給付信託返還益

1,923

1,923

うち減損損失

11

2,417

2,406

税金等調整前当期純利益

27,801

30,623

2,822

法人税等合計

8,281

9,479

1,198

当期純利益

19,519

21,144

1,625

非支配株主に帰属する当期純利益

201

304

103

親会社株主に帰属する当期純利益

19,318

20,840

1,522

 

(注) 1 連結コア業務粗利益=資金利益+役務取引等利益+その他業務利益(除く国債等債券損益)

2 連結コア業務純益=連結コア業務粗利益-経費(除く臨時処理分)

3 連結実質業務純益=連結コア業務純益+国債等債券損益

 

連結コア業務純益

連結コア業務粗利益は、資金利益、その他業務利益(除く国債等債券損益)が増加したことなどから、前連結会計年度比34億77百万円増加の768億53百万円となりました。

資金利益は、貸出金利息が増加したことなどから、前連結会計年度比15億22百万円増加の544億16百万円となりました。

役務取引等利益は、クレジットカード業務、証券関連業務が堅調に推移しましたが、住宅ローンの団信保険料やローン保証料などの支払手数料の増加により、前連結会計年度比10億82百万円減少の175億13百万円となりました。

その他業務利益(除く国債等債券損益)は、資金調達コストが減少したことなどから、前連結会計年度比30億35百万円増加の49億22百万円となりました。

また、経費(除く臨時処理分)は、ベアの実施や戦略的なDX投資の実施などにより物件費が増加したことなどから、前連結会計年度比5億31百万円増加の447億7百万円となりました。

これらの結果、連結コア業務純益は前連結会計年度比29億45百万円増加の321億45百万円となりました。

 

経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益

国債等債券損益は、円債の入替えオペレーションを実施したことなどから、前連結会計年度比13億17百万円減少の△155億97百万円となりました。

与信関係費用は前連結会計年度比12億28百万円増加の21億45百万円となりました。

また、株式等関係損益は、引き続き政策投資株式の売却を進めたことから、前連結会計年度比25億20百万円増加の158億51百万円となりました。

これらの結果、経常利益は前連結会計年度比33億30百万円増加の312億38百万円となりました。

特別損益は、退職給付信託の一部返還を実施したことによる特別利益を計上したこと、16FGオフィス&パーク移転に先立ち関連会社本部ビルの減損損失を計上したことなどにより、前連結会計年度比5億9百万円減少の△6億15百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比15億22百万円増加の208億40百万円となりました。

 

② 財政状態の分析

〔預金等(譲渡性預金を含む)〕

預金等残高(末残)につきましては前連結会計年度末比338億64百万円減少6兆3,678億70百万円となりましたが、預金等残高(平残)では前連結会計年度比649億95百万円増加の6兆3,720億55百万円となりました。

 

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

 前連結会計年度比

(B)-(A)

預金等残高(末残)

百万円

6,401,734

6,367,870

△33,864

 預金

百万円

6,388,734

6,354,870

△33,864

  個人預金

百万円

4,405,290

4,407,133

1,843

  法人預金その他

百万円

1,983,444

1,947,737

△35,707

 譲渡性預金

百万円

13,000

13,000

預金等残高(平残)

百万円

6,307,060

6,372,055

64,995

 

(注) 「法人預金その他」とは、法人預金、公金預金、金融機関預金の合計であります。

 

〔貸出金〕

貸出金残高(末残)につきましては、地域のお客さまの資金繰り相談などに積極的にお応えしたことや、住宅ローンを中心とした個人ローンの取組みなどにより、前連結会計年度末比1,655億33百万円増加5兆39億47百万円となりました。

 

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

 前連結会計年度比
(B)-(A)

貸出金残高(末残)

百万円

4,838,414

5,003,947

165,533

 うち住宅ローン残高

百万円

1,992,304

2,107,437

115,133

貸出金残高(平残)

百万円

4,720,272

4,891,228

170,956

 

 

〔有価証券〕

有価証券残高(末残)につきましては、市場環境の変化に柔軟に対応しつつ、リスクとリターンのバランスが保たれるポートフォリオを構築し、中長期的に総合損益の拡大を目指すという基本方針のもと、適切な運用に努めた結果、前連結会計年度末比1,662億83百万円減少1兆3,070億46百万円となりました。

 

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

前連結会計年度比
(B)-(A)

有価証券残高(末残)

百万円

1,473,329

1,307,046

△166,283

 株式

百万円

185,933

141,511

△44,422

 債券

百万円

1,000,530

960,371

△40,159

 その他

百万円

286,865

205,163

△81,702

有価証券残高(平残)

百万円

1,436,011

1,366,696

△69,315

 

(注) 「その他」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

〔不良債権〕

当連結会計年度末の銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額は、危険債権が減少したことなどにより、前連結会計年度末比47億12百万円減少608億68百万円となりました。

 

銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権

 

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

前連結会計年度比
(B)-(A)

破産更生債権及び

これらに準ずる債権

百万円

14,198

13,682

△516

危険債権

百万円

49,379

45,518

△3,861

要管理債権

百万円

2,002

1,667

△335

 三月以上延滞債権

百万円

11

11

 貸出条件緩和債権

百万円

2,002

1,656

△346

合計

百万円

65,580

60,868

△4,712

総与信に占める割合

1.31

1.17

△0.14

 

 

 

〔連結自己資本比率(国内基準)〕

当連結会計年度末の連結自己資本比率は、内部留保の蓄積などから自己資本が増加したことなどにより、前連結会計年度末比0.42ポイント上昇11.23%となりました。

 

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

前連結会計年度比
(B)-(A)

連結自己資本比率

10.81

11.23

0.42

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「(キャッシュ・フローの状況)」における記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、成長分野への投資・新規事業への参入をはじめ、設備投資や株主還元等の支出については、自己資金での対応を基本としております。また、貸出金や有価証券での運用については、顧客からの預金にて大部分を調達するとともに、必要に応じて、日銀借入金等により調達を行っております。

なお、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達方法等については、「第3 設備の状況」中、「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

〔貸倒引当金〕

連結子会社の貸倒引当金は、予め定めている償却・引当基準に則り、債務者区分に応じて必要と認める額を以下のとおり計上しております。

貸倒引当金の計上方法は、「第5 経理の状況」中、「1連結財務諸表等」の「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (5) 貸倒引当金の計上基準」に記載しております。

また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況」中、「1連結財務諸表等」の「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

当社の経営者は、貸倒引当金の計上にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は適切に計上されていると判断しております。

 

⑤ 目標とする経営指標についての分析

目標とする経営指標についての分析につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。