第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループの経営理念として、社会への宣言であるスローガンのもと、ミッション(果たすべき使命)、ビジョン(実現したい未来)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

0102010_001.png

 

これらを実現するため、当社グループでは他にはない独自の解決策を生み出す“ユニーク・ソリューション・カンパニー”を目指しております。ユニーク・ソリューションを生み出すための必要な機能の確保や、相互作用する仕組みの構築、ユニークな考えを持つ多様な人材の採用や育成、豊かな発想を生み出す環境の整備などに注力しております。

 

(2)中長期的な経営戦略

2021年10月1日にフルサト工業株式会社及び株式会社マルカは共同持株会社設立により経営統合し、新たな体制でのスタートを切りました。フルサト・マルカホールディングス株式会社における新体制では、新たな中長期的な経営戦略の策定に取り組み、2022年3月に中期経営計画「UNISOL」を開示させていただきました。新たな中期経営計画のもと、経営基盤の強化、企業価値の向上に努める予定です。

 

(3)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における各種制限の大幅な緩和や政府の経済対策などにより景気回復の動きが見受けられました。しかしながら、変異株の出現による感染症再拡大に加え、世界情勢の混乱による急激な為替変動や原材料価格の高騰、物流の混乱等の発生により、生産活動は十分ではなく、その結果、物価が高騰し政策金利も実質的に上昇しました。不安定な環境下、中小企業は設備投資や建設投資を見直さざるを得ず、政策によって経済活動の方向性が変わる分岐点に立たされ柔軟な対応を求められています。

このような経済状況にあって、工作機械受注は内需で1-12月は前期比18.2%増、外需では同12.1%増となりました。また、鉱工業生産指数には鈍化が見られ、1-12月は同0.1%減となりました。建設関連では、建築着工床面積が1-12月は同2.3%減、新設住宅戸数が1-12月は同0.4%増となりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、グループ共通の理念として“「その手があったか」を、次々と。”をスローガンに掲げ、果たすべき使命として「感動提案で今を拓き、変化の先まで伴走する」をミッションに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、人々の生活環境は大きく変わりましたが、状況に即した持続可能な未来の実現を模索する中で、グループとして優先的に対処すべき課題を設定し、取り組んでまいります。

① 法令及び社会規範の遵守

当社グループは、グループ理念の7STANDARDS(7つの判断基準)の中で、「関係法令・社会のルールを守り、高い倫理観を持ちます」とうたっています。同基準に記されている「人権の尊重」、「公平・公正の履行」とともに、社会で活動する私たちの思考及び行動における重要な判断の基準として遵守してまいります。

② 生産性の向上

構造的なエネルギー不足や、少子高齢化の進行による今後の労働力不足等が予測される中で、競争力を維持し収益を拡大していくために、生産性の向上に取り組んでまいります。製造現場における自動化だけでなく、RPAをはじめとする様々なデジタルテクノロジーを活用した広範な業務の自動化を推進し、クラウドPBX・クラウドFAXを導入するなど多様な働き方ができる環境の整備を行うなど、当社グループ全ての部署において労働生産性を向上させることにより、収益性のみならず、省エネルギーの推進や働き方改革にもつながるものと考えております。

③ 人材の確保と育成

変動の激しい経営環境の下、柔軟な発想でビジネスを構築し、事業領域を拡大していくために、多様かつ優秀な人材の確保、発掘、育成が不可欠となっており、重要な経営課題であると認識しております。社員がいきいきと働き続けられる環境を実現するため、働き方改革、ワークライフバランスの充実に資する福利厚生の拡充なども図りながら、社員全員が活躍できるフィールドを整備していくことや経営統合後シナジー効果の早期発揮を目的として新人事制度の策定に着手しております。

④ ビジネスポートフォリオ経営の推進

当社グループは、安定的な収益性の確保と確実な成長性の実現を目指し、業績変動リスクの分散を目的として、ビジネスモデルや景気感応度等の異なる複数の事業に分散して展開する、ビジネスポートフォリオ経営を推進しております。それぞれの事業の強化において必要とされる分野を、M&Aやアライアンス等を用いて積極的に補完し、最適な価値の創出に努めてまいります。

⑤ グループガバナンスの強化

当社グループは、M&Aや業務提携等による事業領域の拡大を永続的な成長戦略と位置付け、それに伴うグループ経営における実効的なガバナンスの強化を、重要な経営課題であると認識しております。その課題への対処として、グループ各社のコーポレート機能の統合や内部統制システムの強化など、経営資源の集中投資を効率的かつ戦略的に実施し、グループガバナンスの強化を図ってまいります。

⑥ サステナビリティへの取り組み

今や地球環境や社会が抱える課題の解決は世界共通のものであり、多くの国が将来的なカーボンニュートラルの実現を表明しています。そのような中にあって、企業の果たす役割への期待も高まっております。当社グループにおいては、「サステナビリティ委員会」を設置し、ESGの幅広いテーマに体系的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当連結会計年度においては、「リスク管理委員会」を2回実施し、主要な子会社の社内外における情報を収集し、様々な観点からリスク分析を行い、リスクに応じた対応を検討、実施しております。また、大規模な災害、事故等が発生したときは、代表取締役社長を本部長とした対策本部を設置して対応する体制構築を「危機管理規程」で定めております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。またこれらの他にも様々なリスクが存在しており、ここに記載したリスクが当社グループの全てのリスクではありません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 市場の動向

当社グループ主要市場である民間の設備投資の動向は事業に重要な影響を及ぼします。特に、鉄骨建築業界、工作機械業界、自動車業界、セキュリティ業界に関連する設備投資の動向については経営成績等に影響を及ぼしうる主なリスクであると認識しております。また、当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。特に、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等をリスクと捉えております。

当社グループでは、安定的な収益性の確保と確実な成長性の実現を目指し、事業変動リスクの分散を目的として、ビジネスポートフォリオ経営を推進して参ります。また、製造現場における自動化だけでなくデジタルテクノロジーを活用した広範な業務の自動化の推進、多様な働き方ができる環境の整備を行い、労働生産性を向上させることにより、品質を高めつつ、原価を低減させ価格競争力を高めて参ります。エンドユーザーのワークフローソリューションまで踏み込んだ高付加価値の商品を提供することで、売価を下げることなく顧客満足を獲得してまいります。

 

② 戦略的投資

当社グループは、お客様のニーズの変化に対応して様々な製品・サービスを提供するために、必要に応じて製造・物流施設の高度化の他、企業買収・提携、事業譲受等の戦略的投資を行っております。経営資源を有効に活用し、タイムリーに新技術・新製品を開発・販売する上で有効な手段と考えておりますが、様々な理由により、ⅰ)検討における情報が十分でないことなどにより、思い通りの戦略的投資にならない、ⅱ)当事者間で利害の不一致が起こることによる提携等の解消、ⅲ)事業、技術、製品及び人材等の統合について期待する成果や効果が得られないなどの状況に陥るリスクが考えられます。

当社グループでは、多様化するニーズに柔軟かつ確実に対応していくために、戦略的投資は今後ますます重要性を増してくると考えております。多様化する投資案件について、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等の観点で投資計画の検証を行っております。プロジェクトチームを組成し、専門的なメンバーが事前に協議することにより経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと適格性の向上を図っております。

 

③ 災害等による影響

当社グループの営業拠点が所在する地域において、大規模な災害等(※)が発生した場合、グループ会社の家族を含む人的な損害、物的被害、ビジネス機会の喪失による財務的な被害が生じるリスクがあります。

(※)自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪等)、事故(火災、爆発等)、感染症、事件(テロ、戦争、内乱、危険な社会運動等)

災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しております。また、大規模な災害、事故等が発生したときは、代表取締役社長を本部長とした対策本部を設置して対応する体制構築を「危機管理規程」で定めております。被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう、営業所間の協力体制構築などの準備を行っています。

新型コロナウイルス感染症対応につきましては、当社グループでは危機対策本部を設置し、全社員向けのマニュアルに沿った感染防止対策実施の徹底や、感染者が出た場合の事業継続体制の構築を図っております。訪問営業の制限や出張の自粛などにより営業活動へ支障が出ていますが、リモート営業、WEB会議や自宅勤務などテレワークを励行し対応しております。しかし、当社グループの従業員でクラスター感染が発生し、業務の継続が長期にわたり困難になった場合、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

④ 製品・商品の長期供給の遅れ

大規模地震・津波、洪水、感染症の蔓延、サプライヤーの供給停止等の不測の事態により、製造や商品供給の遅延や停止、輸送機関の停止等が発生し、ビジネス機会を喪失する等、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、仕入先が被災し、お客さまへの製品・商品の提供が止まることの無いよう、原材料や在庫の確保、複数仕入先を選定するなど、有事に備えた環境整備を行っております。

 

⑤ 労働災害

製造業務におけるはさまれ事故や営業業務における交通事故等が発生した場合、人材の喪失、金銭面での補償や長年培ってきた信用の失墜など、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、製造業務において職場の潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、事前に適確な安全衛生対策を講ずるリスクアセスメントを実施し、機械・設備、作業行動や環境などについて災害が発生しないよう事前に対策を講じています。営業業務においては交通事故対策を最優先課題に位置付けており、過去に発生した交通事故内容を分析し、特に発生率の過半を占める若年層営業担当への個別指導を徹底するなど交通事故防止に取り組んでおります。

 

⑥ 公的な規制

当社グループでは事業活動を行う上で、ⅰ)人事関係の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)が発生した場合、社会的信頼を失墜し、事業に悪影響を及ぼすリスクがあります。ⅱ)各種環境関連法の違反が発生した場合、行政処分等による生産や営業への影響や課徴金の負担、刑事罰、社会信用の失墜等によるビジネスへの悪影響等、グループに甚大な被害を与えるリスクがあります。

当社グループでは、役職員が社会的責任を果たすために、法律や社会のルールを遵守しつつ高い倫理観を持って行動するという観点からグループ理念を定め、職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するために「コンプライアンス・マニュアル」を制定しております。違法行為、社会規範や企業倫理に反する行為を防止・是正するために、社内は総務部長を、社外は外部弁護士事務所を窓口とする「コンプライアンスライン」を設置し、相談窓口に通報した者がそれを理由に不利益な取扱いを受けないよう「内部通報規程」で定めております。また定期的なアセスメントによる環境関連法の遵守徹底とともに、規制の変化等へのタイムリーな把握・対応に努めております。

 

⑦ 製造物責任

当社グループが製造・販売する製品に、重大な安全性問題や環境問題等が発生することで、お客さまや社会からの信頼を失墜し、グループの価値や製品ブランドが毀損され、事業継承が困難になるリスクがあります。

製品の信頼性・安全性の向上に向け、工程管理、出荷管理、自主監査、外部監査等の十分なリスク管理の元に生産を行っております。また万が一、問題が発生した際に対応が迅速かつ確実に行われるよう、トレーサビリティなどの体制を整備しております。安全・環境法に準拠した製品を提供するため、適切な標準の制定、定期的な見直しを実施しております。

 

⑧ 人材の確保

当社グループの中長期的な成長は、従業員個々の力量に大きく依存します。ⅰ)適切な時期に優秀な人材を計画通り確保できない、ⅱ)優秀な人材がグループ外へ流出してしまう等のリスクがあると考えております。

少子高齢化に伴う労働人口の不足、就職活動のICT化など採用方法の変化などで人材獲得競争が激しくなり、計画通りの人材確保が難しくなっております。当社グループでは、ICTを積極的に活用した新卒採用だけでなく、専門性を持つ中途採用の強化を進めるほか、シニア労働力の活用にも取り組んでおります。また、業務の効率化、人事制度の見直し、福利厚生の充実などワークライフバランスを支えるための職場環境改革を推進し、多様な労働力に対応できる仕組み作りを進めております。

 

⑨ 情報セキュリティ

当社グループの情報セキュリティを構築する上で、ⅰ)悪意を持った第三者による攻撃により、当社グループ各社のシステムの停止やセキュリティ上の問題・損害が発生する、ⅱ)攻撃により自社サーバが悪用され、意図せず他社を攻撃するなど社会に悪影響を及ぼしグループの価値を毀損してしまう、ⅲ)当社グループの商品に重大な情報セキュリティ問題が検出され、お客さまから排除される等ビジネス機会を喪失する等をリスクとして想定しております。

当社グループでは、あらゆる脅威から情報資産を保護し、その機密性、完全性、可用性を維持すること、また万が一の事態が発生した場合は、影響を最小限にすることで事業の継続を保証し、損失を最小限にするために以下の対策を講じております。

1)「情報セキュリティポリシー」「グループ情報システム管理規程」「情報システム運用管理要領」「パソコン管理要領」「情報管理規程」により、会社の情報資産に関する行動規範を規定し、一定水準の情報セキュリティ確保に努めております。また、社内研修などでセキュリティについての教育を施しております。

2)インターネットの接続点に関してファイアウォール機能を設置し、不正アクセス等の監視の実施、各パソコン等の端末へのウイルス対策ソフトの導入、セキュリティパッチの強制配信、定期的なパスワード強制変更を実施しております。また万が一情報漏洩等が発生した場合は、操作ログなどで追跡確認できる体制を構築しております。

3)サーバ類はセキュリティ設備面や立地面で安全性、堅牢性の高いデータセンター内に設置しており、入退室管理、バックアップ処理等を実施しております。

 

⑩ 貸倒れ

当社グループは事業特性に適した手法を取り入れ、独自の債権管理を実施することで、貸倒れを未然に防いでおります。ただし、取引先の業績の影響を受け、貸倒れが増加する可能性があり、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

こうしたリスクへの対応策として外部の信用補完機能の利用や販売先の数を増やし売上を分散させることにより、貸倒引当金の貸倒れリスクを最小限にするように努めております。また、貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。

 

⑪ 為替変動

当社グループは輸出入取引を行っており、外貨建の取引について為替変動リスクにさらされております。また、当社グループは海外においても事業を展開しており、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。その結果、円と現地通貨との間の為替変動は、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクを軽減するために、為替予約取引を利用しリスクの低減に努めております。

 

⑫ 税務上リスク

当社グループは、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違等により、結果として追徴課税が発生する可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、税務に関する最新の情報を社内外から入手し、外部専門家の助言も受けながら対応していく体制を整えております。

 

⑬ 減損会計

当社グループは企業買収や事業譲受の際に発生したのれんや営業権、事業用の様々な有形固定資産、無形資産及び子会社株式を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、プロジェクトチームが財務的視点での妥当性と事業戦略視点での収益性や成長性リスクの観点で投資計画の検証を行い、投資後は定期的な進捗モニタリングを実施し、事業を執行・管理する体制を整備しております。

 

⑭ 確定給付制度債務

当社グループは確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。現時点では直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場の予測しえない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になるリスクがあります。

当社グループは政府の規制や人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社は、2021年10月1日にフルサト工業株式会社及び株式会社マルカが、共同株式移転の方法により両社を完全子会社とする株式移転設立完全親会社として設立されました。設立に際し、フルサト工業株式会社を取得企業として企業結合会計を行っており、前連結会計年度(2021年4月1日から2021年12月31日まで)の連結経営成績は、取得企業であるフルサト工業株式会社の連結会計年度(2021年4月1日から2021年12月31日まで)の連結経営成績を基礎に、株式会社マルカの2021年12月1日から2021年12月31日までの連結経営成績を連結したものであるため、前年度との比較は行っておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における各種制限の大幅な緩和や政府の経済対策などにより景気回復の動きが見受けられました。しかしながら、変異株の出現による感染症再拡大に加え、世界情勢の混乱による急激な為替変動や原材料価格の高騰、物流の混乱等の発生により、生産活動は十分ではなく、その結果、物価が高騰し政策金利も実質的に上昇しました。不安定な環境下、中小企業は設備投資や建設投資を見直さざるを得ず、政策によって経済活動の方向性が変わる分岐点に立たされ柔軟な対応を求められています。

このような経済状況にあって、工作機械受注は内需で1-12月は前期比18.2%増、外需では同12.1%増となりました。また、鉱工業生産指数には鈍化が見られ、1-12月は同0.1%減となりました。建設関連では、建築着工床面積が1-12月は同2.3%減、新設住宅戸数が1-12月は同0.4%増となりました。

当社グループは、「感動提案で今を拓き、変化の先まで伴走する。」を日々果たすべき使命とし、10年後のありたい姿から遡って2026年度までの中期経営計画「UNISOL」を策定しております。2023年度は、1stステージの2年目であり、基盤構築を行い、成長軌道へ回帰する年としています。統合シナジーの早期具現化やプラットフォームの充実、戦略分野への注力を行っていきます。今後も、開示すべき事項が発生した場合は、速やかにお知らせいたします。

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の総資産は、122,914百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,320百万円増加いたしました。これは主に、取引増加に伴う受取手形及び売掛金の増加(前期末比4,738百万円増)、商品及び製品の増加(同3,474百万円増)等によるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債は50,775百万円となり、前連結会計年度末と比較して9,542百万円増加いたしました。これは主に、取引増加に伴う支払手形及び買掛金の増加(同3,192百万円増)、契約負債の増加(同3,692百万円増)等によるものであります。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産は72,139百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,777百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(4,531百万円)、剰余金の配当(626百万円)等によるものであります。

 

2)経営成績

当連結会計年度の売上高は、162,416百万円となりました。利益につきましては、営業利益5,895百万円、経常利益7,055百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,531百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(機械・工具セグメント)

自動車業界では、新型車両向けの投資が増えつつありますが、部品不足の影響もあり、本格的な投資には至っておりません。半導体業界は生産が追い付かない状況は解消されつつありますが、依然需要は高止まりしております。建設業界や食品業界などの産業機械需要は、機械、工具ともに堅調な業績となりました。

また、海外の状況については、北米では、為替の影響もあり、機械販売、サービスともに好調でしたが、経済見通しに不透明感が増したため、引合件数は減少傾向にあります。中国では、自動車関連の設備投資案件により持ち直しましたが、引き続きロックダウンの影響が残っています。以上の結果、売上高は107,077百万円、営業利益は3,235百万円となりました。

(建設資材セグメント)

堅調な建設需要と鋼材価格の高止まりにより建設資材は売上を伸ばしましたが、住宅設備は供給面の制約を受け続けております。世界の鉄鋼需要は堅調であり、今後も鋼材の仕入価格は引続き高い水準が維持されることが想定されます。この状況に対応するために値上を行っておりますが、顧客にも適時に必要な説明を行ってご理解いただく努力をしております。以上の結果、売上高は43,787百万円、営業利益は2,606百万円となりました。

 

(建設機械セグメント)

国内の建設機械需要は、物流業界や土木建築業界を中心に堅調でした。一方、建設機械の値上により新規引合の件数は減少傾向にあります。中古機械の販売や保険事業は堅調であり、しばらくはこの傾向が続くことが予想されます。以上の結果、売上高は8,839百万円、営業利益は142百万円となりました。

 

(セキュリティセグメント)

サーマルカメラの販売は一巡し、アルコール検知器の販売を本格化する予定でしたが、検知器使用の義務化が無期限延期となったことにより販売は進みませんでした。経済活動が再開される中、入退室管理システムの販売に期待が高まりましたが、新規プロジェクトの引合も低調となりました。以上の結果、売上高は2,711百万円、57百万円の営業損失となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、24,132百万円で、前連結会計年度と比較し1,260百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、3,795百万円となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上7,080百万円、減価償却費1,532百万円、売上債権の増加1,090百万円、仕入債務の増加1,879百万円、法人税等の支払額1,548百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2,286百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,486百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、495百万円となりました。この主な要因は、配当金の支払額624百万円、長期借入れによる収入204百万円等によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標

 

第1期

(2021年12月期)

第2期

(2022年12月期)

自己資本比率(%)

61.4

58.0

時価ベースの自己資本比率(%)

56.1

74.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

262.2

自己資本比率=自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

 

 

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

4.2021年12月期は、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオの記載は省略しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

機械・工具(百万円)

3,735

建設資材(百万円)

4,827

建設機械(百万円)

-

セキュリティ(百万円)

536

合計(百万円)

9,099

(注)1.金額は、製造原価で表示しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

 

2)商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

機械・工具(百万円)

90,629

建設資材(百万円)

30,638

建設機械(百万円)

8,053

セキュリティ(百万円)

1,179

合計(百万円)

130,500

(注)1.金額は、仕入価格で表示しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

 

3)受注実績

当社グループは、一部受注生産を行っておりますが、販売実績に占める受注販売実績割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

4)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

機械・工具(百万円)

107,077

建設資材(百万円)

43,787

建設機械(百万円)

8,839

セキュリティ(百万円)

2,711

合計(百万円)

162,416

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。なお、2022年8月1日に公表しました「連結業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」と実績との比較を行っております。

(売上高)

売上高は計画と比べ4,416百万円超過(計画比2.8%増)し、162,416百万円となりました。事業セグメントごとの構成比は次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

構成比(%)

機械・工具(百万円)

107,077

65.9

建設資材(百万円)

43,787

27.0

建設機械(百万円)

8,839

5.4

セキュリティ(百万円)

2,711

1.7

調整額(百万円)

合計(百万円)

162,416

100.0

機械・工具セグメントでは、自動車業界では新型車両向けの投資が増えつつあり、また半導体業界では生産が追い付かない状況は解消されつつも、依然需要は高止まりしており、堅調でした。

 また、海外では為替の影響もあり、北米では機械販売、サービスともに好調に推移いたしました。

建設資材セグメントでは、住宅設備は供給面の制約を受け続けているものの、堅調な建設需要と鋼材価格の高止まりにより、堅調に推移いたしました。

建設機械セグメントは、建設機械の値上により新規引合の件数は減少傾向にあるものの、需要は、物流業界や土木建築業界を中心に堅調でした。

セキュリティセグメントはサーマルカメラ特需が一巡し、入退室管理システムの販売に期待が高まりましたが、新規プロジェクトの引合も低調となりました。

(営業利益)

営業利益は原材料価格上昇に連動した商品・製品の値上げに対して、予想よりも原価率が低減したことにより計画と比べ395百万円超過(計画比7.2%増)し、5,895百万円となりました。事業セグメントごとの構成比は次のとおりです。

 

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

構成比(%)

機械・工具(百万円)

3,235

54.8

建設資材(百万円)

2,606

44.2

建設機械(百万円)

142

2.4

セキュリティ(百万円)

△57

△0.9

調整額(百万円)

△32

△0.5

合計(百万円)

5,895

100.0

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、計画と比べ705百万円超過(計画比11.1%増)し、7,055百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は2,490百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は、59百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、計画と比べ431百万円超過(計画比10.5%増)し、4,531百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各セグメントでの商材購入、製造における資材調達、及び一般管理費等があります。設備資金需要としては、事業所建造物、生産効率向上に資する製造設備更新、情報処理システム、及び当社グループ事業の成長戦略への投資があります。

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保し、より機動的かつ戦略的に資金投下を行っていくために、グループ各社の資金を一括管理し、事業会社へ恒常的に集約・配布する仕組みを導入いたしました。また、資金需要に備えて、金融機関において当座貸越や資産流動化枠のほかコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループはセキュリティ事業における監視モニタリング技術のノウハウを用いて、製造業においてデジタルデータの活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を実現するスマートファクトリーへの取組みを重点施策に掲げております。

 現在の研究開発は、牛の様々な行動とバイタル情報をモニタリングできる汎用性の高いシステムの構築を目的としてカメラとマイクによる画像・音声情報と、センサーによるバイタル情報の取得・解析によるシステム化の研究活動を推進していきます。なお、詳細は2022年10月12日に公表しました「京都大学との共同研究契約の締結に関するお知らせ」をご確認ください。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は2百万円となっております。