第2【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回 次

第18期

第19期

第20期

第21期

第22期

決算年月

2020年

2021年

2022年

2023年3月

2024年3月

売上収益

(千米ドル)

192,779

249,589

318,452

327,701

310,157

税引前利益

(千米ドル)

10,703

13,716

19,079

19,007

14,269

当期利益

(千米ドル)

10,026

11,716

16,652

16,435

10,492

当期包括利益

(千米ドル)

9,833

11,901

16,674

15,972

10,084

純資産額

(千米ドル)

28,010

39,911

59,818

70,736

75,766

総資産額

(千米ドル)

105,283

137,258

179,321

179,668

206,663

1株当たり純資産額

(ドル)

1.40

1.99

2.87

3.36

3.60

1株当たり当期利益

(ドル)

0.50

0.58

0.80

0.78

0.50

自己資本比率

(%)

26.6

29.1

33.4

39.4

36.7

自己資本利益率

(%)

30.3

34.5

33.4

25.2

14.3

株価収益率

()

-

-

5.08

4.78

7.09

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千米ドル)

6,429

3,837

△ 14,198

22,415

34,771

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千米ドル)

△ 4,114

△ 1,149

△ 7,003

△ 686

3,556

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千米ドル)

8,456

3,413

23,880

△ 15,506

△ 3,730

現金及び現金同等物の

期末残高

(千米ドル)

14,191

20,511

23,212

29,105

63,295

従業員数

(外、平均臨時雇用者数)

(人)

191

(-)

216

(-)

199

(-)

242

(-)

242

(-)

(注)1.シンガポール会社法第50章の規定及びシンガポール財務報告基準に従い連結財務諸表を作成しています。

2.売上収益には、消費税等は含まれていません。

3.第18期から第19期までの株価収益率は、非上場であったため記載していません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載していません

5.従業員数は就業人員数を表示しています。

6.当社は、2021年5月12日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っておりますが、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期利益金額を算定しております。

7.当社は、2021年5月12日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

 

 

 回次

第18期

第19期

第20期

第21期

第22期

決算年月

2020年

2021年

2022年

2023年3月

2023年3月

1株当たり純資産額

(米ドル)

1.40

1.99

2.87

3.36

3.60

1株当たり当期利益

(米ドル)

0.50

0.58

0.80

0.78

0.50

 

2【沿革】

当社は、「全てのお客様に選ばれるワールドクラスなパートナーになること」を経営ビジョンとして掲げ、2002年3月に設立されました。設立以降の当社グループに係る経緯は、次のとおりです。

 

年月

概要

2002年3月

Omni-Plus System Pte Ltdを設立

2002年8月

上海(中国)に駐在員事務所を開設

2003年10月

バンコク(タイ)に営業所Omni-Plus System Plastics Pte Ltdを設立

2004年10月

ジョホール・バル(マレーシア)に営業所OPS Technologies Sdn Bhdを設立

2005年10月

上海(中国)にOmni-Plus System Shanghai Ltdを設立し、上海(中国)の駐在員事務所を営業所として業務を拡大

2005年10月

(中国)に支店を開設

2007年5月

米国IVC USA社と合弁会社IVC Paints & Coatings (Malaysia)Sdn Bhdを設立

2009年11月

ジョホール・バル(マレーシア)のNihon Pigment Sdn.Bhd.の100%所有権を取得しコンパウンド工場を開設

2014年11月

ジャカルタ(インドネシア)に営業所 PT Omni Plus System 設立

2016年11月

マレーシアのCepco Trading Sdn Bhdを取得しメディカル分野へ進出

2017年4月

マニラ(フィリピン)に営業所Omni Plus System Philippines Incを設立

2017年6月

伊藤忠商事株式会社のグループ企業である伊藤忠プラスチックス株式会社及びITOCHU Plastics Pte. Ltd.(シンガポール)との業務提携を発表

伊藤忠プラスチックス株式会社は当社株式の3%、ITOCHU Plastics Pte. Ltd.(シンガポール)が当社株式の7%を取得

2017年8月

A*STAR(シンガポール科学技術研究庁)との共同研究を開始

2017年9月

パキスタンの多国籍企業である Engro Corporation Ltd の子会社であるR&P (PTE) LTDと合弁会社R&P TECHNOLOGIES PTE LTDを設立

2018年2月

シンガポールベンチャー企業への投資及び育成を目的としたSMALL WORLD ACCELERATOR PTE. LTD.へ出資(出資比率48%、持分法適用会社)

2018年3月

シンガポールの本社隣地にエンジニアリング・センターを開設

2018年4月

伊藤忠商事株式会社マニラ支店より事業譲渡を受けフィリピンのI-FTZ Trade Philippines Incを取得

2019年1月

品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001:2015を取得

2019年3月

伊藤忠商事株式会社のグループ企業であるITOCHU Plastics Pte. Ltd.が全ての新株を引受(これによりITOCHU Plastics Pte. Ltd.はその他の関係会社に該当)

2019年4月

東京(日本)に現地法人株式会社OMNI-PLUS SYSTEM Japanを設立

2019年4月

添加剤や特殊化学品の大手サプライヤーであるインドネシア企業PT Sentosa Kimia の100%所有権を取得

2019年4月

添加剤や特殊化学品のサプライヤーであるシンガポール企業Alpha Chemie Pte.Ltd.の100%の所有権を取得

2019年4月

添加剤や特殊化学品のサプライヤーであるマレーシア企業Tags Polymer Sdn.Bhd.の100%の所有権を取得

2021年5月

公開会社となるに伴い、商号をオムニ・プラス・システム・リミテッド(OMNI-PLUS SYSTEM LIMITED)に変更

2021年6月

シンガポール企業として初めて東京証券取引所マザーズ市場(外国株)に上場

2022年4月

東京証券取引所の市場再編によりグロース市場(外国株)へ移行

2022年7月

伊藤忠プラスチックス株式会社の子会社である協栄電気株式会社がシンガポールに

所有していたKYOEI DENKI(S)PTE.LTD.の100%所有権を取得

また、協栄電気株式会社がインドネシアに所有していたPT Kyoei Denki Trading Indonesiaの100%所有権を取得

2023年9月

マレーシアのOmni Development Sdn. Bhd.の99.998%の所有権を取得。これにより、当社グループの既存の流通事業に加え、当社グループの取扱製品及び顧客基盤を拡大することが可能になった。

2024年1月

日ノ出樹脂工業株式会社との共同研究開発契約を締結

2024年2月

ドイツの総合化学会社であるBASFと委託コンパウンド契約を締結

2024年2月

IMS社買収準備のための特別目的会社(SPV)ODT Investments Pte. Ltd.を

シンガポールに設立

2024年4月

台湾のプラスチック原材料販売業IMS社 (International Material Supplier Co.,LTD) を子会社化

2024年5月

子会社であったAlpha Chemie Pte. Ltd.の清算を完了

2024年7月

インドに子会社 Kyoei DS India Private Limitedを設立

 

3【事業の内容】

(1)事業の概況

当社グループは、エンジニアリング・プラスチックを軸に、顧客のニーズに応じたカタログ販売や汎用品(ジェネリック)の販売を行うエンジニアリング・プラスチックの流通事業と、顧客ニーズにより深く関与して高耐久・高耐熱、デザイン性を有する樹脂コンパウンド(混合、着色等)を行う開発・製造事業を行っております。2024年8月末現在、当社グループはシンガポール国内外の連結子会社25社、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)1社及び持分法適用会社2社で構成されています。

それぞれの事業の内容及び特徴は次のとおりですが、当社グループの事業はエンジニアリング・プラスチック事業の単一セグメントとなっています。

 

①流通事業

原則として当社のエンジニアリング・センター機能及び当社グループによる高機能エンジニアリング・プラスチックのコンパウンド(混合、着色等)を介さない製品の流通であり、その多くは汎用品(ジェネリック)の販売として、売上収益の62%を占めております。

 

②開発・製造事業

当社グループは、最終顧客(ブランドメーカー)が生産する家庭用電気機器、電子機器、OA機器、自動車、通信関連機器、医療機器等の製品において、筐体や内蔵部品等の部品用途のニーズに対応した素材の耐久性、耐熱性等に優れた高機能エンジニアリング・プラスチックの開発を行うほか、最終顧客(ブランドメーカー)との共同研究、さらには、A*STAR及びシンガポールの各種研究機関との共同研究を行っています。

さらに、マレーシア(ジョホール・バル)の製造子会社Nihon Pigment Sdn.Bhd.において、最終顧客(ブランドメーカー)のニーズに基づく高耐久性、高耐熱性、或いはデザイン性を有した高機能エンジニアリング・プラスチックのコンパウンド(混合、着色等)品の製造・供給を行っています。

 

原材料となる樹脂は、シンガポール及び周辺国のポリマーメーカーより、現地商社等も通じて調達しており、長期契約に基づいた安定調達体制を構築しています。販売先はオリジナル機器メーカー(OEM)、電子機器製造サービス(EMS)、契約メーカー(CM)、製造パートナー(MPA)、及び成形事業者など多岐に渡り、マレーシア、タイ、中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム等の東南アジア諸国に設置された当社の販売子会社や販売代理店を通じた販売を行っています。

 

このように当社グループは、最終顧客(ブランドメーカー)が必要とする原材料樹脂を調達し納入、また共同研究等による開発並びに製造、及び安定供給を行う、高機能エンジニアリング・プラスチックのトータル・サプライチェーン・ソリューションを提供しており、東南アジア地域に進出してきたグローバルブランドメーカーとの取引を開拓、深耕させています。

 

当社グループの事業系統図、及びバリューチェーンの系統図は、次のとおりです。

 

(注)インボイス:インボイスとは、主に海外へ物品を発送する際に、その中味を英文で説明する書類のこと。「送り状」とも言われるが、実際には、送り状、価格計算書、請求書、納品書などの役割を兼ね備えており、貨物通関手続きには必要不可欠な重要書類である。海外へ発送する物品には、全てインボイスを付けなければならない。

 

 

(2)当社グループ事業の特徴と優位性

当社グループの事業の特徴は、お客様の製品ライフサイクルの初期段階である材料の研究開発から製品の量産プロセスまでを継続的にフォローしていくことです。

 

 

当社グループの最大の強みは、本社(シンガポール)に隣接するエンジニアリング・センターを中心とした研究開発能力にあります。

エンジニアリング・センターでは、開発・エンジニアリング分析・特性評価機能により、アプリケーションの詳細な調査・分析、差別化及び迅速なカスタマイズが可能となっています。シンガポール企業、A*STAR、及びシンガポールの各種研究機関とのパートナーシップにより、特に自動車・家電分野向け新材料の共同開発・投資を図ると同時に、アプリケーション・マッチング(デザイン・インの重要な指標)のための強力で体系的な材料データベースの構築も担っています。

また、山形大学とは機械学習と人工知能(AI)を使用したポリマー着色剤ライブラリについて共同研究開発を行っています。

 

エンジニアリング・センターの関係先との系統図は次のとおりです。

 

 

お客様は、高い試作品製造コスト、長いターンアラウンドタイム、テスト用のデータ不足など、研究開発段階でいくつかの問題を抱えています。当社グループは、これらの問題の解決策を長年にわたって開発しており、お客様の要求に応じた解決策を速やかに提供することができます。

さらに競合他社は、当社のように短いリードタイムで顧客の特定ニーズを満たすことができないため、お客様が当社から競合他社に切り替えない理由の1つと考えております。

 

4【関係会社の状況】

2024年3月31日現在

名称

住所

資本金

主要な事業内容

議決権の

所有割合

又は被所

有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

Nihon Pigment Sdn.Bhd.

マレーシア

ジョホールバル

マレーシア

リンギット2,000,000

エンジニアリング・プラスチックの製造(配合・着色)

100.0

役員兼務

OPS Technologies Sdn.Bhd.

マレーシア

ジョホールバル

マレーシア

リンギット

250,000

エンジニアリング・プラスチックの物流・倉庫業

100.0

役員兼務

Omni-Plus System Shanghai Limited

中華人民共和国

上海

中国人民元

13,576,080

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

役員兼務

商品の販売

PT Omni Plus System

インドネシア

ジャカルタ

インドネシアルピア

2,783,000,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業(汎用中心)

100.0

商品の販売

Cepco Trading Sdn.Bhd.

マレーシア

ペナン

マレーシア

リンギット

3,600,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業(医療用途中心)

100.0

役員兼務

商品の販売

Omni Plus System Philippines Inc.

フィリピン

マニラ

米ドル

197,635

エンジニアリング・プラスチックの製造(配合・着色)

100.0

役員兼務

資金貸付

商品の販売

DP Chemicals Pte.Ltd.

シンガポール

 

米ドル

534,530

工業用化学製品の販売・流通業

100.0

役員兼務

商品の販売

DP Chemicals Vietnam Company Limited

べトナム

ホーチミン

ベトナムドン

6,300,000,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

(100.0)

役員兼務

I-FTZ Trade Philippines Inc.

フィリピン

マニラ

米ドル

200,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業(日系顧客中心)

100.0

役員兼務

Alpha Chemie Pte.Ltd.(注)3

シンガポール

米ドル

200,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

役員兼務

PT Sentosa Kimia

インドネシア

ジャカルタ

インドネシアルピア

2,500,000,000

機能性添加剤の販売・

流通業

100.0

商品の販売

Tags Polymer Sdn.Bhd.

マレーシア

クアラルンプール

マレーシア

リンギット

100,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

役員兼務

株式会社OMNI-PLUS SYSTEM Japan

日本

東京

日本円

5,000,000

国内の新規事業パートナー・サプライヤーとの関係強化・プロジェクト推進

100.0

Omni-Plus System (Thailand) Co., Ltd

タイ

バンコク

タイバーツ

10,000,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

役員兼務

商品の販売

Omni-Plus System Plastics Co Ltd

タイ

バンコク

タイバーツ

2,000,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

39.0

役員兼務

資金貸付

商品の販売

Kyoei Denki (S) Pte.Ltd.

シンガポール

米ドル

3,600,000

電子材料、液晶関連製品とワイヤーハーネスの加工商社

100.0

役員兼務

PT Kyoei Denki Trading Indonesia

インドネシア

ジャカルタ

米ドル

800,000

電子材料、液晶関連製品とワイヤーハーネスの加工商社

100.0

(100.0)

役員兼務

KD Advanced Materials, Inc

アメリカ合衆国

米ドル

100,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

100.0

(100.0)

役員兼務

Omni Development

Sdn Bhd

マレーシア

マレーシア

リンギット499,990

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

99.998

役員兼務

商品の販売

ODT Investments

Pte Ltd

シンガポール

米ドル

100

投資持株会社

100

特別目的

会社

SPV

(持分法適用会社)

 

Small World Accelerator Pte.Ltd.

シンガポール

シンガポールドル

600,001

スタートアップ投資

48.0

役員兼務

R&P Technologies Pte.Ltd.

シンガポール

米ドル

1,875,000

エンジニアリング・プラスチックの製造(配合・着色)、工業用化学製品の販売・流通業

40.0

役員兼務

商品の販売

(その他の関係会社)

 

ITOCHU Plastics Pte. Ltd.

シンガポール

シンガポールドル

2,750,000

エンジニアリング・プラスチックの販売・流通業

被所有

25.24

役員兼務

商品の販売

(注)1.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。

2.上記連結子会社には、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含んでおります。

   3.2024年5月6日付抹消

 

5【従業員の状況】

当社グループは、エンジニアリング・プラスチック事業の単一セグメントであるため、事業部門別に記載しています。

 

(1)連結会社の状況

2024年3月31日現在

事業部門の名称

従業員(人)

製造部門

50

技術開発部門

6

流通・販売部門

107

管理部門

79

合計

242

(注)  従業員数は就業人員です。当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から

当社グループへの出向者を含みます。

 

(2)提出会社の状況

2024年3月31日現在

事業部門の名称

従業員数(人)

技術開発部門

6

流通・販売部門

24

管理部門

33

合計

63

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(米ドル)

63

38

5.1

58,805

(注)1.従業員数は就業人員です。当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から

当社グループへの出向者を含みます。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。