第一部【企業情報】

第1【本国における法制等の概要】

1【会社制度等の概要】

(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】

1. 法制度

以下は、オムニプラス・システム・リミテッド(「当社」)及び当社の取締役会(「当社取締役会」)を規律するシンガポールの法的枠組について概略を述べたものです。なお、以下の記載は全てを網羅するものではありません。

 

シンガポールは、判例法と制定法の組合せに基づくコモン・ロー制度を有します。

 

シンガポール会社法(Companies Act 1967 of Singapore)(「シンガポール会社法」)は、シンガポール法に基づき設立された会社に適用される主要な制定法です。シンガポール会社法は、主に有限責任株式会社、有限責任保証会社及び無限責任会社という3つの会社の形態を規定します。

 

シンガポールにおける会社の設立は、シンガポール会計企業規制庁(Accounting and Corporate Regulatory Authority of Singapore)に対して、所定の電子書式を設立計画中の会社の定款及びその他所定の文書と共に提出することにより行うことができます。

 

シンガポールで設立された会社の定款には、通常、株式資本及びそれに付随する権利の変更、株式の移転及び譲渡、株主総会、取締役及び取締役会、取締役の権限及び任務、会計、配当及び準備金、利益の資本組入、秘書役、社印、解散並びに会社の役員に対する免責などガバナンスに関する規定が定められます。

 

2. 当社株式の内容

以下は、シンガポール法及び当社の定款(Constitution)(「当社定款」)により付与されている株主の権利のうち、重要度の高いものについてその概要を述べたものです。この記述は、関連法及び当社定款の重要な規定を要約したものですが、網羅的であると解釈されるべきでなく、その全体についてシンガポール法及び当社定款を参照することではじめて適切に説明されるものです。

 

株式

 

シンガポール法においては「額面価格」及び「授権資本」の概念は廃止されています。現在、当社の発行済株式は1種類、すなわち普通株式のみです(「本株式」)。本株式は、全ての点において同一の権利を有しており、いずれも同順位です。当社定款第6条においては、当社が、当社取締役会により決定される優先権、劣後権、若しくはその他特別な権利又は配当、議決、資本利益その他に関するかを問わず、かかる制限のついた異なる種類の株式を発行することができると規定しています。

 

本株式は全て記名式株式です。当社は、シンガポール会社法の規定に従うことを条件に、自己株式を取得することができます。ただし、シンガポール会社法で認められる場合を除き、当社は、第三者による本株式の取得又は取得計画に対して資金援助を行うことはできません。

 

株主

 

当社は、株主名簿に登録されている者のみを本株式の株主として認めます。法律で義務づけられる場合を除き、当社は本株式に関しては、当社の株主名簿上その所持人として登録されている者が有する当該本株式に関する絶対的権利以外には、衡平法上の、偶発的な、将来の若しくは部分的な権利、端株の権利、又はその他のいかなる権利も認めません。

 

株式の譲渡

 

当社がシンガポール会社法第130条ABに基づき譲渡の登録を拒んだ場合又はシンガポール会社法第192条に定める方法で株主名簿の閉鎖期間中を除き、全額払込済の本株式への譲渡制限はありません。株主は、通常の書式又はその他取締役会が定款(定款第25条)に従い承認した書式で、適正に署名された株式譲渡証書を用いることにより、自己名義で登録されている本株式を譲渡することができます。

 

当社取締役会は、全額払込済でない又は当社が担保権を有する本株式の登録を拒否することができます(定款第28条)。当社取締役会はまた、株式譲渡証書に適正に印紙が貼付され、かつ株券及び当社取締役会が要求する権原を示す他の証拠とともに、登録目的のために提示されていない限り、当該譲渡証書の登録を拒否することができます。譲渡登録は、当社年次株主総会直前の14日間又はかかる他の時期(もしあれば)及び取締役が適時決定する当該期間に閉鎖することができます。但し、常にいかなる年においても30日を超えて閉鎖されないものとします(定款第29条)。

 

紛失又は毀損した株券については、再発行の申込みをする者が2シンガポール・ドルを超えない手数料を支払い、当社取締役会が要求するかかる紛失又は毀損に関する証拠及び補償に関する書面を提出する場合に、当社は、これを再発行します(定款第13条)。

 

株主総会

 

当社は、シンガポール会社法に従って年次株主総会を開催することを義務づけられています。当社取締役会は、同取締役会が適当と認めるときは臨時株主総会を招集することができ、また当社株主が株主総会の開催を書面で請求した場合には、臨時株主総会を招集しなければなりません。但し、当該当社株主が、当該請求を行う時点で株主総会における議決権を伴う払込済株式の総数の10%以上を保有していることを条件とします(シンガポール会社法第176条)。

 

法律又は当社定款により別途義務づけられている場合を除き、株主総会での決議は、当該総会で行使された議決権の単純過半数の賛成票を要する普通決議によります。例えば、当社取締役会の取締役の指名は普通決議で足ります。特別決議は、当該総会で行使された議決権の75%以上の賛成票を要し、シンガポール法に基づき以下の事項を含みますが(が、これらに限られない)特定の事項の決議に義務づけられています。

・ 当社の任意清算

・ 当社定款の修正

・ 当社の社名の変更

・ 当社の株式資本の減額

 

年次株主総会及び臨時株主総会については、少なくとも14日前に書面で通知しなければなりません。但し、特別決議又は(シンガポール法で義務づけられる場合を除き)当社に特別通知がなされた決議の採択が提案されている株主総会については、少なくとも21日前に書面で通知しなければなりません。通知は、通知の宛先としてシンガポール国内の住所を当社に対して指定した全ての株主に対して行わなければならず、当該総会の場所、日時及び特別な議題のある場合は当該議題の要項を含む一定の事項を明記しなければなりません(定款第145条)。

 

議決権

 

株主は、本人自ら又は代理人により総会に出席し、発言し、議決権を行使することができます。代理人は株主である必要はありません。

 

当社定款に別段の定めがある場合を除き、総会において定足数を満たすためには、2名以上の株主が本人自ら又は代理人により当該総会に出席しなければなりません。当社定款は、議決権を有する株主は、本人自ら又は代理人により議決権を行使することができ、投票に際しては、本人自ら、その代理人又はその他正当に権限が与えられた代表者により出席した株主は、その保有する株式1株につき1議決権を有すると定めています(定款第71条)。

 

株主総会の議長が追加票又は決定票を投じる権利を有します(定款第70条)。

 

配当

 

当社は、株主総会において当社株主総会の普通決議により配当を宣言することができますが、当社取締役会が提案した金額を超えて配当金を支払うことはできません(定款第131条)。また、当社取締役会は、中間配当を宣言することができますが、配当が利用可能な利益により正当化されることを条件とします(定款第132条)。

 

当社は、配当金を当社の利用可能な利益のみから支払わなければなりません(定款第133条)。

 

株式若しくは種類株式に付随する権利又は制限を前提として、かつシンガポール会社法に基づき別途認められる場合を除き、当社が支払う全ての配当金は配当金支払の対象期間の一部期間に支払われた株式について現に支払われ又は支払済みとして記録された額の割合に応じて配分され支払われますが、特定の日付から配当順位が決定されるという条件で株式が発行されている場合、それに従い配当順位が決定されるものとします。

 

別段の指示がない限り、配当金は、保有者の登録住所又は共同保有者の場合には、当社の株主名簿に先に名前が記載されている共同保有者の登録住所又は保有者若しくは共同保有者が書面にて指示する当該人物及び当該住所に宛てて各株主に郵送される小切手又は金銭支払証券をもって直接に支払うことができます。

 

清算又はその他資本の償還

 

当社が清算又はその他当社の資本の償還を行う場合には、本株式を保有する者は、各自の持分に応じて残存する又は関連する資産の分配に参加する権利を有します。但し、当社の他の種類の株式に特別の参加的権利が付帯している場合は当該権利に従います。

 

補償

 

シンガポールの法令の認めるところに従い、当社定款は、当社取締役会及び役員が、同人に有利な判決が下され若しくは同人が無罪となった民事若しくは刑事を問わない手続きの抗弁にあたって、又は過失、不履行、背任について裁判所が同人に救済を与えるというシンガポール会社法に基づく申請に関連して被った債務につき、当社による補償を受けることができる旨を定めています。

 

当社は、当社取締役及び役員が過失、不履行、義務違反又は当社との関係で有罪となる可能性がある背任に関して、補償によらなければ法律の規定により損害賠償責任を負う場合には、当社取締役及び役員に対して補償することはできません。但し、当社は、かかる法的責任につき、当社取締役及び役員のために損害賠償保険に加入し、それを維持することができます。

 

株式保有の権利及び議決権に関する制限

 

シンガポール法及び当社定款は、非居住者である又は外国の株主の当社本株式に付随する議決権を保有し又は行使する権利に対し、一切の制限を課していません。

 

少数株主の権利

 

シンガポールの裁判所は、シンガポール会社法第216条に基づき、シンガポールで設立された会社の少数株主の権利を保護するために、当社株主の申立に基づき、以下のいずれかの状況を救済するために同裁判所が適当と認める命令を発することができる一般的な権限を付与されています。

 

・ 1名以上の当社株主に対して抑圧的な方法で又はそれらの株主の利益を無視して、当社の業務が遂行され又は当社取締役会の権限が行使されている場合

・ 申立人を含む1名以上の当社株主を不当に差別し若しくは他の方法によりそれらの株主に不利益となる措置を、当社が講じ若しくは講じるおそれがあり、又は当社株主がそのような決議を可決し若しくは提案する場合

 

シンガポールの裁判所は、同裁判所が与えることができる救済に関して広範な裁量権を有しており、これらの救済は、シンガポール会社法に記載されているものに限定されるものではありません。前記の内容を損なうことなく、シンガポールの裁判所は、以下のことを行うことができます。

 

・ 一定の行為を命じ若しくは禁止し、又は一定の取引若しくは決議を取消し若しくは変更すること。

・ 将来的に当社の業務の遂行を規制すること。

・ 裁判所が指定する条件により当社の名において又は当社を代理して民事訴訟を提起することを認めること。

・ 当社又は当社の一部の株主に対し、少数株主の株式の買取を指図し、かつ当社が買い取る場合には、それに応じた当社の株式資本の減資を命じること。

・ 当社定款の変更を命じること。

・ 当社に清算を命じること。

 

3. 取締役

シンガポール会社法において、会社における役員にはその会社の取締役が含まれるものとして定義され、取締役は、名称の如何を問わず、取締役の地位に就く者、慣習的に会社の取締役若しくはその大多数がその者の指示又は命令により行為することになっている者、及び取締役の予備取締役又は代替取締役が含まれるものとして定義されています。会社の取締役は、会社の従業員である必要はありませんが、取締役である者は、会社の別の業務執行役員職に就くことができ、後者の資格においては取締役も従業員であり得るものとして取り扱われます。ただし、各取締役は、その立場に基づき、会社の信認に基づく立場にあります。信認関係は本人と代理人との関係に似ています。この関係は、法人たる会社は自然人の代理を経てのみ行為できるという事実に起因します。すなわち、会社は代理人、すなわち個々の取締役及び取締役会を通じてのみ行為でき、会社の利益を最優先して行為することが「代理人」の義務です。したがって、取締役は、自己の利益と自己の義務が相反する状況に我が身を置くことを容認されていません。こうした義務は会社の取締役となる全ての者に課され、この義務に違反すると刑事責任又は民事責任を問われる可能性があります。かかる義務は制定法及びコモン・ローにより定められます。かかる義務には、注意及び技能に関連する義務、及び会社の利益を最優先して誠実に行為する義務、並びにその職務の履行に際しては常に誠実に行動し相当の努力を払うというシンガポール会社法に基づく法定の義務などを含みます。

 

4. 当社の取締役会

当社取締役会は、当社経営全体についての責任を委ねられています。当社取締役会は、会議を開催し、当社の財務状況や運営状況について精査及び監視します。当社定款には、当社取締役会は少なくとも1人の取締役で構成するものと規定されています(定款第85条)。

 

(2)【提出会社の定款等に規定する制度】

定款

 

(a) 当社は、2002年3月26日にシンガポール会社法に基づき非公開有限責任会社として設立され(登録番号:200202443Z)、その後に公開有限責任会社となりました。

 

(b) 以下の各項目は当社定款の一定の条項を要約したものです。

 

(i)  取締役が利害関係を有する提案、取決め又は契約についての議決権

 

第98条

直接又は間接を問わず、当社との取引若しくは提案された取引に利害関係を有する、又は地位のある、又は取締役としての利害関係に抵触する可能性のある職務若しくは利害を生み出す可能性のある財産を所有する取締役は、シンガポール会社法の規定に従い自らの利害関係の性質を宣言するものとします。次の段落が別途規定するものを除き、取締役は、いかなる取引又は自らが利害関係を有する取引に関して議決権を行使しないものとします(そして行使した場合、投票は集計されないものとします。)が、かかる制限は以下に適用されません。

(a) 当該取締役が貸付けた金銭又は当該取締役が会社の利益のために負った義務に関して、当該取締役に担保又は補償を提供するための取引

(b) 保証若しくは補償に基づき、又は担保の供託により当該取締役自らが全部又は一部の責任を負っている会社の債務又は義務に関して、会社が第三者に対し担保を提供するための取引

(c) 会社の株式又は社債を引き受けるための当該取締役による取引

取締役の議決に関する本条の制限は、会社の取締役が1人しかおらず、当該取締役が唯一の株主である場合には適用されません。

 

(ii)  取締役の報酬

 

第91条

取締役の報酬は、随時、当社の株主総会により決定されます。取締役は、取締役会議若しくは取締役の委員会又は会社の株主総会への出席に関連して負担する当該費用を含む職務の遂行において合理的に負担する当該出張宿泊先及びその他費用の支払いも受けるものとします。他の取締役との取決めにより、取締役が自らの取締役としての通常の職務以外の特別な職務又は役務を履行する場合、取決めをした取締役は、職務又は役務を履行した取締役に対して、通常の報酬に加えて特別報酬を支払うことができます。当該特別報酬は、給与、歩合、利益への参加又はその他定められる方法により提供されます。

 

第92条

会社の取締役は、会社が推進する、又は会社が株主その他として利害関係を有するいかなる会社の取締役又は役員になり、又は利害関係を有することができ、当該取締役は、会社が別途指示する場合を除き、当該会社の取締役、役員として、又は利害関係から受け取った報酬又はその他利益について会社に対して報告義務を負わないものとします。

 

第122条

最高経営責任者(CEO)は、特定の場合に締結される取決めの条件に従い、取締役が定める、給与、手数料若しくは利益への参加により、又は一部をいずれかの方法、そして一部をその他の方法とするやり方により、当該報酬を受け取るものとします。

 

(iii)  取締役が行使可能な借入権限

 

第97条

取締役は、当社の目的のために随時借入又は資金調達を行ったり、適切と考える金額の支払いを確保したりすることができ、また、その時点で払込請求のない資本を含む、当社の財産又は資産の全部若しくは一部に抵当権又は担保を設定、債券(額面、割引又は割増)を発行、その他適切と考える金額の返済又は支払いを確保することができます。

 

第97条は、当社定款の他の条項と同様に当社株主総会の特別決議に基づき変更することができます。

 

(iv)  年齢制限要件による取締役の退職又は非退職

年齢制限による取締役の退職又は非退職に関し、当社の定款には特段の定めはありません。

 

(v)  取締役の株式保有資格

 

第94条

取締役は、当社の株主である必要はありません。

 

(vi)  各種類株式に付随する権利、優先権及び制限

 

第6条

既存の株式又は種類株式の保有者に以前に付与された特別な権利を損なうことなく、シンガポール会社法の適用を受けて、当社の株式は取締役によって発行され、配当、議決権、資本還元又はその他の方法で、取締役が株主総会の普通決議に基づいて決定する優先的、繰延的又はその他の特別な権利又は制限を付与して発行されることがあります。

 

第7条

シンガポール会社法に従うことを条件として、優先株式は、株主総会の普通決議の承認を得た上で、償還の対象となる条件で、又は当社の選択により償還される条件で、発行することができます。

 

第8条

株式資本が異なる種類の株式に分割される場合はいつでも、当社が清算されているかどうかにかかわらず、いずれの種類(当該種類の株式の発行条件に別段の定めがある場合は除く。)に付与される権利も、その種類の発行済株式の75%の所有者の書面による同意、又はその種類の株式の所有者の別の株主総会の特別決議の承認によって変更することができます。このような個別の株主総会ごとに、株主総会に関する本定款の規定が準用されます。但し、必要な定足数は、少なくともその種類の発行済株式の3分の1を保有、又は代理人が代表する2名とし、本人又は代理人が出席しているその種類株式の保有者は投票を要求することができます。但し、その種類株式の保有者が1名のみである場合は、その唯一の保有者がその種類株式の保有者の総会の定足数を構成します。当該各特別決議に対して、必要な当該調整を加えた上でシンガポール会社法第184条が適用されるものとします。

 

第9条

優先権その他の権利が付随して発行される種類株式の保有者に与えられる権利は、当該種類株式の発行条件に別段の明示の規定がない限り、当該種類株式と同等の順位を有する新たな株式の発行又は追加発行により変更されるものとみなされます。

 

第71条

1つ又は複数の種類株式にその時点で付随する権利又は制限に服することを条件とし、株主又は種類株主の会合において、投票権を有する株主は、直接、代理出席又は代理人により、投票できるものとし、出席した株主又は株主の代理人は、1株につき1票を有するものとします。

 

第135条

配当に関する特別権利が付随する株式の取得権利を有する者の権利(もしあれば。)に従うことを条件として、全ての配当は、当該配当が支払われる株式について支払われた又は貸記された金額に応じて宣言され、支払われるものとしますが、払込請求の前に株式について支払われた又は貸記された金額は、本規則の適用上、当該株式について支払われたものとして取り扱われないものとします。全ての配当は、支払対象期間のいずれか一部の期間、当該株式に払込済である金額又は払い込まれた金額として貸記されて金額に比例して配分され支払われるものとします。但し、特定の日から配当の順位をつけることを定めた条件で株式が発行された場合には、その株式は配当の順位をつけるものとします。

 

第155条

当社が清算される場合、清算人は、株主総会の特別決議による授権を得て、当社の資産(かかる資産が同じ種類の財産で構成されているか否かを問わない。)の全部又は一部を株主に対して現物で分配することができ、かかる目的のためにいずれかの財産について前述の分配のために当該清算人が公正と認める価額を設定し、かかる分配が株主又は異なる種類の株主の間でどのように実施されるかを決定することができます。清算人は、同様の授権を得て、出資社の利益のために当該清算人が同様の授権をもって適当と考える信託に基づいて当該資産の全部又は一部を受託者の管理下に置くことができます。但し、いかなる株主も、何らかの債務がある株式その他の証券を引き受けることを強制されないものとします。

 

(vii)  資本の各種変更

 

第46条

当社は、株主総会の普通決議により、次の1つ又は複数を随時行うことがあります。

(a) 当該決議に応じて株式資本を増加すること。

(b) いずれかの株式資本を統合及び分割すること。

(c) 株式又はそのいずれかを再分割すること。但し、当該減額された各株式の払込金額と未払込金額(もしれあれば。)との割合は、当該減額された株式に係る株式の場合と同一とすること。

(d) 当該決議が可決された日において、何人も当該決議に基づき取得し、若しくは取得することについて合意していない株式の数又は失権した株式の数を消却し、当該消却した株式の数によりその資本金の額を減少させること。

 

第47条

株主総会において当社により相反する指示がなされない限り、全ての新株は、その発行前に、募集日に当社から株主総会の通知を受領する権利を有する者に対して、状況が許す限りにおいて、その者が権利を有する既存の株式の数に比例して募集されるものとします。当該募集は、募集の対象となる株式数を明記し、かつ募集が受諾されない場合は、拒絶されたものとみなされる期間を指定した通知により行われるものとし、当該期間満了後又は募集の対象となった者から当該株式の受諾を拒絶する旨の意思表示を受領した場合には、取締役会は、本定款に従うことを条件として、当社にとって最も有益と考える方法で当該株式を処分することができます。取締役会は、(新株の募集に対し権利を有する者が所有する株式の数に対する新株の数の比率を理由に)本条に基づく募集に適さないと自ら判断した新株を同様に処分することができます。

 

第51条

当社は、株主総会の特別決議により、法令の定めるところにより、いかなる方法でも、また、法令の定めるところにより、必要な同意を得た上で、資本金の額を減少させることができます。

 

(viii)  各種株式にかかる各権利の変更(適用法の要件と異なる条件を有する権利の変更に必要な手続を含む。)

 

第8条

いかなる時点において株式資本が異なる種類の株式に区分されている場合には、当該種類の発行済株式の75%の所有者の書面による同意、又は当該種類株式の個別株主総会で可決される特別決議の承認を得た場合に限り、当社が清算されているか否かにかかわらず、ある種類株式に付随する権利を変更することができます(但し、当該種類株式の発行条件に別段の定めがある場合を除く。)。当該個別の株主総会には、株主総会に関する本定款の規定が準用されるものとします。但し、必要な定足数は、当該種類の発行済株式の3分の1以上を保有する株主が、自ら又は代理人を通じて2名以上出席することとし、自ら又は代理人により出席した当該種類株式の所有者は投票を要求することができるものとします。但し、その種類の株式の保有者が1名のみである場合は、その唯一の保有者がその種類の株式の保有者の総会の定足数とします。当該各特別決議に対して、必要な当該調整を加えた上でシンガポール会社法第184条が適用されるものとします。

 

第9条

優先権又はその他の権利が付随するある種類株式の保有者に与えられた権利は、当該種類株式の発行条件において別段の明示的な定めがある場合を除き、当該種類株式と同順位の株式の付与又は発行により、変更されるものとみなされます。

 

(ix)  配当規制、配当受給権の発生日、当社株主の配当請求手続、配当受給権の失効期限及び受給権を有する当事者の指示

 

第131条

当社は、株主総会において配当を宣言することができます。但し、当該配当は取締役会により提案される金額を超えてはなりません。

 

第132条

取締役は、当社の利益によって正当であると取締役が認める中間配当を、随時、株主に支払うことができます。

 

第133条

利益以外の配当は行わず、また、当社に対して利息は発生しないものとします。

 

第134条

取締役は、配当を推奨する前に、当社の利益から、取締役の裁量により、当社の利益が適切に適用されるあらゆる目的に適用されると考えられる金額を留保することができ、かかる申請がなされるまでは、同様の裁量により、取締役が適宜適切と考える当社の事業に充てられる、又は投資(当社株式を除く。)に投じることができます。取締役はまた、分割しないことが賢明であると考える利益を繰り越すために、これを留保することなく、それを繰り越すことができます。

 

第135条

配当に関する特別権利が付随する株式の取得権利を有する者の権利(もしあれば。)に従うことを条件として、全ての配当は、当該配当が支払われる株式について支払われた又は貸記された金額に応じて宣言され、支払われるものとしますが、払込請求の前に株式について支払われた又は貸記された金額は、本規則の適用上、当該株式について支払われたものとして取り扱われないものとします。全ての配当は、支払対象期間のいずれか一部の期間、当該株式に払込済である金額又は払い込まれた金額として貸記されている金額に比例して配分され支払われるものとします。但し、特定の日から配当の順位をつけることを定めた条件で株式が発行された場合には、その株式は配当の順位をつけるものとします。

 

第136条

取締役は、株主に支払われる配当金から、当社の株式に関する払込その他の理由により、その者が現在当社に支払うべき金銭がある場合には、その全額を控除することができます。

 

第139条

配当又は賞与を宣言する株主総会においては、特定の資産及び特に他の会社の払込済株式、社債又は社債券の分配、又はそのいずれか一つ以上の方法による当該配当の全部又は一部の支払を命ずることができ、取締役は、当該決議を実行するものとします。また、かかる分配に関して問題が生じた場合、取締役会は、適切と判断する方法でかかる問題を解決し、かかる特定の資産若しくはその一部の分配のための価額を決定し、決定した価額をもとに全ての当事者の権利を調整するために株主に現金の支払いが行われる旨を決定し、かつ取締役会が適切とみなす方法でかかる特定の資産を受託者に付与することができます。

 

第140条

株式に関して現金で支払われるべき全ての配当、利息、その他の金員は、保有者又は共同保有者の場合は、株主名簿に最初に記載されている共同保有者のうち1名、又は保有者若しくは共同保有者が書面により指示するその者の登録住所に宛てて、郵送で送付される小切手又は金銭支払証券により支払うことができます。2名以上の共同保有者の場合、そのうちの1名が、共同保有者として保有する株式について支払われる配当金、賞与その他の金銭につき有効な領収書を交付することができます。

 

2【外国為替管理制度】

本報告書の日付時点で、シンガポールにはいかなる外国為替管理規制も存在しません。

 

3【課税上の取扱い】

(1) シンガポールにおける特定の所得税、印紙税、相続税及び消費税(「GST」)

 

以下の記述は、本株式の取得、保有又は処分に伴うシンガポールの特定の所得税、印紙税、相続税及び消費税の効果について要約したものです。この記述はシンガポールの現行の税制に基づいており、法律上又は税務上のアドバイスを構成するものではなく、そのように意図されているものでもありません。本記述は現行の税法又はその解釈の変更により影響されるものであり、かかる変更は遡及的である場合もあります。本記述は本報告書の日付時点で有効な法律の正確な解釈であると考えられるが、かかる法律を管轄する裁判所又は財務当局がこの解釈に同意すること、及びかかる法律に今後変更がないことについては、いずれも一切保証はありません。

本記述は本株式の購入、保有又は処分に関するシンガポールにおける特定の税の効果についての概要にすぎず、当社がシンガポールにおいてシンガポール所得税務を目的とする税務上の居住者であることを前提としています。本報告書における記述は、本株式の取得、保有若しくは処分の決定に関わる全ての税務上の検討事項を包括的又は網羅的に記載することを意図してはおらず、特定の規則が適用される投資家の税務上の取扱いに対応するものではありません。

 

1. 一般事項

シンガポールの税務上の居住者である法人納税者は、シンガポールで発生し又はシンガポールを源泉とする所得のほか、一定の例外を除き、シンガポール国内で受け取り又は受け取ったとみなされる外国源泉所得に対して、シンガポールの所得税の適用を受けます。外国源泉所得のうち、シンガポールの税務上の居住者が2003年6月1日以降、シンガポール国内において受け取り又は受け取ったとみなされる配当金、支店の収益及び役務に対する所得については、以下を含む一定の条件を満たす場合であれば課税が免除されます。

 

シンガポールの税務上の居住者である個人は、シンガポールで発生し又はシンガポールを源泉とする所得に対してシンガポールの所得税の適用を受けます。2004年1月1日以降シンガポール国内においてシンガポールの税務上の居住者である個人が受け取った全ての外国源泉所得(シンガポール国内のパートナーシップを通じた受け取り所得を除く。)は、所得が源泉課税され、かつその税率が15%を超えている場合には税額控除の対象とされます。

 

非居住者である法人納税者の場合は、一定の例外はありますが、シンガポールで発生し又はシンガポールを源泉とする所得、並びにシンガポール国内で受け取り又は受け取ったとみなされる外国源泉所得に対して、所得税の適用を受けます。非居住者である個人は、一定の例外はありますが、シンガポールで発生し又はシンガポールを源泉とする所得に対して、所得税の適用を受けます。

 

法人の場合は、その事業の管理及び経営がシンガポール国内において実施されている場合、シンガポールの税務上の居住者とみなされます。個人の場合は、課税年度の前年度に通算183日以上物理的にシンガポール国内に所在し若しくはシンガポールにおいて(会社の取締役として以外の)従業員として雇用に従事していたか、又は当該課税年度においてシンガポールに居住している場合、シンガポールの税務上の居住者とされます。

 

シンガポールの現行の法人税率は17%です。

 

また、通常は課税対象とされる法人の課税対象所得のうち1万シンガポール・ドルまでの部分の4分の3、並びに1万シンガポール・ドル以上19万シンガポール・ドルまでの部分の2分の1が、法人税の適用を免除され、(当該免除後の)残余部分については全額、現行の法人所得税率による課税の対象とされます。

 

2024年課税年度については、法人は、一定の条件の下で、4万シンガポール・ドルを上限として、50%の法人税の払戻しを受けることができます。

 

新設会社及び既存のスタートアップ企業の場合は、一定の条件及び例外はありますが、当初3課税年度において、1年につき通常課税対象とされる所得のうち10万シンガポール・ドルまでの部分の75%について、免税措置を受けることができます。(当該免税措置後の)残余部分については、現行の法人所得税率による課税の対象とされます。

 

シンガポールの税務上の居住者である個人に対しては、当該個人の課税対象所得によって税率が異なり、現行の最高税率は24%です。

 

2. 配当金の分配

2008年1月1日より、シンガポールの税務上の居住者である法人は全て、一段階法人税制度(「1段階法人税制」)の適用を受けることになりました。一段階法人税制の下では、法人の利益に対する課税が最終的なものとされ、シンガポールの居住者である会社は非課税の(一段階)配当金を支払うことができ、株主が税務上の居住者であるか否かにかかわらず、当該配当金についてはシンガポール所得税の課税が免除されます。

 

シンガポールでは現在、シンガポールの税務上の居住者ではない株主に支払われた配当金について、源泉課税を課していません。

 

3. 当社株式の売却利益

シンガポールにおいては、キャピタルゲイン(株式譲渡益)には課税されません。しかし、キャピタルゲインの法的性格を定める法令がないため、当社株式の売却によって得られる利益は所得として解釈される場合があり、シンガポールで発生し又はシンガポールを源泉とする場合、特に、シンガポール内国歳入庁がシンガポールにおける取引、事業、専門職又は職業の遂行とみなす活動から発生したキャピタルゲインである場合は、シンガポールの所得税の対象となり得ます。

 

さらに、シンガポールの所得税の目的上、シンガポール財務報告基準(「FRS」)39若しくはFRS109が適用され又は適用を要求される株主は、当社株式の売却又は処分が行われていない場合でも、FRS39若しくはFRS109の規定(シンガポール所得税法の適用ある規定による修正後のもの)に従い、(キャピタルゲインやロスではない所得についての)損益の認識を要求される場合があります。かかる規定の対象となりうる株主は、当社株式の取得、保有及び処分がシンガポールの所得税の点でどのような効果を有するかについて、各自の会計及び税務アドバイザーに相談すべきです。

 

4. 印紙税

当社株式の譲渡契約書又は譲渡証書に対して、その対価の額又は価値の0.2%の税率により印紙税が課税されます。対価の額又は価値とは、(i)当社株式の実際の対価・取得価格又は(ii)市場価格(典型的には、直近の監査済み財務書類によって決定される)のいずれか高い方の額です。

 

印紙税は、別段の合意がない限り買主が負担します。

 

譲渡契約書又は譲渡証書が作成されず、又はシンガポール国外で作成された場合は、印紙税は課税されません。但し、譲渡契約書又は譲渡証書がシンガポール国外で作成され、シンガポール国内において受領された場合には、印紙税の課税対象となります。

 

5. 相続税

2008年2月15日以降の死亡については、シンガポールの相続税は全面的に廃止されました。

 

6. 消費税(GST)

消費税に関する登録をした投資家が、シンガポール国外に帰属するものに対して契約により、かつ当該者の直接の利益のために当社株式を提供する場合は、原則として消費税の課される課税供給となり、その税率は0%です。消費税に関する登録をした投資家が、その業務を促進する上でこの提供を行う際に負担した消費税は、シンガポール物品・サービス税法(Goods and Services Tax Act 1993 of Singapore)の規定に則り、かかる者がその業務を促進する上で行った財及びサービスの提供に課税される消費税の控除が得られ、過払い投入税がある場合は、その過払い分の税金については、消費税の監査官から全額還付を受けることができます。

 

消費税に関する登録者がシンガポールに帰属する投資家に対し当該投資家の株式の取得、売却又は保有に関連して提供した仲介、取扱い又は決済などのサービスについては、標準税率(2024年1月1日より現行9%)で消費税が課されます。シンガポール国外に帰属する投資家に対して、その直接的な利益のため契約により提供される類似のサービスに課される消費税の税率は、基本的に0%です。

 

(2) 日本における課税上の取扱い

下記「第8 本邦における提出会社の株式事務等の概要 2 受益者の権利行使方法 (4) 配当等に関する課税上の取扱い」をご参照ください。

 

4【法律意見】

当社のシンガポール法カウンセルであるノートン・ローズ・フルブライト(アジア)エルエルピー(Norton Rose Fulbright (Asia) LLP)から以下の趣旨の法律意見書が提出されています。

 

(i)   当社はシンガポール法に基づき適法に設立され、有効に存続していること。

 

(ii)   上記「1 会社制度等の概要」及び「2 外国為替管理制度」と題された項目中の記載は、かかる記載が本報告書で引用されているシンガポール法の問題に関する要約を構成する限りにおいて、当該シンガポール法の問題に関して要求される情報を公正に示し、当該シンガポール法の問題を公正に要約していること。

 

また、上記法律意見書とは別に、当社の税務カウンセルであるエー・ギャランジア・エルエルピー(A Garanzia LLP)から以下の趣旨の税務意見書が提出されています。

(i)   上記「3 課税上の取扱い」と題された項目中の記載は、全ての重要な点において真実かつ正確である。