文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「子どもから高齢者まで全世代が繋がり、お互いを支え合う地域づくりに貢献する」のパーパスのもと、「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」をミッションとしております。0歳から高齢者までの健康と生活を守る企業として社会に貢献し、医薬、子育て支援、介護事業の連携により「地域包括ケアシステム」を推進し、「健康・安心・絆のライフライン」を構築し、その実現をコア・コンピタンスとして、利用者様や地域社会の信頼を確立してまいりたいと考えております。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループの経営環境は「少子高齢化社会」で表現されるように、2025年には75歳以上の高齢者は全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推測されております。
少子化により児童数は減少していますが、共働きの子育て世代が増え東京圏に人口が集中していることから、東京圏では待機児童が発生していることに加え、2023年4月に創設された「こども家庭庁」は、こどもと家庭の福祉の増進・保健の向上等の支援、こどもの権利利益の擁護を任務としており、多様化する保育ニーズへの対応が求められております。
また、厚生労働省は高齢化社会への対応策として「地域包括ケアシステム」を推進し、医療、介護、生活支援、高齢者住宅の整備に取り組んでおり、当社グループはこうした市場環境を活かし、「地域包括ケアシステム」の担い手として、当社グループのミッションである「少子高齢化社会の課題を解決し、地域社会を明るく元気にする」の実現に向け、当社グループの医薬、子育て支援、介護事業の連携により、「地域包括ケアシステム」のまちづくりを推進し、事業の成長を実現する方針です。
地域包括ケアシステムの実践例として、当社グループはこれまでに、ミアヘルサオアシス和光(官民協働モデル)、ミアヘルサケアヴィレッジひばりが丘(団地再生モデル)の実績があります。
また、2020年8月にサービス付き高齢者向け住宅「ミアヘルサオアシス東新小岩」に「在宅ホスピス専用フロア(定員15名)」を開設、2021年9月には川崎市に「在宅ホスピス対応型ホーム(定員44名)」として住宅型有料老人ホームを開設し、2023年8月には流山市に「ホスピス対応型ホーム(定員61名)」を開設いたしました。国策に沿った複合的なサービスを一体提供することによって「地域包括ケアシステム」を実現できることは3事業を展開している当社グループの特徴であると考えております。この当社グループの特徴を活かしつつ、行政や大手デベロッパーと協力して、高い収益性を確保できる地域包括ケアシステムのさらなる開発を推進し、少子高齢化社会の課題解決をもって地域社会に貢献してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業計画の達成状況に関するチェックと対策に月次単位で取り組んでおり、具体的には、損益報告による計画と実績の差異について検討と対策を実施し、併せて事業セグメント別に計画達成のキーとなるKPIを設定して、計画と実績の差異について検討と対策を実施しています。
以下、事業セグメント別のKPIについて説明いたします。
①医薬事業
a 処方箋枚数
来客数を表すKPIです。
b 処方単価
客単価を表すKPIです。なお、処方単価は大きく分けて、薬剤料単価(医薬品自体の売価)と技術料単価(各種調剤加算)に分解されます。
c 後発品調剤率
調剤のうち、後発品(ジェネリック医薬品)を処方した割合です。国の方針として、80%の後発品調剤率を目指しており、診療報酬もこれに応じた設定がなされております。国が定める率を満たすことで、後発医薬品調剤体制加算がとれ、技術料単価が上昇することからKPIとしております。
d かかりつけ薬剤師指導料(件数)
国が方針として掲げる「かかりつけ薬剤師」としての調剤を行った際に得られる加算(技術料)です。勤続年数等の一定の基準を満たした薬剤師が患者様から「かかりつけ薬剤師」の同意書を得ることにより算定できます。かかりつけ薬剤師としての処方件数が増えることで、技術料の増加につながるとともに、リピーターの増加にもつながることからKPIとしております。
e 在宅処方件数
地域包括ケアシステムを推進する中では、来局した患者様に対する対応だけではなく、介護施設や患者様のご自宅へ薬剤師が訪問し、在宅処方を行うことが求められます。一定以上の在宅処方を行うことで、技術料の増加につながることからKPIとしております。
②子育て支援事業
a 受入児童数
保育園は児童の年齢別に定員が設定されており、受入児童数が定員に近い水準で推移することが経営上も重要であるためKPIとしております。
b 保育士採用におけるエントリー数、園見学数、選考面接数
保育士の採用について、採用説明会等へのエントリーを増やし、園見学へとつなげ、選考面接・内定への成約数を向上させることで、安定的な園運営、及び保育園数の拡大が可能になるため、KPIとしております。
③介護事業
a サービス付き高齢者向け住宅の入居率
サービス付き高齢者向け住宅(ミアヘルサオアシス)を地域拠点としたドミナント方式の事業展開を図る当社にとって、入居率の向上と安定推移は、付帯する介護サービス(デイサービス、訪問介護等)の利用者数増加につながるため、KPIとしております。
b 平均要介護度
介護報酬の金額は要介護度によって決定されるため、KPIとしております。
c デイサービス(通所介護)の利用者数
デイサービスは、施設規模に対する利用者数が適正に高い水準であることが重要になるため、KPIとしております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①少子高齢化社会の到来に伴う国の財政逼迫と各種政策補助の減少
少子高齢化社会の到来による高齢化率の上昇は、医療費・介護費の増大を招くため、国は医療費・介護費を抑制しています。国の財政難による調剤報酬や介護報酬引き下げは、調剤薬局と介護事業を運営する当社グループの売上の減少という形で経営に大きく影響することから、国の方針への早期対応により調剤報酬・介護報酬の各加算項目の早期取得を志向し、医薬・子育て支援・介護事業の機能をワンストップで提供することによって、売上を伸ばす必要があるものと認識しております。また、成長コンセプトを明確にした新サービスの開発を行うことにより収益性の向上を目指します。
②待機児童の減少
少子化による待機児童の減少によって全国的に保育園の入園希望者が減少する懸念があります。当社グループは、待機児童率が高い市区町村(特に東京圏の駅前立地)を条件として計画的に認可保育園の開園を進めつつ、公立保育園の民間委託事業の受託や学童保育といった、子育て支援サービス展開を模索し、挑戦してまいります。
また、2023年4月に「こども家庭庁」が創設されたことで、保育ニーズの多様化に対応するとともに、「保護者に選ばれる保育園」づくりに注力してまいります。
③有資格者の確保
当社グループ事業においては、薬剤師、介護福祉士、保育士といった有資格者の確保が必要不可欠であります。新卒・中途問わず、地方における採用を強化し、各資格者の専門性を活かした事業本部別の就業体系・人事給与制度を構築し、柔軟な勤務環境を整備することで人材の育成・強化を図ります。
④コンプライアンスへの取り組み
当社グループの事業領域に関する各種関連法令に対し、厳格に遵守するとともに、個人情報管理についても、法律に則した取り扱いを徹底しております。コンプライアンスへの取り組みとして、人事総務本部・経営企画本部・内部監査部門との連携を図り、社内規程の整備、徹底した社員教育を実施することで、コンプライアンス遵守への意識を高めてまいります。
⑤競争力の強化
ブランディングプロジェクトを継続して推進し、各事業本部のコンセプトを明確にした活動に取り組み、地域集中出店(ドミナント出店)を意識した開発を行うことにより、地域の認知度を高め、ブランド力を強化いたします。
⑥多様性のある管理者の育成
店舗及び施設管理のための管理者の育成と「働き方改革」を課題として掲げており、多様な能力・創造性の発揮を可能にする人事制度の構築と、多様な人材を管理者として登用するための管理者教育を積極的に進めてまいります。
⑦業務の効率化
労働集約型の事業、併せて多店舗展開を行っている当社グループにとって、各拠点で行う業務の効率化と本社部門で行うデータの収集・分析は収益に直結することから、業務のマニュアル化及び標準化、更にはIT化による業務の効率化が課題と考えております。
⑧自己資本比率の向上
財務上の課題として自己資本比率の向上が必要と考えており、有利子負債を圧縮することによる総資産の軽減に取り組み、併せて戦略的投資による成長分野の収益拡大とキャッシュ・フローの充実を行い、着実な利益拡大により自己資本比率の向上を図ります。
なお、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額について基準を充たしておりませんでしたが、2025年3月末時点でスタンダード市場のすべての上場維持基準に適合していることを確認しており今後も上場維持に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「子どもから高齢者まで全世代が繋がり、お互いを支え合う地域づくりに貢献する」のパーパスのもと、調剤薬局・子育て支援・介護事業を展開することで、少子高齢化社会の課題解決に貢献すべく、「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」をミッションに掲げております。
当社グループでは、ステークホルダーへの主な社会的責任を果たすべく、パーパスに基づく事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが、私たちに期待されているサステナビリティ(持続可能性への取り組み)と考えております。
取締役4名及び監査等委員である取締役3名を中心に、サステナビリティに関する議論をしており、当社グループの方針について検討しております。当社グループの経営理念のもと地域包括ケアシステムの構築を目指す事業活動を通じて社会課題の解決を図ってまいります。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループのミッションは「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」であり、これを果たしていくためには、人材育成が最重要と考えております。当社グループでは、人事理念として「従業員は会社の根幹であり、最大の財産です。従業員一人ひとりの成長こそが会社の成長です。」を掲げています。多様性と自律・主体性を備えた個人の成長が、企業の価値創造の源泉であると考え、人材育成方針として「多様な人材が能力を最大限に発揮し、チームとして協力し合いながら、組織目標を達成し、会社とともに成長する職場をつくります。」、「社員一人ひとりが誇りをもって、健康で活き活きと働くことができる職場をつくります。」の2つのテーマのもと、社員の成長が当社グループの成長へとつながる仕組みづくり推進しています。
当社グループでは、グループ全体的なリスク管理は、リスク・コンプライアンス委員会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクについて、サステナビリティに関する推進体制の構築する過程で、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、リスク・コンプライアンス委員会との連携のもと検討・推進体制の構築を図っていきたいと考えております。
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営むミアヘルサ株式会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ.全社共通事項について
1.有資格者の採用について
当社グループの医薬事業(調剤薬局)、子育て支援事業、及び介護事業においては、資格要件を充足した従業員による役務提供を義務付けられており、かつ、法令等による人員基準の定めがあることから、事業運営上、薬剤師・介護福祉士・保育士・看護師等の有資格者の採用が継続的に必要となります。当社グループは、有資格者の積極的な採用活動を行っていますが、これら有資格者の確保が困難な状況になった場合、新規事業所開設遅延や既存事業所の運営計画の修正等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.個人情報管理について
当社グループは、利用者情報(病歴及び薬歴など含む)などの個人情報を個人情報保護法等に基づき取得・保管し、取り扱っております。個人情報の適正な取得及び利用管理を行うため、当社グループでは個人情報保護規程を定め、全社員への教育研修等を通して、個人情報の漏洩防止に努めております。また、プライバシーマークの取得を行い、個人情報保護についての管理水準の維持・向上を図っております。
しかしながら、当社グループにおいて、万一個人情報の漏洩があった場合、利用者に対する損害賠償の発生や当社グループに対する行政処分、それらに伴う社会的信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.食品の衛生管理について
当社グループは、子育て支援事業、介護事業において園児・利用者に食事等を提供するとともに、食品事業では、食材を学校・施設等に提供しております。これらの事業においては、食品衛生法に基づき、厳正な食材管理及び衛生管理を実施し、食中毒や異物混入等の事故を起こさないよう厳格な管理をしております。
しかしながら、万一事故が発生し、当社グループの利用者である高齢者や園児を含む年少者等の症状が重篤化するなどした場合、利用者に対する損害賠償の発生や社会的信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.事業所開設について
当社グループの医薬事業、子育て支援事業、介護事業においては、事業所の立地が業績を左右する重要な要素となるため、当社グループにおいては、事業所の開設にあたり緻密なマーケティングを行い、採算性の評価を十分に行った上で事業所開設の意思決定をしております。
しかしながら、当社グループの事業所開設基準を満たす立地が確保できない場合、新規事業所の開設が進まないことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、保育園の開設については、自治体からの公募を受け新園の開設を行っているため、待機児童数の減少等、需要の減少により、自治体からの公募が減少し、当社グループの事業所開設計画に大幅な乖離が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、医薬事業における売上は、処方箋を発行する医療機関に依存する割合が高く、応需率の高い医療機関の動向や休廃業等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
5.長期賃貸借契約の締結について
介護事業におけるサービス付き高齢者向け住宅・グループホーム等の開設、及び子育て支援事業における保育園の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資リスクを抑制するために、長期にわたる賃貸借契約を締結しております。
今後、事業環境の変化等により、当社グループの施設利用者が減少し、運営事業所の採算が計画を下回る等の事象の発生により、事業所の閉鎖を余儀なくされる場合、当該契約の中途解約による違約金などの支払いが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.減損会計の適用について
当社グループの保有する固定資産は、その大半が事業所の運営に供されておりますが、事業環境の変化や経済的要因により、収益性が著しく低下し、事業所ごとの投資回収が不可能となった場合、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は株式取得による会社の買収に伴いのれん等の計上をしております。今後、当初の想定に比べ事業運営が計画どおり進まない場合には、のれん等の減損処理を行うことにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
7.消費税等の影響について
医薬事業・介護事業における保険売上は消費税法により非課税となる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。このため、当社グループは消費税等の最終負担者となっておりますが、今後、消費税率が改定され、調剤報酬がその消費税率の上昇分に連動する形で改定されない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
8.業績の季節変動について
当社グループにおいては、医薬事業の調剤売上が全体の40%超を占めております。調剤売上はその性質上、インフルエンザや花粉症等疾患の流行する時期に偏重する傾向にあり、これらの疾患の流行状況によって処方箋が増減するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおける保育所の園児数は、前年度末に卒園した5歳児に代わり、期首より、新生児(0歳児)及び、1歳児の受入れが始まりますが、月を追うごとに園児数が増加し、毎年7月~8月くらいから増加する傾向にあります。そのため、第1四半期(4月~6月)の収益性が低くなる傾向にあり、第2四半期(7月~9月)以降から収益性が高くなる傾向にあります。このため、新生児等の受入が遅れた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
9.資金調達について
当社グループは、新規事業所の開設資金・内装改装費等の設備投資資金の大部分を金融機関からの借入金によって調達しております。したがって、急激な金利変動など金融情勢の変化が生じ、金利負担が増加した場合や、計画通りの資金調達ができない場合には、新規事業所の開設ができないことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の完全子会社が取引金融機関との間で締結しているシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約については、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば期限の利益を失うため、直ちに債務の弁済をするための資金が必要になり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
10.風評等の影響、地域との関係について
当社グループのサービスは、利用者やその家族のみならず、地域の方々からの信頼のもとに成り立っているものと認識しており、日頃から従業員に対して経営理念の浸透や高品質なサービス提供をするよう指導や教育を行っております。しかしながら、当社グループが事業を展開する業界において、介護施設や保育園における事故等、安全性をおびやかすような事象が発生し、当社グループに不利益な風評が流れた場合には、当社グループのサービスに対して、報道等により消費者の不安心理が高まり、利用者が減少する等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
11.大株主について
当社の取締役会長である青木勇は、当社の大株主であり、自身の財産保全会社である株式会社スリーユ及び親族の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の52.7%を所有しております。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社グループと致しましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
12.感染症等の流行について
新型コロナウイルス感染症を含む感染症の流行に対して当社グループは、対策本部を立ち上げ、各事業に課せられた社会的意義を全うしながら、患者様、ご利用者様および社員の安心安全を守るために社内連絡体制の見直しと強化、感染防止策の徹底を敢行しております。
こうした感染症の流行や拡大による影響としては、介護事業の通所介護の利用者の利用自粛による利用者数の減少があり、子育て支援事業では、保護者の就業率低下による一時的な保育ニーズの減少等、今後の経過によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
13.気候変動に伴う自然災害等について
気候変動に伴い、介護事業において、ご入居者様が酷暑の影響で体調を崩し、長期入院のまま退去・ご逝去することにより空室が発生する可能性や、大型台風による事業所の一時休止を余儀なくされる可能性があります。
なお、当社グループは、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県内に事業拠点を有しており、地震や水害等の大規模な自然災害が発生した場合に備えて、リスク管理規程を制定し、また、BCP(事業継続計画)を策定しております。しかしながら、当社グループの想定を上回る規模で自然災害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ.医薬事業(調剤薬局)について
1.医薬事業の法的規制等について
当社グループの医薬事業においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)、健康保険法、薬剤師法に基づく各種許認可、免許、登録、届出等により、厚生労働省及び都道府県保健福祉部の監督の下、保険薬局及び調剤薬局を営業しております。当社グループは、手順書・マニュアルの整備・運用、法令研修の実施を行い、関連法令の遵守に努めておりますが、関連法令に違反した場合、または関連法令が改正された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
関連法令の主な内容は下表のとおりであります。
2.薬価基準及び調剤報酬の改定について
調剤薬局の売上高は、健康保険法に定められた薬価基準に基づく薬剤収入と、同法に定められた調剤報酬点数に基づく調剤技術に係る収入を主として構成されております。したがって、薬価基準の改定によって薬価が引き下げられた場合、当社グループでは、仕入価格においても引き下げを実現すべく、医薬品卸業者との協議を講じておりますが、協議動向により仕入価格の引き下げ幅と薬価引き下げ幅が乖離し、薬価差益が減少することになる可能性があります。また、薬価以外においても、調剤技術に係る報酬が法改正によって引き下げられた場合、調剤技術に係る収入が減少する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2014年4月1日以降の薬価の改定は下表のとおり実施されております。
(注)1.2014年4月の薬価改定率は、消費税率の引上げ分(+2.99%)を差引いて表示しております。
2.2019年10月の薬価改定率は、消費税率の引上げ分(+1.95%)を差引いて表示しております。
3.調剤過誤について
当社グループでは調剤過誤の防止のため、調剤過誤の自動チェックシステムを導入する等の対策を講じているとともに、危険薬剤等については薬剤師が重点的に鑑査を実施しております。また、万一に備え「薬剤師賠償責任保険」に加入することで当社グループの業績への影響を緩和する措置を講じております。
しかしながら、万一重大な調剤過誤が発生した場合、賠償金の支払いや、それに伴う利用者の信用及び社会的信用の低下を招くことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.他社との競合等について
当社グループが運営している調剤薬局は、大型総合病院前に開局される門前型調剤薬局を主としております。今後、当社が処方箋を応需している大型総合病院の敷地内に他社が薬局を開局した場合や、大型総合病院の外来患者が減少した場合、当社グループの調剤薬局の来店者数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ.子育て支援事業について
1.子育て支援事業の法的規制等について
当社グループの子育て支援事業において運営する認可保育園、東京都認証保育園、地域子育て支援拠点事業、学童クラブ等は、主に児童福祉法に基づく児童福祉施設となります。
今後、同法に基づく許認可の基準、人員・運営基準、公定価格、補助金制度などの変更等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、子育て支援事業に関する主な法的規制は次のとおりであります。
2.園児の安全管理について
当社グループがサービスを提供する園児は乳幼児であることから、転倒や異物誤飲、窒息等によって生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、保育園においては食事の提供が行われており、食中毒、集団感染等の危険性が相対的に高いと考えられます。当社グループは、保育手順や事故防止対策等については、職種別・階層別研修による従業員の訓練や職種別委員会の開催、業務マニュアルの遵守による業務の実施を行っておりますが、万一、事故や食中毒等が発生し当社グループの管理責任が問われた場合、当社グループの社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.少子化や待機児童数等の環境について
当社グループでは、女性の就業率上昇が進むことを念頭に政府が掲げた待機児童ゼロの達成目標を受けて、今後も自治体による待機児童解消に向けた取り組みが継続するものと考えております。
しかしながら、少子化、待機児童の減少等の理由により、入園する児童数が当初の見込みを下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.他社との競合等について
保育園の開設は自治体の審査基準によって選ばれます。したがって、競合他社が同自治体への保育園開設申請を行うことにより、当社グループの保育園開設計画が予定通り進捗しない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、児童育成事業においては、新規受託及び受託期間の満了に伴う再選定があり、自治体の審査基準によって選ばれます。競合他社が新規受託及び現在受託している事業所においても再選定により、受託できない可能性があります。
Ⅳ.介護事業について
1.介護事業の法的規制等について
当社グループの介護事業の主要なサービスである在宅介護事業(サービス付き高齢者向け住宅の併設サービス含む)は、介護保険法の適用を受けるサービスであるため、介護保険制度の影響を受けることになります。
介護保険制度は、3年毎に介護保険法の改正と共に介護報酬の改定が行われており、また、これに合わせて3年を1期とする市区町村における介護保険事業計画の策定が行われております。したがって、法令の改正により事業内容の変更を余儀なくされる場合や、介護報酬の引き下げ、介護サービス料金の自己負担割合の引き上げ等、介護給付費の伸びを抑えるための制度改正や報酬改定が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.訪問看護及び訪問介護等に必要な指定に係るリスク
当社グループは、訪問看護及び訪問介護を行うために「健康保険法」並びに「介護保険法」に基づく、各サービス事業者の指定を厚生労働省地方厚生局及び各都道府県知事から受けております。それぞれの指定には、資格要件、人員要件、設備要件及び運営要件が規定されており、これらの規定に従って事業を運営しております。
当社グループでは、看護師・介護士等の有資格者の入退社や新規施設の開設に伴い、自治体等の基準の確認及び変更に必要な届け出を怠らないよう細心の注意を払って運営しており、本書提出日現在、事業運営の継続に支障を来すような状況は生じておりません。しかしながら、これらの基準を遵守できなかった場合や診療報酬及び介護報酬等の不正請求が認められた場合には、指定の取消又は停止等の処分を受けるおそれがあります。特に介護保険法に基づく各種指定について、当社グループ内のいずれかの事業所が指定取消を受けた場合、当該事業所において、指定取消から5年以内における新たな指定の取得及び介護サービス事業所としての更新が出来なくなります。その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.利用者の安全管理・健康管理について
当社グループがサービスを提供する利用者は、介護度の高い高齢者が多いことから、転倒や誤嚥、誤薬、離設等によって生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、デイサービス、グループホーム及びサービス付き高齢者向け住宅等においては、食事等の介護サービスが行われており、食中毒、集団感染等の危険性が相対的に高いと考えられます。当社グループは、介護手順や事故防止対策等については長年の実績に基づいて従業員の訓練や業務マニュアルの遵守による業務の実施を行っておりますが、万一、事故や食中毒等が発生し当社グループの管理責任が問われた場合、当社グループの社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.他社との競合等について
当社グループの事業所の近隣地域に同種サービスの他社事業所が増加した場合、サービスの需要が飽和状態となり、当社グループ事業所の稼働率が低下し、利用者の増加が見込めなくなる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅴ.食品事業について
1.商品の品質評価について
当社グループは、利用者に安心・安全な食品をお届けするために、食品衛生法及び関連法令の遵守並びにJAS法等の基準に基づいた商品の販売を行っております。しかしながら、予期せぬ商品のトラブル等が発生し、当該商品を販売した当社グループに対する風評等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績及び財政状態の状況
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善する中、インバウンド需要の増加を背景とした消費増により、緩やかな回復基調で推移いたしました。
一方、円安・地政学リスクを背景とした原材料価格の高騰に伴う物価上昇圧力が強まるとともに、米国の今後の政策動向、世界的な金融引締めによる景気への影響等、景気の先行きの不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループでは、2024年4月1日付で、当社連結子会社のミアヘルサ株式会社とライフサポート株式会社との間で、ミアヘルサ株式会社を存続会社とする吸収合併を行いました。
また、2024年6月10日付で公表しました2025年3月期を初年度とする「中期経営計画(3ヵ年)」を新たに策定いたしました。中期経営計画の基本方針である「国の2大福祉政策である「子育て支援」・「高齢者支援」を地域に展開する」を具現化すべく、事業部間連携によるシナジー効果を発揮することで成長戦略の加速及び、営業利益率の向上による経営基盤の強化を図ってまいります。
業績につきましては、子育て支援事業において、令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた令和6年度補正予算における公定価格の増額改定が行われ、増収に寄与いたしました。
また、医薬事業において新規店舗の処方箋枚数が増加、介護事業において2023年8月に開設した「ホスピス対応型ホーム(定員61名)」の利用者数の増加したことに加えて、前連結会計年度に子育て支援事業及び介護事業における不採算事業所の閉鎖による効率化が図られたことで増益となりました。
なお、ミアヘルサ株式会社において、医薬事業、子育て支援事業及び、介護事業の一部事業所における収益性の低下等に伴い、固定資産の減損損失(特別損失)を計上いたしました。
この結果、売上高23,825百万円(前年同期比4.9%増)、営業利益641百万円(前年同期比62.2%増)、経常利益644百万円(前年同期比72.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益299百万円(前年同期比5,320.9%増)となりました。
<セグメントごとの経営成績>
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「保育事業」としていた報告セグメントの名称を「子育て支援事業」に変更しております。当該変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
(医薬事業)
当連結会計年度において、2024年7月に医療モール型薬局(東京都立川市)1店舗を出店いたしました。また、医療モール型薬局1店舗(2025年4月開局予定)の開局に向けた準備を進めてまいりました。
業績につきましては、処方箋枚数は、2024年1月及び、2024年7月に開局した新規店舗の処方箋枚数が増加したことで前年同期比106.0%となりました。
処方箋単価につきましては、後発医薬品調剤体制加算等への取り組みを強化及び、「かかりつけ薬局」としてのサービスの充実に努めてまいりましたが、2024年4月に実施された調剤報酬改定・薬価改定の影響で低下いたしました。
この結果、売上高9,582百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益519百万円(前年同期比4.8%減)となりました。
なお、当連結会計年度末における調剤薬局店舗数は、43店舗(前連結会計年度末比+1店舗)となりました。
(子育て支援事業)
当連結会計年度において、認可保育園1園及び学童クラブ1ヵ所を開設いたしました。また、2025年3月末で学童クラブ等2ヵ所の業務受託が終了いたしました。
業績につきましては、待機児童の減少に伴い、既存保育園を中心に園児数が減少いたしましたが、2023年4月及び、2024年9月に開設した認可保育園、2024年4月に開設した学童クラブの業績が寄与いたしました。
また、こども家庭庁において、令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた令和6年度補正予算における公定価格の増額改定が行われ、増収に寄与いたしました。
利益面につきましては、2024年3月末に不採算であった東京都認証保育園の閉園により効率化が図られたことで、採算性が向上いたしました。
この結果、売上高9,736百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益1,070百万円(前年同期比22.3%増)となりました。
なお、当連結会計年度末における運営事業所数は、77事業所(前連結会計年度末比±0事業所)となりました。
(介護事業)
当連結会計年度において、1事業所(訪問看護事業所)の閉鎖を実施いたしました。また、2025年2月に1事業所(特定施設入居者生活介護事業)を事業譲渡いたしました
業績につきましては、2023年8月に開設した「ホスピス対応型ホーム(定員61名)」のサービス付き高齢者向け住宅及び併設事業所3事業所(居宅介護支援事業所1事業所、訪問介護事業所1事業所、訪問看護事業所1事業所)の利用者数が増加したことに加え、既存事業所のサービス付き高齢者向け住宅の入居率が高稼働で推移したことで、併設事業所の利用者数も安定的に推移したことで、増収となりました。
また、利益面につきましては、前連結会計年度に実施した不採算事業所の閉鎖による効率化が図られたことで、黒字転換となりました。
この結果、売上高3,543百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益9百万円(前年同期実績:セグメント損失131百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末における介護事業所数・施設数は、63事業所(前連結会計年度末比△2事業所)となりました。
(その他(食品事業))
学校給食部門において、物価上昇の影響等により低調に推移いたしました。
また、当社がフランチャイジーとして店舗展開している銀のさら(3店舗)の業績につきましては、物価高騰による原材料費等の高騰に伴い、生産コストを販売価格への転嫁を図りましたが、宅配食ニーズの落ち込みに加え、販売価格の値上げにより顧客数が減少した影響で増収・減益となりました。
この結果、売上高963百万円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益15百万円(前年同期比42.5%減)となりました。
<財政状態の状況>
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、5,458百万円となり、前連結会計年度末に比べ4百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が273百万円、未収入金が29百万円減少したもの、売掛金が252百万円、商品が56百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、7,818百万円となり、前連結会計年度末に比べ537百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が417百万円減少、無形固定資産が45百万円減少、投資その他の資産が73百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、13,277百万円となり、前連結会計年度末に比べ532百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、6,475百万円となり、前連結会計年度末に比べ369百万円減少いたしました。これは主に、未払法人税等が313百万円、賞与引当金が192百万円増加したものの、短期借入金が620百万円減少、未払金が196百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が46百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、3,007百万円となり、前連結会計年度末に比べ651百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が326百万円、繰延税金負債が253百万円、長期未払金が56百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、9,482百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,021百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、3,794百万円となり、前連結会計年度末に比べ488百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により299百万円増加したことと、資本金及び資本剰余金が、新株予約権の行使により、それぞれ133百万円増加したこと、及び配当金の支払いによる77百万円の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は28.6%(前連結会計年度末は23.9%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、1,532百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は1,010百万円(前連結会計年度は1,594百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益486百万円、減価償却費564百万円、減損損失426百万円、賞与引当金の増加額192百万円、未収入金の減少額86百万円であり、主な減少要因は、未払金の減少額271百万円、売上債権の増加額252百万円、法人税等の支払額127百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は455百万円(前連結会計年度は336百万円の支出)となりました。主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出510百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は853百万円(前連結会計年度は610百万円の支出)となりました。主な増加要因は長期借入による収入300百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入265百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出673百万円、短期借入金の減少額620百万円、配当金の支払額77百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.「その他」には食品事業が含まれます。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「その他」には食品事業が含まれます。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営者は、以下に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っています。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果は、これら見積りと異なる場合があります。当社グループが採用している会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、重要なものは以下のとおりです。
・固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に関する会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2020年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日))を適用しています。
将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、子育て支援事業において、令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた令和6年度補正予算における公定価格の増額改定が行われ、増収に寄与いたしました。また、医薬事業において新規店舗の処方箋枚数が増加、介護事業において2023年8月に開設した「ホスピス対応型ホーム(定員61名)」の利用者数の増加により、23,825百万円(前年同期比4.9%増)となりました。
以下、各事業における経営指標(KPI)の分析です。
(医薬事業)
以下の5つをKPIとしております。
(a) 処方箋枚数、(b) 処方単価は外部環境・行政方針に影響を受けるものであり、(c) 後発品調剤率、(d) かかりつけ薬剤師指導料(件数)、(e) 在宅処方件数は企業努力により向上が図れる指標です。
処方箋枚数については、大学病院の逆紹介による門前薬局の処方箋枚数の減少があったものの、新規出店効果による処方箋枚数の増加に伴い、前連結会計年度の実績を上回る実績となりました。
処方箋単価につきましては、後発医薬品調剤体制加算の強化及び、「かかりつけ薬局」としてのサービスの充実等の調剤技術料の加算獲得を図ってまいりましたが、処方箋単価の低いクリニック処方の割合が増加したことと、2024年4月に実施された調剤報酬改定・薬価改定の影響により、前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。
(a) 処方箋枚数
当連結会計年度の処方箋枚数は692,917枚(前連結会計年度は653,680枚)となりました。
これは、既存店舗の処方箋枚数が低下したものの、新規出店効果により大幅に処方箋枚数が増加したことによるものです。
(b) 処方単価
当連結会計年度の処方箋単価は13,749円(前連結会計年度は14,178円)となりました。
これは、2024年4月に実施された調剤報酬・薬価改定の影響及び、処方箋単価の低いクリニック処方の割合が増加したことによるものです。
(c) 後発品調剤率
当連結会計年度の後発品調剤率(年間平均)は87.6%(前連結会計年度は83.6%)となりました。
(d) かかりつけ薬剤師指導料(件数)
当連結会計年度のかかりつけ薬剤師指導料の算定件数は8,882件(前連結会計年度は8,981件)となりました。
(e) 在宅処方件数
当連結会計年度の在宅処方件数は16,682件(前連結会計年度は15,305件)となりました。
(子育て支援事業)
以下の2つをKPIとしております。
(a) 受入児童数は、自治体からの園児の受け入れに影響を受けるものです。
人材確保が保育所運営に大きな影響を及ぼすため、(b) 保育士採用におけるエントリー数、園見学数、選考面接数という指標を設けて、企業努力により人材の確保を行っております。
受入児童数については、新園の開園により園児数が増加したものの、不採算事業所の閉鎖および既存保育園の園児数の減少により、受入児童数が落ちております。
また、エントリー数、選考面接数は、前事業年度を上回る実績となったことで、人材の確保ができました。
(a) 受入児童数
当連結会計年度の受入児童数は36,209人(前連結会計年度は36,605人)となりました。
これは主に、既存認可保育園の園児数の減少によるものであります。
(b) 保育士採用におけるエントリー数、園見学数、選考面接数
当連結会計年度の保育士採用におけるエントリー数(中途採用)は3,028名(前連結会計年度は2,051名)、園見学数(新卒)は437名(前連結会計年度は361名)、選考面接数(新卒)は145名(前連結会計年度は130名)となりました。
(介護事業)
以下の3つをKPIとしております。
これらの内容については、全て当社グループの営業努力で改善が図れるものであります。
サービス付き高齢者向け住宅の入居率につきましては、前連結会計年度に引き続き、営業活動の強化を図ってきたことにより前連結会計年度の実績を上回る実績となりました。
デイサービス(通所介護)の利用者数につきましては、前連結会計年度に閉鎖した不採算となっていた事業所の利用者数が減少したことで、前連結会計年度の実績を下回る実績となりましたが、サービス付き高齢者向け住宅の入居率が高稼働で推移したことにより、併設のデイサービスの稼働率が安定的に推移いたしました。
その結果、これらの指標については以下のとおりとなりました。
(a) サービス付き高齢者向け住宅の入居率
当連結会計年度のサービス付き高齢者向け住宅(特定施設含む)の平均入居率は95.3%(前連結会計年度は92.2%)となりました。
(b) 平均要介護度
当連結会計年度のサービス付き高齢者向け住宅(特定施設含む)の平均介護度は1.9(前連結会計年度は2.1)となりました。
(c) デイサービス(通所介護)の利用者数
当連結会計年度のデイサービス(認知症対応型含む)の利用者数は63,569人(前連結会計年度は64,593人)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は、医薬事業の売上高増加に伴う仕入高の増加、子育て支援事業・介護事業における新規事業所・保育園の開設に伴うコスト増加の要因等もあり、21,433百万円(前連結会計年度は、20,558百万円)となりました。
なお、売上原価率は、90.0%(前連結会計年度は、90.5%)となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,750百万円(前連結会計年度は、1,769百万円)となりました。減少要因の主な内容は、介護事業における不採算事業所の閉鎖等により、人件費等のコストが減少したことによるものであります。
なお、売上高販管費率は、7.3%(前連結会計年度は、7.8%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、641百万円(前連結会計年度は、395百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、104百万円(前連結会計年度は、99百万円)となりました。主な内容は、賃貸収入68百万円、その他34百万円であります。
当連結会計年度の営業外費用は、101百万円(前連結会計年度は、120百万円)となりました。主な内容は、賃貸原価60百万円、支払利息37百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は644百万円(前連結会計年度は、374百万円)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、268百万円(前連結会計年度は、49百万円)となりました。主な内容は、設備等補助金収入140百万円、受取補償金78百万円、事業譲渡益50百万円であります。
当連結会計年度の特別損失は、426百万円(前連結会計年度は、359百万円)となりました。主な内容は、減損損失426百万円であります。
法人税等は、186百万円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担税率は、38.3%となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、299百万円(前連結会計年度は、5百万円)となりました。
b.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
e.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原価に係る人件費、商品の仕入れ、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、薬局・保育園・介護施設等の開設に伴う設備投資によるものであります。
当社グループの基本的な資金調達手段は、短期の運転資金ニーズについては、金融機関からの短期借入で行い、設備投資や長期の運転資金ニーズについては、金融機関からの長期借入で行う方針です。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行8行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約(極度額3,300百万円(本書提出日現在))を締結しております。
2024年4月1日前に締結されたコミットメントライン契約及びシンジケートローン契約書については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
該当事項はありません。