第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。

「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をバリューとし、当社グループ共通の価値観を醸成するとともに、企業が果たすべき社会的責任についての理解を共有し企業施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。

また、当社は、ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。

 

(2) 目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略

当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所(以下、総称して事業会社3社といいます。)の完全親会社として設立されました。当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社3社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、最適なサービスを提供していきます。

これらの実現のため、『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』及び『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』を策定しました。当社及び事業会社3社の「目指す姿」、それを実現するための中長期経営ビジョンの内容は以下のとおりです。

 

中期経営計画『INFRONEER Medium-term Vision 2024』の概要

Ⅰ.会社概要

商号

インフロニア・ホールディングス株式会社

(英文名 INFRONEER Holdings Inc.)

設立

2021年10月1日

資本金

200億円

機関設計

指名委員会等設置会社

証券コード

5076(東京証券取引所プライム市場)

Vision

どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。

Mission

インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。

Value

社会・地域の安全安心とサステナビリティ

 

 

 

Ⅱ.経営環境認識

当社グループを取り巻く現状の経営環境については、以下のとおりと認識しています。

今後、国内の新規建設の請負市場は、財政上の制約から縮小していくと予測

・その解決策として、官民連携によるインフラの維持管理・更新や新規建設の新たな市場が拡大すると予測

さらにカーボンニュートラルに向けた政策推進により、再生可能エネルギー市場も急速に拡大すると予測

・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須

・長期的な企業成長のためには、ESG経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須

デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務

 

Ⅲ.我々が目指す姿

当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。

・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する

・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する

・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す

 


 

 

Ⅳ.戦略三本柱と重点施策

当社グループが「目指す姿」の実現のために戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。

・「生産性改革」:付加価値の最大化、固定費・管理コストの適正化、グループ金融戦略の推進

・「新たな収益基盤の確立」:インフラサービスにおける国内外での地位確立、事業領域のさらなる拡大

・「体質強化・改善」:グループ人材戦略の推進、ガバナンス強化

 


 

Ⅴ:経営目標数値

2024年度の目標数値は以下のとおりです。

 

2024年度目標

 

 

2024年度までに

売上高

8,750億円

 

自己株式の取得

400億円以上

営業利益

590億円

 

 

 

純利益

400億円

 

 

 

 

(注)1.営業利益及び純利益については、国際財務報告基準(IFRS)を基準としており、のれん償却を計上していない数値となっています。

2.自己株式の取得については、2021年11月16日より200億円を上限とする取得を開始し、2022年4月13日までに取得が完了しています。また、2022年8月12日より100億円を上限とする取得を開始し、2023年3月2日に取得が完了しています。さらに、2023年5月11日開催の取締役会において、東京証券取引所における市場買付により、取得期間を2023年6月1日から2024年3月31日までとし、取得価額の総額として100億円(12,500,000株)を上限とする自己株式の取得を決議しています。

 

 

 

また、中長期経営計画『INFRONEER Vision 2030』において、マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針を以下のとおり定めています。

 

マルチステークホルダーに対する付加価値分配

 当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。

・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進

・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化

・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立

・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す

 

2030年度の目標数値及び2021年度からの配当性向を以下のように定めています。

 

2030年度目標

 

 

2021年度以降

営業利益

1,000億円以上

 

配当性向

30%以上

純利益

700億円以上

 

 

 

ROE

12%以上

 

 

 

 

(注)営業利益及び純利益については、国際財務報告基準(IFRS)を基準としており、のれん償却を計上していない数値となっています。

 

(3) 会社の経営環境と対処すべき課題

今後の景気の見通しにつきましては、ウィズコロナの下で経済社会活動の正常化が進んでおり、各種政策の効果もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されます。

しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や世界的な政策金利の引き上げ等が続く中、原油価格等の高騰や株式・為替等の金融資本市場の変動、供給面での制約等が当社グループの事業活動に及ぼす影響に引き続き、十分注意する必要があります。 

当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政が今後ますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足のさらなる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題への対応等が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。

このような状況の中、当社は、これらの社会課題の解決とグループ全体が永続的成長を遂げることを目的とし、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。

これまで以上に当社グループ間でのシナジーを向上させ、人材開発への積極的投資やIT・DX等のデジタルツールの活用拡大の推進、生産性の向上や新たな収益基盤の確立と収益力の向上、ガバナンスの強化・改善により経営のさらなる強化をグループ全体として推し進めていく所存です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

当社は、「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」をビジョン(目指す未来)に掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」をミッション(使命)と定め、「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をバリュー(約束する価値)とし、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。

当社の考えるサステナビリティは、「インフラサービスを取り巻く社会課題の解決に取り組み、自社の成長と企業価値向上に努め、良質なインフラサービスの提供とその社会的価値向上を図り、社会に貢献する企業」を目指す事業活動そのものであると考えています。

 

<ガバナンス>

当社は、全執行役及び事業会社CSR担当役員を委員とするサステナビリティ委員会を設置しています。定期的にサステナビリティ委員会を開催し、サステナビリティ全般に関する基本方針や重要事項について検討を行い、グループ全体のサステナビリティを推進しています。また、サステナビリティ委員会における検討内容は、定期的に取締役会に報告し、取締役会の監督が適切に行われるよう体制を整えています。

 


 

<戦略>

当社の考えるサステナビリティは上記のとおり、当社の事業活動そのものです。

サステナビリティに関する課題及びマテリアリティの特定にあたっては、少子高齢化や財源不足、担い手不足などわが国のインフラが抱える課題や当社グループを取り巻くステークホルダー、バリューチェーンなどの分析を行いました。

課題の抽出・統合・絞込みを行い、マテリアリティとして「安全安心とより快適な社会の創造」、「攻めの環境配慮社会の実現」、「バリューチェーンの強化」、「守りの環境配慮社会の実現」、「価値創造人財と相互尊重」、「ガバナンスの強化」を特定しています。これらのマテリアリティの解決を通じて、事業を通じた社会課題解決及び事業基盤の強化に取り組み、社会の持続的な発展とグループの持続的な成長の両立を目指します。

これら6つのマテリアリティは、中長期経営計画の戦略三本柱「生産性改革」、「新たな収益基盤の確立」、「体質強化・改善」とも連動しており、それぞれに2030年の中長期目標(達成ビジョン)及びKPIを定め、実現に向けた施策を実行・推進しています。

参照URL: https://www.infroneer.com/jp/company/integrated_report/materiality.html

 

 

<リスク管理>

マテリアリティ特定プロセスにおいて、事業会社(セグメント)別のサステナビリティに関するテーマについて、抽出・統合・絞込みを行い、29項目の重要テーマに分類し、グループ全体及び事業会社へ及ぼすリスク・機会を検討し重要性を評価しています。特に重要なテーマについては、各マテリアリティに対応するサブ課題として整理しています。

これらサステナビリティに関するリスク・機会に関して、サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会において具体的な検討を行い、リスクの低減及び機会の獲得・創出に努めています。

なお、リスク管理委員会については、「3.事業等のリスク」に記載しています。

参照URL: https://www.infroneer.com/jp/company/integrated_report/materiality.html

 

<指標と目標>

6つのマテリアリティに対して、サブ課題、2030年の中長期目標(達成ビジョン)、KPIを定め、目標達成に向けて進捗管理を行っています。上記ガバナンスにおいて各指標の進捗状況をモニタリングし、今後の取り組みに反映しています。

主なサブ課題、中長期目標、KPIは以下のとおりです。記載項目以外の内容については、当社統合報告書及びHPにて開示しています。

参照URL: https://www.infroneer.com/jp/company/integrated_report/materiality.html

マテリアリティ

サブ課題

2030中長期目標

(達成ビジョン)

KPI(2030年度目標)

安全安心とより

快適な社会の創造

インフラ運営事業の拡大(コンセッション事業を通じた社会課題

解決への貢献)

ポートフォリオの充実と

収益性拡大

請負と脱請負の営業利益比※50:50

攻めの環境配慮型社会の実現

再生可能エネルギーによる発電

及び発電施設の建設・運営

再生可能エネルギー関連事業の

拡大

開発した累積総発電量:100万MWh/年

バリューチェーンの強化

協力会社との連携強化/供給能力強化と生産性向上

協力会社の供給能力向上と

担い手育成

建設キャリアアップシステム現場登録率:2023年度100%

守りの環境配慮型社会の実現

バリューチェーン全体の温室効果ガス排出の削減

バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減を実現する

・スコープ1・2

2030年度40%削減(2018年度比)

2050年度排出実質ゼロ

・スコープ2

再生可能エネルギー(電力)利用率

2030年度RE60

2050年度RE100

・スコープ3

 2030年度までに40%削減(2018年度比)

価値創造人財と

相互尊重

グループ人財戦略の推進教育

(研修の充実と推進)

それぞれの社員にとって必要な

研修の完全受講を実現する

必要とされる研修への参加率100%

ガバナンスの強化

実効性あるガバナンス体制の構築

ステークホルダーから信頼されるガバナンス体制であること

・社外取締役比率:50%

・取締役会議長及び指名・報酬・監査委員長 

 への独立社外取締役起用

 

 ※脱請負(インフラ運営事業)の営業利益は利益貢献額(当社「統合報告書2022」85頁参照)

 

 

【気候変動への対応】

 気候変動に関する方針・考え方

気候変動は当社グループの重要経営課題のひとつであり、官民連携によるインフラの維持管理・修繕・更新や新規建設においても、カーボンニュートラルの取り組みが加わった新たな市場が急速に拡大すると認識しています。また、当社は2050年までのCO2排出量の目標値を「実質ゼロ」に設定し、取り組みを推進しています。

 

<ガバナンス>

気候変動を大きなリスクとして危機意識を強く持ちながらも、一方では機会として捉え、中長期目標を掲げ実現に向けた具体的な取り組みを実行しています。気候変動に関わる基本方針や重要事項については定期的にサステナビリティ委員会にて検討を行うとともに、取締役会の監督が適切に行われるよう体制を整えています。

 

<戦略>

当社グループは、気候変動が自社の事業に大きな影響を及ぼすものと認識しています。社会環境や市場の変化を踏まえ、「移行」及び「物理的変化」に関するリスクと機会を抽出・分析・評価しました。これまでも再生可能エネルギー事業の開発などを行うことによって、事業を通した環境課題・社会課題の解決に積極的に取り組んできました。引き続き、脱炭素社会の実現や持続的かつ自立型の地域づくりに繋がる事業の推進及び拡大を通じて付加価値の向上を図り、企業のサステナブルな成長を目指します。また、供給者として再生可能エネルギー事業を拡大するだけでなく、エネルギーを大量に消費する需要者としても省エネ化、木造・木質化、低炭素化技術の開発などを通して、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

<リスク管理>

2030年を想定し、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオを用いた気候変動シナリオ分析を実施し、「移行」と「物理的変化」に関するリスクと機会を評価し、今後の取り組みとして対応策をまとめています。

 


 

 

 


 

<指標及び目標>

当社グループでは、2050年までのCO2削減目標を以下のとおり定めています。


 

 

【人的資本への対応】

当社グループは、人財は付加価値最大化の原動力であるという考え方のもと、人財への投資が企業価値向上の起点であると認識し、積極的に投資を進めています。グループ人財マネジメントによってグループが求める人財像として標榜する「当事者意識を持って挑戦・共創する『価値創造人財』」を持続的に輩出し、企業価値向上を実現します。

 

(グループ人材戦略全体像)


 

 


 

価値創造人財の持続的輩出に向けて、当社グループの人財マネジメントにおいて重要と考えるテーマを、中長期人財戦略の4つの柱とし、重点施策を策定し、人財投資を進めています。具体的な施策においては、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重視し、多様な人財の確保、一人ひとりの成長と活躍に資するキャリア形成支援、制度及び環境整備を推進します。人財戦略および施策の推進により、今ある多様な人財の強みと新たに加わる多様な人財の強みを掛け合わせ、当社グループの経営戦略である「総合インフラサービス企業の確立」を実現します。なお、当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の「インフロニアグループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー」です。 

 

 

 

インフロニアグループ

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー

■ 前文

インフロニアグループは、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで、世界中に最適なサービスを提供する。」という使命をもち、多様な価値観やライフスタイルを持つお客様の日々の生活基盤となるインフラサービスを提供しています。多様性のある社会においてインフラサービスを提供し続けるためには、多様な価値観、属性、能力等を有し、共創するメンバーの一人ひとりが能力を最大限に発揮し、新たな価値を生み出していくことが必要であり、インフロニアグループは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進を重要な経営戦略として位置づけ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、以下の方針に基づき取り組みを進めていきます。

 

 方針

1. ダイバーシティを活かす
 私たちは、インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑むため、今ある多様な強みと新たに獲得する多様な強みを結集し、あらゆる意見とアイデアが溢れ出す、革新的かつ創造的な企業文化を醸成します。

2.   エクイティの追求
 私たちは、挑戦する一人ひとりに公平な機会が提供され、公正な評価や処遇を実現するための制度や環境を整えます。

3.   インクルージョンの推進
 私たちは、インフロニアグループに誇りを持ち、自分らしさを発揮できるよう、多様な人財の価値観、属性、能力、ライフスタイル等を尊重します。また、挑戦する一人ひとりの成長と活躍を実現するキャリア形成支援に取り組みます。

4.   トレーニングの提供
 私たちは、全ての人財とダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの重要性を共有し、企業文化を醸成するトレーニングの機会を提供します。

5.   パートナーシップの強化
 私たちは、パートナーと共にダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重視し、企業活動を通してより良い社会を作るための取り組みを推進します。

 

 

 

また、当社グループでは上記方針に関する指標として、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。測定可能な目標、指標については順次項目の新設や見直しに取り組んでまいります。

目標

会社名

指標/実績

障がい者雇用率

(注1)

女性社員雇用率

(注2)

女性技能社員雇用率

(注2)

障がい者、女性社員、

女性技能社員の雇用率を向上

前田建設

 2.12%

13.1%

22.6%

前田道路

2.61%

19.4%

6.5%

前田製作所

1.99%

14.1%

8.3%

 

 (注)1.障がい者雇用率は2023年6月1日時点のものです。

    2.女性社員雇用率及び女性技能社員雇用率は2023年3月31日時点のものです。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は、四半期に一度開催されるリスク管理委員会において網羅的に洗い出しを行い、リスクの発生頻度と影響度という2つの観点から重要性の高いリスク項目に対して具体的な検討を行っています。なお、リスク項目においては、マイナスの影響のみならず、プラスの影響も含まれることを念頭に、投資判断、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要とリスク管理委員会が判断した事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載を行っています。

また、当社グループにおいては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、マイナスの影響を与えるリスク発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

なお、以下の記載は当連結会計年度の末日(2023年3月31日)において判断したもので、当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。加えて、実際のリスク事象によりその発生時期、程度、影響度は異なりますので、この点にも留意が必要です。

 

(1)М&Aのリスク

  当社グループはインフラサービスにおける国内外での地位確立、事業領域のさらなる拡大を目指して、不足している領域や分野を補完するために有効な手段となる場合はМ&Aを実施していきます。М&A実施にあたっては市場動向や相手先企業の財務状況、技術優位性等を事前に調査・検討を行いますが、当初期待した買収効果を十分に発揮できないことにより、結果として当社グループの財政状態及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。買収効果の十分な発揮を妨げる主な要因としてМ&Aにより期待されるシナジー効果が十分に発揮されない場合、組織体系の相違等から、合理化等に時間を要する場合、М&Aに伴う経営インフラの整備・統合等により、当初期待した収益性の低下によるのれんの減損や想定外の追加費用が発生する場合等が考えられますが、 これらに限定されるものではありません。
 当該リスクに対しては、当社グループの成長戦略との整合性、当社グループの事業領域とのシナジー効果、投資対象先の事業計画等を慎重に調査・検討し、買収後はPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)やガバナンスを適切に行うことでリスクの最小化に努めます。
 

(2)災害リスク

 地震、津波、洪水等の自然災害、事故、感染症の流行、テロ行為等が発生した場合、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、長期的な気候変動の影響を考慮しBCP実行計画を策定し、その計画に基づいた訓練を実施することで災害発生時の損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る体制を構築することにより影響の最小化を図っています。
 感染症についても必要に応じて時差出勤やリモートワークといった勤務形態を行い、適宜検査・検温や消毒により拡大防止リスクの最小化に努めています。

 

(3)気候変動・環境リスク

 当社グループは、気候変動問題を重要経営課題のひとつとして認識し、気候変動に関わる基本方針や重要事項について、定期的にサステナビリティ委員会にて検討を行うとともに、取締役会の監督が適切に行われるよう体制を整えています。
 当社グループが事業を遂行するにあたり、工事現場・工場・研究所におけるCO2排出・騒音・振動・悪臭・粉塵など、社会環境に悪影響を与える重大な問題が発生した場合、当社グループの信用の失墜につながり、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、環境マネジメントシステムを効率的に運用し、継続的改善を行い、地球環境及び社会・生活環境の保全に積極的に取り組むとともに、建設廃材のリサイクル及びエネルギーや天然資源の消費量削減などに向けて、循環型社会形成システムの構築の推進に努めています。

 

 

(4)人材労務に関するリスク

 少子高齢化に伴う人口減少や人口の都市部集中と地方の過疎化などにより人材確保が困難になることで、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、過重労働やハラスメントにより従業員等の健康被害等の不利益が生じる他、労働基準法違反等によって行政処分等の対象になることにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、多様で柔軟な就業環境の整備、社員研修や福利厚生の充実等により新たな人材の確保を推進することで多様な人材が安心して働ける職場環境の構築に努めています。また、IT・DX等のデジタル技術の活用による生産性向上にも努めています。さらに、内部通報やこころとからだの健康相談ができる体制を展開し、ハラスメント等の抑制または早期発見に努めています。

 

(5)情報セキュリティ・ICTリスク

 事業活動を行う過程で顧客の機密情報のセキュリティについては細心の注意を払っていますが、万が一保護すべき情報が漏洩した場合には、顧客や社会からの信頼が失墜するとともに、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、デジタルトランスフォーメーションヘの適応、生産革新、業務の効率性及び正確性の確保のためにICTシステムの充実を図っていますが、想定外の不正な技術等に十分対応できない場合にも、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、情報セキュリティ方針に基づき、外部からの不正アクセスの防止、ウイルス対策及び暗号化技術の採用等のセキュリティ対策に努めています。またICTシステム導入時の検証、外部セキュリティ診断の実施により、リスクの発見に努めています。

 

(6)経済・財政状況の変化に伴うリスク

 当社グループの事業は、公共投資や民間投資の動向に大きく影響されます。公共投資において国及び地方公共団体等における財源の縮小により公共工事の削減が行われたり、民間投資において国内外の経済情勢の変化により企業の設備投資計画の縮小・延期等が行われた場合には、請負工事の受注減少や製品の販売減により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、土地等の資産を保有しているため、地価等の急激な変動により、減損損失が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、市場動向を注視した利益管理の徹底や製品開発・生産量の調整、安定顧客の獲得、技術開発による環境配慮型製品の展開や新規領域への拡大による幅広いニーズの獲得により、リスクの最小化に努めています。また、保有資産等については、適正な管理の徹底に努めています。

 

(7)資材調達リスク

 災害やその他の要因による原材料の供給不足や原材料・原油価格の高騰を請負価格や販売価格に反映することが困難な場合、調達コストの増加や納期の遅延が業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、価格動向のモニタリングによる予測精度の向上に取り組むほか、サプライヤー監査や調達先の多様化に努めています。 

 

(8)法的規制・コンプライアンスのリスク

 当社グループの事業は建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法、下請法、廃棄物処理法、建設リサイクル法、労働安全衛生法、労働基準法、品質確保法、個人情報保護法、会社法、金融商品取引法、各種の環境法令等により法的な規制を受けています。これらの法律の改廃、法的規則の新設、適用基準の変更等により、業績、事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。また、内部統制機能が十分に果たされず公正取引の確保や環境汚染等の法令違反、財務報告の虚偽記載等が発生した場合には、営業活動が予定通り実行できなくなることもあり、その際は業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、法令改正等を注視し、社内規程類を適宜改定するとともに、リスク管理委員会の開催や全役職員への各種研修の実施によりコンプライアンス体制の充実に努めています。

 

 

(9)製品・サービスの欠陥リスク

 製品・サービスの品質管理には万全を期していますが、万が一欠陥が発生した場合、顧客からの信頼を失うとともに、契約不適合責任及び製造物責任による損害賠償や対策費用の負担が生じる可能性もあり、その際には業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクに対しては、品質マネジメントシステムに基づき品質管理のPDCAサイクルを実施することで、製品・サービスの品質向上に努めています。

 

(10)事業戦略のリスク

 当社グループは充分な検討を重ねた上で事業の展開を図っていますが、予期せぬ経済情勢の変化やマーケットの急激な変化、気象条件の悪化等により、事業展開が予定通りに実行できず進行中のプロジェクトの収益が悪化する可能性があります。
 当該リスクに対しては、契約段階で、リスクが顕在化した場合のリスク分担をできる限り具体的かつ明確に規定し、業績への影響を最小限に留めるように努めています。

 

(11)金融リスク

 金融市場において、予期せぬ経済情勢の変化やマーケットの急激な変化等により、金利の変動または株式の減損の必要が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自己資本に大きな毀損が生じる場合にも一部の借り入れ取引に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失する可能性があります。
 当該リスクに対しては、市場の動向を注視し、適正な資金調達に努めています。 

 

(12)海外事業に伴うリスク

 海外での事業においては、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ、紛争、伝染病等が発生した場合や経済情勢の変化に伴う事業の縮小・延期等が行われた場合には、当該事業の損益が悪化する可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しており、為替レートの急激な変動により多額の為替差損益が発生した場合には、営業外損益が大きく変動する可能性があります。
 当該リスクに対しては、契約時における厳格な審査、平時からの情報収集、予防策の拡充等の危機管理機能の強化に努めています。 

 

(13)偶発債務のリスク

 発注者や協力会社が法的倒産等に陥った場合、売上代金の回収不能や製品・サービスの提供期間の遅れなどにより予定外の費用が発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。また、関係会社の借入金、工事入札・工事履行、ファイナンス・リース、デベロッパーに対するマンション売買契約手付金等に対し債務保証を行っているため、これら関係会社等の債務不履行が発生した場合には、債権者より保証の履行を求められる可能性があります。
 当該リスクに対しては、取引開始時の厳格な審査や対象者の経営状況のモニタリングにより早期の情報収集等の与信管理を行い、適切な債権保全策を講じることでリスクの最小化に努めています。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化や世界的な金融引き締め等が続く中、原油価格の高騰や円安の進行による物価上昇がわが国の景気を下押しする懸念が拭えないものの、ウィズコロナの下で経済社会活動の正常化が進んでおり、企業収益や雇用、個人消費など、総じて緩やかに持ち直してきました。

建設業界においては、公共投資と住宅建設は底堅く推移しており、設備投資については企業収益の改善等を背景に持ち直してきました。

このような状況の中、当社は、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。

当連結会計年度の経営成績は、売上高が前期比267億円(3.9%)増の7,096億円、営業利益は前期比30億円(8.0%)増の404億円となり、経常利益は前期比37億円(9.8%)増の417億円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比91億円(34.4%)増の358億円となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(建築事業)

 建築事業は、集合住宅や工場・物流施設を中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内建築工事において大型工事の受注により手持工事高が順調に推移しつつも、一部工事の着工時期遅れなどにより、売上高は前期比6億円(0.3%)減の2,154億円となりました。セグメント利益は物価上昇分を含む追加工事の獲得及び工事施工における利益向上の取り組みなどにより、前期比2億円(2.8%)増の87億円となりました。

 

(土木事業)

 土木事業は、橋梁やトンネルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内土木工事における期首大型手持工事の進捗が順調であったこと等により、売上高は前期比93億円(6.6%)増の1,520億円となりました。セグメント利益は、全社一丸となった施工支援による設計変更獲得等により利益が向上し、前期比21億円(14.7%)増の168億円となりました。

 

(舗装事業)

 舗装事業は、舗装工事等の建設工事及びアスファルト合材等の製造・販売を中心に展開しており、売上高については堅調に推移した結果、前期比109億円(4.7%)増の2,436億円となりました。セグメント利益は、アスファルト合材販売価格への原材料費高騰分の転嫁が進んだことにより、前期比13億円(51.4%)増の40億円となりました。

 

(機械事業)

 機械事業は、建設機械の製造・販売を中心に展開しており、建設機械関連商品の販売等が堅調に推移し、クレーン等自社製品の販売が堅調に推移したことにより、売上高は前期比20億円(5.7%)増の373億円となり、セグメント利益は前期比3億円(21.5%)減の13億円となりました。

 

(インフラ運営事業)

 インフラ運営事業は、再生可能エネルギー事業及びコンセッション事業を中心に展開しており、愛知道路コンセッション(株)をはじめとする事業会社の業績が堅調に推移したことに加え、風力発電事業を1件売却したことにより、売上高は前期比38億円(20.5%)増の225億円となり、セグメント利益は前期比18億円(30.8%)増の79億円となりました。

 

(その他)

その他の事業は、リテール事業から建設用資材製造・販売、ビル管理、不動産事業等を中心に展開しており、売上高は前期比11億円(3.2%)増の385億円となり、セグメント利益は前期比6億円(31.9%)減の12億円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を518億円計上したことなどにより709億円(前期は△163億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が219億円あった一方で、有形・無形固定資産の取得による支出が200億円、公共施設等運営権の取得による支出が42億円あったことなどにより△52億円(前期は△225億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少、配当金の支払い、自己株式の取得などにより△563億円(前期は152億円)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末の760億円から99億円増加し、860億円となりました。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

37.4

38.1

時価ベースの自己資本比率(%)

29.7

27.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

2.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

35.9

 

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

 3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

4.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

5.2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載していません。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業及び土木事業では請負形態をとっているため、生産を定義することが難しく、生産実績及び販売実績を正確に示すことは困難です。

また、連結子会社が営んでいるインフラ運営事業等のように、受注生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。

以上の理由で、生産、受注及び販売の実績を示すことはできませんが、当社グループの受注及び施工等の大半を占める事業会社である前田建設工業(株)、前田道路(株)の受注及び売上等の実績は次のとおりです。

 

 

a.事業会社別受注高・売上高及び次期繰越高

    前田建設工業(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

前期繰越高

当期受注高

当期売上高

次期繰越高

建築工事

394,898

262,293

657,192

217,233

439,958

土木工事

323,479

106,477

429,956

151,417

278,539

718,378

368,771

1,087,149

368,651

718,498

 

 

    前田道路(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

前期繰越高

当期受注高

当期売上高

次期繰越高

舗装工事他

55,860

166,908

222,768

162,780

59,988

 

(注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。

 

 

b.事業会社別受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

    前田建設工業(株)

 

 

 

区 分

特命(%)

競争(%)

計(%)

建築工事

57.1

42.9

100.0

土木工事

60.6

39.4

100.0

 

 

    前田道路(株)

 

 

 

区 分

特命(%)

競争(%)

計(%)

舗装工事他

10.8

89.2

100.0

 

(注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額を除いて算出しています。

 

 

c.事業会社別完成工事高

    前田建設工業(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

官公庁

民間

建築工事

34,622

182,610

217,233

土木工事

79,314

72,102

151,417

113,937

254,713

368,651

 

(注)1.完成工事のうち、主なものは次のとおりです。

 

川口栄町3丁目銀座地区市街地再開発組合

川口栄町3丁目銀座地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事

中日本高速道路(株)

新東名高速道路 秦野西工事

国土交通省近畿地方整備局

淀川左岸線(2期)3工区堤防整備他工事

住友不動産(株)・関電不動産開発(株)

(仮称)三宮新港町計画新築工事(西棟)

九州電力(株)

山須原発電所ダム通砂対策工事のうち土木工事他

 

 

(注)2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

    前田道路(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

官公庁

民間

舗装工事他

14,592

148,188

162,780

 

(注)1.完成工事のうち請負金額30億円以上のものはありません。

  2.アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。

 

 

d.事業会社別手持工事高

    前田建設工業(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

官公庁

民間

建築工事

101,662

338,296

439,958

土木工事

134,000

144,539

278,539

235,662

482,836

718,498

 

(注) 手持工事のうち、主なものは次のとおりです。

 

国土交通省北海道開発局

一般国道5号 仁木町外 新稲穂トンネルL側仁木工区工事

浦和駅西口南高砂地区市街地再開発組合

浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物新築工事

東京電力リニューアブルパワー(株)

小田切発電所 水車発電機基礎改造工事他全7件

(株)ヨロズ 

 株式会社ヨロズ東海PJT第一期新工場新築工事(仮称)

東大阪都市清掃施設組合

ごみ処理施設(第六工場)建設工事及び付帯工事

 

 

    前田道路(株)

(単位:百万円)

 

 

区 分

官公庁

民間

舗装工事他

15,301

44,687

59,988

 

(注)1.完成工事のうち請負金額30億円以上のものはありません。

  2.アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

Ⅰ.財政状態

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりです。

a.資産の部

当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度から概ね横ばいとなる1億円(0.0%)増の9,265億円となりました。

b.負債の部

当連結会計年度の負債は、短期借入金の減少などにより前連結会計年度に比べ63億円(1.1%)減の5,642億円となりました。

c.純資産の部

当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ64億円(1.8%)増の3,623億円となりました。

 

Ⅱ.経営成績

当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況は、次のとおりです。

a.売上高

当連結会計年度の完成工事高は、前期比102億円(2.6%)増の4,009億円となり、その他の事業売上高は、前期比164億円(5.6%)増の3,087億円となりました。その結果、売上高は前期比267億円(3.9%)増の7,096億円となりました。

b.営業利益

営業利益は、前期比30億円(8.0%)増の404億円となりました。

c.経常利益

営業外収益は、前期比1億円(4.6%)増の42億円となりました。
営業外費用は、前期比5億円(15.3%)減の29億円となりました。
その結果、経常利益は前期比37億円(9.8%)増の417億円となりました。

d.親会社株主に帰属する当期純利益

  特別利益は、前期比40億円(47.4%)増の124億円となりました。
  特別損失は、前期比4億円(23.5%)増の24億円となりました。

法人税等は、前期比2億円(1.6%)増の149億円となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比91億円(34.4%)増の358億円となりました。1株当たり当期純利益は、138.39円(前期は94.73円)となりました。

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

②資本の財源及び資金の流動性

 キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、建設工事の立替資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、M&A、設備投資等によるものです。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入・社債の発行、インフラ運営事業については、ノンリコースでの資金調達を基本としています。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債(リース債務及び公共施設等運営権に係る負債を除く。)の残高は、前連結会計年度の1,934億円から390億円減少し、1,543億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の760億円から99億円増加し、860億円となりました。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

①(公共施設等運営権実施契約)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約名称

契約締結日

契約内容

契約期間

愛知道路

コンセッション(株)

愛知県道路公社

日本

愛知県有料道路運営等事業公共施設等運営権実施契約

2016年

8月31日

知多4路線他公共施設の運営実施権契約

 (事業期間)2016年

10月1日から

2046年

3月31日まで

 

 

 

6 【研究開発活動】

 当連結会計年度は、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を中心に研究開発を行い、その総額は4,917百万円です。

 

(建築事業、土木事業及びインフラ運営事業)

当社グループは、「総合インフラサービス」の実現に向けて、また、多様化・高度化する社会ニーズに対応するため、生産性や品質の向上など社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進しています。特に最新のICTや自動化技術、AIを駆使した革新的な生産性向上技術、環境・エネルギー関連技術、脱炭素社会に向けた木材資源活用技術、都市インフラ施設の維持管理に関する高度化技術、ICT社会への対応技術などを注力して取り組むべき重要な技術分野として設定しています。

また、技術開発の推進にあたっては、社会環境の激しい変化に対応できる多様性と迅速性が求められる中で、大学や公的研究機関・異業種企業との技術協力や共同開発などのオープンイノベーションを積極的に推進しています。

当連結会計年度における研究開発費は3,309百万円であり、主な研究開発成果は次のとおりです。

 

   ①自然言語処理AIを活用した「危険予知システム」をSOLIZEと共同開発

    ~建設現場の安全管理業務における危険予知の高度化及び業務改善を実現~

前田建設工業(株)はSOLIZE(株)と、同社の自然言語処理AI(アスペクトエンジン)を活用し、安全管理業務における危険予知の高度化及び業務改善を目的とした「危険予知システム(SpectA KY-Tool)」を新たに共同開発しました。

建設現場の安全管理業務は熟練者の過去の経験や知識に偏ることで、安全指示事項がマンネリ化してしまうことがあります。さらに、生産性向上が急務となっており、作業の手戻りの回避や工事関係者の円滑な意思疎通も課題になっています。そこで、当社施工現場において運用・検証を行い、「危険予知の高度化」及び「業務改善」を目的とした新たなシステムをSOLIZE(株)と共同開発しました。今回開発したシステムは、作業内容や現場環境に適した災害事例の選出が可能です。過去の災害データから適切な危険有害要因と対策の選定をAIが行うことで、危険予知の予測精度を向上させ、類似労働災害の再発防止に貢献します。

 

   ②水中のPFOS・PFOA吸着処理システムを開発

   ~車両搭載可能な装置を汚染サイトに持ち込んでピンポイントの浄化を実現~

前田建設工業(株)はメタウォーター(株)と共同で、イオン交換樹脂を用いた水中のPFOS・PFOA吸着処理システム「De-POP’s ION™」を開発しました。

本システムは、池や湖沼等の水に含まれる微細な砂やゴミなどの懸濁物を取り除く「除濁装置ユニット」と、PFOS・PFOA処理専用のイオン交換樹脂が充填された「イオン交換樹脂塔ユニット」から構成され、PFOS・PFOAを効率的に除去することが可能です。また、システムごと車両に積載が可能なため、PFOS・PFOAを含む池や湖沼の近くで使用できます。さらには、処理した水を外部に放流・破棄せずに水資源として循環利用することで、環境負荷の低減を実現しています。今後、日本各地で顕在化が予測される土壌や地下水浄化のニーズに対しても、前田建設工業(株)がこれまでに開発してきた地盤改良や揚水技術、土壌洗浄工法とともに提案、採用いただくことで、社会課題の解決に貢献してまいります。

 

 

   ③鉄筋/配筋BIMシステム「アトアレ」を構築 ~仮想空間での自動配筋・自動配筋検査を実現~

前田建設工業(株)は、建築分野の鉄筋工事を対象とした生産現場において、仮想空間上での配筋及び配筋検査の自動化システム(鉄筋/配筋BIMシステム「アトアレ」)を構築し、設計・施工一貫方式のプロジェクトを中心に適用しています。本技術により、図面作成や鉄筋加工、配筋・組立の生産プロセスにおいて使用する生産情報の不具合排除、元請会社と鉄筋専門工事会社間で正確な生産情報の連携が可能になります。その結果、生産現場における不具合の発生低減、作業効率の向上のみならず配筋検査における指摘事項の減少が期待されます。

将来的には、さらなるBIMデータの構築手法やデータ連携のワークフローを改善することで、構造設計者における配筋検討作業の効率化や鉄筋専門工事会社における業務のデジタル化を推進し、デジタルデータを活用した働き方改革の実現に向けた開発・社会実装に取り組みます。

    ※アトアレ:ATELIER FOR ASSEMBLING REBAR IN A VIRTUAL SPACE(仮想空間で鉄筋を組み立てるアトリエ)

     の略称。商標登録済(登録第6675424号)

 

   ④道路運営の経営管理モデル「Digital Twin Road Management」構想を策定し、実証実験を開始

   ~将来の道路状況を予測し、道路運営・経営における意思決定の高度化をめざす~

データにより道路インフラの管理を最適化し、地方創生の取り組みにも寄与する新しい道路運営の経営管理モデル「Digital Twin Road Management」構想を、(株) NTT ドコモ及びエヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)とともに策定しました。また、その実現に向け「更新費用の最適化」に関する技術検証の実証実験を開始しました。

日本の多くの道路は高度経済成長期に整備されており、これから老朽化が本格化します。しかし、道路の運営・維持管理を行う技術者や財源は不足しています。そのため、道路の管理者である多くの自治体にとって、現在から将来にわたる道路資産の状況や劣化を正確に把握し、最適な中長期の修繕計画に基づき運営コストを低減することは共通の経営課題です。そこで、現場からの様々なデータを取得・可視化し、そのデータを分析・予測することで道路インフラの合理的な管理を支援すると同時に、渋滞緩和による利便性向上やにぎわいの創出などの地域活性化の取り組みをデジタルツイン上で融合させることで、課題解決を実現します。

 

   ⑤多成分の混和材を積極的に利用した低炭素型のコンクリートの社会実装

前田建設工業(株)は、2011年度から2015年度まで、コンクリートの二酸化炭素排出量の削減を目的に国立研究開発法人土木研究所などと低炭素型のコンクリートの共同研究を実施してきました。その成果として、「スーパーグリーンコンクリート(SGコンクリート)」を開発し、前田建設工業(株)ではその後も継続的に長期耐久性データの取得や施工物件での活用を進めています。2020年10月に菅内閣総理大臣(当時)が所信表明演説にて、2050年までにカーボンニュートラル(CN)を目指すことを宣言して以降、各業界でカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しており、既に開発した技術の更なる社会実装が期待されています。低炭素型のコンクリートの社会実装に向けた課題として、セメントや混和材を混合した独自結合材の供給、特殊なコンクリートの製造などのサプライチェーン構築が挙げられており、スーパーグリーンコンクリートでもこれらを解決し社会に提供していくことを目指し活動しています。

 

 

   ⑥第10回 日本ロボット大賞 国土交通大臣賞を受賞 山岳トンネル切羽作業の機械化技術「鋼製支保工建込みロ 

    ボット」

前田建設工業(株)が、古河ロックドリル(株)及びマック(株)と共同開発した「鋼製支保工建込みロボット」が、第10回日本ロボット大賞 国土交通大臣賞を受賞いたしました(2022年10月12日)。

本技術は、切羽への立ち入りを伴う作業をロボットにより自動化することで生産性向上を実現するとともに、山岳トンネル特有の切羽肌落ちによる労働災害の発生を物理的に排除できます。これらがロボットの先進的な研究開発として高い評価を頂きました。本受賞を機として、「鋼製支保工建込みロボット」の販売を開始します。

    ※「日本ロボット大賞」:わが国のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの 

     先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取り組みを実施した企業等を表彰する制度

 

   ⑦第20回建設ロボットシンポジウム優秀論文賞を受賞 自走式散乱型RIロボット(次世代αシステム)

前田建設工業(株)が、(株)大林組と共同開発した自走式散乱型RIロボットが、2022年8月に開催された第20回建設ロボットシンポジウムにおいて優秀論文賞を受賞しました。全投稿論文の中から1件のみ厳選される賞であり、建設分野における自動化・ロボット化の推進に大きく貢献する技術として評価されました。次世代αシステム(仮称)は、この自走式RIロボットに加え、振動ローラの加速度応答から地盤剛性を自動取得するαシステム、転圧面の点群データを計測する3Dレーザスキャナなど複数のIoT機器により現場品質情報を取得、クラウドシステムに一元的に集約・格納する事で、現場土工品質管理の高度化と生産性向上、DX化を実現します。本システムは、2020年度から2022年度における3回に渡る国土交通省PRISM実証工事や、2022年度国土交通省「舗装工事の品質管理の高度化に資する技術」公募に連続して採択されるなど、社会実装に向けて鋭意開発を進めています。

 

   ⑧ICI総合センターに移築した「旧渡辺甚吉邸」が登録有形文化財に登録

  ~匠の技と最新技術で未来へ受け継ぐ~

前田建設工業(株)は、ICI総合センター(茨城県取手市)において、2022年4月21日に「旧渡辺甚吉邸」を施設内に移築し、建築史家の藤森照信氏を名誉館長としてオープンしましたが、その後2月27日に、国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。旧渡辺甚吉邸は、建築当時(昭和初期)の日本における住宅建築の最高水準の経験・知見が凝縮された歴史的建造物です。港区白金台での解体の際には、3Dスキャンや360度カメラにより記録し、欠損や腐朽した部材は職人の伝統技法やロボットアーム型木材加工機により復原しました。

オープン後、藤森名誉館長による講演会や英国AAスクールとのワークショップ、世界中から集まった異なる背景を持つ新時代のアーティストたちとのアートプロジェクト「Shutsugenプロジェクト」などを実施し、新たな価値創造に向け、さまざまな文化芸術関係者や地域の方々などとの多様なコミュニケーションの場として活用しています。

    ◆旧渡辺甚吉邸とは

旧渡辺甚吉邸は1934年(昭和9年)、港区白金台に岐阜の名家・渡辺家の14代当主、甚吉の私邸として建てられた洋館です。日本の住宅の発展に大きく寄与した住宅専門会社の技師として活躍した遠藤健三と山本拙郎、そして二人の恩師である今和次郎の3人の共作によって、建築当時の日本における住宅建築の最高水準の経験・知見が凝縮された歴史的建造物です。

 

 

(舗装事業)

連結子会社である前田道路(株)においては、二酸化炭素等の温室効果ガスの放出による地球環境問題や沿道環境への対応、道路インフラの効率的な保全、ICTの活用等、社会及び国民の幅広いニーズに応えるべく、「人と環境に配慮した技術」、「維持修繕の効率化に貢献する技術」、「生産性の向上に寄与する技術」及び「持続可能な社会をつくる技術」を重点テーマにあげて研究開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度における研究開発費は1,195百万円であり、主な研究開発成果は次のとおりです。

 

   ①「人と環境に配慮した技術」に関する研究開発

前田道路(株)では、2030年度に2013年度比でCO2排出量を50%減、2050年度にはカーボンニュートラルの達成を目指しています。その一環として2022年9月に、運営子会社である日本バイオフューエル(株)を設立し、バイオ重油製造施設の建設を開始しました。この施設では、動植物由来の油滓等を原料に、バイオ重油製造技術を活用した環境負荷低減エネルギーを自社精製・製造することにより自社のエネルギー由来のCO2排出量削減に取り組むことを目指します。2023年完成予定の当該プラントでのバイオ重油製造によって工場が本格稼働する3年目以降には約3万5千トン/年のCO2削減が見込まれます。また、副産物として精製される脱窒剤・付着防止剤・剥離剤の販売も検討しています。

 

   ②「維持修繕の効率化に貢献する技術」に関する研究開発

道路橋の鋼床版上の防水層には、一般的にグースアスファルト舗装が用いられています。この混合物は、高温時の流動性を利用した流し込みによる施工のため転圧の必要がなく、ボルトなどの凹凸部等の隅々まで充填することができます。しかし、施工時には混合物を240℃程度に加熱するため、特殊な加熱撹拌装置付運搬車が必要となり、さらに安定した加熱撹拌をするためには3t以上の混合物が必要となるため、小規模施工時には使い残りが生じて多くが廃棄されるなど、材料資源のロスを考慮すると不向きな点がありました。前田道路(株)で開発した「マイルドグース」は、単粒度砕石の間隙に特殊バインダを非加熱で流し込み、防水層をつくるものであり、加熱撹拌装置付運搬車が不要であり、少量からの製造及び施工が可能なため、小規模施工の際には廃棄合材の大幅な削減が期待できます。また、非加熱で使用できるため、アスファルト混合物を高温に加熱する際に発生するCO2排出量の削減にも寄与します。この製品は、これまで実用化に向けた実証実験を行い、2023年3月に販売を開始しました。

 

   ③「生産性の向上に寄与する技術」に関する研究開発

舗装工事における省人化は生産性向上のみならず安全性向上にも寄与する重要課題と捉え、作業の機械化など様々な技術開発を進めており実用化に向けた現場テストを重ねています。

 

   Ⅰ.建設機械搭載型レーザスキャナを用いた出来形管理技術がインフラDX大賞優秀賞受賞

 学校法人法政大学及び三菱電機エンジニアリング(株)と共同研究で開発を進めてきた「建設機械搭載型レーザスキャナを用いた出来形管理技術」は、国土交通省のi-Constructionを推進すべく舗装工事における3次元計測の効率化を図る技術であり、舗装工事で使用するタイヤローラに搭載したレーザスキャナで施工面の3次元形状を取得して施工管理で活用するものです。国土交通省東北地方整備局発注の河辺地区道路改良舗装工事で舗装各層への適用や取得データのBIM/CIMへの活用について検証した結果、国土交通省のインフラDX大賞優秀賞を受賞することができました。現在、この技術の汎用化に向けて取り組んでいます。

   Ⅱ.ダンプトラック誘導システムが内閣府の「官民研究開発投資拡大プログラム」(PRISM)のプロジェクトに採択

(株)日立ソリューションズ・テクノロジーと進めている「ダンプトラック誘導システム」は、多人数で施工する舗装工事のうち誘導作業の省力化を図る技術であり、舗装材料を敷きならすアスファルトフィニッシャに設置した単眼カメラの画像をAIによるソフトでリアルタイムに解析し、ダンプトラックと作業員との接触やダンプトラックの車線逸脱を警告しながら、後進するダンプトラックを誘導するシステムです。国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に選定され、西日本高速道路(株)発注の高速道路修繕工事で現場への適用性について検証しました。現在、更なる検出精度向上に向けて取り組んでいます。

 

 

   ④「持続可能な社会をつくる技術」に関する研究開発

アスファルト舗装はほぼ100%リサイクル可能であり、その再生技術は持続可能な社会をつくるといえます。しかしながら、再生アスファルト混合物は1980年代より製造・施工が開始され、その間再生、再々生と繰り返し再生されている状況です。今現在の再生混合物の品質は一定の水準を確保していますが、今後さらに再生回数が増えると再生混合物の品質低下が予想されます。そのため前田道路(株)では様々な側面から再生混合物の品質向上への取り組みを行っており、その中の1つにWフォームド技術(フォームドアスファルトの性能向上、再生用添加剤へのフォームド技術の適用)があります。本技術は既に実用化に至っており、これにより再生混合物の品質向上が図れています。現在、フォームド発生装置の設置を全国の合材工場に順次進めています。

 

(機械事業)

 連結子会社である(株)前田製作所においては、自社製品のカーボンニュートラル化に向けた電動仕様の開発及び、米国向け製品の開発を推進しています。また、要素技術開発として今後の労働力不足に対応するべく自動化・遠隔制御技術等の開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は412百万円であり、主な研究開発結果は次のとおりです。

 

①バッテリー仕様かにクレーンMC285CB-3用増設バッテリーユニットの開発

2020年度に発売したバッテリー仕様かにクレーンMC285CB-3用のオプション品として、使用現場からの稼働時間を「もう少し長くしたい」との声に応えるため、増設バッテリーユニットを開発し発売しました。

 

②米国向け8t吊りかにクレーンMC815Cの開発

米国向け機種のラインナップ拡充のため、現地法規制に適合した8t吊りかにクレーンMC815C米国仕様を開発し、発売しました。当該機種においては、欧州仕様同様フライジブ及びサーチャーフックをオプション設定しており本体と同時発売しています。

 

③米国向け2.8t吊りかにクレーンMC285C-3USの開発

米国排ガス規制適合エンジンを搭載した、2.8t吊りかにクレーンMC285C-3USを開発、発売しました。当該機種においては、アウトリガーマルチアングルのディスプレイ表示をよりユーザーフレンドリーなものに変更し特許出願も行っています。

 

④合金微粉末事業の推進

脱炭素社会実現に向け必要とされる省電力機器で使用される接合材は、高温度耐用が要求されることから、高価な金、銀が使用されており、これらに代わる合金粉末の接合材が求められています。

(株)前田製作所では、合金微粉末の製造特許取得業者と連携し、均一組成、低酸化の品質を確保した上で大量生産可能な装置を導入し、合金微粉末製造事業を推進しています。

 

⑤自動化・遠隔制御技術の開発

(株)前田製作所のコア技術であるクレーン制御技術とオープンイノベーションにより習得したIoT技術を応用展開し、建設ニーズや大型機械に対応した自動運搬システムの研究・開発を進めています。今後は様々な装置への展開、データ解析による新たな付加価値創出を進めてまいります。