第1 【公開買付要項】

 

1 【対象者名】

三井住友建設株式会社

 

2 【買付け等をする株券等の種類】

普通株式

 

3 【買付け等の目的】

(1) 本公開買付けの概要

公開買付者は、2025年5月14日付「インフロニア・ホールディングス株式会社(証券コード5076)による三井住友建設株式会社(証券コード1821)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「2025年5月14日付公開買付者プレスリリース」といいます。」)にて公表しておりましたとおり、フィリピンにおける競争法に基づき必要な手続及び対応に一定期間を要することが見込まれることから、当該手続及び対応を終えること等の前提条件(注1)(以下「本前提条件」といいます。)が充足された場合又は公開買付者により放棄された場合(なお、公開買付者は、その任意の裁量により、本前提条件をいずれも放棄できるとされています。)、本公開買付けを速やかに実施することを決定しておりました。

(注1) ①フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了し、又は公開買付期間の末日までに完了することが合理的に見込まれること、②対象者取締役会において、本公開買付けに賛同し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議が適法かつ有効に行われ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、③対象者が設置した本特別委員会(下記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に定義します。以下同じです。)において、本公開買付けに賛同し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することに肯定的な内容の答申が行われ、かつ、変更又は撤回がされていないこと、④対象者の財政状態に重大な悪影響を与える事由(法第27条の11第1項ただし書に定める対象者又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の本公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事由又はそれらに準ずる事由をいいます。)が生じていないこと、⑤対象者の業務執行を決定する機関(対象者の株主総会を含みます。以下同じです。)において、本公開買付けに係る決済の開始日前を基準日とする剰余金の配当(対象者が5月14日に公表した「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「対象者2025年3月期決算短信」といいます。)において2025年3月期の期末配当予想として記載された1株当たり14円とするものを除きます。以下同じです。)についての決定が行われていないこと、⑥本公開買付けを制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けを制限又は禁止する旨のいかなる法令等又は司法・行政機関等によるいかなる命令、処分若しくは判決も存在していないこと、⑦対象者に係る業務等に関する未公表の重要事実(法第166条第2項に定める事実をいいます。以下同じです。)又は公開買付け等事実(法第167条第2項に定める事実をいいます。以下同じです。)で対象者が公表(法第166条第4項又は法第167条第4項に定める意味を有します。)していないものが存在しないこと、をいいます。

公開買付者は、2025年7月上旬頃を目途に本公開買付けを開始することを目指しておりましたが、2025年7月10日付「(開示事項の経過)三井住友建設株式会社(証券コード1821)に対する公開買付け開始に向けた進捗状況のお知らせ」にて公表しておりましたとおり、同日時点において、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了した場合、又は公開買付期間の末日までにフィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了する見込みである旨の日本及びフィリピンの法律事務所から取得した意見並びにフィリピン競争委員会から受領した本株式取得(下記「6 株券等の取得に関する許可等」の「(2) 根拠法令」の「① 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」において定義します。)についてフィリピン競争法上の審査期間を延長しない旨の連絡書面等に基づき公開買付期間の末日までにフィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了することが合理的に見込まれることが確認できた場合には、2025年8月上旬頃までに、本公開買付けを開始することを見込んでおりました。

 

今般、公開買付者は、以下のとおり、本前提条件がいずれも充足されたことを確認いたしました。

① フィリピンにおける競争法上の届出について、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認いたしました。

② 公開買付者は、対象者より、2025年8月5日、2025年5月14日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断し、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を改めて行った旨の報告を受け、同日、本前提条件②の充足を確認いたしました。

③ 公開買付者は、対象者より、本特別委員会において、2025年5月14日以後、2025年8月5日までの事情を勘案して検討を行った結果、2025年5月14日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月5日に、対象者取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2025年8月5日付答申書(下記に定義します。)を提出した旨の報告を受け、同日、本前提条件③の充足を確認いたしました。

④ 公開買付者は、対象者より、2025年8月4日時点において、対象者の財政状態に重大な悪影響を与える事由は生じていない旨の報告を受け、同日、当該事由は生じていないと判断いたしました。

⑤ 公開買付者は、対象者より、2025年8月4日時点において、対象者の業務執行を決定する機関において、対象者2025年3月期決算短信において2025年3月期の期末配当予想として記載された1株当たり14円とする剰余金の配当についての決定を除き、本公開買付けに係る決済の開始日前を基準日とする剰余金の配当についての決定が行われていない旨の報告を受け、同日、当該決定は行われていないことを確認いたしました。

⑥ 公開買付者は、対象者より、2025年8月4日時点において、司法・行政機関等に対して、本公開買付けの開始を禁止又は制限することを求める旨のいかなる申立、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付けの開始を禁止又は制限する司法・行政機関等の判断等が存在しない旨の報告を受け、同日、当該判断等は存在していないことを確認いたしました。

⑦ 公開買付者は、対象者より、2025年8月4日時点において、対象者に関する未公表の重要事実又は公開買付け等事実が存在しない旨の報告を受け、同日、当該事実は存在していないことを確認いたしました。

これを受けて、公開買付者は、2025年8月5日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されたことを確認したことから、本公開買付けを2025年8月6日より開始することを決定いたしました。なお、2025年5月14日付公開買付者プレスリリースに記載した本公開買付けの内容及び条件からの変更はありません。

なお、対象者が2025年8月5日付で公表した「インフロニア・ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始に関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(対象者が2025年5月14日付で公表した「インフロニア・ホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「2025年5月14日付対象者プレスリリース」といいます。)と併せて「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、2025年8月5日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。なお、対象者の2025年5月14日開催の取締役会及び2025年8月5日開催の取締役会における各取締役会決議は、公開買付者が本公開買付けを含む本取引(下記に定義します。)を経て、対象者を完全子会社化すること及び対象者株式が上場廃止となる予定であることを前提としているとのことです。

公開買付者は、2025年5月14日開催の取締役会において、本前提条件が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)、速やかに、対象者株式の全て(ただし、公開買付者及び対象者が所有する自己株式を除きます。以下同じです。)を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定しておりました。

 

公開買付者は、本公開買付けにおいて、104,589,800株(所有割合(注2):66.67%)(注3)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行いません。他方、上記のとおり、公開買付者は、対象者株式の全てを取得することにより、対象者の完全子会社化を企図しているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行います。公開買付者は、本書提出日現在、対象者の株主名簿の閲覧請求等の対象者の株主としての権利行使の可能性を確保する観点から東京証券取引所プライム市場に上場している対象者株式100株(所有割合:0.00%)を所有しております。

(注2) 「所有割合」とは、対象者が6月26日に提出した第22期有価証券報告書(以下「対象者2025年3月期有価証券報告書」といいます。)に記載された2025年3月31日現在の対象者の発行済株式総数(162,673,321株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(5,788,439株)を控除した株式数(156,884,882株、以下「本基準株式数」といいます。)に占める割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。

(注3) 買付予定数の下限は、本基準株式数(156,884,882株)に係る議決権数(1,568,848個)に3分の2を乗じた数(1,045,899個(小数点以下を切り上げております。))に対象者株式1単元(100株)を乗じた株式数から公開買付者が所有する対象者株式の数100株を減じた株式数(104,589,800株)として設定しております。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、本公開買付けにおいて、公開買付者が対象者株式の全てを取得できなかった場合には、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しておりますが、株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付けが成立した場合に公開買付者が所有する対象者の議決権数の合計が対象者の議決権総数(2025年3月31日現在の発行済株式総数(162,673,321株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(5,788,439株)を控除した株式数(156,884,882株)に係る議決権の数である1,568,848個)の3分の2以上となるようにするためです。

 

なお、本公開買付けに関連して、公開買付者は、株式会社シティインデックスイレブンス(以下「シティインデックスイレブンス」といいます。)(2025年5月14日現在所有する対象者普通株式数(以下「所有普通株式数」といいます。以下同じです。)100株、所有割合0.00%)との間で2025年5月13日付で公開買付応募契約書(以下「本応募契約」といいます。)を締結し、同日時点でシティインデックスイレブンスが所有する対象者株式並びにシティインデックスイレブンスの共同保有者(法第27条の23第5項及び第6項に定義される共同保有者をいいます。)である野村絢氏(所有普通株式数15,432,000株、所有割合9.84%)、カダン キャピタル ファンド ピーティーイー エルティーディー(KADAN CAPITAL FUND PTE. LTD.)(所有普通株式数15,000,000株、所有割合9.56%)及び株式会社レノ(所有普通株式数14,796,800株、所有割合9.43%)(以下、総称して「本共同保有者」といい、シティインデックスイレブンスと併せて「応募株主ら」といいます。)が所有する対象者株式の全てについて、自ら本公開買付けに応募し、又は本共同保有者をして応募させる旨の合意を得ております。本応募契約の詳細については、下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」の「① 本応募契約」をご参照ください。

対象者プレスリリースによれば、対象者は、2025年5月14日開催の対象者取締役会において、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおり、本公開買付けが開始される前に、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年5月14日付で対象者取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議したとのことです。本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

 

その後、対象者は、公開買付者から、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認したことから、同日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されることが確実であると判断し、本公開買付けの開始日を2025年8月6日とする予定である旨の連絡を受けたとのことです。

これを受け、対象者は、2025年8月5日、本特別委員会に対して、本特別委員会から2025年5月14日付で入手した答申書(以下「2025年5月14日付答申書」といいます。)の意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したとのことです。そこで、本特別委員会は、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年8月5日開催の特別委員会において、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について2025年5月14日以後、2025年8月5日までの事情を勘案して検討を行った結果、2025年5月14日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月5日に、対象者取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の答申書(以下「2025年8月5日付答申書」といいます。2025年5月14日付答申書及び2025年8月5日付答申書の概要並びに本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を提出したとのことです。

対象者は、本特別委員会から提出された2025年8月5日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、対象者の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年5月14日以降、対象者の経営環境に重要な状況変化は生じておらず、また、本公開買付けを含む本取引は対象者の企業価値の向上に資すると考えられ、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当であると認められること等から、2025年8月5日時点においても、2025年5月14日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したとのことです。

以上より、対象者は、2025年8月5日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議したとのことです。

また、対象者の意思決定の過程に係る詳細については、対象者プレスリリース及び下記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」をご参照ください。

また、対象者株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、下記「(5) 上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けに係る決済時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実施することとなった場合には、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、対象者株式が上場廃止となった場合は、対象者株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

 

 

(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針

本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針は、以下のとおりです。なお、以下の記載のうち、対象者に関する記述は、対象者が公表した情報、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。

① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

公開買付者は、2021年10月に共同株式移転の方法により、前田建設工業株式会社(以下「前田建設工業」といいます。)、前田道路株式会社(以下「前田道路」といいます。)、株式会社前田製作所の完全親会社として設立されました。また、公開買付者株式は2021年10月に東京証券取引所市場第一部に上場し、2022年4月の東京証券取引所における市場区分の見直しにより、本書提出日現在においては東京証券取引所プライム市場に上場しております。公開買付者グループ(本書提出日現在において、公開買付者、子会社117社及び関連会社32社により構成されるグループをいいます。以下同じです。)は、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を主な事業とし、さらにリテール事業から不動産事業まで幅広く展開しております。

公開買付者グループは2025年3月26日に中期経営計画「INFRONEER Medium-term Vision 2027」(以下「本中期経営計画」といいます。)を公表いたしました。2021年10月1日付けで開示した中長期経営計画『INFRONEER Vision 2030』(以下「本中長期経営計画」といいます。)で掲げている目指す姿の実現に向けて、同じく2021年10月1日付けで開示した中期経営計画『INFRONEER Medium-term Vision 2024』での成長を基盤に、今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置づけ、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として推進し、グループ各社のエンジニアリング力の結集と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大によって競争力を早期に最大化し、「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立・拡大していきます。目指す姿を実現するため、「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」、「付加価値の最大化」、「体質強化・改善」を戦略三本柱としています。EBITDAを重要指標として収益力を正確に把握し、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。また、指名委員会等設置会社の設計理念を最大限活用した、あるべきガバナンス体制へ更に進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現します。

一方、対象者は、2003年4月に、三井建設株式会社と住友建設株式会社が合併し創立されたとのことです。なお、三井建設株式会社の起源は、1887年に、西本健次郎氏が、江戸時代中期より紀州徳川家へ出入りを許されていた西本家の家業を継いで、和歌山において土建業西本組を創設したことに始まったとのことです。1934年に、資本金100万円をもって前身である合資会社西本組が設立され、1941年10月に株式会社西本組に改組し、その後、三井不動産株式会社が、1945年5月に、施工部門の充実を図る目的で資本参加し、商号を三井建設工業株式会社と改称したとのことです。1946年9月に、三井建設工業株式会社は三井建設株式会社に改称し、三井建設株式会社は1962年2月に東京証券取引所第二部に上場し、1963年8月には東京証券取引所第一部に指定替えとなったとのことです。また、住友建設株式会社の起源は、1691年に開坑された住友別子銅山において坑場等の各種設備工事や運搬道路工事に従事していたことに始まるとのことです。別子銅山は久しく住友家の直営でありましたが、1950年3月に、終戦後の財閥解体の過程で、同社改め井華鉱業株式会社より、別子建設株式会社として独立し、1962年6月に東京証券取引所市場第二部に上場したとのことです。1962年10月に株式会社勝呂組と合併し、商号を住友建設株式会社と改称し、1965年8月には東京証券取引所市場第一部に指定替えとなったとのことです。対象者は2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に対象者株式を上場しているとのことです。

 

対象者の企業集団は、本書提出日現在、対象者、子会社22社及び関連会社8社で構成されており(以下「対象者グループ」といいます。)、土木工事事業及び建築工事事業の2つのセグメントで事業展開しているとのことです。土木工事事業におきましては、橋梁やトンネル、河川改修、土地造成、上下水道施設等の社会基盤を支える土木構造物の新設や維持・更新に際し、過去の工事経験等をもとに最適な設計・施工技術を提供しているとのことです。PC(プレストレストコンクリート)(注1)橋梁分野では業界屈指の設計・施工実績を自負しており、新たな構造形式やPCa(プレキャスト)化(注2)による工期短縮・省力化施工等の技術開発を推進し、高品質で耐久性に優れ、維持管理がしやすい橋梁を提供しているとのことです。建築工事事業におきましては、住宅分野では、高品質・短工期を実現する対象者独自技術のスクライム工法(注3)を活かした超高層住宅で豊富な実績を築いているとのことです。また、倉庫、データセンター、大型工場等において、鉄骨と鉄筋コンクリートのハイブリッド構法であるミック構法(注4)を活用し、大空間を実現しつつ振動にも強い建物を提供しているとのことです。加えて、カーボンニュートラルの実現に向けてZEB/ZEH建築(注5)にも力を入れており、自社単身寮においては、ZEH-M(注6)を取得し、エネルギー収支ゼロ以下で運用(注7)しているとのことです。

(注1) PC(プレストレストコンクリート)とはコンクリートにあらかじめ圧縮力を与えることで、引張強度を向上させたコンクリートのことをいいます。

(注2) PCa(プレキャスト)化とは工場で製造されたコンクリート部材を建設現場で組み立てることをいい、現場作業の省力化や工期の短縮、品質の安定化を図ることができます。

(注3) スクライム工法とは、梁と柱梁接合部を一体にした、接続部に現場打ちコンクリートを設けない、オールプレキャストコンクリート工法のことをいいます。鉄骨造並みの施工速度で大幅な工期短縮を実現することができます。

(注4) ミック構法とは、柱を鉄筋コンクリート、梁を鉄骨とする混合構造(ハイブリッド構造)のことをいいます。圧縮力に強い鉄筋コンクリート部材と、曲げ応力やせん断力に強い鉄骨部材を適材適所に配置する混合構造としての長所を活かしながら、工期短縮とコストダウンを実現することが可能な工法です。

(注5) ZEB(Net Zero Energy Building)及びZEH(Net Zero Energy House)建築とは、建物全体のエネルギー消費を最小限に抑え、再生可能エネルギーの利用によって年間のエネルギー収支をゼロ以下にする建築物のことをいいます。ZEBは商業施設やオフィスビル等の非住宅建築物に、ZEHは住宅に適用されます。

(注6) ZEH-M(Net Zero Energy House-Mansion)は、マンションや集合住宅において、エネルギー収支をゼロ以下にすることを目指した建築物のことをいいます。

(注7) エネルギー収支ゼロ以下で運用するとは、再生可能エネルギー(例えば太陽光発電等)で生み出されるエネルギーの総量が、建物が消費するエネルギー以上になる状態のことを指します。

公開買付者としては、建設業界においては、短中期的には、防災・減災、国土強靭化やカーボンニュートラルへの対応等により、公共投資額は堅調に推移し、横ばいか微増と予測しております。かたや、足元では建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫等により、市場環境は厳しさを増していると考えております。また、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していく問題が既に顕在化しており、今後も既存インフラの維持管理・更新が必要となる中で、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、2024年4月以降の建設業界への時間外労働の上限規制の適用による労務費の上昇により、人的リソースの不足や最適化の問題が生じると認識しております。

一方、中長期的には、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政は今後ますます厳しくなり、国内の新規建設の請負市場は、財政上の制約から縮小していくと想定しております。上記状況を踏まえると、これまでの総合建設業におけるビジネスモデルのあり方を抜本的に見直す等、大きな変化が必要だと考えております。

また、土木や建築等の建設業界でも、上述のような目まぐるしい変化に伴い、高い技術力や営業力、調達力や施工供給力はもちろん、新しいテクノロジーの迅速な活用がますます必要とされてきており、競争力を高めていくためにはその対応力が急務となっています。公開買付者グループの現在のケイパビリティでは、この産業構造の変化に対応していくためには質・量ともに十分ではなく、今後の事業拡大において一つの課題であると認識しております。

 

また対象者においても、対象者グループとしては、建設業界においては、国内においては高度経済成長期に全国に張り巡らされた膨大な数の社会インフラの多くが、整備から50年を越え、老朽化が一斉に進んでおり、防災・減災、国土強靭化、カーボンニュートラルへの対応といった観点からの計画的な投資により公共投資に対する需要は底堅く推移する見通しであり、さらに国内インフラの維持・更新の事業は拡大傾向にあると見込んでいるとのことです。また、民間企業の設備投資に対する需要も、各民間企業の収益改善等を背景として持ち直し傾向が続く見通しであるものの、資源価格や建設資材価格の高止まり、労務需給の逼迫の影響、担い手不足、2024年4月から開始した建設業への時間外労働の上限規制適用による影響等により、依然として厳しい市場環境は続くと考えているとのことです。ただ、長期的には人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保険費の増大により、財政が悪化することで特に新規の公共工事のための投資は縮小するとも見込んでいるとのことです。一方、海外については特に新興国(東南アジア、南アジア、アフリカ等)で進む急速な経済成長により、旺盛なインフラ需要を見込んでいるとのことです。

加えて、対象者グループ独自の課題としては、国内大型建築工事での損失計上により棄損した財務体質の改善と、早期の業績回復による企業価値の向上が急務となっていると認識しているとのことです。

対象者グループは、上記のような事業環境の変化に対し、対象者グループの強みを活かして、社員一人ひとりが未来志向を持って行動し、持続可能な社会の実現と対象者グループの持続的な成長を遂げるため、2019年2月に長期ビジョンである「2030年の将来像」を設定し、その実現に向けて「新しい価値で『ひと』と『まち』をささえてつなぐグローバル建設企業」を目指しているとのことです。

このように、対象者グループを取り巻く経営環境が著しく変化していく中で、公開買付者グループは、対象者グループが中長期的に事業基盤を拡大し、更なる成長を実現していくためには、対象者と経営統合することにより、公開買付者グループと資本関係を構築し、経営リソースの連携による事業機会の拡大や成長投資、DX・技術開発・サステナビリティ対応、ガバナンス体制の強化、及び人材育成の共同推進等、両社グループ(以下、公開買付者グループと対象者グループを総称していいます。)のシナジーを最大限発揮していくことが重要であると考えており、これにより環境変化に対応できる強固な経営基盤の構築や経営資源の最適配分等、グループのシナジーを最大限発揮していくことが不可欠と考えておりました。またこのようにグループ間のシナジーを最大限発揮することにより、公開買付者グループが本中長期経営計画及び本中期経営計画で掲げる「総合インフラサービス企業」としての地位確立を志向した、事業領域の拡大及び競争力の最大化を図れると考えております。

 

公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とし、かつ対象者株式を非公開化することにより、具体的には以下のようなシナジーの実現が可能と考えております。

(ⅰ)公開買付者及び対象者の経営リソースの相互活用

公開買付者グループの中には、前田建設工業のように対象者と同種の事業を行っている企業が存在しておりますが、人口減少や税収減、社会保障費増大等による中長期的な新規建設投資の減少や既存インフラの老朽化問題の顕在化、担い手不足といった公開買付者グループ及び対象者ともに対処する必要のある課題が存在すると認識しております。本取引を通じて公開買付者グループと対象者が経営統合し、公開買付者グループとの連携を強化することで、営業・設計・現場支援、技術開発、システム及び広報・IR等の様々な連携が可能となり、そこから生まれる事業機会の拡大や生産性の向上、また両社グループの経営リソースを活用した成長投資が可能であると考えております。具体的には、(ⅰ)事業領域が重複する分野における建設資材の共同購買、建設機器の共用、製造ラインの一本化によるコストシナジー、(ⅱ)重複又は関連する分野での各事業のノウハウ、技術及びシステムの共有による更なる競争力の強化や事業運営の効率化、(ⅲ)各事業所への人材配置の効率性の向上、(ⅳ)公開買付者グループの格付や与信を活用した対象者における資金調達力の向上及び調達コストの低減、を図ることが可能になると考えられ、これらを実現させることでより効率的な事業体制の構築及び事業拡大を図ることができ、また公開買付者及び対象者における成長投資の拡大にも繋がるものと考えております。

 

 

(ⅱ)グループ全体でのDX、技術開発、サステナビリティ戦略及び人材育成の共同推進

近年の建設業界においては、少子高齢化による生産年齢人口減少の影響による働き手の不足が顕著に表れており、省人化、省力化による生産性向上は業界を上げて取り組むべき喫緊の課題であります。一方で、AIをはじめとする先端デジタル技術の発展はめざましく、こうした環境下における成長戦略には、建設現場における生産性向上やインフラ運営事業の効率化に資するデータの集積と活用、及び人材育成が必須の要件であり、それらは、単独の取組みではなく、グループが一丸となって進めることに加えて、多種多様なパートナーとの協業・連携が重要であり、グループ各社の技術開発及び人材開発拠点を連携することにより、その効果を最大化できるものと考えております。

対象者及び公開買付者をはじめとするグループ会社が保有する技術・ノウハウに関するデータを一元管理することで、個々で取り組むよりも高い精度でデータを分析することが可能になり、それに基づくグループ全体の戦略立案、経営の効率化、サービスの高度化、さらには技術・システム開発をより強力に推進することができます。本公開買付けにより、対象者の事業全体における業務効率化や生産性向上に寄与するものと考えており、シナジーによる価値創出をより早く確実に実現することが可能となると考えております。

 

(ⅲ)相互の事業基盤を活用した新規事業機会の創出

建設業界の国内における情勢としては、新規建設の請負市場は人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大等による財政上の制約から縮小が見込まれる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、防災・減災、国土強靭化への計画的な投資により公共投資は底堅く推移する見通しであり、官民連携によるインフラの維持管理・更新や新規建設に関する市場が拡大することが見込まれます。また、カーボンニュートラルに向けた政策推進により、再生可能エネルギーに関する市場についても急速な拡大が見込まれます。他方、建設業界の海外における情勢としては、特に新興国(東南アジア、南アジア、アフリカ等)において、急速な経済成長によるインフラ需要が見込まれております。建設業界においてこのような環境が想定される中で、事業拡大及び事業成長を継続するために、業界内でも競争力を高めながら拡大する市場の受注を着実に獲得していくことが必要不可欠であると考えております。

 

公開買付者グループ及び対象者においては、こうした市場環境の見通しについて共通認識を持ちつつ、両社グループにおいて官公庁からの受注や海外事業の拡大を推進しており、また対象者においては海外において多くの実績を有しており、高い競争力を誇っております。これまでに公開買付者グループ及び対象者が築いてきた成長市場への事業接点、事業基盤、及び顧客接点を最大限に活かすことで、両社グループにおいて、業界における成長市場への更なる事業機会の創出及び案件パイプラインの拡大に繋がるものと考えております。

なお、一般に株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなることが挙げられますが、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、公開買付者グループの格付や与信を活用した対象者における資金調達力の向上及び調達コストの低減を図ることが可能になることに鑑みると、影響は軽微であると考えております。また、知名度や社会的信用についても、対象者の知名度や社会的信用力の向上は事業活動を通じて獲得される部分もあり、対象者がこれまで培ってきたブランド力や知名度に対する非公開化が与える影響は、大きくないものと考えております。そのため、本取引によって対象者が上場廃止に至ることによる特段の影響はなく、かつ、公開買付者の傘下に入ることで、公開買付者グループが有する知名度や社会的信用も得られることからすれば、対象者における株式の非公開化に伴うデメリットは限定的と考えております。

 

以上の検討を踏まえ、公開買付者は、公開買付者及び対象者のより一層の企業価値向上を最大限実現するためには、一般株主(なお、本書内において「一般株主」と「少数株主」は適宜使い分けていますが、意味合いは同義です。)の利益を考慮し公開買付者グループとしての意思決定に制約が生じることを避けるため、対象者を公開買付者の連結子会社として上場を維持することは検討せず、本公開買付けを含む本取引によって対象者を完全子会社化することが最適であると判断いたしました。また、完全子会社化の手法として、株式と比較して流動性の高い金銭を対価とすることにより、当該交付された金銭を用いて公開買付者の株式を購入し、公開買付者の株主となることを含めた選択の機会を対象者の株主の皆様に提供できる手法である、公開買付けの方法によることが最適であると判断いたしました。公開買付者は、対象者に対して、2024年11月15日に、本取引の検討を行っている旨を連絡し、本格的な検討を開始するに当たり、2024年12月下旬に、公開買付者及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、また、2024年12月下旬に、公開買付者及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとして瓜生・糸賀法律事務所をそれぞれ選任いたしました。

その後、公開買付者は、対象者に対して、2025年2月18日に、本公開買付けを通じて対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する正式な意向を表明する提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出し、その後、公開買付者は、本取引の実施に向けた対象者と本格的な協議を開始いたしました。

 

具体的には、公開買付者は、2025年3月上旬から2025年4月中旬までに、本取引の実現可能性の精査を目的として実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、対象者が2025年3月期末の配当を無配とする前提で、2025年4月11日付で、対象者に対し、対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり480円(480円は、当該提案がなされた2025年4月11日の前営業日である2025年4月10日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値433円に対して10.85%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)のプレミアムを加えた金額です。)とする旨の初回の価格提案を行いました。これに対し、本特別委員会は、SMBC日興証券(下記「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に定義します。)の助言及び西村あさひ(下記「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に定義します。)の法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティング(下記「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に定義します。)による株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは著しく乖離していると判断したとのことであり、公開買付者は、同月14日、対象者から、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を受けました。

公開買付者は、2025年4月23日付で、対象者に対し、対象者が2025年3月期末の配当(対象者2025年3月期決算短信において2025年3月期の期末配当予想として記載された1株当たり14円とするものをいいます。)を実施する前提で、本公開買付価格を1株当たり530円(530円は、当該提案がなされた2025年4月23日の前営業日である2025年4月22日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値501円に対して5.79%のプレミアムを加えた金額です。)とする旨の第2回の価格提案を行いました。これに対し、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは著しく乖離していると判断したとのことであり、公開買付者は、同月24日、対象者から、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を受けました。

 

公開買付者は、2025年5月7日付で、対象者に対し、本公開買付価格を1株当たり560円(560円は、当該提案がなされた2025年5月7日の前営業日である2025年5月2日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値502円に対して11.55%のプレミアムを加えた金額です。)とする旨の第3回の価格提案を行いました。これに対し、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは著しく乖離していると判断したとのことであり、公開買付者は、同月8日、対象者から、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を受けました。

公開買付者は、2025年5月9日付で、対象者に対し、本公開買付価格を1株当たり570円(570円は、当該提案がなされた2025年5月9日の前営業日である2025年5月8日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値550円に対して3.64%のプレミアムを加えた金額です。)とする旨の第4回の価格提案を行いました。これに対し、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、直近の株価及び過去1ヶ月間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であり、対象者の少数株主にとって満足が得られる水準となっていないと判断したとのことであり、公開買付者は、同月12日、対象者から、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を受けました。

 

また、公開買付者は2025年5月13日、対象者を通じて、シティインデックスイレブンスに対して、本公開買付価格を590円以上として、本公開買付けを開始した場合には、シティインデックスイレブンスが所有する対象者株式及び本共同保有者が所有する対象者株式の全てについて自ら又は本共同保有者をして、本公開買付けにおいて応募し又は応募させることを要請したところ、シティインデックスイレブンスから当該要請を受諾する旨の回答を得たため、同日、シティインデックスイレブンスとの間で本応募契約を締結しました。その後、公開買付者は、同日付で、対象者に対し、本公開買付価格を1株600円(600円は、当該提案がなされた2025年5月13日の前営業日である2025年5月12日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値542円に対して10.70%のプレミアムを加えた金額です。)とする旨の第5回の価格提案を行い、同日付で、対象者から本公開買付価格について更なる引き上げを要請しない旨の回答を受けたため、公開買付者は、同日、対象者を通じて、シティインデックスイレブンスに対して、本公開買付価格を600円とする旨を連絡し、シティインデックスイレブンスから、了解した旨の回答を口頭で受領しました。これを受けて、公開買付者としては、本公開買付価格を600円として本公開買付けを開始した場合には、本応募契約に基づき、応募株主らが所有する対象者株式の全てについて応募が行われるものと認識しております。

以上の協議・交渉を経て、公開買付者は、2025年5月14日、本取引の一環として、本公開買付価格を600円として本公開買付けを実施することを決定しました。

なお、公開買付者は、本前提条件の充足を確認する過程で、2025年5月14日付公開買付者プレスリリースの公表以降、本書提出日現在において、対象者の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、対象者の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断したことから、2025年5月14日に決定した本公開買付価格を変更しないこととしています。

 

 

② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

(ⅰ)検討体制の構築の経緯

上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、対象者は、2024年11月15日に、公開買付者より本取引の検討を行っている旨の連絡を受けたことを契機として、本取引の実施について、公開買付者との間で協議を開始するとともに、本取引の実施の是非等を含めた検討を開始したとのことです。対象者は、2024年12月下旬に、本取引の検討のため、公開買付者、対象者及び応募株主ら(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)を選任したとのことです。

その後、2025年2月18日に、公開買付者から、本提案書を受領したこと、及び、公開買付者が応募株主らとの間で本応募契約を締結する可能性があることを踏まえ、対象者の一般株主の皆様への影響に配慮し、本取引その他それに派生又は関連する事項(以下、総称して「対象事項」といいます。)を対象者取締役会において検討するに際し、対象者の意思決定の過程における恣意性及び一般株主との間の利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保することを目的として、西村あさひの助言も踏まえ、2025年2月25日付の取締役会決議に基づき、公開買付関連当事者から独立した、対象者の社外取締役であり、独立役員として東京証券取引所に届出を行っている川橋信夫氏、笹本前雄氏及び山下真実氏の3名によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置したとのことです。

そして、対象者は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含みます。)、(ⅱ)本取引の取引条件の公正性・妥当性、(ⅲ)本取引の手続の公正性、(ⅳ)本取引が対象者の一般株主にとって不利益なものではないと考えられるか、並びに(ⅴ)取締役会が本取引における本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(ⅰ)乃至(ⅴ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問したとのことです。

また、対象者は、上記取締役会において、対象者取締役会が対象事項に関する重要な決定を行うときには、本特別委員会の答申を最大限尊重しなければならず、本特別委員会が本公開買付けを通じて本取引を実施することの決定が対象者の一般株主にとって不利益なものであると判断した場合には本公開買付けに賛同しないものとする旨を決議したとのことです。併せて、対象者は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が対象事項の検討を行う特別委員以外の対象者取締役及び従業員(以下「対象者プロジェクトチーム」といいます。)に対して、必要な助言を行うことができる権限、(b)本特別委員会が公開買付者との対象事項に関する協議及び交渉について、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、随時、意見を述べ、対象者取締役会に対して勧告や要請を行うことができる権限、(c)本特別委員会が対象者プロジェクトチーム及び対象者の外部専門家等(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。以下同じです。)に対し、対象事項に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求めることができる権限、並びに(d)本特別委員会がその役割を果たすために必要な範囲で、自らのための外部専門家等を対象者の費用負担により選任することができる権限、及び対象者の外部専門家等が十分な専門性を有しており、独立性にも問題がない等、特別委員会として対象者の外部専門家等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、対象者の外部専門家等に対して専門的助言を求めることができる権限をそれぞれ付与しているとのことです。

 

そして、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、対象者は、本特別委員会において、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券を、リーガル・アドバイザーとして西村あさひをそれぞれ選任することの承認を受けているとのことです。また、本特別委員会は、2025年3月11日、その独立性及び専門性・実績等を検討の上、公開買付関連当事者から独立した独自の第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサルティング」といいます。)を選任したとのことです。

 

(ⅱ)検討・交渉の経緯

対象者は、上記体制の下、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が対象者に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、SMBC日興証券及び西村あさひの助言を受けながら、本取引の実行の是非に関して検討を進めるとともに、公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねたとのことです。

対象者は、2025年4月11日付で、公開買付者から、対象者が2025年3月期末の配当を無配とする前提で、本公開買付価格を1株当たり480円とする旨の初回の価格提案を受け、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは著しく乖離していると判断したとのことです。そこで、対象者は、同月14日、公開買付者に対して、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を行ったとのことです。

対象者は、2025年4月23日付で、公開買付者から、対象者が2025年3月期末の配当(対象者2025年3月期決算短信において2025年3月期の期末配当予想として記載された1株当たり14円とするものをいいます。)を実施する前提で、本公開買付価格を1株当たり530円とする旨の第2回の価格提案を受け、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは著しく乖離していると判断したとのことです。そこで、対象者は、同月24日、公開買付者に対して、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を行ったとのことです。

対象者は、2025年5月7日付で、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり560円とする旨の第3回の価格提案を受け、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であること、本特別委員会の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値の試算結果に照らして、十分な価格と判断できないことから、本公開買付けに賛同表明及び応募推奨を行う上で想定している価格水準からは引き続き著しく乖離していると判断したとのことです。そこで、対象者は、同月8日、公開買付者に対して、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を行ったとのことです。

対象者は、2025年5月9日付で、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり570円とする旨の第4回の価格提案を受け、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、特に、直近の株価及び過去1ヶ月の株価に対するプレミアム水準が本件と同様の非公開化事例と比して不十分であり、対象者の少数株主にとって満足が得られる水準となっていないと判断したとのことです。そこで、対象者は、同月12日、公開買付者に対して、本公開買付価格について再考すべき旨の要請を行ったとのことです。

 

対象者は、2025年5月13日付で、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり600円とする旨の第5回の価格提案を受け、本特別委員会は、SMBC日興証券の助言及び西村あさひの法的助言を踏まえ、公開買付者からの上記提案内容を慎重に検討した結果、下記「(ⅲ)判断の内容」の(ア)乃至(キ)に記載の理由により、当該提案は応諾可能であると判断したとのことです。そこで、対象者は、同日、公開買付者に対して、現段階において、本公開買付価格について更なる引上げを要請しない旨の連絡を行ったとのことです。

その後、対象者は、公開買付者から、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認したことから、同日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されることが確実であると判断し、本公開買付けの開始日を2025年8月6日とする予定である旨の連絡を受けたとのことです。

 

(ⅲ)判断の内容

以上の経緯の下、対象者は2025年5月14日開催の対象者取締役会において、西村あさひから受けた法的助言、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言並びに2025年5月13日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(SMBC日興証券)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2025年5月14日付答申書において示された判断内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否か等について、慎重に検討・協議を行ったとのことです。

その結果、対象者は、以下のとおり、本公開買付けを含む本取引は対象者が単独で存続し続ける場合と比較して、対象者の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至ったとのことです。対象者グループとして、本公開買付けを通じた資本関係の構築によって両社グループが一体となって業界全体の課題に立ち向かうとともに、対象者グループの課題である企業価値向上を、より確実に、よりスピーディーに実現できると考えているとのことです。

対象者が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは、以下とのことです。

ⅰ.国内建設事業の一層の強化の実現

対象者グループは、収益力向上のための施策の一環として、土木事業においては、PC橋梁や大規模更新を軸に、優位分野の収益力を維持しつつも、市場規模の大きいトンネルや成長分野であるエネルギー関連施設に注力していくことで、新たな強み分野を創出していく方針とのことです。その中で、対象者はPC橋梁については、優位技術を保有していると自負しており、2024年3月末時点で4,100橋の施工実績を積み上げてきましたが、市場が大きいトンネルや成長分野のエネルギー関連事業については、対象者シェアの拡大余地は大きいと考えているとのことです。対象者グループとしては、対象者グループ単独での業容拡大ではなく、トンネル工事等対象者と重複していない分野の工事施工に強みを持つ公開買付者グループとの一体化により、両社グループの強みを最大限に勘案した工事受注を行うことや対象者及び公開買付者グループがこれまで蓄積してきたノウハウや技術を共有することで、両社グループの得意分野を補完し合いながら国内土木事業の更なる拡大及び強化が実現できると考えているとのことです。また、トンネルや橋梁、河川改修、土地造成、上下水道施設、道路等、フルラインナップで川上から川下まで対応可能となり、インフラ運営事業も含めると業界で唯一無二の立ち位置の企業体となることも見込んでいるとのことです。また、建築事業においては、一部の国内建築工事において工事採算が大きく低下したことを受け、①施工体制逼迫の改善と現場支援体制の再構築、②受注プロセスにおけるガバナンス強化と最適な受注ポートフォリオの構築、③採算性を重視した目標管理の徹底を行い、建築事業の利益率改善に取り組んできたとのことです。建築事業においては、対象者グループが保有する幅広いPCa(プレキャスト)技術や公開買付者グループが保有する建築技術やシステム・ノウハウを共有することで、更なる競争力の強化に繋がると考えており、特に超高層住宅分野では、業界内で極めて優位な地位を確保できると考えているとのことです。

 

ⅱ.海外事業の事業規模の拡大

対象者グループは、1971年のタイでの橋梁案件以降、50年以上に亘って海外で建設事業を行ってきており、この期間、日本のODA案件で実績を重ね、各国の慣習や風土を学びつつ、日本の先進技術を展開し、組織体制を確立してきたとのことです。その結果現在では、フィリピンでは長年の東南アジア地方での実績が評価され超大型鉄道案件を受注し、インドでは多くの民間顧客に対して最適な設計・工法を提案することで、さまざまな案件の受注を獲得しているとのことです。今後、対象者グループの海外事業の更なる成長のためには、建設技術のラインナップとノウハウの拡大が不可欠であり、公開買付者グループがこれまで培ってきた総合インフラサービスの技術・ノウハウが新たに加わることによって、海外事業の事業規模の拡大を成し遂げることができると考えているとのことです。

ⅲ.経営資源共有による経営効率の向上と経営環境の変化に対する対応力の強化

対象者グループは、建設資材価格の高止まり、建設技能者の高齢化や労働人口減少による技術者の担い手不足やいわゆる「2024年問題」と呼ばれる時間外労働の上限規制適用の影響による労務需給の逼迫等、厳しい業界環境に直面しているとのことです。これらの厳しい業界環境を乗り越えるため、対象者グループはDX推進を行っており、過去の工期データや現場状況データ、建設資材発注データ等を活用したDX化による次世代建設生産システムの構築を行っており、工期の短縮化や建設現場の省人化、建設費高騰の緩和を推進しているとのことです。その一方で、建設技能者の減少は今後も継続的に続くと考えており、将来は一層の経営効率の向上が長期安定的な経営に必要であると考えているとのことです。そこで、土木事業と建築事業を中心に多くのノウハウを保有する対象者グループと公開買付者グループが、本取引によって、これまで蓄積していた技術及びデータ等の共有が可能となることで、更なるデジタル技術の革新を促し、生産性の向上や経営規模の拡大を目指すことができると考えているとのことです。加えて、公開買付者グループの企業規模の拡大や受注高の増加とそれらによる財務基盤の強化が実現することで、認知度の向上や建設技能者にとっての魅力拡大により、優秀な人材の採用力の強化や既存従業員のエンゲージメント向上といった人的資本の強化、技術力向上に寄与すると考えているとのことです。これらにより、サステナビリティ経営の強化を実現すると対象者グループは考えているとのことです。

 

一方、本取引により以下のようなデメリットが生じる可能性があるところ、当該デメリットについても以下のとおり対応がなされており、本取引によって実現可能なシナジーによるメリットが上回ると考えているとのことです。

 

具体的には、国内土木においては、建設分野において、公開買付者グループの前田建設工業及び対象者の強みが一部重複することにより、公開買付者グループに対象者が参画することによって、ディスシナジーとなる可能性も否定できないとも考えられるとのことです。もっとも、公開買付者としては、建築分野における超高層住宅の用途が重複することが想定されるものの、超高層住宅では設計施工案件が多く、両社グループの経営リソースの相互活用を行うことで、多くの案件に対応が可能であることからディスシナジーが発生することは想定しておりません。また、対象者としては、特に土木部門において土木事業における得意工事の種別が異なることから入札時の競合といったディスシナジーが生じる可能性があるものの、対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完しあうことで多様な案件の受注が可能となり、公開買付者グループ全体としては当該ディスシナジーを上回るシナジーが期待されると考えているとのことです。具体的には、対象者が有する土木事業におけるPC橋梁と大規模更新、建築事業における超高層住宅、東南アジア、南アジア地域を中心に展開している海外事業等、豊富な施工実績と卓越した技術力により、得意分野が異なる土木事業においては補完し合い、建築分野においては保有する技術やシステムの共有による更なる競争力の強化が図ることができ、特に超高層住宅分野では圧倒的な地位を確保できると考えているとのことです。上記の対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完することを確保するため、公開買付者は、本取引後、対象者と公開買付者の傘下である前田建設工業との間で強みが重複する工事受注については、両社の強みを最大限に活かし、競争力を高めるとともに、効率的な事業運営を実現するため、競争法上許容される範囲内で、各社の得意分野やリソースを勘案し、①対象者又は前田建設工業のいずれかのみが入札する、又は、②対象者と前田建設工業がジョイントベンチャーを設立して共同で入札する等の最適な戦略を策定するものとし、当該戦略の策定に際しては、対象者及び前田建設工業を相互に尊重し対等の精神をもって、各社誠実に協議の上で定めることを基本的な方針とすることを、2025年5月14日付の本取引後の公開買付者及び対象者の事業運営等に関する「確認書」(以下「本確認書」といいます。)において合意しました。

また、本取引の実施によって、対象者は非上場化することになり、上場会社としての社会的信用、知名度の維持・向上といったメリットを失うことや、商号の変更の可能性が想定されるところ、対象者グループの従業員のうち上場会社への勤務を志向する者や対象者の商号への誇りを持つ者のモチベーションが低下することが考えられるとのことです。加えて、対象者グループと公開買付者グループは一定の重複する業務分野を有していることから、対象者グループが公開買付者グループに参画することによって、対象者グループが主体的に推進する案件が減少する場合には、そのような案件を自ら推進することにやりがいを感じている対象者の優秀な技術者のモチベーションの低下に繋がりかねないと考えられるとのことです。したがって、本取引の実施によって、以上のような事項の従業員のリテンション等への影響が生じる可能性があるとのことです。もっとも、公開買付者としては、対象者が非上場化することの影響について、本取引の実行によって上場廃止となることで対象者の従業員の士気低下が懸念され、また、対象者の従業員が対象者の商号を重視していることは理解しているものの、①上場維持コストが削減されることによる従業員の給与の増加等の施策や公開買付者グループ全従業員を対象とした株式給付信託制度(J-ESOP)の付与等のインセンティブプランを実行することで、公開買付者グループに参加するメリットを享受してもらうこと、②公開買付者グループと一体となることで、ノウハウの共有や適材適所の人材交流が可能となり、より働き甲斐のある職場環境の実現につながること、③公開買付者としては、将来的な企業価値の向上について丁寧に説明することにより、対象者グループの従業員の理解を得ることが可能であると考えております。他方で、対象者としては、対象者が非上場化することの影響について、非上場化によって、対象者グループの従業員が不安を抱く可能性は否定できず、また、公開買付者と対象者が経営統合することで、案件の重複が起きた際に現場技術者の活躍の場が狭まることにも繋がるといった事態が生じる場合には、現場技術者の離職につながる可能性があると認識しているとのことです。そこで、対象者の経営陣としては、対象者グループ従業員のリテンションの観点から、公開買付者との間で、下記「③本公開買付け後の経営方針」に記載の合意に至ったとのことです。具体的には、対象者グループ従業員の雇用水準を維持することを前提に、対象者グループが公開買付者グループに参画するに当たって、対象者グループ従業員がそのエンゲージメントを高め、より高いモチベーションで働ける環境を追求することを目的として、対象者グループ従業員がその能力を発揮し、成長することを支援するための具体的な施策を実施することを、本確認書において合意したとのことです。

 

なお、本取引の実施によって、対象者は非上場化することになり、対象者が上場会社として享受していた、上場会社としての社会的信用、知名度の維持・向上及び市場からの資金調達等のメリットは享受できなくなるとのことです。もっとも、公開買付者としては、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、公開買付者グループの格付や与信を活用した対象者における資金調達力の向上及び調達コストの低減を図ることが可能になることに鑑みると、影響は軽微であると考えており、対象者としても同様に認識しているとのことです。

また、対象者は、以下の点等から、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は、妥当であり、本公開買付けは、対象者の一般株主の皆様に対して合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。

(ア)対象者において、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、公開買付関連当事者から独立した本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者及び応募株主らとの間で真摯に交渉を重ねた上で合意された価格であり、公開買付者の当初提示額(480円)から120円(25.00%)引き上げられた価格で、当初提示額が対象者の2025年3月期の配当を無配とする前提であったことも考慮すると実質的に134円(27.92%)引き上げられた価格であること。

(イ)対象者における独立した本特別委員会から取得した2025年5月14日付答申書において、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件は妥当であると判断されていること。

(ウ)本公開買付価格は、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置の「(ⅲ)対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているSMBC日興証券による対象者株式に係る株式価値算定結果に照らし、市場株価法及び類似上場会社比較法による算定結果の範囲を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果の範囲内であること。

(エ)本公開買付価格は、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置の「(ⅴ)特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている山田コンサルティングによる対象者株式に係る株式価値算定結果に照らし、市場株価法による算定結果の範囲を上回っており、類似会社比較法及びDCF法による算定結果の範囲内であること。

 

(オ)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年5月13日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値544円に対して10.29%、同日までの過去1ヶ月間(2025年4月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値497円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値について同じです。)に対して20.72%、同日までの過去3ヶ月間(2025年2月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値447円に対して34.23%、同日までの過去6ヶ月間(2024年11月14日から2025年5月13日まで)の終値単純平均値427円に対して40.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっているところ、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年4月30日までに公開買付けが成立した上場企業の非公開化を目的とした本取引に類似する事例(公開買付けの対象会社の時価総額が500億円以上であり、かつ、公開買付けの対象となる株式のPBRが案件公表前から1倍を超えている事例。ただし、いわゆるディスカウント公開買付け、二段階公開買付け、同意なき買収、MBO、上場子会社の完全子会社化を目的とした事例は除きます。)28件におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して33.06%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して35.96%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して36.64%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.38%)に照らした場合、公表日の前営業日及び基準日直近1ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は必ずしも高い水準とはいえないものの、対象者の株価は2025年3月1日及び2025年4月20日に情報誌において対象者の株券に対する公開買付けに関する憶測記事が掲載された際に上昇しており、2025年4月7日に対象者が公表した「当社に対する訴訟の経過に関するお知らせ」及び2025年4月21日に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」も株価上昇の要因として考えられることを勘案しても、足許の株価上昇は対象者の非公開化への期待を一定程度含んだ思惑買いによる影響がある可能性も否定しきれないことから、短期間の株価変動の影響を除外したより長い期間の株価との比較においてのプレミアム水準も考慮するべきであると考えられるところ、短期間の株価変動の影響がより小さい基準日直近3ヶ月及び基準日直近6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準との比較では、本公開買付価格は相応のプレミアムが付された価格であると判断できること。

(カ)対象者の長期の株価推移に照らして、直近5年における対象者株式の終値の最高値550円(2025年5月8日)を上回り、かつ、直近5年における対象者株式の場中最高値564円(2025年5月9日)を上回る価格であるため、長期保有の一般株主にも十分配慮された水準であると考えられること。

(キ)下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、一般株主の利益が確保されていると認められること。

 

以上より、対象者は、2025年5月14日開催の対象者取締役会において、当該時点における対象者の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議したとのことです。

また、対象者は、上記の決議に際して、本公開買付けが開始される前に、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年5月14日付で対象者取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議したとのことです。

 

その後、対象者は、公開買付者から、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認したことから、同日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されることが確実であると判断し、対象者に対し、その他の本前提条件が充足されていること又は公開買付者により放棄されていることを前提として、本公開買付けの開始日を2025年8月6日とする予定である旨の連絡を受けたとのことです。

これを受け、対象者は2025年8月5日、本特別委員会に対して、2025年5月14日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したとのことです。そこで、本特別委員会は、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年8月5日開催の特別委員会において、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について2025年5月14日以後、2025年8月5日までの事情を勘案して検討を行った結果、2025年5月14日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月5日に、対象者取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2025年8月5日付答申書を提出したとのことです。

対象者は、本特別委員会から提出された2025年8月5日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、対象者の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年5月14日以降、対象者の経営環境に重要な状況変化は生じておらず、また、本公開買付けを含む本取引は対象者の企業価値の向上に資すると考えられ、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当であると認められること等から、2025年8月5日時点においても、2025年5月14日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したとのことです。

以上より、対象者は、2025年8月5日開催の取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行ったとのことです。

上記の対象者取締役会の決議の詳細については、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

 

③ 本公開買付け後の経営方針

公開買付者としては、下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」の「② 本確認書」に記載のとおり、本公開買付け後も原則として当面の間は、対象者の現行の法人格及び機関設計を維持する方針であり、経営体制及び業務執行体制については、公開買付者の取締役会において基本的な要件及び構成を決定するものとし、具体的な役員の人選・人数については、公開買付者の指名委員会にて協議の上、公開買付者の取締役会において決議する方針です。なお、対象者の業務執行体制案・役員人事案については、当該基本的な要件及び構成に従い、対象者が公開買付者に対して提案するものとし、公開買付者は、当該提案があった場合にはその妥当性を十分に検証し、妥当性が認められる場合には、当該提案を尊重する予定です。また、公開買付者は、対象者を含む公開買付者グループの経営資源をこれまで以上に集約することにより、公開買付者グループが一体となり、更なる企業価値向上に向けて邁進していき、対象者グループの従業員について、原則として、対象者における2025年5月14日現在の労働条件の水準を実質的に下回らない条件で、当面の間、その雇用を維持するものとすること、及び、公開買付者は、対象者グループの従業員がそのエンゲージメントを高め、より高いモチベーションで働ける環境をグループ一体となって追求すること等についても合意しております。これらの点を含む対象者の公開買付け後の経営方針の詳細については、下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」の「② 本確認書」をご参照ください。

 

(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

本書提出日現在において、公開買付者が対象者株式100株を所有することを除き、公開買付者及び対象者との間に資本関係はなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けに該当いたしません。また、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者及び対象者は、本公開買付けにおいて対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることを考慮し、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び一般株主との間の利益相反のおそれを排除し、その公正性及び透明性を担保するため、以下のような措置を実施いたしました。

なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくものです。

 

(ⅰ)公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼し、2025年5月13日付で本株式価値算定書(大和証券)(下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の基礎」に定義します。)を取得いたしました。詳細については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の基礎」をご参照ください。

 

 

(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

① 設置等の経緯

上記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者は、対象者の一般株主の皆様への影響に配慮し、対象事項を対象者取締役会において検討するに際し、対象者の意思決定の過程における恣意性及び一般株主との間の利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保することを目的として、西村あさひの助言も踏まえ、2025年2月25日付の取締役会決議に基づき、公開買付関連当事者から独立した、対象者の社外取締役であり、独立役員として東京証券取引所に届出を行っている川橋信夫氏、笹本前雄氏及び山下真実氏(株式会社ここるく代表取締役、株式会社イオンファンタジー社外取締役、株式会社ナック社外取締役)の3名によって構成される、本特別委員会を設置したとのことです(本特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。)。また、特別委員による互選の結果、川橋信夫氏が本特別委員会の委員長に選任されたとのことです。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず本特別委員会の開催回数に応じた報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていないとのことです。

そして、対象者は、本特別委員会に対して、本諮問事項について諮問したとのことです。また、対象者は、上記取締役会において、対象者取締役会が対象事項に関する重要な決定を行うときには、本特別委員会の答申を最大限尊重しなければならず、本特別委員会が本公開買付けを通じて本取引を実施することの決定が対象者の一般株主にとって不利益なものであると判断した場合には本公開買付けに賛同しないものとする旨を決議したとのことです。併せて、対象者は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が対象者プロジェクトチームに対して、必要な助言を行うことができる権限、(b)本特別委員会が公開買付者との対象事項に関する協議及び交渉について、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、随時、意見を述べ、対象者取締役会に対して勧告や要請を行うことができる権限、(c)本特別委員会が対象者プロジェクトチーム及び対象者の外部専門家等に対し、対象事項に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求めることができる権限、並びに(d)本特別委員会がその役割を果たすために必要な範囲で、自らのための外部専門家等を対象者の費用負担により選任することができる権限、及び対象者の外部専門家等が十分な専門性を有しており、独立性にも問題がない等、本特別委員会として対象者の外部専門家等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、対象者の外部専門家等に対して専門的助言を求めることができる権限をそれぞれ付与したとのことです。

 

② 検討の経緯

本特別委員会は、2025年2月28日より2025年5月13日まで合計14回開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行い、本諮問事項について、慎重に協議及び検討を行ったとのことです。

具体的には、本特別委員会は、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券、対象者のリーガル・アドバイザーである西村あさひについて、公開買付関連当事者の関連当事者にも該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認し、また、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認したとのことです。また、本特別委員会独自の第三者算定機関として、十分な専門性を有し、また、公開買付関連当事者の関連当事者にも該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、山田コンサルティングを選任し、山田コンサルティングから専門的助言を受けることを決定したとのことです。

本特別委員会は、西村あさひから受けた説明を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行ったとのことです。また、本特別委員会は、SMBC日興証券及び山田コンサルティングから受けた助言も踏まえつつ、対象者が作成した事業計画(以下「本事業計画」といいます。)について、対象者からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認したとのことです。

 

本特別委員会は、公開買付者に対して質問事項を提示し、公開買付者に対して本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施するとともに、公開買付者からのこれらの点に関する質疑応答の内容を踏まえ、対象者に対して、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施したとのことです。

加えて、下記「(ⅲ)対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、SMBC日興証券及び山田コンサルティングは本事業計画を前提として対象者株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、SMBC日興証券及び山田コンサルティングが実施した対象者株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を認識しているとのことです。

また、本特別委員会は、対象者の公開買付者との交渉について、随時、対象者及びSMBC日興証券から受けた報告も踏まえて審議・検討を行い、対象者の交渉方針につき、適宜、必要な意見を述べたとのことです。具体的には、本特別委員会は、公開買付者からの本公開買付価格に関する提案を受領次第、それぞれの提案について報告を受け、SMBC日興証券による公開買付者との交渉方針等についての分析・意見を踏まえて検討を行ったとのことです。その上で、本特別委員会は対象者に対し、これらのいずれに際しても、対象者としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、対象者と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与したとのことです。

さらに、本特別委員会は、西村あさひから、複数回、2025年5月14日付対象者プレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、適切な情報開示がなされる予定であることを確認したとのことです。

 

③ 判断内容

本特別委員会は、以上の経緯の下で、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2025年5月14日付で、対象者取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の2025年5月14日付答申書を提出したとのことです。

(a)答申の内容

ⅰ 本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当かつ合理的である。

ⅱ 本取引の取引条件は公正かつ妥当である。

ⅲ 本取引の手続は公正である。

ⅳ 本取引は対象者の一般株主にとって不利益なものではない。

ⅴ 取締役会が本取引における本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは相当である。

(b)答申の理由

ⅰ 本取引の目的の正当性・合理性

・ 対象者グループとしては、建設業界においては、資源価格や建設資材価格の高止まり、労務需給の逼迫の影響、2024年4月から開始した建設業への時間外労働の上限規制適用による影響等により、依然として厳しい市場環境は続くと考えている。

 

・ 公開買付者によれば、建設業界においては、短中期的には、建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫等により、市場環境は厳しさを増していると考えているとのことであり、また、社会インフラの老朽化の問題の顕在化に伴い、今後も既存インフラの維持管理・更新が必要となる中で、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、2024年4月以降の建設業界への時間外労働の上限規制の適用による労務費の上昇により、人的リソースの不足や最適化の問題が生じると認識しているとのことである。また、中長期的には、国や地方公共団体の財政は今後ますます厳しくなり、国内の新規建設の請負市場は、財政上の制約から縮小していくと想定しているとのことである。このような状況を踏まえると、これまでの総合建設業におけるビジネスモデルのあり方を抜本的に見直す等、大きな変化が必要だと考えているとのことであり、また、土木や建築等の建設業界でも、上述のような目まぐるしい変化に伴い、高い技術力や営業力、調達力や施工供給力はもちろん、新しいテクノロジーの迅速な活用がますます必要とされてきており、競争力を高めていくためにはその対応力が急務となっているとのことで、このような産業構造の変化に対応していくことが、今後の事業拡大において一つの課題であると認識しているとのことである。

・ そのような中で、公開買付者グループは、対象者グループが中長期的に事業基盤を拡大し、更なる成長を実現していくためには、対象者と公開買付者が経営統合することにより、対象者が公開買付者グループと資本関係を構築し、経営リソースの連携による事業機会の拡大や成長投資、DX・技術開発・サステナビリティ対応、ガバナンス体制の強化、及び人材育成の共同推進等、両社グループのシナジーを最大限発揮していくことが重要であると考えているとのことであり、これにより環境変化に対応できる強固な経営基盤の構築や経営資源の最適配分等、グループのシナジーを最大限発揮していくことが不可欠と考えていたとのことである。またこのようにグループ間のシナジーを最大限発揮することにより、公開買付者グループが本中長期経営計画及び本中期経営計画で掲げる「総合インフラサービス企業」としての地位確立を志向した、事業領域の拡大及び競争力の最大化を図れると考えているとのことである。

・ 公開買付者における対象者との協業及び本取引によるシナジーとして、①公開買付者及び対象者の経営リソースの相互活用、②グループ全体でのDX、技術開発、サステナビリティ戦略及び人材育成の共同推進、③相互の事業基盤を活用した新規事業機会の創出が挙げられるとのことである。また、対象者における公開買付者との協業及び本取引によるシナジーとして、①国内建設事業の一層の強化の実現、②海外事業の事業規模の拡大、③経営資源共有による経営効率の向上と経営環境の変化に対する対応力の強化が挙げられるとのことである。

 

・ 国内土木においては、建設分野において、公開買付者グループの前田建設工業及び対象者の強みが一部重複することにより、公開買付者グループに対象者が参画することによって、ディスシナジーとなる可能性も否定できないとも考えられる。もっとも、本特別委員会が受領した資料及び本特別委員会が公開買付者に対して行ったインタビューによれば、建築分野における超高層住宅の用途が重複することが想定されるものの、超高層住宅では設計施工案件が多く、両社の経営リソースの相互活用を行うことで、多くの案件に対応が可能であることからディスシナジーが発生することは想定していないとのことである。また、本特別委員会が対象者経営陣に対して行ったインタビュー等によれば、特に土木部門において土木事業における得意工事の種別が異なることから入札時の競合といったディスシナジーが生じる可能性があるものの、対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完しあうことで多様な案件の受注が可能となり、公開買付者グループ全体としては当該ディスシナジーを上回るシナジーが期待されると考えているとのことである。この点については、対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完することを確保するため、対象者及び公開買付者の経営陣及び実務担当者の間で、競争法上許容される範囲内で、本取引後の受注体制について協議がなされたとのことであり、当該協議では、対象者と前田建設工業とで得意工種が重複し、両社間で受注を希望する案件が重なることも理論的にはあり得るものの、各社の得意分野やリソースを勘案し、ベストな提案を行うことで当該ディスシナジーを上回るシナジーが見込めることが確認されたとのことである。その上で、公開買付者及び対象者は、対象者と前田建設工業との間で強みが重複することによるディスシナジーの発生を防ぐため、公開買付者は、本取引後、対象者と公開買付者の傘下である前田建設工業との間で強みが重複する工事受注については、両社の強みを最大限に活かし、競争力を高めるとともに、効率的な事業運営を実現するため、競争法上許容される範囲内で、各社の得意分野やリソースを勘案し、①対象者又は前田建設工業のいずれかのみが入札する、又は、②対象者と前田建設工業がジョイントベンチャーを設立して共同で入札する等の最適な戦略を策定するものとし、当該戦略の策定に際しては、対象者及び前田建設工業を相互に尊重し対等の精神をもって、各社誠実に協議の上で定めることを基本的な方針とすることを、本確認書において合意したとのことである。

 

・ 本取引の実施によって、対象者は非上場化することになり、上場会社としての社会的信用、知名度の維持・向上といったメリットを失うことや、商号の変更の可能性が想定されるところ、対象者のグループ従業員のうち上場会社への勤務を志向する者や対象者の商号への誇りを持つ者のモチベーションが低下することが考えられる。また、対象者グループと公開買付者グループは一定の重複する業務分野を有していることから、対象者グループが公開買付者グループに参画することによって、対象者グループが主体的に推進する案件が減少する場合には、そのような案件を自ら推進することにやりがいを感じている対象者の優秀な技術者のモチベーションの低下に繋がりかねないと考えられる。したがって、本取引の実施によって、以上のような事項の従業員のリテンション等への影響が生じる可能性がある。本特別委員会が受領した資料及び本特別委員会が公開買付者に対して行ったインタビューによれば、対象者の人事システムは一定期間維持することを想定しており、対象者が非上場化することの影響について、公開買付者は、本取引の実行によって上場廃止となることで対象者の従業員の士気低下が懸念され、また、対象者の従業員が対象者の商号を重視していることは理解しているものの、①上場維持コストが削減されることによる従業員の給与の増加等の施策や公開買付者グループ全従業員を対象とした株式給付信託制度(J-ESOP)の付与等のインセンティブプランを実行することで、公開買付者グループに参加するメリットを享受してもらうこと、②公開買付者グループと一体となることで、ノウハウの共有や適材適所の人材交流が可能となり、より働き甲斐のある職場環境の実現につながること、③公開買付者としては、将来的な企業価値の向上について丁寧に説明することにより、対象者グループの従業員の理解を得ることが可能であると考えているとのことである。他方で、本特別委員会が対象者に対して行ったインタビューによれば、対象者が非上場化することの影響について、対象者経営陣としては、非上場化によって、対象者グループの従業員が不安を抱く可能性は否定できず、また、公開買付者と経営統合することで、案件の重複が起きた際に現場技術者の活躍の場が狭まることにも繋がるといった事態が生じる場合には、現場技術者の離職につながる可能性があると認識しているとのことである。そのため、対象者経営陣としては公開買付者との間で従業員のリテンションについて一定の合意をし、当該合意の内容を従業員に対して説明することで従業員の理解を得ることが必要と認識しているとのことである。そこで、対象者経営陣としては、対象者グループの従業員のリテンションの観点から、公開買付者との間で、対象者グループの従業員の雇用水準を維持することを前提に、対象者グループが公開買付者グループに参画するに当たって、対象者グループの従業員がそのエンゲージメントを高め、より高いモチベーションで働ける環境を追求することを目的として、対象者グループの従業員がその能力を発揮し、成長することを支援するための具体的な施策を実施することを、本確認書において合意したとのことである。

・ 本取引の実施によって、対象者は非上場化することになり、対象者が上場会社として享受していた、上場会社としての社会的信用、知名度の維持・向上及び市場からの資金調達等のメリットは享受できなくなる。この点、本特別委員会が受領した資料及び本特別委員会が公開買付者に対して行ったインタビューによれば、公開買付者としては、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、公開買付者グループの格付や与信を活用した対象者における資金調達力の向上及び調達コストの低減を図ることが可能になることに鑑みると、影響は軽微であると考えているとのことである。

 

・ 本特別委員会が対象者及び公開買付者から受けた説明並びに資料を踏まえると、上記に記載の本取引に至る背景となる対象者グループの事業内容・事業環境等については、対象者の属する業界及び市場の環境として一般に説明されている内容や対象者取締役会の理解とも整合すると考えられる。また、上記の公開買付者が企図する施策の内容は対象者グループの現在の事業内容・事業環境を前提とした合理的なものであり、対象者における将来の中長期的な企業価値の向上のための施策として、評価し得るものであると考えられる。すなわち、上記のとおり、資源価格や建設資材価格の高止まり、労務需給の逼迫の影響、2024年4月から開始した建設業への時間外労働の上限規制適用による影響等により、依然として厳しい市場環境は続くことを踏まえると、環境変化に対応できる強固な経営基盤の構築や経営資源の最適配分を行うことが重要な経営課題であることは是認できる。また、本取引後に講じられることが具体的に想定される施策に関して、公開買付者は「①公開買付者及び対象者の経営リソースの相互活用」については、対象者グループが公開買付者グループとの連携を強化することで、営業・設計・現場支援、技術開発、システム及び広報・IR等の様々な連携が可能となり、そこから生まれる事業機会の拡大や生産性の向上、また両社グループの経営リソースを活用した成長投資が可能となり、「②グループ全体でのDX、技術開発、サステナビリティ戦略及び人材育成の共同推進」については、AIをはじめとする先端デジタル技術を活用した生産性向上やインフラ運営事業の効率化に資するデータの集積と活用、及び人材育成が可能となり、「③相互の事業基盤を活用した新規事業機会の創出」については、対象者グループにおいては、土木分野における橋梁を中心とした公共工事、建築分野における超高層建築を代表とする高い技術力、及び海外事業において強みを有しており、これまでに対象者グループ及び公開買付者グループが築いてきた成長市場への事業接点、事業基盤、及び顧客接点を最大限に活かすことで、両社グループにおいて、業界における成長市場への更なる事業機会の創出及び案件パイプラインの拡大が可能になると考えているとのことであるが、いずれも対象者グループを取り巻く事業環境及び経営課題に対応するものであり、これらの施策は合理的なものであると考えられる。また、対象者としては、本取引の実施により、「①国内建設事業の一層の強化の実現」、「②海外事業の事業規模の拡大」、「③経営資源共有による経営効率の向上と経営環境の変化に対する対応力の強化」等のシナジーが生じると認識しているとのことであるが、公開買付者が企図する施策及び認識するシナジーは、対象者の認識にも沿うものであると考えられる。

 

・ さらに、上記のとおり、本取引の実施により対象者と前田建設工業との間で強みが重複することによるデメリットが生じる可能性は否定できないものの、対象者は、公開買付者との間で、本取引後の事業運営に関する合意を行っており、当該デメリットについてはその発生の防止が一定担保されていると考えられる。すなわち、特に対象者においては、土木部門において入札時の競合といったディスシナジーについては対象者の取締役会において議論がなされ、当該ディスシナジーの発生の可能性を認めつつも、対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完しあうことで多様な案件の受注が可能となり、公開買付者グループ全体としてはシナジーが期待されるという評価に至っており、このような点を踏まえた対象者及び公開買付者の本取引の実施によるデメリット及びその評価に対する認識に不合理な点はなく、その上で、対象者と前田建設工業において互いの強みと弱みを補完することを確保するため、本確認書において、重複する事業については、対象者グループ及び公開買付者グループの強みを最大限に活かし、競争力を高めるとともに、効率的な事業運営を実現するための戦略を両グループが相互に尊重し対等の精神をもって、誠実に協議の上で定めることを基本方針とする旨が合意されている。また、上場廃止や商号の変更については、対象者グループの従業員のリテンションへの悪影響が否定できないことは対象者経営陣の認識のとおりであると考えられるが、本確認書における合意内容を含む対象者グループの従業員のリテンションに関する施策は不合理とはいえず、また、本確認書において、本取引実施後当面の間は原則として対象者の法人格及び現行の機関設計が維持され、対象者グループ及び公開買付者グループの企業価値に資する場合には、経営環境の変化や市場の動向に応じて対象者と公開買付者が協議の上で、必要に応じた柔軟な対応を行う旨合意されており、対象者の本取引以前の態様の事業運営が直ちに妨げられるものではなく、従前の取引先との関係でも影響は最小限であると考えられる。このように本取引を実行することによるデメリットに対しては本確認書の締結を含む合理的な措置や説明がなされており、重大な懸念が存在するとまではいえない一方、本取引の実施によりそのようなデメリットを上回るシナジーの発現を期待することができ、本取引は対象者の企業価値向上に資するものであると認められる。

以上の検討結果を踏まえると、本取引は、対象者の企業価値の向上に資するものと認められ、その目的は正当かつ合理的であると考えられる。

 

ⅱ 本取引の取引条件の公正性・妥当性

・ 本公開買付価格は、対象者のアドバイザーの助言を踏まえて、本特別委員会の決定した交渉方針を踏まえた対象者と公開買付者との間の真摯な価格交渉の結果決定されており、また、4回にわたる価格の引上げの要請が行われ、実際に公開買付者が当初提案した480円から600円にまで引き上げられているところ、これらの対象者と公開買付者との本公開買付価格の交渉に係る経緯には不合理な点は認められない。したがって、以上の公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力が行われる状況が確保されていたものと認められる。

・ 本公開買付価格は、本株式価値算定書(山田コンサルティング)(下記「(ⅴ)特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「① 算定機関の名称及び公開買付関連当事者との関係」に定義します。)の市場株価平均法による算定結果の上限を上回り、類似会社比較法及びDCF法による算定結果の範囲内であるものと認められ、また、本株式価値算定書(SMBC日興証券)の市場株価平均法及び類似上場会社比較法による算定結果の上限を上回り、DCF法による算定結果の範囲内であるものと認められる。

・ 本株式価値算定書(山田コンサルティング)及び本株式価値算定書(SMBC日興証券)におけるDCF法による算定の基礎とされている本事業計画の作成経緯及び内容について特に不合理な点は認めらない。また、本株式価値算定書(山田コンサルティング)及び本株式価値算定書(SMBC日興証券)はその算定方法及び算定内容について特に不合理な点は認められず、信用できるものと判断される。

 

・ 本公開買付価格は、2025年5月14日付答申書作成日の前営業日である2025年5月13日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値544円に対して10.29%、同日までの過去1ヶ月間(2025年4月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値497円に対して20.72%、同日までの過去3ヶ月間(2025年2月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値447円に対して34.23%、同日までの過去6ヶ月間(20241114日から2025年5月13日まで)の終値単純平均値427円に対して40.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっているところ、経済産業省がM&A指針を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年4月30日までに公開買付けが成立した上場企業の非公開化を目的とした本取引に類似する事例(公開買付けの対象会社の時価総額が500億円以上であり、かつ、公開買付けの対象となる株式のPBRが案件公表前から1倍を超えている事例。ただし、いわゆるディスカウント公開買付け、二段階公開買付け、同意なき買収、MBO、上場子会社の完全子会社化を目的とした事例は除きます。)28件におけるプレミアム水準の中央値(本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日の終値に対して33.06%、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して35.96%、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して36.64%、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.38)に照らした場合、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日及び基準日直近1ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は必ずしも高い水準とはいえないものの、対象者の株価は2025年3月1日及び2025年4月20日に情報誌において対象者の株券に対する公開買付けに関する憶測記事が掲載された際に上昇しており、2025年4月7日に対象者が公表した「当社に対する訴訟の経過に関するお知らせ」及び2025年4月21日に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」も株価上昇の要因として考えられることを勘案しても、足許の株価上昇は対象者の非公開化への期待を一定程度含んだ思惑買いによる影響がある可能性も否定しきれないことから、短期間の株価変動の影響を除外したより長い期間の株価との比較においてのプレミアム水準も考慮するべきであると考えられるところ、短期間の株価変動の影響がより小さい基準日直近3ヶ月及び基準日直近6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準との比較では、本公開買付価格は相応のプレミアムが付された価格であると認められる。

・ 対象者の長期の株価推移に照らして、直近5年における対象者株式の終値の最高値550(2025年5月8日)を上回り、かつ、直近5年における対象者株式の場中最高値564(2025年5月9日)を上回る価格であるため、長期保有の一般株主にも十分配慮された水準であると考えられる。

・ 公開買付者は、本公開買付けにより対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、会社法第179条に基づく株式等売渡請求又は同法第180条に基づく株式併合により本スクイーズアウト手続を行うことを予定している。上記方法は、本取引のような非公開化取引において一般的に採用されている方法であり、本取引の方法として妥当であると考えられる。本取引は現金対価による全部買収(最終的に100%の株式を取得することに買収者がコミットしている買収)の提案であり、本スクイーズアウト手続については、本取引に反対する株主に株主買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用されておらず、また、()本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続を行う旨及び()本スクイーズアウト手続において本公開買付けに応募しなかった対象者の株主に対して交付される金銭の額は、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となる旨が開示されている。このように、本取引に係る株式併合又は株式等売渡請求においては、一般株主が本公開買付けに応募するか否かに当たって、仮に本公開買付けに応募しなかった場合に不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされていることから、本スクイーズアウト手続に係る取引条件は、公正かつ妥当であるといえる。また、組織再編行為による対象者の完全子会社化に比して、本スクイーズアウト手続は、株式と比較して流動性の高い金銭を対価とすることにより、当該交付された金銭を用いて公開買付者の株式を購入し、公開買付者の株主となることを含めた選択の機会を一般株主に提供できるため、一般株主により有利であると考えられる。

以上の検討結果を踏まえると、本取引の条件は公正かつ妥当なものであると考えられる。

 

 

ⅲ 本取引の手続の公正性

・ 公開買付者は、対象者に対して、2024年11月15日に本取引の検討を行っている旨を連絡し、対象者との間で、本取引の実施について協議を開始するとともに、本取引の実施の是非等を含めた検討を開始した。その後、公開買付者は、2025年2月18日に本公開買付けを通じて対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する正式な意向を表明する本提案書を提出した。対象者は、本提案書の受領直後である同月25日、本特別委員会を設置する旨の取締役会決議を行っており、第1回の本特別委員会は同月28日に開催された。したがって、本取引においては、取引条件の形成過程の初期段階から、本特別委員会が関与していたと認められる。

・ 対象者取締役会は、本特別委員会の委員選定に当たり対象者の独立したリーガル・アドバイザーである西村あさひの助言を得て、対象者の社外取締役であり、独立役員として東京証券取引所に届出を行っている川橋信夫氏、笹本前雄氏及び山下真実氏を委員に選定した。これらの者はいずれも、公開買付関連当事者から独立しており、本取引に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していない。また、川橋信夫氏、笹本前雄氏及び山下真実氏はいずれも、対象者取締役であることから、対象者の事業にも一定の知見を有しており、本取引についてこれまで培われた経験・識見を活かすことができると考えられる。したがって、本特別委員会の委員は、それぞれ独立性を有することが確認されており、本取引を検討するに当たって必要な経験・識見を有していることを踏まえて選定されたものであることが認められる。

・ 本特別委員会は、対象者から、公開買付者と対象者との間における本取引に係る協議、交渉の経緯及び内容等につき、適時に報告を受けるだけでなく、本特別委員会における協議、公開買付者との本取引に係る面談及び質疑応答を実施し、対象者に対して、公開買付者に対する本公開買付価格の見直しを求めることを要請する等、公開買付者との交渉過程に実質的に関与してきた。このように、本特別委員会が公開買付者との間の取引条件に関する交渉過程に、対象者取締役会を通じて実質的に関与してきたことが認められる。

・ 本特別委員会は、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券並びにリーガル・アドバイザーである西村あさひについて、いずれも公開買付関連当事者からの独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、必要に応じSMBC日興証券及び西村あさひから専門的助言を得ることとし、さらに、本特別委員会は、本特別委員会独自の第三者算定機関として、公開買付関連当事者からの独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、山田コンサルティングを選任し、山田コンサルティングから専門的助言を受けることを決定した。このように、本特別委員会においては、本取引に関する検討過程において適時に上記の各アドバイザーの専門的な助言・意見等を取得し、本取引の是非、本公開買付価格をはじめとする本取引の取引条件の妥当性、本取引における手続の公正性等について慎重に検討及び協議を行う体制が確保されていたと認められる。

 

・ 本特別委員会は、公開買付者に対して質問事項を提示し、公開買付者に対して本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施するとともに、公開買付者からのこれらの点に関する質疑応答の内容を踏まえ、対象者に対して、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施した。また、本特別委員会は、対象者から、公開買付者の提案内容等に対する対象者の評価、SMBC日興証券が2025年5月13日付の本株式価値算定書(SMBC日興証券)、山田コンサルティングが2025年5月13日付の本株式価値算定書(山田コンサルティング)を作成するに当たり前提とした本事業計画の内容に関する説明を受け、質疑応答を行い、その合理性を検証している。本特別委員会は、SMBC日興証券及び山田コンサルティングから対象者株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、当該算定方法の前提、内容及び結果等について財務的見地から質疑応答を行い、その合理性を検証し、西村あさひから本取引において利益相反を軽減又は防止するために採られている措置及び本取引に関する説明を受け、公正性担保措置の一般的意義・概念及び本取引における当該措置の十分性等に関して質疑応答を行っている。また、本特別委員会は、必要に応じてSMBC日興証券及び山田コンサルティング、並びに西村あさひから専門的助言を得ながら、本諮問事項に関する協議及び検討並びに公開買付者との価格交渉等を行っている。このように、本特別委員会が非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行っていたと認められる。

・ 対象者は、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、本特別委員会の開催回数に応じた報酬を支払うこととしており、成功報酬は採用していない。したがって、報酬という観点からは、特別委員が時間的・労力的なコミットメントを行いやすく、かつ、本取引の成否から独立した立場から判断を行うための環境が整えられていることが認められる。

・ 対象者取締役会において、対象者取締役会が対象事項に関する重要な決定を行うときには、本特別委員会の答申を最大限尊重しなければならず、本特別委員会が本公開買付けを通じて本取引を実施することの決定が対象者の一般株主にとって不利益なものであると判断した場合には本公開買付けに賛同しないものとする旨を決議している。このように、本取引については取締役会が本特別委員会の意見を最大限尊重して意思決定を行うことが確保されていることが認められる。

・ 対象者の役員及び対象者プロジェクトチームには、公開買付者又は応募株主らと一定の利害関係を有する者は存在しない。したがって、対象者においては、本取引の検討・交渉に際しては、公開買付者及び応募株主らから独立した社内検討体制が整備されていたことが認められる。

・ 対象者は、2024年12月下旬頃に、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、公開買付者から2025年2月18日に本公開買付けを通じて対象者を完全子会社化することを目的とした本取引に関する正式な意向を表明する本提案書を受ける前の段階から、西村あさひの法的助言を受けていた。したがって、対象者は、本取引の検討の初期段階より、西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けていたことが認められる。

・ 対象者は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券を選任し、対象者株式の株式価値の算定結果の提供を受けた。また、本特別委員会は、独自の第三者算定機関として山田コンサルティングを選任し、対象者株式の株式価値の算定結果の提供を受けた。

 

・ 公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しており、公開買付期間を法定期間より長期に設定している。また、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件が公表された後、本公開買付けの開始まで一定の期間が確保されていることから、当該公表後の期間も考慮すると、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を確保するとともに、対象者株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保している。さらに、公開買付者は、対象者との間で、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、対象者が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。したがって、本取引においては間接的なマーケット・チェックが実施されていることが認められることから、他の買収者による買収提案の機会は確保されていると評価できると考えられる。

・ 本公開買付けにおいては、買付予定数の下限(104,589,800株、所有割合:66.67%)は、対象者2025年3月期有価証券報告書に記載された2025年3月31日現在の対象者の発行済株式総数(162,673,321株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(5,788,439株)を控除した株式数(156,884,882株)の過半数に相当する株式数(78,442,442株、所有割合:50.00%)、すなわち、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主が所有する対象者株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数を上回るものとなる。したがって、本公開買付けの成立に本公開買付けと重要な利害関係を有しない一般株主の過半数の賛同(応募)を要するような買付予定数の下限が設定されていることは、一般株主による判断機会の確保をより重視することにつながり、かつ、一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることに資するものと認められる。

・ 本取引において、プレスリリース等の開示書面による情報開示は、対象者の一般株主が本公開買付けに応じるか否かを適切に判断するために相当と認められる情報が開示されているものと認められる。

・ 本取引においては、①公開買付け後のスクイーズアウト手続は株式等売渡請求又は株式併合により行うことを予定しており、本取引に反対する株主に株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用されておらず、②(ⅰ)公開買付けが成立した場合には速やかにスクイーズアウトを行う旨、及び(ⅱ)スクイーズアウト時の価格は公開買付価格と同一の価格を基準にする旨が開示されている。そのため、一般株主は、本公開買付けに応募するか否かに当たって、仮に応募しなかった場合に、不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされている。したがって、本取引においては、一般株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされているといえ、本取引の手続の公正性の確保に資する対応が取られていると考えられる。

以上のとおり、本取引においてはM&A指針で提示されている各公正性担保措置に則った適切な対応が行われており、その内容に不合理な点は見当たらないため、本取引における手続の公正性は確保されていると考えられる。

 

ⅳ 上記ⅰ乃至ⅲのとおり、本取引は対象者の一般株主にとって不利益なものではない。

 

ⅴ 上記ⅰ乃至ⅳのとおり、本取引の目的は正当かつ合理的と考えられること、本取引における手続は公正なものであると考えられること、及び本取引の条件が公正かつ妥当なものであると考えられることからすると、本公開買付けに対して対象者取締役会が賛同の意見を表明し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは相当である。

 

対象者は、公開買付者から、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認したことから、同日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されることが確実であると判断し、本公開買付けの開始日を2025年8月6日とする予定である旨の連絡を受けたとのことです。

 

これを受け、対象者は、2025年8月5日、本特別委員会に対して、2025年5月14日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したとのことです。

本特別委員会は、2025年8月5日開催の特別委員会において、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について2025年5月14日以後、2025年8月5日までの事情を勘案して検討を行った結果、2025年5月14日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月5日に、対象者取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2025年8月5日付答申書を提出したとのことです。

 

(ⅲ)対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

① 算定機関の名称及び公開買付関連当事者との関係

対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券に対して、対象者株式の価値算定を依頼し、2025年5月13日付で、本株式価値算定書(SMBC日興証券)を取得したとのことです。

SMBC日興証券は公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。

なお、SMBC日興証券は、対象者グループ、公開買付者グループに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っている株式会社三井住友銀行と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループのグループ企業の一員であり、また、株式会社三井住友銀行は公開買付者の株主(2025年3月31日現在の発行済株式(自己株式を除きます。)の総数に対する所有株式数の割合1.09%(小数点以下第三位を四捨五入しております。))でありますが、対象者は、SMBC日興証券の第三者算定機関としての実績に鑑み、かつ、弊害防止措置としてSMBC日興証券における対象者株式の株式価値の算定を実施する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で社内の規程に定める情報遮断措置が講じられていること、対象者とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているためファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、対象者がSMBC日興証券に対して対象者株式の株式価値の算定を依頼することに関し、特段の問題はないと考えられることを踏まえた上で、SMBC日興証券をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任したとのことです。また、本特別委員会は、第1回の会合において、SMBC日興証券の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認したとのことです。

なお、対象者は、上記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられていることを踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の公正性が担保されていると考えた結果、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

なお、本取引に係るSMBC日興証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているとのことです。もっとも、対象者は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に対象者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系を採用することによるデメリットも勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではなく、また対象者にとっても一定の経済合理性があるとの判断から、上記の報酬体系によりSMBC日興証券を対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任したとのことです。

 

(注) SMBC日興証券は、本株式価値算定書(SMBC日興証券)の作成に当たり、その基礎とされている資料及び情報が全て正確かつ完全なものであることを前提とし、その正確性及び完全性に関して独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではなく、提供された情報が不正確又は誤解を招くようなものであるとする事実又は状況等につき対象者において一切認識されていないことを前提としているとのことです。また、対象者及びその関係会社の資産又は負債に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関に対する評価、鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。これらの資料及び情報の正確性及び完全性に問題が認められた場合には、算定結果は大きく異なる可能性があるとのことです。さらに、対象者及びその関係会社に関する未開示の訴訟、紛争、環境、税務等に関する債権債務その他の偶発債務・簿外債務並びに本株式価値算定書(SMBC日興証券)に重大な影響を与えるその他の事実については存在しないことを前提としているとのことです。SMBC日興証券が、本株式価値算定書(SMBC日興証券)で使用している事業計画等は、算定基準日における最善の予測及び判断に基づき、対象者により合理的かつ適正な手続に従って作成されたことを前提としているとのことです。また、本株式価値算定書(SMBC日興証券)において、SMBC日興証券が提供された資料及び情報に基づき提供された仮定をおいて分析を行っている場合には、提供された資料、情報及び仮定が正確かつ合理的であることを前提としているとのことです。SMBC日興証券は、これらの前提に関し、正確性、妥当性及び実現性について独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではないとのことです。なお、SMBC日興証券の算定結果は、SMBC日興証券が対象者の依頼により、対象者取締役会が本公開買付価格を検討するための参考に資することを唯一の目的として対象者に提出したものであり、当該算定結果は、SMBC日興証券が本公開買付価格の公正性について意見を表明するものではないとのことです。

② 対象者株式に係る算定の概要

SMBC日興証券は、本公開買付けにおいて、複数の算定手法の中から対象者の株式価値算定に当たり採用すべき算定手法を検討の上、対象者の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、対象者と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による対象者の株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を算定手法として用いて、対象者の株式価値の算定を行い、対象者は2025年5月13日付で本株式価値算定書(SMBC日興証券)を取得しているとのことです。本株式価値算定書(SMBC日興証券)において、上記各手法に基づき算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下とのことです。

 

市場株価法:      427円から497円

類似上場会社比較法:  472円から597円

DCF法:       481円から993円

 

市場株価法においては、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2025年5月13日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の基準日までの直近1ヶ月の終値単純平均値497円、直近3ヶ月の終値単純平均値447円及び直近6ヶ月の終値単純平均値427円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を427円から497円と算定したとのことです。

類似上場会社比較法においては、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて対象者株式の株式価値算定を行い、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を472円から597円と算定したとのことです。

DCF法においては、対象者が作成した本事業計画を基に、2026年3月期から2028年3月期までの3期分の本事業計画における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が2026年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて、対象者の企業価値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を481円から993円と算定したとのことです。また、継続価値の算定に当たっては永久成長法及びマルチプル法を採用したとのことです。

 

DCF法による分析において前提とした財務予測は対象者が作成した本事業計画に基づいているところ、大幅な増減益及びフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には2026年3月期には、国内建築事業における良質な新規工事への入れ替えによる利益率の改善を主因に、営業利益において大幅な増益となることを見込んでいるとのことです。2027年3月期においては、設備投資の増加や運転資本の減少額の縮小により、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでいるとのことです。また、2028年3月期においては、運転資本の減少により、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいるとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果等については、算定時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であり、スタンドアロンベースで対象者の株式価値を算定するため、財務予測に反映していないとのことです。

 

(ⅳ)対象者における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得

対象者は、本公開買付けに係る対象者取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けているとのことです。なお、西村あさひは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。また、西村あさひに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。

 

(ⅴ)特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

① 算定機関の名称及び公開買付関連当事者との関係

本特別委員会は、本諮問事項について検討するに当たり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関である山田コンサルティングに対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月13日付で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(山田コンサルティング)」といいます。)を取得しているとのことです。

山田コンサルティングは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。

なお、本特別委員会は、上記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられていることを踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の公正性が担保されていると考えた結果、山田コンサルティングから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

また、本取引に係る山田コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。

 

② 対象者株式に係る算定の概要

山田コンサルティングは、本公開買付けにおいて、複数の算定手法の中から対象者の株式価値算定に当たり採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、対象者と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による対象者の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を算定手法として用いて、対象者の株式価値の算定を行い、本特別委員会は山田コンサルティングから2025年5月13日付で本株式価値算定書(山田コンサルティング)を取得しているとのことです。本株式価値算定書(山田コンサルティング)において、上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりであるとのことです。

 

 

市場株価法:      427円から544円

類似会社比較法:    424円から944円

DCF法:       550円から1,014円

 

市場株価法においては、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2025年5月13日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の基準日の終値544円、直近1ヶ月の終値単純平均値497円、直近3ヶ月の終値単純平均値447円及び直近6ヶ月の終値単純平均値427円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を427円から544円と算定しているとのことです。

類似会社比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて、対象者株式の価値算定を行い、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を424円から944円と算定しているとのことです。

DCF法では、対象者が作成した本事業計画及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮した対象者の財務予測に基づき、対象者が2026年3月期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値及び株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり価値の範囲を550円から1,014円までと算定しておいるとのことです。

山田コンサルティングがDCF法による分析に用いた対象者作成の本事業計画には、対前年度比において大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2026年3月期には、国内建築事業における良質な新規工事への入れ替えによる利益率の改善を主因に、営業利益において大幅な増益となることを見込んでいるとのことです。2027年3月期においては、設備投資の増加や運転資本の減少額の縮小により、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでおります。また、2028年3月期においては、運転資本の減少により、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいるとのことです。

また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味していないとのことです。なお、当該財務予測は対象者が作成した本事業計画に基づいており、山田コンサルティングが対象者との間で複数の質疑応答を行いその内容を分析及び検討しており、また、本特別委員会がその内容及び作成経緯等の合理性を確認しているとのことです。

(注) 山田コンサルティングは、本株式価値算定書(山田コンサルティング)の作成に当たり、その基礎とされている資料及び情報が全て正確かつ完全なものであることを前提とし、その正確性及び完全性に関して独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではなく、提供された情報が不正確又は誤解を招くようなものであるとする事実又は状況等につき対象者において一切認識されていないことを前提としているとのことです。また、対象者の資産又は負債に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関に対する評価、鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。これらの資料及び情報の正確性及び完全性に問題が認められた場合には、算定結果は大きく異なる可能性があるとのことです。さらに、対象者に関する未開示の訴訟、紛争、環境、税務等に関する債権債務その他の偶発債務・簿外債務並びに本株式価値算定書(山田コンサルティング)に重大な影響を与えるその他の事実については存在しないことを前提としているとのことです。山田コンサルティングが、本株式価値算定書(山田コンサルティング)で使用している事業計画等は、算定基準日における最善の予測及び判断に基づき、対象者により合理的かつ適正な手続に従って作成されたことを前提としているとのことです。また、本株式価値算定書(山田コンサルティング)において、山田コンサルティングが提供された資料及び情報に基づき提供された仮定をおいて分析を行っている場合には、提供された資料、情報及び仮定が正確かつ合理的であることを前提としているとのことです。山田コンサルティングは、これらの前提に関し、正確性、妥当性及び実現性について独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではないとのことです。なお、山田コンサルティングの算定結果は、山田コンサルティングが本特別委員会の依頼により、本諮問事項を検討するための参考に資することを唯一の目的として本特別委員会に提出したものであり、当該算定結果は、山田コンサルティングが本公開買付価格の公正性について意見を表明するものではないとのことです。

 

 

(ⅵ)対象者における独立した利害関係を有しない取締役の過半数の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

対象者取締役会は、西村あさひから受けた法的助言、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言、2025年5月13日付で取得した本株式価値算定書(SMBC日興証券)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2025年5月14日付答申書において示された判断内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて対象者の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより一般株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に検討・協議を行ったとのことです。

その結果、上記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者取締役会は、2025年5月14日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した対象者の取締役全9名の過半数(賛成8名、反対1名)の承認により、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議したとのことです。また、当該取締役会に出席した監査役5名の全員が、当該決議につき異議がない旨の意見を述べたとのことです。

なお、公開買付者としては上記のとおり、本前提条件が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)、本公開買付けを速やかに実施することを予定しており、2025年5月14日現在、2025年7月上旬頃には本公開買付けを開始することを目指しておりました。

対象者は、上記の対象者取締役会において、本公開買付けが開始される前に、本特別委員会に対して、本特別委員会が2025年5月14日付で対象者取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議したとのことです。

その後、対象者は、公開買付者から、2025年8月1日に、フィリピン競争委員会から本株式取得を承認する旨の文書を受領したことをもって、フィリピンの競争法に基づき必要な手続が全て完了したことを確認したことから、同日、本前提条件がいずれも放棄されることなく全て充足されることが確実であると判断し、対象者に対し、その他の本前提条件が充足されていること又は公開買付者により放棄されていることを前提として、本公開買付けの開始日を2025年8月6日とする予定である旨の連絡を受けたとのことです。

これを受け、対象者は、2025年8月5日、本特別委員会に対して、2025年5月14日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、対象者取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問したとのことです。そこで、本特別委員会は、上記「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年8月5日開催の特別委員会において、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について2025年5月14日以後、2025年8月5日までの事情を勘案して検討を行った結果、2025年5月14日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年8月5日に、対象者取締役会に対して、2025年8月5日付答申書を提出したとのことです。

対象者は、本特別委員会から提出された2025年8月5日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、対象者の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年5月14日以降、対象者の経営環境に重要な状況変化は生じておらず、また、本公開買付けを含む本取引は対象者の企業価値の向上に資すると考えられ、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当であると認められること等から、2025年8月5日現在においても、2025年5月14日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したとのことです。

その結果、上記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者取締役会は、2025年8月5日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した対象者の取締役全7名の全員一致により、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議したとのことです。また、当該取締役会に出席した監査役5名の全員が、当該決議につき異議がない旨の意見を述べたとのことです。

 

 

(ⅶ)対象者における独立した検討体制の構築

上記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者は、公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うため、2024年11月15日に、公開買付者より本取引の検討を行っている旨の連絡を受けたことを契機として、公開買付関連当事者から独立した対象者プロジェクトチームを構築したとのことです。

対象者プロジェクトチームを含めた本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことについては本特別委員会の確認を経ているとのことです。

 

(ⅷ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を充たす下限の設定

上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいては、買付予定数の下限(104,589,800株、所有割合:66.67%)は、本基準株式数(156,884,882株)から公開買付者が所有する対象者株式の数(100株、所有割合:0.00%)を控除した株式数(156,884,782株)の過半数に相当する株式数(78,442,392株、所有割合:50.00%)、すなわち、応募株主らを含む、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主が所有する対象者株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数を上回るものとなります。公開買付者は、本公開買付けは、公開買付者と利害関係を有しない対象者の株主から過半数の賛同が得られない場合には成立せず、対象者の一般株主の皆様の意思を重視したものであると考えております。

なお、応募株主らは、いずれも公開買付者と利害関係を有しない独立した第三者であり、本応募契約は独立した当事者間で行われた真摯な協議・交渉に基づき締結に至ったものであることから、公開買付者としては、本応募契約の締結の事実により、応募株主らが、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」条件の判断における、公開買付者と利害関係を有する対象者の株主に該当することになるものではないと考えております。

本応募契約の詳細につきましては、下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」の「① 本応募契約」をご参照ください。

 

(ⅸ)他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、対象者との間で、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、対象者が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

 

(ⅹ)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しております。公開買付期間を法定期間より長期に設定することにより、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を確保するとともに、対象者株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することを企図しております。

 

 

(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付けにおいて公開買付者が対象者株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、以下の方法により、対象者株式の全ての取得を目的とした手続を実施することを予定しております。

① 株式売渡請求

公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)の全員(以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する対象者株式の全てを売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定です。本株式売渡請求においては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を本売渡株主に対して交付することを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を対象者に通知し、対象者に対して本株式売渡請求の承認を求めます。対象者が取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、本売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、本売渡株主からその所有する対象者株式の全てを取得いたします。そして、公開買付者は、本売渡株主に対し、本売渡株主の所有していた対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定です。対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者より本株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、対象者取締役会において本株式売渡請求を承認する予定とのことです。

本株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、本売渡株主は、裁判所に対して、その所有する対象者株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。

なお、譲渡制限付株式報酬として対象者の取締役及び執行役員に付与された対象者の譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)については、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、対象者の普通株式を対象とする株式売渡請求に関する議案が対象者取締役会で承認された場合(ただし、当該株式売渡請求の効力発生日が譲渡制限期間の満了日より前に到来するときに限ります。)には、対象者取締役会の決議により、当該各付与に関し割当契約書において定めた時点から当該承認の日を含む月までの月数を12(ただし、2018年8月に対象会社の執行役員に付与された本譲渡制限付株式については、9とします。)で除した数(ただし、計算の結果1を超える場合には1とします。)に、当該承認の日において当該対象取締役が所有する本譲渡制限付株式の数を乗じた数(ただし、計算の結果1株未満の端数が生ずる場合には、これを切り捨てるものとします。)の本譲渡制限付株式につき、組織再編等効力発生日(株式売渡請求の取得日又は株式併合の効力発生日をいいます。以下同じです。)の前営業日の直前時をもって、譲渡制限を解除するとされ、(b)上記(a)に規定する場合は、対象者は、組織再編等効力発生日の前営業日において、なお譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式を当然に無償で取得するとされているとのことです。本株式売渡請求においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、組織再編等効力発生日の前営業日の直前時をもって譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式について本株式売渡請求の対象とする予定です。

② 株式併合

本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、対象者に対し、会社法第180条に基づき対象者株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2025年11月中旬に開催することを本公開買付けの決済の完了後速やかに要請する予定です。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者からこれらの要請を受けた場合には、これらの要請に応じる予定とのことです。また、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。

 

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた対象者の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に要請する予定です。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者のみが対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)の所有する対象者株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定です。

本株式併合に関する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、所定の条件を満たす場合には、対象者の株主は、対象者に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。

なお、本譲渡制限付株式については、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、株式併合に関する議案が対象者の株主総会で承認された場合(ただし、当該株式併合の効力発生日が譲渡制限期間の満了日より前に到来するときに限ります。)には、対象者取締役会の決議により、当該各付与に関し割当契約書において定めた時点から当該承認の日を含む月までの月数を12(ただし、2018年8月に対象会社の執行役員に付与された本譲渡制限付株式については、9とします。)で除した数(ただし、計算の結果1を超える場合には1とします。)に、当該承認の日において当該対象取締役が所有する本譲渡制限付株式の数を乗じた数(ただし、計算の結果1株未満の端数が生ずる場合には、これを切り捨てるものとします。)の本譲渡制限付株式につき、組織再編等効力発生日の前営業日の直前時をもって譲渡制限を解除するとされ、(b)上記(a)に規定する場合は、対象者は、組織再編等効力発生日の前営業日において、なお譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式を当然に無償で取得するとされているとのことです。本株式併合においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、組織再編等効力発生日の前営業日の直前時をもって譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式について本株式併合の対象とする予定です。

 

上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施の時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性がありますが、その場合であっても、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該対象者の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該対象者の株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。もっとも、本株式売渡請求に関する売買価格の決定の申立て又は本株式併合についての株式買取請求に関する価格の決定の申立てがなされた場合において、当該申立てを行った対象者の株主が所有していた対象者株式の売買価格又は株式買取請求に関する価格は、最終的に裁判所が判断することになります。

以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者が対象者と協議の上、決定次第、対象者が速やかに公表する予定です。

なお、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主の皆様が自らの責任において税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

 

(5) 上場廃止となる見込み及びその事由

対象者株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者株式の全ての取得を目的とした手続の実行を予定しておりますので、当該各手続を実施することとなった場合、対象者株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従って、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、対象者株式が上場廃止となった後は、対象者株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

上場廃止を目的とする理由並びに一般株主への影響及びそれに対する考え方につきましては上記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおりです。

 

(6) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項

① 本応募契約

公開買付者は、シティインデックスイレブンスとの間で、2025年5月13日付で以下の概要の本応募契約を締結しております。なお、公開買付者は、本取引に関して、本応募契約以外に、応募株主らとの間で合意を行っておらず、応募株主らに対して、本公開買付けの応募の対価のほかに、何らかの利益を供与又は提供する旨の合意はしておりません。本公開買付価格の支払いを除き、応募株主らに供与される利益はありません。

公開買付者は、2025年5月13日付で、シティインデックスイレブンスとの間で、公開買付者が公開買付価格を590円以上とすることを条件として、同日時点でシティインデックスイレブンスが所有する対象者株式及び本共同保有者が所有する対象者株式の全てについて、自ら本公開買付けに応募し、又は本共同保有者をして応募させる旨の本応募契約を締結しております。本応募契約において、応募株主らによる応募の前提条件は定められておりません。

本応募契約においては、本公開買付けの条件の変更、公開買付者以外の者による対象者株式に対する公開買付けその他対象者株式の買付けに係る法的拘束力のある申出等がなされ、本公開買付けへの売付けの申込みが応募者(シティインデックスイレブンスをいいます。以下同じです。)の取締役の善管注意義務に明らかに違反するものと合理的に判断される場合、応募者は本公開買付けに応募する義務を免れるものと規定されております。また、応募者は、公開買付者の書面による事前の同意を得ない限り、当該契約締結日以降、本公開買付けへの応募を除き、自ら又は本共同保有者をして、その所有する対象者株式の第三者への譲渡、担保権の設定その他の処分又は対象者株式の取得を行わず又は行わせないものとされております(ただし、応募者が本公開買付けに応募する義務を免れる場合、上記義務も負わないものと規定されております)。なお、応募者は、応募対象株式等に関して法令等に従い義務付けられる開示につき、開示内容及びその時期を事前に公開買付者に対して通知し、公開買付者との事前協議を経た上で、法令等に基づき義務付けられた範囲内で最小限の開示又は公表を行うことができるものとされております。

 

② 本確認書

公開買付者及び対象者は、本取引後の公開買付者及び対象者の事業運営等について、2025年5月14日付で、本確認書を締結し、以下の事項について合意しております。

(ⅰ)公開買付者は、原則として、本取引後当面の間は、対象者の法人格及び現行の対象者の機関設計を維持するものとする。ただし、公開買付者は、対象者及び公開買付者グループの企業価値向上に資する場合には、経営環境の変化や市場の動向に応じて、対象者と協議の上で、必要に応じた柔軟な対応を行い、最適な機関設計を構築することができるものとする。

(ⅱ)本取引後の対象者の経営体制、業務執行体制については、公開買付者の取締役会において基本的な要件及び構成を決定するものとし、具体的な役員の人選・人数については、公開買付者の指名委員会にて協議の上、公開買付者の取締役会において決議する。ただし、対象者の業務執行体制案・役員人事案については、当該基本的な要件及び構成に従い、対象者が公開買付者に対して提案するものとし、公開買付者は、当該提案があった場合にはその妥当性を十分に検証し妥当性が認められる場合は、当該提案を尊重する。

 

(ⅲ)本取引の完了直後においては、対象者の推薦する者1名が、公開買付者の指名委員会及び取締役会による承認を得た上で、公開買付者の執行役を兼務するものとする。なお、本取引後の公開買付者における取締役及び執行役の選任に際しては、対等の精神をもって、公開買付者グループ全体での業務の変革を勘案し、都度、公開買付者の指名委員会及び取締役会で決定する。

(ⅳ)公開買付者は、対象者グループの従業員について、原則として、対象者における2025年5月14日現在の水準を実質的に下回らない条件で、当面の間、その雇用を維持するものとする。

(ⅴ)公開買付者は、対象者グループが公開買付者グループに参加することで、対象者グループの従業員がそのエンゲージメントを高め、より高いモチベーションで働ける環境をグループ一体となって追求するものとし、①対象者グループの従業員のキャリアパスの多様化やスキルアップの機会を提供し、働きがいのある職場環境を整備することで、対象者グループの従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できるよう支援すること、及び②公開買付者グループ全体での人材育成プログラムや研修制度を対象者の従業員が活用できるようにすることで、対象者グループの従業員の成長をサポートすることを含む施策を実施する。

(ⅵ)公開買付者は、公開買付者グループの経営戦略に基づき、公開買付者グループ全体の企業価値の向上に資するものとするため、公開買付者グループにおけるグループ管理規程、権限分配及び決裁基準その他の内部規則に従うことを前提として、対象者の策定した投資・経費計画及び運営等の事業戦略及び投資戦略、並びに、採用や人事処遇等の人員計画及び人事戦略については、対象者の運営を尊重して、公開買付者グループ全体最適の観点から誠実に協議を行うものとする。

(ⅶ)公開買付者は、本取引後、対象者と前田建設工業との間で強みが重複する工事受注については、両社の強みを最大限に活かし、競争力を高めるとともに、効率的な事業運営を実現するため、競争法上許容される範囲内で、各社の得意分野やリソースを勘案し、①対象者又は前田建設工業のいずれかのみが入札する、又は、②対象者と前田建設工業がジョイントベンチャーを設立して共同で入札する等の最適な戦略を策定するものとし、当該戦略の策定に際しては、対象者及び前田建設工業を相互に尊重し対等の精神をもって、各社誠実に協議の上で定めることを基本的な方針とする。

(ⅷ)公開買付者は、対象者グループを当事者とする組織再編(対象者と前田建設工業との間の組織再編を含む。)については、当面の間は実施しないものとする。当該組織再編の実施の可能性等については、本取引後、公開買付者グループ及び対象者グループにおける事業会社の重複等を評価の上、対象者との間で協議及び検討を行うものとする。

 

 

4 【買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数】

(1) 【買付け等の期間】

① 【届出当初の期間】

買付け等の期間

2025年8月6日(水曜日)から2025年9月18日(木曜日)まで(30営業日)

公告日

2025年8月6日(水曜日)

公告掲載新聞名

電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。

(電子公告アドレス https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/)

 

 

② 【対象者の請求に基づく延長の可能性の有無】

該当事項はありません。

 

③ 【期間延長の確認連絡先】

該当事項はありません。

 

(2) 【買付け等の価格】

株券

普通株式 1株につき金600

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券

(      )

株券等預託証券

(      )

算定の基礎

公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対し、対象者の株式価値の算定を依頼しました。なお、大和証券は、公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しません。

大和証券は、複数の株式価値の算定手法の中から対象者の株式価値の算定に当たり採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を、対象者と比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社との比較による対象者の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、対象者の業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定手法として用いて、対象者株式の価値算定を行いました。公開買付者は、大和証券から2025年5月13日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(大和証券)」といいます。)を取得しております。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

大和証券が上記各手法に基づいて算定した対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価法      :427円から544

類似会社比較法    :471円から723

DCF法       :463円から696

 

市場株価法では、2025年5月13日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の基準日の終値544円、直近1ヶ月間の終値単純平均値497円、直近3ヶ月間の終値単純平均値447円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値427円を基に、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を427円から544円までと算定しております。

類似会社比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて、対象者の株式価値を算定し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を471円から723円までと算定しております。

 

 

 

DCF法では、対象者が作成した2026年3月期から2028年3月期までの3期分の対象者の事業計画案における収益や投資計画、公開買付者において2025年3月上旬から2025年4月中旬までに実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、及び一般に公開された情報等の諸要素を基に、公開買付者で妥当と思われる数値を前提として、対象者が2026年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を分析し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を463円から696円までと算定しております。なお、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。

公開買付者は、大和証券から取得した本株式価値算定書(大和証券)の算定結果に加え、公開買付者において2025年3月上旬から2025年4月中旬まで実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、対象者株式の市場価格の動向、本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、かつ、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2025年5月14日に、本公開買付価格を1株当たり600円とすることを決定いたしました。

なお、本公開買付価格である600円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年5月13日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値544円に対して10.29%のプレミアムを加えた価格、直近1ヶ月間(2025年4月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値497円に対して20.72%のプレミアムを加えた価格、直近3ヶ月間(2025年2月14日から同年5月13日まで)の終値単純平均値447円に対して34.23%のプレミアムを加えた価格、直近6ヶ月間(20241114日から2025年5月13日まで)の終値単純平均値427円に対して40.52%のプレミアムを加えた価格です。

また、公開買付者は、本公開買付けに当たり対象者の株主名簿の閲覧請求等の対象者の株主としての権利行使の可能性を確保する観点から、2025年4月30日を取得日として、対象者の従業員1名(以下「本対象者従業員」といいます。)から相対取引により、対象者株式100株を1株当たり511(取得日の前営業日である同月28日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値)で取得しております。本公開買付価格(600)と当該取得価格(511)の間には、89円の差異が生じており、本公開買付価格(600)は当該取得価格(511)に対し17.42%のプレミアムを加えた価格になりますが、これは、公開買付者及び本対象者従業員が譲渡価格の基準日として合意した同月28日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値に対し、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年5月13日における対象者株式の終値(544)6.46%上昇していることに加えて、本公開買付価格には、上記のとおり2025年5月13日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値(544)に対して、10.29%のプレミアムを付与しているためです。

その後、公開買付者は、本書提出日現在において、対象者の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、対象者の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断したことから、2025年5月14日に決定した本公開買付価格を変更しないこととしています。

算定の経緯

(本公開買付価格の決定に至る経緯)

上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」をご参照ください。

 

(ⅰ)算定の際に意見を聴取した第三者の名称

公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼しており、公開買付者は、大和証券から2025年5月13日に本株式価値算定書(大和証券)を取得しております。なお、大和証券は公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

(ⅱ)当該意見の概要

本株式価値算定書(大和証券)によると、採用した手法に基づいて算定された対象者の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価法      :427円から544円

類似会社比較法    :471円から723円

DCF法       :463円から696円

 

 

 

(ⅲ)当該意見を踏まえて買付価格を決定するに至った経緯

公開買付者は、本株式価算定書(大和証券)に記載された算定内容に加え、公開買付者において2025年3月上旬から2025年4月中旬までに実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、対象者株式の市場価格の動向、本公開買付けに対する応募の見通し、及び大和証券から取得した本株式価値算定書(大和証券)の算定結果においてその算定範囲に含まれること等を総合的に勘案し、かつ、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2025年5月14日開催の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり600円とすることを決定したしました。

その後、公開買付者は、本書提出日現在において、対象者の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、対象者の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断したことから、2025年5月14日に決定した本公開買付価格を変更しないこととしています。

 

(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)

本書提出日現在において、対象者は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは、支配株主による公開買付けには該当せず、また、公開買付者が対象者株式100株を所有することを除き、公開買付者及び対象者との間に資本関係もありません。また、対象者の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、本公開買付けは対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的の一環として実施されることから、公開買付者及び対象者は、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び一般株主との間の利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置を取っており、その詳細については上記「3 買付け等の目的」の「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。

 

 

(3) 【買付予定の株券等の数】

株券等の種類

買付予定数

買付予定数の下限

買付予定数の上限

普通株式

156,884,782()

104,589,800()

合計

156,884,782()

104,589,800()

 

(注1) 応募株券等の総数が買付予定数の下限(104,589,800)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

(注2) 買付予定数の下限(104,589,800)は、本基準株式数(156,884,882)に係る議決権数(1,568,848)に3分の2を乗じた数(1,045,899(小数点以下切上げ))に対象者株式1単元(100)を乗じた株式数から公開買付者が所有する対象者株式の数100株を減じた株式数(104,589,800)です。

(注3) 本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は本公開買付けにおいて公開買付者が買付け等を行う対象者株式の最大数を記載しております。当該最大数は、本基準株式数(156,884,882)から、公開買付者が所有する対象者株式(100)を控除した株式数(156,884,782)です。

(注4) 単元未満株式についても本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って株主による単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い公開買付期間中に自己の株式を買い取ることがあります。

(注5) 本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。

 

 

5 【買付け等を行った後における株券等所有割合】

区分

議決権の数

買付予定の株券等に係る議決権の数()()

1,568,847

aのうち潜在株券等に係る議決権の数()()

bのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数()()

公開買付者の所有株券等に係る議決権の数(2025年8月6日現在)()()

1

dのうち潜在株券等に係る議決権の数()()

eのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数()()

特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2025年8月6日現在)()()

gのうち潜在株券等に係る議決権の数()()

hのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数()()

対象者の総株主等の議決権の数(2025年3月31日現在)()()

1,561,190

買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合

(/) ()

100.00

買付け等を行った後における株券等所有割合

((a+d+g)/(j+(b-c)(e-f)(h-i))×100) ()

100.00

 

(注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数()()」は、本公開買付けにおける買付予定の株券等の数に係る議決権の数を記載しております。

(注2) 「対象者の総株主等の議決権の数(2025年3月31日現在)()()」は、対象者2025年3月期有価証券報告書に記載された2025年3月31日現在の総株主の議決権の数(1単元の株式数を100株として記載されたもの)です。ただし、単元未満株式も本公開買付けの対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、本基準株式数(156,884,882)に係る議決権の数(1,568,848)を分母として計算しております。

(注3) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」については、小数点以下第三位を四捨五入しております。

 

 

6 【株券等の取得に関する許可等】

(1) 【株券等の種類】

普通株式

 

(2) 【根拠法令】

① 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

公開買付者は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)第10条第2項に基づき、公正取引委員会に対し、本公開買付けによる対象者株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)の前に、本株式取得に関する計画をあらかじめ届け出なければならず(以下当該届出を「事前届出」といいます。)、同条第8項により事前届出が受理された日から30日(短縮される場合もあります。)を経過する日までは本株式取得をすることはできません(以下、株式の取得が禁止される当該期間を「取得禁止期間」といいます。)。

また、独占禁止法第10条第1項は、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる他の会社の株式の取得行為を禁止しており、公正取引委員会はこれに違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができます(同法第17条の2第1項。以下「排除措置命令」といいます。)。公正取引委員会は、排除措置命令を発令しようとするときは、当該排除措置命令の名宛人となるべき者について意見聴取を行わなければならず(同法第49条)、かかる意見聴取を行うに当たっては、予定する排除措置命令の内容等を名宛人に通知しなければなりませんが (同法第50条第1項。以下「排除措置命令の事前通知」といいます。)、事前届出に係る株式取得に関する計画に対する排除措置命令の事前通知は、一定の期間(上記事前届出が受理された日から原則30日間ですが、延長又は短縮される場合もあります。以下「措置期間」といいます。)内に行うこととされております(同法第10条第9項)。なお、公正取引委員会は、排除措置命令の事前通知をしないこととした場合、その旨の通知(以下「排除措置命令を行わない旨の通知」といいます。)をするものとされております(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則(昭和28年公正取引委員会規則第1号)第9条)。

公開買付者は、本株式取得に関して、2025年4月11日付で公正取引委員会に対して事前届出を行い、当該事前届出は同日付で受理され、公正取引委員会から2025年4月25日付で「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領したため、2025年4月25日をもって措置期間が終了しております。また、2025年5月11日の経過をもって取得禁止期間は終了しております。

② フィリピン競争法

公開買付者及び対象者は、フィリピンの競争法に基づき、フィリピン競争委員会に対し、本株式取得の前に、それぞれ本株式取得に関する事前届出を行う必要があります。フィリピン競争委員会によって当該届出が受理された日から一定の審査期間(事前届出が提出されてから15日以内に当該事前届出の適正性の確認を行った上で事前届出費用の支払命令を発出し、当該事前届出費用が支払われた後、30日間の初期的審査がなされます。その後、正式審査に入った場合60日まで延長される可能性があります。)が定められており、フィリピン競争委員会が本株式取得を承認したときは、公開買付者は、本株式取得を実行することができます。また、フィリピン競争委員会が初期的審査の期間内に、届出に対する応答をしない場合には、その初期的審査の期間経過の後に本株式取得を実行することができます。

 

公開買付者は、2025年5月19日(現地時間)付でフィリピン競争委員会に対して本株式取得についての事前届出を行い、同日付で受理されており、また、対象者は、2025年5月28日(現地時間)付でフィリピン競争委員会に対して本株式取得についての事前届出を行い、2025年5月29日(現地時間)付で受理されているとのことです。なお、フィリピン競争委員会から、2025年6月5日(現地時間)付で事前届出に対する補正の指示があり、公開買付者は、2025年6月13日(現地時間)付で事前届出の補正を行い、また、対象者は、2025年6月18日(現地時間)付で事前届出の補正を行ったとのことです。公開買付者は、2025年6月27日(現地時間)付で事前届出費用の支払命令を受け、2025年6月30日(現地時間)届出費用の支払いを行っております。初期的審査において、公開買付者は、フィリピン競争委員会からの問合せに対する回答の検討期間として、2025年7月17日(現地時間)付で1日間の初期的審査の期間の延長を申請し、その後、フィリピン競争委員会から2025年7月31日(現地時間)付で本株式取得を承認する旨の文書を2025年8月1日(現地時間)付で取得いたしました。

 

(3) 【許可等の日付及び番号】

 

法域名

許可等をした機関の名称

許可等の日付

(現地時間)

許可等の番号

日本

公正取引委員会

2025年4月25(排除措置命令を行わない旨の通知書を受けたことによる)

2025年5月11(取得禁止期間の終了による)

公経企第538(排除措置命令を行わない旨の通知書の番号)

フィリピン

フィリピン競争委員会

2025年7月31日

No. M-2025-015

 

 

 

7 【応募及び契約の解除の方法】

(1) 【応募の方法】

① 公開買付代理人

大和証券株式会社  東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

 

② 本公開買付けに係る株券等の買付け等の申込みに対する承諾又は売付け等の申込みをする方(以下「応募株主等」といいます。)は、以下の(1)又は(2)の手続に従って、応募してください。

(1) オンライントレード(公開買付代理人に口座をお持ちのお客様専用のオンラインサービス)にて公開買付期間末日の16時までに手続を行ってください。なお、オンライントレードによる応募(https://www.daiwa.jp/onlinetrade/)には、応募株主等が公開買付代理人に設定した応募株主等名義の口座におけるオンライントレードのご利用申込(注1)が必要です。

なお、オンライントレードによる応募は個人の場合に限り、法人の場合はご利用いただけません。また、オンライントレードでは単元株のみ申込可能です。単元未満株を含めてお申込みの場合は、公開買付代理人の本店又は全国各支店(以下、公開買付代理人にて既に口座をお持ちの場合には、お取引支店といたします。)での受付になります。

 

(注1) オンライントレードのご利用には、お申込みが必要です。

・ダイワ・カードをお持ちの場合:オンライントレードのログイン画面より新規申込を受付しております。お申込日の翌営業日からご利用いただけます。

・ダイワ・カードをお持ちでない場合:お取引支店又は大和証券コンタクトセンターまでご連絡ください。

 

(2) 郵送若しくは公開買付代理人の本店又は全国各支店での応募受付をご希望される場合(オンライントレードによる応募をご利用できない場合を含みます。)においては、所定の公開買付応募申込書に所要事項を記載し、公開買付代理人の本店又は全国各支店に公開買付応募申込書を郵送又は来店の上、公開買付期間末日の16時までに応募してください。ただし、郵送の場合は、公開買付応募申込書が公開買付期間末日の16時までに到達することを条件とします。また、本店又は全国各支店によって営業時間が異なりますので、あらかじめご確認の上、応募してください。

 

※ 公開買付代理人では、サービス品質向上のため、ご来店の際は事前のご予約をお願いしております。詳しくは、公開買付代理人のホームページ(https://www.daiwa.jp/doc/230313.html)をご確認ください。

 

③ 本公開買付けに係る株式等の応募に際しては、応募株主等が公開買付代理人に開設した応募株主等名義の口座(以下「応募株主等口座」といいます。)に、応募する予定の株券等が記載又は記録されている必要があります。そのため、応募する予定の株券等が、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等に開設された口座に記載又は記録されている場合(対象者の株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社に開設された特別口座に記載又は記録されている場合を含みます。)は、応募に先立ち、公開買付代理人に開設した応募株主等口座への振替手続を完了していただく必要があります。なお、本公開買付けにおいては、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等を経由した応募の受付は行われません。

 

④ 応募の際に個人番号(法人の場合は法人番号)及び本人確認書類が必要となる場合があります。(注2)(注3)

 

⑤ 外国の居住者である株主等(法人の株主等を含みます。以下「外国人株主等」といいます。)の場合、日本国内の常任代理人を通じて応募してください(常任代理人より、外国人株主等の委任状又は契約書の原本証明付きの「写し」をいただきます。)。

 

 

⑥ 個人の株主等の場合、買付けられた株券等に係る売却代金と取得費との差額は、株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税の適用対象となります。(注4)

 

⑦ 対象者の株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社に開設された特別口座に記載又は記録されている株券等を応募する場合の具体的な振替手続(応募株主等口座への振替手続)については、公開買付代理人にご相談いただくか、又は口座管理機関である三井住友信託銀行株式会社にお問い合わせください。(注5)

 

(注2) 本人確認書類について

公開買付代理人に新規に口座を開設して応募される場合、次の個人番号及び本人確認書類が必要になります(法人の場合は、法人番号及び法人本人の本人確認書類に加え、「現に取引に当たる担当者(取引担当者)」についての本人確認書類及び取引担当者が当該法人のために取引の任に当たっていることの確認が必要になります。)。なお、本人確認書類等の詳細につきましては、公開買付代理人にお尋ねください。

・個人の場合

下記、A~Cいずれかの書類をご提出ください。(店頭での口座開設の場合は、本人確認書類の原本のご提示が必要になります。郵送での口座開設の場合は、本人確認書類のコピー(ただし、「住民票の写し」は原本)をご提出ください。)

 

個人番号確認書類

本人確認書類

個人番号カード(裏)

個人番号カード(表)

※ 郵送又はオンライン経由での口座開設の場合は、「個人番号カード(表)」に加えて、a又はbのうち、いずれか1種類

通知カード

aのいずれか1種類、又はbのうち2種類(ただし、「住民票の写し」と「住民票の記載事項証明書」で2種類とすることはできません。)

※ 郵送及びオンライン経由での口座開設の場合は、a又はbのうち、いずれか2種類(ただし、「住民票の写し」と「住民票の記載事項証明書」で2種類とすることはできません。)

個人番号記載のある住民票の写し又は住民票の記載事項証明書

a又はbのうち、「住民票の写し」「住民票の記載事項証明書」以外の1種類

 

a 顔写真付の本人確認書類

・有効期間内の原本のコピーの提出が必要

パスポート(住所記載欄のない新型パスポート(2020年2月4日以降に発給申請し交付されたパスポート)は、本人確認書類としてご利用いただけません。別途本人確認書類のご用意をお願いいたします。)、運転免許証、運転経歴証明書、各種福祉手帳、在留カード、特別永住者証明書

b 顔写真のない本人確認書類

・発行から6ヶ月以内の原本又はコピーの提出が必要

住民票の写し、住民票の記載事項証明書、印鑑証明書

・有効期間内の原本のコピーの提出が必要

各種健康保険証、国民年金手帳(氏名・住所・生年月日の記載があるもの)、各種福祉手帳等

 

・法人の場合

下記A~Cの確認書類をご提出ください。

法人番号確認書類

・法人番号指定通知書又は

・法人番号印刷書類

法人のお客さまの本人確認書類

・登記事項証明書又は

・官公庁から発行された書類等

(名称、本店又は主たる事務所の所在地及び事業の内容を確認できるもの)

お取引担当者の本人確認書類

・個人番号カード(表)又は

・上記個人の場合の本人確認書類(aのいずれか1種類、又はbのうち2種類)

 

 

・外国人(居住者を除きます。)、外国に本店又は主たる事務所を有する法人の場合

日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、居住者の本人確認書類に準じるもの等(自然人の場合は、氏名、住所、生年月日の記載のあるものに、法人の場合は、名称、本店又は主たる事務所の所在地及び事業の内容の記載のあるものに限ります。)

 

 

(注3) 取引関係書類の郵送について

本人確認を行ったことをお知らせするために、当該本人確認書類に記載された住所地に取引関係書類を郵送させていただきます。

 

(注4) 株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税について(個人の株主等の場合)

個人の株主等の方につきましては、株式等の譲渡には、申告分離課税が適用されます。税務上の具体的なご質問等は税理士等の専門家にご相談いただき、ご自身でご判断いただきますようお願い申し上げます。

 

(注5) 特別口座からの振替手続

上記③に記載のとおり、応募に際しては、特別口座で記載又は記録されている株券等は、公開買付代理人に開設した応募株主等口座への振替手続をお取りいただく必要があります。

 

(2) 【契約の解除の方法】

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。契約の解除をする場合は、公開買付期間末日の16時までに、下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(4) 応募株主等の契約の解除権についての事項」に従って、以下の①又は②の手続により、契約の解除を行ってください。

オンライントレード上の操作により契約を解除する場合は、当該画面上に記載される方法に従い、公開買付期間末日の16時までに解除手続を行ってください。なお、オンライントレード取扱銘柄については、お取引支店で応募された契約の解除も、オンライントレード上の操作による解除手続を行うことが可能です。ただし、単元未満株を含めて契約の解除をお申込みの場合は、お取引支店での受付になります。

 

郵送若しくは公開買付代理人の本店又は全国各支店で契約を解除する場合は、所定の解除書面に所要事項を記載し、応募受付をした公開買付代理人の本店又は全国各支店に解除書面を郵送又は来店の上、公開買付期間末日の16時までに契約を解除してください。ただし、郵送の場合は、解除書面が公開買付期間末日の16時までに到達することを条件とします。また、本店又は全国各支店によって営業時間が異なりますので、あらかじめご確認の上、解除してください。

なお、オンライントレードで応募された契約の解除も、解除書面の郵送又は来店による解除手続を行うことが可能です。

 

※ 公開買付代理人では、サービス品質向上のため、ご来店の際は事前のご予約をお願いしております。詳しくは、公開買付代理人のホームページ(https://www.daiwa.jp/doc/230313.html)をご確認ください。

 

解除書面を受領する権限を有する者:

大和証券株式会社  東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

(その他の大和証券株式会社全国各支店)

 

(3) 【株券等の返還方法】

上記「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法により、応募株主等が公開買付けに係る契約の解除を申し出た場合には、解除手続終了後速やかに下記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により応募株券等を返還いたします。

 

(4) 【株券等の保管及び返還を行う金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地】

大和証券株式会社  東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

 

 

8 【買付け等に要する資金】

(1) 【買付け等に要する資金等】

買付代金(円)(a)

94,130,869,200

金銭以外の対価の種類

金銭以外の対価の総額

買付手数料(円)(b)

300,000,000

その他(円)(c)

34,036,156

合計(円)(a)+(b)+(c)

94,464,905,356

 

(注1) 「買付代金(円)(a)」欄には、買付予定数(156,884,782株)に本公開買付価格(600円)を乗じた金額を記載しております。

(注2) 「買付手数料(円)(b)」欄には、公開買付代理人に支払う手数料の見積額を記載しております。

(注3) 「その他(円)(c)」欄には、本公開買付けに関する公告及び公開買付説明書その他必要書類の印刷費その他諸費用につき、その見積額を記載しております。

(注4) その他公開買付代理人に支払われる諸経費及び弁護士報酬等がありますが、その額は未定です。

(注5) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 【買付け等に要する資金に充当し得る預金又は借入金等】

① 【届出日の前々日又は前日現在の預金】

種類

金額(千円)

計(a)

 

 

② 【届出日前の借入金】

イ 【金融機関】

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

 

ロ 【金融機関以外】

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

 

 

③ 【届出日以後に借入れを予定している資金】

イ 【金融機関】

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

銀行

株式会社三井住友銀行

(東京都千代田区丸の内一丁目1番2号)

買付け等に要する資金の借入れ(注)

満期日:第1回の貸付実行日の12ヶ月後の応当日

金利:全銀協日本円TIBORに基づく変動金利

担保:なし

96,000,000

計(b)

96,000,000

 

(注) 公開買付者は、上記金額の融資の裏付けとして、株式会社三井住友銀行から、96,000,000千円を限度として融資を行う用意がある旨の融資証明書を2025年8月5日付で取得しております。なお、当該融資の貸付実行の前提条件として、本書の添付資料である融資証明書記載のものが定められる予定です。

 

ロ 【金融機関以外】

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

計(c)

 

 

④ 【その他資金調達方法】

内容

金額(千円)

計(d)

 

 

⑤ 【買付け等に要する資金に充当し得る預金又は借入金等の合計】

96,000,000千円((a)+(b)+(c)+(d))

 

(3) 【買付け等の対価とする有価証券の発行者と公開買付者との関係等】

該当事項はありません。

 

9 【買付け等の対価とする有価証券の発行者の状況】

該当事項はありません。

 

 

10 【決済の方法】

(1) 【買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地】

大和証券株式会社  東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

 

(2) 【決済の開始日】

2025年9月26日(金曜日)

 

(3) 【決済の方法】

公開買付期間終了後遅滞なく、本公開買付けによる買付け等の通知書を応募株主等の住所又は所在地(外国人株主等の場合はその常任代理人の住所又は所在地)宛に郵送します。

買付け等は現金にて行います。買付け等を行った株券等に係る売却代金は応募株主等の指示により、決済の開始日以後遅滞なく、公開買付代理人から応募株主等(外国人株主等の場合はその常任代理人)の指定した場所へ送金するか(送金手数料が掛かる場合があります。)、公開買付代理人の応募受付をした応募株主等口座へお支払いします。

 

(4) 【株券等の返還方法】

下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(1) 法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容」又は「(2) 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」に記載の条件に基づき株券等の全部を買付けないこととなった場合には、返還することが必要な株券等は、公開買付期間末日の翌々営業日(公開買付けの撤回等を行った場合は撤回等を行った日)以後遅滞なく、応募が行われた時の公開買付代理人に開設した応募株主等口座の状態に戻すことにより返還します。

 

11 【その他買付け等の条件及び方法】

(1) 【法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容】

応募株券等の総数が買付予定数の下限(104,589,800株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限(104,589,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

 

(2) 【公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法】

令第14条第1項第1号イ乃至ヌ及びワ乃至ツ、第3号イ乃至チ及びヌ、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事情のいずれかが発生した場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。なお、令第14条第1項第3号ヌに定める「イからリまでに掲げる事実に準ずる事実」とは、①対象者が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けていることが判明した場合であって、公開買付者が当該虚偽記載等があることを知らず、かつ、相当の注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった場合及び②対象者の重要な子会社に同号イ乃至トまでに掲げる事実が発生した場合をいいます。

撤回等を行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間末日までに公告を行うことが困難である場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

 

(3) 【買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法】

法第27条の6第1項第1号の規定により、公開買付期間中に対象者が令第13条第1項に定める行為を行った場合は、府令第19条第1項の規定に定める基準に従い、買付け等の価格の引下げを行うことがあります。

買付け等の価格の引下げを行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間末日までに公告を行うことが困難である場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

買付け等の価格の引下げがなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、引下げ後の買付け等の価格により買付け等を行います。

 

 

(4) 【応募株主等の契約の解除権についての事項】

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも公開買付けに係る契約を解除することができます。解除の方法については、上記「7 応募及び契約の解除の方法」の「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法によるものとします。

なお、公開買付者は、応募株主等による契約の解除があった場合においても、損害賠償又は違約金の支払いを応募株主等に請求することはありません。また、応募株券等の返還に要する費用も公開買付者の負担とします。解除を申し出られた場合には、応募株券等は当該解除の申出に係る手続終了後速やかに上記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により返還します。

 

(5) 【買付条件等の変更をした場合の開示の方法】

公開買付者は、公開買付期間中、法第27条の6第1項及び令第13条第2項により禁止される場合を除き、買付条件等の変更を行うことがあります。買付条件等の変更を行おうとする場合は、その変更の内容等につき電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間末日までに公告を行うことが困難である場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。買付条件等の変更がなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、変更後の買付条件等により買付け等を行います。

 

(6) 【訂正届出書を提出した場合の開示の方法】

訂正届出書を関東財務局長に提出した場合(ただし、法第27条の8第11項ただし書に規定する場合を除きます。)は、直ちに、訂正届出書に記載した内容のうち、公開買付開始公告に記載した内容に係るものを、府令第20条に規定する方法により公表します。また、直ちに公開買付説明書を訂正し、かつ、既に公開買付説明書を交付している応募株主等に対しては訂正した公開買付説明書を交付して訂正します。ただし、訂正の範囲が小範囲に止まる場合には、訂正の理由、訂正した事項及び訂正後の内容を記載した書面を作成し、その書面を応募株主等に交付する方法により訂正します。

 

(7) 【公開買付けの結果の開示の方法】

本公開買付けの結果については、公開買付期間末日の翌日に、令第9条の4及び府令第30条の2に規定する方法により公表します。