当第3四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、米国を中心に海外経済の下振れリスクが薄らぐ中で、円安を背景とする輸出の増加、コロナ禍明けのインバウンド需要の復活などが景気回復の追い風となっております。その一方で、長引くロシアウクライナ情勢に起因した資源価格の高騰、人手不足による供給制約なども不安材料として存在しているため、景気の回復ペースは緩やかなものに留まっております。企業の業績改善を背景に設備投資意欲が高まる中、国内のITサービス市場は、既存システムの刷新やクラウド移行、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に関する需要が拡大し、底堅い成長を続けております。
個人の働き方におきましては、人生100年時代におけるシニア世代の働き方、女性の活躍推進、日本国政府の掲げる働き方改革、企業を取り巻く終身雇用の崩壊等により、多様な働き方を望む個人が増加しており、組織に依存しない働き方が広がっております。加えて、高度な技能を有するプロ人材は、高い専門性を磨き「一社に雇用されるのではなく、専門性を活かし複数社で価値を発揮する」志向性を持った働き方が増加しております。
企業も、少子高齢化による労働力の減少、地方中小企業の事業承継問題、大手企業のイノベーションのジレンマ等、我が国の経済発展において多くの課題を抱えております。
従来の企業と個人が「雇用」という形で繋がるというあり方では、これらの課題に対応することが困難な状況になっております。「雇用」に縛られない多様な働き方を望む個人と、外部のプロ人材による経営改革を進めたい企業が、時間や場所、組織の枠組み等の制限を超えて、協業できる仕組みが必要になっていくと考えられます。
このような状況のもと、当社は、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを掲げ、「プロシェアリング」事業を展開し、堅調に業績を伸ばしております。当社主力サービスである「プロシェアリングコンサルティング」サービスは、世の中の法人企業が抱える経営課題を外部プロ人材の力で解決支援するサービスであります。また、「FLEXY(フレキシー)」サービスは、企業のITに関する経営課題をDXによって解決支援するサービスであります。「プロシェアリングコンサルティング」サービス、「FLEXY」サービスの売上高は、「平均月次稼働プロジェクト数×平均月次請求単価×9ヶ月」により算出されます。
我が国の労働環境においては、労働人口減少による人手不足や働き方改革に加え、オープンイノベーションによる経営改革やDXによる業務効率化を推進する企業が増加する等、外部プロ人材活用の需要が堅調に推移致しました。また、新型コロナウイルス感染症に係る過去の緊急事態宣言を経て、当社登録のプロ人材による法人顧客へのWeb MTG等を用いたリモート支援が定着しております。
適時開示にて公表しております2023年4月18日付「代表取締役の異動に関するお知らせ」及び、同年4月20日付「代表取締役退任の開示に関する経過報告及び新経営体制に関するお知らせ」による影響につきましては、営業活動の一時的な遅延の発生、また稼働中プロジェクトの一時休止や契約満了後の継続契約停止等は、第1四半期までの限定的な影響と捉えております。一方で、アライアンス契約済み銀行からの顧客紹介における一部休止は、第3四半期にかけてもなお継続的に影響が及んでおります。また、新規受注につきましては、新規入社者の立ち上がりが引き続き課題となっており、改善の兆しは見えてきたものの想定を上回ることができませんでした。その結果、当第3四半期累計期間は平均月次稼働プロジェクト数が1,154件(前事業年度の平均月次稼働プロジェクト数は1,259件、第2四半期の平均月次稼働プロジェクト数は1,156件)となり、減少しております。一方で、請求単価につきましては提案の質が向上し、第2四半期の1稼働プロジェクトあたり平均月次請求単価は543千円に対し、当第3四半期の1稼働プロジェクトあたり平均月次請求単価は564千円と増加しております。当該影響により、四半期別売上高につきましては、当初計画を下回ってはいるものの、第1四半期にて底を打ち、当第3四半期にかけ増加に転じております。
新規入社者の生産性につきましては、立ち上がりスピードをできる限り早め、早期業績貢献を図るべく、育成体制の更なる増強を進めて参ります。プロシェアリング事業を取り巻く日本市場の成長は今後も加速していくと見込んでおり、またDXニーズもより堅調に推移することが見込まれることから、現在直面している課題を確実に克服し、事業の成長と競争力向上を図って参ります。
以上の結果、その他サービスの売上高も加味し、当第3四半期累計期間における売上高は5,808,185千円(前年同期比5.6%減)となりました。費用につきましては、従業員数の増加により人件費等の固定費は増加しているものの厳選した中途採用を行ったため、採用関連投資は縮小しております。一方、社内DXの推進に積極的に取り組んでおり、システム投資は増加傾向にあります。また、特別損失として、前代表退任に関連し発生した一連の費用をクライシス対応費用として計上しておりますが、当該費用につきましては前代表に求償の上、合意した金額を受取補填金として特別利益に計上しております。その結果、営業利益は223,853千円(前年同期比50.8%減)、経常利益は230,271千円(前年同期比49.4%減)、四半期純利益は145,049千円(前年同期比49.3%減)となりました。なお、当社はプロシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計につきましては、前事業年度末と比較して、79,247千円減少し、3,667,803千円となりました。これは主に、法人税等の中間納付及び賞与の支給により、現金及び預金が116,742千円、また、売掛金が55,094千円それぞれ減少した一方、社内使用SaaSライセンスの前払や法人税等の還付見込額の計上により流動資産その他が103,171千円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計につきましては、前事業年度末と比較して、266,404千円減少し、775,586千円となりました。これは主に、未払法人税等が144,453千円、未払消費税等が33,287千円、賞与引当金が59,614千円、それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末と比較して187,157千円増加し、2,892,216千円となりました。これは、四半期純利益の計上等により、利益剰余金が86,251千円増加したこと、従業員によるストックオプション行使により、資本金が5,438千円、資本準備金が5,438千円増加した一方、当社取締役及び執行役員を割当対象とした譲渡制限付株式報酬の付与により、自己株式 90,618千円が処分により減少したこと、自己株式の簿価と処分価格の差損を利益剰余金から減額したことによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として掲げておりました「資本政策」につきまして、2024年6月3日付適時開示「資本業務提携、株式の売出し、当社の主要株主である筆頭株主、その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」に記載の通り、当社の株主である久保田雅俊氏は当社株式を直接保有しないことになりました。また、同氏の資産管理会社である株式会社ニューアイデンティティクリエイションの当社株式保有比率は5.16%に減少しております。
同社の保有する当社株式の処分については、株式の相対譲渡等を含めた様々な手法を用いて、可能な限り現在の市場に与える影響にも配慮しつつ、全株式の売却を実施していく方針にて継続して久保田氏と協議を行う予定です。具体的な処分方法が決定され次第お知らせいたします。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(シンプレクス・ホールディングス株式会社との資本業務提携に係る契約の締結)
当社は、2024年4月18日開催の取締役会において、シンプレクス・ホールディングス株式会社との資本業務提携に係る契約を締結することについて決議し、同日付で締結を致しました。
詳細につきましては、同日付で適時開示しております「シンプレクス・ホールディングス株式会社との資本業務提携に関するお知らせ」に記載の通りであります。
(株式会社クラウドワークスとの資本業務提携、株式会社PKSHA Technologyとの資本業務提携に係る契約の締結)
当社は、2024年6月3日開催の取締役会において、株式会社クラウドワークス及び株式会社PKSHA Technologyとの間でそれぞれ資本業務提携に係る契約を締結することについて決議し、同日付で締結を致しました。
詳細につきましては、同日付で適時開示しております「資本業務提携、株式の売出し、当社の主要株主である筆頭株主、その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」に記載の通りであります。