文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
「先進・革新技術で未来を創造」Create the Next by Advanced and Innovative technologies
先進・革新技術により、人々がより便利に、より豊かに生活する社会の実現に貢献いたします。
当社グループは、「先進・革新技術で未来を創造」という企業理念のもと、以下の姿を目指してまいります。
・お客様に、確かなソリューション提供力を評価・支持され、新たな取り組みにあたり、常に1番に声がかかる
会社
・半導体、光学デバイス分野におけるグローバルニッチトップの会社
・従業員がプライドを持って能動的に働き、自らの成長、仲間の成長を実感できる会社
・人々の生活を、より安全・安心・便利で豊かにすることで、社会に貢献し続ける会社
③経営方針
(a) お客様の要望を迅速に具体化し、他に先んじて高品質な製品を提供する、不断のモノづくり力強化
(b) 半導体・光学系デバイス分野の技術革新を捉え、お客様や事業パートナーとともに、当社コア技術を活かし、社会に求められる新たな用途、事業領域を開拓
(c) きめ細かなLCS(ライフサイクルサポート)活動によるお客様の満足度向上
④経営戦略
当社グループは、上記の経営方針のもと、デジタル化社会への移行を支えるFPD・光学系デバイスや半導体の製造に不可欠な高品質の製品・サービスをお客様に提供するため、時代の先を見据えた事業展開を考え、お客様のニーズ具現化に最も適した材料・装置・プロセスを一体不可分なソリューションとして提供し、それを梃子にお客様の新たな取り組みに参画し、新たな市場創出や他社との差別化に取り組んで参ります。具体的には、FPD・光学系デバイス分野では、当社のデファクトスタンダード技術を梃子にした拡販に加え、ナノインプリント技術応用分野の拡大による新規事業創出、半導体関連分野では、強みのある先端半導体パッケージ製造装置において、フラッグシップ企業との取引実績や事業パートナーとの協働を梃子に、装置ラインアップ拡充、新製品の開発・投入による市場開拓等に積極的に取り組み、更なる事業拡大を図ってまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
1.経営環境
米国外交・通商政策動向や中国経済の足踏みなど、今後も世界経済は先行き不透明な状況が続くと思われますが、半導体業界におきましては、AI用先端半導体需要拡大に加え、次世代先端半導体パッケージ向け投資意欲の高まりを受け、引続き積極的な設備投資が見込まれます。FPD業界におきましては、LCDの新規投資増加は大きく見込めないものの、IT機器向けディスプレイの有機EL化、AR/VRスマ-トグラス等の量産計画を踏まえた、マイクロディスプレイや光学系デバイス向け投資の積極化などにより、設備投資は底堅い推移が予想されます。中長期的にも、超高速・超低遅延・多数同時接続通信がキーワードとなる超スマート社会に向けた移行の基盤として、先端半導体や次世代ディスプレイの需要は一層の拡大が期待されます。
2.中長期的な成長に向けた取り組み
斯かる環境下、当社グループでは、液晶からOLED等のプレミアム・ディスプレイへの流れの中、売上の大幅伸長が望めないLCD事業については安定的な収益確保を図る一方、今後、事業機会の一層の拡大が期待できるIJPソリューション事業と半導体関連事業に経営資源を投入し、持続的な成長を実現してまいります。
IJPソリューション事業においては、これまで培ってきた微細塗布や高精度位置合わせのコア技術により開発した、OLEDoS、μLEDoS等のマイクロディスプレイ向け装置の拡販に注力しております。また、当社が有するナノメートルレベルの微細加工が可能なナノインプリント技術、インクジェット方式のパターニング塗布技術を活用し、他社との合弁を梃子に、新たなコミュニケーションツール向けの光学系デバイス加工システムなど、新規事業創出を目指してまいります。
半導体関連事業においては、半導体の微細化・積層化が進む中、一層の需要拡大が見込まれる先端半導体パッケージ向け装置に注力しております。積層化に必要なウエハ薄板化プロセスに活用されるウエハハンドリングシステム(ボンダー装置、デボンダー装置)について、2.5/3D実装向け拡販に加え、パネルレベルパッケージング(※1)や、先端HBM(※2)向けへの応用・拡販に取り組みます。これらに、はんだボールマウンタやパワー半導体向け装置も含む多様な製品ラインアップにより、一層の業容拡大に努めてまいります。
(※1)パネルレベルパッケージング:矩形のパネル基板上で複数のパッケージ製造を一括で実施することで、従来のウエハレベルとの比較で、パッケージ1個当たりの製造コストを低減する工法です。
(※2)HBM(High Bandwidth Memory):複数のメモリ層を垂直に積み重ねる3次元スタッキング技術を使用し、非常に高い帯域幅(データ転送速度)を持つ先端メモリです。
LCD事業は、新規の大口設備投資需要は望めませんが、取引先の既存設備の改造・リプレース等のニーズは継続しております。当社には、多くの納入実績に加え、LCS活動により築き上げた顧客との信頼関係があり、今後も安定した売上の確保を目指してまいります。アフターサービスは装置本体よりも採算性が良く、収益面でも一定の貢献が期待できると考えております。
尚、当社グループは、これらの取り組みをより具体化し目標として掲げる姿の実現に向けた第一歩として、中期経営計画(2026年6月期から2028年6月期)を策定いたしました。概要は次のとおりです。
(a)今次中期経営計画のテーマ
「グローバルニッチトップのポジション確立と、売上高300億円・営業利益率12%・ROE17%以上の達成」
(b)基本戦略
① 持続的成長
・A-PI戦略(※3)によるお客様との協創
・フラッグシップ企業との取引によるブランド力向上
・新たなお客様への拡販・新市場創出
・プロセスサポート・LCSによるリレーション強化
(※3)A-PI(Advanced Process Integration)戦略:お客様のニーズ具現化に最も適した材料・装置・プロセスを、一体不可分なソリューションとして提供してまいります。それを梯子に新規プロジェクトに参画し、新たな市場創出・差別化による装置拡販に繋げる戦略です。
② 収益力向上
・新工場稼働などによる生産能力向上
・新業務システム導入などによる生産性・業務効率向上
・リードタイム短縮などによる収益性向上
・CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮など資産効率向上
③ サステナブル経営推進
・事業を通じた社会問題解決(気候変動への対応/ダイバーシティ等への取組みなど)
・利益創出に向けた基盤強化(ガバナンスの強化/人的資本の活性化など)
(c)今次中期経営計画の期間目標
① 定性目標
・グローバルニッチトップのポジション確立
・次なる成長ドライバー事業の創出
・持続的成長の基礎となる収益力向上
・持続的成長を支える経営基盤整備
・持続的成長を牽引する人財活性化
② 定量目標
上記に記載されている戦略、目標等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
3.開発方針
当社は、お客様に信頼・支持されるグローバル企業、先進・革新技術により製造装置分野で性能・品質世界一を目指しております。2018年7月に開設したプロセス開発センタ、2025年12月に竣工予定の新装置組立建屋内のクリーンルームなどの活用により、さらには大学の研究者・材料メーカーとの連携を梃子に、当社のコア技術である微細塗布・高精度位置合わせ技術を応用した研究開発に不断に取り組み、時代の先を見据えた装置を上市してまいります。
(3)経営上の目標達成を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、連結売上高及び連結営業利益・連結営業利益率・自己資本利益率(ROE)を重視し、収益力の向上に取り組んでまいります。
当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長のために重要であると認識し、経営理念に基づきサステナビリティ基本方針を定め、環境・社会・ガバナンスの観点から事業活動を推進し、持続可能な社会の実現を目指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ基本方針
当社では、サステナビリティを巡る課題への対応を当社の経営課題及び経営戦略の一つとして捉え、経営層による適切なリスクテイクを促進する環境整備として各種社内規程を整備し、意思決定機能と監督機能の強化に取り組んでおります。加えて、豊富な経験を有する社外取締役を複数名選任し、独立した客観的な立場から実効性の高い監督を行っております。
また、以下の「サステナビリティ基本方針」を策定しております。この方針に基づき今後具体的な活動を行ってまいります。
<サステナビリティ基本方針>
AIメカテックグループは、「先進・革新技術で未来を創造」という経営理念のもと、すべてのステークホルダーとの関係を尊重し、社会や地球環境との調和を図りながら持続的な社会の構築に向け積極的に取り組み、企業価値の向上を目指します。
1.公正な事業活動
私たちは、当社の事業活動に適用される全ての法令及びその他の社会規範を遵守し、倫理的な行動基準に基づいて事業活動を行います。
2.お客さま
私たちは、お客さまのニーズを的確に捉えた、高品質で安全性の高い製品やサービスを提供します。
3.取引先
私たちは、「基本と正道」「損得より善悪」の考えのもと、公正、透明、自由な競争並びに取引を実践します。
4.従業員
私たちは、従業員の健康と安全が企業成長の要と考え、従業員一人ひとりの個性を尊重し、その能力・活力を最大限発揮できる職場環境づくりに努めます。
5.環境
私たちは、自ら省エネや廃棄物削減に努めるほか、生産工程の効率化や資源の有効活用に資する製品を開発・提供することで、環境と調和した持続可能な社会の実現に向け取り組みます。
6.地域社会
私たちは、さまざまな国や地域の文化・慣習を尊重し、事業活動や社会貢献活動を通じ、ともに発展・成長することを目指します。
7.人権
私たちは、性別や国籍など個人の属性に関係なく、社会的に弱い立場にある人を含むすべてのステークホルダーの人権を尊重し、差別や個人の尊厳を傷つける行為を行いません。
8.株主・投資家
私たちは、株主や投資家との真摯な対話を通じて、持続的な社会の実現に必要な課題の把握に努め、長期安定的な成長実現による企業価値向上を目指します。
(2) ガバナンス体制
2023年6月代表取締役社長を委員長とし、社内取締役及び関連部門の責任者を委員とするサステナビリティ委員会を発足させました。同委員会は、全社的なサステナビリティ戦略の実行、その進捗管理およびマテリアリティ(重要課題)の決定などを主な役割として担っています。同委員会は毎年2回の定例開催に加え、必要に応じて臨時開催しています。
サステナビリティ戦略を全社的に推進するため、委員会の下部組織として、テーマごとに関連部署の長を責任者とする分科会を設置し、それぞれのテーマの課題の抽出、目標や実施計画、具体的対応等を協議し、推進しています。加えて、より専門的・個別的なテーマを扱う「リスク管理委員会」「コンプライアンス推進委員会」とも連携しています。この2つの委員会は代表取締役社長が委員長を務めています。
サステナビリティ活動の統制を目的に、同委員会の活動状況を年2回以上取締役会に報告しています。また、当社のような製造業においては、特に環境負荷の低減や資源の有効活用が重要な課題となっているため、これら環境課題の抽出と改善活動の推進を主な目的に本年7月に環境分科会を格上げした推進グループを生産統括本部の直下に組織化し、発足させました。
<2024年度におけるサステナビリティに関する取締役会審議内容>
(3) リスク管理
会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じる与える不確実性をリスクと定義し、そのリスクの防止および損失の最小化を図ることを目的にリスク管理体制を構築しています。具体的には、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図るため、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、サステナビリティに関するリスク管理については、「経営リスク管理規程」「コンプライアンス規程」以下各種社内規程を定め、コンプライアンス推進委員会およびリスク管理委員会において、リスクマトリックスを用いた手法等により当社に潜在するリスクを抽出、分析・評価し、その対策を策定しております。リスク評価については、外部環境、製造・品質、労務、安全衛生、企業倫理、情報セキュリティなどの重要度を発生可能性・頻度の観点から評価しています。かかるリスクは経営を取り巻く環境変化に応じて随時見直すとともに、重点管理リスクは取締役会に報告しています。
(4) 戦略、指標及び目標
当社グループにおいては、「事業を通した社会課題の解決」と「利益創出による成長戦略」という2つのサステナビリティの好循環の実現を目指し、持続的な企業価値向上に繋げていきます。
① 事業を通じた社会課題解決への貢献
事業活動を通じたマテリアリティの展開により社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな社会の実現と企業価値の向上を目指します。
② 利益創出に向けた経営基盤の強化
事業活動を根底で支える経営基盤を強化し企業価値の向上へ結び付けていきます。
(5) 人財の多様性の確保を含む人財育成方針及び社内環境整備方針
当社が持続的に成長していくためには、人財は重要かつ不可欠な経営資本であると考えております。この考え方のもと、当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財育成方針及び社内環境整備方針を以下のとおり定めております。
<人財育成方針>
当社は、経営理念である「先進・革新技術で未来を創造」を実践することにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。この活動を通じてグローバルなニッチ分野においてトップ企業であることを目指します。
そのため、グローバルなマーケットで幅広く活躍するための高度な専門性と技術を持つ人財の育成に努め、性別や年齢を問わず公平な挑戦と活躍の機会を提供します。
○求められる人財像
・社会・顧客の動向にセンシティブな人財
・国・場所を超えて課題にチャレンジする人財
・高いインテグリティ(誠実さ・真摯さ)を持って行動できる人財
<社内環境整備方針>
○支援
自発的に学び挑戦する人に対し、社内外の教育研修のほか、適格な成長の機会を提供します。
○評価
適切な目標設定と、上席者からの細やかなサポートやフィードバックを行い、チャレンジ精神を持って成果を出した人が公正に評価される仕組みを整えます。
○成果報酬
実現した成果ならびにチャレンジのプロセスに対しては、透明性のある評価にもとづき公正に報います。
○健康と安全
社員の安全と健康に留意し、職場内のコミュニケーションを活性化させ、働き甲斐のある職場環境の整備に努めます。
<当社の教育体系>
当社は、人財育成方針及び社内環境整備方針に沿って、高度な専門性と技術を持つ人財を育成し、自発的に学びに挑戦する従業員に対しては適切な成長の機会を提供するべく、以下の教育体系に基づき、教育・研修を行っております。当事業年度は90講座に延べ311名が参加しました。

(6) 人財育成方針及び社内環境整備方針における指標及び目標
当社グループでは、上記「(5)人財の多様性の確保を含む人財育成方針及び社内環境整備方針」について、以下の指標を用いております。なお、当社においては、関連する指標データ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する会社では行われてはいないため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。連結対象会社は1社となります。
(7) その他
当社においては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく公表の義務はありませんが、当事業年度における労働者の男女の賃金の差異については、以下のとおりであります。
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出し
たものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済動向による影響
当社グループが販売する製造装置は、ディスプレイ・半導体市場の需給動向に影響を受けます。加えて、当社製品は企業向け生産設備であることから、企業の設備投資の凍結や計画変更等、その設備投資需要に大きく影響を受けます。したがいまして、ディスプレイ・半導体市場の需給や顧客の設備投資需要に大幅な変動がある場合、受注のキャンセル、売上計上時期の変動などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループは、IJPソリューション事業、半導体関連事業及びLCD事業を中核事業と位置づけその事業拡大を図るとともに、生産性の向上及び固定費・変動費の削減を推進し、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを目指して参ります。
(2)海外販売に関するリスク
当社グループの売上高の大半は海外向けであり、かつ中国、台湾、韓国に集中しております。したがいまして、中国、台湾、韓国において、政治状況の急変、法律・税制の予期しない変更、産業政策の変更、経済状況の急変、地震・洪水等の自然災害及びテロ・戦争等の社会的混乱が生じた場合等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) 技術革新の動向による影響
当社グループの属する事業分野においては、技術革新の急速な進展とそれに伴う市場ニーズの変化に迅速に対応することが絶えず求められております。この変化に適切な対応をすることができない場合、当社グループの既存の製品・サービスは急速に陳腐化し競争の優位性を失うおそれがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは技術動向の調査を不断に進めるとともに、研究・開発機関と連携する等、新たな技術・製品の研究開発に努めております。
(4) 価格競争による影響
当社グループの主要顧客であるディスプレイ・半導体市場においては、需給動向を反映した価格変動が激しいことが特徴としてあります。当社グループでは、原価低減に努めるとともに、自動化・省人化を可能とする装置開発や、各装置のパッケージ化等により顧客サイドのコストダウンを実現し、価格の維持に注力しております。しかしながら、当社も単に他社と価格のみで比較、競合するおそれは否めず、過度の価格競争が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5) 法的規制に関するリスク
当社グループでは、ISO9001やISO14001の認証を取得した工場として生産活動を行っております。このような活動を行うに際して、製造物責任法・独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律・工場立地法・消防法・毒物及び劇物取締法等の法的規制を受けております。今後、新たな法令の制定等規制の動向によっては、当社の事業展開が制約され、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6)売上計上時期の変動に関するリスク
当社グループの生産計画、販売計画及び業績の見通しは、顧客都合による納期の変更等により急な見直しを余儀なくされることがあります。このため顧客の工場建設の遅れや設備投資計画の見直し等は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7)ノウハウ及び知的財産権に関するリスク
当社グループは、製造装置需要の変動に柔軟に対応すべく、一部の製品組立を協力会社へ委託しているため、当社独自のノウハウや技術情報が社外に流出するリスクが想定されます。協力会社との間では、当社の技術・ノウハウの他への転用・利用を禁止する旨の契約を締結し、ノウハウの社外流出の防止に努めております。
また、当社は、技術流出の危険性に対する防止策及び競合他社に対する知的財産権上の優位性の維持及び獲得のため、特許・実用新案の出願を積極的に行っております。しかしながら、特定の国や地域では、当社の知的財産権の保護が十分にされない場合があり、当社の知的財産権を使用して類似製品を製造することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
一方、第三者の知的財産権については、これを侵害しないよう努めておりますが、万が一抵触した場合には、多額の係争費用や損害賠償金等が発生するおそれがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(8)研究開発等の先行投資に関するリスク
当社グループは、将来成長が期待できる市場分野での事業展開に有益と考える技術に関わる研究開発及び関連設備に先行投資をしております。しかし、想定を上回る革新的な技術の登場やマクロ経済環境の急変等により、先行投資の成果が必ずしも収益に繋がらないリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(9)製品の契約不適合に関するリスク
当社グループは、製品の品質管理に関して十分な注意を払い、PL保険にも加入しておりますが、先端技術あるいは新技術を用いた製品を扱うことも多く、事前の想定が困難な契約不適合が発生する等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(10)装置代金の回収及び営業キャッシュ・フローの健全化に関するリスク
当社グループの装置代金の回収については、中国などの商慣習により、契約代金の1割前後の回収が長期化するケースがあります。前受金やFOB(本船渡し)により代金の8割前後の回収が行われますが、残金は当社装置の稼働ではなく、生産ライン全体の稼働後に最終的な検収を行い、そこから1年など一定の保証期間経過後に支払われる契約となっているためです。代金回収を計画的に行うために、装置納入後の状況や課題等について顧客と情報共有するなど様々な取り組みを進めておりますが、顧客設備の稼働スケジュールや検収作業の長期化等が、当社グループの財務状況及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、契約時に検収条件の明確化を図るとともに、納入後は子会社及び代理店等と連携し検収の早期化に努めるなど、売上代金の計画的な回収実現に向け取り組んでおります。
(11) 大規模災害の影響・感染症等に関するリスク
当社グループの生産拠点は、本社工場、守谷サテライト工場とも茨城県にあります。よって、茨城県において大規模災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の麻痺等が生じ、生産拠点の操業停止等、当社の生産体制が重大な影響を被る可能性があります。また、感染症によるパンデミックが発生した場合、開発・製造・営業・調達・保守等の事業活動の継続が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(12) 棚卸資産の滞留リスク
当社グループ半製品には、顧客との納期等を考慮して、汎用部分の製造に先行着手している製品が含まれております。半導体事業の急拡大に伴い当該製品は増加傾向にあることから、これらの製品の受注が遅延またはキャンセルとなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(13) 固定資産の減損リスク
当社グループの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を認識すべきであると判定した場合にはそれぞれの固定資産について回収可能性を評価することとなります。回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その差額は減損損失として当該期の損失として計上されるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(14) 退職給付債務について
当社は、将来に関する一定の前提を置いた年金数理計算に基づいて退職給付債務を計上しております。したがいまして、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件に変動が生じた場合等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(15)情報管理について
当社グループは、事業遂行にあたり、各種技術情報、顧客情報、個人情報を有しております。当社では、情報セキュリティマネジメント規程を制定し、当社が管理する文書、電子情報の適切な管理に努めております。しかしながら、情報漏洩のリスクは常に存在しており、万一情報が漏洩した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(16) 人財の確保・育成
当社グループが培ってきた技術やノウハウの伝承、延いては当社グループの将来の成長は、従業員の能力による部分が大きく、よって優れた能力を有する従業員の確保と育成は、当社グループの重要な経営課題であります。必要な人財を確保、育成できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況、さらには当社の成長に影響を与える可能性があります。
(17) 日立製作所グループとの関係について
当社は、日立テクノエンジニアリング株式会社(注:同社はグループ内での合併の後、2013年に株式会社日立製作所により吸収合併された。)が1990年3月に開設した竜ケ崎工場を母体とし、2016年7月、株式会社日立製作所からの新設分割により設立されました。新設分割にあたり、当社は株式会社日立製作所より竜ケ崎工場の不動産及び製造設備等の資産、従業員、特許権等知的財産権並びに事業に関連する海外事業拠点(台北、南京)を継承しております。
現在の当社と日立製作所グループとの関係について、株式会社日立ハイテクとの販売契約、株式会社日立マネジメントパートナーへの給与計算・経費精算等に係る委託契約等はありますが、いずれも第三者である他の取引先と同じく、サービスの質、価格等の条件の妥当性を総合的に判断し決定しております。
一方、当社と同社グループとの間に、ライセンス契約、技術または製造工程に関する支援・コンサルティング契約、出向関係等はありません。
(18) 主要株主との関係について
東京応化工業株式会社及び株式会社オプトランは、当社の主要株主に該当しております。東京応化工業株式会社とは、当社装置事業展開にあたり協業し、株式会社オプトランとは資本業務提携契約を締結しております。これら主要株主の方針転換又は株主構成に変更があった場合、当社の株価、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19) サプライチェーンに関するリスク
当社グループでは、製品を製造するにあたり複数のサプライヤーからの部材の調達を行っております。需給の逼迫や供給遅延・停止、価格高騰の要因等により、製品の製造遅延・供給停止が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、個人消費が堅調な米国を中心に総じてプラス成長を維持しましたが、米国外交・通商政策動向、中国の不動産市場の停滞継続、ウクライナや中東における紛争長期化による地政学リスクの高まり等により、先行きへの不透明感が強まりました。国内経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや堅調な設備投資など、内需を中心に緩やかな回復傾向が続きました。
当社グループの事業環境について、半導体業界において、最終需要の低迷によりIT機器や汎用サーバー向け半導体投資需要は停滞する一方、AI用先端半導体向け投資需要は引き続き堅調に推移しました。フラットパネルディスプレイ(FPD)業界では、全般的に投資需要が低迷する中、AR/VR用マイクロディスプレイ向け投資再開や、LCD向け設備投資に底入れの動きも見受けられました。
このような環境下、当社は、AI用先端半導体パッケージ向け装置の開発・拡販、株式会社オプトランとの資本業務提携など、更なる事業拡大への取り組みを強化いたしました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の受注金額は26,946百万円(前年度比78.6%増)、受注残高は26,193百万円(前年度比29.4%増)となりました。売上高は21,005百万円(前年度比36.2%増)、営業利益は2,095百万円(前年度比701.8%増)、経常利益は1,884百万円(前年度比1,059.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は337百万円(前年度比202.3%増)となりました。
尚、受注金額及び受注残高には、発注内示段階のものも含まれます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(IJPソリューション事業)
マイクロディスプレイ向け一括封止ラインについて、AR/VRグラス等の最終アプリケーション市場動向の見極めが進む中、顧客により投資需要に跛行性が窺われ、出荷の翌期以降へのずれ込みが見られた一方、投資再開に伴う新規受注の獲得もありました。今後は、引き合いが続くマイクロディスプレイ向け需要を確り捕捉することに加え、タブレット等の反射防止パターン形成システムなど、合弁会社を通じたナノインプリントリソグラフィー事業の立ち上げに引続き注力し、受注・売上の積み上げを図ってまいります。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は573百万円(前年度比70.5%減)、セグメント損失は222百万円(前年度は155百万円の利益)となりました。
(半導体関連事業)
はんだボールマウンタについて、IT機器・汎用サーバー用半導体の投資低迷を受け、受注・出荷の翌期以降へのずれ込みが顕在化したものの、AIサーバー用などの先端半導体パッケージ向けウエハハンドリングシステムが牽引し、出荷・受注とも順調に推移しました。今後は、活発な引き合いが続くウエハハンドリングシステムの追加需要の着実な捕捉に加え、更なる事業成長の鍵となる、パネルレベルパッケージ(PLP)向けやシリコンフォトニクス向け等のボンダー・デボンダー装置の開発・拡販に注力し、一層の受注・売上拡大に取り組んでまいります。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は19,520百万円(前年度比70.5%増)、セグメント利益は3,759百万円(前年度比134.7%増)となりました。
(LCD事業)
パネル市況を受けた投資需要の低迷は続いたものの、部品・改造需要の掘り起こしに加え、一部大型パネル向け増設需要により一定の出荷・受注を確保しました。今後は、部品等のアフターサービス、引き合いが続く封止用装置需要の捕捉に注力し、受注・売上の積み上げを図ってまいります。
このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は911百万円(前年度比55.1%減)、セグメ
ント利益は140百万円(前年度は60百万円の損失)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,800百万円増加し、23,649百万円となりました。主として、現金及び預金773百万円、売掛金及び契約資産1,736百万円の増加によるものであります。
有形固定資産は、前連結会計年度末から369百万円増加し、3,162百万円となりました。
無形固定資産は、前連結会計年度末から187百万円増加し、209百万円となりました。
投資その他の資産は、前連結会計年度末から241百万円増加し、351百万円となりました。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から4,599百万円増加し、27,373百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,811百万円増加し、12,804百万円となりました。主として、電子記録債務627百万円、買掛金1,719百万円の増加、並びに、短期借入金1,100百万円の減少によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ2,882百万円増加し、3,708百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ94百万円減少し、10,861百万円となりました。主として、自己株式の取得244百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は39.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ773百万円増加し、3,647百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、1,526百万円となりました。資金の取得は、主に営業利益2,095百万円の計上、仕入債務の増加2,337百万円に伴う資金の増加、及び売上債権の増加1,521百万円、棚卸資産の増加1,163百万円に伴う資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,482百万円となりました。資金の使用は、主に有形固定資産の取得による支出1,060百万円、条件付取得対価の支払額1,422百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は、1,774百万円となりました。資金の取得は、主に長期借入れによる収入3,194百万円によるものであります。
③ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.金額は、販売価格によっております。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.前連結会計年度のMARKETECH INTERNATIONAL CORP.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から4,599百万円増加し、27,373百万円となりました。これは主に現金及び預金773百万円、売掛金及び契約資産1,736百万円、半製品751百万円の増加によるものです。
負債は、前連結会計年度末から4,693百万円増加し、16,512百万円となりました。主として、買掛金1,719百万円、長期借入金3,139百万円の増加によるものです。
純資産は、前連結会計年度末から94百万円減少し、10,861百万円となりました。主として、自己株式の取得244百万円によるものです。この結果、自己資本比率は39.7%となり、前年度より8.4%減少しました。
b. 経営成績
当連結会計年度において、ウエハハンドリングシステムが牽引する半導体関連事業の大幅増収により、当社グループの連結業績は、売上高21,005百万円(前年度比36.2%増)、営業利益2,095百万円(前年度比701.8%増)、経常利益1,884百万円(前年度比1,059.9%増)となりました。また、条件付取得対価の支払い及び減損損失の発生に伴い、特別損失を1,531百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益337百万円(前年度比202.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、各セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益に対応しております。
(IJPソリューション事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から1,370百万円減少し、573百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度の155百万円から378百万円減少し、222百万円の損失となりました。顧客の設備投資見直し等により、主にマイクロディスプレイ向け装置の受注・出荷が翌期以降にずれ込んだ結果、斯かる減収・減益となったものです。
(半導体関連事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から8,074百万円増加し、19,520百万円となりました。
セグメント利益は、同じく2,157百万円増加し、3,759百万円となりました。AI用などの先端半導体パッケージ向けウエハハンドリングシステムが堅調に推移した結果、斯かる増収増益となったものです。
(LCD事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度から1,120百万円減少し、911百万円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度60百万円の損失から201百万円増加し、140百万円となりました。液晶パネル市況の低迷、有期ELパネルへの移行といった構造的要因により、新規投資需要の減少やアフターサービス案件の期ずれが発生し減収となった一方、貸倒引当金の戻し入れ等により増益となりました。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における主な資金需要は、部品の仕入代金、製品の製作代金、販売費及び一般管理費等の費用及び設備投資資金であります。上記運転資金につきましては、内部資金、銀行からの借入及び売上債権の回収により調達を行うことを基本としております。日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用しておりますが、取引銀行とコミットメントライン契約(極度額10,400百万円)、当座貸越契約(極度額7,400百万円)を締結しており、資金の流動性は確保されております。なお今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用及びキャッシュ・フローの報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。
当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
b.棚卸資産の評価基準
当社グループは、原材料は最終仕入原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)、製品及び仕掛品は個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)、半製品のうち保守部品は移動平均法による原価法、それ以外は個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)を採用しております。
将来における実際の需要または市況が見積りより悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、課税所得の額を合理的に見積ることにより判断しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
e.退職給付債務の算定
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づき算定されております。
将来の不確実な経済条件の変動等により割引率及び期待運用収益率等の見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。
(1)協業に関する基本契約
(2)当社の取締役候補者を指名する権利を有する旨の合意
当社は、当社の株主である東京応化工業株式会社との間で、当社の取締役候補者を指名する権利を有する旨の役員等派遣に関する合意書を締結しております。合意書に関する内容等は、以下のとおりであります。
①契約及び合意の内容
②合意の目的
当社は、東京応化工業株式会社からのプロセス装置事業譲受にあたり、上記(1)の協業に関する基本契約の他、円滑な協業の推進等による当社企業価値の維持・向上を目的として、当該合意書を締結しております。
③取締役会における検討状況その他の当社における合意にかかわる意思決定に至る過程
2022年9月26日開催の当社取締役会において、東京応化工業株式会社からのプロセス装置事業譲受につき検討がなされ、半導体関連事業の更なる発展による当社企業価値の維持・向上に資するとの結論に至り、譲受実行につき決議されました。
同時に、取締役会構成の変動が当社の事業展開やガバナンス体制等に与える影響を検討し、当該合意についても円滑な協業の推進等による当社企業価値の維持・向上に資するとの結論に至り、当該合意書の締結が決議されました。
④合意が当社の企業統治に及ぼす影響
当社事業運営にあたっては、独立社外取締役を含む取締役会での議論などを通じ、経営判断・執行における自主性は担保されており、当該合意書に基づく取締役派遣は、当社の企業統治に大きな影響を与えておりません。
(3)資本業務提携の解消及び業務提携の継続
当社は、2022年9月26日付でJUKI株式会社との間で資本業務提携契約を締結しておりましたが、同社より、同社の保有する当社株式の譲渡及び資本提携の解消の申し出を受け、2025年2月14日の取締役会において、JUKI株式会社との資本提携解消及び業務提携継続と上記内容の業務提携契約締結を決議いたしました。
(4)企業・株主間の株主保有株式の譲渡制限並びに当社の取締役派遣に関する合意
当社は、当社の株主である株式会社オプトランとの間で、当社株式の譲渡について当社の事前承諾を要する旨並びに同社の指名する者を当社の取締役として派遣することができる旨の合意を含む資本業務提携契約を締結しております。当該契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
①契約及び合意の内容
②合意の目的
当社と株式会社オプトランは、株式会社オプトランが当社株式を取得し、その保有を維持することを前提に、両社が技術提携を含む広範囲で強固な協業関係を構築維持し、両社がそれぞれ保有する事業の成長を拡大させることを目的として、当該合意を含む資本業務提携契約を締結しております。
③取締役会における検討状況その他の当社における合意にかかわる意思決定に至る過程
2025年2月14日に開催された取締役会において、株式会社オプトランとの資本業務提携につき検討がなされ、当社と株式会社オプトランが2023年7月3日に設立した合弁会社であるナノリソティックス株式会社を通じた、ナノインプリントリソグラフィー事業の強化、技術力の相互補完による協業、取締役派遣による円滑な協業の推進等により当社企業価値向上に資するとの結論に至り、当該合意内容を含む資本業務提携契約の締結につき決議されました。
④合意が当社の企業統治に及ぼす影響
当社事業運営にあたっては、独立社外取締役を含む取締役会での議論などを通じ、経営判断・執行における自主性は担保されており、当該契約に基づく取締役の派遣は、当社の企業統治に大きな影響を与えておりません。
(5)借入に関する契約
①シンジケートローン契約(トランシェA)
②シンジケートローン契約(トランシェB)
③シンジケートローン契約(トランシェC)
④相対型コミットメントライン契約
⑤相対型コミットメントライン契約
当社は、2000年代初頭のFPD製造装置の製造に係る「液晶真空充填システム」確立をはじめ、高精度塗布・位置決め・貼合せ等の当社コア技術を活かし、常に顧客のニーズに応えてまいりました。「先進・革新技術で未来を創造」を経営理念に掲げる当社として、研究開発力の維持・強化は、経営の最重要課題の一つと考えております。
顧客のニーズの変化や要望、あるいは顧客が直面されている問題点や課題をきめ細かに把握し、それを基に新しい装置やプロセスの開発を行っております。
研究開発の方向性、テーマについては、顧客からの情報に加え、市場動向や技術動向の分析を行い、中期経営計画等にて策定しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、
(IJPソリューション事業)
薄膜形成のための各種プロセスの技術開発及び評価、新材料に対応したプロセス技術開発等を行っております。2019年6月期に開設したプロセス開発センタを活用し、国内の有力大学、研究機関、材料メーカー等と連携し、研究開発を進めております。
薄膜形成用インクジェット装置、ナノインプリント形成装置、フィルム貼合せ装置等の開発に注力し、車載用デバイスへの応用技術である高粘度電子材料用IJP技術や、開発効率を向上させるシミュレーション技術等の先進技術の開発に取り組んでおります。
(半導体関連事業)
先端半導体パッケージ技術の進化に対応するため、ボンダー装置・デボンダー装置の精度向上や、はんだボールマウンタ装置のボール搭載及び検査リペア技術の向上と、プロセス開発等に取り組んでおります。また、パワー半導体向けのUV装置、プラズマ装置の能力向上にも取り組んでおります。
(LCD事業)
顧客の高精細化、無人化、フレキシブル化等のニーズに対応した製品開発や、次世代の情報デバイス向けに必要とされる装置・プロセスの開発に取り組んでおります。また、顧客の省エネルギー化の要求に対応するため、装置の省電力化技術等、環境に配慮した技術開発にも注力しております。
シール塗布装置、液晶滴下装置、真空貼合せ装置等では、装置の信頼性・安定性を高めるとともに、次世代デバイスの量産化を可能にするための技術開発を行っております。
(注)当社の研究開発活動は、セグメント間で横断的に実施しておりますので、開発費の総額は合計値での掲載としております。