当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、地球の環境保全に貢献するべく、高度循環型社会の実現に向けたリサイクル事業の深化や、脱炭素社会の実現に向けたエネルギー事業の推進、新たな技術開発やビジネスモデルを構築し、効率的かつスピーディーな事業展開を目指しております。
当社グループは、喫緊の課題であるCO2排出削減や廃プラスチックのリサイクル等に必要となる大規模投資や技術開発に積極的に取り組み、成長戦略として、リサイクル事業の深化やエネルギー事業の拡充を推進してまいります。また、当社グループは、激動する経営環境下にあっても、持続的に成長する経済社会の実現に貢献するための「サステナビリティ経営」を実践してまいります。
このような背景を踏まえ、各種課題解決に向け当社グループは、企業理念である「地球の環境保全に貢献する。」を基に、2024年5月に第2次中期経営計画『「WX(※1)環境企業」への挑戦』(以下、「中期経営計画」という)を策定いたしました。
※1 WX(Waste Transformation)とは、これまで資源化の難しかった廃棄物、使用済み製品等についても、技術的、採算的課題克服に挑戦し、循環資源に変革していくことを表す当社グループの事業コンセプト。
(2) 経営環境
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における我が国経済は、物価高や諸外国情勢による影響 は懸念されるものの、最低賃金引き上げなどを背景に、引き続き緩やかな成長を維持しています。企業の設備投資 意欲も、堅調な企業収益を背景に、引き続き旺盛です。当社グループと関連の高い建設業界については、建設工事受注高は物価高や価格転嫁などを背景として増加傾向にあり、新設住宅着工戸数は建設コスト上昇等の影響を受けて引き続き低調です。また、鉄スクラップ相場は、期初51,500円/トン(東京製鐵(株)宇都宮工場特級価格)から横ばい推移したのち、円高傾向や需要減退などにより9月に38,500円/トンまで下落しましたが、再び円安に転じたことなどにより若干値を戻し、以降横ばい推移のまま2025年3月末時点で41,000円/トンとなりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2024年5月に策定しました第2次中期経営計画『「WX環境企業」への挑戦』の達成に向けて「既存事業の強靭化」と「新分野・新事業への挑戦」を両軸とし、環境事業分野における革新的な企業体として、以下の3つの基本戦略をグループ一丸となって邁進し、事業領域の拡充を図ってまいります。
①高度循環型社会に貢献する再資源化・リサイクル事業の深化
②脱炭素社会に貢献する再生可能エネルギー事業の推進
③サーキュラーエコノミー社会へ貢献する新分野・新事業への挑戦
当社グループは、持続的に成長する経済社会の実現に貢献するためのサステナビリティ経営を実践するために、コンプライアンス意識の徹底と、それに基づく事業活動の推進を最重要な経営課題と認識するとともに、ガバナンス体制を強化し、中長期的な企業価値最大化を図ってまいります。
また、当社グループは、企業理念である「地球の環境保全に貢献する。」を基に、地球規模での深刻な環境破壊や気候変動の影響に対して、高度循環型社会並びに脱炭素社会への貢献を図り、自然との調和、地域の生態系と共生し「WX環境企業」として、リサイクル事業の深化、エネルギー事業の飛躍的な成長に向けて重点的に取り組む「共創」をテーマとした、以下の7つの事項を推進いたします。
①千葉県市原市、福島県相馬市を中心とする環境複合事業構想の推進
②大手動脈企業との業務資本提携等の具体化による新規事業展開
③グループ拠点を中心とした公民連携による一般廃棄物等の取り込み
④グループ拠点を活かした国土強靭化(レジリエンス機能強化)への貢献
⑤廃プラスチック等リサイクル新技術の社会実装による競争優位の創出
⑥M&A、海外展開によるグループシナジー発揮と業容拡大
⑦脱炭素社会に向けた中長期的取り組み強化(森林再生)
上記に加え当社グループは、中期経営計画において「サステナビリティ経営」を掲げ「持続可能な開発目標」(SDGs)に代表される各種社会課題の解決に貢献すべくコーポレート戦略を展開してまいります。こうした取り組みを更に拡張・強化するため経営課題(マテリアリティ)を特定し非財務指標(KPI)化の上、その達成を推進いたします。
ガバナンス強化、組織体制整備、業務改善等をDXと共に以下の3つの事項を推進することで、高度循環型社会および脱炭素社会の実現に貢献するための経営基盤を強化してまいります。
①働きやすい、働きがいのある職場環境整備、安全対策強化、人的資本投資の実行
②法令遵守をはじめ、健全で透明性の高いガバナンス体制の強化、リスク管理を徹底
③あらゆるステークホルダーから信頼され、顧客満足の最大化を図る取り組みを推進
企業価値を高めることで、高度循環型社会の発展を加速していくことを目指してまいります。
さらに、当社グループは、中期経営計画における5か年の財務目標として、自己資本利益率(ROE)10%以上、総還元性向を35%~40%にそれぞれ設定し、自己資本比率40%以上の維持を掲げており、収益性向上及び成長戦略推進とバランス感のある株主還元・新規投資・財務基盤の安定性により、中長期的な企業価値の最大化を図ることを目指しております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主の皆様への安定的な利益還元を経営の最重要政策のひとつとして位置付けるとともに、事業投資や将来に向けた投資に備える内部留保も重要と考えます。これらのバランスを取りながら収益力の強化に努め、併せて持続的成長に向け財務基盤の安定性を維持しつつ資本効率を高めてまいります。営業力強化、コスト見直し等による強固な事業体質への取り組みを継続し、中長期的に安定した配当を可能とする利益の確保に取り組んでおります。
このため、当社グループは中期経営計画において営業利益、営業利益率(10%)、親会社株主に帰属する当期純利益に加えて、自己資本利益率(ROE)(10%以上)、EBITDAを主要な経営指標としております。
当社グループは「
当社グループでは様々なステークホルダーに信頼いただけるよう、企業価値の最大化やガバナンス体制の強化を図っています。その上で地球の環境保全に貢献する総合環境企業として、環境関連の多様なニーズに対応したサステナビリティ経営を実践してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社は、監査等委員会設置会社とし、取締役会の構成員は、社外取締役を3分の1以上とすることで、独立した立場から経営の意思決定と執行を監視する体制を強化しております。加えて取締役会の実効性の強化やより一層のコーポレート・ガバナンス体制の充実を目的に、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置しております。
当社グループの事業は、株主や従業員、取引先、事業所周辺の地域住民など、様々なステークホルダーの皆様との健全な信頼関係のもとに成立していると捉えています。そうした考えのもと、当社グループは健全な経営を推進し、社会からの信頼に十分に応えるため、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実を重要な経営課題として位置付けております。
健全性・効率性・透明性を高めた経営を実践していくために、経営の意思決定や職務執行、監督、内部統制などについては適切な体制を整備・構築するとともに、必要な施策を実施しています。また、組織全体において法令・規程・社内ルールに則った業務執行を徹底しており、監査等委員会設置会社とすることで独立した立場から経営の意思決定と執行を監視しております。
なお、当社グループは上場する金融商品取引所の規定する「コーポレートガバナンス・コード」に賛同し、理念や原則の趣旨・精神等を踏まえた様々な施策を講じて、企業統治の強化に努めることを基本方針としております。
(2) 戦略
当社グループは、気候変動の移行リスク及び物理的リスクがもたらす事業に関するリスクや機会の把握を行い、気候変動対策の立案や事業戦略に反映しております。2022年度には、気候変動リスクのインパクト分析を開始いたしました。
その結果、廃棄物処理・再資源化事業、資源リサイクル事業及び再生可能エネルギー事業等を推進する当社グループにとって、事業継続は気候変動リスクがあるものの、リスクよりも事業機会の方が大きく、将来的な成長機会につながるという認識に至りました。
当社グループの事業の推進が、気候変動対策を含む地球環境保全に資することを踏まえ、「高度循環型社会」及び「脱炭素社会」の実現をマテリアリティ(重要課題)に掲げ、気候変動リスクの低減と事業機会の獲得を図ってまいります。
想定されるTREホールディングスへの事業インパクト分析<リスクと機会>
当社グループの事業は真摯に取り組むことが地球の環境保全につながります。特に気候変動問題に関しては、地球規模の重要課題と認識し、積極的にアクションを講じ、自然災害により発生する災害廃棄物の処理事業にも取り組んでまいります。また、当社グループだけで達成できない場合は、自治体や他企業と協業や提携を行うなど、実現に向けて取り組んでまいります。
当社は、総合環境企業として、地球規模で深刻化する気候変動の影響や環境破壊及び対策の必要性を十分に認識し、廃棄物処理・再資源化事業、資源リサイクル事業及び再生可能エネルギー事業等を通じて「高度循環型社会」並びに「脱炭素社会」の実現に貢献します。
当社は2022年度(2023年3月期)から、金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が公表した提言に基づく情報開示を開始しました。今後も継続的な分析・議論を重ね、順次情報開示を拡充してまいります。また、2022年6月には、TCFDの提言に賛同を表明するとともに、賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFDコンソーシアムに参画いたしました。
統合報告書2022よりTCFD提言に沿った情報開示を行っておりますので、最新の情報は当社ウェブサイトをご参照ください。
<統合報告書2024>
https://tre-hd.co.jp/download.html
※ 統合報告書2025の発行は2025年9月を予定しております。
当社グループの人的資本への方針は、「地球の環境保全に貢献する。」という企業理念を実践するため、事業継続の基盤となる「働きやすい・働きがいのある職場環境整備」を優先的に取り組むべき重要課題として、「多様な人材がいきいきと安心して働ける、また一人ひとりが最大限の能力を発揮できる職場環境を実現する」ことを目指します。
●人材の多様性の確保を含む人材育成
外部環境の変化に対応しながら企業価値を高めていくには、多様な価値観を持った人材の確保と成長できる機会が重要であると考え、多様な研修プログラムや制度の充実を推進し、当社グループの持続的成長を支える人材の育成を目指します。
① 階層・キャリア研修の実施
当社グループは、人材育成として、階層別教育やキャリア教育を実施しております。これらの研修はグループワークを取り入れ、多様な価値観や経験を得られるよう図っています。また、(株)タケエイでは若手社員が教育担当者として後輩の新入社員をサポートし、年間を通じて実務指導や職場生活をフォローする「エルダー制度」を導入し、若手社員のコミュニケーションスキルや実務指導力の向上を図っています。
② 会社の適性・状況に応じた研修プログラム
当社グループは高度循環型社会の実現を目指すため様々な会社で構成されており、会社の適性や状況に応じて、各社がそれぞれ携わる業務のスキル習得と習熟を図る研修を実施しております。
③ eラーニングの利点を活かした研修
eラーニングは時間や場所を問わず均一な内容の研修を受けることができます。当社グループは、この利点を活かし、全社員に必要とするコンプライアンス研修や情報セキュリティー研修などを実施しております。
④ 機動的な人事戦略
当社グループは、従業員の希望を尊重した人員配置を実施するため、従業員が自ら理想とするキャリアプランを上司や人事部門に伝える機会を多数設け、会社と本人の相互理解を深めることで、個人の能力が最大限に発揮できる組織づくりを推進しております。
(株)タケエイでは年1回、今後希望する業務や異動先を記入する「ジョブカード」を配布し、自らの意思でめざす仕事に挑戦できる機会を提供しています。さらに意欲のある人材を必要とする部署へ最適配置することを目的に、「社内公募制度」も導入しています。リバー(株)では「従業員満足度アンケート」の結果を踏まえて、従業員の意見を反映した働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。
●ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループにとって、社員が働きやすい環境を整えることは、重要な課題です。ジェンダー差別や児童労働に反対の意思を明確に示し、すべての社員が平等で多様性を活かせるよう、仕事もプライベートも充実した時間が過ごせる環境の整備に取り組みます。誰もが安全・安心・健康に働ける環境づくりに努め、多様な人材が個性と能力を最大限に発揮できる職場環境を実現いたします。
① 女性の活躍推進
当社グループでは男女の区別なく、工場・営業・企画・管理と、多領域で女性が活躍しています。また、キャリア志向や環境の変化を踏まえ、転勤を伴わずキャリアアップが可能な「地域限定総合職制度」や職群の変更希望にも柔軟に対応する「職群転換制度((株)タケエイで運用)」の導入により、多様なキャリアパスを可能にし、退職による人材流出防止や地方での優秀な人材採用、女性の活躍推進を図っています。現在、当社グループの女性管理職の割合を高めるべく、事業環境や職場環境の改善に取り組み、能力に応じて性別にかかわらず管理職登用を進めてまいります。
② 育児・介護との両立支援
当社グループは、育児支援について、子どもが小学校を卒業するまでの勤務時間を1日6時間または7時間から選ぶことができる「育児時短勤務制度」を導入しています。また、介護支援では従業員が安心して家族の介護に向き合えるよう、介護休業、介護休暇、時短勤務などを利用できる環境を整えております。
従業員一人ひとりが状況に応じて希望する働き方がかなえられる制度の拡充を進めております。
(3)リスク管理
●サステナビリティマネジメント体制
当社グループは、「高度循環型社会」及び「脱炭素社会」の実現を目指すべく「サステナビリティ経営」を掲げております。
そのための施策として、2022年6月に「CSRアクティビティ委員会」を設置いたしました。同委員会は、気候変動や脱炭素への対応など、グローバルな社会課題に対し、戦略的かつ多面的に取り組む役割を担っています。
同委員会は、当社グループの気候変動や社会課題に対する実行計画の策定と進捗のモニタリングなどを実施するとともに、グループ経営会議で協議、コンセンサスを得た上で、その内容について取締役会で議論・監督しております。
また、代表取締役社長は同委員会の委員長のほか、内部統制委員会委員長、経営会議議長を務めており、サステナビリティに関連する諸問題を経営の最重要リスクと認識しております。今後も迅速な意思決定を通じて、課題の早期発見・対処を実行し、PDCAサイクルを管理することで、経営基盤を強化してまいります。
社会の持続可能性と企業の持続的成長には、従業員一人ひとりが、その考えや方針を理解し共感することが重要であり、統合報告書や各種研修を通じて、サステナビリティに関わる当社グループの目標・取り組みについて、浸透と定着を図ってまいります。
TREグループ サステナビリティマネジメント体制
●環境に関するリスクマネジメント
当社グループは、気候変動を含む環境リスクをグループ全体の経営リスクとして位置付けており、気候変動等への対応に関する計画や施策についてCSRアクティビティ委員会にて審議し、計画の進捗状況については、同委員会から取締役会に報告します。
また、重要な環境問題についても同委員会が内部統制委員会と連携、情報を共有します。取締役会では、気候変動等に関する経営計画の進捗について、定期的な報告を受け、その執行状況を監督しております。
(4)指標及び目標
当社グループは「地球の環境保全に貢献する。」という企業理念を実践するために、優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。
特定したマテリアリティに紐づくKPIを設定し、事業活動を通して解決を目指してまいります。
なお、当社は設定したKPIについて当社を含むグループ統一の指標及び目標として位置づけ、推進してまいります。
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マテリアリティ |
目指すべき姿 |
KPI |
主な取り組み |
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事業を通じた社会課題の解決 |
高度循環型社会の実現 |
廃棄物処理・資源リサイクル事業の強みとノウハウを活かし、排出事業者の高度化する再資源化ニーズへ適正かつ的確に対応する |
・2030年までに再資源化率93%以上を達成する ・2040年までに再資源化率94%以上を達成する |
・動静脈産業間連携等による資源循環スキームの構築 ・設備改善の推進、高次選別拠点構想の具体化 ・未利用資源の製品化、付加価値化 ・廃プラスチックリサイクルの事業スキームの構築 |
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脱炭素社会の実現 |
再生可能エネルギーの創出並びに事業から排出される温室効果ガス(CO2)を削減する また、環境機器や技術の提供を通じて、社会全体の脱炭素化に貢献する |
・2026年までに購入電力のCO2(スコープ2)について実質ゼロを達成する ・2030年までにCO2(スコープ1+2)2013年度比46%以上実質削減する ・2050年までにCO2(スコープ1+2+3)実質ゼロを達成する |
・森林経営と一体化した持続可能な木質バイオマス発電所の設置/運営 ・CO2算定システム導入により事業活動に伴う温室効果ガス(CO2)のタイムリーな把握及びその削減に向けた施策を実施し削減状況を可視化 ・ステークホルダーへ向けた温室効果ガス(CO2)削減に寄与する環境機器、技術やサービスの提供 |
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事業継続の基盤 |
働きやすい・働きがいのある職場環境整備 |
多様な人材がいきいきと安心して働ける、また一人ひとりが最大限の能力を発揮できる職場環境を実現する |
・2030年までに男性社員の育児のための休暇(※1)取得率を100%とする ※1 育児のための休暇:育児休業または出産時の慶弔休暇をいう ・2035年までに女性管理職数を2倍(※2)とする ※2 2023年3月期16名から32名へ ・2030年までに労働災害度数率を全産業平均値(調査産業全体の平均値)と同水準とする |
・誰もが安全/安心/健康に働ける職場づくり ・ワークライフバランスの推進 ・各種研修の実施や資格取得支援制度等による企業の持続的成長を支える人材の育成 ・安全管理意識の徹底、工場や車両における事故防止活動の推進 |
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コーポレート・ガバナンス体制強化 |
サステナビリティ経営を推進するため、コンプライアンスをはじめ、健全で透明性の高いガバナンス体制を徹底する |
・取締役会の実効性評価の年1回実施 ・ガバナンスに関わる社内研修受講率100%とする |
・各種委員会設置による経営の透明性保持 ・コンプライアンスの徹底に向けた研修の実施及び遵守状況の確認 ・適切な情報管理及びリスク管理の実践 ・取締役会の実効性評価の実施 |
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持続的な企業価値の向上 |
「総合環境企業」としてのブランド・認知度向上 |
お客様/取引先/株主/投資家から信頼され、お取引いただけるような取り組みの推進及び情報発信 |
・外部評価機関(ESG評価機関等)による評価を高める |
・適時適切な情報開示 ・公平/公正なIR活動の実施 ・ステークホルダーエンゲージメント |
当社グループの事業を通じた社会課題の解決として、高度循環型社会の実現を目指し、動静脈産業間連携等による資源循環スキームの構築や設備改善の推進、高次選別拠点構想の具体化、さらには、未利用資源の製品化・付加価値化、廃プラスチックリサイクルの事業スキームの構築により、2030年までに再資源化率93%以上を達成すること、2040年までに再資源化率94%以上を達成することをKPIに設定しております。
また、脱炭素社会の実現を目指し、持続可能な木質バイオマス発電所の設置/運営、CO2算定システム導入により事業活動に伴う温室効果ガス(CO2)のタイムリーな把握及びその削減に向けた施策を実施し、2026年までに購入電力のCO2(スコープ2)について実質ゼロを達成すること、2030年までにCO2(スコープ1+2)を2013年度比46%以上実質削減し、2050年までにCO2(スコープ1+2+3)実質ゼロを達成することを設定しております。
当社グループは、中期経営計画の重点戦略に「サステナビリティ経営の実践」を掲げており、その取り組みの一つとして、経営統合5年後にあたる2026年を目途に自社の使用電力におけるカーボンニュートラルの達成を目指しております(省エネ活動の推進及び非化石証書・CO2クレジットの効率的な調達を併せて実施)。また、スコープ3のCO2排出量については、2022年に算定を開始・公表しております。
さらに、コーポレート・ガバナンス体制強化として、年1回の取締役会の実効性評価の実施、及びガバナンスに関わる社内研修受講率100%とすることを指標としております。
また、持続的な企業価値の向上のため、外部評価機関(ESG評価機関等)による評価を高めてまいります。
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針の目標についても、KPIで設定した指標を用いております。
当社は、多様な人材がいきいきと安心して働ける、また一人ひとりが最大限の能力を発揮できる職場環境を実現することを目標とし、「誰もが安全/安心/健康に働ける職場づくり」「ワークライフバランスの推進」「各種研修の実施や資格取得支援制度等による企業の持続的成長を支える人材の育成」に取り組んでおります。
具体的な目標として、2030年までに男性社員の育児のための休暇(※1)取得率を100%とする、2035年までに女性管理職数を2倍(※2、3)とする、2030年までに労働災害度数率を全産業平均値(調査産業全体の平均値)と同水準とする(※4)、を掲げております。
※1 育児のための休暇:育児休業または出産時の慶弔休暇をいう。2025年3月期取得率85.0%。
※2 2035年までに32名(基準:2023年3月期実績16名)
※3 管理職:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」という)の定めに従い、「課長級」または「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある従業員とし、主要子会社である(株)タケエイでは等級制度における管理職三級以上、リバー(株)では等級制度における7等級以上をいう。
※4 2023年度の労働災害度数率は3.32、2024年度の度数率は統合報告書2025にて掲載する予定です。
本報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
これらの、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、監査等委員会を設置し、女性を含む社外取締役を3分の1以上とすることで、多様かつ独立した立場から経営の意思決定と執行を監視する体制を強化するとともに、代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会において当社グループのリスク情報の集約、分析、周知等を行うほか、コンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会を定期的に開催して、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行える体制を確立し、リスクの顕現化の未然防止を図っております。これらのガバナンス体制強化を基盤として、中長期的な企業価値最大化を目指しております。
(1) 経済環境の変化によるリスク
① 市場動向と競合について
当社グループの主力事業分野には大きな市場占有率を持つ全国的な企業が存在せず、地域別に中小・中堅企業が多数存在し競合しております。同業者はそれぞれの得意分野・地域を持ち、価格、サービスを競っております。また、一般廃棄物や他の産業廃棄物の扱いを基盤とする業者、金属リサイクル業者あるいは特定廃棄物のリサイクル工場、焼却処理施設、最終処分場を核として当社グループの事業分野へ進出してくる業者との競合関係もあります。
今後は、法的規制等を背景とした環境対応や廃棄物リサイクルへのニーズの高まりにより、より高度な廃棄物処理と再資源化が求められていることから、大規模な設備投資が出来る体力、ノウハウ、あるいは廃棄物の排出者からリサイクル品の利用先まで巻き込んだ総合的な廃棄物処理及び資源リサイクル事業スキームを構築することが重要になってくるものと予測しております。当社グループは、この社会的ニーズや他産業からの新規参入や業界再編成といった事業環境の変化に対し、一層の組織強化、合理化を進めると同時に、新たな技術開発を推進することで他社との差別化、競争力強化を図ってまいります。
② 建設廃棄物への依存について
当社グループの廃棄物処理・再資源化事業で扱う廃棄物は、建設現場から排出される建設系の産業廃棄物が多く、取引先は総合建設業(ゼネコン)・ハウスメーカーに偏重しております。そのため、景気変動や不動産市況等により、建設業界や住宅建設業界の工事量に変動がある場合、あるいは需要減少等の要因によって同業者との価格競争に巻き込まれた場合には、当社グループが差別化戦略として取り組んでいる廃棄物の適正処理による環境負荷を低減する再資源化事業が評価されず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料などの調達
当社グループの資源リサイクル事業の原材料である鉄スクラップ、非鉄金属や産業廃棄物は、建築物などの解体工事や製造工場のライン機械などのリプレース、一般消費者による製品の購入・消費動向などの影響により、発生量が大幅に減少する可能性があります。当社グループは、原材料などに関して、その調達先を拡大し、複線化をすることで安定的な集荷を確保しつつ、再資源化率を高める取り組みを行うことなどで収益への影響を最小限に抑える対応をとりますが、原材料などの仕入の減少によって、売買数量及び価格や製品製造に影響を及ぼし、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 原材料、製・商品の相場変動リスク
当社グループの資源リサイクル事業における原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。当社グループの原材料、製品及び商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動いたします。当社グループは相場変動に応じて仕入価格の変更を行い収益への影響を最小限に抑える対応をとりますが、相場の急激な変化の影響を受けて契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、同様に原材料、製品及び商品在庫価値についても相場の影響を受ける可能性、相場の低迷の長期化により利ざやが縮小して当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に対する法的規制・訴訟等に関するリスク
① 法的規制等について
当社グループの事業活動の前提となる事項に係る主な法的規制は、次に記載のとおりであります。当社グループがこれらの規制に抵触することになった場合には、事業の停止命令や許可の取消し等の行政処分を受ける可能性があります。当社グループは、法的規制の改正などをむしろビジネスチャンスとして、積極的に廃棄物の処理及び再資源化事業に投資を行っておりますが、今後の法的規制の動向によっては当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(主要な法的規制)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)
・特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
・使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)
・使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)
・古物営業法
・貨物自動車運送事業法
・道路交通法
・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
・電気事業法
・計量法
・都市計画法
・建築基準法
・その他環境保全やリサイクルに関する諸法令
② 事業の停止命令や許認可の取り消し・更新
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」には事業の許可の停止要件及び許可の取消し要件が定められています。不法投棄、委託契約やマニフェスト運用等の違反行為、処理基準(収集運搬・中間処理・最終処分など)の違反行為、申請者の欠格要件等に関しては行政処分が下される恐れがあります。当社グループは、現在において当該要件や基準に抵触するような事由は発生しておりませんが、万が一、当該要件や基準に抵触するようなことがあれば、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要業務である産業廃棄物処理業は、各都道府県知事又は政令市長の許可が必要であり、事業継続には許可の更新が必要となります。当社グループのこれらに関する申請が基準等に適合していると認められない場合は、申請が不許可処分とされ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 環境に関する規制強化や問題の発生
当社グループは大気、水質、土壌などのほか、様々な環境関連法令への対応のため、産業廃棄物などの処理過程で生じる騒音、振動、粉塵、排水に対して、適切な設備を各工場に設置し、環境汚染を防止しています。しかしながら、不測の事態によりこれらが流出等した場合に、賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより一層厳しくなった場合には、設備の改修、入替、増設などのために多額の支出が生じ、これにより当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業活動に関わるリスク
① 廃棄物の最終処分場について
a. 最終処分場の環境管理について
当社グループでの最終処分場におきましては、法令や行政指導に則って受入搬入時の検査、施設点検、周縁部の定期的な水質検査等を実施し、環境への影響を監視しております。現状においては、周辺環境へ悪影響を与えるような事由は発生しておりませんが、万一、大規模な自然災害等や不測の事故等により環境汚染等が発生すれば、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b. 新規最終処分場の開発について
最終処分場は埋立処分容量に一定の限界があるため、その利用については、当社グループでは事業計画に沿った利用計画を作成し、現在埋立中の最終処分場を安定的に稼働させる一方で、新たな最終処分場の開発計画を推進しております。これら新規開発計画について、予測できない何らかの事由で開発を中止せざるを得なくなった場合は、投資が回収できなくなる可能性があります。また、開発計画が予定どおり進まない場合には、コストの高い他社の最終処分場を利用することになり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 爆発・火災事故のリスク
資源リサイクル事業における主要な機械設備であるシュレッダーは、爆発や火災のリスクが比較的高い設備であり、爆破抑制装置や消火設備等の安全対策を実施しておりますが、不測の事態により大規模な爆発や火災が発生した場合には機械設備が長期間稼働不能となる可能性や賠償問題が生じる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損リスク
当社グループは、工場、機械設備等多くの有形固定資産を保有しております。事業環境等の変化により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく減少した場合、減損損失を計上し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 再生可能エネルギー事業における発電事業の安定稼働について
当社グループの再生可能エネルギー事業におきましては、現状、東日本を中心に6ヶ所のバイオマス発電所を運営し、脱炭素社会への貢献を図っております。これら発電所は、地元森林組合等と長期的な集荷体制を構築し、近隣の生木等貯木場での含水率管理、木質チップ化施設での品質管理、発電所における日々のメンテナンス、定期修繕を計画的に行うことで安定稼働に努めております。しかしながら、国内における燃料材の確保や予期せぬ大規模な自然災害、操業に影響するような設備不具合等が発生し、発電所が長期間稼働不能となった場合には、稼働日数の減少に伴って、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティのリスク
当社グループが利用している通信ネットワーク、データベース、パソコンやタブレット等の情報端末等には最新のセキュリティ対策を施し、「情報セキュリティ基本方針」等を制定し、グループ社員を対象としたセキュリティ研修等による意識徹底を図っておりますが、外部から想定を超えるコンピュータウイルス感染、重要データの抜取り、改ざん等の不測の事態が発生する可能性があります。
これらの重大なセキュリティ事故が発生した場合、情報流出等による賠償責任、対策のための多大な支出、当社グループに対する信頼性の低下等が発生する可能性があります。この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人材確保・育成のリスク
当社グループの将来の事業拡大のためには、優秀な人材の確保と育成に大きく依存することになります。しかしながら今後少子化による若年層の労働人口が減少することから人材確保における競争は高まってまいります。また採用した人材が中途で退職する可能性もあります。今後当社グループの労働条件や環境など職場の魅力を高める努力を行い、教育研修を含めて人材育成の環境を整備してまいりますが、人材の獲得・確保・育成に問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 有利子負債
当社グループの総資産は有形・無形固定資産の占める割合が高く(58.3%)、これら設備投資等の必要資金は自己資金のほか社債及び借入金により調達しており、社債、借入金の当連結会計年度末の総額は、60,691百万円(対総資産比率37.5%)となっております。また当社グループが掲げる成長戦略によって資金需要は今後さらに増すものと予測されます。
有利子負債のうち固定金利の借入金については、一定期間において金利変動の影響を受けないこととなりますが、今後、金利が上昇した場合には、資金調達コストの増加により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは常に多様な資金調達手段を検討しておりますが、全国的な景気後退によって融資が収縮されるなど金融市況が悪化した場合は、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(4) 感染症・気候変動・自然災害・停電・事故などに関するリスク
① 感染症拡大の影響について
今後も新たな感染症の発生等により、これまでのような対面営業活動への制約、行政庁への諸手続きの長期化等が想定される場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 気候変動に関するリスク
近年、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組が世界的に進められております。わが国においても、気候変動に起因すると見られる局所的な暴風雨などの異常気象によって、深刻な水害や土砂災害などが増加する傾向にあります。これらの災害により、当社グループの設備、車両などの事業活動におけるインフラストラクチャーが甚大な被害を受ける可能性があります。
一方で、環境企業を標榜する当社グループは、これらの気候変動による事業リスクを重要視し、TCFDの提言に則った当社グループ事業におけるリスクと機会の分析を行い、統合報告書等における適切な情報開示を引き続き図ってまいります。
③ 大規模自然災害等への対応について
当社グループは、主要な営業基盤、中間処理工場、最終処分場が関東圏に集中しており、異常気象等によるゲリラ豪雨、落雷、降雪等や、大規模地震等の自然災害に見舞われて被害を受けた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における我が国経済は、物価高や諸外国情勢による影響は懸念されるものの、最低賃金引き上げなどを背景に、引き続き緩やかな成長を維持しています。企業の設備投資意欲も、堅調な企業収益を背景に、引き続き旺盛です。
当社グループと関連の高い建設業界については、建設工事受注高は物価高や価格転嫁などを背景として増加傾向にあり、新設住宅着工戸数は建設コスト上昇等の影響を受けて引き続き低調です。また、鉄スクラップ相場は、期初51,500円/トン(東京製鐵(株)宇都宮工場特級価格)から横ばい推移したのち、円高傾向や需要減退などにより9月に38,500円/トンまで下落しましたが、再び円安に転じたことなどにより若干値を戻し、以降横ばい推移のまま2025年3月末時点で41,000円/トンとなりました。
このような状況下、廃棄物処理・再資源化事業においては、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震に伴う災害廃棄物の処理支援事業に継続して注力いたしました。首都圏を中心とする建設系廃棄物リサイクルにおいても、燃料費の高騰や諸物価の上昇などが続き、人件費、販管費などのコスト増が影響しましたが、廃棄物の付加価値化、製品化などに継続して取り組みました。資源リサイクル事業においては、シュレッダー(破砕機)や選別ラインなどの設備更新及びメンテナンスを実施することで稼働率の向上に努め、徹底した再資源化と適切な在庫マネジメントの推進などにより、搬出品の増加・付加価値化に継続して取り組みました。再生可能エネルギー事業においては、発電所の安定稼働に資するべく適切な修繕や燃料材の調達に尽力し、電力小売事業においても引き続き販売先確保のための営業強化に努めております。その他の事業においても、グループ内において相乗効果を図る製品開発、研究開発、クロスセリング等に努めております。
なお、当連結会計年度末において、再生可能エネルギー事業セグメント等において3,135百万円の減損損失を計上しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は118,678百万円(前連結会計年度比27.8%増)、営業利益は22,983百万円(同195.8%増)、経常利益は22,487百万円(同188.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,285百万円(同239.1%増)となりました。
また、当連結会計年度の経営成績及び主要な経営指標は次のとおりとなりました。
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当連結会計年度 (自 2024年 4月 1日 至 2025年 3月31日) |
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収益性 |
売上高 |
(百万円) |
118,678 |
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営業利益 |
(百万円) |
22,983 |
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営業利益率 |
(%) |
19.4 |
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経常利益 |
(百万円) |
22,487 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(百万円) |
12,285 |
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資本効率 |
自己資本利益率(ROE) |
(%) |
17.5 |
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財務健全性 |
自己資本比率 |
(%) |
45.1 |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
各セグメントにおける売上高については、「外部顧客への売上高」の金額、セグメント利益については、「報告セグメント」の金額を記載しております。
a. 廃棄物処理・再資源化事業
(株)タケエイの廃棄物処理・リサイクルにおいては、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震に伴う災害廃棄物処理支援事業による寄与が大きく、第4四半期連結会計期間は降雪影響により低調な時期はあったものの、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。首都圏を中心とする建設系廃棄物リサイクルは、建設資材価格の高騰による着工戸数の減少や人員不足による工事延伸等の影響を受けましたが、処分・収運単価の改定及び中間処理施設における廃棄物の徹底した分選別等によるコスト削減策に継続して取り組んでおります。
その他、廃石膏ボードの再資源化を行う(株)ギプロ、(株)グリーンアローズ関東、(株)グリーンアローズ東北は、福島県相馬市での災害廃棄物処理案件が終了したことなどから搬入量が低迷し、減収減益となりました。イコールゼロ(株)は、廃液の取扱量が増加したことから増収増益となりました。2024年1月より連結対象となったペットボトルリサイクルを行う(株)タッグは、落札数量・価格が予想を上回る結果となり、好調な業績を維持しております。管理型最終処分場を運営する(株)北陸環境サービスは、2024年2月より開始した災害廃棄物の受入が継続していることに加え、通常の産業廃棄物の受入も引き続き順調に推移し、増収増益となりました。また、2024年8月に開業した(株)門前クリーンパークは、災害廃棄物が開業当初より継続して想定を上回る水準で搬入されております。(株)信州タケエイは、災害廃棄物処理支援事業への貢献や解体事業、産業廃棄物処理の受注も堅調であったことなどから、増収増益となりました。
この結果、セグメント売上高は51,933百万円(前連結会計年度比94.3%増)、セグメント利益は19,713百万円(同384.5%増)となりました。
b. 資源リサイクル事業
鉄・非鉄スクラップの仕入・加工・販売を行うスプレッド事業では、前連結会計年度に比べ建設解体屑および工場発生屑の取扱量が増加した一方で、使用済自動車においては新車登録台数がわずかながら増加したものの、使用済自動車の発生台数が全国的に減少したことで仕入れ競争も激化するなど、当社の取扱量も減少しました。入荷から出荷までの工程を迅速に処理することで資源相場の変動リスクを最小限に留めると共に、せん断後ダスト選別ラインを活用した、ダスト(残さ物)からの有価物回収を推進するなど収益の確保に努めております。
廃棄物や廃家電などの中間処理及び再資源化を行う非スプレッド事業では、廃棄物の取扱量が減少した一方、廃家電においてはエアコンの買い替え需要が増加するなど取扱量が増加しました。樹脂選別ラインなどの再資源化設備を活用した効率的且つ効果的な選別を推進し、ダストの処理コスト低減および分選別後の有価物回収量を増やすなど収益の確保に努めております。
当連結会計年度において、鉄スクラップ価格が前年同期間の平均と比較して低位であったことに加え、スプレッド事業における取扱量の減少などの影響によって減収となりましたが、非鉄含有量の多い複合素材品の取扱量が増加したことや、設備修繕による稼働率の向上および各種選別ラインを活用した再資源化の徹底、加えて非鉄相場が高位であったことなどが奏功し、増益となりました。
この結果、セグメント売上高は42,353百万円(前連結会計年度比2.5%減)、セグメント利益は3,485百万円(同26.3%増)となりました。
c. 再生可能エネルギー事業
市原グリーン電力(株)は、第1四半期連結会計期間に行ったボイラーの法定点検及び追加工事をはじめとする長期間の運転停止による影響が大きかったものの、概ね高負荷運転を継続し、稼働日数も増加したことから、増収増益となりました。(株)タケエイグリーンリサイクルは、災害廃棄物受入や生木くず搬入量増加はあったものの、発電設備不具合に伴う緊急停止が複数回発生したことなどから減収減益となりました。電力小売を行う(株)タケエイでんきは、新規取引先の開拓が進み電力販売量は増加したものの、前期好採算であった大口卸売先との取引条件改定の影響を受けたことなどから、増収減益となりました。(株)タケエイ林業は、住宅需要の変動によって製材所や合板工場における原木のニーズが安定せず販売価格や排出量が安定しなかったことなどから減収減益となりました。
この結果、セグメント売上高は13,631百万円(前連結会計年度比4.9%減)、セグメント利益は114百万円(同90.5%減)となりました。
なお、市原グリーン電力(株)においては、固定価格買取制度(FIT)の期限切れが数年後に迫る状況の中で保守的に事業計画を見直し、のれんの未償却残高全額である1,782百万円を減損処理しました。また、(株)タケエイグリーンリサイクルは、保有する横須賀工場の固定資産について、将来の回収可能性を検討して帳簿価額を回収可能価額まで減額し、1,328百万円の減損損失を計上しました。
d. その他
環境装置、特殊車輌等を開発・製造・販売する富士車輌(株)は、大型案件の受注が引き続き好調に推移し、製造プロセスも順調に進行したことなどから増収増益となりました。
(株)アースアプレイザルは、アスベスト分析業務において大型スポット案件の受注があったことなどから増収増益となりました。環境保全(株)は、豪雪影響等により解体案件が低迷したことなどからアスベスト分析業務が減り、減収減益となりました。
この結果、セグメント売上高は10,761百万円(前連結会計年度比28.6%増)、セグメント利益は819百万円(同39.4%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年 4月 1日 至 2025年 3月31日) |
前年同期比(%) |
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廃棄物処理・再資源化事業(百万円) |
26,526 |
+45.1 |
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資源リサイクル事業(百万円) |
34,998 |
△5.2 |
|
再生可能エネルギー事業(百万円) |
12,075 |
+3.2 |
|
その他(百万円) |
8,833 |
+32.2 |
|
合計(百万円) |
82,434 |
+12.0 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
b. 受注状況
廃棄物処理・再資源化事業においては、顧客との契約は包括的な契約を主としており、個々の受注案件の期間、数量及び金額等について変動要素が多く情報として有用性に欠くため、記載を省略しております。
資源リサイクル事業においては、受注生産方式を採用していないため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年 4月 1日 至 2025年 3月31日) |
前年同期比(%) |
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廃棄物処理・再資源化事業(百万円) |
51,933 |
+94.3 |
|
資源リサイクル事業(百万円) |
42,353 |
△2.5 |
|
再生可能エネルギー事業(百万円) |
13,631 |
△4.9 |
|
その他(百万円) |
10,761 |
+28.6 |
|
合計(百万円) |
118,678 |
+27.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年 4月1日 至 2024年 3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年 4月1日 至 2025年 3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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(一社)石川県産業資源循環協会 |
- |
- |
25,963 |
21.9 |
3.前連結会計年度の(一社)石川県産業資源循環協会に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
③ 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は162,047百万円(前連結会計年度末比19,887百万円の増加、前連結会計年度末比14.0%増)となりました。
流動資産は55,227百万円(前連結会計年度末比16,968百万円の増加、前連結会計年度末比44.4%増)となりました。これは、現金及び預金が9,252百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が7,882百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は105,811百万円(前連結会計年度末比3,025百万円の増加、前連結会計年度末比2.9%増)となりました。これは、有形固定資産において建設仮勘定が7,102百万円減少したものの、建物及び構築物が5,001百万円、最終処分場が4,642百万円増加したこと、無形固定資産においてのれんが2,348百万円減少したこと等によるものであります。
なお、上記固定資産の増減については、当連結会計年度において減損損失を3,135百万円計上したことにより、建物及び構築物が630百万円、機械装置及び運搬具が613百万円、土地が108百万円、のれんが1,782百万円減少したことが含まれております。
(負債)
当連結会計年度末における負債は86,621百万円(前連結会計年度末比13,544百万円の増加、前連結会計年度末比18.5%増)となりました。流動負債は38,487百万円(前連結会計年度末比6,073百万円の増加、前連結会計年度末比18.7%増)となりました。これは、災害損失引当金が2,026百万円減少したものの、短期借入金が1,440百万円、未払法人税等が4,513百万円、未払金が959百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は48,133百万円(前連結会計年度末比7,471百万円の増加、前連結会計年度末比18.4%増)となりました。これは、長期借入金が6,610百万円、資産除去債務が850百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は75,426百万円(前連結会計年度末比6,342百万円の増加、前連結会計年度末比9.2%増)となりました。これは、自己株式の取得(純資産の減少影響)等により4,323百万円減少したものの、利益剰余金が10,214百万円増加(親会社株主に帰属する当期純利益12,285百万円による増加及び配当金2,071百万円による減少)したこと等によるものであります。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ9,259百万円増加し、29,922百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益19,194百万円に減価償却費8,028百万円を加えた主な収入と法人税等の支払額2,321百万円の主な支出の他、当連結会計年度においては、減損損失3,135百万円や未払消費税等の増加額2,150百万円の収入、売上債権及び契約資産の増加額7,887百万円、災害損失の支払額2,172百万円の支出に大きく影響を受けたことから19,835百万円の収入となりました。
売上債権及び契約資産の増加額は、主に、前連結会計年度(2024年1月)に開始した災害廃棄物の処理支援事業が当連結会計年度に入り規模を拡大しつつ進捗したことや、(株)門前クリーンパークが開業し災害廃棄物の受入を開始したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出11,878百万円等があったことにより、12,082百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入11,865百万円や短期借入金の増加1,399百万円等の収入が、長期借入金の返済による支出4,613百万円や自己株式の取得による支出4,400百万円、配当金の支払額2,072百万円等の支出を上回ったことにより、1,506百万円の収入となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により充当することを基本としておりますが、最終処分場、新規設備投資・改修等の大型の投資案件に係る資金につきましては資金需要が発生した時点で市場の状況等を勘案の上、銀行借入、社債発行及び増資等の最適な方法により資金調達することとしております。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、研究開発活動を重要な推進テーマに掲げ、企業理念である「地球の環境保全に貢献する。」に共鳴頂ける企業、自治体、学術機関等との連携、協業を進め、資源循環スキームの構築や脱炭素社会に向けた取り組みを加速しております。廃棄物や使用済製品等の分選別能力の強化を通じたマテリアルリサイクルを目指し、気候変動問題や廃プラスチック問題、資源エネルギー問題などを解決するため、CO2排出削減技術や、高効率の廃プラスチックリサイクル技術などの開発に努めます。そのため、研究開発投資等を連結売上高の1%程度を目処に段階的に引き上げ、廃プラスチックリサイクルや金属リサイクル、あるいは再生可能エネルギー発電等に関連する新技術開発を強化してまいります。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
廃棄物処理・再資源化事業
廃棄物の再資源化の強化を目的として、中間処理工場等に導入できる高純度高品質で分別し資源回収する技術の開発、廃棄物等を有価資源に再生する技術の開発を、当社子会社の(株)タケエイの技術開発部、事業部門及び関連するグループ内事業会社と、大学及び連携する企業と共に実施しております。
具体的な研究開発テーマとしては、処理困難廃棄物である壁紙、紙おむつ及び焼却灰のリサイクル技術や、大学との共同開発で排ガス由来のCO2から機能性化学品を生成するCCU(注)技術、再生プラスチックやバイオマスプラスチックを製造する技術及び木質系廃棄物から新たな固形燃料を製造する技術に取り組んでおります。
これら研究開発による成果は、再生可能エネルギー事業での活用や当社グループの第2次中期経営計画に掲げるTRE環境複合事業構想、相馬サーキュラーパーク構想においても活用できるよう推進しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
(注)CCU(Carbon Capture and Utilization)とは、排ガス中や大気中のCO2を回収し、直接または何らかの製品に変換して利用する技術の総称。カーボンニュートラルを早期に達成するための手段のひとつとされています。
なお、研究開発費の総額が僅少で重要性の乏しいセグメントごとの研究開発活動については、記載を省略しております。