当第2四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、有価証券届出書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミ
ック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、
景気は厳しい状況となっております。当第2四半期累計期間においても世界的に新型コロナウイルスの感染が再
度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制
限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例
が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS/PMDD やRS8001
自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なか
らず影響を与えております。
このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、
人工知能(AI)ソリューション)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続け
るべく事業活動を行っております。
当第2四半期の経営成績、財政状態の概況及び研究開発活動は以下のとおりです。なお、当社は、前第2四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。また、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期累計期間における事業収益は、RSAI02(慢性透析システム支援)における契約一時金を受領したこと、および、RS9001(ディスポーザブル極細内視鏡)におけるマイルストーン収入を計上したことにより31,061千円、営業損失は、RS8001(PMS/PMDD)やRS5614(COVID-19)などの研究開発費を18,582千円を含む事業費用120,543千円を計上したことなどにより91,482千円、経常損失は、株式交付費を23,906千円計上したことなどにより119,199千円、四半期純損失は119,344千円となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第2四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末の1,042,644千円と比べて1,637,416千円増加し、2,680,060千円となりました。これは主として、2021年9月に東証マザーズに上場したことに伴う株式発行などにより、現金及び預金が1,637,995千円増加したことなどによるものです。
また、当第2四半期会計期間末の固定資産は、前事業年度末の23,988千円と比べて1,835千円減少し、22,152千円となりました。これは主として減価償却によるものです。
この結果、資産合計は、前事業年度末の1,066,632千円と比べて1,635,580千円増加し、2,702,213千円となりました。
(負債)
当第2四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末の29,449千円と比べて67,432千円増加し、96,882千円となりました。これは主として、RS5614(COVID-19)に係る受託研究収入を受領したことにより、前受金が78,000千円増加したことなどによるものです。
また、当第2四半期会計期間末の固定負債は、前事業年度末の475,650千円と比べて66,756千円増加し、542,406千円となりました。これはRS8001(PMS/PMDD)に係るCiCLE事業による研究開発資金の受入れにより、長期借入金が66,756千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は、前事業年度末の505,099千円と比べて134,189千円増加し、639,288千円となりました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末の561,533千円と比べて1,501,391千円増加し、2,062,924千円となりました。これは主として、2021年9月に東証マザーズに上場したことに伴う株式発行などにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ810,368千円増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期累計期間末における現金及び現金同等物は、2,282,939千円となりました。当第2四半期累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの支出額は、25,591千円となりました。これは主として、税引前四半期純損失が119,199千円となった一方、RS5614(COVID-19)受託研究収入に係る前受金78,000千円を計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの支出額は、当第2四半期累計期間は該当ありませんでした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの収入額は、1,663,586千円となりました。これは主として、東証マザーズへの上場に伴う株式発行による収入1,596,829千円の計上や、RS8001(PMS/PMDD)に係るCiCLE事業による研究開発資金の受入れによる長期借入金66,756千円の増加によるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当社は、医薬品・医療機器・人工知能(AI)を活用した医療ソリューションなど、多様なモダリティ(治療様式)に亘る複数パイプラインの研究開発を進めており、当第2四半期会計期間における主要パイプライン開発の進捗は以下のとおりです。
なお、当第2四半期累計期間における研究開発費は18,582千円であり、当第2四半期累計期間末日の当社研究開発従事者人員は3名(臨時雇用者を含む)です。
a. RS5614(PAI-1阻害薬)
(a) 慢性骨髄性白血病(CML)治療薬
後期第Ⅱ相試験は、慢性期CML患者33例を対象にチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)とRS5614を併用し、RS5614投与開始後48週における累積の分子遺伝学的に深い奏功(DMR:ガンの原因遺伝子が検出されない状態)達成率(※)をヒストリカルコントロールに比較して有意に上昇させることを確認することと、RS5614及びTKIの長期併用時におけるRS5614の薬物動態及び安全性の確認を目的に実施しました(2019年8月開始、2021年3月治験総括報告書完成)。33例中DMRを達成した症例は11例で、48週時の累積DMR達成率は33.3%であり、TKI単独でのヒストリカルコントロール(8~12%)に比べて有意に上昇していることを確認しました(POC取得)。特に、TKI治療期間が3年以上5年以下の患者での累積DMR達成率は50.0%に達しました。また、RS5614 1年間の長期投与でも治療薬との因果関係で重篤な有害事象は認められませんでした。
後期第Ⅱ相試験の成績に基づいて、慢性期CML患者を対象にTKIとRS5614の併用効果を検証するプラセボ対照二重盲検の第Ⅲ相治験の準備に着手しました。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と2021年6月及び同年8月に事前相談を、11月に対面助言を行い、第Ⅲ相試験計画を協議中です。第Ⅲ相試験は、当社の自己資金を用いて医師主導治験で実施する予定です。現在、複数の製薬会社と導出に関する協議を進めていますので、ライセンスあるいはオプション権を付与した共同研究契約を締結した後に治験を実施する可能性もあります。第Ⅲ相試験計画が決定すれば、費用や実施方法、提携の有無について確定することが出来ます。
(※) DMR達成率:現在の慢性期CML治療では高額なTKIを生涯服用する必要がありますが、最も深い治療効果であるDMRを達成し、一定期間維持した一部の患者では、TKIを中止しても再発がないこと(無治療寛解維持;TFR)が近年明らかとなっています。これまでに既存TKIで公表されている1年間(48週)の累積DMR達成率は8~12%(ヒストリカルコントロール)です。
(b) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療薬
当社は、RS5614の肺微小血栓、線維化、肺気腫改善作用及び肺(上皮)保護作用に着目し、COVID-19に伴う肺傷害治療薬(経口薬)を開発しています。2020年秋から前期第Ⅱ相医師主導治験(非盲検)を実施し、2021年6月に治験総括報告書が完成しました。特筆すべき副作用は無く、投与例での死亡例もありませんでした。
現在、プラセボ対照後期第Ⅱ相医師主導治験を実施中です。2021年3月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究代表機関は東北大学、当社は分担研究機関)」に採択され、2021年4月にPMDA事前面談を実施しました。同事前面談に基づき実施計画書を確定し、2021年6月から治験を開始しました。本治験は、新型コロナウイルス肺炎患者(中等症、入院患者)を対象として、登録患者数100名を見込む医師主導治験であり、国内20の大学等の医療機関の多施設共同、プラセボ対照試験となります。2021年9月末で、目標の半数である50例を超える患者の登録を得ており、患者登録が順調に進めば、2022年3月末には治験を終了し、同年6月に治験総括報告書を完成する予定です。2021年11月現在、新型コロナウイルス感染者数が激減し治験の被験者登録が減っていますので、治験実施医療機関の患者登録予定数を再検討するなど対策を講じています。
海外においては、米国ではノースウェスタン大学で類似のプロトコールで第Ⅱ相医師主導治験を実施しています。また、トルコ共和国メデニエット大学においては、安全性を確認するための前期第Ⅱ相医師主導治験(非盲検)を終了し、現在、新型コロナウイルス肺炎患者(中等症、在宅患者)を対象として二重盲検試験を実施する準備を進めています。
2020年12月25日、COVID-19肺炎及びその他肺傷害等の肺疾患治療用途について第一三共株式会社とオプション権付優先交渉権に関する契約を締結しました。本契約締結時は前期第Ⅱ相医師主導治験実施中(後期第Ⅱ相医師主導治験は未定)でしたので、オプション期間を1年後の2021年12月31日としていましたが、後期第Ⅱ相医師主導治験の実施に合わせて、オプション期間を延長しました。
(c) 悪性黒色腫(メラノーマ)治療薬
国内のメラノーマ患者では、海外とは異なるサブタイプのメラノーマが多いことから、抗PD-1抗体(ニボルマブ)単剤療法による治療が奏効しづらいとされています。RS5614が、免疫チェックポイント分子を制御し、免疫系を活性化する作用に基づき、メラノーマ治療薬としての有効性と安全性を確認するための第Ⅱ相医師主導治験を、2021年7月から実施しています(2024年3月終了予定)。
本治験は、2021年5月にAMED「橋渡し研究プログラム」シーズC(研究代表機関は東北大学、当社は分担研究機関)の助成金で、NPO法人「Japan Skin Cancer Network(JSCaN)」を立ち上げてメラノーマの治療成績向上のために連携している東北大学、筑波大学、都立駒込病院、近畿大学、名古屋市立大学、熊本大学の6大学との多施設共同で実施され、進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者40例を対象とした非盲検試験です。ニボルマブ併用のもと、RS5614を1日1回 120 mgで投与を開始し(安全性に問題がなければ医師の判断で180 mgに増量可能)、8週間投与後に、有効性と安全性の評価を行います。
(d) 抗がん剤による間質性肺炎の予防・治療
RS5614が肺線維症、間質性肺炎を改善することを示唆する非臨床試験の成績に基づき、抗がん剤の副作用である間質性肺炎をRS5614が予防できるかどうかを京都大学と共同で研究する予定です。2021年2月より京都大学と共同研究実施のために必要な準備を進めています。共同研究として行う非臨床試験成績の結果、RS5614の、抗がん剤の副作用である間質性肺炎予防の有効性を確認できた場合は、医師主導治験での臨床開発に進める予定です。
(e) RS5441(PAI-1阻害薬)脱毛症治療薬
導出先のEirion Therapeutics Inc(米国)で第Ⅰ相試験準備中です(2022年実施予定)。
b. RS8001(ピリドキサミン)
(a) RS8001(自閉スペクトラム症治療薬)
自閉スペクトラム症患者に対するピリドキサミンの有効性及び安全性を探索的に評価し、また、適切な対象患者集団や用法用量、評価指標を決定することを目的として、易刺激性を有する自閉スペクトラム症患者を対象として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施しました。同試験は、2021年5月に終了し、2021年6月に治験総括報告書が完成しました。
安全性に大きな問題がなく、忍容性が良好であることが示されました。有効性に関しては、主要評価項目の「最終評価時点のABC-J興奮性サブスケールスコア平均変化量(※)」において実薬高用量群が最も改善していましたが、用量反応関係ならびにプラセボ群と統計的な有意差は確認できませんでした。本薬剤の有効性をより適切に評価するためには、対象患者の選定や、プラセボ効果を減少する治験計画の策定(当社が、月経前症候群(PMS)及び月経前不快気分障害(PMDD)治療薬の医師主導治験において実施している、あらかじめプラセボ効果を見ておくプラセボリードイン方式の採用)など、検討すべき課題が明らかになりました。
(※) ABC-J興奮性サブスケールスコア平均変化量:自閉スペクトラム症において薬物治療効果をみるのに世界的標準法として使用されている有効性の評価尺度です。ABC-Jは異常行動チェックリスト(ABC)の日本語翻訳版です。
(b) RS8001(月経前症候群(PMS)及び月経前不快気分障害(PMDD)治療薬)
2019年度にAMEDの医療研究開発革新基盤創生事業(CiCLE)に採択され、AMEDから助成金を得て、近畿大学、東北大学、東京医科歯科大学、東京女子医科大学で第Ⅱ相医師主導治験を進めています(2020年11月開始、2023年12月終了予定)。
当初の予定である2021年2月より早い2020年11月から治験を開始できましたが、コロナ禍の影響による患者来院の減少のため、症例登録促進の目的で、2021年度前半の取り組みとして、①医療法人聖和会 早川クリニックを実施施設として追加し、②広告・啓発活動に取り組むこととしました。また、広告・啓発活動の一環として、院内ポスターや啓発用の冊子も作成しました。さらに、NPO法人Healthy Aging Projects for Women(HAP)主催で治験調整医師による薬剤師対象Webセミナーを2021年3月に実施しました。今後、医療法人jMOG 田辺レディースクリニックを追加し、ボランティアパネル(※)の活用、NPO法人と協賛した疾患啓発のための治験責任医師等による公開講座の開催など、症例登録促進のための対応を講じる予定です。
AMEDで中間評価マイルストーンの達成状況及び今後の取進めについての報告を行い、2021年9月に本治験助成の継続が承認されました。
(※) ボランティアパネル:治験支援企業・団体が運営する治験参加希望者の登録システムです。
(c) RS8001(統合失調症治療薬)
2020年、導出先の興和株式会社による統合失調症後期第Ⅱ相試験(約100名を対象としたプラセボ対照二重盲検試験)が終了しました。主要評価項目である陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)(※)の陰性症状尺度の総スコアではプラセボ群と実薬群で明確な差は認められなかったため、興和株式会社では今後の開発を行わない方針です。しかし、サブ解析では改善を認める陰性症状の項目もありました。本薬剤の有効性を適切に評価するためには、対象患者の選定や、プラセボ効果を減少する治験計画の策定など、検討すべき課題が明らかになりました。興和株式会社の協力を得て開示いただいた資料を基に、治験に参加した医師の協力を得ながら、当社としての今後の開発方針を検討しています。
(※) 陽性・陰性症状評価尺度(PANSS):主として統合失調症の精神状態を全般的に把握することを目的として作成された30項目の評価尺度です。
(d) RS8001(更年期障害)
更年期障害の2大症状(ホットフラッシュ(※)とうつ)の治療薬としてRS8001の臨床研究(実薬25例、プラセボ25例)を東京医科歯科大学で実施するため準備を進めています。2021年9月には、厚生労働省の先進医療Bの事前面談を終え、11月に東京医科歯科大学の認定臨床研究審査委員会(CRB)に申請しました。CRB承認後に先進医療Bに申請予定です。
(※) ホットフラシュ:更年期障害の代表的な症状として上半身ののぼせ、ほてり、発汗などが起こります。
c. RS9001(ディスポーザブル極細内視鏡)
腹膜透析腹膜透析(※)は透析液を注入するチューブを常に腹膜に挿入されていますが、当社は、この細いチューブを通して挿入し、開腹手術にも腹腔鏡にもよらず非侵襲的に腹腔内を観察する極細内視鏡(径1 mm程度)を東北大学等複数の大学と共同開発しました。2020年5月に、大手医薬品及び医療機器会社であり腹膜透析医療におけるリーディングカンパニーである米国Baxter Healthcare Corporation(バクスター社)と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結し、薬事承認申請の準備中です。
バクスター社とガイドカテーテル製造業者の交渉が遅延していることから、メインフレームであるファイバースコープのみ(付属品であるガイドカテーテル抜き)で承認申請することをバクスター社と合意し、2021年3月にはPMDAからその方針で進めて良いことを確認しました。2021年6月には、ファイバースコープ製造業者とバクスター社が供給契約を締結したことに伴い第1回目のマイルストーンを受領しました。
(※) 腹膜透析:透析の装置として、自分の体の腹膜(胃や腸などの臓器を覆っている薄い膜)を使う方法です。腹腔内に管(カテーテル)を通して透析液を入れておくと血液中の老廃物や不要な尿毒素、電解質、余分な水分などが透析液の中に移動し血液がきれいに浄化されます。
d. 人工知能(AI)を活用した医療ソリューションの開発
(a) RSAI01(呼吸機能検査診断システム)
呼吸器疾患の診断に重要な肺機能生理検査スパイロメトリー(※)の結果(フローボリューム曲線)を解釈するAIシステムを、京都大学及びNECソリューションイノベータ株式会社と開発中です。2020年7月にスパイロメトリーのリーディングカンパニーであるチェスト株式会社と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結し一時金を受領しました。呼吸器疾患の鑑別診断が可能な初期AIモデルが開発できたので、2021年10月にはチェスト社との契約に基づいて、マイルストーンを受領しました。今後、データ数と質を改善することで予測精度を向上させ、事業化に向け開発予定です。
(※)スパイロメトリー:呼吸機能生理検査で、被験者が吐き出す息の量と吐き出す時間を測定します。慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びその他の肺の病気の診断に重要な検査です。
(b) RSAI02(慢性透析システム支援)
血液透析は慢性腎不全患者の生命維持に必要な腎代替医療です。当社は、透析中に発生する急激な低血圧を予測するAIシステムの開発を目指し、聖路加国際病院や20を越える複数の透析医療機関と開発を行っています。2021年5月に、グローバルな血液透析医療機器メーカーであるニプロ株式会社と共同研究契約を締結いたしました。現在、医療データ数を800,000透析治療に増加したデータを用いて分析作業を進めております。さらに、個々の患者に合わせて透析中低血圧を予測する分析アルゴリズムを改良することで、予測精度を向上させる予定です。今後、大量データでの分析を完了次第、2022年には臨床現場で開発されたAIシステムの性能試験を行う予定です。
(c) RSAI03(糖尿病治療支援システム)
糖尿病の血糖値を厳格にコントロールするためにはインスリン注射治療が必要ですが、一方、インスリンの安全な用量域は狭く、多く注射すると低血糖という副作用を生じるために、患者ごとに最適な種類と投与量を選定する必要があります。当社は、糖尿病患者診療データから糖尿病専門医の患者ごとに異なる最適なインスリン投与量を予想できるAIの開発を目指し、東北大学及び日本電気株式会社と共同開発を行い、インスリン投与量を数単位の誤差内で予測できるAIアルゴリズムが開発できています。本年7月からは、さらなるデータ数の増加を進めており、データ数と質の改善、AIシステムの改良を図ることで、精度の一層の向上を目指します。
(d) RSAI04(発音・発語及び嚥下機能診断)
嚥下障害に伴う誤嚥性肺炎に対しては早期診断及び早期治療が重要ですが、簡便な嚥下機能評価法は存在しません。「話す機能」と「嚥下機能」で活用する器官が共通であることから、東北大学の複数診療科(耳鼻咽喉科、歯科、医工学部リハビリテーション科)及び日本電気株式会社と共同で、患者の話す音の全周波数を抽出しAIで解析することで、健常者の発音による周波数と患者の発音の周波数の違いを抽出し、嚥下機能を評価する診断法の開発に取組んでいます。
(e) RSAI06(小児発達障害(識字障害)音読診断)
小児の学習障害の1つである識字障害(ディスレクシア)は音韻処理障害であり、学業不振や不登校に至る原因となりますが、早期に発見し、適切なトレーニングを受けることで一般生活が送れるようになる障害です。2021年10月から東北メディカルメガバンク機構(※)の8歳児を対象とした発達障害調査が開始したことから、データの収集を開始しております。小児の文字や文章の音読データにAIを活用して、識字障害を評価するシステムの開発を目指します。
(※) 東北メディカルメガバンク機構:未来型医療を築いて震災復興に取り組むために設置され、東日本大震災の被災地の地域医療再建と健康支援に取り組みながら、医療情報とゲノム情報を複合させたバイオバンクを構築しています(2012年設立)。
e. 診断薬:血中フェニルアラニン測定キット
フェニルケトン尿症は、適切な治療を行わないと知能発達遅延などの重篤な症状を出現します。1977年に生後マス・スクリーニング検査が実施され、ほぼ全ての患児が早期に発見されるようになりました。フェニルアラニンを制限するための食事療法を正しく行う必要があり、定期的な医療機関での検査が必要ですが、数か月に1度の採血では、きめ細やかな食事管理ができません。当社は、自宅で簡便かつ正確に血中フェニルアラニン濃度を測定するシステムを、東北大学と共同で開発しています。この新規検査系をキット化し、自己管理の保険償還に繋げることを目的とします。糖尿病患者での自己血糖管理のように、家庭でいつでも自己測定が可能になれば、フェニルケトン尿症を有する患者のきめ細やかな食事管理が実現できます。
2021年5月には、診断薬に関する特許を東北大学と共同で出願しました。2021年6月にはPMDA相談を行い、臨床性能試験の実施に向けた準備を進めています。
当第2四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。