文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けることで、ヒトが心身共に生涯にわたって健康を享受できるための新しい医療を創造することを経営理念として掲げています。
医薬品産業も、低分子医薬品を中心とした開発から、バイオ医薬品(抗体医薬、核酸医薬品、遺伝子治療、細胞治療)へと、モダリティが多様化しつつあります。さらには近年の工学系や情報系技術の進歩により、情報・工学技術との融合による新たな医療の模索も進んでおり、欧米や国内の大手製薬企業では既に医薬品単体のビジネスから医療ソリューション全般にわたるビジネスへと転換を迎えており、学際研究領域での開発が注目されています(図表21)。そのため、これまでの当社の主体である化学系や生物系の研究に加えて、今後工学系や情報系の研究にも視野を広げ、多彩で魅力ある研究と事業のポートフォリオを創生したいと考えます。当社は、新しいモダリティについても、大学など公的研究機関などで発掘されたシーズを育成し、大手企業へつなぐ医薬品等の開発に向けたエコシステムに貢献できると考えます。革新的な次世代医療創出のために、ヘルスケア産業における「医・薬・工」の異分野融合等、産学官オープンイノベーションを推進していきます。
<図表21 医療の変遷とイノベーション>

□ イノベーションの社会実装までの期間が短縮(基礎から臨床への開発タイムラグの解消)
□ ブロックバスター(多数)から個別化医療(個)への転換
□ 大学発バイオベンチャーの役割の拡大(異分野融合での開発、医師主導治験)
ポストコロナ時代には、ウェットラボ(化学系、生物系)に加えて、ドライラボ(情報工学系)の研究、特に人工知能(AI)を活用した効率的な研究がライフサイエンス領域でも、間違いなく台頭すると予測されます。医師主導治験の患者選択、治験デザイン、データ解析などにもAIがますます活用されていくはずです。これまで当社の事業パートナーは、製薬企業が主でしたが、最近は、医工学機器企業、IT企業との研究及び事業開発連携にも注力しています。多彩な分野の企業との研究開発及び事業開発連携を行うことが魅力あるポートフォリオを創生する上で重要と考えます。
当社は、多くの国外の大学と基礎研究を展開してきましたが、今後は更に国外での臨床研究にも注力いたします。日本で開発された新薬を、国外に展開するための鍵は、① グローバルで通用する知的財産権(新規医薬品化合物を含めた物質特許) ② グローバルに通用するデータやマテリアル ③ グローバルな研究開発を推進できる体制です。国際的に通用する高品質な非臨床データパッケージや治験薬を揃えること、各国規制当局との連携を図ること、グローバルな視点から開発できる様な枠組みが重要と考えます。これまでに、米国ノースウェスタン大学(新型コロナウイルス感染症)、トルコメデニエット大学(新型コロナウイルス感染症)、オランダマーストリヒト大学(糖尿病)の3つの臨床試験を国外の大学・医療機関と共同で実施しています。
世界保健機関(WHO)は、近年では老化関連疾患(非感染性疾患)にも注力しており、がん、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患の4疾患を非感染性疾患としています(世界の全死亡に占める74%の原因)。当社の開発品目は、がん、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患という4疾患を全て対象としており、先進国のみならず新興国でも重要な医薬品となり、国際社会に広く貢献できると考えます。
これまでの製薬企業や創薬ベンチャーの多くはパイプラインのバリューチェーン(開発の全ての工程を積み上げていく)を自社で全て構築し、事業価値を高めることに注力してきました。しかし、医薬品のように成功確率が極めて低く、開発期間が長く、投資が大きな分野では研究開発及び事業リスクが大きいため、多くのパイプラインを組み合わせたポートフォリオを形成し、リスク分散をすることが不可欠です。大手製薬企業は潤沢な資金を背景に、多くはパイプラインのバリューチェーンを自社独自で形成するという既存の枠組みでの開発ができますが、ベンチャーのように資金が潤沢でない場合なかなか難しいです。
当社は外部機関(研究機関、医療機関、CRO/ARO)の資源を最大限活用し、コストを含めた開発効率を最大限高めるための開発を実践してきました。外部機関とのアライアンスをもとに多くのバリューチェーン構築を考えており、既存ベンチャーとは戦略、研究開発、人的資源管理などが異なります。研究所も持たず、少ない人的リソースや経費で多くのパイプラインを広げ、モダリティも展開できていますので、確実に実績もあげています。すなわち、昨年度は12名の役職員(非常勤取締役及び監査役を除く)で8件の臨床開発段階のパイプラインを稼働し、また、これまでに46の医療機関と共同で21件の医師主導治験を実施しています。さらに、AI医療ソリューションを含む7つのパイプラインについて事業会社と提携しました。自己資源や社内環境のみに注力するのではなく、むしろ外部資源や外部環境に注力し、効率的にイノベーションを創出するプラットフォームが形成できれば大きな成長が期待できます(図表22)。
<図表22 当社の構築するパイプライン構築プラットフォームの拡大による成長>

□ 自社でバリューチェーンを生み出すモデルではなく、プラットフォーム形成でエコシステムを実現
□ 少ないリソースで最大価値を創出する優位性(コミュニティから価値を引き出し、価値をもたらす)
現在、研究開発段階にある当社は、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりません。当社は、医薬品のパイプライン(医薬品候補群)の一部を製薬企業やベンチャー企業に導出済で、加えてオプション契約及び共同研究契約等を締結し、契約一時金などの収益を上げており、現在医薬品候補品はすべて研究開発のステージにあります。また、医療機器開発におきましても、ディスポーザブル極細内視鏡の検証的試験を終了し、グローバル医療機器企業への導出及び導出先による製造販売申請について準備を行っておりますが、契約一時金以外は事業収益の計上には至っておりません。研究開発パイプラインの進捗状況等に目標を置いた事業活動を推進すると共に、既存医薬品候補群の適応症拡大、新モダリティ(低分子化合物以外の医薬品)を含む新規プロジェクトの導入と開発、更には人工知能(AI)を用いた医療ソリューションを提供するための新規事業開発などを質・量ともに充実させることが、企業価値を高め、経営を安定させる上での不可欠な目標と認識しております。当該目標達成のために、共同研究や事業提携を推進すると共に、より充実した研究・開発体制の確立のための研究開発・設備投資等の施策を推進して参ります。
バイオベンチャーの取り組む最先端医療分野は、環境変化のスピードが極めて早いと考えられ、潜在的な競争相手に先行し、他社の知的財産権を上回る開発をする必要性があります。医薬品もこれまでの化学を基盤とする低分子と異なり、近年は抗体医薬、核酸医薬や遺伝子治療といったバイオ医薬品が主流に成りつつあります(図表21)。さらに、今後は、さらにビッグデータやAIなど情報系技術を取り入れていかないと、競争の激しい医療分野での開発は難しくなります。医療のあり方もブロックバスターから個別化医療へ大きく変遷しています。一方、技術は日進月歩で進んでいます。重要なことは、最先端の研究、技術、シーズをいち早く取り入れる枠組み、速やかに臨床現場で実証することと考えます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延で、研究のあり方も変わりつつあります。緊急事態制限など理由からウェットラボ(化学系、生物系)での研究制限が生じる可能性は否定できません。一方、リモート研究で実施できる情報工学系のドライラボ研究、特にAIを活用した効率的な研究がライフサイエンス領域でも必要とされています。
また、病院への受診制限や自粛のため新型コロナウイルス感染症に伴い病院を受診する患者数が減少することにより、治験を実施するための患者登録が遅延したり、治験支援のための開発業務受託機関(CRO)などの病院への訪問機会が減少するなど、新型コロナウイルス感染症以外の疾患に対する治験の進捗が遅延することは避けられません。特に、医師主導治験を実施している医療機関でクラスターが発生する場合には臨床試験にも影響が出ます。現時点では、月経前の精神症状以外は健常な女性を対象とするPMS/PMDDの医師主導治験において、新型コロナウイルス感染症のために病院への受診率が低下しており、患者登録が遅延気味のために、実施医療機関数を増加したり、治験の案内や種々啓発活動など対応を講じています。
① 新たな治療モダリティへの展開
医薬品産業も、低分子医薬品を中心とした開発から、バイオ医薬品(抗体医薬、核酸医薬品、遺伝子治療、細胞治療へと、モダリティが大きく多様化しつつあります。更には近年の工学系や情報系技術の進歩により、情報・工学技術との融合による新たな医療の模索も進んでおり、欧米や国内の大手製薬企業では既に医薬品単体のビジネスから医療ソリューション全般にわたるビジネスへと転換を迎えており、学際研究領域での研究開発や新規事業開発が注目されています。これまでは、化学系や生物系が当社の研究の主体でしたが、今後工学系や情報系の研究にも視野を広げ、多彩で魅力ある研究と事業のポートフォリオを創生することが課題です。
② 人工知能(AI)研究の加速
ポストコロナ時代には、ウェットラボ(化学系、生物系)に加えて、ドライラボ(情報工学系)の研究、特に人工知能(AI)を活用した効率的な研究がライフサイエンス領域でも、間違いなく台頭することが予測されます。医師主導治験の患者選択、治験デザイン、データ解析などにもAIがますます活用されていくはずです。これまで当社の事業パートナーは、製薬企業が主でしたが、最近は、医工学機器企業、IT企業との研究及び事業開発連携にも注力しています。多彩な分野の企業との研究開発及び事業開発連携を行うことが魅力あるポートフォリオを創生する上で重要と考えます。
③ 医師主導治験の推進
当社は、医療現場のニーズを出発点として研究開発に着手し、医療現場で研究開発を展開することに軸足をおいて事業開発を行っております。優れた技術があっても、医療現場の課題やニーズに合致しなかったり、医療現場のスペックに不適切であるなどの理由から、医療応用(実用化)が難しい事例は多く、技術を有する多くの企業でもこの問題に直面しています。当社は、これまでに蓄積してきた多くの医師や医療機関とのネットワークから、多くの診療科更には複数診療科にわたる開発が可能で、開発領域も特定の疾患に偏っていません。当社の医薬品開発における開発パイプラインの多様性と21件に至る医師主導治験(多くの疾患・診療科・医療機関)の実績は、当社の有する医療機関とのネットワークと医療現場を重視する特徴の証です。当社には、医師主導治験の経験やノウハウが蓄積されていますが、更に加速することで事業価値を向上できると考えております。新型コロナウイルス感染症に伴い治験が遅延しないような取り組むことも重要な課題として認識しています。
④ 研究助成金の獲得
医薬品の研究開発、特に医師主導治験の実施には多額の開発費が必要であり、同時に少なからぬ開発リスクを伴います。当社では、大学等からの外部シーズを獲得し医師主導治験を活用しながらPOCまで成長させ、製薬企業等へライセンスアウトするビジネス・モデルを展開することを基本戦略としておりますので、多大な研究開発費を自社で負担する必要が生じます。これまで当社は、公的研究助成金を積極的に活用することで、これらリスクの高い医師主導治験に要する研究開発費の負担を補ってきました(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)における事業創出実用化研究開発事業、科学技術振興機構のA-STEP、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)等)。既存プロジェクトの導出が完了し、今後、新規プロジェクトの数と実施すべき医師主導治験の数が増加していくことからも、引き続き公的研究助成金を積極的に獲得し活用していくことが、当社の重要な経営課題であると認識しています。
⑤ 優秀な人材の獲得
当社が取り組む医療分野は、今後、国内外バイオ・製薬企業との競争が激化することが予想され、より一層の研究開発の加速と競合他社との差別化が必要になると考えます。そのため、創造的かつ独創的な研究活動を推進し、会社の経営を支える優秀な人材の獲得は、当社の重要な経営課題になっています。
⑥ 財務基盤の拡充
当社が今後とも、既存のパイプラインの開発を展開しながら、新モダリティ(低分子化合物以外の医薬品)を含む新規プロジェクトの導入と開発、更には人工知能(AI)を用いた医療ソリューション開発を安定的に継続していくためには、必要に応じてベンチャーキャピタル等の投資家や株式発行による資本市場からの資金調達を実施するなどして、財務基盤の充実と安定化を図っていくことが重要な課題と考えています。
当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。なお、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありません。
当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
また、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
当社は、研究の初期段階の探索的研究から第Ⅱ相臨床試験に至るまで、幅広い段階の医薬品開発の経験を有しておりますが、研究の初期段階から医薬品の製造販売の段階に至るまでには、数多くの課題・項目をクリアし、規制当局からの承認及び認可の取得を要し、薬事規制等の法的な規制にも対応していく必要があります。そのため、長期間に及ぶ研究開発体制を維持するために多額の資金を必要とします。また、新規の医薬品候補開発の市場は、国内外を問わないことから、資金力の豊富な国際的な製薬企業や、国内においても多くの企業・研究開発機関と競合しております。
当社の主たる事業は、医薬品候補物質の有効性及び安全性を評価するための初期段階の研究開発(探索的研究、非臨床試験、初期臨床試験等)をアカデミアや研究機関との共同研究及び医師主導治験などの創薬エコシステムを活用して行い、その後、製薬企業等に対して当社が有する医療機器・医薬品候補物質の開発製造販売に係る知的財産権の使用実施許諾(ライセンスアウト)を行い、当該製薬企業等からライセンス収入を得るものです。
ライセンス収入の形態は、ライセンス契約締結時に発生する契約一時金、開発進捗に伴って発生するマイルストーン収入(臨床試験の開始や終了時又は製造販売承認申請時等の予め定めた開発の節目(マイルストーン)毎に支払われる収入)、上市後において導出先である製薬会社が行う医薬品販売に対するロイヤリティ収入等があります。
ライセンス契約の締結は、製薬企業から、それまでの研究開発で得られた医薬品候補物質の有効性及び安全性、並びに予想される対象患者数や薬価、特許存続期間等の事業性に関して一定の評価を獲得する必要があります。従って、製薬企業から研究開発成果に対する評価が得られない可能性、研究開発の遅延により想定どおりのタイミングで評価されない可能性、想定どおりの評価が得られず、契約一時金をはじめ上記の各種収入を当社の想定する規模の金額で契約できない可能性、当社が想定するタイミングでライセンス契約を締結できない可能性又はライセンス契約に至らない可能性があります。
また、導出後も次の開発段階に進むために必要な臨床試験成績が得られない可能性、開発途中で競合新薬・医療機器の上市、疾病の治療法そのものの変化のほか、特許係争の発生等で事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断する場合は、開発スケジュールが遅延する可能性やライセンス契約解消に至る可能性があります。
更に上市に至った場合においても、薬価が当初の想定を大きく下回ることや、市場環境等の状況が当初の想定より悪化する可能性がありますが、このような場合には、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
マイルストーン収入及びロイヤリティ収入の発生については、導出先製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであることから、営業収益として計上されるまでに長期間を要する可能性があり、また、マイルストーンを達成できない場合、これらの営業収益が計上されない可能性があります。
更に契約一時金収入、マイルストーン収入は継続的な収入ではなく、創薬に係る一定の条件の達成等を前提として一時的に発生する収入であることから、当該収入の計上時期により、年度決算・四半期決算の売上高・利益等が非連続的に偏重する可能性、年度決算比較・四半期決算比較の売上高・利益等において大幅な変動・乖離が生じる可能性があります。
また、上記の収入の計上時期が想定から遅れた場合、決算短信で公表する業績予想が大幅に変更される可能性があります。
当該リスクへの対応については、パイプラインプロジェクトの数を増やすと共に、複数の医薬品・医療機器開発等経験者及びビジネスディベロプメント経験者を社内外に確保するよう努めております。また、研究開発の開始時から開発の体制・期間・資金、知財、薬事などロードマップを明確にして取り組んでいますが、特に出口の戦略を重視しています。研究開発の初期から導出候補企業と導出条件などを協議しながら、なるべく出口の方針が定まった後に開発を実施しています。さらに、自社シーズを、オープンリソースとして外部研究者に提供し研究いただくことで新たな医療用途を発見し、この中から科学性、医学性、経済性(事業性)の観点から取捨選択し医師主導治験に繋げることで、自社シーズの価値向上に努めています。
当社が開発している医薬品候補物質が上市に至るまでには、有効性及び安全性の評価に関する数多くの探索及び検証並びに規制当局からの承認が必要とされます。研究開発の各段階において、次の段階へ進むか否かの判断は、導出前であれば当社が、導出後であれば導出先製薬企業が行いますが、有効性及び安全性に良い評価が得られなかった場合、外部環境の変更等で事業性の喪失が懸念された場合などには、次の研究開発段階への進行が遅れる可能性、研究開発自体を中止・終了せざるを得ない状況になる可能性があります。
当社は、医薬品開発の不確実性を低減するために、試験の設計及び実施においては、外部の開発ターゲットの疾患領域に精通する医師(キー・オピニオン・リーダー)、非臨床試験・臨床試験・CMC(Chemistry, Manufacturing and Control:原薬及び製剤の開発)・薬事それぞれに精通する外部専門家(コンサルタント)及び規制当局との事前相談を通じた情報収集に基づき試験の立案と実施を行っております。
しかし、予めすべての要因を想定することは困難であり、研究開発中であれば研究開発の遅れや中止の可能性、製造販売承認申請後であれば国内外の規制当局から追加の臨床試験を求められ又は承認が得られないなどの事態が発生する可能性があります。
研究開発が遅れた場合や追加試験が必要となる場合には、計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となる可能性があり、また、その資金調達の実現自体にも不確実性があります。更に、ライセンス契約の存続期間は、特許権の存続・有効期間が終了するまでの期間とされることもあり、その場合ライセンス契約中にマイルストーンが達成できず、当初想定した投資回収額を回収できないリスクがあります。
研究開発を中止・終了せざるを得ない状況になった場合又は研究開発を終えて製造販売に関する承認申請を規制当局に行っても規制当局から承認されなかった場合には、当初想定していた投資回収額を回収できないリスクがあります。これらの事象が発生した場合、当社のような規模においては影響が大きく、当社の事業、業績や財務状況等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、試験の設計及び実施においては、外部の開発ターゲットの疾患領域に精通する医師、非臨床試験・臨床試験・CMC(Chemistry, Manufacturing and Control:原薬及び製剤の開発)・薬事それぞれに精通する外部専門家(コンサルタント)並びに規制当局との事前相談を通じた情報収集に基づき試験の立案と実施を行っております。
当社が携わる研究開発領域は、研究開発を実施する国ごとに薬事に係る法律、薬価制度及び医療保険制度並びにその他の関係法規・法令による規制が存在します。
非臨床試験においては、医薬品の安全性試験の実施に関する基準であるGLP(Good Laboratory Practice)、原薬等の治験薬の製造においては、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準ずる治験薬GMP、そして臨床試験においては、医薬品の臨床試験の実施に関する基準であるGCP(Good Clinical Practice)を確実に実施していることが研究開発上必須条件となっており、製造販売の段階においては、販売を行う各国で定められている薬事関連法規・法令に従った承認・認可・許可を得る必要があります。
当社の事業計画・研究開発計画は、現行の薬事関連法規・法令や規制当局の承認・認可の基準を遵守した治験実施計画を基に作成しておりますが、これらの法律・法令及び基準は技術の発展、市場の動向などにより適宜改定されます。
医薬品等の開発・販売等事業は、年単位の長期間にわたる事業であり、その間にこれらの法律・法令・基準等が大きく改定される可能性、これら法令等が変更される可能性があります。これにより既存の研究開発の体制(組織的な体制、製造方法、開発手法、臨床試験の進め方、追加試験を行う必要性の発生など)の変更が必要となる場合、その体制の変更に速やかに対処できず研究開発が遅延・中止となるリスク、人員確保や設備投資に計画外の追加資金の確保が必要となるリスク等があり、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、治験の実施や計画立案の前に、可能な限り医薬品医療機器総合機構(PMDA)などの事前相談を活用して、適切な助言を受けるよう心がけています。
当社が携わる研究開発領域は、急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入する可能性があります。
競合他社の有する医薬品候補物質の研究開発が当社の有する医薬品候補物質と同じ疾患領域で先行した場合、当社の事業の優位性は低下する可能性があります。競合他社による新薬の登場により当社の臨床試験において被験者の登録が停滞し臨床試験が遅延する可能性、目標被験者数に届かず臨床試験が中止となる可能性があります。また、この場合、当社事業において想定以上の資金が必要となる可能性があり、当社の事業戦略や経営成績等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
更に、競合する新薬の開発が先行し又は競合新薬が上市されたことにより、当社の医薬品候補物質の事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断する場合は、開発スケジュールが遅延する可能性や、ライセンス契約解消に至る可能性があります。上市に至った場合においても、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を販売した場合など、期待された売上が達成できず、想定したロイヤリティが得られない等により、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、①パイプラインプロジェクトを増やし、リスクの軽減を図り、②プロジェクト毎の開発計画を戦略的に策定し、経営会議などで計画を審議することで競合の少ない適応症獲得を図るように努めております。
新型コロナウイルス感染症に伴い病院を受診する患者数が減少することにより、治験を実施するための患者登録が遅延し、治験支援のためのCROなどの病院への訪問機会が減少するなど、臨床開発の制限や遅延の可能性があります。
当該リスクへの対応ですが、当社は企業治験ではなく主に医師主導治験を主に実施しており、医師自らが治験を実施し、治験実施医療機関は医師が所属する大学等の公的医療機関が主です。治験の調整(治験調整事務局)は、医薬品受託会社(contract research organization: CRO)などの外部機関ではなく、治験実施医師が所属する大学等の内部機関であるAcademic research organization (ARO)を活用します。さらに、治験全般業務を支援する人材も、大学等の公的医療機関に所属する治験コーディネーター(Clinical research coordinator, CRC)が活用できる場合は、外部期間の治験実施機関(Site management organization, SMO)ではなくCRCを主体に治験を実施します。このように、医療機関の内部組織を活用することで、新型コロナウイルス感染症に伴う病院への訪問機会の減少に対応しています。治験調整医師(治験の代表医師)が主体となってリモート会議を行い、治験責任医師(各医療機関の責任医師)と蜜に進捗管理を行っています。患者登録の治験が見込まれる場合は、治験実施施設数を増加するなど適切な対応を講じて頂きます。
当社は、取締役6名(非常勤取締役3名を含む。)、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員5名及び臨時雇用者4名の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
また、当社の事業活動は、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、優秀な人材の育成に努めておりますが、人員確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、①経営理念、経営戦略を随時社内に浸透させ、やりがいのある会社風土を醸成し、②HP改修、公的資金の獲得等による知名度向上により新規採用を図るように努めております。
当社はこれまで、創業者であり、多くの社有特許の発明者でもある国立大学法人東北大学大学院医学系研究科の宮田敏男教授(現 当社取締役会長)を中心として、基礎研究をはじめとする事業を推進してまいりました(宮田敏男教授は、PAI-1阻害薬物質特許、用途特許及び用法用量特許、並びにピリドキサミン用途特許及び物質特許の発明者)。当社設立の発端は、同氏の研究成果の事業化を目的とするものであり、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えております。
当社は、今後も取締役会長としての同氏の会社経営の執行が必要不可欠であると考えており、何らかの理由により同氏の会社経営の執行が困難となった場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、情報管理について、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱要領、特定個人情報取扱要領、情報セキュリティ・マニュアルに沿って情報セキュリティ管理担当取締役である管理管掌取締役が中心となって運用を行っておりますが、当社の研究又は開発途上の治験、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクを低減するため、当社は役職員、取引先との間で、守秘義務契約等を定めた契約を締結しております。また、重要な機密情報を含む社内クラウドサーバーへは必要最低限の役職員のみしかアクセス出来ない様にするなど、厳重な情報管理に努めております。
しかし、役職員、取引先等により、これらが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏えいする可能性があり、このような場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。
当社は研究開発活動において様々な特許等の知的財産権を保有しております。しかし、当社の研究開発を超える優れた研究開発が他社によってなされた場合や、当社の出願した特許申請が成立しないような場合にも、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、①競合品の開発状況を随時把握し、プロジェクトの優先順位付けを行い、②パイプラインを増やし、リスクの軽減を図るように努めております。
当事業年度末において、当社の事業に関連した特許等の知的財産権に関して、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。当社は現在、早期の特許出願を優先する方針をとっており、特許出願後において事業展開上の重要性等を考慮しつつ必要な調査等の対応を実施しておりますので、本書提出日現時点においては他社が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。もとより、当社のような研究開発型企業において、この様な知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
今後において、当社が第三者との間で法的紛争に巻き込まれた場合には、弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を講じていく方針でありますが、法的紛争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合当社の事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、顧問弁護士の2事務所と連携し訴訟及びクレーム等に迅速に対応する体制としております。
2005年4月1日に施行された特許法の法改正に伴い、職務発明の取扱いにおいて、労使間の協議による納得性、基準の明示性、当事者の運用の納得性が重視されることとなりました。これを受けて、当社では経営陣と研究開発部門とが協議の上、発明考案取扱規程を作成し運用しております。しかし、将来係る対価の相当性につき紛争が発生した場合には、当社の事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の外部委託先である製造施設等において、技術的・規制上の問題若しくは自然災害・火災などの要因により生産活動の停滞・遅滞若しくは操業停止などが起こった場合、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応については、現在、当社のパイプラインは低分子化合物であり製造施設は容易に代替可能であり、原薬及び治験薬製剤製造委託候補施設を複数確保するように努めております。
当社は研究開発型企業であり、ロイヤリティ収入が得られるようになるまでは営業収益が安定せず多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第18期(2017年3月期)から第22期(2021年3月期)まで連続して当期純損失を計上したことにより、第22期末においてマイナスの繰越利益剰余金を計上しております。
当社は、将来の利益拡大を目指しておりますが、将来において計画どおりに当期純利益を計上できない可能性があります。また、当社の事業が計画どおりに進展せず当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。
当社は、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や積極的な創薬研究等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが生じております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資等の資金需要の増加が予想され、収益確保又は資金調達、資金繰りの状況によっては、当社の事業活動等に重大な影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応については、営業キャッシュ・フローの早期黒字化に加え、金融機関との取引実績を積み重ねること等により、安定した資金調達を行えるようにします。
本書提出日現在において、当社は税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移する結果、繰越欠損金が解消され課税所得控除が受けられなくなった場合、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益及びキャッシュ・フローの計画に与える可能性があります。
当社は、海外企業とライセンス契約を締結しており、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社においては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、想定以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社の業績はその影響を受ける可能性があります。
今回、当社が実施する公募増資資金の使途については、主に研究開発費に充当する計画であります。しかしながら、資金需要の発生時期及びその規模については大幅に変更される可能性があり、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。調達資金の使途を変更した場合には直ちに開示する予定です。
当社の取締役会長である宮田敏男及び二親等内の親族の議決権所有割合は、本書提出日現在で68.50%です。同株主等は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針です。やむを得ない事情により、大株主である同株主等の持分比率が低下する場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在における当社の発行済株式のうち、ベンチャーキャピタル(VC)が組成した投資事業有限責任組合が所有している株式の所有割合は30.2%であります。一般に、VCが未公開株式に投資を行う目的は、株式上場後の当該株式を売約してキャピタルゲインを得ることであり、VCは当社の株式上場後に、それまで保有していた株式の一部又は全部を売却することが想定されます。なお、当該株式売却によっては、短期的な需給バランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
当社の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)及び研究開発活動の概要は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。年度後半にかけては、世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS / PMDD やRS8001自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なからず影響を与えております。
このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けるべく事業活動を行っております。
当事業年度における事業収益は、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金収入の受取りに加え、RS8001PMS/PMDD及びRS5614COVID-19に係るオプション料の受取りなどによる収益計上により、209,802千円(前事業年度は72,014千円)、営業損失は、当社主要パイプライン(RS8001PMS/PMDD、RS8001自閉症、RS5614COVID-19など)の開発費用を81,434千円計上したことなどにより、86,125千円(前事業年度は183,132千円の損失)、経常損失は、支払利息を7,504千円計上したことなどにより、90,728千円(前事業年度は183,802千円の損失)、当期純損失は100,054千円(前事業年度は184,095千円の損失)となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)とそれに伴う各国政府の「緊急事態宣言」発令等が影響し、世界的な経済活動の停滞と移動制限等により、景気は厳しい状況となっております。当第1四半期累計期間においても世界的に新型コロナウイルスの感染が再度拡大し、国内外の経済を下振れさせるリスクが意識されております。
医薬品業界におきましては、患者の受診抑制、顧客への訪問自粛等で販売営業活動に支障が出たほか、移動制限等に伴う、国内出張の自粛、海外渡航の実質的禁止、臨床試験施設の閉鎖により、事業開発活動が遅滞する例が散見されました。このような業界の動向は、創薬研究事業を営む当社が行っているRS8001PMS / PMDD やRS8001自閉症に係る医師主導治験の進捗や販売(ライセンス)活動におきましても治験等の進捗が遅れるなど、少なからず影響を与えております。
このような環境下において、当社は、医療現場の課題を解決するための多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)を、医師と共に医療現場で研究開発し、医療イノベーション創出に貢献し続けるべく事業活動を行っております。
当第1四半期累計期間における事業収益は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金を受領したこと及びRS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことにより31,061千円、営業損失は、RS8001PMS/PMDDやRS5614COVID-19などの研究開発費を5,848千円計上したことなどにより29,937千円、経常損失は、支払利息及び株式交付費を2,881千円計上したことなどにより32,818千円、四半期純損失は32,890千円となりました。
なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末の987,716千円と比べて54,928千円増加し、1,042,644千円となりました。これは主として、現金及び預金が44,675千円増加したこと等によるものです。
また、当事業年度末における固定資産は23,988千円となりました。
この結果、資産合計は前事業年度末の1,012,646千円と比べて53,985千円増加し、1,066,632千円となりました。
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末の11,059千円と比べて18,390千円増加し、29,449千円となりました。これは主として治験の実施に伴うCROへの未払金が22,059千円増加したこと等によるものです。
また、当事業年度末における固定負債は、前事業年度末の380,000千円と比べて95,650千円増加し、475,650千円となりました。これは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構からのCiCLE事業に伴う長期借入金が95,650千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は前事業年度末の391,059千円と比べて114,039千円増加し、505,099千円となりました。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末の621,587千円と比べて60,054千円減少し、561,533千円となりました。これは、新株の発行により純資産が40,000千円増加したものの、当期純損失100,054千円を計上したことによるものです。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末の1,042,644千円と比べて190,936千円増加し、1,233,580千円となりました。これは主として、第三者割当による新株発行などにより、現金及び預金が177,672千円増加したことなどによるものです。
また、当第1四半期会計期間末の固定資産は、23,040千円となりました。
この結果、資産合計は、前事業年度末の1,066,632千円と比べて189,989千円増加し、1,256,621千円となりました。
当第1四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末の29,449千円と比べて17,120千円減少し、12,328千円となりました。これは主として、治験実施に伴うCRO費用に係る未払金を決済したことなどにより、未払金が17,202千円減少したことなどによるものです。
また、当第1四半期会計期間末の固定負債は475,650千円となり、前事業年度末と同額となりました。
この結果、負債合計は、前事業年度末の505,099千円と比べて17,120千円減少し、487,978千円となりました。
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末の561,533千円と比べて207,109千円増加し、768,642千円となりました。これは、第三者割当による新株発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ120,000千円増加したことなどによるものです。
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、644,944千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動に使用した資金は、前事業年度に比べ89,058千円減少し89,255千円(前事業年度は178,313千円の支出)となりました。これは主な減少要因として、税引前当期純損失が前事業年度に比べ84,045千円減少し99,757千円計上(前事業年度183,802千円)したこと及び当事業年度にて治験の実施に伴うCROへの未払金が増えたことにより未払金の増減額が17,744千円増加し22,058千円(前年同期は4,314千円)となった一方で、増加要因として利息の支払額が前事業年度に比べ6,209千円増加したことや当事業年度に特別退職金の支払額を9,000千円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動に使用した資金は、前事業年度に比べ378,978千円減少し1,719千円(前事業年度の380,697千円の支出)となりました。これは主な減少要因として、前事業年度には国立研究開発法人日本医療研究開発機構への担保差し入れのための定期預金の預け入れにより380,697千円の支出がありましたが、当事業年度はリモートワークに備えPCを購入したこと等により有形固定資産の取得による支出を1,010千円計上したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果得られた資金は、前事業年度に比べ244,350千円減少し135,650千円(前事業年度の380,000千円の収入)となりました。これは、前事業年度には株式会社七十七銀行からの長期借入れによる収入380,000千円がありましたが、当事業年度は国立研究開発法人日本医療研究開発機構からのCiCLE事業に伴う長期借入れによる収入95,650千円及び医薬品の研究開発に係る研究費等を調達することを目的として株式の発行による収入を40,000千円計上したことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は研究開発を主体としており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は研究開発を主体としており受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社の事業セグメントは医薬品等の開発・販売等事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。第22期事業年度及び第23期第1四半期累計期間における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.最近2事業年度及び第23期第1四半期累計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.第21期事業年度の国立大学法人東北大学、Baxter Healthcare Corporation及びニプロ株式会社、第22期事業年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構及びニプロ株式会社、第23期第1四半期累計期間のあすか製薬株式会社、国立研究開発法人日本医療研究開発機構及び国立大学法人東北大学については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
財政状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の概況」に記載のとおりであります。
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、209,802千円(前事業年度72,014千円)となりました。前事業年度からの増加の主な要因は前事業年度にはなかったRS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金(132,530千円)が計上されたことに加え、RS8001PMS/PMDD及びRS5614COVID-19に係るオプション料の受取りなどによる収益計上によるものであります。
(事業原価、売上総利益)
当事業年度の事業原価は、29,977千円(前事業年度20,000千円)となりました。これは、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡に係る契約一時金(132,530千円)に伴う他社へのレベニューシェアの支払い等により前事業年度よりも増加しております。
この結果、当事業年度の売上総利益は、179,825千円(前事業年度52,014千円)となりました。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業費用は、265,950千円(前事業年度235,147千円)となりました。主な要因は自閉スペクトラム症第Ⅱ相医師主導治験等のため国立大学法人東北大学に共同研究費を拠出したこと等により研究開発費が前事業年度に比べ55,430千円の増加した一方、従業員数の減少により給料手当が16,670千円減少したことによるものであります。
この結果、当事業年度の営業損失は86,125千円(前事業年度183,132千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、2,901千円(前事業年度33千円)となりました。主な要因は契約一時金に係る為替差益1,100千円及びリモートワーク補助金収入を1,735千円計上したことによるものであります。
当事業年度の営業外費用は、7,504千円(前事業年度703千円)となりました。主な要因は長期借入金にともなう支払利息7,504千円を計上したことによるものであります。
この結果、当事業年度の経常損失は90,728千円(前事業年度183,802千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当事業年度の特別利益はありません。
当事業年度の特別損失は、9,028千円(前事業年度は計上なし)となりました。主な要因は特別退職金9,000千円を計上したことによるものであります。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、100,054千円(前事業年度184,095千円)となりました。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
(事業収益)
当第1四半期累計期間の事業収益は、RSAI02慢性透析システム支援における契約一時金を受領したこと及び、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことにより31,061千円となりました。
(事業原価、売上総利益)
当第1四半期累計期間の事業原価は、RS9001ディスポーザブル極細内視鏡におけるマイルストーン収入を計上したことに伴う他社へのレベニューシェアの支払いにより2,000千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の売上総利益は、29,061千円となりました。
(事業費用、営業損失)
当第1四半期累計期間の事業費用は、RS8001PMS/PMDDやRS5614COVID-19などの研究開発費を5,848千円計上したことなどにより58,998千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の営業損失は29,937千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当第1四半期累計期間の営業外収益はありません。
当第1四半期累計期間の営業外費用は、長期借入金380,000千円に対する支払利息1,871千円及び2021年4月6日を払込期日とする第三者割当増資による株式交付費1,010千円により2,881千円となりました。
この結果、当第1四半期累計期間の経常損失は32,818千円となりました。
(特別利益、特別損失、四半期純損失)
当第1四半期累計期間の特別利益及び特別損失はありません。
これらの結果を受け、当第1四半期累計期間の四半期純損失は32,890千円となりました。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費並びに係る販売費及び一般管理費等の事業用費用について資金需要を有しております。当社は、主に公的機関の研究開発助成金や第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当してまいりましたが、現下では、金融機関の当座貸越枠を確保するなどしており流動性に支障はないものと考えております。中長期眼では、次世代の医療ソリューション開発を掲げ一層の事業拡大や係る投資を想定しており、新規上場に伴う第三者割当増資などによる財務基盤の増強が必要であると認識しております。
なお、現状の現金水準については、上記当座貸越枠も確保していることから、当面の事業には問題のない水準であります。
経営成績に重要な影響を及ぼす要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。
③ 委託研究に関する契約
当社は医薬品等の開発・販売等事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの研究開発活動の概要は記載しておりません。
第22期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度における当社が支出した研究開発費の金額は
なお、当事業年度末日の当社研究開発従事者人員は6名(臨時雇用者を含む)です。
第23期第1四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期累計期間における当社が支出した研究開発費の金額は
なお、当第1四半期累計期間末日の当社研究開発従事者人員は3名(臨時雇用者を含む)です。
(研究開発活動)
当社は、医薬品・医療機器開発の複数のパイプラインを有しており、医師主導治験などを活用して開発を進めています。
最近事業年度等の主要なパイプライン進捗概要は以下のとおりです。
PAI-1阻害薬RS5614の:慢性骨髄性白血病に対する後期第Ⅱ相試験医師主導治験を終了し、安全性と有効性を確認POCを取得することが出来しました。また、新型コロナウイルス感染症(RS5614のCOVID-19)肺炎に伴うARDSに対する国内での前期第Ⅱ相医師主導治験試験を終了し安全性を確認した後に後期第Ⅱ相医師主導治験試験を開始しました。米国とトルコにおいてもCOVID-19に伴うARDSの第Ⅱ相医師主導治験試験を実施開始していました。さらに、メラノーマに対する第Ⅱ相医師主導治験を開始しました。RS5614の新型コロナウイルス肺炎及びその他肺傷害等の呼吸器疾患治療薬のライセンスに関する優先交渉権を第一三共株式会社に許諾し、契約一時金を受領しました。また、RS5614のメラノーマは第Ⅱ相医師主導治験を実施しています。
ピリドキサミンRS8001は、:自閉スペクトラム症に対する第Ⅱ相医師主導治験試験を終了し、本薬剤の有効性を適切に評価するために検討すべき課題が明らかになりました。また、統合失調症は後期第Ⅱ相試験企業治験のデータ解析を進めています。さらに、月経前症候群及び月経前不快気分障害治療薬に対する第Ⅱ相医師主導治験を開始し、あすか製薬株式会社からオプション契約に基づくマイルストーンを受領しました。
RS9001(ディスポーザブル内視鏡)に関する:ライセンス契約を米国バクスター社と締結し、現在同社により承認申請の準備を進めています。それに応じて、バクスター社から契約一時金及びマイルストーンを受領しました。
人工知能を活用した医療ソリューション開発については、:RSAI01(呼吸機能検査診断システム)に関するライセンス契約をチェスト株式会社と締結し契約一時金を受領しました、また、RSAI02(慢性透析システム支援)はニプロ株式会社と共同研究契約を締結し契約一時金を受領しました。
最近事業年度等における各パイプラインの開発状況の詳細は以下のとおりです。
a.RS5614(PAI-1阻害薬)
(a) 慢性骨髄性白血病(CML)治療薬
前期第Ⅱ相試験で得られたCML患者でのRS5614の有効性を確認するために、総投与期間が48週間の後期第Ⅱ相試験を東北大学、秋田大学、東海大学において医師主導治験として実施しました(治験開始は2019年9月開始で、治験終了日は2020年12月)。
計画どおり後期第Ⅱ相試験を終了し(2021年3月治験総括報告書を作成)、POCを取得しました。RS5614 180mg/日、48週間のTKIとの併用投与は、既存治療に比べてTreatment free remission (TFR)の達成率を著しく高める有効かつ安全な治療法であることが実証されました。TKI長期使用の重篤な副作用を減じて患者のQOLを維持できること、医療経済的な観点からもメリットの高い治療法を提供できると考えます。
2021年4月厚生労働省(審査管理課)と先駆的医薬品指定制度についての事前相談、2021年5月(条件付承認品目該当性相談)及び2021年6月(医薬品第Ⅱ相試験終了後相談)のPMDAの事前相談など、第Ⅲ相医師主導治験を含めた今後の開発ロードマップ策定の準備を開始いたしました。
(b) COVID-19に伴うARDS治療薬
RS5614の肺微小血栓、線維化、肺気腫改善作用及び肺(上皮)保護作用を基に、2020年から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う肺傷害、呼吸不全での前期第Ⅱ相医師主導治験を東北大学、京都大学、東海大学、東海大学大磯病院、東海大学八王子病院、東京医科歯科大学、神戸市民医療センター中央市民病院の多施設共同、単群、非盲検試験で実施しました。
本試験準備の為、PMDA事前面談を2020年4月に実施しました。事前面談に基づき実施計画書を確定し、その後各施設でのIRB審査を実施し、2020年7月にPMDAから治験届が受理されました。
当該試験については、AMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究代表機関は東北大学、当社は分担研究機関)」に応募し、同年7月に採択されましたので、公的資金での治験実施が可能となりました。当社は、治療薬の製造と提供など業務を分担しました。
本研究は、定性的な主要評価項目のために有効性評価はできませんが、治験薬との因果関係で可能性ありの重篤な有害事象はないことから、RS5614 180mg/日までのCOVID-19肺炎患者での安全性は確認できたと考えます。なお、6月に治験総括報告書を完成しました。
現在、プラセボ対照後期第Ⅱ相試験(医師主導治験)を実施中です。2021年3月にはAMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究代表機関は東北大学、当社は分担研究機関)」に採択され、PMDA事前面談を2021年4月に実施しました。事前面談に基づき実施計画書を確定し、その後各施設でのIRB審査を5~6月で実施し、2021年6月から治験を開始しました(2022年3月終了、6月には治験総括報告書が完成予定)。登録患者数100名を見込む医師主導治験であり、国内20の医療機関の多施設共同、プラセボ対照試験となります。また、2021年度春の調整費にも採択され、治験予算が追加されました。
尚、海外においては、米国ではノースウェスタン大学、欧州(トルコ)ではメデニエット大学で、類似のプロトコールでそれぞれ第Ⅱ相医師主導治験を実施しています。米国においてはCOVID-19患者を対象として2週間の投与を行う単盲検試験計画で2020年7月にFDAの承認を受け、2020年12月から開始しています(ClinicalTrials.gov:NCT04634799)。トルコにおいては2020年6月トルコ保健省の許可を受け、5例での非盲検試験を2021年1月に終了し(安全性には特に問題がないことを確認)、現在、二重盲検試験を実施する準備を進めています。
2020年12月、RS5614の新型コロナウイルス肺炎及びその他肺傷害等の呼吸器疾患治療薬の全世界を対象とした開発及び商業化の独占的実施許諾(ライセンス)に関する優先交渉権を第一三共株式会社に供与し、当社は2020年12月に契約一時金を受領しています。
(c) 悪性黒色腫(メラノーマ)治療薬
PAI-1阻害薬RS5614が、免疫チェックポイント分子を制御し免疫系を活性化する作用に基づき、メラノーマ治療薬の有効性と安全性を確認するための第Ⅱ相試験を実施します。2020年4月にPMDAの事前面談、2020年7月対面助言(戦P454)を実施し、PMDAの助言などに基づき実施計画書を作成しました。2020年12月に東北大学のIRBにおいて実施計画書の承認を受けました。
進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者40例を対象とした非盲検試験で、ニボルマブ併用のもと、RS5614を1日1回120mgで投与を開始し(安全性に問題がなければ医師の判断で180mgに増量可能)、8週間投与後に、有効性(RECIST評価による奏効率)と安全性の評価を実施します。なお、本プログラムは、2021年5月にAMED「橋渡し研究プログラム」シーズCに採択され、AMEDの助成金を得て2021年7月から実施しています。
(d) 抗がん剤による間質性肺炎の予防・治療
RS5614が肺線維症、間質性肺炎を改善する非臨床試験成績に基づき、抗がん剤の副作用である間質性肺炎をRS5614が予防できるかどうかを京都大学と共同で研究します。2021年2月より京都大学と共同研究契約の協議を進めております。非臨床試験成績の結果で、RS5614の有効性を確認できれば、医師主導治験での臨床開発に進める予定です。
(e) RS5441(PAI-1阻害薬)脱毛症治療薬
2016年にRS5441の皮膚科適応症の開発商業化権を導出した米国Eirion Therapeutics, Inc.(エイリオン社)では男性型脱毛症での第Ⅰ相試験を米国で準備中です。2021年3月エイリオン社はRS5441を含む複数の製品の中国における開発商業化権を、中国Shanghai Haohai Biological Technology社(以下Haohai社)に許諾し、Haohai社から31百万ドルの投資契約を締結しました。この資金調達によりエイリオン社の研究開発が加速化されると期待します。
(f) RS5614(治験薬の製造)
米沢浜理薬品工業で、グローバルに使用できるRS5614原薬のGMP品26.2㎏を委託合成し、それを用いて佐藤薬品工業でTM5614(60㎎)錠を14万錠強、9錠入りピロー包装を15,000袋製造しました。併せて、同数のプラセボ錠(ピロー包装)も製造しました。浜理薬品工業柴島工場で国内用治験薬原薬のGMP品3㎏を委託製造しました。
b.RS8001(ピリドキサミン)
(a) RS8001(自閉スペクトラム症治療薬)
自閉スペクトラム症患者に対するピリドキサミンの有効性及び安全性を探索的に評価し、適切な対象患者集団や用法用量、評価指標を決定することを目的として、易刺激性を有する自閉スペクトラム症患者を対象として、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施しました。RS8001あるいはプラセボを朝食後及び夕食後1日2回8週間経口投与することとし、RS8001投与量は12-19歳で800mg/day、1,200mg/day、20歳以上で1,200mg/day、2,000mg/dayです。
有効性評価項目としては、主要評価項目は異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)興奮性サブスケールスコアのベースラインからの変化量を、副次評価項目はABC-J総スコア、その他サブスケールスコア、感覚プロファイル(複数の感覚領域の過敏さや鈍感さに対しての包括的な評価)を検討しています。
2018年9月に最初の患者の組み入れが開始され、東北大学、大阪市立総合医療センター、宮城県立こども病院、弘前大学、国府台病院、国立成育医療研究センター、国立精神・神経医療センター、山形大学、自治医科大学、神戸大学、瀬川記念クリニック、函館中央病院、福井大学の13医療機関の多施設共同治験として実施しました。新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、対象である小児の病院受診が控えられたために、治験調整医師を中心に毎月1度の治験推進会議を開催し、ポスターや患者用パンフレットなどの促進策を併せて実施し、約2年間で70例以上の症例を組み入れ、2020年11月に治験を終了しました。2021年3月に症例検討会を実施し開鍵しました。
主要評価項目の「最終評価時点のABC-J興奮性サブスケールスコア平均変化量」において実薬高用量群が最も改善していましたが、用量反応関係ならびにプラセボ群と統計的な有意差は確認できませんでした。また、安全性に大きな問題がなく、忍容性が良好であることが示されました。
2021年6月に治験総括報告書を完成しました。本薬剤の有効性を適切に評価するためには、対象患者の選定、プラセボ効果を減少する治験計画(当社が、PMS/PMDD治療薬の医師主導治験で実施しているプラセボリードイン方式の採用)など、検討すべき課題が明らかになりました。
(b) RS8001(月経前症候群(PMS)及び月経前不快気分障害(PMDD)治療薬)
2019年度にAMEDのCiCLEに採択され、近畿大学、東北大学、東京医科歯科大学、東京女子医科大学で第II相医師主導治験を進めています。2020年度は、①第Ⅱ相試験(医師主導治験)計画(案)の作成(2020年3月治験実施計画書(骨子)、同年7月同意説明文書案)、②PMDAレギュラトリーサイエンス(RS)戦略相談(2020年4月対面助言(戦P440)相談記録)、③治験体制構築(治験調整事務局(株式会社CTD)、CRO契約(株式会社アクセライズ)、各実施施設での治験審査委員会(IRB)、治験計画届(10月、変更届12月)、④治験薬(製剤)の製造(12月検収)を実施しました(これらは全てAMEDのCiCLEの2021年6月の中間評価の達成すべきマイルストーンに相当)。
当初の予定である2021年2月より早い、2020年11月から治験を開始できましたが、コロナ禍の影響による患者の来院の減少が考えられましたので、2021年2月に治験調整事務局の主催で、症例登録促進のための対策会議(Web会議)を開催しました。症例登録促進のための対策として、1)実施施設の追加、2)広告・啓発活動、3)ボランティアパネルの利用等が議論されました。2021年度前半の取り組みとして、①早川クリニックを実施施設として追加し、②広告・啓発活動に取り組むこととしました。また、広告・啓発活動の一環として、院内ポスターや啓発用の冊子も作成しました。さらに、NPO法人Healthy Aging Projects for Women(HAP)主催で治験調整医師による薬剤師対象Webセミナーが2021年3月に実施されました。今後とも、NPOと協賛した疾患啓発のための治験責任医師等による公開講座なども開催する予定です。
2021年5月にAMED評価委員会で上記マイルストーン達成状況及び今後の取進めについて報告をしました。
2019年12月、RS8001のPMS/PMDD治療薬の日本における開発及び商業化の独占的実施許諾(ライセンス)に関する優先交渉権をあすか製薬株式会社に供与し、当社は2019年12月に契約一時金を、2020年12月にマイルストーンの対価を受領しています。
(c) RS8001(統合失調症治療薬)
導出先の興和株式会社による統合失調症後期第Ⅱ相試験(プラセボ対照二重盲検試験)が2020年度終了しました。主要評価項目であるPANSS陰性症状尺度の総スコアではプラセボ群と実薬群で明確な差は無く、興和株式会社では今後の開発を行わない方針です。当社は、興和のご協力を得て開示いただいた資料を精査した上で、当該疾患領域の専門家とも協議し、今後の開発方針を検討しています。
(d) RS8001(更年期障害)
本プロジェクトでは、更年期障害の2大症状(ホットフラッシュとうつ)の治療薬としてRS8001の臨床研究を東京医科歯科大学との共同研究として実施予定です。40例(実薬20例、プラセボ20例)の医師主導での臨床研究で、2021年12月を目途に開始する予定です。現在、共同研究契約及びIRBの準備を進めています。
(e) RS8001(治験薬の製造)
佐藤薬品工業への製造委託で、RS8001 300mgを含むカプセルを5万個、それと識別不能なRS8001 240mgを含むカプセルを5万個、更にプラセボのカプセルを10万個製造しました。それらを用いて、PMDsの医師主導治験用に個装箱が作成され、CROのアクセライズによってランダム割付が実施されました。
c.RS9001(ディスポーザブル極細内視鏡)
非侵襲的に腹腔内を観察する極細内視鏡を東北大学と共同開発しています。順天堂大学、東京慈恵会医科大学で実施した医師主導治験の成果等を基に、2020年5月に大手医薬品及び医療機器会社であり腹膜透析医療におけるリーディングカンパニーであるバクスター社と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結し、契約一時金を受領しました。
バクスター社とガイドカテーテル製造業者の交渉が遅延していることから、まずは、メインフレームであるファイバースコープのみ(付属品であるガイドカテーテル抜き)で承認申請することをバクスター社と合意し、2021年3月にPMDAからその方針で進めて良いことをご確認いただきました。現時点では、2021年度中に薬事承認申請の提出を目指しています。
2021年6月、ファイバースコープ製造業者とバクスター社が供給契約を締結したことに伴いマイルストーン支払いを受領しました。2022年にはPMDAへ「医療機器の一部変更に伴う軽微変更手続き」で申請を提出し、可能な限り早いタイミングでの承認及び保険償還を目指します。
d.人工知能(AI)を活用した医療ソリューションの開発
当社は、1)医療ニーズの把握と医療現場での開発を重視する視点、2)多くの医師や診療科とのネットワーク、3)医薬品や医療機器の医師主導治験で蓄積された経験やノウハウを基に、医師と医療機関、AI技術を有するITベンダー、出口の製薬・ヘルステック企業間を結ぶハブとなり、実地臨床に役立てられる本格的な医療ソリューション(診断、治療)の開発に取り組んでいます。現在、呼吸機能検査診断、透析医療支援システム、糖尿病治療支援システム、発音・発語及び嚥下機能診断、小児発達障害(識字障害)音読診断の5つの開発パイプラインを有しています。
(a) RSAI01(呼吸機能検査診断システム)
スパイロメトリーの検査結果(フローボリューム曲線)から呼吸器機能や疾患を診断するAIアルゴリズムの開発に着手しました(京都大学、NECソリューションイノベータとの共同研究)。2020年7月にスパイロメトリーのリーディングカンパニーであるチェスト株式会社と共同開発及び事業化に関する契約を締結し、契約一時金を受領しました。同年11月には京都大学倫理審査委員会より承認を受け、同年12月よりデータの移管を開始しました。2021年7月に、京都大学から移管された初期データ(患者300名、健常人200名)に基づき分析した結果が得られましたが、予想以上の成績(疾患の診断率70-90%)が得られており、今後データ数(患者症例数1,000名)と質を改善することでさらに精度は向上することが期待できます。
(b) RSAI02(慢性透析システム支援)
血液透析中に発生する急激な血圧低下の予測を目指し2020年2月から研究を開始(東北大学、東京大学、聖路加国際大学、透析医療機関、NECとの共同研究)。同年6月には少数例での検証によりAI応用の可能性を確認。同年11月にはおよそ10倍のデータで検証。更なる分析精度向上のため、2021年3月には11万件以上の透析データで予測システムの開発。検証結果から研究の第一段階終了を確認しました。現在、医療データ数を300,000透析治療に増加することを目標として、データ移管作業を進めております。また、これまでの医療データは1年間の透析記録を基に予測装置を開発しておりましたが、より長期間の透析データを用いることで、バリエーション豊かな医療データとなり、予測装置に対して良い効果をもたらすと仮定し検討を進めております。さらに、個別患者での強化学習を可能とする分析エンジンを改良することで、予測精度をさらに向上させる予定です。
2021年5月にグローバルな血液透析医療機器メーカーであるニプロ株式会社と共同研究契約を締結しました。
(c) RSAI03(糖尿病治療支援システム)
糖尿病患者診療データから糖尿病専門医の患者ごとに異なる最適なインスリン投与量を予想できるアルゴリズム開発を目指し、2020年4月から東北大学及びNECと共同研究を開始。同年6月には倫理審査委員会にて承認を得てデータの移管を開始。10月に少数例での検証、2021年3月には患者症例数を増加し(350名)、分析エンジンを改良した結果、インスリン投与量数単位の誤差内で予測できるAIアルゴリズムが開発できています。今後、データ数(患者症例数1,000名)と質の改善、AIアルゴリズムの改良を図ることで、さらに精度は向上することが期待できます。
(d) RSAI04(発音・発語及び嚥下機能診断)
高齢者の誤嚥性肺炎は医療経済的にも大きな問題であり、その予備軍に対して嚥下機能の早期診断が必要と考え、2021年1月から東北大学の複数診療科(耳鼻咽喉科、歯科、医工学部リハビリテーション科)及びNECと共同研究を開始。患者の話す音の全周波数を抽出、AIで分解・解析することで、健常者の発音による周波数と患者の発音の周波数の違いを抽出し、嚥下機能を評価するためのAIエンジンも決定しました。2021年5月に東北大学倫理審査委員会の承認を受けましたので、6月から探索研究として100症例のデータを活用して解析を進めています。
(e) RSAI06(小児発達障害(識字障害)音読診断)
学習障害の一つである識字障害は早期に発見し、適切なトレーニングを受けることで一般生活が送れるようになる障害ですが、診断に時間がかかるため、簡便な検査法が望まれています。当社は、東北大学及びNECと共同研究を実施予定です。2021年10月から東北メディカルメガバンクの8歳児を対象とした発達障害調査データを基に、小児の文字や文章の音読データを元にAIを活用して、識字障害を評価するシステムの開発を目指します。
e.診断薬:血中フェニルアラニン測定キット
フェニルケトン尿症はフェニルアラニンを代謝する酵素が欠損することによる先天性アミノ酸代謝異常症のひとつです。重度の精神発達遅延を回避するためには乳幼児期に血中フェニルアラニン量を一定範囲内にコントロールする必要があり、血中フェニルアラニン量を頻回測定することが求められていますが、現時点で有用な測定キットはありません。当社は、自宅で簡便かつ正確に血中フェニルアラニン濃度を測定するシステムを、東北大学と共同開発しています。
2021年5月に診断薬に関する特許を東北大学と共同で出願しました。2021年6月にはPMDA相談を行い、新規診断法並びに在宅自己管理の承認申請や保険償還に向けた開発ロードマップの策定を開始しました。