文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「私たちは国際化社会の中で、社員ひとり一人の個性を尊重し、誠実を旨とし、情報技術の先進的活用により顧客企業と社会の発展に貢献する。」ということを企業理念として掲げており、経営方針は以下の通りです。
・顧客に信頼される会社となる。
・創造性あふれる専門家集団であり続ける。
・社会への貢献、個人への還元バランスをはかる。
(2)経営戦略等
IDC Japan株式会社(以下、「IDC Japan」)の「国内BDAテクノロジー/サービス市場予測、2020年~2024年」によると、2019年の国内BDA(Big Data and Analytics)テクノロジー/サービス市場は売上額ベースで前年比10.0%増の1兆799億5,100万円でありました。また、2019年~2024年においては、2020年および2021年においてCOVID-19の流行の影響により一時的に成長が鈍化するものの、以降回復し、年間平均成長率は11.7%、2024年の市場規模は1兆8,765億7,400万円になると予測されております。
また、IDC Japan株式会社の「国内プライベートクラウド市場予測、2020年~2024年」によると、2020年の国内プライベートクラウド市場規模は、前年比19.9%増の8,747億円になると予測しています。また、2019年~2024年の年間平均成長率は28.6%で推移し、2024年の市場規模は2019年比3.5倍の2兆5,658億円になると予測されております。
一方、同社の「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2021年~2025年」によると、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比19.5%増の1兆654億円になりました。また、2020年~2025年の年間平均成長率は19.4%で推移し、2025年の市場規模は2020年比2.4倍の2兆5,866億円になると予測されております。
当社グループは、2018年5月期よりデジタル革新の主要サービスであるServiceNowを初めとするシステム/サービス管理SaaS市場は高い成長を続けており、2019年は前年比44.2%増の158億8,500万円、2020年は前年比24.9%増の198億3,900万円を見込んでいます。「IDC国内システム/サービス管理ソフトウエア市場予測:2018年~2024年」によると2019年~2024年のCAGR(年平均成長率)は26.5%、2024年には513億7,700万円に達すると予測されております。
以上より、クラウド基盤事業、ビッグデータ分析事業、およびデジタル革新推進事業は、主要顧客との長期にわたる信頼関係も相まって需要が高い水準で成長すると予想しており、成長戦略の中核と位置付けております。
なお、当社グループは、上記の基本方針および市場の動向に基づき、安定的かつ継続的な企業価値の向上を目指し、次の展望を達成してまいります。
・お客様の業務を深く理解し、ニーズを汲み取った良質のエンジニアリングサービス、更に上流からのサービス(コンサルティングや各種提案)提供を行っていく
・デジタル革新技術を活用し、お客様の経営戦略実現のための業務統制の適正化と業務活動の効率化、そして経営リソースの有効活用を実現するエンドユーザ志向の新しいビジネスモデル(新事業)を構築し提供する
・社員がシイエヌエスで働くことを誇りに思える魅力を提供し、その魅力のもと高いサービス精神、チームワークを発揮し続け、顧客企業の発展、社会の発展にも貢献し、多くの感謝を頂ける企業になる
これらの展望の下、次の3つの基本戦略を推進してまいります。
①事業基盤の強化
・ビジネス拡大に必要な体制の強化
今後の成長領域であるデジタル技術の領域の技術変化に対応した優秀な人材の獲得、育成に向けて、コンサルティングの活用や広告等の人材確保や技術力獲得のための、研修等の教育施策の強化への積極的な投資を行います。
②新たな取引先拡大のための強化施策
・重点顧客(ビジネスパートナー含む)の連携強化による取引先(エンドユーザ)の拡充
当社の重点事業を支える技術の展開を進めておりますが、重点顧客自身及び重点顧客各社が持つ顧客(エンドユーザ)には、当社技術の活用が期待できる潜在顧客が多数あり、各社の社内部署及び各社のエンドユーザへの展開の計画を共有頂き、提案等の推進の取り組みを支援することで売上の拡大を行います。
・新たなビジネスパートナーとの協業関係整備による新規顧客への拡大
成長戦略の中核となるデジタル変革技術のノウハウを活用し、現在連携を始めている次のアライアンスパートナーをターゲットに当社の中核ビジネスであるデジタル技術のソリューション化や販売活動の支援を行い、連携を強めることで、アライアンスパートナーの先にある新規顧客の獲得を行います。
③技術サービスの拡充による市場拡大
・デジタル変革ソリューションの取り組み・拡充
顧客へのデジタル変革の最適な提案をするために、ITにおけるデジタル変革の流れをキャッチアップし、当社のデジタル変革ソリューションを拡充いたします。また、将来の事業の中核となる新たな技術、ソリューションの整備を行います。
・デジタル変革ソリューションの活用整備
主力ソリューションであるクラウド、ビッグデータ、ServiceNowのソリューションをパートナー各社がエンドユーザへ展開する際や当社が新規顧客へアプローチする際に、エンドユーザに分かりやすく、効率的にご活用いただけるように当社のノウハウを標準化、体系化し、サービスメニューの整備や方法論のフレームワーク化を行います。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、具体的な数値目標は設定しておりませんが、売上高成長率及び営業利益率を重要な経営指標としております。
(4)経営環境
当社グループは、システムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントでありますが、サービス事業としてシステム基盤事業(オンプレ基盤事業、クラウド基盤事業)、業務システムインテグレーション事業、ビッグデータ分析事業、デジタル革新推進事業を展開しております。
当社グループが属する情報サービス産業においては、DXを推進する動きが活発化しております。これまで情報システムはお客様ビジネスの構成要素の一部として扱われておりましたが、昨今の急激な環境変化に対応し、ビジネスの成長を拡大する上でデジタル技術を駆使した情報システムを経営の基本骨幹とされるように変化しております。
DXの市場動向については(2)経営戦略等に記載している通りであり、ビッグデータ分析事業、デジタル革新推進事業の需要は堅調であり、デジタル技術を活用する基盤としてクラウド基盤事業の成長も後押ししております。
新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という。)の影響は、2021年5月期の上半期において顕著に現れました。具体的には先行きの不透明感から一時的に案件を凍結する、時期を先延ばしにするといった影響です。2021年5月期の下期からはこれらの懸念が解消されつつあり(2020年6月調査の「全国企業短期経済観測調査(日本銀行より)」では全業種がマイナス予測でありますが、2021年3月調査では大半の業種が回復しており上記分析を裏付けております)、お客様へのヒアリング等を通じてもシステム投資意欲は回復傾向にあると分析しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新ビジネスモデルの構築
当社グループは受託型のエンジニアリングサービスやシステム開発に特化し、お客様との取引を拡大してまいりましたが、一方で受託型以外のビジネスモデルの構築が課題であると認識しています。ビッグデータ分析、クラウドサービス技術の強化を継続するとともに、デジタル革新技術の拡大に注力し、お客様のビジネス戦略の実現に貢献できる新しいビジネスモデルの構築を進めてまいります。
②新規顧客の獲得
受託型のエンジニアリングサービスやシステム開発では、お客様のビジネスを深く理解したサービスを提供できる企業へ発注が集中する傾向にあります。既存のお客様に対するニーズの深掘りを強化するとともに、ITベンダやお客様とのパートナーシップの改善と増強を進めることで対応可能な技術や製品の幅を広げ、新しいお客様の開拓に注力いたします。
③人材の確保と育成・働き方改革の推進
企業成長には優秀な人材の確保・育成は不可欠であり、情報サービス産業は人材こそが全ての業界と言えます。とりわけ、資格の取得につきましては、従業員のトライを全面的にサポートし、最先端技術の習得と活用に力を入れてまいります。また、人材の確保については、当社グループの技術力やサービス力の向上や新しいビジネスモデル構築の加速のためにも、新卒採用だけでなく即戦力のキャリア採用にも重点を置いて取り組んでまいります。加えて、協力会社との関係強化を進め、当社グループと協力会社が一体となって人材強化を実現できる関係を構築してまいります。
社員の働き方については、ワークライフバランスに配慮しつつ、生産性及び品質の向上を実現することが重要な課題であると認識しております。社員の健康や意欲を損なわない環境を保ち続けることが、事業の健全な継続には不可欠であると考え、働き方改革を推進することで仕事へのやりがい、誇りを高めていきます。
④品質維持向上
情報サービス業界における受託型システム開発は、プロジェクトマネジメントや製造成果物の品質に関連した問題により業績に多大なる影響を与えるリスクを常に抱えております。当社グループにおいては、過年度に発生した課題の発生原因の追求と対策を行い継続的な再発防止に努めております。品質保証委員会によるプロジェクトの監視とマネジメント品質の向上、プロジェクト推進に必要な各種チェックツールの増強、管理職育成の改善・強化により、安定的な品質の確保をできる仕組みづくりと改善を進めてまいります。
⑤感染症対策
COVID-19の世界的な感染拡大により、経済、企業活動への深刻な影響が見込まれております。当社グループにおきましては、COVID-19の感染拡大期に、社員に対して発熱時の報告義務、手洗い実施・マスク着用など感染予防対策の指示、職場内の換気や遮蔽板による飛沫飛散防止策の導入、リモートワークの導入等、感染リスクの低減に取り組んでおります。そのため、現時点での業績への影響は軽微であると考えております。しかし、今後、COVID-19感染拡大により、社員やビジネスパートナーに感染者が多数発生した場合は、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥内部管理体制の強化
業務運営の効率化やリスク管理、また安定的に事業を拡大するためには内部管理体制のさらなる強化が必要不可欠であると考えております。今後も引き続き、内部監査実施等によりコーポレート・ガバナンスを強化するとともに、情報セキュリティ、労務管理、事故防止をはじめとするコンプライアンスを含めた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクをすべて網羅するものではありません。
(1)リスクマネジメント体制
当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、リスク管理体制の構築と運用にあたっております。リスク管理・コンプライアンス委員会は、経営上のリスクの識別・評価、対策立案、状況の確認を定期的に実施しております。
(2)リスクマネジメント運用状況
当社は、リスク管理・コンプライアンス委員会を年4回開催しております。リスク管理・コンプライアンス委員会の協議内容について、経営上、重要なリスクは取締役会に報告されております。
(3)市場環境に関するリスク
①技術革新への対応について(発生可能性:中、影響度:中)
当社グループが属する情報サービス業界においては、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、日々、新しい技術やサービスが生まれております。そのため、当社グループは常に最新技術の習得に努め、目まぐるしい環境変化に迅速に対応できるようエンジニアの採用・教育・能力開発を進めております。しかしながら、当社グループの想定を上回る急激な技術革新等により生じた劇的な環境の変化に対し、当社グループが適切に対応することができない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②景気変動によるリスクについて(発生可能性:中、影響度:中)
当社グループの主たる事業は、国内企業に対するコンピューターシステム及びプログラミングの開発に関する受託業務の運営であるため、国内企業の設備投資(IT投資)の動向に影響を受けやすい傾向にあります。当社グループは、国内外の政治・経済の大幅な変動による国内景気の悪化等がもたらすシステム投資の縮小、システム開発の内製化等により、当社グループが提供するサービス領域が縮小される可能性があります。したがって、国内企業全体のIT投資需要が減少した場合、新規受注の減少や既存契約の解約等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)事業に関するリスク
①人材の確保、育成について(発生可能性:中、影響度:大)
当社グループが今後さらなる事業の拡大及び高付加価値サービスの提供を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が不可欠となります。高い技術力を有したエンジニアの確保及び育成はもとより、顧客に当社グループのシステム開発能力やサービス力を提案できる技術営業担当者及び事業拡大の基盤となるプロジェクトマネージャーの確保が重要になっております。当社グループでは、上記のような人材の確保及び育成に注力してまいりますが、人材の確保及び育成が当社グループの想定通りに進まなかった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②ビジネスパートナーである協力会社の確保について(発生可能性:中、影響度:大)
当社グループは、コンピューターシステム及びプログラミングの開発に関する受託業務の運営において、案件ごとの必要技術や効率性、収益性の向上の観点から当社グループ内のエンジニアの他、ビジネスパートナーである協力会社を活用することで、機会損失の発生を低減することを目指しております。そのためには、協力会社の確保及び協力会社との良好な取引関係の維持・構築の実現が極めて重要となり、今後、当社グループが事業規模の拡大を図る上で、協力会社との連携強化が必要不可欠となります。したがって、当社グループは協力会社の継続的な確保及び一層の連携強化に努めてまいりますが、協力会社の確保が十分に行えなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③大口顧客への依存に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:大)
当社グループには、継続的な販売先である主要取引先として大口顧客が存在します。2021年5月期連結累計期間における当社グループの総売上高に対する株式会社エヌ・ティ・ティ・データへの販売額は24.7%、株式会社野村総合研究所への販売額は16.4%、デュアルカナム株式会社への販売額は11.6%を占めております。当社グループは、今後、これらの大口顧客との取引金額の拡大を図りながらも、その他の顧客との取引金額の拡大を図り、大口顧客への取引依存度の低減に努めてまいりますが、経済情勢などの変化により、大口顧客の事業運営が大きく影響を受け、大口顧客による当社グループとの取引の急激な減少を余儀なくされた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④情報システムのトラブル発生に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:大)
当社グループは、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しております。情報システムの構築・運用に当たっては、ISMSの認証取得やプライバシーマークの認定取得を行い、従業員教育や各種の情報セキュリティ対策を講じることで危機管理対応に積極的に取組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウィルス侵入、自然災害・事故等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤長時間労働の発生に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)
システム及びプログラミングの開発プロジェクトにおいては、当初計画に見込まれていない不測の事態の発生に起因して、品質保持や納期厳守の観点から長時間労働が発生することがあります。当社グループでは適切な労務管理に努め、長時間労働の発生を未然に防ぐべく事業部門と管理部門の双方によるチェック体制を整備しております。しかしながら、上述のような不測の事態の発生に伴う不可避的な長時間労働が発生した場合には、システム及びプログラミング開発における労働生産性の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①法的規制に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)
下請代金支払遅延等防止法に対しましては、支払代金の遅延等を未然に防止する体制を構築し、法令遵守に努めておりますが、法令違反に該当する事態が発生した場合、又は法律等の改正等が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は監督官庁より労働者派遣事業者として許可を受けておりますが、今後、偽装請負と見做されること、あるいは何らかの事由により当該許可の取消事由に該当し、業務の全部もしくは一部の停止処分を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することがないよう常に注意を払っており、現時点において第三者の知的財産権の侵害の事実はないものと認識しておりますが、無体財産に係る財産権の場合には、意図せずに侵害することは容易に起こりえます。この場合、社会的信用力の低下、当該第三者からの損害賠償請求により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。第三者の知的財産権を侵害し、金銭的損害が発生する、あるいは第三者に知的財産権を侵害され競争力が低下した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③情報セキュリティについて(発生可能性:小、影響度:中)
当社グループでは、事業遂行上、顧客の企業情報並びにビジネスパートナーである協力会社及びエンジニアの個人情報等、多くの機密情報を取扱う機会を有しております。当社グループでは、情報セキュリティに関する取り組みとして、情報セキュリティ管理に関する規程の制定、社内教育を実施し、情報管理への意識向上を図るとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証やプライバシーマークの認定を取得し、情報の適正な取り扱いと厳格な管理を行っておりますが、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用力の低下や損害賠償請求の負担等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④内部管理体制について(発生可能性:小、影響度:中)
当社グループは、今後の事業拡大に対応するため、より一層の内部管理体制強化を図る必要があると認識しております。今後は、事業の拡大に応じて人材の確保や育成を積極的に実施し、充実を図っていく方針でありますが、適時適切に人員確保ができなかった場合等、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤自然災害や感染症に関するリスクについて(発生可能性:中、影響度:大)
当社グループが事業展開する地域において、地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの主要な事業拠点である首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、自然災害等が発生した場合に備え、体制を整備しておりますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合は、事業継続できなくなる可能性があります。
⑥COVID-19に関するリスクについて(発生可能性:中、影響度:大)
2020年初頭に国内で感染が確認されたCOVID-19は、収束の時期が未だ不明であります。当社グループはリモートワークの推進等を行うことにより、事業継続のための体制を構築しておりますが、当社グループの従業員が罹患又はビジネスパートナーに被害が発生した場合には、システム開発の遂行に支障が生じる可能性があります。また、引き続き国内外におけるCOVID-19の影響が継続、拡大することにより、取引先の業績悪化に伴うシステム投資の縮小や中止が生じた場合、当社グループへのシステム開発の発注が停滞又は中止となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦調達資金使途について(発生可能性:小、影響度:大)
株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、今後の事業拡大に向けた人材採用、人材育成、技術取得、新ビジネスモデル構築、社内基幹システムの強化等に充当する予定であります。しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの成果をあげられない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧不採算案件の発生可能性について(発生可能性:小、影響度:大)
原価が受注額を上回る不採算案件の発生については、品質保証委員会活動にて未然に防止を図りますが、予測できない要因により不採算案件が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済状況は、COVID-19への対策として三度目の緊急事態宣言が発出されるなどの影響を受けて低迷を続けてきましたが、変異型ウイルスの感染拡大の兆しが出始め、さらに経済に悪影響を与えるという不安感が続く状況でありました。
しかし、感染症対策と経済活動の両立を目指す政府の方針、テレワーク推進等の企業努力、何より日本国民による不要不急の外出自粛によって、景気の状況は大きく変動することがなく横ばいに推移しました。
国内の情報サービス市場においては、ビッグデータ分析やクラウドなど先進的な技術を活用してビジネス改革を行い、新しい価値を創り出すというDXを推進する動きが顕著になっております。
当社グループは、クラウド基盤事業、ビッグデータ分析事業、デジタル革新推進事業をDXの中核と位置づけ、先取的に手掛けることで経験値と技術力を蓄積していますが、それらをベースにDXビジネスの選択を切り拓き、その裾野を着実に広げております。
クラウド基盤事業は、手掛けている通信業界や金融業界のDX案件の実績が後押しとなり、好調に推移しております。
デジタル革新推進事業は、業務システム運用の自動化や業務の効率化の面で、企業のプロセス変革を促すクラウド型業務アプリケーション「ServiceNow(ServiceNow,Inc.社製)」の導入コンサルティング・構築支援が前事業年度から引き続き好調に推移し、新たに着手したデータベースのアクセス性能改善を行うコンサルティングが成長を牽引しました。
ビッグデータ分析事業は、お客様のビジネス課題をデジタル技術の活用によって解決に導くDXコンサルティングを新たな取り組みとして着手するとともに、通信業界におけるマーケティング支援が好調に推移しました。
一方、成熟した技術や開発手法を用いた案件の成長は鈍化傾向にありますが、主要なお客様からの高い信頼を背景にオンプレ基盤事業・業務システムインテグレーション事業を中心に安定的な売上を確保しております。業務システムインテグレーション事業における、医療系システムの中型案件の受注や金融系システムのバーゼルⅢ最終化対応の受注が売上高確保に貢献しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績については、売上高は4,841,026千円(前期比5.8%増)、営業利益は458,240千円(前期比4.8%増)、経常利益は489,944千円(前期比0.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は336,707千円(前期比3.5%増)となりました。
なお、当社グループはシステムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて335,374千円増加し、3,138,793千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて542,337千円増加し、2,611,560千円となりました。これは主に、業績が好調に推移したことに伴い現金及び預金が314,421千円、売掛金が218,709千円増加したことが主な要因であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて206,962千円減少し、527,233千円となりました。これは主に、人員増加に伴う事務所改装等により建物が17,139千円、セキュリティ強化に伴う基幹システム更改に伴うサーバー構築等によりソフトウエアが15,378千円増加したものの、一方で、役員及び従業員の保険積立金の解約により保険積立金が247,853千円減少したことが主な要因であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて61,082千円増加し、1,144,554千円となりました。これは主に、業績が好調に推移したことに伴い買掛金が88,417千円、未払金が31,946千円増加したことによるものであります。一方で、未払法人税等が44,234千円、未払消費税等が20,672千円減少したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて274,291千円増加し、1,994,239千円となりました。これは、利益剰余金が274,007千円増加したことが主な要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ254,393千円増加し、1,417,055千円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、183,123千円(前期比463,159千円減)の増加となりました。これは主として、業績が好調に推移したことに伴う税金等調整前当期純利益が483,348千円あったほか、売上債権の増加額による減少が218,709千円、仕入債務の増加額による増加が88,417千円、法人税等の支払額が198,449千円あったことによる影響です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、135,290千円(前期比123,752千円増)の増加となりました。これは主として、役員及び従業員の保険として積み立てている保険積立金の解約による収入382,489千円、及び、保険積立金の積立による支出124,660千円があったほか、定期預金の預入による支出60,027千円、固定資産の取得による支出57,681千円があったことによる影響です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、64,020千円(前期比87,426千円増)の減少となりました。これは主として、配当金の支払額が62,700千円あったことによる影響です。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営むシステムエンジニアリングサービス事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営むシステムエンジニアリングサービス事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
システムエンジニアリングサービス事業 |
4,841,026 |
105.8 |
|
合計 |
4,841,026 |
105.8 |
(注)1.当社グループはシステムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年6月1日 至 2020年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年6月1日 至 2021年5月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ |
1,067,052 |
23.3 |
1,194,489 |
24.7 |
|
株式会社野村総合研究所 |
733,102 |
16.0 |
795,487 |
16.4 |
|
デュアルカナム株式会社 |
934,959 |
20.4 |
561,285 |
11.6 |
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択及び適用、損益又は資産の報告金額等に与える見積りを必要としております。これらの見積り及び判断につきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下の事項が重要であると認識しております。
なお、COVID-19の影響については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える可能性があります。
(工事進行基準)
当社は、新規受注案件のうち、進捗部分について成果の確実性が認められる案件については工事進行基準(進捗度の見積りは原価比例法)を適用しております。適用に当たっては、受注総額、総製造原価及び当連結会計年度末における進捗度を合理的に見積る必要がありますが、予想しえない工数の大幅な増加等により当該見積りが変更された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりです。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は4,841,026千円(前期比5.8%増)となりました。主な増加要因は、既存顧客ビジネスの維持・拡大、特に新規案件獲得のための新しいビジネス開発によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は3,692,846千円(前期比1.3%増)となりました。主な内訳は外注加工費となりますが、当連結会計年度から事業部責任者の販売費及び一般管理費へのコスト振替に伴い労務費は前期比減となっております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は689,938千円(前期比28.7%増)となりました。主な要因は、従業員増加や事業責任者の販売費及び一般管理費へのコスト振替に伴う給料及び手当、賞与、退職給付引当金繰入額、確定拠出年金等の人件費が増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、458,240千円(前期比4.8%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は72,911千円(前期比45.6%増)となりました。主な内訳は、保険積立金の解約に伴う受取保険金によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は41,207千円(前期比3,866.0%増)となりました。主な内訳は、保険積立金の解約に伴う保険解約損によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、489,944千円(前期比0.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損失は6,596千円(前期比27.4%増)となりました。主な内訳は、賃貸借契約していたビル退去等に伴う固定資産除却損によるものであります。
また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)を146,641千円計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は336,707千円(前期比3.5%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
a キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 財務政策
当社は、事業活動に必要な流動性を安定的に確保するため、手許流動性3~6か月を目安に保有しておくこととしております。
当社は事業の特性上、巨額な投資は必要としないため、間接金融ではなく直接金融を原則として安定的な経営を行っていく方針です。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、具体的な数値目標は設定しておりませんが、売上高成長率及び営業利益率を重要な経営指標としております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。