第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、社会のために誰もが活用できるクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」を開発・提供しております。当社は、「映像」はリアルとインターネットをつなげる新しい「鍵」となることを信じており、「Safie」が映像、クラウド、そしてAI技術を駆使し、世界中の様々な映像デバイスとインターネットを繋ぎデータ化することで、一人一人の日々の意思決定を迅速にかつ効果的に行うことができる世界の実現を目指しております。

この実現のため、当社では、優位性のある商品を開発し、色々なパートナー経由で、様々な顧客に展開すると同時に、顧客業界ごとのアプリケーションを提供し様々な産業の現場オペレーションのデジタルトランスフォーメーションを支援してまいります。さらに、APIを通じて様々な開発パートナーが「Safie」サービスとデータ連携を行うことができるオープン・エコシステムの構築を進めております。

 

(2)当社の強み

① 商品の優位性とそれを支える技術力

「Safie」は従来の監視カメラサービス(注)に比べ、高画質、高セキュリティで低価格なサービスとして、多様な用途で、様々な業界の顧客に活用いただいております。

このサービスを支えるのは、ユーザー視点を考慮したUI/UXとそれを支える技術力です。ウェブサービス・アプリのエンジニアのみならず、膨大なデータを効率的かつ安全に処理するサーバーエンジニア、様々なデバイスをSafieとつなげる組み込みソフトを開発するデバイスエンジニア、AIを用いた画像解析を開発する役割や他社のAIソリューションをSafieにつなげる役割を担うAIエンジニアと多様な異才が一体となってサービスを開発・提供しております。創業以来、膨大な映像データをクラウドに安定的に保存し、効率的に配信し、APIを活用して他社との連携を構築してきた技術力と独自の仕組みが競争力の源泉であり、継続的なサービス品質・競争力の向上に向けて、新技術の開発や製品・サービスの改善を追求し続けております。

(注)アナログデータを出力するアナログカメラや、設置場所に録画装置を必要とするネットワークカメラを用いた監視カメラサービス

 

② 販売力

当社によるwebマーケティング等を通じて流入したユーザー企業への営業を中心とする直販営業網と、販売パートナー各社による営業網の双方を活用することで、クラウドモニタリング・録画サービス市場における稼働台数のシェアはNo.1(注)となっております。

販売パートナーはNTTグループ、Canonグループ、SECOMグループ、関西電力グループを筆頭に、全国数千人規模の営業員や顧客ネットワークをもつ大企業の強みを活用した効率的な営業網を構築しております。当社が直販営業で培った顧客セグメントごとの販売ノウハウを販売パートナーに共有したり、販売パートナーのブランド力を活かして販売パートナー独自の名称でサービス展開をしたり、販売パートナー各社の商材ともAPIで連携して独自商材をつくるなど、お互いの強みを活かして補完し合う協業を行っております。

販売パートナーとの収益モデルは、当社から販売パートナーへカメラやクラウドサービスを販売し、販売パートナーがそれぞれの顧客へ再販するモデルとなっており、2020年12月期の当社売上高における販売パートナーへの売上高割合は60%となっております。

(注)Techno Systems Research Co.,Ltd「2020年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」

 

③ 顧客基盤と拡張性

当社サービスは大手企業も含む様々業界の顧客で活用されており、多くの顧客において、「Safie」は防犯用途だけではなく、日常の業務オペレーションの改善や効率的な現場の管理に使われております。

例えば、飲食チェーンにおいて、各店舗に設置したカメラを本社で一元管理し、複数の店舗映像を比べることで各店舗の接客オペレーションの実態把握と改善のために活用されております。またハウスメーカーにおいて、全国各地の施工現場の様子をカメラで中継し、リアルタイムにベテランの社員が現場に指示をすることで、移動時間や作業時間の短縮と施工品質の維持にご活用いただいております。

導入済み顧客から当社サービスの利便性と拡張性が高く評価されており、数店舗の導入からの全国の店舗への導入拡大や、防犯用途で導入されたのちにマーケティング用途での追加導入など、多様なリピートオーダーが生まれております。

 

顧客の膨大な録画映像は当社が契約するクラウドサービス上で管理されておりますが、当社の利用規約において録画映像の知的財産権はそれぞれの顧客に帰属し、当社はこの映像を閲覧することはできない仕組みになっており、顧客の映像データは安全に管理されております。ただし、顧客からの個別の同意のもと、適切な認証プロセスを経た上で、当社や開発パートナーに映像を共有いただくことで、様々な新サービスの開発検討に活かすことがあります。またAPIを通じて様々な会社のサービスと連携をおこなうことや、「Safie」の組み込みソフトをデバイスメーカー等に提供することで多様な他社機器と連携することが可能です。これにより、単純な防犯カメラ、監視カメラとしてのサービスだけでなく、「賢くなるカメラ」として後から追加機能を付加して、様々な社会課題を解決するためのソリューションへ進化させていくことが可能となります。例えば、東日本電信電話株式会社とは"三密"の回避をはじめとしたニューノーマルへ対応した映像ソリューションとして、施設の混雑状況をお客さまホームページ等から確認することが可能な「映像解析オプションPLACE AI」を提供しております。また、セコム株式会社とは、法人向けサービスのシステムセキュリティ「AZ」と「セコム画像クラウドサービス」との連携機能を追加し、ライブ映像、警備のセット・解除時やセンサー検知時の記録映像を高解像度で確認できるようにした新しいサービスを開始しております。

さらに、当社は2021年2月にAPIを公開しました。これにより様々な開発パートナーが「Safie」サービスとデータ連携を行うためのアプリケーションの開発を行うことができ、これらの活動を通じてクラウドとAPIを使ったオープン・エコシステムの構築を進めております。

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④ 高い安定性を誇る財務・収益モデル

当社の中核サービスであるクラウド録画サービス「Safie」の課金モデルは、継続収入が見込めるリカーリング型の収益モデルとなっておりますが、このサービスの起点となるカメラは顧客に販売されるため、当社の売上高の構成は、リカーリング収益のみならず、スポット収益も伴います。スポット収益にはカメラ等の機器販売や設置作業費などが含まれ、リカーリング収益には、クラウド録画サービス、画像解析サービス、一部のカメラのレンタルサービスや、LTE通信費などが含まれております。

カメラ1台当たりの収益構造として、導入時にスポット収益が発生し、その後毎月クラウド録画サービスや画像解析サービスなどのリカーリング収益が発生するので、カメラが継続利用されると最終的な収益はリカーリング収益のほうがスポット収益よりも大きくなる構造になっております。実際に2020年12月期において全社売上高に占めるリカーリング収益の割合は42%でしたが、2021年1-6月累積値において、リカーリング収益の割合は52%に上昇しております。

当社はリカーリング収益をより重視しており、その達成状況を判断するための経営上の指標はARR(注1)とし、2019年12月末のARRは1,195百万円、2020年12月末は3,285百万円、2021年6月末は4,549百万円となっております。また、ARRに関連する指標として、MRR(注2)及び課金カメラ台数(注3)を注視しております。課金カメラ台数は2018年12月末時点で1.6万台、2019年12月末時点で4.2万台、2020年12月末時点で10.1万台と毎年順調に増加し、2021年6月末時点で12.9万台となっております。

また当社の顧客からは継続的に利用されるだけでなく、追加のカメラ導入や画像解析サービスの追加が発生しており、2020年12月期において当社の直販顧客からの平均月次解約率(注4)は1%未満、NRR(注5)は138%になっております。

 

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(注)1.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出。

2.MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における顧客との契約において定められたID単位で毎月課金される月額利用料の合計額(一時収益は含まない)。

3.課金カメラ台数:各四半期に販売したカメラ台数ではなく、各四半期末時点で稼働・課金しているカメラ台数

4.平均月次解約率:月初における既存契約の月額課金台数に占める、当月中に解約に伴い減少した月額課金台数の割合の過去12ヵ月平均値。直販顧客においては2020年1月~12月の平均値は0.9%、OEMを含む販売パートナー経由の顧客においては、同期間で2.9%、Safie全体では、同期間で2.1%

5.NRR:Net Revenue Retentionの略称。直販NRRは、「2019年12月末時点における直販課金顧客から生じる2020年12月末時点における直販MRR」を「2019年12月末時点の直販MRR」で除して算出(販売パートナーからのMRRは含まない)。なお、販売パートナーのNRRは308%(「2019年12月末時点における販売パートナーから生じる2020年12月末時点におけるMRR」を「2019年12月末時点の販売パートナーから生じるMRR」で除して算出)。

 

⑤ 企業文化

当社は「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、それを実現するための、7つのSafie cultureを行動指針として定義し、このcultureに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感を持つ組織を実現しております。

7つのculture

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(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、中長期的に安定して売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そのため、当社は達成状況を判断するための経営上の指標としてARRを重視して、2019年12月末は1,195百万円、2020年12月末は3,285百万円となっております。また、ARRに関連する指標として、MRR及び課金カメラ台数を増やしていくことが重要であると考えております。

 

(4)経営環境

我が国は、少子高齢化を背景に生産年齢人口は2018年から2040年にかけて20.5%の減少が見込まれ(注1)、2017年3月に政府が働き方改革実行計画を発表するなど、労働生産性の向上が要求される局面を迎えております。

このような環境下において、労働力の代わりを機械やロボットで行う省力化やセルフサービスが促進されると同時に監視や検知などにおけるカメラ活用や映像分析が広がりを見せております。また新型コロナウイルスの影響もあり、出張や現地訪問や現地調査の代わりとしての遠隔臨店、遠隔臨場(注2)などの現場の見える化や、現場のオペレーションをデジタルトランスフォーメーションして効率化していくという新しいニーズが広がっております。

さらに様々な産業において、大容量の映像をAIで分析する動きがでてきており、他拠点・大容量の映像を即時に共有し、APIで他社のシステムや開発環境とつなげることができる映像プラットフォームの活用余地が広がっております。

当社では2024年の日本国内における監視/モニタリングカメラ稼働台数は660万台程度(注3)、グローバルでは4億台程度になると推計(注4)しており、今後もさらに成長していくと考えております。

またドライブレコーダーやドアホン、ロボットなど様々な映像デバイスに「Safie」を搭載し、また接続することができるため、潜在的な市場はカメラ以外にも見込まれており、2022年時点でグローバルに約92.7億台が存在すると推計(注5)されている産業用IoTデバイスの一部でのSafieの利用や連携が可能になることを見込んでおります。

(注)1.国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月)」(出生中位・死亡中位推計)

2.遠隔臨場とは、建設現場においてウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、現場に行かずとも離れた場所から立会などを行うこと。

3.日本国内における監視/モニタリングカメラ稼働台数は、矢野経済研究所「2020年度版監視カメラ市場予測と次世代戦略」において監視/モニタリングカメラの使用年数を5~7年と仮定しつつ、取材で得た情報を基に算出された矢野経済研究所による推計値。

4.グローバル総稼働台数は、国内の総稼働台数に係る矢野経済研究所の算出方法を参考に、その年を含む過去5年間の矢野経済研究所の推定による出荷台数の合計値として算出した当社試算値。

5.総務省「令和二年版 情報通信白書」に記載の産業用IoTデバイス数。オートメーション(IA/BA)、照明、エネルギー関連、セキュリティ、検査・計測機器などオートメーション以外の工業・産業用途の機器。

 

(5)中長期的な会社の経営戦略

① ユーザー基盤のさらなる拡大

当社は2020年12月期において新規で5万台の契約を獲得し、2021年6月末における課金カメラ台数は12.9万台に達しており、創業以来順調に拡大し続けております。しかしながら、日本国内に存在するカメラ台数だけで見ても、「Safie」の導入率は未だ低水準であり、潤沢な開拓余地が残されていると考えております。加えて、グローバル及び他の映像デバイスへの広がりを考えると「Safie」接続デバイス数及び課金カメラ台数の増加余地は膨大に存在しております。

「Safie」が活用されている業界は、現時点では飲食業、小売業、建設業が中心ですが、2020年から工場などの製造業の現場のIoT化、安心安全なスマートシティの構築のための公共や警備、より高度なマーケティングが求められる金融市場など新しい業界へ広がっております。特に新型コロナウイルスの影響の中で、ウェアラブル型の「Safie Pocket2」を活用した、遠隔からの現場の見える化や、現場の映像データを活用した現場オペレーションのデジタルトランスフォーメーションというニーズとともにSafie活用シーンが急拡大しております。

例えば建設現場向けであれば、現場全体の進捗管理のために「Safie GO」、現場巡回管理のために「Safie Pocket2」、現場の入退管理のために「Safie Entrance」、安全管理のために「ドボレコJK」などの新しいソリューションを次々と展開し、それらを活用した現場DXが進んでおります。

 

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国内の販売戦略は、直販営業による顧客ニーズの把握とそれに即した販売手法の確立を行い、その手法を業界ごとの販売パートナーと協議して洗練して展開することで、当社単独で行うよりも、はるかに早く、また多くのお客様にアプローチすることが可能です。また顧客ニーズを直接把握することで、製品開発へのフィードバックを効率的に働かせ、より使いやすいサービスとなるように継続的なアップデートを行うことで、より長くお客様に活用されるように努めております。今後は、対象となる業界を広げ、様々な現場ごとにソリューションやアプリケーションを増やし、それを販売パートナーへも展開することで成長を加速させて行きます。

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② クラウド録画型映像プラットフォームとしての価値向上

拡大したカメラユーザー基盤から当社のクラウドに保存される膨大な映像データを活用して、さらに便利なサービスをお客様に提供する好循環(ネットワーク効果)を生み出すことができます。

当社のクラウドに保存される映像データは、映像データの知的財産権を有する当社の顧客からの適切な承諾を得ることで、画像解析を行うAIにとって貴重な教師データとなり、このデータを活用することでAIによる新しい画像解析サービスを生み出したり、画像解析の精度をあげることが可能です。これにより商用利用可能なレベルの精度になったAI画像解析サービスをエンドユーザーに提供できるようになります。

エンドユーザーは利用している「Safie」サービスに、継続的に新しい画像解析などの機能が追加されて、簡単に利用できるようになり、この拡張性に魅力を感じ、よりユーザーが増えていき、より多くの映像データが集まる好循環を生み出しております。

お客様は賢くなるカメラとして追加機能を簡単に利用でき、開発・ソリューションサプライヤーにはOpen APIでの簡単なデータアクセスを提供し、当社にとっては客単価の増加と解約防止が見込まれています。このエコシステムがネットワーク効果をもち、ユーザーの拡大がソリューションの拡大につながり、それがさらなるユーザーの拡大につながるという好循環をもたらし、セーフィーの成長を支えていく想定であります。

さらに、ネットワークカメラにとどまらずマルチデバイスのデータを取得し、映像に加えて、音声や自然言語時系列データなどの様々な種類のデータの解析基盤としていくことも可能であり、今後も社会におけるIoTやAI活用の進展とともに「Safie」が活用される機会は増大していくと考えております。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

① 優秀な人材の採用と育成

当社の持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。特に経営戦略の実現の中で、業界ごとの顧客ニーズを正確に把握し、業界別のソリューションを開発していくことが重要と考えており、顧客ニーズを適切に把握できる営業や開発の人員を強化していくことが必要であります。当社のミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組んでまいります。

 

② 情報管理体制の継続的な強化

当社は多くの個人情報を扱っており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えております。当社の経営方針に従って、映像から未来をつくるために、当社は膨大な顧客の映像データを管理することになり、プラットフォーマーとしての健全性を強く求められると認識しております。当社で取り扱う映像データは個人が特定できる鮮明な画像であることが多く、原則として個人情報に該当するため、現在も個人情報保護に係る施策には万全の注意を払っておりますが、今後も社外有識者との会議を含め、社内体制や管理方法の強化・整備を行ってまいります。

 

③ 技術力の強化と追加サービスの展開

大量の映像データの処理及び解析に係る技術力は当社の競争力の源泉であり、事業の成長を支える基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えております。優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリング等を通じて、技術力の向上に取り組んでまいります。

また映像プラットフォームとしての価値向上のために、自社サービスの追加開発や、他社のソリューションが提供しやすい仕組みを継続的に開発し続けてまいります。

④ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)

当社は、事業拡大を目指し、開発投資や広告宣伝活動等に積極的に投資を進めており、2020年12月期は営業損失を計上しております。

当社の収益の中心は、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積みあがるストック型の収益モデルになります。一方で開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。

当社では事業の拡大に伴い、ストック収益が順調に積みあがることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下傾向にあり、利益体質へ改善しつつあるものと考えております。

 

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社の経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

<当社事業の前提となる外部環境に関するリスク>

(1)インターネットの利用環境について

当社はインターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネットの利用環境は当社事業の基本的な条件であります。インターネットの利用に関する新たな規制の導入や弊害の発生、その他予期せざる要因により、今後、インターネットの利用環境に大きな変化が生じた場合、当社の業績に広範囲にわたり影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)クラウド事業について

クラウドとは、アプリケーション機能をインターネット経由で提供するサービスで、ソフトウェア販売における新しい方法・概念として認知され、浸透が進みつつあります。その一方で、今後クラウドを扱う企業レベルの競争も激化する可能性があります。このような事業環境のもとで、他社においてより画期的なコンセプトをもった商品・サービスが出現した場合、又はクラウド自体の需要が当社の予測を大きく下回る場合には、当社の業績に広範囲にわたり影響を及ぼす可能性があります。

 

<ビジネスモデル等に関するリスク>

(3)競合について

当社は、創業以来、日々進化するテクノロジーによって安全にかつ効率的な映像の大量保存と配信及び分析を行う独自のシステムの開発・運営をし続けてきたことが競争力の源泉となっております。またすでに市場シェア1位(注)となっており、それを支える販売網を構築しており、新規の参入者を含む競合に対抗できる事業環境を構築しております。しかしながら、既存事業者との競争の激化や、新たな参入事業者が当社のシステムに類似する仕組みを構築する場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)Techno Systems Research Co.,Ltd「2020年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」

 

(4)先行投資と事業の拡大に伴うリスクについて

当社は「Safie」録画サービスのオプションとして様々な画像解析サービスや機器連携サービス及び他社との連携ソリューションを開発しております。これにより新たな顧客業界の開拓と将来の収益拡大を狙っておりますが、これらの開発及び収益化はまだ初期段階にあります。エンジニアを積極的に採用し開発にあたっておりますが、現時点では収益貢献は少なく、現時点では先行投資の位置づけとなっております。今後も、収益化が上手く進まない場合や、当該分野に関係する法規制に新たに服することになる場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)研究開発活動と広告宣伝活動等の先行投資について

当社の手掛ける事業では、先行者メリットを活かしつつ売上高拡大を目指すため、新機能の拡充や新機種対応などの研究開発投資や広告宣伝活動や営業体制の強化等において一定の先行投資が必要となります。しかしながら、その結果として、設立以来営業損失を計上しているほか、累積損失を抱えております。また、今後の研究開発投資及び広告宣伝活動について、その費用対効果を見ながら慎重に行っていく方針ではありますが、先行投資を縮小する場合には、新規受注や新規ユーザーの獲得に影響が出る可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)特定の販売先への依存について

当社は、販売パートナーとともに当社サービスの拡大を進めており、主要な販売パートナーとの資本業務提携を含めて緊密な関係を構築しております。当社の主要取引先は、東日本電信電話株式会社、オリックス株式会社と日建リース工業株式会社であり、当該特定取引先への依存度が高い状況にあります。2021年12月期第2四半期累計期間の当社総売上高に占める割合において、東日本電信電話株式会社は27.4%、オリックス株式会社は10.4%となっております。日建リース工業株式会社は2019年12月期の当社総売上高の10.6%を占めております。

当該取引先とは良好な関係を築いており、現時点において取引関係等に支障を来たす事象は生じておらず、当社としては今後も継続的な取引が維持されるものと見込んでおります。しかしながら、販売パートナーにおける経営方針、販売方針・販売施策の変更及び取引条件の変更が生ずる場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社といたしましては、今後も主要取引先との取引拡大に加え、他社への売上高の拡大にも努めることで、当該特定取引先への依存度低下を図り、リスク低減に努める方針です。

 

(7)技術革新への対応について

当社は新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ではありますが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に開発費等の費用が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<コンプライアンスに関連するリスク>

(8)知的財産権の侵害等について

当社で開発・設計しているソフトウェアやプログラムは、当社が独自に開発・設計したものであり、当社は特許権侵害の調査等を、特許事務所を通じて行っております。さらに、当社はサービスの名称等について商標の出願、登録を行う等、第三者の商標権を侵害しないように留意しております。

しかしながら、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であるため、他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受けたり、知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、これらの場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有している知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応を要するなど、当社の事業運営に影響が及ぶ可能性があります。

 

(9)訴訟等について

本書提出日現在において当社を当事者とする訴訟手続はありません。しかしながら、将来訴訟等による請求を受け又はその他の形で当社を当事者とする訴訟等の手続が行われる可能性はあり、このような事態が生じた場合、当社の事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(10)個人情報の取り扱いについて

当社は、当社従業員の個人情報に加えて、当社が提供するサービスにおいて顧客の住所、氏名等の個人情報を保持しており、さらには顧客が保有する録画映像や、限定的ではありますが顔認証を用いたサービスにおいては録画映像に映り込んだ第三者の映像などの個人情報に関与するケースがあります。当社は個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報の管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に全面施行された「個人情報の保護に関する法律」や、当局となる個人情報保護委員会が制定した「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」の要求事項の遵守に努めております。当社は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」及び「JIS Q 27001:2014」の認証を2016年5月に取得しており、また情報セキュリティ委員会を定期的に開催し、様々な個人情報を含むセキュリティ対策を定期的な協議を通じ、個人情報保護マネジメントシステムを構築・運用しております。

当社のサービスの提供に際しては、カメラの設定、送付、設置工事など顧客の個人情報を用いる業務の一部を当社の責任において第三者となる業務委託先に再委託する場合があります。その場合においても、国内の法令等を遵守し、適切かつ合理的な方法で業務委託先の安全管理を行っております。

しかしながら、上記の取り組みにも関わらず、自然災害や事故、外部からの悪意による不正アクセス行為及び内部の故意又は過失による顧客情報の漏洩、消失、改ざん又は不正利用等、万一当社又は当社の業務委託先から個人情報が漏洩した場合には、信用の失墜又は損害賠償による損失が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)映像等の流出について

 顧客からの膨大な録画映像は当社が契約するクラウドサービスプラットフォーム上で管理されておりますが、当社の利用規約において、録画映像の知的財産権はそれぞれの顧客に帰属し、当社はこの映像を閲覧することはできない仕組みになっており、顧客の映像データは安全に管理されております。ただし、顧客からの個別の同意のもと、適切な認証プロセスを経た上で、当社や開発パートナーに映像を共有いただき、様々な新サービスの開発検討に活かすことがあります。またカメラ設置時や設置後のサポートの中で、一部の社員に限定して顧客からの同意の元、顧客の映像を共有いただく場合があります。さらに、顔認証を用いた一部のサービスで生成される顔の特徴点などのデータ等については、個人情報保護法上に基づき、当該個人情報の運用を受託されております。

 これらの映像データ等の外部への流出を防止するため、録画映像データはカメラからクラウドへの送信時、クラウド上での保管時、クラウドから顧客への配信時にそれぞれ暗号化を実施しており、万が一、第三者が違法に映像データをその録画、配信経路上、もしくはクラウド上から入手したとしても暗号化されているのでデータを再生して見ることができない設計になっております。また顧客が映像を共有する場合においても、共有相手毎に映像のアクセス権を個別に設定できる仕組みにしており、IDやパスワードの共有による映像流出事故が起きにくい仕組みにしております。その上で社員教育等さまざまな対策を講じております。

 それに加え、膨大なデータを預かるプラットフォームの健全性を保つ取り組みとして、データ憲章の策定・公表に向け、変化する社会情勢の中でプラットフォーマーとしての責務を果たすために必要な取り組みを継続的に議論するため、外部有識者会議を開催しております。会議の参加者は個人情報保護やITに詳しい弁護士、AIの利活用に詳しく憲法学を専門とする大学教授、社外取締役、当社取締役等となっており、年に数回開催し、当社での研究開発や顧客におけるデータ活用に対する啓蒙活動などを協議しております。

 以上の取り組みにも関わらず、不測の事態によりこれらの情報の漏洩や映像データに関するトラブルが発生した場合、当社の企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)法令について

 当社は、電気通信事業法等、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程類を策定し、適宜研修を実施して周知徹底を図っております。しかしながら、今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備が行われる可能性があります。さらに、インターネットは国境を超えたネットワークであるため、海外諸国からの法的規制による影響を受けることも想定されることから、それらが将来的に当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<一般外部環境及びインフラ整備等に関するリスク>

(13)設備及びネットワークの安定性について

当社の事業を支えるサーバーは、当社が契約するクラウドサービスプラットフォームで管理されており、複数のサーバーによる負荷の分散、冗長化、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取り組みを行っております。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのシステムの稼働状況、ログチェック機能やソフトウェア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備しており、また、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しております。

上記取り組みには地域上の負荷の分散、冗長化も含まれており、限定的な火災、地震等の自然災害や外的破損の発生時にもサービスの維持が可能となるよう設計されております。

しかしながら、上記取り組みにも関わらず、例えば日本全土に渡るような大規模災害、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万一、当社が契約するクラウドサービスプラットフォームやネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)サービス等の不具合について

一般的に、高度なソフトウェアは不具合の発生を完全に解消することは不可能であると言われており、当社のアプリケーション、ソフトウェアやシステムにおいても、各種不具合が発生する可能性があります。

当社は、すべての新サービスの開始及び更新前に、専任の品質保証チームによるテストを行うなど、信頼度の高いサービス提供をするための開発体制を維持・構築しておりますが、当社事業の運用に支障をきたす致命的な不具合が発見され、その不具合を適切に解決できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)ハードの不具合について

当社は、販売・貸与する製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保及び事故発生防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。しかし、当社が製造・販売した製品に起因する損害が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(16)製造物責任について

当社は、販売・貸与する製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保及び事故発生防止に努めた上で、各種製品を販売及び製造委託しておりますが、すべての製品に欠陥がなく、将来的にクレーム等が発生しないという保証はありません。また製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を担保できるという保証はありません。さらに当社が引き続き製造物賠償責任保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模な製品の欠陥が生じた場合、それらが多額のコストや当社の評価に影響を与え、その結果、売上が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)新型コロナウイルスの影響について

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言(2020年4月発令)以降、当社では小売・飲食業をはじめとする直販チャンネルでは受注が減少いたしましたが、遠隔業務需要の高まりから2020年7月にリリースした「Safie Pocket2」をはじめとする建設業向けの商品が好調に出荷されております。今後、感染の影響が長期化し、経済活動の停滞によって飲食・小売業の休業・閉店による受注減によるマイナス影響が、遠隔業務需要の高まりを上回るような場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社従業員等においても感染対策を徹底しており、リモート業務の推進もしておりますが、罹患者が発生した場合には、効率的な営業活動が阻害され、想定通りに受注を獲得できないことから予算の達成ができなくなる等、当社の事業の停滞を招く可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)サプライチェーン、自然災害、事故、感染症等について

当社はカメラ在庫を保有して迅速にサービス提供ができる体制を構築しております。自然災害、事故、感染症の発生等に備え、BCPを策定し、トラブル発生時の迅速な復旧体制を構築しております。また顧客へ提供しているサービス及び社内の管理システムはすべてクラウドサービスとなっており、故障機器の交換などの一部のハードウェアに関連する業務を除き、基本的なサービスはすべてリモート勤務体制でも提供が可能です。

しかしながら、当社及び福井県を所在地とする当社が在庫管理を業務委託している株式会社バン・ソフト・コミュニケーション及びその倉庫近辺において、大地震や洪水等の大規模自然災害が発生した場合、当社が保有する商品在庫の損壊やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<内部環境等に関するリスク>

(19)経営管理体制の確立について

当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)人材の育成及び確保について

当社は、積極的に優秀な人材を採用し、社内教育等を行うことによって体制の拡充を図っております。しかし、適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業拡大に向け、特に営業人員の確保が必要となりますが、採用が計画どおり進まなかった場合、あるいは営業人員の流出が生じた場合には、事業拡大の制約となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)特定の人物への依存について

当社代表取締役社長CEOである佐渡島隆平は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。このため、当社は、佐渡島隆平に過度に依存しない体制を作るために、取締役会等における役員間の相互の情報共有や経営組織の強化を図っております。しかし、現状において、何らかの理由により佐渡島隆平が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<その他のリスク>

(22)資金使途について

当社の株式新規公開時に計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、事業拡大に伴い増加する人件費、広告宣伝費等の運転資金及びオフィス増床等の設備資金に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定どおり資金を投入したとしても、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。

また、今後の事業環境の変化や、当社事業戦略等の変更等により、将来において調達資金に係る資金使途に変化が生じる可能性があります。

(23)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役員及び従業員のモチベーション向上のためストック・オプションを付与しており、本書提出日現在、その数は6,682,500株、発行済株式総数の14.6%となっております。なお、これらストック・オプションが行使された場合、既存株主の株式価値を希薄化させる可能性があります。

 

(24)配当政策について

 当社は創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来は経営成績及び財務状況を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存であります。現時点においては、研究開発資金を優先していくことが企業価値向上、ひいては株主利益の最大化につながるものと考えております。

 

(25)過年度における継続的な損失計上について

当社は、過年度において、継続的な事業成長を図るため、積極的な人材採用と既存のソリューションの強化と新しいソリューション開発への投資、顧客基盤拡大のための積極的な広告宣伝活動を実施しており、「第二部 企業情報 第1 企業の概況 1主要な経営指標等の推移」に記載のとおり、2018年12月期(第5期)から最近事業年度である2020年12月期(第7期)において、継続的な売上高拡大が図られたものの、先行投資と位置付けられる研究開発費や一部の人件費、広告宣伝費の計上により、利益面では損失計上が継続しておりました。

当社主力事業である映像プラットフォーム事業は、サブスクリプション型課金モデルであり、継続して利用されることで収益が積みあがるストック型の収益モデルになります。一方で、広告宣伝費などの顧客獲得費用や研究開発費用は先行して計上されるため、短期的には赤字が先行することが一般的です。先行投資の成果として、Safie Pocket2などの新製品と広告宣伝活動により顧客の獲得が進んだ結果、当社で成果指標として重視しているリカーリング収益をあらわすARRは2019年12月末の1,195百万円から、2020年12月末は3,285百万円と順調に増加しております。

この結果、経常損失額も2019年12月期の495,219千円から2020年12月期の97,204千円へ改善しております。

今後は、継続的な利益計上が可能であると考えておりますが、2021年12月期においては、先行投資を継続する予定であり、その後もユーザー獲得や組織規模拡大のための費用負担が拡大した場合には、継続した利益計上が実現できない可能性があります。

 

(26)海外展開について

当社は、現時点では海外展開に対する具体的な計画はありません。ただし、高い成長を実現するため将来的には海外展開を進めていく方針であり、上場後数年以内に海外展開候補先の調査等を進めていくことを検討しております。海外における商習慣や事業環境の差異等を含め、国内における事業展開以上に高いリスクが存在することは否めず、そのリスクに対応しきれない場合や国内と比較してマーケットの開拓や収益化が想定通り進まない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

(資産)

当事業年度末における流動資産合計は2,862,936千円となり、前事業年度末に比べ44,927千円減少いたしました。これは主に先行投資等に伴い現金及び預金が550,235千円、前渡金が58,977千円減少した一方で、事業規模の拡大等に伴い売掛金が485,463千円、商品が67,446千円、前払費用が20,320千円増加したことによるものであります。

当事業年度末における固定資産合計は230,424千円となり、前事業年度末に比べ163,287千円増加いたしました。これは主に本社移転のための敷金保証金の差入れ等に伴い投資その他の資産のその他(敷金保証金及び長期性預金)が177,872千円増加したことによるものであります。

この結果、当事業年度末における資産合計は3,093,360千円となり、前事業年度末に比べ118,360千円増加いたしました

(負債)

当事業年度末における流動負債合計は862,727千円となり、前事業年度末に比べ328,555千円増加いたしました。これは主に事業規模の拡大等に伴い未払金が99,853千円、買掛金が97,125千円、1年内返済予定の長期借入金が66,292千円、未払費用が26,391千円、賞与引当金が30,250千円増加したことによるものであります。

当事業年度末における固定負債合計は135,005千円となり、前事業年度末に比べ110,700千円減少いたしました。これは長期借入金が110,700千円減少したことによるものであります。

この結果、当事業年度末における負債合計は、997,732千円となり、前事業年度末に比べ217,855千円増加いたしました。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,095,628千円となり、前事業年度末に比べ99,494千円減少いたしました。これは当期純損失99,494千円の計上による繰越利益剰余金の減少によるものであります。

この結果、自己資本比率は67.6%(前事業年度末は73.6%)となりました。

 

第8期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)

(資産)

当第2四半期会計期間末における流動資産は3,033,000千円となり、前事業年度末に比べ170,063千円増加いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が70,121千円、商品が60,324千円増加したことによるものであります。

当第2四半期会計期間末における固定資産は303,055千円となり、前事業年度末に比べ72,630千円増加いたしました。これは、投資その他の資産が3,833千円減少した一方で、有形固定資産が76,463千円増加したことによるものであります。

この結果、資産合計は3,336,055千円となり、前事業年度末に比べ242,694千円増加いたしました。

(負債)

当第2四半期会計期間末における流動負債は1,027,053千円となり、前事業年度末に比べ164,325千円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が113,220千円、賞与引当金が30,250千円減少した一方で、買掛金が127,533千円、短期借入金が100,000千円増加したことによるものであります。

当第2四半期会計期間末における固定負債は126,550千円となり、前事業年度末に比べ8,455千円減少いたしました。これは、長期借入金が8,455千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は1,153,603千円となり、前事業年度末に比べ155,870千円増加いたしました。

(純資産)

当第2四半期会計期間末における純資産合計は2,182,451千円となり、前事業年度末に比べ86,823千円増加いたしました。これは、四半期純利益を86,823千円計上したことにより、利益剰余金が同額増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は65.3%(前事業年度末は67.6%)となりました。

b.経営成績

第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が世界的なパンデミックとなったことで、わが国経済だけでなく世界経済にも大きく影響を及ぼし、極めて厳しい状況にあります。また、雇用情勢も厳しさを増すなど、景気の先行きについては今後も厳しく、不透明な状況が続くものと見込まれております。

このような環境下において、当社では、緊急事態宣言(2020年4月発令)中のオフィス出勤者の7割削減の要請を受け、時差出勤、在宅勤務及び自宅待機等の対策を講じ、感染拡大の防止に努めるとともに、遠隔では継続できない業務については感染防止策を講じた上で可能な限り対応してまいりました。

しかしながら、労働環境や社会のあり方自体が大きく変化したことから社会的な遠隔需要は高まり、クラウドカメラ市場のニーズも拡大いたしました。企業や人々が直面する課題の解決に向けて当社が果たすべき役割はますます高まるものと認識しております。

当事業年度の業績については、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言(2020年4月発令)以降、小売・飲食業をはじめとする直販チャンネルでは受注が減少いたしましたが、遠隔需要の高まりから2020年7月にリリースした「Safie Pocket2」をはじめとする建設業向けの商品が好調に推移し、「Safie Pocket2」の受注が増加いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、飲食・小売業の休業・閉店による受注減といった厳しい局面が予想されたため、上半期においては新規採用を抑制し、並行して生産性向上の取り組みを行ったことにより、販売費及び一般管理費のコストを抑制いたしましたが、「Safie Pocket2」の好調をうけて、下半期からは、積極的な人員採用と広告宣伝、新サービス開発投資を行いました。

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高5,047,642千円(前年同期比157.9%増)、営業損失119,573千円(前事業年度は営業損失486,213千円)、経常損失97,204千円(前事業年度は経常損失495,219千円)、当期純損失99,494千円(前事業年度は当期純損失495,587千円)となりました。

なお、当社は映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

第8期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)

当第2四半期累計期間においては、遠隔業務の需要の高まりから「Safie Pocket2」や「Safie GO」などの商材が建設業界のみならず、他の業界での導入も広がり、全社の業績が好調に推移しました。また、課金カメラ台数及び月次売上高の拡大に向けて、人材採用をはじめとした営業体制の強化のほか、新機能のリリース、様々な業界の現場のデジタルトランスフォーメーション推進に向けたプロモーション施策に取り組みました。

この結果、当第2四半期累計期間の経営成績は、売上高3,808,826千円、営業利益95,411千円、経常利益88,574千円、四半期純利益86,823千円となりました。

なお、当社は、映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加、定期預金の預入による支出等の要因により、前事業年度末に比べ550,235千円減少し、当事業年度末には1,540,096千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は317,739千円(前年同期比59.2%減)となりました。これは主に、仕入債務の増加額97,125千円、前渡金の減少額58,977千円等があったものの、売上債権の増加額485,463千円、税引前当期純損失97,204千円の計上等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は188,088千円(前年同期比427.2%増)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出100,000千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は44,408千円(前年同期は2,289,569千円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出64,408千円、長期借入れによる収入20,000千円によるものであります。

 

第8期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)

当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,548,821千円となりました。

当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、87,998千円となりました。これは主に、税引前四半期純利益88,724千円、賞与引当金の減少額30,250千円、売上債権の増加額70,121千円、たな卸資産の増加額59,646千円、仕入債務の増加額127,533千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、57,599千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出37,233千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、21,675千円となりました。これは、短期借入金の純増加額100,000千円、長期借入金の返済による支出121,675千円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社は受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

第7期事業年度における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社は、映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

事業の名称

第7期事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

映像プラットフォーム事業

5,047,642

257.9

(注)1.最近2事業年度及び第8期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第6期事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

第7期事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

第8期第2四半期累計期間

(自 2021年1月1日

至 2021年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東日本電信電話株式会社

212,922

10.9

1,414,757

28.0

1,043,759

27.4

オリックス株式会社

395,992

10.4

日建リース工業株式会社

206,763

10.6

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.第6期事業年度及び第7期事業年度のオリックス株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

4.第7期事業年度及び第8期第2四半期累計期間の日建リース工業株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。

c.キャッシュ・フローの分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して経営者の問題意識と今後の方針

経営者の問題意識と今後の方針に関して経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(カメラクラウドシステム等の提供に関する契約)

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

東日本電信電話株式会社

日本

カメラクラウドシステム等

2018年11月26日

「ギガらくカメラ」に対するSafieのカメラクラウドシステム等の提供に関する契約

2018年11月26日から2019年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新

 

5【研究開発活動】

第7期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

事業年度における研究開発活動については、当社の「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、「家から街までをデータ化し、お客様の意思決定に貢献する」というコンセプトを掲げました。

上記コンセプトに基づき、お客様の業務生産性向上やマーケティング等に貢献するサービスの開発に取り組んでおります。

当事業年度における研究開発費は151,830千円であり、主な研究開発活動は以下のとおりであります。

なお、当社は映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

(1)クラウド録画配信基盤の強化と既存機能の強化

数十万台~百万台規模のカメラ稼働に耐えうるシステム基盤の設計・開発、その保守・運用体制の強化に取り組みました。併せてエンタープライズ用途でも問題なく利用可能とすべく、サービスのセキュリティレベル強化や統合管理機能の強化も推し進めております。

 

(2)「Safie Pocket2」提供開始とその他の新サービスの開発

2020年7月に、遠隔業務を変革するウェアラブル型クラウドカメラ「Safie Pocket2」をリリースしました。昨今ニーズが顕在化した「遠隔業務」にマッチしたサービスとして、多様な業界の現場でご利用いただいております。

また2020年9月にクラウド顔認証入退室サービス「Safie Entrance」をリリースしました。電子錠と連携し、シェアオフィス等での多拠点・多扉の管理が可能で、非接触での入退室も実現しております。

さらに2021年4月には、建設機械向けのカメラ「ドボレコJK」と当社のクラウド録画サービスを連携させる新サービスの提供を開始しました。

 

(3)APIエコノミー戦略の強化

2021年2月に「Safie API」をリリースしました。他社とのAPI連携により、交通量調査や混雑状況の可視化など、映像を活用した新たなソリューションの提供が可能となっております。このAI利用を含む解析システムの強化として、当社が契約するクラウドサービスプラットフォーム上に保管するデータから付加価値情報を抽出し、それらをお客様に提供することにより効率的な課題解決に寄与すべく、物体認識やシーン判定機能の開発、及びそれらを駆動する汎用システムの開発を進めております。

 

 

第8期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)

当第2四半期累計期間における研究開発費は、91,689千円であります。

なお、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。