第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態、経営成績の状況

① 経営成績の状況

当社グループは「映像から未来をつくる」をビジョンに掲げ、家から街まであらゆるビジネスシーンの映像をデータ化することで、人々の意思決定を支援するクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を開発・運営しております。「Safie」は高画質・安価・安全で、いつでもどこでも誰もが簡単にスマートフォンやパソコンで使うことができ、小売・飲食・サービス・建設・物流・製造・インフラ・公共・医療などのあらゆる業界で活用いただいております。

日本国は2040年には働き手が現在の8割になるという「8掛け社会」が到来する(注1)と推定され、人口減少から生じる労働供給制約社会を迎えることは確実であり、人々の生活に多大なる影響を及ぼすと考えられています。労働力不足が深刻化する中、人々の生産性向上に貢献できる企業への期待が高まっており、当社グループを取り巻く市場環境も、こうした動きを追い風としています。

当中間連結会計期間においても、クラウドカメラの用途は防犯カメラにとどまらず遠隔からの進捗確認、ツールとの連携による業務効率化やAIを活用した映像解析による異常検知・予測などに発展しております。あらゆる業界で労働力不足への対応ニーズが急速に拡大する中で、それらの課題に応えるソリューションの開発、提供を推進しています。

当社グループが主要攻略業界の1つである小売・サービス業界では、店舗運営の効率化、危機管理、顧客行動の把握といった課題の解決策としてクラウドカメラの活用が進んでいます。既設(オンプレミス)カメラのクラウド化を可能にするネットワーク接続型ストレージ製品「Safie Trail Station(セーフィー トレール ステーション)」の導入により、既設(オンプレミス)カメラのクラウド移行を手軽かつコストをかけずに実現でき、課金カメラ台数の非連続的な増加を実現できます。これにより当社グループが従来得意領域としていた小規模店舗の少数台のカメラ導入に加え、中・大規模店舗の多台数のカメラ導入も進行できます。さらに、AIソリューション「AI-App」や遠隔接客サービス「RURA(SF)」、コミュニケーション支援インカム「BONX」などの映像データを活用した各種ソリューションと組み合わせることで、カメラ単独では応えられない店舗領域における省人化・無人化ニーズにも対応可能になります。個別導入(点)、多店舗展開(線)、店舗全体の映像データ一元管理(面)を目指す点線面戦術を展開することで、小売・サービス業の多拠点の店舗を持つエンタープライズ企業において「店舗まるごとセーフィー化」を実現し、当社グループのサービス活用のさらなる加速が期待されます。

また、他の主要攻略業界である建設・インフラ業界では、労働力不足や長時間労働の上限規制を背景に生産性向上が喫緊の課題となっています。こうした状況の中、AIやIoTを含んだデジタル技術の活用が推奨されており、現場作業の省人化や自動化に向けて、クラウドカメラや映像データの活用が急速に広がっています。当社グループが提供・開発する屋外向けクラウドカメラ「Safie GO(セーフィー ゴー)」やウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket(セーフィー ポケット)」は、これらの工事現場において、防犯用途だけでなく、遠隔での現場管理の手段としても広く使われており、デファクトスタンダード化が進んでいます。さらに建設現場では、映像データを活用した各種ソリューションの導入も進展しています。例えば、MODE, Inc.のセンサーデータ、株式会社BONXの音声データ、MUSVI株式会社のテレプレゼンスシステム「窓」のように、当社グループの出資先と連携したソリューションを提供し、現場の円滑なコミュニケーションを支援しています。将来的には、映像・AI・センサー・音声など、現場から網羅的に取得したデータをもとに現場に行かずとも施工管理が可能となるデジタルツインの構築を目指しています。着工前の施工管理業務のDX支援にとどまらず、竣工後の保守・点検・メンテナンスに至るまでの一連のプロセスにおいて継続的な管理を可能にし、当社グループが提供するサービスのLTV向上にも貢献しています。

加えて、より迅速かつ容易に、個別最適化したAIを生み出すことのできるプラットフォーム構築を強化しています。2024年10月には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査」において当社の「AIソリューションプラットフォーム事業案」が採択されました。現在、建設現場での不安全行動検知や車両検知、介護現場での転倒検知など、業界特有の課題に対応した実証実験を進行し、その成果をもとにデータホルダーやAI開発者との“三方よし”の価値を提供するプラットフォームの事業化を目指しています。

当社KPIであるARRは2025年6月末時点で12,860百万円(2024年6月末比25.7%増、注2)、課金カメラ台数は31.9万台(2024年6月末比22.7%増、注3)になりました。

カメラ等の機器販売や設置作業費などが含まれるスポット収益は2,519百万円となり、クラウド録画サービス、一部のカメラのレンタルサービスや、LTE通信費、画像解析サービス等を含むリカーリング収益は6,193百万円となりました。

この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高8,713,312千円(前年同期比27.3%増)、営業損失71,501千円(前年同期は営業損失302,262千円)、経常損失83,707千円(前年同期は経常損失329,506千円)となりました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査」により交付された補助金収入275,840千円を特別利益に計上した結果、親会社株主に帰属する中間純利益37,974千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失1,171,233千円)となりました。

なお、当社グループは、映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(注)1.出典元:リクルートワークス研究所:「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」

2.ARR:Annual Recurring Revenue。対象月の月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRRは対象月末時点における継続課金となる契約に基づく当月分の料金の合計額(販売代理店経由の売上を含む)。

3.課金カメラ台数は、各四半期に販売したカメラ台数ではなく、各四半期末時点で稼働・課金しているカメラ台数。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は10,041,695千円となり、前連結会計年度末に比べ204,630千円減少いたしました。これは主に、商品が468,666千円増加、流動資産のその他が106,352千円増加した一方で、現金及び預金が759,531千円減少したことなどによるものであります。

当中間連結会計期間末における固定資産は692,313千円となり、前連結会計年度末に比べ84,849千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券が82,379千円減少したことなどによるものであります。

この結果、資産合計は10,735,106千円となり、前連結会計年度末に比べ288,980千円減少いたしました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は2,018,640千円となり、前連結会計年度末に比べ389,880千円減少いたしました。これは主に、流動負債のその他が197,880千円減少、買掛金が151,809千円減少、賞与引当金が120,355千円減少したことなどによるものであります。

当中間連結会計期間末における固定負債は46,420千円となり、前連結会計年度末に比べ20千円増加いたしました。

この結果、負債合計は2,065,060千円となり、前連結会計年度末に比べ389,860千円減少いたしました。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産合計は8,670,046千円となり、前連結会計年度末に比べ100,879千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益37,974千円を計上したことや資本金が26,444千円増加、資本剰余金が26,444千円増加したことなどによるものであります。

この結果、自己資本比率は80.2%(前連結会計年度末は77.4%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ759,531千円減少し、5,939,701千円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は798,453千円(前年同期は343,233千円)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益145,299千円の発生(前年同期は1,171,998千円の税金等調整前中間純損失)等の増加要因があった一方で、棚卸資産の増加454,369千円(前年同期は17,677千円の増加)、未払金の減少225,343千円(前年同期は112,814千円の減少)、仕入債務の減少151,858千円(前年同期は107,138千円の増加)、賞与引当金の減少120,355千円(前年同期は17,940千円の増加)等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は23,838千円(前年同期は使用した資金47,319千円)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出19,988千円(前年同期は24,319千円)、有形固定資産の取得による支出16,503千円(前年同期は14,494千円)等の減少要因があった一方で、投資有価証券の売却による収入60,831千円(前年同期は該当なし)等の増加要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は15,306千円(前年同期は40,180千円)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入12,000千円(前年同期は30,000千円)、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,290千円(前年同期は9,702千円)等の増加要因があったことによるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、702,860千円であります。なお、主な研究開発活動につきましては、以下のとおりです。

2024年10月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査」に採択された「AIソリューションプラットフォーム事業」では、現在、プラットフォーム基盤の構築に加え、データホルダーやAI開発者との実証実験を進めています。個別ニーズに最適化されたAIをより迅速かつ容易に生み出せるプラットフォーム構築を目指しています。

 

(7)主要な設備

当中間連結会計期間において、当社グループの主要な設備に著しい変動はありません。また、設備の新設、除却等の計画に重要な変更はありません。

 

(8)経営成績に重要な影響を与える要因

当中間連結会計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当中間連結会計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。