文章中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」という目標のもと、慶應義塾大学発ベンチャーとして、世界的な近視の激増、ドライアイによるQOL(クオリティーオブライフ)の低下、老眼の予防治療への強いニーズという社会課題に真正面からチャレンジし、企業価値の増大を目指しております。
当社は、短期的な利益の最大化よりも、社会課題を解決するという大きな課題に長期にわたって真正面から取り組み、特許に繋がる発明(Invention)×パートナー企業との協働によって実現する社会実装(Implementation)によって確実なイノベーションを起こしていくCSV経営(注)を実現し、パートナー企業とともに新たな社会価値を創造し、長期的な視野で企業価値の最大化を図ってまいります。
(注) CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を自社の強みで解決することで、企業の持続的な成長へとつなげていく差別化戦略であります。
当社は、各パイプラインの事業化(上市)を目指して共同研究または実施許諾を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいります。
当社は、近視、ドライアイ、老眼の3つの重点領域において、先進的な研究を行っております。
当社の目標とする将来的なビジネスモデルは、当社の研究開発力を活かし、他社との共同開発によって上市された製商品によるロイヤリティ収入を上げることであります。現在はロイヤリティ収入の基盤となる基礎研究段階であり、その研究成果を評価するパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、今後も基礎研究の強化を図ってまいります。
当社のビジネスモデルは、パートナー企業との共同研究開発契約及び実施許諾契約による契約一時金、マイルストーン・ペイメント並びに事業化後(上市後)のロイヤリティ契約によるロイヤリティ収入であります。当社のような小規模のバイオベンチャーにおいては、強固かつ効率的な共同研究開発体制の構築は、研究開発活動の質の向上及び製造能力の確保の観点からも重要な課題であります。国内事業開発においては、今後も国内の多くの有力企業と共同研究開発を行うため適切なコミュニケーションを図りつつ、事業開発の強化を図ってまいります。
また、海外事業開発においては、近視、ドライアイ、老眼は世界共通の大きな課題であるため、海外の有力企業とのパートナーシップを構築し、共同研究開発を行うため、事業開発の強化を図ってまいります。
CSV経営(注)1を目指し、OKR(注)2を導入し企業体質の強化を図ってまいります。
(注)1.CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を自社の強みで解決することで、企業の持続的な成長へとつなげていく差別化戦略であります。
2.OKR(Objective and Key Results)とは、会社として達成したい目標をブレークダウンしたものであり、会社が長期で成し遂げたいビジョンやミッションに紐づくものであります。
他のバイオベンチャーと同様に当社も新規性のある医薬品及び医療機器の研究開発を行っていることから、個々の研究員には非常に高度な専門性が要求されております。現在ほとんどの研究員が業務委託になっております。しかしながら、事業の安定的継続的な発展のためには独自の研究室、独自の研究員をそろえる必要があると考え、専門性を有する当社独自の研究員を採用してまいります。
また、大学発ベンチャーでは、サイエンスが強くてもビジネスの観点から評価が得られないという現状があり、そのため、新規株式上場によって信用力や知名度を向上させ、世界からより多くのビジネス人材を確保し、今後拡大・加速していくことが予想される事業スピードに対応してまいります。
当社にとって共同研究開発体制の構築は重要な課題であり、また株主を含めたステークホルダーとの良好な関係も重要な課題であります。社外関係者との良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。特に、当社の取引先は主に上場企業、医療機関、公的な研究機関でありますので、共同研究開発体制を構築し、取引関係を維持していくには、当社も社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く有効なバイオテクノロジーを提供していく社会的責任を果たす必要があると認識しております。
そのため、当社は小規模ではありますが、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制及び人員増を含めた管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査人と監査役との連携強化等の施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。
当社はバイオベンチャーであり、実際の製品化までの研究開発活動において年単位の時間を要するものであります。製品化までの研究開発活動において設備投資、人材の採用・育成及びその他事業活動に多額の資金が必要となってまいります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、研究開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。
慶應義塾大学医学部眼科学教室のみならず、順天堂大学医学部、慶應義塾大学理工学部との共同研究がスタートしております。将来安定した研究開発を行うためには慶應義塾大学医学部だけとの関係に依存するのではなく、これらの違った技術を持ち、なお且つ研究所が確保できる大学との協力体制の構築が必要と考えており、他大学、他学部との共同研究契約や寄付講座等を含めて進行してまいります。
当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性がある主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
当社は、医薬品、医療機器等の開発を行っていますが、医薬品、医療機器等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
また、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
医薬品及び医療機器の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬等の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。
これは、当社のパイプラインを他社に導出した場合も同様であり、当社が研究開発を行った医薬品及び医療機器候補及び他社に導出した医薬品及び医療機器の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
医薬品及び医療機器には、臨床試験段階からさらには上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があり、当社に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の属する医薬品及び医療機器業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品、医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けております。
医薬品及び医療機器は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月が必要となります。研究開発期間中に当初は見込んでいない法的規制の改定等により、医薬品及び医療機器として規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、当社開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品、医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:3年以内、影響度:中
当社は、上場時の公募増資等により調達した資金を用いて、研究開発の強化及び研究員を拡充することとしております。
当該計画に基づき、研究開発力を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入する方針であり、上場後2022年以降も引き続き、特定臨床研究費及び治験費への投入を計画しております。しかしながら、研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
医薬品及び医療機器業界は、国内外の製薬企業、バイオ関連企業、研究機関等が激しく競争しており、技術革新が急速に進む環境下にあります。このため、これらの競合先との競争の結果により、当社が導出した開発品あるいは研究開発中の開発品が市場において優位性を失い、研究開発の中止を余儀なくされるおそれがあります。また、当社の開発品がいち早く上市できた場合でも、これらの競合先が優位性のある製品を市場に投入し、当社の市場シェアが奪われる場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、事業拡大戦略の一環として、海外展開を行ってまいります。進出にあたっては、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行っておりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに事業展開が進展しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が携わる研究開発領域は、技術の革新及び進歩が著しく速いバイオテクノロジー分野に属しております。そのため、当社は、大学、公的研究機関及び大手製薬会社等との連携を通じ、最先端の研究成果・情報を速やかに導入できる体制を構築する予定であります。
しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品及び医療機器の研究開発において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合、当社の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、開発中の医薬品及び医療機器に関し、パートナーである有力企業又は製薬会社等と共同研究開発契約及び実施許諾契約を締結しており、パートナーと締結する共同研究開発契約による契約金並びに現在開発中のパイプラインの導出時の契約一時金、開発進捗に伴うマイルストーン・ペイメント及びロイヤリティ収入等による収入を元にした事業収益計画を有しております。
しかしながら、このような提携契約には、パートナーによる解除が可能である旨の条項が含まれていることがあるため、パートナーの経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。現時点では現在のパイプラインに対してこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が期間満了前に終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
また、当社がパートナーに導出した医薬品及び医療機器候補は、パートナーが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、導出後もパートナーをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はパートナーが行うものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞が発生し得ること、臨床試験及び承認申請が断念されることによりマイルストーン・ペイメントやロイヤリティが得られず、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
なお、当社では今後、こうした開発中のパイプラインの中断や中止による経営成績や財政状態への影響を避けるため、パイプラインの複線化を行うとともに、早期より共同研究開発パートナーとの提携や導出することによって将来収益の一部を受けることと引き換えにリスクの低減を行ってまいります。また、技術的問題が要因で開発が中断した際には、成功確率がより高いターゲットへ研究資源の再配分を実施いたします。一方でパートナーの戦略的判断による中止の場合で当社が開発継続に合理性があると判断する場合は、自社又は別のパートナーとの共同研究によって開発を継続することを検討いたします。
その他、医薬品及び医療機器の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、パートナーの組織再編、競合他社による買収(競合他社から買収される)等、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のパートナーに生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の販売先のうち、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 c. 販売実績」に記載のとおり、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がロート製薬株式会社及びマルホ株式会社の2社となっております。当社といたしましては、特定顧客への依存度を引下げるため、大口新規顧客の開拓、既存顧客の深耕開拓に注力しておりますが、見込みどおりに顧客開拓が進まず、かつ、同社の業績が悪化した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。現時点において、経営上の重要な契約の相手先とは、当該契約の遂行に支障をきたすような事象は発生しておりませんが、今後において、当該契約の期間満了、相手先の経営状態の悪化や経営方針の変更による契約解除その他の理由による終了、若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っております。特に研究開発本部では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、パートナー企業との協力・協業によって研究開発活動を遂行しております。当社は、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しております。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係の構築を推進してまいりますが、当社の計画どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の計画を下回る場合、若しくは提携関係が当社の意図に反して解消された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の研究開発活動は、研究開発の各段階において外部委託研究員と広範な提携関係を構築し研究開発活動を行っており、研究開発活動において重要な役割を果たしております。
当社では、これらに外部委託研究員に過度に依存しない研究開発体制を築くために、研究開発体制の強化を図っております。しかしながら、当面の間はこれら外部委託研究員への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状態において、これら外部委託研究員の研究開発活動への関与が何らかの理由により困難となった場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の収益は、原則として(a)契約金に始まり順次、(b)成功報酬(マイルストーン・ペイメント)、(c)売上ロイヤリティで構成されております。
(a)契約金、(b)成功報酬(マイルストーン・ペイメント)は、当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(b)について、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであり、研究開発結果により達成が困難となり共同研究開発が終了し、それ以降の収益が計上できなくなる可能性があります。
(c)売上ロイヤリティに至っては、パートナー企業における業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは困難な収益であります。そのため、当社の計画に対してパートナー企業における販売スケジュールの遅れや販売計画に変更等があった場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。
この点、収益計上額の大きな変動若しくは、収益計上の時期の変更等により、将来的な剰余金の分配について遅れる可能性があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、医薬品等業界又はその他専門分野での経験を有する人材を登用することに努めておりますが、企業体としての経験はいまだ浅く、今後予測できない事業上の問題等が発生し、これに対応する人材を確保できない場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、医薬品等を取り扱う企業としては小規模組織であるために、役職員一人一人が担当する業務及び責任範囲は相対的に広範となる場合が多く、退職あるいは休職等に対応する補充要員が十分でない環境にあります。今後の事業拡大に伴い、必要な人員増加を図ってまいりますが、多くの人材流出等があった場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しております。そのため、常に必要とされる人材の確保と育成に努めておりますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では研究開発をはじめとする事業展開において知的財産を使用する場合があり、必要に応じて使用許諾を他社から受けてまいります。
また、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた他社の研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が他社により開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
役員、従業員等の職務発明の発明者から特許等を譲り受ける場合、当社は特許法に基づき相当の対価を支払わなければなりません。当社では「職務発明取扱規程」を設けておりますが、これまで発明者との間で問題は生じておりません。しかしながら、将来、発明者との間で対価の支払請求等について問題が生じる可能性があります。その場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:15年以内、影響度:大
当社はこれまで、慶應義塾大学医学部眼科学教室の教授を務めていた坪田一男が近視、ドライアイ、老眼の医療機器、医薬品等の開発を目的に設立した企業であり、坪田一男を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、坪田一男の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と慶應義塾大学医学部眼科学教室との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。
また、坪田一男は、当社の筆頭株主であり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置づけを有しております。
当社は、今後においても坪田一男の当社への関与が重要であると考えており、何らかの理由により坪田一男の関与が困難となった場合等には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、自社での研究活動の他、慶應義塾大学医学部眼科学教室と共同研究を実施しており、特許権について共同保有する等しております。外部委託研究員の多くが慶應義塾大学にも所属しております。
当社は同大学から、商業化を行う大型特許については、全て買取をしておりますが、まだ商業化を計画していない一部の特許については買取をしていないため、今後同大学との間で、共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結した場合は、当該契約に基づき、上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を慶應義塾大学に支払うことになります。
また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われる等の事態が発生した場合や同大学との取引が継続できない事態が発生した場合は、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
⑳ 情報管理に関する事項
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社に関してマスコミ報道等において事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:10年以内、影響度:中
本書提出日現在において、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが終息する見通しは立っておらず、先行きはいまだ不透明な状況であります。
当社においては、本事象による当社事業への影響について注意深く精査しております。2020年4月より、当社従業員及び外部委託研究員に対して可能な限り在宅勤務とすること、マスク着用、手洗いやうがいの徹底、検温といった予防策を講じております。今後、当社従業員において新型コロナウイルス感染が認められた場合、研究開発活動に影響を及ぼす可能性があります。
パイプラインの臨床試験については、本書提出日現在においては遅延等の顕在化したリスクはありません。
なお、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社の事業活動に影響が及ぶ可能性があります。社会情勢が大きく変化するなか、中長期的に安定した経営を行うために、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保する必要があります。運転資金を確保することを目的に、バックアップラインとして金融機関との間で、2020年7月に金銭消費貸借契約を締結しております。
発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、東京都新宿区に本社及びラボを設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社創業者かつ代表取締役社長である坪田一男の本書提出日現在での議決権所有割合は、直接所有分として53.79%であります。また、坪田一男の資産管理会社である株式会社坪田及び二親等内血族の議決権を合算した所有割合は68.72%となっており、引き続き大株主となる見込みであります。坪田一男は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しています。
坪田一男は、当社の創業者かつ代表取締役社長であるため、当社としても安定株主であると認識していますが、将来的に何らかの事情により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は本書提出日現在において27.24%であります。今後、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
今後は、大株主からの売出、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針でございます。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、緊急事態宣言の再度発出、まん延防止等重点措置の再適用で経済活動が大きく制限されました。また、原油価格や原材料価格の上昇が個人消費に与える影響、混沌とした世界情勢、特にウクライナ情勢等、依然として先行き不透明な厳しい状況が続いております。
このような環境の中、当社は慶應義塾大学発ベンチャーとして、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする”をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」という目標のもと、新型コロナウイルス感染症の感染防止を第一に、自宅勤務、時差出勤、事務所及び研究室の衛生管理等を実施し事業活動を行ってまいりました。研究開発では、「両利き経営」の概念のもと、基礎研究(発見・新規知財)の継続及びパートナー企業との共同研究開発(深堀・知財の導出)を強化してまいりました。事業開発では、ドライアイ領域での特許実施許諾契約(TLM-001)の締結、近視領域での共同研究契約(TLM-003)のマイルストーン達成及び契約対象国追加による実施許諾契約、共同研究契約の追加覚書の締結、老眼領域での業務委託契約(TLM-006)のマイルストーン達成、脳領域での共同研究契約(TLG-005)のマイルストーンを達成いたしました。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高は640,921千円(前年同期売上高687,502千円)、営業利益は136,169千円(前年同期営業利益250,242千円)、経常利益は202,340千円(前年同期経常利益255,838千円)、当期純利益は153,319千円(前年同期当期純利益201,609千円)となりました。
なお、当社は研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して539,217千円増加し、1,617,795千円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比較して511,143千円増加し、1,515,127千円となりました。これは主に、当期純利益の獲得、共同研究契約の前受研究費等による現金及び預金の増加564,156千円及び当社パイプラインであるTLG-001の治験費用等による仕掛品の増加85,235千円であった一方で、前事業年度に達成したマイルストーン・ペイメントの回収等による売掛金の減少144,144千円によるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比較して28,073千円増加し、102,667千円となりました。これは主に、研究用機器の導入による工具、器具及び備品の増加24,588千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して385,897千円増加し、873,442千円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比較して410,377千円増加し、674,102千円となりました。これは主に、共同研究契約の前受研究費等による契約負債(前事業年度は前受金)の増加484,900千円によるものであります。
固定負債は、前事業年度末と比較して24,480千円減少し、199,340千円となりました。これは、長期借入金の返済による減少24,480千円によるものであります。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して153,319千円増加し、744,353千円となりました。これは、当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加153,319千円によるものであります。
当事業年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、564,156千円増加し、当事業年度末には1,174,929千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は654,914千円(前年同期は36,724千円の収入)となりました。
これは主に、税引前当期純利益202,340千円、売上債権の増減額144,144千円及び契約負債(前期は前受金)の増減額484,900千円の増加要因があった一方、棚卸資産の増減額85,235千円及び法人税等の支払額85,761千円の減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は72,228千円(前年同期は43,602千円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出72,228千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は18,530千円(前年同期は236,972千円の収入)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出18,530千円によるものです。
当社は直接的な生産活動は行っておりませんが、製造原価の品目としては経費のみであることから、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。
当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。
販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、前事業年度のマルホ㈱に対する販売実績はありません。また、当事業年度の大日本住友製薬㈱(現 住友ファーマ㈱)に対する販売実績は当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当事業年度末の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。
・売上高
当事業年度の売上高は640,921千円(前期比46,581千円減)となりました。これは主に、ドライアイ領域の実施許諾契約を締結したことによる、契約一時金100,000千円及び近視領域の実施許諾契約及び共同研究契約の追加覚書を締結したことによる、契約一時金、マイルストーン・ペイメントの合計416,000千円の計上によるものであります。
・売上原価、売上総利益
当事業年度の売上原価は83,903千円(前期比3,165千円増)となりました。これは主に、脳領域における研究費の計上によるものであります。その結果、売上総利益は557,018千円(前期比49,746千円減)となりました。
・販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度の販売費及び一般管理費は420,848千円(前期比64,325千円増)となりました。これは主に、事業拡大による人件費167,511千円(前期比33,816千円増)、研究開発強化による研究開発費116,972千円(前期比8,750千円増)、減価償却費28,258千円(前期比14,063千円増)等の計上によるものであります。その結果、営業利益は136,169千円(前期比114,072千円減)となりました。
・営業外収益、営業外費用、経常利益
当事業年度の営業外収益は67,201千円(前期比60,252千円増)となりました。これは主に、脳領域における研究開発等の助成金収入66,101千円(前期比61,513千円増)の計上によるものであります。営業外費用は1,030千円(前期比321千円減)となりました。これは主に、支払利息1,027千円(前期比273千円減)の計上によるものであります。その結果、経常利益は202,340千円(前期比53,498千円減)となりました。
・特別損失、法人税等合計、当期純利益
当事業年度の特別利益、特別損失の計上はありません。当事業年度の法人税等合計額は49,021千円(前期比5,208千円減)となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税を47,408千円(前期比10,369千円減)計上したことによるものであります。これらの結果を受け、当事業年度の当期純利益は153,319千円(前期比48,289千円減)となりました。
財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、各パイプラインの事業化(上市)を目指して実施許諾または共同研究開発を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいりました。当事業年度の達成状況につきまして、売上高については、ドライアイ領域での特許実施許諾契約(TLM-001)の締結、近視領域での共同研究契約(TLM-003)のマイルストーン達成及び契約対象国追加による実施許諾契約、共同研究契約の追加覚書の締結、老眼領域での業務委託契約(TLM-006)のマイルストーン達成、脳領域での共同研究契約(TLG-005)のマイルストーンが達成したことにより640,921千円となりました。また、研究開発費については、116,972千円となりました。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」並びに「第2 事業の状況 5研究開発活動」に記載のとおりであります。
今後もパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、基礎研究の強化を図るとともに、国内に展開している各パイプラインを海外へと横展開を推進し、各パイプラインの進捗状況等を目標に努めてまいります。
なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社のパイプライン」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資資金となります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。
当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。
仕掛品の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。
当該収益性の見積りには、マイルストーンの達成などの将来の未確定事象に係る見積要素が含まれており、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであります。
そのため、翌事業年度において、研究開発結果によりマイルストーンの達成が困難となり共同研究開発が終了した場合には、損失が発生する可能性があります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」ということを経営方針としております。この経営方針実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。
(注) 上記契約の対価として契約一時金及びマイルストーン・ペイメントを受けとっております。
(注) 上記契約の対価として契約一時金及びマイルストーン・ペイメントを受けとっております。
(注) 基本合意契約は原契約である実施許諾契約の締結を確約するものではありません。今後協議の上、詳細条件につき合意に至った場合は、所定の手続きの上、契約締結する予定であります。
当社では、近視、ドライアイ、老眼に関する研究開発に注力しており、当事業年度における研究開発費は
各領域に関する研究開発活動は以下のとおりであります。
近視領域では、当社が特に注力しているバイオレットライトによる近視進行抑制の研究を進めております。近視は日本での失明原因の第4位となっている重大な疾患でありますが、いまだその進行を抑制する方法は確立しておらず、社会的な急務となっております。
近視の発症や進行の根本的な機序がいまだ不明である中で、当社の画期的な研究成果として、バイオレットライトによる近視進行抑制効果が挙げられます。当社の一連の研究で、ヒヨコ近視モデル及び学童近視、成人強度近視におけるバイオレットライトの近視進行抑制効果が明らかとなり、その分子メカニズムとして転写因子EGR1(*1)の関与が示唆され、またマウス近視モデルの確立にも成功しております。さらに、フードファクターである(*2)クロセチンに近視進行抑制効果があることも発見いたしました。
当社の共同研究開発先として慶應義塾大学医学部のリサーチパークプロジェクト公募に「近視予防法の確立とその治療標的となる分子機序の同定」が採用され、さらに研究が加速しております。特にバイオレットライトによる近視進行抑制の根本的な機序解明を、進化的、生物学的な必然性から検証してきております。
また、当社ではバイオレットライトが近視だけでなく、うつ病や認知症等を制御することを新たに発見いたしました(特願2019-565489)。現在までにバイオレットライトの照射によって脳波を含めた脳機能を制御し、うつ病の治療に効果を持つ可能性が示されております。バイオレットライトによって活性化する光受容体であるOPN5が眼の機能だけでなく、脳波誘導や脳機能にも重要だと考えられます。副作用がなく簡便に利用可能なバイオレットライトを用いた機器TLG-005は、薬に代わる新しいうつ病治療法として期待されております。また、うつ病だけでなく認知機能の改善も研究成果が得られていることから、バイオレットライトという光環境を適切にコントロールすることで新しい脳機能制御及び疾患治療法の開発を目指し、様々な大学や企業との共同研究を活発に進めております。
さらに、当社では円錐角膜に対するバイオレットライトによる新しい治療法「ケラバイオ」(*3)の研究を進めております。円錐角膜は、ハードコンタクトレンズで視力矯正を行いますが、重症化した場合は角膜移植に至ることがあります。角膜クロスリンキング(*4)の登場により、病期の進行を遅延できるようになりましたが、この手法は手術時に角膜上皮を剥離するために疼痛を伴い、まれに角膜感染症を生じることがあります。当社はこうした合併症を回避し、低侵襲で治療可能なバイオレットライト眼鏡型治療機器TLG-003を開発いたしました。これまでにTLG-003装用とリボフラビン点眼を組み合わせた探索的臨床研究を実施し、良好な有効性と安全性を確認いたしました。
ヒト角膜内に含まれている内因性リボフラビンに着目してリボフラビン点眼を一切使用せず、TLG-003単独で治療する臨床研究も進めております。ケラバイオは、手術ではないため在宅での治療が可能で患者様の負担が少ない治療法であります。特に角膜クロスリンキングを行うにはハードルが高い発症早期の小児円錐角膜をターゲットとした展開を考えております。TLG-003を医療機器として上市するために、治験やステークホルダーの整備を現在進めております。
ドライアイ領域の研究では、ドライアイにさせたマウスを用いて、薬剤やフードファクターのスクリーニングができる体制を築いてきました。マウスにストレスを与えて風を当てると涙が減ることに着目し、豊かな環境で育てたマウスは涙が減らないことを世界に先駆けて発見し、点眼薬の開発にとどまらず、ライフスタイルに介入したドライアイ薬剤サプリメントの開発を行っております。また、なぜ涙が出なくなるのかという根本的課題に対しては、高次脳機能に最先端のニューロサイエンス(神経科学)的手法や生体イメージング技術を用いて挑み、涙が出るサプリメントの開発を進めております。
当社は、涙によいフードファクターとして、既にローヤルゼリーやマキベリー、乳酸菌WB2000、ケルセチン(*5)を発見しており、一部は既に商品化に成功しております。
また、環境湿度を高めると眼が乾燥しなくなるという基本原則に則り、眼の環境湿度や温度をコントロールする機器の開発を行っており、既に第一世代の「JINS PROTECT MOIST」は共同研究開発先である株式会社ジンズホールディングスから発売されております。
老眼領域では、老眼の原因である加齢とともに水晶体が硬くなるという根本的な課題に対し、研究を進めております。当社は水晶体の硬さを測定する装置を開発し、乳酸菌やレスベラトロール(*6)が水晶体の硬化予防に効果があることを発見し、現在サプリメントへの開発を進めております。
また、慶應義塾大学医学部生化学教室と共同で、水晶体の代謝の網羅的解析研究の結果、加齢により水晶体が硬くなるばかりでなく、肝臓や心臓、脳、そして筋肉等全身が硬くなることを発見いたしました。既存薬再開発(*7)から見つけた薬剤は水晶体の硬化を抑えることに加えて、体全体の硬化も抑えることから、抗加齢薬としての期待がもたれます。
さらに、当社では水晶体の硬さを超音波とOCT(*8)のデータを用いて無侵襲に解析する装置を開発しており、この機器の開発によって水晶体硬化の本研究は飛躍的に進むものと期待されております。
<用語解説>