文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
日本の広告費におけるインターネット広告の占める割合は益々大きくなり、その流れは日々加速しています。あらゆる業種業態のクライアントにおいて、インターネット広告の導入・活用が必要となるシーンが増え、当社の事業機会も拡大しました。その一方で、インターネット広告のテクノロジーの進化速度が極めて早く、毎日のように新たな広告配信手法が登場しているため、クライアント企業の内部人材だけでは、マーケティング課題にどのような手法で向き合い対処すべきかを適切に判断できない状況も増え続けています。
こうした環境下においては、インターネット広告を最適に活用することが企業の競争力を左右します。クライアント企業の情報発信を最適なデジタルソリューションを用いてサポートすると同時に、膨大な情報に飲み込まれているエンドユーザーに本当に必要な情報をお届けすることが求められます。しかしながら、エンドユーザーの生活様式の変化とそれに伴う購買行動の変化は、非常に大きく急激です。特に、新型コロナウイルスの流行は、この変化を加速させ将来予測を困難にしました。このような不確実性の高い状況においては、エンドユーザーに起こっている変化を迅速に捉え、マーケティング施策に適切に反映することが極めて重要なポイントとなります。激変の時代に対応するにあたり、当社は、経営理念を「カスタマーの意思決定を円滑に」と定義して、クライアントとエンドユーザー双方の利益成長に貢献することを志しています。
(2) 経営戦略等
当社は「アジャイル広告運用」「CdMO(チーフ・デジタル・マーケティング・オフィサー)」「LIFT+」という3つのサービスを、クライアントの状況に応じてご提供しています。各サービスは、それぞれターゲットとする企業群が異なります。「CdMO」は、大手クライアント企業様向けにフルカスタマイズで、包括的なマーケティング支援を行うサービスです。広告運用に関しては、中堅~大手企業様に対して、急速な消費者の変化にも柔軟に対応できる「アジャイル運用」をご提供しています。各サービス単独での提供のほかに「CdMO」と「アジャイル広告運用」と有機的に組み合わせてご提供をしております。さらに、それらのサービスから得た知見を活かし、小規模事業者様やスタートアップ企業様など広告予算が限定的なお客様に対しても最適なデジタル施策を低価格でご提供する「LIFT+」をご用意しています。
「アジャイル広告運用」「CdMO」「LIFT+」は、有機的につながっています。それぞれのサービスで得られた知識及び経験を、他サービスに転用・展開できるように社内連携の仕組みを設計し、各サービスのクオリティを維持・向上させると共に、それらを柔軟に組み合わせてご提供することが当社のトレーディングデスク事業の独自性を高めております。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社は、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益を重要な経営指標として位置付けております。
(4) 経営環境
インターネット広告業界における市場規模は、株式会社電通の『2020年日本の広告費』によると、2019年度で約2兆1,048億円、2020年度で約2兆2,290億円となっております。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビというマスコミ4媒体の広告費がデジタル広告にシフトしており、2019年度にはインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回りました。自社プラットフォームを保有する媒体社も、運用型の機能拡充とその広告販売に一層注力し始めております。また、各種コンテンツメディアについては、収益基盤となる運用型広告プラットフォームの活用を進めております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1. 今後の成長の核であるトレーディングデスク事業における、顧客ニーズに合わせた柔軟なサービス提供による顧客基盤の強化。
イ 大企業様に対しては、 CdMOサービスとアジャイル広告運用を組み合わせた「包括的・統合的なマーケティングパートナー」としての役割を果たすべく、以下のアクションを行います。
①デジタルマーケティングの十分な知識と経験に加え、デジタルに限らないマーケティング全般の知識を保持し、広範かつ構造的にソリューションを提示できる人材を育成します。そのために、コンサルティング経験者等のハイスキル人材の採用と、入社後の教育体制の充実を推し進めます。
②既存顧客との関係性深化を目指します。デジタルアドに関するより深い知見を提供して信頼を得ると共に、デジタルマーケティング領域及びデジタルに限らないマーケティング全般に関しても積極的にクライアントのキーマンに情報提供を試み、幅広いコミュニケーションにより価値提供の機会を探ります。
③新規顧客開拓を推進します。上場によって得られる知名度を核にして、大企業向けのドアオープンを直接及び大手代理店経由を問わず積極的に強化します。
ロ 中規模企業様に対しては、アジャイル広告運用を主軸に据えた「成果に直結する広告運用のスペシャリスト」としての役割を果たすべく、以下のアクションを行います。
①広告運用スペシャリストの育成・採用を拡充します。特に、経験者採用の拡充と、当社独自の方法論を身に付けるための育成プログラムの確立及び教育体制の構築に注力します。
②広告媒体社やパートナー企業との密連携を維持し、最新情報の取得を継続します。また、媒体社の認定プログラムへの参加及び共同勉強会の実施等により、技術変化や業界動向を敏感に捉え、当社の方法論をアップデートします。
③社内のナレッジ蓄積と共有を強化します。個別案件から得られた学びを社内に蓄積し、組織全体でPDCAを回します。これにより、当社の方法論が強化され、アジャイル広告運用サービスの高速進化が実現されます。
ハ 小規模事業者様及び、事業立ち上げ期の企業様に対しては、当社独自開発のパッケージ型広告運用サービス「LIFT+」を活用し「事業規模拡大を担う高効率な営業パーソン」としての役割を果たします。個別クライアントの事業状況や広告予算に応じたマーケティング施策の活用方針をご提案します。また、クライアントの事業成長フェーズに合わせ、適切なタイミングで、より高度な施策への取り組みを支援します。
①デジタルマーケティングの実施経験が少ないクライアントに対して、平易な文言でわかりやすくサービスをご説明・サポート出来るコンサルタントを増員します。お客様の状況を把握し、事業の実態に合わせて、運用方針や活用サービスを組み替える「提案力のある営業チーム」を組成します。
②広告運用スペシャリストを増員します。特に、小規模事業者様にニーズの高い「LIFT+」を活用できる人材を育成します。そのために、ノウハウの形式知化、マニュアル化、及び、社内の教育サポート体制を強化します。
③サービス認知度の向上を目指します。web広告やセミナー/ウェビナーを実施し、認知獲得から興味関心、サービス理解までを一息に推し進めることで、受注効率の向上を狙います。
④内部管理体制を強化します。特に、反社会的勢力の排除と、信用力調査及び貸倒リスクヘッジのために、必要な手続きを定め、ルールに基づいた運用を徹底します。
2. コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社が継続的な成長を維持するためには、事業拡大だけではなく、コーポレート・ガバナンス体制の強化とコンプライアンス体制を強化することが重要であると認識しております。そのため経営の公平性、透明性、健全性を確保すべく、社外取締役、監査役監査体制、内部監査及び内部統制システムの整備等によりその強化を図ってまいります。
3. 内部管理体制の強化
当社は現在成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、内部管理体制強化に取り組んでまいります。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載事項は、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。また、以下の事業等のリスクは、全ての事業活動又は投資判断上のリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 市場動向について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の事業領域であるインターネット広告業界における市場規模は、株式会社電通の『2020年日本の広告費』によると、2019年度で約2兆1,048億円、2020年度で約2兆2,290億円となっております。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビというマスコミ4媒体の広告費がデジタル広告にシフトしており、2019年度にはインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回りました。自社プラットフォームを保有する媒体社も、運用型の機能拡充とその広告販売に一層注力し始めております。また、各種コンテンツメディアについては、収益基盤となる運用型広告プラットフォームの活用を進めております。さらに、Eコマースメディアにおける広告市場も急速に成長しており、今後もインターネット広告市場規模は拡大していくと見込まれております。しかしながら、インターネットに限らず、広告事業は一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。今後、景気の悪化、広告予算の減額、または市場規模が想定したほど拡大しない場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② 技術革新について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社はインターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい分野となっております。また、広告を表示するデバイス面においては、スマートフォンやタブレット等の端末の普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社は最新の技術動向や企業ニーズ等に注視するとともに、新技術及び新サービスの開発を継続的に行うために、優秀な人材の確保及び育成に取り組んでおります。しかしながら、激しい環境変化への対応が遅れた場合には、当社の事業の陳腐化、競争力の低下が生じる可能性があります。また、環境変化への対応のために新技術及び新サービスに多大な投資が必要となった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 競合について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
インターネット広告市場においては多くの企業が事業展開をしております。当社は、インターネット広告市場において当社が蓄積してきたノウハウや優秀な人材を活かして、高付加価値サービスの提供等に取り組み、競争力の向上を図っております。
しかしながら、当社と同様のサービスを展開する企業等との競合激化や優秀な人材の確保ができず十分な差別化が図られなかった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 法的規制について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
現在のところ、当社の事業領域であるインターネット広告事業に関する直接的な法的規制はございませんが、インターネット広告業界の自主規制としては、1999年5月にインターネット広告推進協議会として発足し、2015年6月に日本インタラクティブ広告協会(Japan Interactive Advertising Association:以下、「JIAA」という)と改称した一般社団法人が、「インターネットを利用して行われる広告活動が、デジタルコンテンツやネットワークコミュニケーションを支える経済的基盤である、という社会的責任を認識しながら、インターネット広告ビジネス活動の環境整備、改善、向上をもって、クライアントと消費者からの社会的信頼を得て健全に発展し、その市場を拡大していくこと」を目的として活動しております。現在はこのJIAAへの加盟が、インターネット広告業界企業の健全性を示すこととして認識されているため、JIAAへの加盟及び行動憲章の遵守等が影響を与えております。当社は2018年8月にJIAAに加盟しております。
また、その一方で顧客業界への法的規制等が、当社業界に間接的な影響を与える可能性があります。たとえば、顧客企業が個人情報を扱う場合、「個人情報の保護に関する法律」の規制を受け、当該法律に違反すると、刑事罰のみならず多額の民事賠償が発生することもあり、顧客企業の経営に影響を与え、その結果取引が減少する可能性があります。同様に、2018年5月からEU諸国にて施行された「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下「GDPR」という)」は、IPアドレスやCookieのようなオンライン識別子も新たに個人情報とみなされるようになり、取得する際にはユーザーの同意が必要となりました。このGDPRに違反すると、最大で企業の全世界年間売上高の4%以下もしくは2,000万ユーロ以下のいずれか高い方が適用され、EU諸国に子会社や支店等を有している日本企業、日本からEU諸国に商品やサービスを提供している日本企業、EU諸国から個人データの処理について委託を受けている企業等の経営に大きな影響を与え、 その結果取引が減少する可能性があります。その他、クライアントから委託を受けた広告内容について、「不当景品類及び不当表示防止法」等の規制法の影響を受け、医療や食品等特定の業種に関わる広告内容の場合には、それらの業種や商品の広告に関する規制の対象となります。
当社では「リスク・コンプライアンス規程」を制定し、当社の役職員が遵守すべき法的規制の周知徹底を図り、また「内部通報規程」の制定等によって速やかに法令違反行為等の情報を収集する体制を構築しております。しかしながら、上記の対策を講じているにもかかわらず、万が一何らかの理由により関係法令等の規制が遵守できなかった場合や今後インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更(例えば、Cookieの使用の制限など)がなされた場合には、当社の事業が新たな制約を受け、または既存の規制が強化された場合には、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
① 新規事業について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は事業規模の拡大及び収益基盤の強化のため、今後も新サービスもしくは新規事業の展開に積極的に取り組んでまいります。新サービス及び新規事業の創出にあたっては、その市場性や採算性、計画の妥当性等を検証した上で意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や競合等により、想定外の人件費やシステム開発費等の追加的な費用が発生し、安定的な収益を生み出すには時間を要することがあります。また、新サービス、新規事業の展開が当初の計画どおりに進まない場合には、投資回収が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② プライバシー保護について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、個人情報及び利用者のプライバシーを尊重し、「個人情報の保護に関する法律」、「EU(欧州連合)一般データ保護規則(GDPR)」等の法令を遵守しております。特に広告事業においては、プライバシー保護に対する社会的要請の高まりを受け、生活者のデータの保全・主権に資する広告手法が求められるようになってきております。当社は従前よりインターネット広告の透明性・信頼性を高める活動を続けており、今後もこうした活動を続けることで社会の要請に応えてまいります。
しかしながら、プライバシー保護に関する各種規制が変更され、当社としての対応が遅れた場合、当社の社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 知的財産権について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
本書提出日現在、当社は第三者より知的財産権の侵害に関して第三者の知的財産権を侵害した事実や損害賠償及び使用差止の請求を受けた事実はありません。今後においても、侵害を回避すべく監視及び管理を行ってまいりますが、当社の事業領域において当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性または新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。万が一、当社が第三者の知的財産権等を侵害した場合には、損害賠償請求、差止請求や使用許諾料の支払請求等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は必要に応じて商標権等の知的財産権の申請を行っておりますが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間や費用を要する等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ システム障害について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社はインターネット関連技術に基づき事業を展開しており、自然災害、火災等の事故、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、ソフトウエアの不具合、コンピュータウィルス等により、システム障害が発生し、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があります。当社では、このような事態に備え、外部からの不正アクセスを防止するためのファイアウォールやセキュリティソフトの導入等といった対策をとっており、また定期的なバックアップや稼働状況の監視を行うことで、事前防止または回避に努めております。しかしながら、こうした対応にもかかわらず、システム障害が発生し、サービス提供に障害が生じた場合や復旧遅延が生じた場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
本書提出日現在、当社は損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、当社は法令違反となるような行為を防止するために各種規程を制定し内部管理体制を構築するとともに、顧客、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、知的財産権の侵害等の予期せぬトラブルが発生した場合、取引先等との関係に何らかの問題が生じた場合等には、これらに起因する損害賠償請求、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 広告業界の取引慣行について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
当社の事業領域であるインターネット広告業界の取引慣行として、広告会社がクライアントに請求する手数料には、媒体運営会社等に支払う媒体料金等が含まれております。したがって、当社はクライアントの倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合でも、媒体運営会社等に支払う媒体料金等も含めて負担することとなり、クライアントの信用リスクを負担しております。当社では、当該信用リスクを極小化させるため、「与信管理規程」を制定し、一定の信用力のある優良企業と取引する等により信用リスクの低減を図っておりますが、クライアントの倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
また、インターネット広告業界の取引慣行として、一般に、インターネット広告を含めた広告取引に係る契約について契約書その他の書面が取り交わされることは少ないといえます。これは、広告取引においては取引当事者の信頼関係を基礎として迅速かつ柔軟に契約の締結・変更に対応する必要性が高いためですが、反面、取引当事者の合意事項について齟齬が生じてクレームに発展するリスクがあります。
当社はこのリスクを速やかに回避するため、広告取引にあたって顧客に発注書の提出を要請する等契約内容を書面で残す努力を行っておりますが、クライアントによっては発注書の提出要請に応じない場合もあります。このため、書面化されていない広告取引に係る契約の成立または内容についてトラブルが発生し、訴訟や損害賠償請求等に発展する場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、当社においては取引開始前における発注書等の契約書を徹底しており、契約書が存在しない取引はございません。また、過去において書面化されていない広告取引に係る契約の成立または内容について、訴訟や損害賠償請求等に発展するケースはございませんでした。
(3)経営体制に関するリスク
① 人材の確保・定着及び育成について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は今後のさらなる成長のために、優秀な人材の確保及び当社の成長フェーズに合った組織体制強化が重要な課題であると認識しております。人材の採用にあたっては、新卒採用の強化や各種メディアの活用等の採用方法の多様化を図り、当社の求める資質を兼ね備え、かつ当社の企業風土にあった人材の登用を進めるとともに、教育体制のさらなる整備を進め、育成による能力の底上げを行ってまいります。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画どおりに進まない場合や優秀な人材の社外流出が生じた場合、競争力の低下や事業規模拡大の制約要因になる可能性があり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
また、代表取締役である百本正博は創業以来の事業活動全般において重要な役割を果たしております。この役員が何らかの理由により業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を与える場合があります。
② 小規模組織であることについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は2021年9月末現在、従業員48名と比較的小規模な組織であり、現在の人員構成にて最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は今後も業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用してまいりますが、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追い付かない場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は企業価値の持続的な増大を図るには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であります。当社は管理部門の人員の充実を図り、内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大や海外展開等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 社歴が浅いことについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は2012年11月に設立された社歴の浅い会社であります。現在まで、収益について成長を継続しておりますが、インターネット広告業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社における経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。当社では今後のIR活動等を通じて経営状態を積極的に開示してまいりますが、経営成績等の期間比較をするための情報には時間の経過が不可欠であり、現時点において今後当社が成長を継続していけるか否かを予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績のみでは不十分な可能性があります。
(4)その他のリスク
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は長期的な企業価値の向上に対する役員及び従業員等の士気を高める等を目的に、ストック・オプションを発行しており、今後もストック・オプション制度を活用していくことを検討しております。当社では新株予約権による株価に対する影響度を低くするために段階的行使可能期間を設定する等様々な行使条件を付しておりますが、現在発行し、または今後発行するストック・オプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株あたりの株式価値が希薄化する可能性があり、この株式価値の希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は94,300株であり、発行済株式総数の6.1%に相当します。
② 配当政策について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。剰余金の配当については、内部留保とのバランスを考慮して適切な配当を実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社は現在、成長拡大の過程にあると認識していることから、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がると考えているため、今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
③ 自然災害等について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止または回避に努めております。万一、当社の本社所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害の発生や事故により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するトレーディングデスク事業の継続に支障をきたし、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 新型コロナウイルス(COVID―19)感染拡大による経済的影響について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中
コロナウイルスの影響が国内及び海外主要各国において終息に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた場合は、より深刻な経済的影響が生じ、広告市場の縮小や個人消費の冷え込みに繋がることが予想されます。
当社クライアントの広告予算縮小による売上高減少の可能性があり、世界経済の動向によっては当社の事業活動ならびに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ 風評被害や不適切な業務遂行について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社及び当社の事業領域であるインターネット広告業界に対して、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の社会的信用や事業への信頼が低下する可能性があります。当社は「リスク・コンプライアンス規程」を制定しその周知徹底やコンプライアンス研修の実施により役職員のコンプライアンス意識を醸成し、リスク管理及びリスク発生の未然防止やリスク発生時の対応を行っておりますが、それにもかかわらず役職員による不正・不適切な行為が発生したり、否定的な風評が広まったりした場合、顧客離れが生じる等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績のうち、事業の内容については、第一部 「企業情報」第1「企業の概況」3「事業の内容」をご参照ください。
当事業年度において、当社の主要サービスである「アジャイル広告運用」及び「CdMOサービス」が引き続き堅調であり、特に、「CdMOサービス」においては、クライアントのコンサルティング領域が拡大いたしました。また、「LIFT+サービス」では、2020年4月のサービス開始から取扱社数及び取扱高を堅調に増やしております。
以上の結果、当事業年度における売上高2,336,176千円(前事業年度比13.1%増)、営業利益は199,058千円(前事業年度比79.6%増)、経常利益は195,145千円(前事業年度比72.6%増)、当期純利益は127,784千円(前事業年度比74.4%増)となりました。
なお、当社はトレーディングデスク事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
財政状態は次のとおりであります。
当事業年度末における総資産は1,180,783千円となり、前事業年度末と比べ434,009千円の増加となりました。これは、主に現金及び預金の増加354,639千円及び売掛金の増加76,129千円によるものです。
(負債)
当事業年度末における負債は650,771千円となり、前事業年度末と比べ147,341千円の増加となりました。これは、主に1年内返済予定の長期借入金の増加16,536千円、長期借入金の増加26,306千円、買掛金の増加32,168千円、未払金の増加21,581千円及び未払法人税等の増加33,575千円及び未払消費税等の増加11,609千円によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産は530,011千円となり、前事業年度末と比べ286,668千円の増加となりました。これは、公募増資による資本金の増加79,442千円、資本準備金の増加79,442千円及び当期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加127,784千円によるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して354,639千円増加し、804,039千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、159,478千円のプラスとなりました。これは主として、法人税等の支払額37,043千円がありましたが、税引前当期純利益の計上195,145千円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,481千円のマイナスとなりました。これは主として、事務所移転に伴う有形固定資産の取得による支出1,934千円及び敷金及び保証金の差入による支出2,546千円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、199,642千円のプラスとなりました。これは主として、株式の発行による収入156,800千円、長期借入れによる収入100,000千円及び長期借入金の返済による支出57,158千円によるものです。
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載は省略しております。
提供するサービスの性格上、受注実績の記載はなじまない為、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社の事業はトレーディングデスク事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(注)1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
当社の主要サービスである「アジャイル広告運用」及び「CdMOサービス」が引き続き堅調であり、特に、「CdMOサービス」においては、コンサルティングでの受注が大幅に拡大いたしました。また、「LIFT+サービス」では、2020年4月のサービス開始から取扱社数及び取扱高を堅調に増やしております。
その結果、当事業年度の売上高は、2,336,176千円(前事業年度比13.1%増)となりました。
当事業年度における売上原価は、1,686,710千円(前事業年度比8.1%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。
その結果、当事業年度の売上総利益は、649,465千円(前事業年度比28.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、450,406千円(前事業年度比14.5%増)となりました。これは主に、積極採用による人件費及び採用費の増加及び新規上場に関連する支払報酬の増加によるものであります。
その結果、当事業年度の営業利益は199,058千円(前事業年度比79.6%増)となりました。
当事業年度における営業外収益は、3,350千円(前事業年度比25.7%減)となりました。これは主に、地方自治体の企業立地の助成金が1,616千円減少したことによるものであります。
当事業年度における営業外費用は、7,263千円(前事業年度比213.3%増)となりました。これは主に新規上場に関連する株式交付費及び上場関連費用が5,366千円増加したことによるものであります。
上記の結果、経常利益は195,145千円(前事業年度比72.6%増)となりました。
当事業年度において特別利益及び特別損失は発生しておりません。また、当事業年度における当期純利益は、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計67,360千円(前事業年度比27,594千円増加)が発生した結果、当期純利益は127,784千円(前事業年度比74.4%増)となりました。
当社は、株主に対する利益還元と内部留保の充実を総合的に勘案し、収益性、成長性、企業体質の強化を考慮しつつ、将来的な安定配当を行えるような収益力の強化を基本方針としております。
当社では手元流動資金等の拡充について常に余裕を持つべく努めており、資金繰り管理を通じた適切な資金管理をしております。当社の所要資金調達は、大きく分けて設備投資資金及び運転資金の調達となっておりますが、基本的には内部留保の増加を中心としてまかなってきました。
当事業年度の期末時点では内部留保の蓄積により、純資産額の151.7%相当を現金及び預金で保有しており、手元資金は充実しております。
今後の所要資金につきましては、借入金の返済及び多額な設備投資等以外は内部留保によりまかなってまいります。
多額な運転資金調達の必要性や設備投資計画は、現在のところ予定しておりませんが、今後必要となった場合は、株式総数増加による株式市場への影響、業績見通し等を勘案し、公募増資等を考慮していきたいと考えております。当事業年度末における有利子負債残高は269,442千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は804,039千円となっております。
当社では手元流動資金等の拡充について常に余裕を持つべく努めており、資金繰り管理を通じた適切な資金管理をしております。
ハ. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な経営指標」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、売上総利益、営業利益、経常利益を重要な経営指標として位置付けております。当事業年度における各指標の前年同期比の増減率は以下のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。