第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものになります。

 

(1)経営方針及び経営環境

 当社は、「テクノロジーデシンプルニ」をビジョンに掲げ、複雑な外部環境リスクから企業を守ることを目指しております。近年、様々な社会情勢の変化により、企業を取り巻く外部環境が多様化し、事件や事故が起こることで新たな規制強化等が行われてきました。その中で、当社は、GRC及びセキュリティの視点に着目し、企業が抱える外部環境への課題を解決する事業を展開しております。

 環境の変化や規制強化としては、個人情報の規制強化、電子決済の普及、サイバー攻撃の高度化、テレワークの急拡大、従来型のガバナンス体制の見直し等が挙げられます。これらの変化により、企業は、重要なシステムの停止、多額のリカバリー費用、信用失墜や取引減少等の経営に直結するリスクに晒されております。変化が起きる度に、企業は対応を迫られるものの、日本国内においては、ガバナンスの強化やセキュリティ対策の整備など、GRCやセキュリティへの対応が遅れております。当社はこの課題に対し、専門性の高いサービス提供を行いながら、その必要性を啓蒙し、GRC及びセキュリティに対する意識向上を図ってまいります。

 なお、近年、複雑化する外部環境の主な変遷は下記のとおりです。

 

外部環境の変遷

時 期

事 象

説 明

2017年

決済サービスの不正アクセス問題

大手小売企業の決済サービスにおいて、認証フローの不足から不正アクセスが発生する。

2018年

GDPR施行※

欧州における個人情報保護の厳格化に伴い、情報の取扱いが大きく変化する。

2019年

不正販売問題

全社的リスク管理の不備から、保険会社の不正販売問題が起こり、特別調査委員会による約3千万件の全契約について調査が行われる。

2020年~

感染症対策リスク

新型コロナウイルス感染症が発生し、グローバルレベルでのリスク管理が急務となる。

 

テレワークの普及

新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、テレワークが普及し、通信量の急増に伴うセキュリティ対策が課題となる。

 

コーポレート・ガバナンスコードの改訂

上場市場の区分再編に伴い、新市場であるプライム市場に該当する企業を中心に更なるガバナンスの向上が必須となる。

 

ESG投資の拡大

財務情報以外の、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資が拡大し、当該情報開示の重要性が注目される。

※ 「欧州経済領域内の各人が自身で自身の個人データをコントロールする権利を保障する」という基本的人権の保護を目的とする法律。

 

(2)経営戦略等

 当社は、3ヵ年(2021年11月期から2023年11月期まで)の戦略として、ソリューションとプロダクトの連携を強化・促進することで、顧客1社あたりの収益を拡大させていく方針であります。顧客収益を下記のとおり取引金額別のフェーズに区分することで管理しております。

 

フェーズZ:1億円超

フェーズC:5,000万円超1億円以下

フェーズB:3,000万円超5,000万円以下

フェーズA:1,000万円超3,000万円以下

 

 フェーズB(取引金額3,000万円超5,000万円以下)以上に該当する顧客を増加させること、また、将来的にフェーズB以上へつながるフェーズA以下の顧客層を開拓することで、顧客基盤の強化を図ってまいります。

 

① フェーズA以下の顧客をフェーズB以上へ移行

 既存顧客に対する提供サービスの拡大を重点的に行う方針であります。現状では、GRCソリューション、セキュリティソリューション、GRCプロダクトのうち、いずれかのサービス提供がメインとなっており、1顧客へ全てのサービスを提供しているケースは少ない状況にあります。そのため、顧客の顕在化したニーズに対して、これら3サービスの連携強化によりクロスセルを行い、ワンストップで提供可能な体制を構築することでサービス拡大によるアップセルに努め、収益拡大を図ってまいります。

 

 具体的には、GRCプロダクトのデータ活用により、全社的な情報管理・共有を効率的に行い、企業の課題を容易に可視化できる体制を整えます。それにより、GRCプロダクトを活用したアナリティクスの実施が可能になることで顧客の課題を可視化し、優先順位をつけることで明確化された取組み課題に対して、解決のためのソリューションを提供しております。また、必要に応じたプロダクトの導入支援を行っております。改善された後は、企業活動の中で改善状態が維持されていることを計画的に確認する必要があり、顧客の日々のオペレーションをモニタリングしております。

 

② 将来的にフェーズB以上となる見込みがあるフェーズA以下の顧客層を開拓

 将来的な収益拡大を図るため、フェーズB以降へ繋がる見込みがあるフェーズA以下の顧客層を開拓いたします。日々変化するリスクに伴い顧客のニーズも変化しており、その顧客ニーズに迅速に対応するべく取扱うGRCプロダクトを拡充することで、顧客層の開拓を進めてまいります。

 現状では、情報管理体制が未整備である企業が多く、プロダクト導入の前段階としてコンサルティングに対する需要が高い傾向にあります。顧客ニーズを見極め、サービスを提供しております。

 

 GRC及びセキュリティの領域における課題の可視化から解決までのプロセスは、企業活動の中で定期的に、且つ繰り返し行われることが望ましいことから、顧客との取引関係は長期間に及んでおり、そうした長期の取引関係の中で企業を守る伴走者となれるよう努めております。このプロセスを繰り返し行うことで、顧客の新たなニーズを捉え、解決策を提案しており、既存顧客の受注取引は増加しプロジェクトが継続する傾向にあります。その結果、成長性と安定性を実現する収益構造となっており、直近の売上構成は下記のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

2018年11月期

2019年11月期

2020年11月期

売上高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成比

既存顧客

568,011

73.7%

907,016

82.4%

1,223,744

85.5%

新規顧客

202,651

26.3%

194,128

17.6%

208,105

14.5%

合計

770,662

100.0%

1,101,145

100.0%

1,431,849

100.0%

(注)既存顧客は過年度より取引関係を有している企業とし、新規顧客との取引は翌期以降の既存顧客に含めております。

 

 また、2020年11月期の実績は、フェーズB以上に該当する顧客は10社、その売上高合計は975,930千円であり、主な業種として、金融、通信、グローバル展開を行っている企業を中心に取引を広げております。当該3業種は、海外規制、監督官庁のレギュレーションが厳しく、高い水準のリスク管理体制が必要であることから、需要が顕在化しているものと認識しております。

 

 当社は、ガバナンス体制の強化やリスク対策の潜在的な需要や企業の投資可能額に鑑み、上場企業をメインターゲットとし、まずは、上記の3つの業種(金融、通信、グローバル)との取引拡大に努めます。ノウハウを蓄積してサービスを多角化することで、将来的には上記以外の業種へ展開できる体制を整えてまいります。

 今後も、企業を取り巻く外部環境の変化は続き、顧客が対応を必要とするリスクも日々刻々と変化することが想定されます。そのため、GRC及びセキュリティの領域に特化した専門企業としての知見を活かし、顧客からの需要が見込まれる新たなソリューションやプロダクトの提供を継続して行ってまいります。当該領域において先進的な海外企業が有する知識を吸収・活用し、また、日本国内において当社顧客が抱える課題に合致するよう自社でサービスを開発するなど、顧客に対して提供するノウハウの拡充に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「(2)経営戦略等」において記載しました各フェーズにおける顧客数に加え、売上高、売上総利益及び売上高総利益率を3ヵ年(2021年11月期から2023年11月期まで)の重要な指標と考えております。

 なお、各フェーズにおける顧客数について、事業年度ごとの年間取引金額を合理的に見積もることが困難であることから、計画の詳細を開示する予定はございません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 顧客基盤の更なる拡大

 当社のGRCソリューション事業において、外部環境の変化に伴い様々なリスクに直面している幅広い業種の企業に対して、事業展開を計画しております。現状のビジネス規模を維持拡大していくために、足元では既存のGRCソリューションやセキュリティソリューションにおいて確実に成果を出して顧客の信頼を獲得し、顧客内シェアを高めていくとともに、監査法人やSIer※を中心としたパートナー企業との関係を強化するなど、顧客基盤の拡大に向けた営業活動を強化してまいります。

(※)システム開発や運用等を請け負う企業

 

② サービス競争力の向上

 当社のGRCソリューション事業において、サービスラインに準拠した組織体制作りを行っております。各プロジェクトリーダーを中心に、サービス強化の方向性について検討するとともに、各サービスの競争力向上に向けた施策に取り組み、多様化する顧客ニーズに対応してまいります。

 

③ プロジェクトマネジメント能力及び品質管理体制の強化

 当社のGRCソリューション事業において、幅広い業種の様々なリスクに対して効果的にサービスを創出していくためには、組織全体としてのプロジェクトマネジメント能力の強化が必要と認識しております。プロジェクトの全ての局面(計画・設計から導入まで)におけるマネジメント技法の更なる洗練及び標準化を推進するとともに、プロジェクトレビューの充実などを通じ、プロジェクト遂行上発生する課題に対して予防的に対応し、常に一定水準以上の品質を維持管理できる体制構築を進めてまいります。

 

④ パートナー企業(外注先)との関係性強化

 当社では、全てのプロジェクトについて社内人員のみで対応するのではなく、プロジェクトの内容や局面に応じて、専門性やコスト面も考慮して選定した適切なパートナー企業(外注先)にプロジェクトへ参画していただいております。プロジェクトの成功のためには、単に、スキル要件を満たしているだけでなく、継続的取引先として、業務を委託する上での信頼感があるパートナー企業(外注先)から、タイムリーにリソースの提供を受けることが不可欠であり、これを可能にすべく、適切なプロセスを経て選定されたパートナー企業(外注先)との関係性強化に取り組んでまいります。

 

⑤ 優秀な人材の確保及び育成

 当社では、積極的に事業規模及び事業領域を拡大していく上で、人材が最も重要な経営資源であると考えております。当社が展開するサービスでは、プロジェクトに参画し顧客に対し適切なサービスを提供し、顧客ニーズに応じて様々な提案型営業やコンサルティングができる、質の高い人材が必要であり、積極的な採用活動を行いながら、社内における教育基盤(人材育成プラン)や人事評価制度を整備し、研修やプロジェクトの現場を通じた、優秀な人材を育成し、定着化させていく仕組み作りを進めてまいります。

 

⑥ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

 当社では、今後の更なる事業拡大に向けて、会社規模に応じた適切な内部管理体制の整備を進めるとともに、運用面の徹底を推進し、実効性のある、効率的かつ信頼性の高い組織基盤を構築・運用してまいります。また、社外のステークホルダーとも緊密な関係を維持し、会社運営の透明性を高めるなど、コーポレート・ガバナンスの強化にも取り組んでまいります。

 

⑦ 財務基盤の強化

 当社は、継続的にサービスを提供し、サービスメニューの拡充や新しい技術を取り入れていくために、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業内容について

① 事業を取り巻く環境について

 当社が属するGRC及びセキュリティ業界は、当社のGRCソリューション事業の拡大を期待することができ、企業トレンドに合わせ、新サービス及び新規事業に取り組んでまいります。しかしながら、今後、新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ等、当社の予期せぬ要因や市場の変化に対して、当社の対応が困難又は不十分となった場合には、当社が展開する事業に影響が生じ、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② GRC及びセキュリティという企業の「守り」に特化していることによる影響について

 当社が提供するGRC及びセキュリティの領域は、企業にとって収益を生み出す領域ではなく、損失を被るリスクを低減する領域、いわゆる「守り」の領域に該当します。そのため、今後、経済環境やその他の要因により、その需要が低減した場合には、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新への対応に関するリスクについて

 特に近年では、ビジネスのグローバル化に伴う海外の法規制の適用拡大、巧妙で執拗なサイバー攻撃の頻発など、ビジネスを取り巻く外部環境は日々、複雑化・多角化しております。そのようなGRC及びセキュリティ業界においては、新しいサービスを都度考案したり、最新技術を当社のサービスに取り入れることが、より良い品質提供には必要不可欠となっております。それらの最新技術への対応が遅れ、他社に大きく先行された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 製品のバグや欠陥の発生によるリスクについて

 当社の自社製品のプラットフォームは、海外製品を利用しております。予め十分な検証やテストを実施した後、サービス提供を行っておりますが、サービス提供開始後に重大なバグや欠陥が発生する可能性もあり、そのバグや欠陥が原因で顧客のサービスに著しい損害を与えた場合、契約解除に伴う売上の減少等により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システムトラブルについて

 当社の事業においては、安定したサービスを提供する必要がありますが、当社のサービスは、プログラム、システム及びサーバー・通信ネットワークに依存しております。当社は、社内システムに関して、サービスのシステム監視体制やバックアップ等の対応策をとっておりますが、地震や火災等の災害、コンピュータ・ウィルス、電力供給の停止、通信障害等によるシステムトラブルが生じた場合、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ パートナー企業(外注先)の確保について

 当社は、専門業務分野毎に特定のパートナー企業(外注先)を選定し、相互協力してサービスを提供しております。そのため、当社と協力関係にある当該企業に不測の事態が生じた場合、信頼関係を損なう事態が生じた場合、外注先として不適切な事態が生じた場合及び外注コストが高騰した場合等には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ ハッカーやクラッカーによる当社システムへの不正侵入により、当社の信用が失墜するリスクについて

 セキュリティ製品及びサービスを提供している会社として、当社はネットワークに不正に侵入、攻撃、データ搾取、改竄、破壊等を行う者によって引き起こされるトラブルに対して他の会社よりも特に信用面において重大な影響を受けることが考えられます。当社が利用するクラウドは安全に動作するように考慮、設計、構築されたクラウドテクノロジープラットフォーム上で稼働しているものを選択するように努め、利用する情報機器へのEDRツールのインストールや多要素認証によるアクセスへのセキュリティ強化を図っておりますが、例えば、当社のシステムに侵入してウイルスを拡散させたり、ソースコード等の技術情報や、顧客や社員の個人情報等を搾取・流出させたり、当社ホームページの情報改竄等があった場合、これらの行為によって当社の信用が失墜する可能性があります。また、そのような事態が生じた場合、技術上のトラブルの解決に要するコストの支出及び当社の企業秘密の漏洩、損壊等の損失を被る可能性があります。また信用回復するまでの間、事業が停滞する等、当社の事業活動及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 情報セキュリティにおけるリスクについて

 当社のサービスでは顧客の重要な情報を入手します。これらの顧客情報の漏洩は事業展開において大きなリスクであります。社内教育の実践、各種データのアクセス権限による制約、書面情報の施錠管理、オフィスの入退室管理等、対策を講じて実践しておりますが、顧客情報の漏洩が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 競合について

 GRC及びセキュリティ関連市場は将来の成長が期待される市場であるため、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。新規参入する他社との競合状況が激化した場合には、価格の下落、又は、価格競争以外の要因でも受注を失うおそれがあり、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 法的規制について

 当社が行う事業の一部において、以下の許認可を取得しております。

 本書提出日現在において、当該許認可が取消となる事由は発生しておりませんが、何らかの事由が発生し当該許認可の取消等があった場合、又は、法令等の改正により当社の製品又はサービスに関する制限が強くなった場合は、その対応に費用がかかる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

許認可等の番号

有効期間

所管官庁等

規制法令

取消条項等

労働者派遣事業許可

派13-311240

2021年8月1日~

2026年7月31日

厚生労働省

労働者派遣法

第6条

第14条

 

(2)事業体制について

① 内部統制について

 当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能するような体制を構築、整備、運用しております。

 しかしながら、事業規模に応じた内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、当社の財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 専門人材の確保・維持について

 当社では、当社の持続的な成長のために継続的に優秀な専門人材を確保することが必須であると認識しております。当社の競争力向上にあたって高い専門性を有するコンサルタント、エンジニアが要求されることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を確保し、人材育成に積極的に努めていく方針であります。しかしながら、優秀なコンサルタント、エンジニアの人材確保や人材育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは優秀な人材が社外に流出した場合はサービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 代表取締役への依存について

 当社創業者である佐々木慈和は、当社の大株主かつ代表取締役であり、当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中核として重要な役割を果たし、新たな事業モデルの創出においても中心的な役割を担っております。当社は権限委譲を行うことにより同氏に依存しない経営体制の整備に努めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 小規模であることについて

 当社は、従業員121名(2021年9月30日現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成や採用を行うとともに業務執行体制の充実を図って行く方針でありますが、これら施策が適時適切に進行しなかった場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ コンプライアンス体制について

 当社では、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を作成し、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の企業価値及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)その他

① 大株主について

 当社の代表取締役社長である佐々木慈和は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である合同会社Trojansの所有株式数を含めると本書提出日現在で発行済株式総数の49.09%を所有しております。

 同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、当社株式の価値及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ベンチャーキャピタル等の株式保有割合について

 本書提出日における当社の発行済株式総数は、1,159,000株であり、このうち347,000株をベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」)が保有しております。一般的に、ベンチャーキャピタル等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的の一つであり、当社におきましても、上場後にベンチャーキャピタル等により株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需給が悪化し当社株式の価値が低下する可能性があります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は取締役及び従業員に対し、インセンティブを目的とした新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数(自己新株予約権含む)は109,150株であり、発行済株式総数1,159,000株の9.42%に相当しております。

 

④ 配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。企業の成長と経営基盤の強化を図るため、内部留保を確保しつつ、株主に対する継続的な配当を基本方針としております。しかしながら、当社は成長過程にあり、株主への長期的な利益還元のためには、財務体質の強化と事業拡大のための投資等が当面の優先事項と捉え、これまで配当を実施しておりません。

 内部留保資金につきましては、今後の事業展開並びに経営基盤の強化に役立て、将来における株主の利益確保のために備えてまいります。

 今後につきましては、各事業年度の経営成績及び財政状態を勘案しながら、株主への利益還元を検討していく予定ですが、現時点において配当実施の可能性及びその時期については未定であります。

 

⑤ 調達資金の使途について

 当社は、東京証券取引所マザーズ上場に伴う公募増資資金について、主にコンサルタントやエンジニアといった専門人材等を獲得するため採用関連費用、業務効率や管理体制整備を図るためシステム関連費用、当社事業の認知度向上と顧客獲得のためマーケティング費用等に充当し、また、財務体質及び経営基盤安定化のための金融機関からの借入金の返済に充当する予定であります。

 しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に対応するため、調達資金の使途を変更する可能性があります。また、計画どおりに使用された場合であっても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。

 

⑥ 過去事業年度の債務超過について
 当社の過去の業績は「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載のとおりであります。当社は2018年11月期においては、債務超過の状態となっておりました。しかし、2019年11月期において第三者割当増資を行ったことにより、当社の債務超過の状態も解消いたしております。しかしながら、当社の事業が計画どおりに進展せず、当期純利益を計上できない場合には再び債務超過となる可能性があります。

 

⑦ 税務上の繰越欠損金について

 当社には現時点で税務上の繰越欠損金が存在するため、法人税等が軽減されております。しかしながら、繰越欠損金の解消や繰越期間の満了で欠損金が消滅した場合、法人税等の税金負担が発生するため、当社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 借入金の財務制限条項について
 当社は、安定的な資金運用を図るため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。これらの条件に抵触した場合には、借入金利の上昇や期限の利益の喪失等、当社の経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 新型コロナウイルスの感染拡大について
 新型コロナウイルス感染症の全世界における感染拡大の影響により、世界各国で外出制限などの措置が行われており、現時点では感染拡大の収束が見通せない状況にあります。当社においては、緊急事態宣言期に活動量の若干の低下がみられたものの、現状において、新型コロナウイルス感染症による事業推進上の大きな影響はないものと考えております。ただし、感染拡大の長期化に対する懸念や企業活動の更なる制約等が、事業環境に与える影響は不透明であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社はGRCソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

① 財政状態の状況

第16期事業年度(自 2019年12月1日 至 2020年11月30日)

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ114,034千円増加し599,437千円となりました。

 売上拡大に伴う債権増加に加え、長期間に亘る請負契約を締結したことにより、一時的に未回収の債権が積み上がり売掛金が113,720千円増加いたしました。また、利益計画に基づいた課税所得から、将来減算一時差異について十分に回収可能性があると判断し、当事業年度より繰越欠損金等への税効果会計を適用したことに伴い繰延税金資産が23,641千円増加しております。

 これらが主な要因となり、資産合計が増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ67,637千円増加し488,572千円となりました。

 専門性の高いコンサルタントやエンジニアの採用や管理体制強化のための採用による人員増加に伴い、給与等を含む未払費用が12,072千円増加しております。また、人員増加したことにより、受注業務の外注を抑えながらも売上高が拡大したため、未払消費税等が25,745千円増加いたしました。加えて、一時的な売掛債権の増加を見込み、金融機関から運転資金を調達したことにより長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が14,567千円増加、プロダクトの販売促進によるサブスクリプション契約の増加に伴い前受金が12,884千円増加しております。

 これらが主な要因となり負債合計が増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ46,396千円増加し110,865千円となりました。これは、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が46,396千円増加し、2020年11月に欠損填補のための減資により資本金が137,400千円、資本準備金が87,400千円減少し、その他資本剰余金が224,800千円増加したことによるものであります。また、増加したその他資本剰余金224,800千円のうち232,362千円を繰越利益剰余金に振り替えることにより、繰越損失を解消しております。

 この結果、資本金50,000千円、資本剰余金合計14,469千円、利益剰余金合計46,396千円となり、自己資本比率は18.5%(前事業年度末13.3%)となりました。

 

第17期第3四半期累計期間(自 2020年12月1日 至 2021年8月31日)

(資産)

 当第3四半期会計期間末における資産合計は、前事業年度末に比べ154,130千円増加し753,568千円となりました。増加の主な要因は、長期案件の売掛金を一部回収したこと等により売掛金が20,586千円減少した一方で、借入による資金調達等により現金及び預金が164,334千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末に比べ52,104千円増加し540,677千円となりました。増加の主な原因は、資金調達により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が46,859千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べ102,025千円増加し212,890千円となりました。これは四半期純利益の計上により利益剰余金が101,708千円増加、第3回新株予約権の発行により新株予約権が317千円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は28.2%(前事業年度末18.5%)となりました。

 

 

 

② 経営成績の状況

第16期事業年度(自 2019年12月1日 至 2020年11月30日)

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況で推移しました。経済活動の再開に伴い緩やかな回復をはじめたものの、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には程遠く、依然として先行きは極めて不透明な状況にあります。

 当社が属する事業環境においては、巧妙で執拗なサイバー攻撃による不正アクセスやマルウェア感染による情報漏洩が多発し、企業を取り巻くリスクはさらに複雑化・多様化する一方であります。さらにテレワーク等働き方の変化やDXの進展に伴い、企業だけでなく個人にもリスクの及ぶ範囲は拡大していると考えております。

 このような環境の中、当社は、G:ガバナンス、R:リスク、C:コンプライアンス及びS:セキュリティの視点に着目し、外部環境の変化に伴う企業課題を解決する事業を展開しております。

 高品質な課題解決策を提案するためコンサルタント等の専門人材を積極的に採用し、組織体制の整備や適切な稼働率の把握等、効率的な経営に努めております。売上拡大の一方で、案件ごとの採算性の見直しにより収益改善を図ってまいりました。また、様々な企業がテクノロジーを活用して管理強化・業務効率化に取り組めるよう、取扱うプロダクトの拡充や当社ソリューションの認知度向上に注力し、顧客層の開拓に努めております。このように専門人材とプロダクトによるサービスの提供をおこない、顧客の抱えるリスクを見える化することで「ガバナンスのDX化」を推進しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、2020年4月の緊急事態宣言が発令された際には、各企業が将来的な影響を見定めるため新規案件の受注が停滞する、顧客企業内の決裁フローが滞り商談が遅延する等の事態が発生しておりました。しかしながら、GRC及びセキュリティ領域については大きく需要が損なわれることなく、事業活動を行っておりました。前事業年度から当事業年度にかけての受注状況についても大きな変動はありません。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高は1,431,849千円(前年同期比30.0%増)となり、売上総利益は340,576千円(前年同期比49.4%増)となりました。営業利益26,758千円(前年同期は68,418千円の営業損失)、経常利益22,476千円(前年同期は70,390千円の経常損失)、当期純利益46,396千円(前年同期は70,808千円の当期純損失)となりました。

 なお、当社はGRCソリューション事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。

 

第17期第3四半期累計期間(自 2020年12月1日 至 2021年8月31日)

 当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経済環境が続く中、経済政策等の効果により企業収益の持ち直しが見られたものの、同感染症の再拡大により個人消費等は弱含みの状況となりました。先行きについては、感染症対策やワクチン接種が優先的に取り組まれていること、また、海外経済が改善傾向にあること等から、日本国内経済も回復基調となることが期待されております。しかしながら、依然として同感染症の影響による経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等に注意する必要があります。

 当社が属する事業環境においては、サイバー攻撃による不正アクセスやマルウェア感染等の被害やガバナンス体制の不足による企業不祥事の発生、継続する緊急事態宣言に伴うテレワーク環境の整備等、GRC及びセキュリティ領域に関する対応が、引続き必要となる状況にあります。

 このような環境の中、事業拡大のため、ソリューション及びプロダクトの連携を強化し、ワンストップで提供可能な体制を構築することでサービスの拡大に努め、クロスセル、アップセルによる収益拡大を図ってまいります。また、顧客ニーズのタイムリーな把握とそれに対する提案の一連のサイクルが機能し、既存顧客へのアップセルが奏功いたしました。

 以上の結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高1,277,523千円、営業利益96,900千円、経常利益91,546千円、四半期純利益101,708千円となりました。

 なお、当社はGRCソリューション事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

第16期事業年度(自 2019年12月1日 至 2020年11月30日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ23,415千円減少し254,214千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は37,313千円(前年同期は35,478千円の支出)となりました。資金の主な減少要因は、長期間に亘る請負契約の影響により、一時的に未回収の債権が積み上がったこと及び売上が拡大したことに伴う売上債権の増加額113,720千円であり、資金の主な増加要因は、未払消費税等の増加額25,745千円、サブスクリプション契約等の増加に伴う前受金の増加額12,884千円、従業員の増加に伴う給与等の計上による未払費用の増加額12,043千円であります。

 なお、前事業年度の資金の減少は、売上拡大の一方で外注費が増加、売上総利益が低下したことに伴い税引前当期純損失70,390千円を計上したこと、また、売上拡大に伴う売上債権の増加額32,451千円等が主な要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は655千円(前年同期は2,666千円の支出)となりました。これは、本社のセキュリティ強化のための設備補強に伴う有形固定資産の取得による支出655千円であります。

 なお、前事業年度の支出は、自社プロダクトの開発に伴う無形固定資産の取得に伴う支出1,309千円、本社事務所の敷金の支払いによる差入保証金の差入による支出1,356千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は14,567千円(前年同期は158,955千円の収入)となりました。これは、一時的な売上債権の増加を見込み、金融機関から調達した長期借入れによる収入85,000千円、また、既存借入の約定に伴う長期借入金の返済による支出70,433千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社はGRCソリューション事業の単一セグメントであり、ソリューション部門において、専門人材によるコンサルティングを行い、プロダクト部門において、自社プロダクトまたは他社プロダクトを提供しております。いずれも受注生産は行っておらず、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

b.受注実績

 生産実績と同様の理由により、記載しておりません。

 

c.販売実績

 当社はGRCソリューション事業の単一セグメントでありますが、第16期事業年度及び第17期第3四半期累計期間の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

第16期事業年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

前年同期比

(%)

第17期第3四半期累計期間

(自 2020年12月1日

至 2021年8月31日)

ソリューション部門  (千円)

1,360,861

131.1

1,217,772

プロダクト部門    (千円)

70,988

112.3

59,750

合計(千円)

1,431,849

130.0

1,277,523

 (注)1.事業部門間の取引については、ございません。

2.最近2事業年度及び第17期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第15期事業年度

(自 2018年12月1日

至 2019年11月30日)

第16期事業年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

第17期第3四半期累計期間

(自 2020年12月1日

至 2021年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

みずほ証券株式会社

310,777

21.7

359,802

28.2

ぴあ株式会社

195,871

17.8

3.みずほ証券株式会社は第15期事業年度において、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

4.ぴあ株式会社は第16期事業年度及び第17期第3四半期累計期間において、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらは過去の実績等を勘案し合理的な判断のもとに見積りを行っております。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関し、第16期事業年度については「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に、第17期第3四半期累計期間については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 当第3四半期累計期間(自 2020年12月1日 至 2021年8月31日)に関する注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(工事進行基準)

 請負契約に関して、その進捗部分について成果の確実性が認められる業務については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。工事進行基準の適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度について、信頼性を持って見積る必要があります。請負契約の完了に必要となる作業内容及び工数等の工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、想定していなかった原価の発生等により工事原価総額の見直しが必要となった場合には、翌事業年度以降において認識する収益の金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

第16期事業年度(自 2019年12月1日 至 2020年11月30日)

(売上高)

 当事業年度は、専門コンサルタントの確保や組織体制の整備を行い、併せて自社プロダクトの販売促進、当社ソリューションの認知度向上に注力し、受注拡大に努めました。

 この結果、売上高は1,431,849千円(前年同期比30.0%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は1,091,273千円(前年同期比25.0%増)となりました。これは、売上増加に伴い社内体制を整備したことにより人員が増加したことが主な要因となります。これにより、前事業年度においては、外注により補っていた業務の一部を社内人員で賄えるようになり、案件ごとの採算性を見直しました。また、稼働率のタイムリーな把握等を行い、収益改善を図りました。

 この結果、売上総利益は340,576千円(前年同期比49.4%増)、売上高総利益率は23.8%(前年同期比3.1ポイント増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は313,818千円(前年同期比5.9%増)となりました。これは、上場関連費用としてアドバイザリー費用の計上や監査報酬が増加したことが主な要因となります。一方で、新型コロナウイルス感染症及びそれに伴う外出自粛等により、会議費や旅費交通費等が減少したこと、減資により外形標準課税の対象外となったことに伴い租税公課が減少したこと等の減少要因もあり、売上高と比較して販売費及び一般管理費の増加率を低く抑えることができております。

 この結果、営業利益26,758千円(前年同期は68,418千円の営業損失)となりました。

 

(営業外収益・費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は37千円(前年同期比95.0%減)となりました。これは、IT導入に係る補助金収入が減少したことが主な要因となります。

 当事業年度における営業外費用は4,319千円(前年同期比58.1%増)となりました。これは、借入金による資金調達に伴い支払利息が増加、為替変動の影響により為替差損が増加したことが主な要因となります。

 この結果、経常利益22,476千円(前年同期は70,390千円の経常損失)となりました。

 

(特別利益・損失、当期純利益)

 当事業年度における特別利益及び特別損失はありません。

 将来の課税所得を合理的に見積もり、控除可能な繰越欠損金に対する繰延税金資産を計上したことにより、法人税等調整額が減少いたしました。

 上記のとおり、売上高を拡大しつつ採算性の見直しによる収益改善を行ったこと、また、販売費及び一般管理費の増加率を低減できたことが主な要因となり、当期純利益46,396千円(前年同期は70,808千円の当期純損失)となりました。

 

第17期第3四半期累計期間(自 2020年12月1日 至 2021年8月31日)

(売上高)

 ソリューション部門の売上高は1,217,772千円となりました。顧客ニーズのタイムリーな把握とそれに対する提案の一連のサイクルが機能したこともあり、既存取引先へのアップセルが奏功しております。

 プロダクト部門の売上高は、59,750千円となりました。サブスクリプション契約やライセンス契約による取引について、既存顧客の継続取引に加えて新規顧客の獲得が進んでおります。

 この結果、当第3四半期累計期間の売上高は1,277,523千円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当第3四半期累計期間における売上原価は940,020千円となりました。これは、コンサルタントやエンジニアといった専門人材の確保により労務費が増加したことが主な要因となります。

 この結果、売上総利益は337,502千円、売上高総利益率は26.4%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は240,602千円となりました。これは、サービスの質向上や組織体制整備のため、積極的に人員拡充を図り、採用教育費が増加したことが主な要因となります。

 この結果、営業利益は96,900千円となりました。

 

(営業外収益・費用、経常利益)

 当第3四半期累計期間における営業外収益は239千円となりました。

 当第3四半期累計期間における営業外費用は5,593千円となりました。これは、運転資金の調達に伴う支払利息の増加及び為替差損の計上が主な要因となります。

 この結果、経常利益は91,546千円となりました。

 

(特別利益・損失、四半期純利益)

 当第3四半期累計期間における特別利益及び特別損失はありません。

 将来の課税所得を合理的に見積もり、控除可能な繰越欠損金に対する繰延税金資産を計上したことにより、法人税等調整額が減少いたしました。

 この結果、四半期純利益は101,708千円となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載をしましたとおり、当社は、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、情報管理体制の強化により、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減させ、リスク要因に対して適切に対応していく所存であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の資金需要のうち主なものは、GRCソリューション及びセキュリティソリューションにおける人件費となっております。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

 また、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は254,214千円であり、今後の一層の事業拡大やそのための投資を想定しますと、予定されている株式上場時の公募増資などにより財務基盤の増強が必要であると認識しております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

 当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、取引金額フェーズ別顧客数、売上高、売上総利益、売上総利益率を3ヵ年(2021年11月期から2023年11月期まで)の重要な経営指標と位置付けております。各指標の進捗状況については、以下のとおりであります。

 

・フェーズ別顧客数

(単位:社)

 

第15期事業年度

(自 2018年12月1日

至 2019年11月30日)

第16期事業年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

第17期第3四半期

累計期間

(自 2020年12月1日

至 2021年8月31日)

 

前年同期比

増減数

フェーズZ

2

2

フェーズC

4

7

+3

フェーズB

3

1

-2

フェーズA

14

13

-1

フェーズA未満

67

82

+15

合計

90

105

+15

(注)第17期第3四半期累計期間のフェーズ別顧客数は、年間取引金額を合理的に算出することが難しく記載しておりません。

 

・売上高、売上総利益、売上総利益率

 

 

第15期事業年度

(自 2018年12月1日

至 2019年11月30日)

第16期事業年度

(自 2019年12月1日

至 2020年11月30日)

第17期第3四半期

累計期間

(自 2020年12月1日

至 2021年8月31日)

 

前年同期比

売上高

1,101,145千円

1,431,849千円

130.0%

1,277,523千円

売上総利益

227,997千円

340,576千円

149.4%

337,502千円

売上高総利益率

20.7%

23.8%

+3.1ポイント

26.4%

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

第16期事業年度(自 2019年12月1日 至 2020年11月30日)

 当社は、日々変化する顧客のニーズや課題に対して、新たなソリューションやプロダクトの提供を継続して行うべく、ノウハウの蓄積・拡充に努めております。コンサルタントやエンジニアなどの専門人材を中心に、パートナー企業との連携・情報交換や顧客企業内の所管部門との課題共有等を事業の一環として行うことでノウハウを蓄積しております。また、GRC及びセキュリティの領域において先進的な海外企業が有する知識を吸収・活用し、また、顧客の課題に合致するよう自社でサービスやプロダクトを開発するなど、提供するノウハウの拡充に取り組んでおります。

 なお、当事業年度において研究開発費は発生しておりません。

 

第17期第3四半期累計期間(自 2020年12月1日 至 2021年8月31日)

 当第3四半期累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 なお、当第3四半期累計期間において研究開発費は発生しておりません。