第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営環境・経営戦略等

当社は、新規の作用機序に基づいた医薬品候補物質を開発し、アンメット・メディカル・ニーズの改善を実現する画期的な医薬品を患者さんに送り届けることを目的としております。

医薬品開発企業が新たな医薬品を上市するまでに必要とされる研究開発費の額は年々増加しており、これに伴って開発費の回収がより困難になっております。医薬品の効果には人種間や民族間の差があまり見られないため、同一製品で世界市場に対応することが可能であり、このような環境下では世界の主要市場に対して同時にアプローチすることが有利となります。また、医薬品規制調和国際会議(ICH)の定着により先進国での同時開発が容易になったこともあり、グローバルに医薬品開発を行うことが一般的になりつつあります。

当社は、オリジナルの作用機序に基づく新規化合物を単独で臨床試験に持ち上げ、海外大手製薬会社との提携に結び付けた実績を有しております。日本のバイオベンチャー企業で、このような実績を持った企業は非常に限られていると考えております。このノウハウを活用し、全く新しい医薬品を世の中に送り出し続けていくことを目指します。

当面は、現在取り組んでいる可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)阻害による抗炎症作用に基づく医薬品開発に重心を置きますが、それ以外の新規作用機序に基づく研究開発プロジェクトも順次手掛けてまいります。特に、大手製薬会社が注目するような標的分子をターゲットにするのではなく、独自性の高い作用機序に取り組んでいきます。また、当社のリードパイプラインであるTMS-007の開発において経験したように、天然由来化合物を手掛けることで得られる新たな知見を研究開発にフィードバックする仕組み作りに取り組んでまいります。

当社は、日本の大学で創出されたシーズについて、研究段階・前臨床段階・臨床試験段階と開発を進め、ヒトPOC取得まで至ることができました。またその過程でグローバルに展開する海外製薬会社との提携を実現した実績を有しています。当社の経営陣は、これらの実績・経験を有するメンバーがコアとなっています。当社では、このような実績・経験を活かして、①SMTP化合物、特に急性期脳梗塞患者を対象とした治験で良好な成績を収めたTMS-007を基盤として上場企業としての基礎固めを行い、②日本を中心としたアカデミアの創薬シーズを積極的に導入してパイプラインを拡充し、グローバルの医薬品市場への展開を図り、日本のアカデミアにおける科学的ブレークスルーとグローバル医薬品産業の橋渡しを行うことで、今後の成長を実現していくこと、を成長戦略として描いています。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

一日も早い治療薬の上市を目指す当社は、研究開発から上市までのプロセス管理を行っていくことが、当面、最も重要な経営管理と考えております。また、パイプラインの充実を図っていくことも、経営の安定化及び企業価値の増大に不可欠であります。従いまして、現在研究開発段階にある当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の設定はしておりません。しかしながら、これら開発プロセス及びパイプラインの充実を重要な目標として事業活動を推進しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①TMS-007の開発支援

当社のリードパイプラインであるTMS-007は、バイオジェン社がオプション契約に基づくオプション権を行使し、今後の開発は同社が担うことになっております(バイオジェン社の開発コード:BIIB131)。2023年3月10日には、ClinicalTrials.govにTMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の概要が登録されましたが、バイオジェン社は、2023年4月25日の2023年第1四半期決算発表において、当該臨床試験の開始を一時停止し、試験を開始すべきかどうかを再評価すると発表しております。当社がTMS-007(BIIB131)の開発に関する意思決定に直接的に関与することはありませんが、バイオジェン社による当該臨床試験のプロセスが再開された場合には、当社は同社とより一層の連携を図り、開発がスムーズに進むよう、引き続き側面的な支援を行ってまいります。

なお、バイオジェン社がTMS-007(BIIB131)の開発中止を決定した場合には、オプション契約の規定上、当社とバイオジェン社はTMS-007(BIIB131)の開発権等の返還について誠実に協議することとされており、当社はかかる協議を通じて当該開発権等を適正な対価で再取得できる可能性があると考えております。当社といたしましては、TMS-007(BIIB131)のこれまでの臨床試験及び非臨床試験の結果から、TMS-007(BIIB131)の医薬品としての可能性を強く信じております。当社がTMS-007(BIIB131)の開発権を再取得した場合、現時点では前期第Ⅱ相臨床試験の結果が判明しているため、当該判明前に行ったバイオジェン社との交渉と比較して、より開発段階が進んだ医薬品候補物質として開発リソースの獲得交渉(製薬会社との提携交渉を含む)を行い得ると考えております。

 

②TMS-008の開発推進

sEH阻害を主たる作用機序とするTMS-008は、多様な炎症性疾患に対する治療薬となり得る可能性を秘めております。TMS-008の現在の開発段階は非臨床試験ですが、早期に第Ⅰ相臨床試験に移行することを目指してまいります。

 

③パイプラインの拡充

TMS-007、TMS-008及びTMS-009は、同じSMTP化合物ファミリーに属しており、類似した作用機序を有しております。当社は、ポートフォリオの幅を広げることを目的に、SMTP化合物以外のパイプラインの拡充に努めております。当社は、SMTP化合物の開発を通じて得られた知見に基づき、新たなsEH阻害剤の候補となる化合物の探索を進めるとともに、外部アセットの導入に向けて、アカデミアや研究機関等の早期研究段階の創薬シーズ等を導入することでSMTP化合物ファミリー以外のパイプラインの拡充を目指しており、複数のシーズの探索を行い、絞り込んだ候補の評価を進めております。

 

④人材の確保と組織体制強化

新規作用機序に基づく医薬品開発は、誰も歩んだことがない道を進むようなものであり、医薬品の研究開発の中でも特に高度な能力と経験を要するミッションであると考えられます。このため、優秀な人材確保と、優秀な人材がその能力をいかんなく発揮できる組織体制作りが必須となります。当社では、特に、専門分野ごとの縦割り型ではなく、研究・製造・薬事・開発等に専門性を有する人材が自由闊達に議論を交わせるような組織作りを目指すとともに、優秀な人材の採用を積極的に行ってまいります。

 

⑤財務基盤の拡充

当社は、2022年11月に東京証券取引所グロース市場に上場し、その際の新株発行により総額2,115百万円の資金を調達いたしました。

創薬ベンチャー企業においては、研究段階からパイプラインの開発の進展に伴って多額の資金が必要となります。当社においても、パイプライン育成・獲得のための研究開発投資の推進などのため、資金需要のより一層の増加が予想されます。当社はこのような中でも積極的な研究開発活動を続けていくため、マイルストーン収入等の収益、金融機関等からの借り入れや株式市場からの資金調達、補助金の活用などを通じて、資金調達の多様性を確保しつつ必要に応じて適切な時期に資金調達を実施し、財務的基盤の拡充・安定化を図ります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。

なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク

① 新薬開発の不確実性

医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要し、また前臨床試験や初期の臨床試験での成功が、必ずしもその後の臨床試験の成功や当局の承認等が得られることを保証するものではありません。当社の医薬品開発においても、臨床試験で有用な効果を発見できないことや、臨床試験の方法又は実施に関する規制当局等との合意形成の遅れ等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断が行われる可能性があります。また、当社が主要な市場として期待する日本、米国及び欧州諸国をはじめとする世界の主要国へ医薬品を展開するためには、各国における薬事関連法規等の法規制等の適用を受けることとなり、新薬の製造及び販売には当局の厳格な審査に基づく承認を取得しなければなりません。かかる審査に適合する有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られない場合、当社が希望する範囲の適応症や患者集団への投与の承認が得られない場合、開発期間中に当局の政策が変更される場合、又は当局の承認その他の販売許可の条件として追加的な臨床試験の実施が必要となった場合等は、当社は予定していた時期に上市できず、又は上市を断念する可能性があります。医療用医薬品候補の開発を断念した場合、当該開発への投資全てを失うおそれがあります。

さらに、当社が世界の主要国以外へ医薬品を展開する場合、主要国における承認とは別途、各地域の当局から医薬品の上市にあたって承認を取得しなければならず、販売価格等の承認も必要とされる場合があるため、主要国における承認が仮に得られたとしても、当社はこれらの承認を適時に得られない可能性があります。

これは当社のパイプラインを他社にライセンス・アウト(新薬候補化合物等に関する特許権やノウハウ等を他社に売却、又は使用を許諾すること)した場合も同様であり、当社が研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンス・アウトした医療用医薬品候補の上市が延期又は中止された場合、開発や販売に関するマイルストーン又はロイヤリティ収入を予定していた時期に得られないこと又は全く得られないことにより、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、パイプラインとなる化合物や対象疾患の拡充を図るとともに、医薬品の開発や事業化について経験を有する人材を社内外に確保してプロジェクトを推進する体制の構築に努めております。また、開発にあたっては、対象疾患に精通した医師等からの情報収集に努めるとともに、臨床試験の計画・実施に当たっては、規制当局との事前相談等を通じて適切な助言を得て開発を推進してまいります。

 

② 脳梗塞治療薬の開発に関するリスク

当社のリードパイプラインであるTMS-007は、脳梗塞治療薬としての開発が進められております。

急性期脳梗塞治療薬は、FDAより唯一承認された製品として、組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(t-PA)がある他、TenecteplaseやSovateltide(PMZ-1620)などの複数の医薬品候補の臨床開発が行われております。Tenecteplaseは、急性心筋梗塞治療薬として承認された遺伝子改変t-PAであり、現在、急性期脳梗塞の治療薬として第Ⅲ相臨床試験での評価がすすめられております。Pharmazz, Inc.のSovateltide (PMZ-1620)はインドにおいて第Ⅲ相臨床試験を完了いたしました。また、t-PAと同等の有効性と安全性をもつ後続医薬品であるバイオシミラー(先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性及び有効性を有し、異なる製造販売業者により開発される医薬品(バイオ後続品))が参入する可能性もあります。

バイオテクノロジー及び製薬業界においては、大手製薬会社等、医療用医薬品の開発及び販売において豊富な財源や技術資源等を有する潜在的競合他社が存在し、競合他社の研究開発が脳梗塞領域で先行した場合、TMS-007の優位性は低下する可能性があります。急性期脳梗塞に対する新たな治療法の承認や、競合他社による新薬の登場、t-PAの投与が不能な患者等に限定して臨床試験を行う場合におけるTMS-007の投与が可能な患者の数の不足、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などにより、TMS-007の臨床試験において被験者の登録が停滞し臨床試験が遅延する可能性や登録被験者の数が目標被験者数に届かず臨床試験が中止となり、当社の事業戦略や経営成績等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、競合する新薬の開発が先行し、又は競合新薬が上市されたことにより、事業性が大きく毀損されたとバイオジェン社が判断する場合は、バイオジェン社の判断により、TMS-007(BIIB131)の開発スケジュールが遅延する可能性や、開発中断に至る可能性があります。上市に至った場合においても、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を販売しバイオジェン社の製品に当社が想定していた薬価が付かず、又はカテーテル治療等の血管内治療の利用の増加等により、バイオジェン社の製品が医療関係者に十分に受容されない結果として当社が想定したロイヤリティ収入が得られない等により、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

TMS-007は、バイオジェン社がオプション契約に基づくオプション権を行使したことにより、今後の開発はバイオジェン社が担うことになっております。2023年3月10日には、ClinicalTrials.govにTMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の概要が登録されましたが、バイオジェン社は、2023年4月25日の2023年第1四半期決算発表において、当該臨床試験の開始を一時停止し、試験を開始すべきかどうかを再評価すると発表しております。当社がTMS-007(BIIB131)の開発に関する意思決定に当社が直接的に関与することはありませんが、バイオジェン社による当該臨床試験のプロセスが再開された場合には、当社は、同社とのより一層の連携を図り、開発がスムーズに進むように側面的な支援を行ってまいります。

 

③ 副作用発現、製造物責任

医薬品には、臨床試験段階から更には上市後において、予期せぬ副作用が発現する可能性があり、特に製品候補がより大規模で長期にわたり使用されるようになると、以前の試験では認められなかった副作用が発現する可能性があります。当社が開発する医薬品についても、予期せぬ副作用が発現することで、当該医薬品の開発が遅延もしくは中止され、又は当局により追加の臨床試験が必要とされる可能性があります。また、当社は、予期せぬ副作用が発現する場合等に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための保険に加入する可能性がありますが、最終的に当社が負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社及び当社の製品に対する信頼に悪影響が生じ、当社製品の需要が減少する等の可能性があります。上記のとおり、予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社の事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 医薬品に係る法規制及び医療費削減の圧力等に関するリスク

当社の開発する医療用医薬品について、規制当局による承認が得られた場合でも、製造、表示、広告、市販後調査の実施、安全性や有効性等に関する情報の提出、薬機法上の誇大広告規制など、様々な規制の適用を継続して受けることになります。近年、多くの国の規制当局が承認後のモニタリングの強化に取り組んでおり、その結果、製品の使用に関して規制当局から製品使用の一時停止などの勧告がなされる可能性もあります。当社が、適用される規制要件を遵守できない場合、規制当局は、当社に対して、民事、刑事又は行政上の措置を講じる可能性があり、それらの措置は、当社の事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、医療用医薬品は、日本及びその他各国政府による医療保険制度や薬価に関する規制の影響を受けます。国内においては医療費抑制策が継続的に行われており、毎年の薬価基準の改定や後発医薬品の使用の促進をはじめとする、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向により、薬価が抑制されることで、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医療費抑制は世界的な傾向になっており、医療用医薬品は海外においても各種の規制を受けるところ、例えば米国においては医療費の抑制等のために医療サービスの提供を管理するマネージドケア・グループや政府系の購入者からの価格圧力等にさらされるほか、近年、医療用医薬品の価格上昇に伴い、薬価に関する制度改正の動きが見られ、当社の開発品に対する影響は現時点では不明ですが、薬価関連法として2023年8月には「インフレ抑制法」(Inflation Reduction Act of 2022)が成立しております。また欧州においては並行輸入品や後発品との競争、費用対効果に基づく医療技術評価の利用の増加等により、薬価の下落圧力にさらされるなど、行政施策の動向及び医療費削減の圧力による悪影響(当社が製品候補の販売から得るロイヤリティ収入の減少を含みます。)を受ける可能性があります。

 

(2)事業遂行上のリスク

① 特定のパイプラインに関する提携契約への依存、収益の変動と不確実性

当社は、脳梗塞治療薬TMS-007の導出を完了しましたが、その他のパイプラインは研究段階もしくは開発の初期段階にあります。

当社の収益計画は、TMS-007の導出に関するバイオジェン社とのオプション契約に基づき当社が受領するマイルストーン及びロイヤリティ収入に依存しており、導出後の研究開発・承認申請・製造及び販売活動をバイオジェン社が行うことになるため、当社の収益は同社の戦略及び開発進捗等に依存し、大きく変動することとなります。バイオジェン社はTMS-007(BIIB131)に関連する特許を単独で所有し、今後のTMS-007(BIIB131)の臨床試験を単独で管理することから、バイオジェン社が実施する臨床試験において、良好な結果が得られないこと、予期せぬ副作用が発生すること、もしくはバイオジェン社における戦略変更によるポートフォリオの見直しが行われること等により、開発の中止や延期等の決定がなされた場合、当社がバイオジェン社に譲渡した特許の範囲や有効期間の不足によりジェネリックの参入を防げなかった場合、TMS-007(BIIB131)以外のSMTP化合物を用いて製品化されたこと等により当社が受領するマイルストーン及びロイヤリティ収入が減額された場合、バイオジェン社がオプション契約上当社のマイルストーン及びロイヤリティ収入の対象とならない非静脈内投与製剤等を製品化した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、バイオジェン社は、2023年4月25日の2023年第1四半期決算発表において、TMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の開始を一時停止し、当該臨床試験を開始すべきかどうかを再評価すると発表し(Q1 2023 Biogen Earnings Presentation)、2023年4月27日には、ClinicalTrials.govの登録情報が更新され、当該試験の予想開始時期は、2023年8月21日とされております。

また、バイオジェン社との契約上、バイオジェン社のロイヤリティ支払義務の有無を確認するための一定の監査を当社が行うことが出来るものの、バイオジェン社の有するTMS-007(BIIB131)の開発状況及び商業化に関する情報への当社のアクセスの権利はないことから、バイオジェン社から十分な情報を適時に得られる保証はなく、当社が当社の株主に提供できる情報もバイオジェン社が公表した情報及び当社がバイオジェン社から取得した情報のうち同社との契約上開示可能なものに限られます。バイオジェン社が公表した情報が正確であるか又は最新であるかを確認することができず、当社は将来の収益を正確に予測できない可能性があります。また、バイオジェン社はTMS-007(BIIB131)の開発につき商業上合理的な努力義務を負うものの、開発を継続する保証はなく、したがって、仮にバイオジェン社がTMS-007(BIIB131)の開発を中止した場合、当社とバイオジェン社は関連する知的財産権等の譲渡に関し協議することが予定されていますが、結果的にバイオジェン社が譲渡を行わない可能性又は当社にとって商業的合理性を欠く譲渡条件が提示される可能性があります。加えて、バイオジェン社が関連製品に関する権利を第三者に譲渡した場合、当該第三者はTMS-007の開発につき商業上合理的な努力義務を負いますが、当該第三者が製品の開発を継続すること又は製品の開発もしくは商業化に成功することの保証はありません。

また、TMS-007以外のパイプラインであるTMS-008及びTMS-009につき、当社はバイオジェン社より、同社に譲渡した知的財産に係る特定の化合物(グラントバック化合物)につき、特定の適応症のみを対象として開発するための無償使用許諾を受けており、当社は当該無償使用許諾の範囲内で開発を行う必要があり、加えて当社がグラントバック化合物につきサブライセンスする場合、バイオジェン社が優先交渉権を有しており、かかる制約は当社による製品候補の開発及び商業化並びに当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、バイオジェン社は、オプション契約に基づくオプション権を行使した後5年間は、同社に譲渡した知的財産に係るSMTP化合物(グラントバック化合物を含む。)につき、一定の疾患を除く特定の適応症を対象として開発することが禁止されていますが、当該禁止期間の終了後にバイオジェン社が開発を禁止されていた開発を行った場合、当社の製品候補の開発及び商業化並びに当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

現在、当社のパイプラインにおいては、SMTP化合物が主要な部分を占めており、最終的にSMTP化合物が適応症に対して有効でないことが判明した場合、当社の事業及びその成長に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。当社の資金、製造資源及び経営資源には限りがあるため、他の製品候補及び適応症において、より大きな市場機会があることが判明した場合でも、その機会の追求を見送ったり、遅らせたりする可能性があり、有益な市場機会を活用することができない可能性があります。

当社は、現在一時停止されているTMS-007(IBBI131)の臨床試験のプロセスが再開された場合には、バイオジェン社との緊密な連携を図り、その開発がスムーズに進むように側面的な支援を継続するとともに、パイプライン及びその対象疾患を拡充することにより、収益の早期の安定化を図ってまいります。

 

② 小規模組織及び少数の事業推進者への依存

当社は、当事業年度末現在、取締役6名(社外取締役2名含む。)、監査役4名(非常勤監査役2名を含む。)及び正社員14名の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。

また、当社の代表取締役社長である若林拓朗、創業研究者であり研究を担当する蓮見惠司(取締役会長)や研究者であり開発を担当する稲村典昭(取締役)をはじめとする現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員はそれぞれが高度に専門的な業務に従事しており、当社の事業活動はかかかる少数の主要な人材に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が今後パイプラインの拡大や、製品候補の製造又は販売を行う場合、従業員数及び事業範囲を拡大し、商業化等の担当者を採用、維持する必要がありますが、当社が事業の拡大を適切に管理し、適切な人材を採用できない場合は当社の成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当社の理念の浸透を図るとともに、専門分野ごとの縦割り型ではなく、研究・製造・薬事・開発等に専門性を有する人材が自由闊達に議論を交わせるような組織作りを通じ、やりがいを感じることのできる風土を醸成するとともに、新規採用も含め社内体制の強化を進めてまいります。

 

③ 知的財産権

(a) 当社又は当社の提携先が保有する知的財産権に係るリスク

当社及びバイオジェン社を含む当社の提携先は、製品候補に関連して様々な特許を取得及び出願していますが、特許の取得及び維持には一定のコストを要し、出願した特許が登録に至る保証はなく、さらには当社又は当社の提携先が取得した特許はその保護の範囲や有効期間が十分でないか、又は競争上の優位性を当社にもたらさない可能性があります。当社又は当社の提携先が特許の取得、維持又は有効期間の延長に失敗した場合、当社の製品候補の商業化を成功させる能力、又は当社の事業計画や業績に悪影響が及ぶ可能性があります。特に、TMS-007については、バイオジェン社からのロイヤルティは最も有効期間が長い特許の有効期間の満了日又は最初に製品が商業的に販売された日から6年間のいずれか遅い日まで支払われるところ、当社がバイオジェン社に譲渡した一部の特許の有効期間は2030年、出願中の特許が認められた場合には2042年の満了を見込んでおり、関連する特許に適用される期間延長が認められない場合、又は当社がバイオジェン社に譲渡した特許出願が権利化されずTMS-007の独占性を担保できない場合、バイオジェン社から支払われるマイルストーン及びロイヤリティ収入の額に悪影響が及ぶ可能性があります。TMS-008及びTMS-009に関しては、バイオジェン社が保有する特許の有効期間は2027年の満了を見込んでおり、当社がこれらの製品候補に関する追加の特許を取得できない限り、製品候補を引き続き開発・商業化する能力に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社がバイオジェン社に譲渡したSMTP化合物に関する知的財産権等については、バイオジェン社が独占して行使する権限を有していることから、バイオジェン社が当該権限を適切に行使しない場合、当社のTMS-008を含む製品候補を開発し商業化する能力に悪影響を及ぼす可能性があります。

加えて、特許に関する法律もしくはその解釈等の変更が行われた場合、特許権者が第三者に対して実施許諾を与えることを強制する法律が適用された場合、又は一部の国・地域において、米国、日本もしくは欧州諸国の法令と同程度の保護が与えられない場合には、当社又は当社の提携先の特許を取得する能力及び取得した特許を行使もしくは防御する能力又は当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社又は当社の提携先が将来、製品候補の商標及び商号に関する権利を保護できない場合、又は第三者が当社又は当社の提携先の知的財産権を侵害する粗悪な模倣品を流通・販売し、購入者に健康被害が生じた場合、当社又は当社の製品への風評被害が生じ、開発製品のブランド認知を損なう等、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(b) 使用許諾に係るリスク

当社は、TMS-008及びTMS-009に係るバイオジェン社からの無償使用許諾を含め、当社の製品候補の開発を行うために必要なライセンス契約を締結していますが、ライセンスの範囲が不十分である場合、当社の開発能力に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が将来製品候補を開発するために、第三者の特許又は専有技術の使用が必要となる場合において、当該特許もしくは技術に関するライセンスを取得できないとき、不利な条件でのライセンス供与を余儀なくされたとき、又は当社が供与されたライセンスの条件を遵守できないときは、当社の事業に重大な損害を与える可能性があります。

 

(c) 知的財産に関する訴訟及びクレーム等の対応に係るリスク

当社は、当事業年度末時点において、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。また、発明者、TLO法(大学等技術移転促進法)に基づく大学等の知的財産管理機関、企業及び研究機関から、「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、又は「実施権の許諾」を受け、事業化が推進できる体制を築いております。

しかしながら、医薬品開発事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者の特許が関連する可能性があります。当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、仮に相手方の主張が認められる可能性が低い係争であっても、係争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、製品候補の開発の停止等を命ぜられる等の事業上の制約を受けるなど、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、新たな開発に着手する際は、他社の特許権等を侵害しないことを確認する調査等によりリスクの低減を図るとともに、第三者との間で係争が生じた際には、顧問弁護士及び弁理士と連携し、当該係争に迅速に対応する方針であります。

 

(d) 職務発明等に係るリスク

当社が職務発明について役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、日本の特許法が適用される限り、同法に定める「相当の利益」を支払うことになります。また、当社の元従業員や共同研究者等が、職務発明者又は共同発明者等として、当社の所有する又はライセンス供与された特許等について何らかの権利を有する旨の主張がなされ、当社に報酬の支払いを請求する等の問題が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 外部委託先への依存

当社は、固定費を抑制して経営の機動性・効率性を確保するため、組織の規模拡大を優先せず、研究開発の各段階において外部の専門機関を積極的に活用して体制を構築していることから、当社の事業は当該外部の委託先に依存しております。例えば、当社は製造設備を有していないことから、製品候補の製造及び供給につき日本マイクロバイオファーマ株式会社等の第三者受託製造機関に依存しており、また今後製品の製造等に関与する場合にも第三者受託製造機関に依存することが予想されます。

当社は、業務委託先の選定及び当該業務委託先との関係の構築について慎重に対応しておりますが、専門的な知識及び技術を有する日本マイクロバイオファーマ株式会社等、代替先の確保が困難な委託先もあることから、不測の理由により委託先との契約が終了したり、委託先における地震や風水害といった自然災害、事故、又は規制当局による取り締まり等により長期間にわたって業務が停滞し、委託業務の遂行に支障が生じたりした場合、又は当該委託先との契約において当社が委託先に対して負っている義務(日本マイクロバイオファーマ株式会社をTMS-007の製造に関与させる義務を含む。)を遵守できない場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

これは当社のパイプラインを他社にライセンス・アウトした場合も同様であり、当社が他社にライセンス・アウトした医療用医薬品候補につき、製造委託先において製造に支障が生じた場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、TMS-007の第Ⅲ相臨床試験及び商業生産を実施するにあたって、製品候補の生産能力を増強するために、製造及び供給能力を持つ業務委託先を新たに追加する場合には、当社が既存の業務委託先に対してロイヤリティを支払うことに合意する必要性が生じる可能性やこれらの業務委託先との交渉状況等によってはTMS-007の開発スケジュールが遅延する可能性があります。さらに、TMS-007及びTMS-008の製造を、日本マイクロバイオファーマ株式会社等の共通する受託製造機関に依存し、両製品の製造時期が重複する等して調整が必要となった場合、いずれかの製品の開発スケジュールに影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 東京農工大学等の研究機関との関係に係るリスク

当社は、東京農工大学等の研究機関と共同研究を実施しており、今後も同大学等との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、何らかの理由で、これらの契約の更新が困難となった場合又は解除等により取引が困難となった場合、研究開発活動の遅延等、当社の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、大学との取引について、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することがないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。

 

⑥ 開発・製造・販売体制の構築に係るリスク

当社は、開発する医薬品候補物質について、国内外の製薬会社と提携して開発製造販売権を付与し、提携先製薬会社からマイルストーン及びロイヤリティ収入を得ることを、基本的な事業モデルとしております。適切な提携先を確保もしくは維持できない場合、当該提携先との間の契約条件が当社に最適なものとはいえない場合、又は提携先において何らかの理由により開発、製造方法の確立、製造体制及び販売体制の構築等が困難になった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 医療関係者等との関係に係るリスク

当社又は当社の提携先と、医療関係者及び第三者支払機関等との間の取引関係は、国内外の医療関連法規の適用を受ける可能性があり、これに違反した場合は、刑事手続、民事訴訟又は行政制裁の対象となる可能性があります。その場合には当社の事業成績及び市場での競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 情報管理に係るリスク

当社は、情報セキュリティ、研究開発等に関する機密情報等及び個人情報の管理について、情報システムを活用しつつ、情報セキュリティ管理規程、個人情報保護管理規程及び個人情報保護方針に沿って運用を行っておりますが、当社の役職員、提携先、取引先の不注意や故意、セキュリティ障害、第三者による攻撃等により、当社の研究開発等に関する重要な機密情報や個人情報が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は当該リスクを低減するため、当社の提携先及び取引先との間で守秘義務を含む契約を締結するとともに、規程に沿った情報管理の運用に努めておりますが、現在、当社はサイバーセキュリティ保険には加入しておりません。また、当社は、諸外国の法律を含め、変化の激しいデータプライバシー及びセキュリティに関する規制等の適用を受けますが、これらの規制等を遵守することができなかった場合、当社の評判が悪化し、又は当社が業務停止を含む規制上の措置・制裁や訴訟の対象となる可能性があり、当社の事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 代表取締役の兼任

当社代表取締役社長である若林拓朗は、先端科学技術エンタープライズ株式会社の代表取締役を兼任しております。同社は資産管理のみを行っており実質的に休眠状態にあることから、当該兼任により当社の業務執行に支障をきたすことはありません。

 

⑩ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び自然災害の発生等に係るリスク

医薬品は必需品であるため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による需要の変化はないものと予測しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や長期化により、当社、提携先及び委託先の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、地震や風水害等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社の従業員の安全や当社が使用するインフラ設備に支障が生じた場合等は、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 市場規模の推計に係るリスク

当社は、TAM(Total Addressable Market)について、一定の仮定及び前提の下、第三者機関の提供する推計値等に基づき推計しています。当社は推計に当たり当社が信頼できると考えるデータを用いておりますが、推計値の正確性には限界があります。生活習慣の改善等の要因により脳卒中の患者数が減少する等、製品候補の対象となる患者数が想定より少ない場合や、薬価が想定より低額となった場合等、かかる将来予想に用いられたデータ、仮定又は前提が不正確もしくは不適切であった場合、実際の当該潜在的市場の規模は推計より大きく下回る可能性があります。

さらに、仮に潜在的市場の推計値が正確であった場合でも、競争やその他の要因により、当社の製品候補が十分な市場シェアを獲得できる保証はありません。

 

⑫ 海外展開に係るリスク

当社又は当社の提携先は今後、米国及び欧州等において医療用医薬品の販売等を行う可能性がありますが、海外市場への展開においては、展開先での製造や販売に支障が生じる可能性があるほか、当該地域の薬事法制を含む法令及び実務、政情不安、経済動向の不確実性、税制の変更や解釈の多様性、為替相場の変動、商習慣の相違等に直面する場合があり、これらに伴うコンプライアンスに関する問題の発生等が当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 環境問題に係るリスク

当社の事業では、特定の危険物を管理しながら使用しており、当社がそのような危険物の取扱い及び処分に関して採用している安全策は、政府の求める基準に適合していると考えておりますが、当該危険物による環境汚染、人身事故等が発生した場合、多額の賠償責任又は罰金が発生し、当社の事業に重大な悪影響を与える可能性があります。

 

⑭ 内部統制に関するリスク

当社は、法令に基づき、財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用しておりますが、当社の財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社の財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社の財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)業績等に関するリスク

① マイナスの繰越利益剰余金の計上及び繰越欠損金

当社は、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあり、当社もこれまで多額の純損失を計上してきました。

当社は、脳梗塞治療薬をはじめとするパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しており、前事業年度において、欠損填補を行ったことに加えて、バイオジェン社のオプション権の行使に伴って、営業利益及び当期純利益を計上したため、繰越利益剰余金はプラスとなっております。しかしながら、積極的な開発投資を推進することやバイオジェン社によるTMS-007(IBBI131)の開発・商業化が中断され、または遅れが生じることで、当社がマイルストーン等の収入を期待どおりに得られないこと等により、繰越利益剰余金が再びマイナスとなる可能性があります。

加えて、当社は社歴が浅く、過去に大規模かつ重要な後期臨床試験を成功させた実績や医薬品の商業化を成功させた実績を有していないことから、過去の業績から将来の業績等を推測することは特に難しく、また、企業として未経験の問題等に対する対応能力については未知のリスクがあります。

なお、当社は、2023年2月期末において、1,515百万円の繰越欠損金が存在しています。しかし、繰越欠損金の繰越期間内に、繰越欠損金の全て又は一部を利用するために十分な課税所得を当社が得られるという保証はありません。また、当社の業績が順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合や税法改正により繰越欠損金による課税所得の控除が認められなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 収益計上

当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品について、その研究開発の進捗に伴って評価された製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)に基づいて製薬企業等とのライセンス契約等を締結し、その対価として契約一時金・マイルストーン収入及び製品の上市以降その販売に伴って発生するロイヤリティ収入等を段階的に見込むことを基本としています。

ライセンス契約等の締結において、製薬企業から、それまでの当社の研究開発で得られた医薬品候補物質の有効性及び安全性、並びに予想される対象患者数や薬価、特許存続期間等の事業性に関して一定の評価を受ける必要があります。従って、製薬企業から評価されうる研究開発成果が得られず、もしくは、研究成果が得られたとしても、研究開発の遅延により想定どおりのタイミングで評価を受けられない可能性があり、結果的に、当社の想定する条件やタイミングで契約を締結できず、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

また、ライセンス契約締結後においても、次の開発段階に進むために必要な臨床試験成績や、製品の製造・販売に必要な規制当局からの承認が得られない可能性、開発途中での競合新薬の上市、治療法そのものの変化のほか、特許係争の発生等で事業性が大きく毀損されたとライセンス・アウト先製薬企業が判断する場合は、開発が遅延又は中断する可能性や、ライセンス契約解消に至る可能性があります。

そして、上市に至った場合においても、薬価が当初の想定を大きく下回る、市場環境等の状況が当初の想定より悪化する可能性があります。

さらに、現在、当社のリードパイプラインであるTMS-007の導出先であるバイオジェン社の戦略及び開発進捗等により当社の収益は大きく変動する可能性があります。

当社の事業計画上は当面はバイオジェン社からのマイルストーン及びロイヤリティ収入以外を見込んでおらず、次のマイルストーンは米国におけるTMS-007(BIIB131)第Ⅲ相臨床試験の5例目投与完了時となる見込みです。

なお、バイオジェン社は米国の企業であり、当社とバイオジェン社との取引は米ドル建てで行われています。外貨建取引は、財務諸表上全て円換算しており、これらの項目は、現地通貨における価値が変化しなかった場合も、換算時のレートによって円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

③ 資金繰り

当社は、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も特定の事業年度を除くと営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。

このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、製品候補の開発の進捗等に応じて、適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミング又は適切な条件で資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる、又は株主の保有する権利に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 調達資金使途

2022年11月の株式上場時の際に新株発行により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、また当社の判断により調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その結果、調達した資金の投資が期待される利益に結びつかない可能性があります。

 

⑤ 新株発行による資金調達

当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 新株予約権

当社は、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しております。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っております。

当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は36,574,880株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は、新たに2,233,680株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。

また、今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 配当政策

医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社も創業以来継続的に営業損失及び当期純損失を計上しており、配当は実施しておりません。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えております。

そのため、当面の間は、積極的な医薬品の研究開発を進めるために内部留保の充実を優先し、配当は実施しない予定となっております。

株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益還元の実施を検討したいと考えております。

 

⑧ ベンチャーキャピタルによる株式保有

当事業年度末現在の当社の発行済株式総数36,574,880株のうち、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下これらを総称して「VC等」とします。)による所有割合は67%と高い水準となっております。

一般的に、VC等による未上場企業の株式への投資は、株式上場後に株式を売却してキャピタルゲインを得ることを目的としており、当社株主であるVC等についても、今後、所有する株式の全部又は一部を売却することが想定されます。そのような場合には、需給バランスが変動して当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度(2022年3月1日~2023年2月28日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進む一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景とした資源価格及びエネルギー価格の高騰、円安の進行等による物価上昇により、景気の先行きが不透明な状況が続いております。このような状況の下、当社は従来にないメカニズムに基づく独自の医薬品を開発して上市につなげることを目指し、以下のとおりに事業活動を進めてまいりました。

 

a.TMS-007関連の活動

2021年5月にBiogen MA Inc.(以下「バイオジェン社」という。)へ導出した急性期脳梗塞を適応症とするTMS-007(BIIB131)は、バイオジェン社において2023年上半期に後期第Ⅱ相臨床試験を開始する計画にて開発が進められ、当社は側面的支援を継続いたしました。なお、2023年3月10日付にて米国の臨床試験データベースclinicaltrials.govへ試験の詳細が登録及び公開されましたが、バイオジェン社は、2023年4月25日の2023年第1四半期決算発表において、TMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の開始を一時停止し、当該臨床試験を開始すべきかどうかを再評価すると発表しました(Q1 2023 Biogen Earnings Presentation)。また、2023年4月26日には、ClinicalTrials.govの登録情報が更新され、当該試験の予想開始時期は、2023年8月21日とされております。

 

b.TMS-008関連の活動

急性腎障害及びがん悪液質を適応症と想定し開発を進めているTMS-008については、第Ⅰ相臨床試験に向けたCMC(Chemistry, Manufacturing, and Control)面における検討を進めました。当事業年度において、製剤の最適化に関する予備検討を含む、GLP(Good Laboratory Practice)毒性試験を開始いたしました。並行して、臨床試験の開始に向けた実施計画の策定や体制の整備に着手しました。また、新たな適応症候補についても継続的に検討を行いました。

TMS-009はTMS-008のバックアップとしての位置づけであり、当事業年度における特段の活動はございません。

 

c.パイプラインの拡充に関する活動

当事業年度において、当社はパイプラインの拡充を図るための活動を積極的に推進いたしました。

当社がこれまでSMTP化合物(TMS-007及びTMS-008)の研究開発によって培った可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)阻害に関する知識と経験を活かし、AIを活用した化合物生成による創薬の最適化や天然物ライブラリーのスクリーニングを含む複数のアプローチを活用し、新たなsEH阻害剤の候補となる化合物の探索を進めました。加えて、アカデミアや研究機関、創薬企業等の早期研究段階のシーズから広範な探索を行い、複数の候補について絞り込んだ評価を行いました。

 

以上の活動の結果、当事業年度における営業費用は、TMS-008の開発費を主とする研究開発費として297,895千円、その他販売費及び一般管理費として222,254千円となったことから、合計で520,149千円となりました。これらの結果、当事業年度における営業損失は520,149千円(前事業年度は1,135,635千円の営業利益)、経常損失は株式公開費用として328,186千円を計上したこと等により861,471千円(前事業年度は1,079,304千円の経常利益)、当期純損失は860,925千円(前事業年度は1,076,859千円の当期純利益)となりました。

 なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績については記載を省

略しております。

 

 

② 財政状態の概況

 (資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,050,433千円増加し、3,790,215千円となりました。

これは主に、営業費用及び株式公開費用等の支出の一方で新株発行に伴う払込があったことにより、現金及び預金が986,664千円増加したこと、及び各種試験実施のための前渡金が80,644千円増加したことによるものであります。

 

 (負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ210,618千円減少し、76,161千円となりました。

これは主に、支払ロイヤリティ等の支出により未払金が140,264千円、株式公開費用の支出により未払費用が91,575千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

 (純資産)

当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ1,261,052千円増加し、3,714,053千円となりました。

これは、当期純損失860,925千円を計上したことに伴い利益剰余金が減少する一方で、新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,060,988千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、TMS-008の開発をはじめとする研究開発投資を積極的に行ったことで、税引前当期純損失を861,471千円計上したこと等により688,423千円の支出(前期は1,261,786千円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な設備投資は行っておりませんが、有形固定資産等の取得による支出により13,721千円の支出(前期は16,958千円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入2,103,379千円があった一方、株式公開費用の支出が420,569千円あったことにより1,688,809千円の収入(前期は246,482千円の収入)となりました。

これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ986,664千円増加し、3,584,667千円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績はありません。

 なお、最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2021年3月1日

至  2022年2月28日)

当事業年度

(自  2022年3月1日

至  2023年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

バイオジェン社

1,946,520

100.0

 

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態に関する認識及び分析

当事業年度末における資産合計は3,790,215千円(前事業年度末比38.3%増)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、営業費用及び株式公開費用等の支出の一方で新株発行に伴う払込があったことにより、現金及び預金が986,664千円増加したこと、及び各種試験実施のための前渡金が80,644千円増加したことによるものであります。

また、負債合計は76,161千円(同73.4%減)、純資産合計は3,714,053千円(同51.4%増)となりました。前事業年度末からの主な変動要因は、支払ロイヤリティ等及び株式公開費用の支出による未払金及び未払費用の減少、当期純損失を計上したことに伴い利益剰余金が減少する一方で、新株発行による資本金及び資本準備金の増加による純資産の増加であります。

 

b.経営成績に関する認識及び分析

・営業収益、営業費用、営業損益

当事業年度の営業費用は、TMS-008の開発費用をはじめとする研究開発費として297,895千円、その他販売費及び一般管理費として222,254千円となったことから、合計で520,149千円(前事業年度比35.9%減)となりました。その結果、営業損失は520,149千円(前事業年度は営業利益1,135,635千円)となりました。

・営業外収益、営業外費用、経常損益

営業外損益は、主に、株式公開費用の計上により、営業外費用は341,413千円(同258.8%増)となりました。その結果、経常損失は861,471千円(前事業年度は経常利益1,079,304千円)となりました。

・特別損益、法人税等、当期純損益

当期純損失は860,925千円(前事業年度は当期純利益1,076,859千円)となりました。

 

c.財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因

当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は増資により資金調達しております。

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は、創薬等のコンセプトやシーズの研究費及びパイプラインの製品化に向けた開発費及び会社運営のための管理費用について資金需要を有しております。当社は、第三者割当増資により調達を行った手許資金により事業用費用に充当してまいりましたが、2021年5月にバイオジェン社のオプション権行使による営業収益、及び2022年11月の株式上場にあたり実施した資金調達により、現状の現金水準は、当面の事業に問題のない水準となっており、流動性に支障はないものと考えております。

 

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)技術導入・特許譲受に関する契約

契約相手方名

(国名)

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

国立大学法人

東京農工大学

(日本)

特許譲渡契約

2015年7月10日

契約締結日から特許等存続期間満了日までの最も遅い日まで

譲渡人の有するSMTP化合物の用途特許等を当社が譲り受け、当該特許等を実施する際はライセンス料を支払う契約

農工大ティー・エル・オー株式会社

(日本)

特許譲渡契約

2015年7月10日

契約締結日から特許等存続期間満了日までの最も遅い日まで

譲渡人の有するSMTP化合物の物質・製造法特許等を当社が譲り受け、当該特許等を実施する際はライセンス料を支払う契約

学校法人昭和大学

(日本)

特許譲渡契約

2015年7月10日

契約締結日から特許等存続期間満了日までの最も遅い日まで

譲渡人の有するSMTP化合物の用途特許の譲渡人持ち分を当社が譲り受け、当該特許等を実施する際はライセンス料を支払う契約

国立大学法人

東北大学

(日本)

特許譲渡契約

2018年6月18日

契約締結日から本特許に係るすべての権利が消滅する日まで

譲渡人の有する特許を受ける権利を当社が譲り受け、当該特許等を実施する際はライセンス料を支払う契約

Biogen MA Inc.

(米国)

Option  Agreement

2018年6月5日

TMS-007に関するオプション権の行使から

複数のSMTP化合物について、一定範囲の疾患を適応として開発する権利を、無償で無期限に許諾する契約

 

(2)技術導出に関する契約

契約相手方名

(国名)

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

Biogen MA Inc.

(米国)

Option  Agreement

2018年6月5日

関連特許権の消滅する時と販売開始後6年のいずれか遅い方まで

TMS-007及び関連資産の譲渡に関するオプション権と譲渡の対価(マイルストーン、ロイヤリティを含む)についての契約 (注)

(注)当社は、2018年6月の契約締結時に400万ドル、2021年5月のオプション権行使時に1,800万ドルを既に受領しております。今後の開発状況及び販売状況に応じて、最大3億3,500万ドルのマイルストーン一時金と、製品売上高に応じて一桁%台後半~10%台前半のロイヤリティ(段階的料率)を受領する可能性があります。

 

(3)その他の重要な契約

契約相手方名

(国名)

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

メルシャン株式会社(現 日本マイクロバイオファーマ株式会社)

(日本)

原薬製造に関する契約

2007年8月1日

契約締結日から次段階の契約が締結されるまで

TMS-007の原薬製造委託

メルシャン社の製造供給権に対する努力義務

国立研究開発法人科学技術振興機構

(日本)

新技術開発成果実施契約

2015年9月10日

契約締結日から10年間。ただし当該期間を超えて成果実施する場合は実施終了まで

契約相手方の資金を活用して開発したSMTP化合物を用いた脳梗塞治療薬に関する新技術について、開発成果実施時には実施料を支払う契約

開発成果の実施及び権利譲渡に関する覚書

2018年6月4日

 

契約相手方名

(国名)

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

日本マイクロバイオファーマ株式会社

(日本)

共同開発契約

2019年8月1日

2023年3月31日まで

TMS-008の製造方法の開発及びGMPサンプル等の製造を委託するとともに、その過程で生じたノウハウ等を共有とする契約

 

5【研究開発活動】

パイプラインの内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。

 

当社は、パイプラインの開発推進及び拡充を通じて、将来的に新規医薬品としてのキャッシュ・フローを生み出す資産を構築することを目的として研究開発活動を推進しております。

当社の研究開発部門では、大学発の化合物をグローバルに展開する海外の製薬企業に導出した実績が示すように、アカデミア等における研究の早期段階にある化合物から着目し、育成しております。そして、研究開発の推進にあたっては、探索段階の基礎的な研究から非臨床試験、臨床試験段階の研究開発を、外部機関との共同研究や委託研究など外部のリソースを積極的に活用して行うことにより、効率的な体制を構築し、対応しております。

なお、当事業年度末日の当社研究開発従事人員数は12名であり、当事業年度における研究開発費は、297,895千円となりました。

当社は、医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。