第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。また、当社データを活用することで、企業は市場への過剰な商品投下を抑制し、在庫削減と廃棄ロス削減を通じてコスト効率を向上させることが可能になります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。

 

 当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具であるからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。

①  社会に貢献し、持続的な成長を追求します。

②  地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。

③  データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。

 

(2) 経営戦略

 当社は、日本最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を取り扱う企業として、企業各社の顧客分析から広告・販促支援、新規出店時の売上予測、外部へのデータガバナンスに基づくデータ提供支援、AIなどテクノロジー支援、データ活用教育支援に至るまでフルサポートする購買データプラットフォームを同業他社に先駆けて構築・展開してきたと自負しております。

 このビジネスコアをベースに、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。

 また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして「イーグルアイ」を主に提供しております。

 

① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加

・小売業への提案強化 (ドラッグストア、スーパーマーケットから、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなどに対象を拡大)

(注)当社の現在の中核商品領域である「日用品・化粧品・食品・飲料」を製造・販売する消費財メーカーでは、ドラッグストア・スーパーマーケット以外のマスチャネルやプレステージチャネル、EC、あるいは日本以外の海外で事業展開している企業が多く存在するため、これらの領域でID-POSデータを増加させることによる消費財メーカーのニーズへの対応

・当社協業パートナーとの関係強化を進めることによる東南アジアの小売業の購買データ、ID-POSデータの獲得及び活用開始

 

② ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化

・無償のインターネット情報サービスである「ウレコン」を通じた将来の潜在顧客層の拡大

・協業パートナーや販売パートナーを通じた小売業、消費財メーカー企業への提案強化

・新たな領域でのストック型サービスの追加

(他の消費者ビッグデータとのかけ合わせによるデータ領域、AI・機械学習など分析領域、デジタル広告やデジタルサイネージと連携するマーケティングソリューション領域など)

・購買データのデータベースは「どれだけ使っても原価は共通」のため、ストック型サービスの売上が伸びるほど収益性(利益率)が加速度的に向上

 

③ 消費者をビッグデータで把握するための多角的なデータラインナップの充実

・AIや機械学習の提供に組み合わせて、AIや機械学習に必要な教師データである「KURASHI360」やID-POSデータを提供することによる差別化

・データサプライヤーとの連携強化による「KURASHI360」に連携する外部ビッグデータの充実

(注)「KURASHI360」の嗜好分析はあらゆる産業の顧客対応や販促活動に活用することが可能。また、小売業や消費財メーカーにとっては、自社で保有する顧客データと当社の購買データをかけ合わせることで、顧客の日常活動に対する理解が深まり、より精度の高い顧客アプローチやマーケティング活動を行えるようになる。また、観光業・自動車業界・外食産業等、様々な領域でこのようなデータのかけ合わせニーズが顕在化し始めており、当社は購買データプラットフォームのリーディング企業として、サービス提供を進める。

 

④ 当社データプラットフォームに連携される多様なソリューションのエコシステム運営による事業拡大

・「ショッピングスキャン」「イーグルアイ」など既存サービスの提供に加え、「POS分析クラウド」などの顧客社内に存在するデータ活用の効率化支援、小売業の新規出店時の売上予測、広告・販促支援、顧客のロイヤル化促進、在庫/廃棄ロス削減、SDGs支援など、企業ニーズが強くデータ活用に親和性の高いソリューションのリリース及びクロスセル強化

・「ショッピングスキャン」で蓄積した技術・ノウハウを活用した価格競争力の向上及びサービス利用体験の改善

・提供ソリューションは、自社開発に加えて、当社データプラットフォームとの連携により提供価値の拡大が見込まれる外部AI・テクノロジー・データ企業のソリューションとのパートナーシップを促進、エコシステムとして運営することで、協業パートナーであるグローバルプラットフォーム企業のテクノロジーの選定とサービスへの導入を進め、スピーディーな提供価値の向上を実現

(注)例えば、世界最大のデータマーケティング企業であるニールセンは当社と資本業務提携関係にあり、同社のサステナビリティやデジタルマーケティング関連のソリューションなどグローバルに競争力あるプロダクツを日本仕様へ適合させた上で提供する等

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を掲げており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。

 また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の継続率であります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①  ブランドの認知度向上

 当社が主な事業領域とする小売業界、消費財メーカーのサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの認知度向上が重要な課題であると認識しております。無償サービスである「ウレコン」の利用やメディアでのデータ活用機会の増加、サービス導入企業の増加に伴って当社サービスの利用者数が拡大したこと等により、認知度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なるブランド認知度の向上が不可欠と考えております。この課題に対処するため、サービスの利便性向上、更なる消費者ビッグデータのデータ活用ノウハウの蓄積など、データ提供価値の向上に努め、利用者向けサービスクオリティを強化し続けることで「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」に代表される当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションを提供する企業としてのブランド確立を着実に進めてまいります。

 

②  収益基盤の多様化と強化

 当社は、購買データプラットフォームとして集信された消費者購買データの分析サービス及び開示サービスを主な収益源としております。当社が安定的な成長を続けていくためには、消費者ビッグデータの充実によるデータ網羅性を拡大し、データ活用ノウハウの蓄積によりデータ分析及びマーケティング領域での実績を積み上げ、顧客からの信頼に基づく受注のリピートを促す等の取組により、収益基盤を強化していくことが課題と認識しております。これらの課題に対処するため、AIを活用した高度なデータ分析技術やサービス開発力を駆使し、データ活用によるマーケティング業務の効率化など顧客の要望に応える新機能や新サービスの開発を行っております。加えて、当事業年度にはビジネスアナリティクス領域、広告領域などの新規領域のサービス開発にも積極的に取り組んでまいりました。顧客に高く評価される付加価値を持つ新機能・新サービスを開発することにより、収益源の多様化を図ってまいります。

 

③  プラットフォームの価値向上

 当社は、データマーケティングに不可欠な①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウ、の3領域全てにおいて提供価値とクオリティを向上し続けることで、データを収集・精製・管理・分析し多様なマーケティングソリューションの活用を可能とするビジネスプラットフォーム企業としての位置付けの盤石化を図ります。

 

 データに関してはドラッグストアに加え、スーパーマーケットとのデータ連携強化を図ることが最大の経営課題です。また、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなど他業態の小売業のデータ連携を推進しつつ、キャッシュレス決済や位置情報など他の消費者ビッグデータホルダーとのデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。

 

 テクノロジーに関しては、自社開発によるソリューションのクオリティ強化を継続しつつ、テクノロジーパートナーであるグローバルのプラットフォーム企業との協業を通じ、グローバルに競争力を持つ彼らのDXソリューションと自社ソリューションを組み合わせることで、クライアントへの提供価値を更に高めること、そして互いの顧客基盤を連携することで販売の効率化を図ることが重要と考えています。

 

 教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育研究機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる企業として重要であると認識しております。この取り組みの一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成すること、また、地域社会の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援を図り、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。

 

④  業績の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立

 データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中堅・中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。

 当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。

 

⑤  組織と人材

 当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は最重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルを育成することが、持続的な成長につながると信じています。

 そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある企業であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。

 教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、専門のコーチによるリーダーシップ開発、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメント、キャリアコーチングなど、コーチングプログラムの提供がそれにあたります。

 当社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。

 

 

⑥  情報管理体制の強化

 当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。プライバシーマークなど個人情報保護体制についても第三者機関から基準への適合性の認証を取得し、厳格な運用を心がけておりますが、グローバルレベルの関連規制を遵守することは当然とし、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、社内の統制や社員教育等、お客さまや取引先に信頼される確かな取り組み、更なるデータガバナンスとセキュリティ強化に向けた取り組みを継続してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社の企業理念(パーパス)は「データと知恵で未来をつくる」です。これは、私たちの事業活動を通じてサステナブルな社会を実現したいという思いを言葉にしたものです。当社では、このパーパスを制定した2020年以後、ビッグデータがもたらす恩恵を大企業のみならず多くの企業や団体が享受できる世界をつくることで、循環経済を実現するための無駄をなくし、イノベーション創出の基盤を作り、人々のウェルビーイングが実現される社会を目指してまいりました。

 また同時に、当社自身がサステナブルに存在し続けるためにも、従業員の声を聞き、多様性と包摂性を兼ね備えた企業文化を醸成することで、お客さまやあらゆるステークホルダーに価値を提供し続けられる組織であることを目指しています。以下に取組み事例を報告するとともに、サステナビリティ経営に関するガバナンスと人的資本に関する管理指標を開示します。

 

(1) データによるウェルビーイング度の見える化と課題解決への取組み

 特定非営利活動法人「人間の安全保障」フォーラムとの協業により、宮城県及び愛知県における人間の安全保障指標の見える化をデータで支援しています。ここで課題が特定された気仙沼市における人権問題解決に向けた取り組みの一つとして、「ICTを活用した女性と子ども支援モデル」を推進しています。具体的には「誰も取り残されない気仙沼」を実現するという気仙沼市のビジョンに基づき、女性の雇用機会の拡大により子どもへの貧困の連鎖を断ち切ることを目指し、気仙沼在住の女性へのリスキリングの機会提供とデータメンテナンス業務への就業を支援しています。

 

(2) イノベーション創出のためのデータのオープンソース化の取組み

 ビッグデータの恩恵をあらゆる人が享受できる環境を整えることがイノベーション創出に不可欠であるとの考え方のもと、「ウレコン」を通じて、当社データの一部を無料で公開しています。中小企業に加え、高等学校や大学などの教育現場でも活用されており、2024年4月には登録者数が3万人を超えました。本年リリースから10周年を迎えた「ウレコン」は、現在も順調に登録者数を伸ばしており、購買データ活用の裾野拡大を担うサイトとして成長を続けています。

 

(3) データの力を活用できる人材を育てる教育機関への支援

 今後の社会で求められるデータ人材の育成を目指し、高等学校、専門学校、大学などの教育機関のデータマーケティング教育を支援しています。これまでに、愛媛県立松山南高等学校、早稲田大学、城西大学、富山情報ビジネス専門学校など数々の教育機関で実施し、昨年度に続き当事業年度も、ホームセンター「チャンピオン」における、東北公益文科大学のデータマーケティング教育をサポートしました。

 

(4) サステナビリティ取組みに関するガバナンス

 当社があらゆるステークホルダーに対して価値を提供し続けられる企業であるために、コーポレート・ガバナンスの充実による健全かつ透明な経営体制が重要であると認識しています。当社のコーポレート・ガバナンスの充実に向けた具体的な考え方及び取組みは、本書「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に詳細を記載しています。

 

(5) リスク管理

 当社のリスク管理体制については、リスク管理基本規程に基づいて、社長室を責任部署としております。社長室は、具体的なリスクを想定、分類し、有事に備え、迅速かつ適切な情報伝達をはじめとする緊急体制を整備するものとし、定期的に取締役会に対してリスク管理に関する事項を報告します。

 

(6) 人的資本についての戦略・基本的な考え方

 「データと知恵で未来をつくる」企業であるために、人材が何よりも重要な原動力であるとの認識から、当社は働く全ての人が自らの幸せとパーパスを追求しながら働き続けることができる企業であることを目指しています。そのために、多様な属性や価値観をもち、さまざまな家族の状況を抱える従業員が安心して活躍できる環境を整えるとともに、従業員の資格手当の拡充などによる学びの機会を促進し支援するなど従業員が互いの成長を喜び合い、尊重し、支援し合うことのできる企業文化を目指しています。

 

 

(7) 人的資本に関する管理指標(2025年3月31日現在)

 上記の基本的な考え方に基づき、人的資本に関しては以下を管理指標として定め、課題を共有しながら継続的な改善を可能にする経営を行っています。

 

① 役員に占める女性の割合

 

男性

女性

総数

女性比率

役員

6

2

8

25.0%

a. 管理職層における女性比率を全従業員における比率に近づけるため、前述の通りきめ細かい育成施策を実施しております。

b. 男女間賃金格差については、合計においても格差は縮まっており、管理職層においては女性が上回るなど性別にかかわらず、評価基準に基づく均等な待遇が受けられるように制度を運用しております。

 

② 休暇取得の状況

有給休暇取得率

72.0%

従業員のワークライフバランスやエンゲージメント向上のため、有給休暇を取得しやすい環境を整えています。

 

③ 多様な働き方の選択肢の提供

a. 新型コロナウィルス感染症の拡大期に、従業員の安全を確保するため完全リモートで業務を行える環境を整備しました。この期間の経験を踏まえ、感染症の蔓延が収束した後も、従業員が自律的に働き方を選択できるルールを整備し、最も生産性高く働ける環境を自ら選択できる環境が整いました。

b. 従業員が育児とキャリア形成を両立するために、男女問わず休暇取得の促進と復帰後の業務キャッチアップとの両立を実現するための支援をきめ細かく実施しています。その結果、女性の出産後の育児休業取得率は100%と高い水準となっています。前年度、男性として初めてとなる出生時育児休業を取得した従業員に続き、男性従業員の取得が増加し取得率も50.0%に上るなど、職種を問わず取得しやすい環境の整備に努めて参ります。

 

④ 学びの機会の支援

a. 従業員の学びの機会を促進し支援するための取り組みとして、技術職を中心に前々期より従業員の資格手当の拡充を図っております。今後は技術職以外の資格についても対象資格の拡大等により学びの機会を全社へ広げていく予定でおります。

b. マネジメント層を対象としたエグゼクティブコーチングをミドルマネジメント層にも拡大し、従業員の成長を支援しております。

 

3 【事業等のリスク】

 以下については、当社が事業を運営するにあたりリスク要因となる可能性があるものを記載しております。

 当社としては、これらのリスクを予め十分に把握した上で、発生の予防及び対処に万全を期す所存であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクを全て網羅するものではありません。

 

(1) 事業活動に関するリスク

① データの安定供給に影響する事項

 当社は、国内大手小売業者よりID-POSデータ及びPOSデータの提供を受けて事業展開をしております。現在、各小売業者とは良好な取引関係を築いており、今後につきましても各社と良好な取引関係を継続していく方針であります。しかしながら、大量のデータ提供を上位数社に依存しており、将来において取引の終了及び取引条件の変更等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム運用に関わる事項

 当社のシステムは、定期的にデータのバックアップを取得する等の対策を講じており、システム上のトラブルが発生しても日常の業務に影響が起こらないような対策を講じておりますが、故意、過失にかかわらず、大規模なシステム障害等の事故が発生した場合、業務停止等の事態が生じることになり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術開発及び設備投資に関わる事項

 当社は、顧客の要望に応えるべく様々な技術開発及び設備投資を行っております。その中で、開発には相当の期間を要することが想定され、不測の事態が発生し計画どおりに進捗できない場合、投資資本を回収できない場合等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 小売業及び消費者購買データを取り巻く市場環境の変化

 当社の主ターゲットであるドラッグストア、スーパーマーケットなど小売業界においては近年、経営統合による業界再編が進んでおります。さらに、ID-POSデータの活用があらゆる業界に広がり、大手ポイント事業会社の統合やポイント連携が加速しております。当社取引先である小売業の経営統合やポイント連携等により、将来において取引の終了及び取引条件の変更等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 業界及び競合他社

 当社は、クライアントニーズの変化及び環境変化を的確に捉え、競争力の維持向上に努めておりますが、特に資金力・ブランド力を有する大手企業の参入や、全く新しいコンセプト及び技術を活用した画期的なシステムを開発した競合他社が出現した場合など、関連市場の様々な環境変化によって、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業買収、業務提携、合弁事業等

 当社は事業買収、業務提携、合弁事業等を実施する可能性があります。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定します。しかしながら、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴うため、当初の期待していた効果が出せない場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 事業投資等

 当社は、事業拡大を図るために、各種の事業投資(IT投資、新規事業投資等)を検討していく方針です。これらを実施する際には、既存ビジネスとのシナジー、リスクや収益力の見通し等を十分に分析したうえで実行しますが、何らかの事情により事業の展開が計画どおりに進まない場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 情報の漏洩等の影響

 当社は、ID-POSデータ並びにPOSデータに基づく事業を展開しているため、極めて多くの消費者の個人情報を保持しております。当社は、これらの個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、各種規程・マニュアルの整備、社員への周知徹底、プライバシーマークの取得等、管理体制の整備を行い、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピューターウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 高度な専門知識を有した人材の獲得及び継続雇用

 当社は、今後の事業展開のため、優秀な人材の採用・確保及び育成が重要であると考えております。そうした中、ITやマーケティング領域の専門人材(エンジニア、データサイエンティスト、データマーケター等)が市場に不足している状況は今後も継続する可能性が高く、人材の争奪により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画どおり進まない場合や、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、顧客に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 得意先の経営破綻

 当社は、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しておりますが、今後予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 株式会社プラネットとの関係

 当社は株式会社プラネットの関係会社であり、同社は本書提出日現在において当社議決権の24.33%(1,176,000株)を所有しております。同社は流通業界を構成する各企業(製造者・配給者・販売者)が合理的に利用できる情報インフラストラクチャーの構築・運営を事業内容としております。

 本書提出日現在における当社役員8名のうち、株式会社プラネットに属するものは1名であり、その者の氏名、当社及び株式会社プラネットにおける役職、兼任の理由は次のとおりです。

氏名

当社における

役職

株式会社プラネットにおける役職

兼任の理由

玉生 弘昌

取締役

名誉会長

経営陣強化のため兼任

 当社は、経営方針、営業活動等全ての業務を独自に意思決定し事業展開しております。また、株式会社プラネットに属するものが当社役員を兼任する状況は、当社の経営判断を妨げるものではなく、当社の経営の独立性、自立性は確保されております。

 

(2) 経営環境に関するリスク

① 景気変動の影響

 当社がサービスを提供する主要顧客は、各種消費財メーカー及び小売業であります。当社の売上構成はストック型売上が91.8%を占め、持続的な健全性・安定性を確保しておりますが、国内外の景気動向等により顧客企業が予算を抑制し当社との契約内容の見直し等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自然災害等の影響

 地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、大規模な自然災害が発生した場合には正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制及び訴訟等に関するリスク

① 法的規制等

 当社の事業は「個人情報保護法」「景品表示法」等の法的規制を受けております。今後、想定外の事態の発生により何らかの法令に抵触した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権

 当社が事業活動を行うにあたり、第三者が保有する特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、又は今後当社の事業分野において第三者の特許権等が新たに成立した場合、当該分野の事業の停止及び第三者から損害賠償、使用差止等の請求を受けることにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 訴訟に関する影響

 当社は、システム開発をはじめその事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っております。しかしながら、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起され、その結果によっては当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスク

① 税務上の繰越欠損金

 2025年3月期末において、当社は税務上の繰越欠損金を有しております。今後、当社の業績が順調に推移し、現存する税務上の繰越欠損金が解消され、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が発生する場合には、当社の業績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化

 当社では、当社の役職員に対してインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。本書提出日現在において、これらの新株予約権による潜在株式数は76,600株であり、発行済株式総数の1.58%に相当しております。

 これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

③ 特定人物への依存

 当社代表取締役社長である米倉裕之は、当社の経営方針や事業戦略の構築等において重要な役割を果たしております。

 当社は、事業拡大に伴い同氏に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績の状況

 当事業年度のわが国経済は、円安の影響等による物価高により実質所得が伸び悩み足踏み状態ながらも、各種政策の効果もあって雇用・所得環境が改善する中で個人消費は緩やかな回復がみられました。一方で、欧米における高い金利水準の継続、それに伴う日本との金利差による円安基調、中国における不動産市場および個人消費の停滞継続、ウクライナ問題の長期化や中東情勢のさらなる緊迫、米国の政策動向など海外の政治・経済の諸課題による影響も大きく、景気の先行きに対する不透明感は継続しました。

 当社は、全国に広がるドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店における消費者購買ビッグデータとAI等テクノロジーを活用し、小売企業や消費財メーカーなど顧客企業の収益拡大に貢献するソリューションの提供を主力事業としています。当社の事業領域はビッグデータを用いた社会構造変革や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)というメガトレンドの追い風を受け、中長期的な成長が見込まれております。当社においてもこのような追い風を受けつつ、小売企業や消費財メーカーの顧客企業の開拓・深耕が進み、成長トレンドが継続しております。

 当事業年度においては、中期的な成長の土台を確固たるものとするために、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」の販路拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し新規取引先開拓のための取り組みを進めました。これらの主力サービスは、クラウド上のサービス提供に対して月次課金型の使用料を受け取るビジネスモデルであり、ベースとなるストック型の安定的な収益を確保できるものです。具体的には、販路の拡大やサービスの拡充を強力に推進するため、伊藤忠商事株式会社との食品業界のデータ利活用推進に向けた資本業務提携契約や、物流ロス削減・事業者DX推進に向けた東京海上スマートモビリティ株式会社との業務提携に向けた基本合意を締結し、広告領域ではアライアンス先との協業による広告効果の精度向上に向けた新サービスの立ち上げなど、新たな事業領域におけるサービスの顧客開拓に注力してまいりました。

 

 

 以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,554,285千円(前事業年度比2.4%減)となり、営業利益は48,468千円(前事業年度比24.2%減)、経常利益は49,166千円(前事業年度比21.6%減)、当期純利益は13,231千円(前事業年度比77.9%減)となりました。

 

 なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

b. 財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ67千円増加し1,362,640千円となりました。流動資産は、売掛金が増加した一方、現金及び預金の減少により、1,142,272千円と前事業年度末に比べ9,996千円減少いたしました。固定資産は、ソフトウエアの減価償却が進んだものの、ソフトウエア開発により無形固定資産が増加したため、220,368千円と前事業年度末に比べ11,950千円増加いたしました。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ32,743千円減少し281,841千円となりました。流動負債は、買掛金や契約負債の減少により、278,021千円と前事業年度末に比べ27,299千円減少いたしました。固定負債は、主に「オンプレミスからクラウドへの構造転換」の推進による新基幹システム開発に要した長期借入金の返済が進み、3,820千円と前事業年度末に比べ5,444千円減少いたしました。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ32,811千円増加し1,080,798千円となりました。繰越利益剰余金が13,231千円増加したほか、ストック・オプションの行使により資本金が9,790千円増加し、さらに資本準備金も9,790千円増加いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は859,557千円と、前事業年度末に比べ77,971千円減少いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況及び変動要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動により獲得した資金は37,153千円(前事業年度は127,526千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益22,831千円及びソフトウエア等の減価償却費を46,597千円計上した一方で、売上債権の増加額36,631千円及び契約負債の減少額24,774千円及び未払金の増加額22,720千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動により減少した資金は104,905千円(前事業年度は58,809千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出15,309千円、無形固定資産の取得による支出88,663千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動により減少した資金は10,220千円(前事業年度は10,235千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出29,800千円があった一方で、新株の発行による収入19,580千円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

 生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

 第25期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

メーカー向けソリューション

956,020

100.10

リテール向けソリューション

308,564

93.52

あらゆる産業向けソリューション

289,700

94.04

合計

1,554,285

97.57

(注)1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

 経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

②  経営成績等分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ38,755千円減少し、1,554,285千円となりました。

 当社ストック型売上の主力サービスのうち、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し、新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、ビジネスアナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費等により、前事業年度に比べ19,170千円減少し、659,441千円となりました。

 この主な内訳は、労務費181,551千円、減価償却費33,278千円、データセンター使用料144,721千円であります。

 以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ19,585千円減少し、894,843千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は研究開発費の減少等の影響により、前事業年度に比べ4,111千円減少し、846,374千円となりました。

 この主な内訳は、給与手当426,737千円、役員報酬65,061千円であります。

 以上の結果、当事業年度における営業利益は48,468千円(前事業年度は63,942千円)となりました。

(経常利益)

 当事業年度における営業外収益は2,657千円(前事業年度は1,763千円)を計上しております。これは、主に雑収入であります。

 当事業年度における営業外費用は1,959千円(前事業年度は3,009千円)を計上しております。これは主に株式交付費償却であります。

 以上の結果、当事業年度における経常利益は49,166千円(前事業年度は62,696千円)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度の税引前当期純利益は22,831千円(前事業年度は62,696千円)となりました。

 また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は9,599千円(前事業年度は2,696千円)であります。

 以上の結果、当事業年度における当期純利益は13,231千円(前事業年度は60,000千円)となりました。

 

③  財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費であります。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行うこととしております。

 また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より77,971千円減少し、859,557千円となっており、流動比率は410.9%と高い水準となっております。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。当社が保有するビッグデータ、そしてオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトが進行中であり、小売業、消費財メーカーのみならず、金融、自動車、広告等、業種や企業規模を問わず当社データが活用されるエリアが広がっております。

 

 当社の経営指標につきましては、成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、前事業年度と比べ38,755千円(前事業年度比2.4%)減少し1,554,285千円となりました。営業利益は、前事業年度と比べ15,473千円(前事業年度比24.2%)減少し48,468千円となりました。

 この要因といたしましては、中期的な成長のための計画的な人員増強、研究開発費投資、事業運営基盤の構築等により販売費及び一般管理費が前事業年度と比べ4,111千円(前事業年度比0.5%)減少し、846,374千円となったことによります。

 また、小売業の購買データは当社ビジネスの基盤であることから、購買データ量を主要な経営指標としております。小売業向け主要サービスであります「ショッピングスキャン」の分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、5兆5,230億円となりました。

 

5 【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社はデータマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの研究開発活動の概要は記載しておりません。

 当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は2,286千円であります。

 

 当社の研究活動は、オルタナティブデータの応用研究など、将来の当社成長の種となる新たなソリューションサービスを開発すべく研究を日々積み重ねております。また、SaaSサービス提供プラットフォームの多層化にも着手し、安定的な運用体制の構築を進めております。