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回次 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
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決算年月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
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当期純利益又は 当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
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持分法を適用した 場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
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潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
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投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
△ |
△ |
△ |
|
現金及び現金同等物 の期末残高 |
(千円) |
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|
|
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従業員数 |
(名) |
|
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|
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〔外、平均臨時雇用者数〕 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
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株主総利回り |
(%) |
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|
(比較指標:東証グロース指数) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
- |
1,835 |
910 |
721 |
1,080 |
|
最低株価 |
(円) |
- |
515 |
430 |
431 |
358 |
(注)1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等としております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
4.第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
5.自己資本利益率については、第21期は、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
6.第21期の株価収益率については、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
7.1株当たりの配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
8.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均雇用人数を〔 〕内に外数で記載しております。
9.当社は、2021年6月23日付けで普通株式1株につき普通株式100株の割合で株式分割を行っておりますが、第21期の期首に、当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
10.第21期から第22期の株主総利回り及び比較指標については、2021年12月16日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したため、記載しておりません。第23期の株主総利回り及び比較指標は、2022年3月期末を基準として算定しております。また、株主総利回りの比較指標は、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、「東証マザーズ指数」から「東証グロース指数」へ変更しております。
11.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。なお、2021年12月16日をもって東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。
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年月 |
概要 |
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2000年10月 |
三菱商事株式会社の戦略的子会社として、同社が50.3%出資してCRM事業を主業とするカスタマー・コミュニケーションズ株式会社(資本金400,000千円)を東京都港区芝四丁目に設立 購買者の行動が分析できるカスタマースキャンサービス開始 |
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2001年10月 |
東京都港区高輪二丁目に本社移転 |
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2008年11月 |
株式譲渡により、株式会社プラネットが筆頭株主となる |
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2009年9月 |
東京都港区芝公園二丁目に本社移転 |
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2014年3月 |
小売業向けに、ID-POSデータ(注1)の分析及び消費財メーカーへのデータ開示サービス(注2)を可能にする「ショッピングスキャン」をリリース |
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2014年5月 |
メイン事業をアウトソーシング受託事業から消費者購買データのマーケティングプラットフォームとしてビジネスモデルを刷新 株式会社産業革新機構(現 株式会社INCJ)等を引受先とする第三者割当増資を実施、資本金を979,010千円に増資 |
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2014年9月 |
東京都港区芝大門一丁目の現在地へ本社移転 |
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2014年11月 |
消費財メーカー向けに、ID-POSデータの分析を可能にする消費者の購買行動分析SaaS(注3)「イーグルアイ」をリリース |
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2015年3月 |
全国各地の消費者の購買傾向を可視化するダッシュボード「ウレコン」をインターネット経由で無償にて提供開始 |
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2016年7月 |
「簡単」「高速」な消費者の購買トレンド分析SaaS「ドルフィンアイ」をリリース |
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2017年7月 |
カスタマー・コミュニケーションズ株式会社から株式会社True Dataへ商号変更 |
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2017年9月 |
ニールセンカンパニー合同会社と戦略的提携契約を締結 |
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2018年6月 |
監査等委員会設置会社へ移行 |
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2019年6月 |
Google Cloud(注4)パートナープログラムにおいてBuildパートナー(注5)(現:Buildエンゲージメントモデル)の認定を受け、データ管理・分析・運用基盤システムの刷新に着手 |
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2019年11月 |
デジタル広告枠のリアルタイムな自動買い付けのターゲティング精度を向上させるために、True Data(リアル店舗の購買データ)と Oracle Data Cloud(オンラインのオーディエンスデータ)の連携を実現し、オンライン・オフライン両データによるターゲティングソリューションの協業開始(現在はサービス終了) |
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2020年4月 |
Google Cloud パートナープログラムにおいてCo-Sellパートナー(注6)に認定され、当社とGoogle LLCがSaaS販売の協働体となる(現在はパートナー認定終了) |
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2020年7月 |
当社のデータ管理・分析・運用基盤システムをクラウド環境へ移行完了 多様な消費者ビッグデータをかけ合わせて全国各地の生活者の暮らしをデータ化し、AIや商圏分析などマーケティング活用に提供する「KURASHI360」をリリース |
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2020年12月 |
SAP SEよりCXエコシステム(注7)に連携するスタートアップとしてパートナー認定(注8)を受け、協業体制を構築 |
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2021年11月 |
Google Cloud パートナープログラムにおいてServiceパートナー(注9)(現:Serviceエンゲージメントモデル)の認定を受け、協業体制を強化 |
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2021年12月 |
東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場 |
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2022年1月 |
FPTソフトウェア(本社:ベトナム)と業務提携契約を締結し、同社の子会社であるTrandata Technology Engineering Joint Stock Company(現:Techup Communication Joint Stock Company)が実施する第三者割当増資の引き受けを行う資本業務提携契約を締結 |
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2022年3月 |
株式会社プラネットと「POSデータクレンジングサービス」を共同で開発し、データ整備のアウトソーシングサービスとして提供を行う業務提携契約を締結 |
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2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所グロース市場に移行 |
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2023年5月 |
経済産業省より「DX認定事業者」として認定 |
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2023年5月 |
統計化した全国規模の購買データをもとにYouTube広告の実店舗での売上効果の検証・実証を行う「Poswell」をリリース |
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2023年5月 |
楽天グループ株式会社が提供する、オフラインでの購買データに基づく ID マーケティングソリューション「RMP – Omni Commerce」(注10)におけるメニューである「Instore Tracking」(注11)に対し、当社の統計化した全国規模のオフライン購買データの連携を開始 |
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2023年9月 |
小売業が新規出店を計画する際の売上を予測する「SalesSensor(セールスセンサー)」をリリース |
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年月 |
概要 |
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2023年9月 |
株式会社プラネットとの業務提携契約に基づき、消費財メーカーの購買データ活用を促進する 「POS データクレンジングサービス」をリリース |
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2023年12月 |
小売業の売上の伸びしろを可視化する小売業向け AI ツール「Potential Scan」をリリース |
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2024年8月 |
消費財メーカー向けツール「Eagle Eye DashBoard(イーグルアイダッシュボード)」をリリース |
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2024年11月 |
アドバンテージ・パートナーズ株式会社から事業譲受、間接費の最適化支援サービスを提供開始 |
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2024年11月 |
FPT IS、TECHUPCOMと共同で、日本の消費財メーカー向けにベトナム市場におけるテストマーケティングサービスのベータ版をリリース |
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2024年12月 |
東京海上スマートモビリティ株式会社と業務提携に向けた基本合意を締結 |
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2024年12月 |
伊藤忠商事株式会社と食品メーカーおよび小売業向けのデータマーケティング支援事業に関する資本業務提携契約を締結 |
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2025年3月 |
株式会社Hakuhodo DY ONE と共同で、購買データを活用したブランドマーケティング支援サービス「WISE Ads BrandBooster」をリリース |
用語の説明
注1 ID-POSデータ
ID付きのPOSデータのことです。POSとはPoint of Salesの頭文字を取った略語で、「何が売れたのか」を意味するPOSデータに、「誰が」という情報が追加されたものがID-POSデータとなります。
注2 データ開示サービス
小売業が消費財メーカーへ自社データを公開し、データ分析を可能とするサービスです。
注3 SaaS
Software as a Serviceの頭文字を取った略語で、これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウエアを、サブスクリプション形式で、インターネット経由でサービスを提供・利用する形態を指します。
注4 Google Cloud
Google LLCが提供するクラウドソリューションの呼称です。
注5 Buildパートナー(現:Buildエンゲージメントモデル)
Google Cloudを活用したソリューションを開発するパートナーを指し、技術支援をはじめとする様々な特典を受けることができます。
注6 Co-Sellパートナー
Google Cloudを活用したソリューションを共同販売するパートナーを指し、より広範な顧客へのリーチが可能となります。
注7 CXエコシステム
SAP SEが展開するCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)に関わる製品と当社製品の連携により、SAP SEは自ら当該製品を開発することなく、当社製品を活用して顧客に迅速に価値を提供し、両社の成長にスピードと新たな収益機会をもたらすビジネスモデルです。
注8 パートナー認定
SAPプラットフォームやSAPテクノロジーを活用したソリューション及びパッケージ開発を行うパートナー認定制度を指します。
注9 Serviceパートナー(現:Serviceエンゲージメントモデル)
Google Cloudを活用したソリューションをコンサルティングやトレーニング、技術サポート等を含めて顧客に提供するパートナーを指します。
注10 RMP - Omni Commerce
楽天グループ株式会社が運営するサービス。オフライン購買データを起点に宣伝・販促・顧客育成を図るソリューションで、各企業が実店舗領域におけるプロモーションを実施できる様々なメニューを提供します。
注11 Instore Tracking
楽天グループ株式会社が運営する「RMP - Omni Commerce」の提供メニューの一つ。オンライン広告の効果を実店舗購買に基づいて計測できるメニューです。
当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業や自治体の持続的な成長や業務品質の向上に貢献することを目指しております。
また、当社データを活用することで、企業は市場への過剰な商品投下を抑制し、在庫削減と廃棄ロス削減を通じてコスト効率を向上させることが可能になります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。
一般的には、日本の小売市場は消費者ニーズが多様化し、海外市場と比較して多数の商品が毎日のように上市されては消える特徴を持っていると認識されております。またPOSシステムやポイントカードが普及していることから、購買データをマーケティングに活用する素地は整っていると考えられます。
しかし、小売業や消費財メーカーが実際にビッグデータやテクノロジーをマーケティングに有効活用するためには多くの課題が存在しております。
データ活用は、①データ、②テクノロジー、③活用するためのノウハウ、この3領域が揃ってはじめて可能になります。企業のデジタル活用支援サービスとしては、AIやコンサルティング、システム構築など専門領域に特化する企業が多い中で、当社の特徴は、この3領域の全てにおいて顧客企業に価値を提供できる力を備えてきたことにあります(注)。
(注)①当社が取り扱う小売業の「データ」は合算して全国6,000万人規模、売上金額の合計は年間約5.5兆円の規模に達しております。
②「テクノロジー」はGoogle、SAP、ニールセン、Salesforceなど、グローバルプラットフォーマーとテクノロジー領域でのパートナー認定取得や協業が進展しております。
③「活用するためのノウハウ」は教育プログラムとして外部に提供し、高校から大学院まで全国の教育研究機関におけるデータ活用の実践教育を支援しております。
これにより、AIの活用等において指摘されるコールドスタート問題(注)のように、いずれかの領域が不足してデータ活用ができていなかった企業に対してもサービスを提供することが可能であります。
(注)コールドスタート問題:AIなどテクノロジーを導入してもデータが準備できずに活用が進まない事例が散見される問題
(1) 事業の概要
当社は主たる事業として、ドラッグストア及びスーパーマーケットなど全国の小売業の顧客ID付きPOSデータ(以下、「ID-POSデータ」という)を活用した分析及び開示支援ツールを提供するなど、データマーケティングに関わるサービス提供を行っております。
当社のサービスは、メーカー向けソリューション、リテール向けソリューション、あらゆる産業向けソリューションに分かれております。
メーカー向けソリューションにおいては、「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」「POS分析クラウド」等のサービスを提供しております。
リテール向けソリューションにおいては、「ショッピングスキャン」等のサービスを提供しております。
あらゆる産業向けソリューションにおいては、消費者購買に関わるデータや分析レポート、広告・販促活動の効率化及び効果検証、AI等のデータ活用支援サービスを提供しております。
(2) 当社の変遷
当社の前身はID-POSデータの将来性に着目して2000年に三菱商事株式会社の新規事業として立ち上げられた企業であります。設立後10余年は小売業のサポートを主たる業務内容として事業を展開しており、2006年3月期以降は、毎年の売上高の減少トレンドの中、コスト削減に注力することで黒字を維持する縮小均衡の経営状況にありましたが、小売業の消費財メーカーへのデータ外販支援までの広範なサポートを行うことで、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が生まれる前から、そのサービスの原型を志向していた企業に位置づけられていました。
2012年に現行の経営体制への変更とともに、当社のメイン事業は「消費財メーカー向けデータマーケティング事業となり、小売業はデータ基盤を構成する重要な事業パートナー」と定義し、連携するID-POSデータを拡大し、提供するソリューションの価値向上を図りながら持続的な売上成長を目指す成長路線へと経営方針を転換しました。
取締役会の過半数以上を社外取締役に変更し、監査等委員会設置会社へ移行してコーポレート・ガバナンスを強化、第三者割当増資による資本増強を行い、データを管理・保管するシステムインフラや分析機能を刷新し、DX認定を取得、プライバシーマーク認証に基づくデータガバナンスを強化しました。また、人材を積極的に採用しながらデータ活用人材への育成を強化し、「データと知恵で未来をつくる」を企業理念(パーパス)に掲げて、小売業や消費財メーカーへのソリューション提供のみならず、あらゆる産業を対象とした消費者ビッグデータに基づくマーケティングソリューションの提供へ、ビジネスモデルも発展を遂げております。
図表 当社の売上推移
(注)CVS(コンビニエンスストア)売上:当社は、2010年より大手CVSへのデータ外販支援事業(データ開示システムの開発及びシステム運用業務の受託)を9年にわたり展開しておりましたが、M&AによるCVS親会社の方針転換(同業務のグループ内製化)により、同社との取引を終了いたしました(売上影響が大きいことから個別に記載いたしております)。
(3) サービスの具体的な内容
「ショッピングスキャン」は、小売業の商品ごと、店舗ごとの購買行動を簡易に分析できる小売業向けのID-POSデータ分析ツールであります。
小売業は、ポイントカードの利用に伴って日々蓄積される自社の購買データを分析することで、ファンが付いている商品や買い合わせ傾向などを分析し、売場や販促などのマーケティングに活用しております。
また、「ショッピングスキャン」のデータ開示機能(注)により、小売業は堅牢なデータガバナンスを確保しながら消費財メーカーへのマーケティングデータの販売が可能となり、消費財メーカーは「ショッピングスキャン」にアクセスして小売業における顧客の購買データを分析し、小売業との商談資料に活用しております。このような製販が同じデータを分析して、アイデアを合わせて最適な販売施策を検討するデータ開示の取り組みは、大手小売業を中心に導入が進んでおります。
(注)データ開示機能:小売業から消費財メーカーへのデータ外販及び各種分析をフルサポートする機能で、企業間で個別に行ってきたデータの送受信並びにその付随業務を当社で一元対応を行います。これにより、各企業は各種マスタデータの管理やデータ精製などの煩雑なメンテナンス業務を各々で行う必要がなくなることから、小売業、消費財メーカーそれぞれの業務効率・費用効率向上を可能とするものであります。
当社は「ショッピングスキャン」のような分析ツールの提供に止まらず、小売業や消費財メーカー向けのデータ活用セミナーの開催やサポートデスクの設置などデータ活用支援をあわせて提供することで、現場のデータマーケティングを活性化し、小売業から消費財メーカーへのデータ外販収益の最大化にも貢献しております。
「ショッピングスキャン」のサービス提供形態は下記の通りであります。データ活用セミナーの開催やサポートデスク設置などデータ活用支援サービス(一部ケースにおいては入金管理を含む)と組み合わせて、年間契約にて小売業に提供しております。
一方、小売業が自社データで分析できる購買は、自社の店舗に来店された顧客の購買行動に限定されるため、「店舗の商圏内に居住しながら来店されない消費者を理解し、来店いただけるようにしたい」「ターゲットとする消費者に効果的にアプローチしたい」「自社の店舗では取り扱っていない商品でも、市場においてファンが付いて売れ行きが伸びている商品を把握して仕入を検討したい」というニーズは解決できません。
仮に小売業のレシートデータを誰かが集めたとしても、データは企業により、同じ商品でも「タンサンインリョウ」「タンサン飲料」「炭酸飲料」というように多様な名称でデータ管理されており、分類についても「飲料分類」「炭酸分類」「炭酸水分類」など多様なため、同一の小売業毎の分析は可能でありますが、別々の小売業のデータを合算して全国や地域など市場全体で消費者分析を行うことは難しいのが現状です。
このため当社では、全国の小売業から集信する「大量かつバラバラな仕様のデータ」を全体での分析を可能とする「標準化されたデータ」に精製し、全国、地域、商圏といった範囲で生活者の購買行動の実態や変化を分析できる消費者購買データベースを構築して、小売業、消費財メーカー、政府・自治体、メディアなど幅広いマーケティング用途に活用できるサービスに変えて提供しております。その主要なサービスが「イーグルアイ」であります。
大量データを集めて分析する難しさに加えて、データの標準化など精製プロセスに多大な労力がかかることが当社ビジネスモデルの模倣困難性となっております。
「イーグルアイ」は、全国及び地域単位での消費者の購買動向を早期かつ精緻に把握することを目的とした分析ツールであります。データベースが購入者属性と紐づいたID-POSデータであり、データベースの規模が大きいことから、単なる商品の売れ行きに留まらず、顧客の購買行動に関わる様々な指標データを導き出せるほか、二日前の購買まで検出できる速報性を実現しております。
また、消費者マーケティングに関わる定番の分析機能を搭載しており、調べたい情報を簡単な操作でスピーディーに手元で取り出せるため、資料作成時間の大幅削減も見込めるものであります。さらに、インターネット環境があれば低コストで導入できる利便性に加えて、サポートデスクを開設し、導入後も安心して活用いただける体制を整えており、商品開発・顧客のターゲティング・販売促進・事業戦略など、消費財メーカーの様々なニーズに対応可能なソリューションとなっております。
「イーグルアイ」のサービス提供形態は下記の通りであります。年間契約のSaaSとして消費財メーカーなどの企業に提供しており、2025年3月末時点で「イーグルアイ」導入企業数は159社となり、1企業で約500IDのユーザーにご使用いただくなど、活用が広がった事例もあります。
当社が提供する主なサービスは、以下の通りであります。
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サービス名 (主な契約形態) |
サービス内容 |
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ショッピングスキャン (年間契約) |
インターネットを通じて、小売業向けに、自社のID-POSデータやPOSデータの分析ツールを提供するサービス。小売業が自社データを消費財メーカーに開示できる(自社データの分析を外販する)機能を搭載。 |
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イーグルアイ (年間契約) |
インターネットを通じて、消費財メーカー向けに、消費者の全国や地域の購買行動を詳細に分析できるツールを提供するサービス。 データマーケティングのプロフェッショナルにも対応する定番分析メニューを搭載。 |
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ドルフィンアイ (年間契約) |
インターネットを通じて、ユーザーが知りたい商品のカテゴリーや地域を選択するだけで、消費者の購買情報が表示されるツールを提供するサービス。 消費財メーカー、小売業、教育機関、メディアなど幅広い企業や組織に提供。 |
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ウレコン (無償) |
全国各地域における消費財500カテゴリーの上位100商品の購買情報をグラフで可視化し、まとめて一覧表示してユーザーへ情報提供するインターネットサービス。 |
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POS分析クラウド (年間契約) |
消費財メーカーなどの企業が社内のPOSデータやID-POSデータを分析するために、データ精製、蓄積、管理、分析など機能一式をクラウドシステムとして提供するサービス。 |
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KURASHI 360 (案件により決定) |
全国各地域の生活者のID-POSデータに、嗜好価値観や自動車など生活者の消費行動に関わる多様なビッグデータ、政府・自治体などが提供するオープンデータをかけ合わせて、地域毎の生活者のタイプや購買傾向の状況、変化などを読み解き、数値化された「暮らしに関わる地域毎のマーケティングデータ」として提供するサービス。 |
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KURASHI AI (案件により決定) |
販促など具体的な施策にデータを活用するために、暮らしに関わるマーケティングデータを分析するAIを提供するサービス。 「顧客のファン化を促進する」「チラシやダイレクトメールなど販促の効果を向上させる」「品揃えを最適化して売上を向上させる」など目的に応じたAIを提供。 |
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Shopping Scan for LINE (案件により決定) |
当社の小売業向けデータ分析プラットフォームを活用し顧客の嗜好やニーズをAIが判定することで、小売業のLINE公式アカウントのメッセージやクーポン配布など、顧客に合わせた販促施策を実施・効果検証が可能となるサービス。 効率的な販促活動により小売業のロイヤルカスタマーの育成を支援。 |
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Poswell (案件により決定) |
統計化した全国規模の購買データをもとに、YouTube 広告の実店舗での売上効果を検証・予測するサービス。 広告主は、売上効果の検証・予測により広告配信地域の拡大や広告量の調整が可能となり、効果的な広告戦略の立案が可能。 |
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SalesSensor (年間契約) |
小売業が新規出店計画を検討する際、小売業が独自に持つ売上実績データや店舗情報に加え、競合店の情報、人口や乗降客数、平均世帯年収など外部のオープンデータを AIが分析し、地域特性を加味した出店時売上予測を自動的に算出するサービス。 高精度の売上予測により、売上の最大化と新規出店コストの最適化が可能。 |
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POSデータクレンジングサービス (年間契約) |
小売業ごとに様々に異なるPOS データを統一のフォーマットに整え、必要な情報を付与することでデータを分析できる状態にする、消費財メーカー向けの購買データクレンジング代行サービス。 消費財メーカーは、データクレンジング作業に時間をとられることなく、本来業務であるデータ分析及びデータを活用したマーケティングやサプライチェーンに関する施策の検討に専念できる環境が実現。 |
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Potential Scan (年間契約) |
小売業においてデータ分析の専門家でなくても、わずか数クリックで業務に必要なデータが表示され、AIを活用し売上アップの伸びしろが、どの商品にあるのか等を視覚的に把握することができるサービス。 小売業の店舗運営を担う店長やバイヤーなどのデータ分析業務の効率化が可能。 |
(4) 事業の構造
かねてより、日本の消費財メーカーは様々な小売業から購買データを購入し、それらの分析に基づき、各小売業に対して販促提案を行っています。しかしながら、入手する購買データの内容は商品名や店舗情報など情報の質が小売業毎に異なるため、消費財メーカーにとってその活用は各小売業への個別対応に留まっているのが現状であります。
昨今のデジタル活用ニーズの高まりから、各消費財メーカーでは自社内に独自のデータ活用システムを構築しようとする動きが顕著となっていますが、その実現のためには購買データに関して商品・店舗などそれぞれの情報を整備し、各小売業から入手する情報の質と精度を、設定した範囲内に揃えていくことが絶対条件となります。日本市場では日々、多数の新製品が上市され、また製造中止となり、新店・閉店などの情報を反映していくことも必要であり、小売業各社から入手する購買データの整備に加えてこれらの情報管理作業は膨大となります。
こうした作業を消費財メーカーが独自に行うことは困難を極めますが、たとえそれが可能となったとしても、消費財メーカー各社が個別に対応することは、多大な活動の重複を生み出すだけで、日本の産業界にとって極めて非効率な状況となります。POSデータ、ID-POSデータ、さらには他のビッグデータとのかけ合わせとデータの多面化が進むなかで、小売業と消費財メーカーを結ぶ購買データプラットフォーム企業の存在の必然性はますます高まっております。
このような環境下、当社の事業として、データガバナンスとセキュリティを確立しながらデータを提供価値に変えて成長する仕組みを構築してまいりました。当社は、以下のようなビジネスコアの確立を進めております。
① 小売業の購買データを、競合他社を凌駕するレベルで集信
② データ精製機能、データガバナンスに基づく蓄積・管理機能、マーケティングに必要な分析機能とともに、当社を経由してSaaSなどで、小売業や消費財メーカーなど企業に一括供給
③ 他の購買データやオープンデータとかけ合わせながら、「顧客の見える化」「ロイヤル顧客や売上の伸びしろの分析」「AI等を活用した多様なマイクロサービスの創出」「オンライン・オフラインの垣根のない(顧客への)さまざまな広告・販促手段へのデータ連携」「新規出店時の売上予測精度向上」を、よりわかりやすく、具体的に提供できるビジネスプラットフォームを提供
ビジネスコアを確立することで、企業個々のデータ及びデータを活用するAIや機械学習によるテクノロジーの整備、位置情報など外部データの活用、地域からグローバルまでのサービスの拡大、広告・販促領域の効率化、新規出店時の売上予測精度の向上、教育・研修ニーズへの対応まで深耕し、事業拡大を図っております。また、データ活用支援の対象として、例えば小売業における販促・マーケティング部門のみならず店舗開発部門や経営企画部門などへの支援対象部門の拡大や、消費財から観光業、外食産業、自動車業界等の新領域に横展開し対象業界を広げることで、成長の持続性と費用効率の向上を図ることが、当社が事業成長において目指す姿であります。さらに、消費者購買データは複数の顧客・サービスに何回活用されても消費・減耗することはないため、当社のストック型サービスの拡充及び売上拡大により構造上収益性が加速度的に向上いたします。
現時点で、産業界に上記のビジネスプラットフォームを完結させた企業は存在しませんが、当社が先鞭をつけることで、小売業・True Data・消費財メーカーの3者のそれぞれが質・量・コスト効率全てについて現状を大きく凌駕するwin-win-winの環境を形成することを目標にしております。
図表 事業系統図
大量データを蓄積・保管・分析し、競争力の高いソリューションをクライアントに提供するためには、テクノロジー面で以下の機能を担保することが必須であります。
① 拡張性・処理性能の向上(膨大なデータ量と外部ツールへの連携)
② 安全性(世界レベルのセキュリティ対応)
③ 先進テクノロジー(先進テクノロジーを用いたソリューション・分析メニュー)
このため、当社はテクノロジー面では自社開発にこだわらず、GoogleやSAPなどのグローバルIT企業、ニールセンなど最先端の分析アルゴリズムを持つグローバルマーケティング企業とアライアンスを組み、テクノロジーの世界的な進化を取り込む仕組みを構築しております(※)。さらに当社は、データやソフトウエア、データ活用ノウハウを向上させるための人材などテクノロジーを競争力あるソリューションに変えるための経営資源に投資を行う等、競争力向上に向けた投資の最適化を図っております。
※ 当社はAIなど製品のパフォーマンスをIT企業と競うのでなく、クオリティの高い製品を選別して採用し、その製品に当社データとプログラムを実装したソリューションとすることで、高い付加価値をお客さまに提供しております。
当社は提供するサービスのクオリティを高めることが、当社サービスを継続的に活用いただける成果につながり、持続的に事業成長する力を安定化させていく土台になると考えております。
(5) ID-POSデータの特性、多様な消費者ビッグデータとのかけ合わせ
POSデータは従来、「商品」の売れ行きを見る購買データとして、日本のみならずグローバルで一般的に利用されております。
ID-POSデータは、ポイントカードなどIDに紐づけたPOSデータ、すなわち「人」を軸とした購買データであり、単なる商品の売れ行きに留まらず、性別や年代別などを切り口とした属性分析、商品を継続して購買する顧客の割合を示すリピート率分析、他の商品から買い替えた顧客の状況を示すスイッチング分析、その商品と一緒に買われている商品を示す併買分析など、マーケティングにおいて購買行動を精緻に分析できるデータとしての強みがあります。
図表 POSデータ、ID-POSデータの特性
また、デジタルトランスフォーメーション時代のデータマーケティングは、消費者を多様なビッグデータで理解して、顧客の最大価値獲得に貢献していく時代に入っております。
ID-POSデータは、消費者ビッグデータの代表格としてグローバルに活用が拡大しており、多様な消費者ビッグデータをかけ合わせる結節点としての活用が進んでまいりました。ID-POSデータに多様な消費者ビッグデータをかけ合わせて、データから顧客の購買の傾向やライフスタイルのタイプなどを分析し、最適なマーケティングに活かす取り組みが始まっております。
図表 消費者ビッグデータのかけ合わせによる消費者理解
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名称 |
住所 |
資本金又は 出資金 (千円) |
主要な事業 の内容 |
議決権の所有 (又は被所有) 割合(%) |
関係内容 |
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(その他の関係会社) |
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(直接被所有) |
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株式会社プラネット |
東京都港区 |
436,100 |
EDI基幹プラットフォームの構築・提供・運用 |
(24.33) |
役員の兼任(1名) システム開発受託 分析ツールの提供 |
(注)有価証券報告書提出会社であります。
(1) 提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
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従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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〔 |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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データマーケティング事業 |
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〔 |
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合計 |
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〔 |
(注)1.従業員数は執行役員、正社員、契約社員の総数であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員数を外数表記しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社の事業は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント情報との関連の記載を省略しております。
(2) 労働組合の状況
当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
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2025年3月31日現在 |
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管理職に占める 女性労働者の割合(%)(注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%)(注)2 |
労働者の男女の賃金の格差(%)(注)1 |
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全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。女性管理職比率は「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある従業員の合計に占める女性管理職の割合を集計しております。管理職の定義は、グループ長以上としております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.男女の賃金の差異は、男性従業員の平均賃金に対する女性従業員の平均賃金の割合を集計しております。当社のパートは女性のみとなります。
4.当社では、採用・評価・登用等に関し、性別や国籍、年齢等の属性に関わらず、個人の成果や成長に基づいた処遇を行っております。賃金差異の主要因は、職種・職掌内区分別人数構成の差によるものであり、同一労働の賃金に差はありません。