当社の経営方針、経営戦略等は次のとおりであります。
また、次の文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」を経営理念(ミッション)として掲げ、研究開発事業とライセンス・製品販売事業の2つのビジネスモデルを軸として、世界中のバイオリファイナリープラントにおいて当社の技術が使われ、「創造的な技術力、提案力でバイオリファイナリー分野を牽引し、常識を変革する企業になる」ことを目指しております。
当社の成長は、次の事項により実現してまいります。
各化学品市場へ段階を経て参入していく計画であり、1つ目のフェーズとして、アミノ酸に代表される食品添加物及び飼料添加物、あるいは化粧品原料等の現在でも発酵により生産されている製品の市場において、当社技術をライセンス供与し、ライセンシー企業の製品シェアの拡大を目指しております。
2つ目のフェーズとしては、市場が拡大しているバイオ樹脂原料を対象として、既存の石油製品と比べてコスト競争力のある製品の生産技術を提供し、今後、この分野でもプラットフォーマーとなることを目指しております。
3つ目のフェーズとしては、食品添加物や化粧品原料といった各製品分野において市場価格が高価格帯である、高付加価値品について、当社がバイオリファイナリー分野で蓄積してきたノウハウを使って自社販売で参入し、企業成長を加速させてまいりたいと考えております。
また、4つ目のフェーズとして、バイオ燃料及び可食バイオマスを利用した製品を、更なる成長市場として考えております。これらは、現時点では石油由来の既存品とバイオマス由来製品、可食バイオマス由来の既存品と非可食バイオマス由来製品とを比較して、既存品が安価かつ大量生産が容易であることから、バイオマス由来製品への代替が進んでおりませんが、政府の気候変動対策やSDGsの達成のための法規制等により、企業におけるCO2の削減等の義務が強化された場合には、バイオマス由来の製品の需要が拡大すると想定しております。当社といたしましては、そのような状況を見据え、技術実証を兼ねて事業化に備えた研究開発を進める方針であり、日本発の国産バイオジェット燃料の生産や、ポプラから作った化粧品用エタノールの開発、販売を実施しております。
パイプラインの拡大にあたって、1つ目の方針として、新たな製品を生産する菌体の開発(新規)と、既に開発した生産性の高い菌体を基にした類縁製品を生産する菌体の開発(波及)を強化してまいります。
また、2つ目の方針として、当社の技術の多くは、既存の発酵設備を利用できることから、国内外の既存設備で、同時並行で多数のパイプラインの事業化を進めることを目指しております。

2019年6月11日、内閣府(統合イノベーション戦略推進会議)により「バイオ戦略2019」が公表されました。
「バイオ戦略2019」においては、先進国の多くが高齢化、人口減少時代に入るとともに、新興国も労働人口はすでにピークアウトして先進国と同様の課題を抱えつつあり、いずれは世界中が環境問題の深刻化、食料確保の困難化、医薬品需要の増加等の共通した社会課題を抱えることになることを警鐘しております。これらの社会課題の克服につき、持続可能性、循環型社会、健康がキーワードとなると分析し、目指すべき「循環型社会」、「持続的一次生産型社会」、「バイオ化社会」、「医療・ヘルスケア連携社会」の4つの社会像とその実現に向け注力する9つの市場領域が示されております。
そして、2020年6月26日、「バイオ戦略2020(基盤的施策)」が公表され、バイオ戦略2019に沿って遅滞なく取り組むべき基盤的施策(データ関連、バイオコミュニティ形成関連等、制度整備関連等、司令塔機能の強化)が打ち出されており、2021年1月19日には「バイオ戦略2020(市場領域施策確定版)」により、「高機能バイオ素材・バイオプラスチック」や「有機廃棄物・有機排水処理」、「持続的一次生産システム」、「生活習慣改善ヘルスケア、機能性食品等」等の市場領域ごとの市場規模目標が設定され、2030年のバイオ市場規模総額92兆円が掲げられております。
米国や欧州等では、すでにバイオテクノロジーと経済活動を一体化させた「バイオエコノミー」という概念に基づく総合的な戦略のもとに技術開発や政策が推進されております。経済協力開発機構(OECD)の公表する「The Bioeconomy to 2030(2009年)」によれば、世界のバイオエコノミーの市場規模は2030年にOECD加盟国のGDPの2.7%にあたる約1.6兆ドルに到達するとし、2000年代半ばと比較して約3倍の成長が予想されます。まだ一般的に「バイオ」で連想されるのは健康、医療及び農業でありますが、2030年に向けては燃料や樹脂等の工業用途が増加し、市場規模のうち工業分野の比率は最も大きい39%(農業分野36%、健康、医療分野25%)、6,000億ドルと予測されております。
米国及び欧州を中心に微生物利用の工業化の競争が激化しておりますが、現在において微生物の効率的、安定的な利用が可能な微生物の開発は、世界においてもいまだ停滞しており、当社のバイオリファイナリー事業はこの新興市場へ先駆的に乗り出すものであります。
日本においては、国際民間航空機関(ICAO(International Civil Aviation Organization))が掲げる2050年時点での航空業界の二酸化炭素排出量半減の目標を受けて、経済産業省や国土交通省により東京オリンピックを指標としたバイオジェット燃料によるフライトの実現が推進され、また、世界の廃プラスチックの受け皿となっていた中国における2017年からの段階的な廃プラスチックの輸入制限、海洋プラスチック問題に端を発し、欧州を主体に広がりつつある使い捨てプラスチックの規制の潮流が樹脂を取り扱う業界各社に及んでいるところであります。
また、「バイオエコノミー」と並行して、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」という概念が取り上げられ、これまでは廃棄物としてみなされていたものを有用物に変換することが求められています。当社は、非可食バイオマスを原料として、バイオリファイナリー技術により、バイオ化学品に変換する技術、ノウハウを有しており、これらを使った新しいソリューションを提供してまいります。
優先的に対処すべき財務上の課題として、設立時より研究開発のための設備や人件費等を先行投資しており、2021年9月期までにおいては継続的な営業損失を計上しております。研究開発サービスを提供する、当社のような技術開発型ベンチャーにおいては、商用化可能な技術基盤の確立のための設備投資を含む研究開発費用が先行して計上されるに伴って、赤字計上となることに特徴があります。
当社においては、上述の先行投資の結果、2019年9月期以降、大型の研究開発契約の締結による研究開発収入やライセンス契約の締結によるライセンス一時金等を計上し、2021年9月期の売上高は前期比50.3%増加の実績となっており、営業損失率は改善してきております。
今後も、技術基盤の強化のための研究開発活動への投資を継続するとともに、次の事業上の課題である「開発から商用化というビジネスモデルの確立」及び「成長を支える体制の確立」に取り組むことで、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
また、優先的に対処すべき事業上の課題は次のとおりであります。
当社は、バイオリファイナリーという新しい市場で生き残り、成長していくために、自社で開発、生産、販売するという単純なビジネスモデルではなく、様々なニーズや課題を抱える他社との研究開発を実施し、事業化可能な技術レベルまで発展させ、最適な商用化の形(ライセンス契約又は自社販売)を選択するというビジネスモデルで収益を確保してまいります。
そのため、中期目標とし、今後3年間において、次の項目を実施してまいります。
社会が求めるバイオ化学品を選び出して、その開発のために最適なパートナー企業を探し出し、研究開発を進めております。特に最近では、地球環境問題等に対する関心が高まり、非石油由来のバイオ樹脂や生分解性のバイオ樹脂に対するニーズが強まっているものと考えております。また、バイオマスを原料とする場合、原料調達費、人件費、物流コスト、供給安定性等から、低コスト化のためには、海外での商用化がカギを握っております。さらに、近年、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」ということが叫ばれ、廃棄物の有効利用が求められており、当社が有している非可食バイオマスの利用とバイオリファイナリーの知見を使ったソリューションを提供してまいります。
こうした状況を踏まえ、今後3年間において、バイオ樹脂原料の研究開発、海外企業とのバイオ化学品の研究開発、食品残渣・農業残渣由来のバイオ化学品のパイプラインを実施してまいります。
継続的かつ安定的な収益の確保のためには、研究開発費による一時的な売上だけではなく、開発した技術及び製品の商用化(ライセンス契約、共同出資会社による生産及び販売、又は自社販売)が重要であります。製品の価格、用途、市場規模、パートナー企業の有無等の状況に応じて、どの形態が最適かを判断し、商用化を進めてまいります。
具体的には、今後3年間において、既に開発に着手している、新規アミノ酸、非可食バイオマス利用及び食品向け素材のパイプラインの商用化を計画しております。
当社は、既に2種類のアミノ酸のライセンス、並びに化粧品用エタノールの自社販売という形で商用化を実現しており、これらの商用化済製品からの収益の拡大にも取り組む必要があります。
具体的には、今後3年間において、改良技術の提供等を通じたライセンシー企業の製品の売上高拡大によるロイヤリティ収益の拡大を図ります。
当社が「バイオリファイナリー産業における技術プラットフォームを提供する企業」となるためには、短期間で大きな成長を実現していく必要があります。そのためには、事業の拡大を支える体制を確立する必要があります。そのため、中期目標として今後3年間において、次の項目を実施してまいります。
規程類の整備とその適正な運用、必要となる組織の新設及び変更並びに適切な人員の採用及び配置、予実管理及び決算体制の整備、会計システムのワークフローの確立及び人的作業からシステム制御への移行、内部監査の実施、リスク及びコンプライアンス管理の実施等を実行して、法令に準拠し、また当社の事業構造に適応した内部統制システムの構築を進めてまいります。
世界的な石油資源からバイオマスへの転換の波による、大企業におけるバイオプロセスの研究開発への投資や少子化による研究者の絶対数の減少等により、研究者は現在売り手市場であると考えております。当社は技術開発型ベンチャーであり、独自の技術開発が事業の根幹となることから、優秀な研究者の確保が必要不可欠であります。
また、上述の内部統制システムの構築や、適時開示及びIR等、付加的業務への対応のため、企画、管理部門についても増員が必要であり、適時の採用活動を行っていきます。
当社のビジネスモデルの特徴として、自ら大規模な製造設備を持たないことで、大きな設備投資を必要としないことにありますが、成長のためには、多くの製品の開発を行う必要があり、人員の拡大に伴う研究施設の拡張、発酵槽等の研究開発設備への追加投資が必要であります。また、研究開発の迅速化のための自動洗浄機や高速分析装置等を導入することを計画しております。
研究開発は、必ずしも目標値を達成し、成果を確約するものではなく、また新規技術は市場における実績も少ないことから、取引先の拡張にあたっては、当社の認知度及び信用力を向上させ、当社の技術に対しても信用を持たせることが重要であります。
当社は、商用化実績を着実に積み上げるとともに、上場による知名度の上昇及び企業としての信頼の獲得を目指します。
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月開催の国連サミットで加盟国により採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標であり、17のゴール(目標)と169のターゲットから構成されます。
当社の事業は、17のゴールのうち次の6つの達成に寄与するものと考えており、当社の事業成長が持続可能な社会の実現に繋がることを志しております。
※ SDGsのロゴ及びアイコンについては、国連本部へ使用許諾の申請中です。
当社は、バイオリファイナリー事業により、今まさに新たな市場を作りだしている過渡期であります。
市場成長の初期段階において先駆者として実績を積むことは、当該市場において高い優位性に繋がることから、第一に売上高を経営指標とし、パイプラインの拡大を基盤とする販売実績の増加を目指しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は次のとおりであります。
また、必ずしもリスク要因には該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しておりますが、当社に関するすべてのリスクを網羅するものではありません。
また、次の文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社事業は、基本的には企業向けにアミノ酸や樹脂原料等の原材料に関する研究開発及びライセンスの付与を実施するものであることから、一般的な製造業や小売業と比較して、景気の変動の影響を受けにくい特徴を有しますが、景気の急速な悪化により、事業者の新規事業や研究開発活動への投資が減速した場合、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、最も重要な事業としてライセンス契約に取り組んでおります。ライセンス契約においては、主として自社において技術を使用した製品の生産、販売を行わないことにより、設備投資及び販路確保や在庫の保有、広報等の販売活動にかかる費用やリスクを最小限にすることができます。
一方、ライセンス契約の事業構造上、製品の販売活動はライセンシー(ライセンス契約の締結先)に依拠し、当社において販売の計画、実行を行わないことから、特に短期的な業績予測と実績の乖離が生じる可能性があります。
当社としては、期待するロイヤリティ収入を保持できるよう、ライセンシーの販売計画を精査のうえ、ライセンス契約の条件を個々に設定しており、今後は既存のライセンス契約の条件やロイヤリティ収入の実績の知見をもって、さらに業績予測の精度を高める方針でありますが、ライセンシーの事業状況に変動が生じた場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、中国やマレーシア等のアジア地域において事業展開を行っており、これらのうち特に中国における事業活動には次のようなリスクがあります。
・予期し得ない法律、規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・不利な政治的要因の発生及びそれに伴う為替の変動
・常識、文化、社会的慣習の違いによる契約違反や技術流出等の発生
当事業年度の売上高については、約22%がアジア地域のパートナー企業との取引高となっております。
当社は、今後事業開拓活動により、研究開発の対象製品、提携先(取引先)の多様化を進め、研究開発に続くライセンス契約も、複数の地域、取引先に展開していく計画でありますが、上述のアジア地域に特有のリスクが発生した場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の1つの大きなパイプラインにおける対象製品(当社がライセンスした技術によりライセンシーにおいて商用生産される製品)である飼料添加物用のアミノ酸については、畜産業界における病気の蔓延等により、その需給に大幅な変動が生じることがあります。例えば、2018年から中国を中心に拡大した豚コレラの蔓延により、中国国内での養豚数が激減し、豚向けの主要な飼料添加物であるバリンの売上が想定値より大幅に減少するという事態が生じました。
当社は、パイプライン、ひいては商用化の対象製品をできる限り拡大し、当社の経営に与える影響を最小限に抑えるような事業構造を構築してまいりますが、特定製品にかかる需給リスクが発生した場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
各パイプラインはStageごとの複数の契約の締結、遂行により進捗していくものであり、研究開発の目標達成状況やパートナー企業の方針等により、進捗が遅延又は停滞する可能性があります。
計画数値の策定にあたっては、想定契約金額に開発難易度やパートナー企業の確定度合い等の要素を基に評価した成約確率を乗じて、又はパートナー企業の販売計画や市場情報を基に、想定販売単価及び想定販売量を設定し、同様に成約確率を乗じて売上高にかかる数値を策定しておりますが、ライセンス契約の締結時期の遅延や大型の研究開発契約の開発期間の長期化等のパイプラインの進捗に遅れが生じる事象が生じた場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
バイオリファイナリー技術については、商用化可能な技術基盤の確立のために中長期的な研究開発期間及び先行投資が必要であり、IT技術のように革新が早く入れ替わりがあるような業界ではありませんが、対象製品について当社技術より優位性の高い技術が第三者により商用化された場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社においては、技術基盤の強化のための研究開発活動を継続するとともに、「(4) 商用化における特定の対象製品にかかるリスク」に記載のとおり、商用化の対象製品をできる限り拡大し、当社の経営に与える影響を最小限に抑えるような事業構造を構築してまいります。
当社は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構で開発された技術を事業化したことから設立されており、同機構は当事業年度末において当社の株式1,800,000株を保有する大株主であります。
当社では、同機構の保有するRITE Bioprocess®に関連するものを始めとする特許権の実施許諾を受け事業展開を行ってきており、その使用にあたっては同機構(ライセンサー)に対しロイヤリティを支払うものであります。また、当社の研究開発拠点であるGreen Earth研究所の建物は同機構より借り受けるものであります。
同機構は公益財団法人として、開発した技術を世の中に広め、もって地球環境の保全及び世界経済の発展に資することを理念としており、当社の事業成長を推進する立場にあることから、これまで同機構とは協力的な提携関係を維持しており、その継続性にかかるリスクは僅少でありますが、万が一これらの特許権及び建物賃貸にかかる契約の継続が困難となった場合には、現在時点において当社の業績及び財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、特許権については、大規模な設備投資や販売活動を必要としない事業形態を活かして研究開発へ注力し、当社の特許権の取得を進めつつ、できる限り多くの企業との協業を実現することにより、外部の特許権に依存しない事業展開を進める方針であり、現状、当該依存度は減少傾向にあります。
当社の研究開発拠点は、現状Green Earth研究所の1ヵ所のみであり、大規模災害等が発生し、当該研究所が損壊又は当該研究所の研究開発設備が破損、紛失した場合、研究開発が停止することとなります。
研究開発は当社の事業の核となる活動であることから、研究開発設備について、地震保険をかけ、損壊時における新規設備購入のための手元資金を確保しております。また、事業継続上作成に期間がかかる菌株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構が提供する、安全保管(生物遺伝資源の保管委託)サービスを利用して保管しておりますが、不測の災害等が発生した場合、当事業年度においては売上高の約75%を占める研究開発契約にかかる業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社は事業展開において様々な特許権等の知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、又は他者より適法に実施許諾を受けた権利であると認識しております。これらの知的財産権について、これまで第三者の知的財産権を侵害した、又は当社が侵害を受けた事実はなく、今後も侵害を防止するため、適切な管理を行っていく方針でありますが、当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性や新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは困難であります。
今後、当社が第三者との間の知的財産権を巡る法的紛争等に巻き込まれた場合、顧問弁護士や弁理士と協議のうえ、当該知的財産権によってはライセンサーとも協力し、対応する方針でありますが、当該紛争に対応するために多くの人的及び資金的負担が発生するとともに、当社のライセンサーから特許権の実施の差止請求や、損害賠償等の請求を受けることがあり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の提供する技術は、特殊な設備を要することなく導入できることが強みでありますが、一方で技術つまりはノウハウにかかる情報資産につき、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等による漏洩リスクが存在します。
これに対し、VPN(Virtual Private Network)及びUTM(Unified Threat Management)を導入し、プライベートネットワークによる拠点間接続を行い、セキュリティの高い環境を構築しております。また、当社の情報資産はVPNで接続されたLAN(Local Area Network)上に保存し、適切なアクセス権限の設定を行うことにより、情報資産を一元管理し、情報漏洩リスクへの対策を講じておりますが、不法な侵入等を受けた場合は、企業が不正にその技術を利用して当社に競合する、又は当社へライセンスされた特許権にかかる情報資産の漏洩につき、当社のライセンサーから特許権の実施の差止請求や、損害賠償等の請求を受けることがあり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
技術開発ベンチャーである当社においては、商用化可能な技術基盤の確立のための、研究開発にかかる投資が重要と考えており、先行的に研究開発設備の導入及び研究開発用消耗品の購入、並びに研究員の増員のための人件費等の費用を先行的に投下しており、2021年9月期までにおいて継続的な営業損失を計上しております。
当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。当社においては、今後も、技術基盤の強化のための研究開発活動への投資を継続するとともに、新たな研究開発契約やライセンス契約の締結及びそれに伴う収益の計上に努めてまいりますが、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2011年9月の設立より、近年までは商用化のための研究開発を事業活動の中心とし、収益も行政機関等からの助成金を主体としておりましたが、2018年9月期より本格的な商用化に至っております。
技術自体は商用化段階に達しており、当該技術を使用して製造する製品も既存の市場が存在し、その規模、市場価格等の指標となるデータが入手できます。そのため、業績予測については一定程度の蓋然性があるとの認識であり、今後は実績の積み重ねにより、さらに業績予測の精度を高める方針であります。
ただし、当事業年度までは赤字決算であり、過年度の業績のみでは期間比較を行う充分な材料とはならず、今後の業績については当社において合理的と考えられる方法により予測、算定したものでありますが、判断指標が不十分であり、当社の業績予測と実績に乖離が生じる可能性があります。
技術基盤の継続的な強化のための研究開発活動、及び収益の最大化のための事業活動にあたっては、優秀な人材の確保が必要不可欠であります。当社においては、事業規模に応じて採用活動を行ってきており、これまでのところ適時に必要な人材の採用に至っておりますが、今後、大企業の採用市場の動向や少子化による就活者の募集の減少等により、採用活動が円滑に進まない場合は、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、株主に対する利益還元については重要な経営課題と認識しておりますが、現時点においては、新興市場であるバイオリファイナリー業界において先駆者優位性を獲得するためにも、事業成長への投資を優先しており、これはひいては株主への利益還元に繋がると考えております。
将来的には、業績及び財務状況等を勘案しながら配当実施について検討していく方針でありますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、提出日現在において未定であります。
当社は、創業時から直近までの商用化にかかる研究開発資金を、主としてベンチャーキャピタル(コーポレートベンチャーキャピタルを含む)及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)より調達しており、提出日現在におけるこれらのベンチャーキャピタル等が所有する株式数は1,808,300株であり、当社の発行済株式総数10,063,000株の17.97%にあたります。
当社の株式上場日以降、当社株式についてもその全部又は一部が売却されることが想定され、当該売却により、株式市場の当社株式の需給の均衡が崩れ、当社株式の市場価格形成に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、主として、取締役及び従業員に対し、経営目標や業績の達成の意識向上又は優秀な人材の採用を目的としたインセンティブとして、新株予約権の付与を行っております。
提出日現在におけるこれらの新株予約権にかかる潜在株式数は1,264,500株であり、当社の発行済株式総数及び潜在株式数の合計11,327,500株の11.16%にあたり、今後新株予約権が行使された際には、既存株主の株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は継続しており、大きな経済影響を与えております。ただし、当社においては、国内外のパートナー企業又はパートナー候補企業とのWEB会議の推進、Green Earth研究所における徹底した感染防止対策の実施等により、営業活動、研究開発活動ともに従前と変わらぬ事業活動の水準を維持しております。また、今後も新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものと仮定して、2022年9月期以降の事業計画を策定しており、当社の業績及び財務状況等への影響は軽微であると判断しております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行の拡大規模や収束時期、また、新たな感染症の発生を正確に予測することは困難であり、感染症の蔓延が長期化又は頻発した場合には、当社の業績及び財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社においては、このような経済背景を踏まえ、国内外、特に海外のパートナー企業の動向も要素の1つとして事業計画を策定しており、政府による規制や新型コロナウイルス感染症による市場の動きに左右されない事業運営を図っております。
また、リモートワーク及び交代出社の導入、WEB会議の推進、並びにマスクの支給及び紫外線殺菌灯の設置等の感染防止対策を徹底し、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、従前と変わらぬ事業活動の水準を維持しております。
これにより、世界的なバイオ化の潮流も受け、国内外のパートナー企業とのパイプラインについて、新たな研究開発契約を締結し、商用化に向けた研究開発を着実に進め、当事業年度においてバイオ樹脂原料のライセンス契約の締結に至っております。また、サーキュラーバイオプロジェクトの一環として、バイオエタノールの自社販売を開始しました。
以上の結果、当事業年度は売上高502,559千円(前年同期比50.3%増)、営業損失63,373千円(前期営業損失114,531千円)、経常損失63,779千円(前期経常損失113,960千円)、当期純損失74,135千円(前期当期純損失116,424千円)となりました。
なお、当社はバイオリファイナリー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当事業年度末における流動資産は1,045,167千円となり、前事業年度末に比べ549,317千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資により現金及び預金が388,220千円、事業拡大に伴い売掛金が138,388千円増加したことによるものであります。固定資産は80,737千円となり、前事業年度末に比べ2,114千円増加いたしました。これは主に設備投資により建物附属設備が8,412千円、機械及び装置が7,132千円増加した一方、償却によりリース資産が13,312千円減少したことによるものであります。この結果、総資産は1,125,905千円となり、前事業年度末に比べ551,432千円増加いたしました。
当事業年度末における流動負債は127,077千円となり、前事業年度末に比べ12,043千円減少いたしました。これは主に事業拡大に伴い未払金が43,441千円増加した一方、前受金が40,272千円減少したことによるものであります。固定負債は198,116千円となり、前事業年度末に比べ87,612千円増加いたしました。これは主に借入れにより長期借入金が95,560千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における純資産合計は800,711千円となり、前事業年度末に比べ475,864千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資により資本金が275,000千円、資本準備金が275,000千円増加した一方、利益剰余金が74,135千円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は71.1%(前事業年度末は56.5%)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、本項目において「資金」という。)については、前事業年度末より402,952千円増加し、827,069千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、支出した資金は205,153千円となりました。これは主に研究開発設備等の減価償却費30,179千円、及び未払金の増加額48,236千円等の増加要因があったものの、税引前当期純損失63,779千円、受取手形及び売掛金の増加に伴う売上債権の増加額138,388千円、売上高に直接紐づく販管費の間接配賦の仕掛品の増加によるたな卸資産の増加額30,725千円、前受金の減少額40,272千円等の減少要因によるものであります。
投資活動の結果、支出した資金は26,145千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出40,877千円等の減少要因があったものの、定期預金の満期による収入14,732千円の増加要因によるものであります。
財務活動の結果、獲得した資金は634,251千円となりました。これは主に第三者割当増資による新株発行の収入548,044千円、及び新型コロナウイルス感染症影響下における経営安定化のための長期借入金による収入100,000千円の増加要因があったものの、リース債務返済による支出13,345千円の減少要因によるものであります。
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社が提供する役務の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はバイオリファイナリー事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
注1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上表の金額には、消費税等を含んでおりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。
また、次の文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、過去の実績や市場動向を勘案し、合理的に判断しておりますが、不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表にかかる重要な会計方針の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
特に次の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当社の将来の事業計画を基に、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失を計上する可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、当社の将来の課税所得見込みや想定実効税率等、現状入手可能な将来情報に基づき、合理的に将来の税金負担を軽減する効果を有し、回収可能性があると考えられる範囲内で計上することとしております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
当事業年度における売上高については、前事業年度より168,220千円増加し、502,559千円となりました。これは主に石油資源の枯渇、CO2削減又は使い捨てプラスチックにかかる法的及び業界の規制を見据えた企業の、石油由来の化学品からバイオマス由来の化学品への転換の需要の伸長による、これまでと比較して規模の大きい研究開発契約の件数及びライセンス契約の増加によるものであります。
当事業年度における売上原価については、前事業年度より42,685千円増加し、191,427千円となりました。これは主に当事業年度において、ライセンス契約締結時かかるライセンシーに対して支払うロイヤリティ及び製品生産の役務契約に紐づき発生する外注費が前事業年度と比較して増加した一方、仕掛品の計上による売上原価の減少が生じたことによるものであります。
当事業年度における販売費及び一般管理費については、事業規模の拡大に伴う増員及び増員に伴う各種経費の増加の結果、前事業年度より74,376千円増加し、374,506千円となりました。以上の結果、営業損失は63,373千円となりました。
当事業年度における営業外収益については、前事業年度より1,055千円増加し、5,151千円となりました。また、営業外費用については、前事業年度より2,032千円増加し、5,557千円となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症対策給付金等の助成事業による収入の増加、並びに上場関連費用及び為替差損によるものであり、以上の結果、経常損失は63,779千円となりました。
当事業年度における特別利益及び特別損失の発生はなく、法人税、住民税及び事業税10,356千円を計上した結果、当期純損失は74,135千円となりました。
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、自らは製品の生産設備を保有せず、研究開発に必要な設備のみを有し、技術を提供する事業形態であることから、資金需要の主なものは、菌体及びバイオプロセスの基礎開発にかかる研究開発費その他人件費等の事業活動費でありますが、2022年9月期以降に、事業活動の拡大のための新たな研究施設の建設、発酵槽や自動化機器等の研究開発設備への大規模な追加投資を予定しております。
運転資金については、前事業年度においては新型コロナウイルス感染症による経済の低下の可能性を鑑み、融資により60,000千円を調達しております。当事業年度においても100,000千円の融資及び第三者割当増資による株式発行により550,000千円を調達しております。
上述の大規模投資については上場に伴う第三者割当増資による株式の発行による調達資金を充当いたします。なお、それ以降は現時点において大規模な資金需要の計画はなく、基本的に流動性の高い銀行預金により賄う方針であります。
当社は、新興市場であるバイオリファイナリー業界においては、当面、売上高の拡大が同業界における企業成長を示すものと考えており、目標とする経営指標として売上高を掲げております。
売上高実績については、大型の研究開発契約の締結による研究開発収入及びライセンス契約の締結によるライセンス一時金等の計上により、前事業年度は334,338千円(2019年9月期比65.5%増)、当事業年度は502,559千円(前年同期比50.3%増)であります。これは、現時点において予定どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。
当社は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、経済動向、世界市場を対象としたライセンス契約による製品の市場展開、特定の第三者の技術を基盤とする事業展開、技術の損失、漏洩及び知的財産権の侵害等によるリスクを認識しております。
これらのリスクに対応するため、当社は、製品の市場動向を見据え、ライセンシーとの密な提携により、予算や各種計画の精度を上げるとともに、研究開発活動への投資を拡大して、当社単独による特許権の取得や多様な製品を対象とした研究開発を推進し、併せて情報セキュリティの拡充を含む内部統制の向上により、情報資産の管理、保全に取り組んでまいります。
当社の事業運営にかかる重要な契約は次のとおりであります。
注 2021年度~2026年度の6ヶ年計画にて申請し、採択されておりますが、契約は2023年度以降各年度(4月1日~3月31日)においてそれぞれ締結する予定であります。
当社は、設備投資等の投資リスクを最小化し、既に需要の存在する製品を対象に着実な市場展開を進める方針であります。
そのため、研究開発活動については、研究開発契約にて受託した、又は研究開発を打診する案件にかかる、食品添加物又は飼料添加物用途のアミノ酸やバイオジェット燃料であるイソブタノール、樹脂原料や化粧品原料となるバイオ化学品の生産菌を対象としております。また、体制としては、研究開発部門の研究員が中心となり、パートナー企業の要望を踏まえるため営業部門とも連携しつつ、菌体の対糖収率や生産性(反応時間、終濃度)の向上や、生産に最適な培養条件、酵素選択、精製方法等の検証、要件化を行っております。
その成果として、先進的なバイオプロセスや改良菌体等について、特許の出願及び登録を成しております。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は
研究開発費の主な内訳は、研究員等の人件費、基礎研究開発にかかる外注費、研究開発設備にかかる減価償却費及び研究開発に使用する各種消耗品費であります。
なお、当社はバイオリファイナリー事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。