第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、グローバルニッチトップの複合体を成す、すなわち国内外の小規模市場を一体的に捉えたグローバル市場において高いシェアと確固たる地位を築く、という成長シナリオに主眼を置き、次の指針に沿った事業活動を展開しております。

① 経営ビジョン

オンリーワン企業の実現に資する研究開発、技術開発等を遂行していき、高収益事業を構築していく。

 

② 中期経営基本方針

ⅰ.市場開拓による事業規模の拡大

ⅱ.構造改革による収益力の強化

ⅲ.新たな GNT(グローバルニッチトップ)事業の創出

ⅳ.未来を担う人材の育成

ⅴ.グローバル経営管理体制の強化

 

③ 目標とする経営指標

当社では、中期経営基本方針に基づき、2026年12月期に向けて以下の経営指標について目標を設定し、企業価値の向上に取り組んでおります。

 


 

 

(2) 経営環境

各事業セグメントにおける経営環境は以下の通りであります。

① リード端子事業

(自動車関連市場)

自動車関連市場において、EVやプラグインハイブリッドをはじめとする電動化や、自動運転機能や安全性の向上等の動きを背景に、自動車用エレクトロニクス市場は中長期的な拡大が期待されています。また、このような動きの中、小型高容量化、耐振動性、漏れ電流特性の向上等、小型アルミ電解コンデンサに対する高機能化のニーズが急速に高まっております。当社は、リード端子における重要な要素技術である異種金属の溶接技術や金属加工技術を得意とし、アルミ電解コンデンサ市場において世界シェア60%を有することに加えて、高い品質水準が要求される自動車市場向けにおいては95%の市場シェアを占める等、市場をリードする技術力、安定供給力を有しております。自社開発、自社生産体制により蓄積してきた技術開発をさらに強化し、製品の競争力、安定供給体制で市場をリードしてまいります。

 

(情報通信機器市場等、自動車関連以外の市場)

自動車関連以外の市場においても、電子機器の高機能化に伴い、アルミ電解コンデンサの高機能化のニーズが今後高まると考えております。

特にパーソナルコンピュータやサーバー等の情報通信機器において高精度のアルミ電解コンデンサを必要とする箇所が増加傾向にあり、当社が得意とする高機能製品の採用拡大が見込めると考えております。

一方で、民生機器市場の一部においては、汎用化の進展等により、価格競争が激しい分野も一定程度拡大していくものと考えております。こうした市場については、品質や信頼性、安定供給といった当社製品の付加価値が発揮できる分野に絞り込んで販売を続けていく方針であります。

 

② 光部品・デバイス事業

(海底ケーブル市場)

IoTの普及やメタバースの進化等、グローバルデータ通信の高速大容量化の進展に伴い、国際社会におけるグローバルな情報通信基盤として、海底ケーブルの重要性が高まっております。現在の海底ケーブル網は全世界で130万km程度と推定されますが、毎年10万km以上が新しく敷設され、また海底ケーブルの通信容量の拡大ニーズに合わせて、ケーブルごとのデータ伝送容量が大きく拡大する傾向にあります。

生成AIの普及等、通信の大容量化へのニーズが加速する中、海底ケーブルにおいてもさらなる大容量化に対応した技術革新が加速度的に進んでおり、ケーブル当たりのファイバーペア数の飛躍的な増加、マルチコアファイバー化等、様々な新しい技術テーマに対応したデバイスの開発が不可欠な状況となっております。当社におきましては、海底ケーブル市場向けの主力製品である光アイソレータでは、世界で50%以上の市場シェアを持ち、海底での長時間使用に耐える高い信頼性を実現しています。今後も海底ケーブルの技術革新をリードする研究開発を進め、大手通信事業者や海底ケーブル敷設会社等、次世代通信技術の開発を進めるお客様との連携を強化し、プラットフォーム作りに関わることでワンストップソリューションを展開してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① リード端子事業

リード端子事業におきましては、収益構造を改善し、安定的に営業利益率10%以上を維持できる体質に改善してまいります。そのために、中期経営基本方針である「構造改革による収益力の強化」を中心に全力で取り組んでまいります。

昨年から、不採算製品の価格是正や高付加価値製品の開発と採用拡大に努めておりますが、今後の取組として、より一層の生産効率の向上に重点を置き、海外生産拠点での設備総合効率(可動率・品質・性能)の改善を徹底して進めてまいります。また、本社工場におきましては、新製品及び高機能製品の生産体制構築に注力するとともに、海外生産拠点のマザー工場としてのグローバルな生産効率改善の仕組みづくりを進めてまいります。これらの取り組みにより製造原価の低減を進め、同時に高機能製品の拡販に努めることにより、利益率の向上に努めてまいります。

中期経営計画の最終年度である2026年には、営業利益率13.1%を目標にしております。

 

 

② 光部品・デバイス事業

光部品・デバイス事業におきましては、技術開発力を強化し、情報通信技術の進化をリードしてまいります。当社が主力市場とする海底ケーブル市場は、生成AIやIoTの進化等の情報通信量の増大を背景として、急速に技術革新が進んでおります。海底ケーブルの大容量化に対応した光通信デバイスの小型化や複合化に加え、次世代技術であるマルチコアファイバ技術に対応し、現在の光通信デバイスを軸にシリコンフォトニクス等の周辺技術を取り込み、より高機能化が進む次世代製品の開発を進めてまいります。また、サプライチェーンのマルチ化による収益力の強化にも取り組んでまいります。

現在の主力2事業に加えて、長年開発に取り組んでまいりました当社独自のSSG®(スラリーキャスト法を用いた高純度石英製品)の事業化を進めてまいります。既に2023年から一部のユーザーで量産製品に採用されておりますが、様々な分野での採用に向けた評価が進んでおります。成長著しい半導体産業の関連分野への市場開拓に注力して進めてまいります。

 

③ 人材育成及び経営管理体制の強化

中長期の成長を支える経営体制作りとして、人事評価システムの刷新や従業員のキャリアアッププランの構築等、グローバルな長期人材育成への仕組み作りを進めてまいります。また、情報システムの更新を軸にした経営管理体制の強化にも取り組んでまいります。その他、コンプライアンスやBCPを軸にしたリスクマネジメント体制の強化、自然保護活動や生物多様性への取組等の非財務に関する活動を強化し、持続可能な社会への貢献と、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、持続的な成長と株主価値の向上に資するため、売上高営業利益率、ROIC、ROEといった指標の改善に努めることとしており、こうした指標の改善に向けた内部指標として、設備総合効率をはじめとする様々指標を設定し、継続的に管理しております。

また、非財務に関する活動について積極的に取り組むこととし、CO2排出量、人事関連指標等の指標により管理しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)基本方針

当社グループは「豊かな個性を尊重する全員参加型の経営を実践し、新しい価値の創造を通じて、オンリーワン企業を目指す」という経営理念のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、中長期的な視点で企業価値の向上を目指してまいります。また、サステナビリティ推進に関しては、「環境」「社会」「ガバナンス」を軸として、当社グループが特定したマテリアリティに重点的に取り組み、責任あるサステナビリティ経営を実践してまいります。

とりわけ、深刻化する地球環境保全への取組と変化の激しい市場環境でのニーズの先取りを最重要課題の一つと位置付けるとともに、マテリアリティの中で「気候変動への対応」と「人的資本の充実」を重視した取組を展開しております。気候変動への対応については長期的視点に立ち、温室効果ガス排出量の削減や環境配慮型製品の開発に努めております。人的資本の充実については、新しい価値創造に資する人材の育成や、人権・多様性への配慮を強力に推進しております。

 

(2)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営への取組を強化し、中長期的な企業価値向上を図るためサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会のメンバーは委員長に代表取締役社長、委員として当社グループ各社の最高責任者又は当社取締役に推薦された者で構成しております。サステナビリティ委員会ではサステナビリティ推進の肝となる規程や基本方針を協議し、活動計画の策定を行うと共にマテリアリティの特定を進めております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、サステナビリティ委員会にてリスクマネジメント委員会との連携を図りつつESGを軸としたマテリアリティやESG課題に沿った施策の検討、及び進捗状況の確認を行うことにより、サステナビリティに関するリスク管理体制を構築しております。サステナビリティ委員会ではサステナビリティ関連のリスクと機会を識別しており、識別したリスクと機会の中で特に重要と特定されたものについては対応方針を検討した後、その内容について必要に応じて取締役会に報告、対策を講じてまいります。また、他の各委員会や各部署と情報共有・報告体制を構築しており、各施策への取組状況やKPIの進捗確認等を行うこととしております。

 

(4)戦略

① 気候変動に関する取組

イ.方針

当社グループは、リード端子事業において、EVをはじめとして今後省エネルギー化のニーズが大きく高まる自動車市場を最重点市場として位置付けております。また光部品・デバイス事業において、メタバースをはじめとする高度情報化社会の実現に寄与する高効率光通信デバイスの開発を進める等、カーボンニュートラルの実現に向けて貢献できる製品の開発に努めております。

加えて、開発や製造、その他の事業活動の過程において発生するGHGの排出を削減するための取組を進めております。

当社グループは環境保全に向けた活動として、以下のことに取り組んでまいります。

・CO2削減に寄与する装置の導入

・太陽光等再生可能エネルギーの利用比率増加

・リード端子、光デバイス製造における生産性向上、省電力化

 

ロ.指標及び目標

GHG排出量

 

 (単位:t-CO2)

Scope1

Scope2

合計

(Scope1&2)

売上百万円当りの

排出量

(t-CO2/百万円)

2021年

244

17,797

18,041

1.23

2022年

198

17,065

17,263

1.10

2023年

141

13,358

13,499

1.00

 

(注)Scope3については排出量測定の取組を進めており、今後、サステナビリティ委員会によりGHG排出量の目標の設定等を検討してまいります。

 

② 人的資本に関する取組

イ.人材育成方針

『社会のニーズを先取りし独自の高い技術力で新しい価値創造に挑戦する、自発的に考え行動できる自立型人材の育成を目指します。』

当社グループは、専門的な知見のある大学教授からの指導会を定期的に設ける等、中長期的な視点で技術や製品の開発に取り組んでおります。加えて、派遣型の階層別研修や通信教育、コンプライアンス研修等様々な機会を通じて人材育成に努めております。さらに、当社は海外に工場が多くあることから、現場とのコミュニケーションスキルを磨くための語学研修プログラム等の導入も検討してまいります。

また、2023年度よりタレントマネジメントシステムの導入に着手し、能力・スキル・経験等の幅広い人事データを一元管理し、社員一人ひとりに適した育成方法立案を進めてまいります。

 

ロ.社内環境整備方針

『すべての従業員の人権と多様性を尊重し、一人ひとりが個性・能力を発揮し、自己実現の喜びを感じられる安心で安全な職場環境を構築します。』

当社グループは、総務部門と安全衛生委員会が主体となり健康経営を推進するヘルシーライフプロジェクトを立ち上げ、長時間労働の抑制、有給休暇の取得促進、健康セミナーの開催、健康習慣アンケート調査等を通じて健康増進に向けた取組を行っております。2023年3月にはこうした取組が評価され、健康経営優良法人に認定されました。

また、当社の行動規範では「個人の尊厳と権利の尊重」を掲げ、差別やハラスメントをはじめ、個人の尊厳を傷つける行為は一切行わないよう繰り返し教育、人権保護に努めております。

さらに、2023年度より人事制度改定に着手し、社員が個性・能力を発揮しモチベーションアップが図れるよう評価・等級・報酬体系の見直しを進めております。

一方、当社の女性管理職比率は連結で17%となっており、今後の重要課題の一つとして改善策を進めてまいります。

 

ハ.指標及び目標

項目

指標

2023年度実績

目標

人権と多様性の尊重

女性管理職比率(連結)

17%

2026年:20%

人権研修参加率

75%

100%/年

グローバル人材の育成

海外業務に必要な専門知識習得者数

1人

3人以上/年

語学研修参加率

未実施

30%以上/年

安全で働きがいのある職場の実現

健康増進プログラムへの

参加率

80%

90%/年

労働災害発生件数

0件

0件/年

社員満足度調査及び改善の実施

未実施

1回以上/年

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下の通りであります。これらのリスクは、全てのリスクを網羅したものではなく、予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えております。当社では、様々なリスクに対応するために、定期的にリスクマネジメント委員会を開催する等、リスクの把握とその軽減策を講じるよう努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  海外事業について

当社グループは、売上高全体に占める海外向けの比率が高く、アジア地域に複数の生産拠点を配置することによりサプライチェーンを構築しております。それに伴い、対象国の経済動向、社会情勢及び政治状況の変化や自然災害等に伴うリスクが存在します。こうしたリスクの顕在化により当社グループ子会社が営む事業の遅延、中断及び中止等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、当該リスクを軽減するために、各事業の特性を踏まえた複数拠点での生産対応、また非常時に備えた製品及び主要材料等の在庫保有や自家発電設備の設置等、各拠点の事情に応じた対策を進めており、安定供給と事業保全の両立を図っております。

 

(2)  為替相場の変動について

当社グループは、売上高全体に占める海外向けの比率が高く、外貨取引及び保有に伴う為替変動リスクを抱えております。急激な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、外貨建の債権債務のポジションを掌握し、受取外貨による外貨支払を基本線としつつ、必要に応じて外貨の円転及び外貨の購入等を機動的に実施しております。

 

(3)  原材料等の価格変動・安定調達について

当社グループは、アルミ線をはじめとした原材料等を仕入れており、材料価格の変動の影響を受ける可能性があります。この影響を受けやすいリード端子事業につきましては、材料価格の変動を販売価格に反映させることにより価格変動リスクの低減に努めております。また、様々な事故や自然災害の発生に伴うサプライチェーンの混乱や倒産等による調達先からの原材料等の安定調達に支障が出た場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、調達先に対して定期的に監査等の調査を行うと共に、調達ルートの複数化を進める等、安定調達に努めております。

 

(4) 価格競争について

当社グループは、グローバルニッチ市場において競争力の高い製品の提供に努めておりますが、一定の競合他社が存在しております。競合他社の価格政策等によって価格競争が激化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、高付加価値製品の開発を進めると共に高い市場シェアを維持しており、非価格競争を以て経営成績等への影響を最小限にすべく対応しております。

 

(5)  天候・自然災害等について

当社グループは、多くの生産設備を有しており、地震や風水害等の予期せぬ自然災害等、また不測の事態や火災等の事故が発生した場合には、生産能力の著しい低下等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、各生産拠点において、生産設備の定期的な災害防止検査・点検の実施、止水、耐震対策等を順次進めることにより生産設備の保全に努めております。

 

 

(6)  研究開発について

当社グループは、既存製品及び新製品の研究開発等により技術力の向上を図っておりますが、競合他社との開発競争の激化等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当社が競争優位性を持つ分野に研究開発リソースを絞り込む「ニッチトップ戦略」により、市場における技術優位性の維持に努めております。

 

(7)  製品の品質について

当社グループは、IATF16949やISO9001等の各種品質標準の認証取得に加えて、当社グループが定めた品質方針に基づき、業界をリードする高い品質の実現に注力しております。しかしながら、何らかの原因により当社製品に欠陥が生じた場合や、製造物責任による高額な賠償金の支払い義務、品質不良に起因する高額な間接的損害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、継続して品質管理体制の強化に努めるとともに、付保状況の見直しや、国内外PL(製造物賠償責任)保険への加入を鋭意進めております。

 

(8)  人材確保について

当社グループが企業の価値を永続的に高めていくためには、研究開発や製造、マネジメントをはじめ、各部署に必要な人材の確保が不可欠であります。企業間の採用動向や労働人口の変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、新人・中途採用を問わず計画的・継続的な人材採用や育成、福利厚生の充実等の対策を行っております。

 

(9)  他社との提携の成否について

当社グループは、持続的な事業の成長を果たすため、必要に応じて社外から新たな技術の獲得や、業務提携、またM&Aの可能性があると考えております。M&Aの実現や業務提携等には、多額の投資を必要とすることに加えて、知的財産権や人的な問題等が発生する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、M&Aや業務提携にあたりましては技術面だけでなく、財務・法務等に係る総合的なデューデリジェンスを実施し、対象会社のリスクを適切に把握のうえ実行してまいります。

 

(10) 情報セキュリティについて

当社グループは、事業経営に関わる多岐にわたる重要機密情報を有しておりますが、標的型攻撃やランサムウェア等、増加・深刻化するサイバー攻撃による当該情報の漏洩や業務の停止が発生することで、当社グループにおける調達体制、生産体制、物流体制、販売体制等、事業活動の継続に影響が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、「情報セキュリティ基本方針」等の情報管理に関する規程を定め、また従業員に対して情報管理に関する教育を行うと同時に、グループ各拠点のいずれにおいて情報セキュリティに関する問題が発生しても、損害を最小限にとどめて供給責任を果たしうる体制の構築及び管理ソフトウェアの導入を推進する等、情報管理体制の強化に努めております。

 

(11) 知的財産権について

当社グループは、弛まぬ研究開発を重ね、競争優位性の源泉たる技術の蓄積を図り、知的財産権としての権利化を進め、法的保護に努めておりますが、知的財産権の不正利用や他社との特許紛争等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、管理する知的財産権に関して、第三者による権利の侵害リスク調査や他社に対する特許侵害回避のための専門家との連携等、調査の充実と適切な判断を行う体制を構築しております。

 

 

(12) コンプライアンスについて

当社グループは、当社グループが事業を展開する国又は地域において、環境法令等多くの法令・公的規制による影響を受けております。そのため、法令等の重要な変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、万一、各種法令諸規則に抵触する行為が発生し、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起、係争中事案の進展、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、各種法令や諸規則が遵守されるよう全ての役員及び従業員に対してコンプライアンスの徹底を行っております。具体的には、コンプライアンス研修等の実施や、コンプライアンス管理規程の制定、コンプライアンス委員会の設置・運営等により、コンプライアンスの風土醸成と全社的推進を図っております。

 

(13) 固定資産の減損について

当社グループは、工場、機械設備等多くの固定資産を保有しており、四半期毎に各拠点において当該資産の減損兆候の判定を行っております。業績変動等を理由に減損の兆候が生じ、固定資産の減損を行う必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 特定人物への依存について

当社の代表取締役である石井太は、当社グループの研究開発や営業政策の他、様々な経営判断に対して高い知見を有しており事業運営において極めて重要な役割を担っております。当社グループは、取締役会や経営会議等において役員及び従業員への情報共有を行うことで経営管理体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 大株主について

当社の代表取締役である石井太及び同氏の資産管理会社であるアイエフマネジメント株式会社が、本書提出日現在で発行済株式総数の63.6%を所有しております。同氏は、安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針であります。同氏は、当社の代表取締役であることから、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、アフターコロナの流れの中、小売・サービス業等で改善の動きがありましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢や米中摩擦、中国経済の停滞、エネルギー価格の高止まりや物価上昇、欧米の金利上昇等に伴う景気後退懸念が見られました。アジア地域においては、インド等が景気回復局面となりましたが、中国経済が減速する等地域によるばらつきが見られました。

日本においては、雇用環境の改善や設備投資の回復、また株式市場も上昇傾向を辿る等、徐々に明るさが見え始めました。

エレクトロニクス市場においては、個人消費の矛先が、コロナ下における巣ごもり需要の拡大から旅行等のコト消費へ移行した一方で、テレワークで一時的に需要が拡大した情報通信機器市場で、反動による市場の調整が長引き、年間を通じて厳しい状況が続きました。民生機器市場では、中国の不動産不況等景気減速の影響を受けて消費が低迷しました。自動車市場においては、世界生産が回復する中で、欧州等で発生した部品の過剰在庫の調整が長引き、その影響を受けました。また、産業機器市場も設備投資の低迷等により、厳しい状況が続きました。

海底ケーブル機器向け光デバイス市場におきましては、新たに大手テック企業が大西洋横断等の海底ケーブル敷設プロジェクトを発表される等、情報通信容量の拡大に向けた動きが続きましたが、一部の海底ケーブル敷設プロジェクトにおいては投資スケジュール変更に伴う海底ケーブル機器用部品の在庫調整が発生しました。

こうした中、当社では、中長期的な市場の成長に備え、中国蘇州工場の移転とグローバル生産比率の最適化を進める等、サプライチェーンの強靭化を図りました。また、アルミ電解コンデンサの高機能化に対応した新製品の販売促進や、情報通信容量の拡大ニーズに対応した海底ケーブル用光デバイスの技術開発を進めました。さらに、サイバーセキュリティ対策や災害対策等リスクマネジメント体制の強化にも取り組みました。

当連結会計年度の経営成績は、リード端子事業、光部品・デバイス事業ともに厳しい状況となり、売上高は13,472百万円(前期比14.0%減)、営業利益は2,812百万円(前期比27.6%減)、経常利益は3,152百万円(前期比29.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,904百万円(前期比37.9%減)となりました。当連結会計年度における期中平均レートは、1米ドル当たり140.66円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(リード端子事業)

当連結会計年度におけるリード端子事業の売上高は7,400百万円(前期比11.7%減)、セグメント利益(営業利益)は44百万円(前期比80.7%減)となりました。

自動車市場では、自動車生産台数が回復基調となり、また中国を中心にEV化が進展しましたが、サプライチェーンの正常化の流れの中で、アルミ電解コンデンサにおける過剰在庫が顕在化し、市場の調整が続きました。また、ステイホーム需要で先食いした情報通信機器市場の落ち込みが続き、加えて中国経済の減速等の影響を受け、民生機器市場も大幅に低迷しました。

こうした中で、収益構造の改善や中長期的な市場の成長を視野に入れ、不採算製品についての価格見直し交渉を進めたほか、自動車市場向け等に有効な対振動特性や絶縁特性を大幅に改善した「バリレス品」、漏れ電流低減に寄与する高機能製品や、需要拡大が見込まれるEDLC(電気二重層キャパシタ)向け新製品等、アルミ電解コンデンサの技術進化に対応した高付加価値製品の拡販に努め、売上と収益力の強化に取り組みました。

また、製品の品質と信頼性の向上や生産効率の改善に向け、高効率・高精度を実現する新しい溶接技術の開発に取り組みました。サプライチェーンの強靭化に向けて、中国蘇州工場の移転、中国東莞工場とマレーシア工場への生産シフト等によるグローバル生産体制の再構築を推進しました。

 

 

(光部品・デバイス事業)

当連結会計年度における光部品・デバイス事業の売上高は6,071百万円(前期比16.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2,767百万円(前期比24.2%減)となりました。

海底ケーブル向け光デバイス製品では、世界的な通信インフラの強化に伴う需要拡大を背景に、基幹製品の光アイソレータの売上が堅調に推移しました。一方で、一部の海底ケーブル敷設プロジェクトの計画変更による在庫調整等の影響により、カスタム製品の光フィルタの売上は大きく落ち込みました。また、陸上光通信用光ファイバアレイ製品では、データセンタ市場の調整等により売上が大きく落ち込みました。

開発面では、さらなる情報通信量の拡大に向けた技術革新に合わせて、超多芯化に対応した小型製品や複合製品の開発を進めました。また、将来技術であるマルチコアファイバに対応した、「シリコンフォトニクスを用いた4芯MCFコア間スイッチングモジュール(産業技術総合研究所との共同開発)」や、「海底ケーブル等長距離通信向けの4コアファイバ用光アイソレータ」等次世代通信技術の進化に向けて、研究開発活動を強化しました。さらに、安定供給体制を強化するため、後工程拠点における生産の自動化、前工程拠点における止水対策等自然災害対策を強化しました。

第3の事業として開発を進めている高純度石英ガラス事業については、紫外線用非球面レンズの量産及び販売を開始しました。また、さらなる微細化が進む次世代半導体製造装置向けにサンプル出荷を開始する等、将来の売上拡大に向けての拡販活動を進めました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べ492百万円減少し、16,735百万円となりました。これは主に、現金及び預金500百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金590百万円製品86百万円原材料及び貯蔵品179百万円それぞれ減少したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ1,180百万円増加し、8,237百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)447百万円リース資産(純額)285百万円建設仮勘定202百万円、無形固定資産が196百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ687百万円増加し、24,973百万円となりました。

 

(負債)

動負債は前連結会計年度末に比べ853百万円減少し、2,522百万円となりました。これは主に、買掛金207百万円短期借入金245百万円1年内返済予定の長期借入金158百万円未払法人税等213百万円それぞれ減少したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ222百万円減少し、2,391百万円となりました。これは主に、リース債務278百万円増加した一方で、長期借入金517百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ1,075百万円減少し、4,913百万円となりました。

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加し、20,059百万円となりました。これは主に、利益剰余金1,409百万円為替換算調整勘定348百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は10,439百万円となりました。

当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、3,577百万円の収入となりました。主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益2,869百万円減価償却費780百万円、売上債権の減少695百万円、棚卸資産の減少360百万円、主な資金減少要因は法人税等の支払額1,227百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,033百万円の支出となりました。主な資金減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,398百万円定期預金の預入による支出440百万円、主な資金増加要因は定期預金の払戻による収入1,036百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,577百万円の支出となりました。主な資金減少要因は、配当金の支払額494百万円長期借入金の返済による支出676百万円、短期借入金の返済による支出260百万円リース債務の返済による支出144百万円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

リード端子事業

5,856

△19.1

光部品・デバイス事業

1,861

△23.6

合計

7,717

△20.2

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前期比 (%)

受注残高 (百万円)

前期比 (%)

リード端子事業

7,400

△11.7

光部品・デバイス事業

7,360

△3.1

4,527

+39.8

合計

14,761

△7.6

4,527

+39.8

 

(注) リード端子事業については、受注から出荷(売上計上)までの期間が数日と非常に短いことから

受注残高の集計には含めず、販売実績をもって受注高としております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

リード端子事業

7,400

△11.7

光部品・デバイス事業

6,071

△16.7

合計

13,472

△14.0

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
 (自 2022年1月1日
  至 2022年12月31日)

当連結会計年度
(自 2023年1月1日
 至 2023年12月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

SubCom,LLC

2,345

17.4

Alcatel Submarine Networks UK Ltd.

3,712

23.7

2,010

14.9

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における経営成績の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。また、当連結会計年度における財政状態の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入費用や生産子会社の製造費用、及び販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は生産施設における機械装置等の充実のための事業投資であります。

当社グループは、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金にて賄うことを基本方針としております。また、一部はグループ会社間で融資を行っております。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業別営業利益と設定しております。前連結会計年度及び当連結会計年度の数値については、次のとおりとなっております。

指標

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

事業別営業利益
(リード端子事業) (百万円)

232

44

事業別営業利益
(光部品・デバイス事業) (百万円)

3,652

2,767

 

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、培った技術力に更に磨きをかけ、より一層高度な信頼性、安全性、機能性を追求することにより、競争力に優れる新製品の開発を推進しております。

 

当社グループの研究開発は全て当社が行っており、当連結会計年度末時点の人員は57名であります。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は737百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) リード端子事業

小型アルミ電解コンデンサに対する小型化、耐振性、低漏れ電流等の要求水準が高くなっていることを受け、その主要部品であるリード端子の技術開発品等の機能強化と溶接・プレス形状の品質向上を推進してまいりました。

特に、自動車の電装化が進み、小型アルミ電解コンデンサに対する耐振性、低漏れ電流等の要求水準が高くなっていることを受け、低ESR・低漏れ電流・高リプル電流許容に優れているハイブリッドタイプ(電解質が液体と固体の複層)のコンデンサが車載市場を中心に特性を高く評価され、年々増産されております。

その主要部品であるリード端子について、ハイブリッドタイプ向けを中心に、バリレス品、丸目品、漏れ電流低減に寄与する技術開発品等の機能強化と溶接・プレス形状の品質向上を推進してまいります。更なる技術の向上と品質向上を図るべく、継続した製品開発の推進を進めております。アルミ電解コンデンサメーカー各社と技術会議を開催し、市場要求に対応した製品の開発と量産化を推進し、付加価値向上を進めてまいります。

また、電気二重層キャパシタ(EDLC)用リード端子の技術開発・品質高度化への対応を強化してまいります。

なお、リード端子事業において、研究開発費として計上した金額は108百万円であります。

具体的なテーマは次のとおりであります。

・異種金属の新しい溶接技術の開発(レーザ溶接)

・プレス厚みバラツキ低減金型技術の開発(コンデンサ性能の向上)

 

(2) 光部品・デバイス事業

顧客のプラットフォーム作りや新しい技術提唱の機会に関わって、光ファイバ通信の光ファイバ多芯化やマルチコアファイバ化に対応した光部品、及び光デバイスの研究開発に取り組んでおります。また、当社が長年培ったコア技術を発展させたユニークな新製品を提唱することに努めております。さらに、大学等の研究機関との共同研究により、新たな製品の開発や技術の創造に取り組んでまいります。光部品・デバイス事業における研究開発費の総額は、628百万円であります。

具体的なテーマは次のとおりであります。

・光部品

高速光モジュールをターゲットとした多芯光ファイバアレイ(*1)

・光デバイス

海底ケーブルの高速大容量化をターゲットとした高信頼性光デバイス

 

 

マルチコアファイバと関連した光デバイス

 

 

シリコンフォトニクスと関連した次世代光デバイス

・石英ガラス製品

製造技術SSG®(*2)を用いた高純度石英ガラス部品

・技術開発

デジタルホログラフィ干渉法(*3)の応用

 

 

 

 

光部品・デバイス事業の当連結会計年度における研究開発成果は次のとおりであります。

a. 光デバイス

海底ケーブルのマルチコアファイバ光海底中継器用として求められる性能に応じた「4コアファイバ用光アイソレータ」の開発成果を国際会議で発表しました。

また、産業技術総合研究所と共同開発の次世代のマルチコアファイバを用いた情報通信向けの「シリコンフォトニクス光スイッチを用いた4芯マルチコアファイバ(MCF)用のコア間スイッチングモジュール」の開発成果を国際会議で発表しました。

 

b. 石英ガラス製品

高純度石英ガラス製品の製造技術 SSG®を用いた従来にない高密度に配置された多孔形状、及び切削加工では実現が難しい断面形状等の特殊プリフォームの製造装置の特許を国際出願しました。

また、厚み0.5mm極薄フライアイ・レンズや微細孔(Φ50μm)加工技術等、自由度の高い形状である高純度石英ガラスの部品であることを各種の展示会で発表しました。

 

c. 技術開発

レーザー光を用いた3次元計測手法の1つである「デジタルホログラフィによる計測技術」を国際会議で共著発表しました。

 

(用語解説)

項番

用語

意味・内容

多芯光ファイバアレイ

2本以上の光ファイバの端末を整列加工した製品。

製造技術 SSG®

湖北工業が確立した高純度石英ガラス製品の製造技術。

形状の自由度が極めて高いといった利点を持ち、従来の切削加工

等では困難な複雑形状の高純度石英ガラス成型部品を実現。

デジタルホログラフィ干渉法

レーザー光とデジタル画像とを組み合わせた3次元計測手法のひとつで、3次元のイメージング技術。