第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 [経営成績の状況]

当中間連結会計期間における世界経済は、アフターコロナの流れの中でサービス業等での回復が続いたことに加え、製造業でも改善の動きがみられたことにより企業収益が改善する等、景気は回復傾向を辿りました。一方で、欧米における金利上昇、エネルギー価格の高騰等による物価上昇、中国での不動産市場の停滞等、いくつかの懸念材料が散見される状況となりました。

日本におきましては、雇用や所得環境が改善し、個人消費にも明るさが見え始めましたが、円安の進行や自動車業界における品質不正問題等により、一時的に鉱工業生産が低下するなどの影響も受けました。

電子部品業界におきましては、前半は、情報通信機器市場の低迷が長引いたことや中国での製造業の停滞から厳しい状況が続いたものの、欧州における過剰在庫の調整一巡や、AI普及等に伴う情報通信機器市場の回復等を背景に、後半は回復傾向となりました。

こうした中当社では、中期経営計画の達成に向けて、新製品の開発と拡販、設備総合効率の改善、リード端子事業における生産体制の再構築や不採算製品・不採算受注の取引改善等、売上の拡大と収益構造の改善に努めました。

また、新規分野として注力している高純度石英ガラス製品の事業化への取組みや、高速光通信や量子コンピュータ等への応用が期待されるPLZT光スイッチ技術の開発会社であるエピフォトニクス株式会社の子会社化等、中長期的な成長に向けての施策にも取り組みました。

こうした中、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高は7,707百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益は1,788百万円(前年同期比6.1%増)、経常利益は円安傾向が継続したことによる為替差益が発生したことにより2,753百万円(前年同期比26.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,791百万円(前年同期比33.3%増)となりました。中間連結会計期間における期中平均レートは、1米ドル当たり152.36円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(リード端子事業)

当中間連結会計期間におけるリード端子事業の売上高は4,086百万円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益(営業利益)は119百万円(前年同期比24.3%減)となりました。

自動車用エレクトロニクス市場では、前半は、アルミ電解コンデンサ市場における過剰在庫の顕在化に伴う低迷が欧州、中国等で続いたことに加え、品質不正問題による一部の自動車生産の停滞の影響を受けました。しかし、後半は中国を中心にEV化が進展し、概ね世界的な自動車生産販売が堅調に推移したうえ、アルミ電解コンデンサ市場の調整が一段落し、受注は回復傾向となりました。

情報通信機器用電源や民生機器市場におきましても、前半はコロナ禍において発生したステイホーム需要の反動等による調整が続きましたが、後半は企業におけるIT需要の拡大等により好調に推移し、市場は調整局面からプラス成長への転換がみられました。

こうした状況の中、前半には一部品種の受注急増に伴う想定外の固定費上昇が一時的な利益押し下げ要因となりましたが、後半は受注の増加に合わせたフレキシブルな生産体制の構築を進めたことにより、収益は改善傾向となりました。中長期的なさらなる収益構造の改善に向けて、EDLC(電気二重層キャパシタ)向け製品、対振動特性や絶縁特性を大幅に改善した新製品「バリレス」等の高付加価値製品の拡販に努めました。また、小口受注の見直しや設備総合効率の改善等、収益体質の強化にも取り組みました。

 

さらに、製品の品質と信頼性の向上や生産効率の改善に向け、高効率・高精度を実現する新しい溶接技術の開発に取り組みました。

 

(光部品・デバイス事業)

当中間連結会計期間における光部品・デバイス事業の売上高は3,621百万円(前年同期比12.0%増)、セグメント利益(営業利益)は1,669百万円(前年同期比9.2%増)となりました。

海底ケーブル向け光デバイス製品では、昨年からの海底ケーブルプロジェクトの延期等の影響による調整が一巡したことに加えて、世界的な通信インフラの中長期的な強化の流れを背景とした新たな海底ケーブルプロジェクトが発表される等、光部品・デバイス需要の先行き見通しが改善したことから、光アイソレータ及び光フィルタの受注が回復し、売上が増加しました。

開発面では、情報通信の拡大ニーズに対応し、小型や複合製品、マルチコアファイバ用製品の開発を進めました。マルチコアファイバ用製品では、次世代光海底ケーブルシステム向けの新たな光アイソレータとファンイン/ファンアウト(※1)の複合光デバイスを開発、マルチコアファイバとしては世界最長となる18,090kmの光ファイバ伝送の実証に貢献し、光通信分野で世界最大級の国際会議「OFC2024」で、KDDI総合研究所らと共著での論文発表を行いました。

加えて、次世代事業として位置づけている高純度石英ガラス(SSG®)事業については、昨年より量産供給を開始した紫外線用非球面レンズの販売が順調に増加しました。また、無水合成石英の供給がタイトなことから、半導体関連メーカーなど様々な用途で代替を検討しての引き合いが増加し、順次サンプル出荷をすすめました。

そのほか、本年4月に子会社化したエピフォトニクス株式会社について、経営体制の強化と、光部品・デバイス事業との技術シナジーに向けての取組みを始めました。

 

※1:ファンイン/ファンアウト(製品)

マルチコアファイバの各コアとシングルコアファイバのコアを接続する光部品。「ファンイン」とは複数の入力を一つの出力にまとめること、また「ファンアウト」は一つの入力を複数の出力に分岐することです。例えば、1本の光ファイバケーブルに複数のコアを内蔵するマルチコアファイバを海底ケーブルとして使用する際、数十キロメートルごとに設置する光中継器内で、一旦シングルコアファイバへ分岐して光信号を増幅した後に再度一つの出力にまとめ直す場合に使われます。

 

 

[財政状態の分析]

(資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べ1,610百万円増加し、18,345百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金1,166百万円原材料及び貯蔵品170百万円現金及び預金162百万円増加したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ1,036百万円増加し、9,274百万円となりました。これは主に、のれん325百万円機械装置及び運搬具(純額)279百万円、無形固定資産その他が133百万円リース資産(純額)128百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ2,647百万円増加し、27,620百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は前連結会計年度末に比べ632百万円増加し、3,155百万円となりました。これは主に、未払法人税等622百万円買掛金278百万円増加した一方で、短期借入金162百万円減少したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ14百万円増加し、2,405百万円となりました。これは主に、リース債務134百万円繰延税金負債27百万円増加した一方で、長期借入金156百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ647百万円増加し、5,561百万円となりました。

 

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ1,999百万円増加し、22,059百万円となりました。これは主に、利益剰余金1,251百万円為替換算調整勘定742百万円増加したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は10,865百万円となりました。

当中間連結会計期間における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,710百万円の収入となりました。主な資金増加要因は税金等調整前中間純利益2,753百万円減価償却費459百万円主な資金減少要因は売上債権の増加額1,131百万円法人税等の支払額350百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、311百万円の支出となりました。主な資金増加要因は定期預金の払戻による収入301百万円、主な資金減少要因は有形固定資産の取得による支出404百万円無形固定資産の取得による支出137百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,276百万円の支出となりました。主な資金減少要因は配当金の支払額539百万円長期借入金の返済による支出369百万円、短期借入金の減少額294百万円であります。

 

(3) 経営方針・経営環境等

当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当中間連結会計期間において、重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は369百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。