文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「わくわく広場」の運営を通じて、ビジョンとして掲げる「安心と笑顔が広がる世界をつくる」ことを実現してまいります。そのために、プラットフォーム型でありながらリアルな店舗を有しているという特徴的なビジネスモデルに磨きをかけるとともに、他のお店では買う事の出来ない商品を取りそろえることで、お客様が当社の店舗を目指して来店して下さるデスティネーションストアの構築を生産者と共に目指してまいります。
当社では、プラットフォーム成長の鍵は「場」と「ユーザー」の拡大であると認識しております。
そのため、シェアショップ事業における「場」である店舗数を積極的な出店戦略により伸ばすとともに、「ユーザー」である登録生産者数を伸ばすことにより、全体的な流通総額の拡大を図る方針であります。当社ではお客様から受領した販売代金から生産者へ支払う仕入代金(予め登録時に生産者に同意いただいている当社で決定した一定の料率で算出した金額)を流通総額より控除した金額を営業収益として財務諸表に表示しておりますので、流通総額の拡大が営業収益及び利益の増加に重要な影響を持つ指標と認識しております。以上のことから、当社の重要な経営指標として、流通総額、店舗数及び登録生産者数を注視し、成長に向けた経営資源の投資を継続してまいります。
店舗数の拡大に当たっては、以下の戦略を織り交ぜることにより、全国的な展開エリアを拡大させつつ、バランスよくドミナント化を進めてまいります。
(a)地域ドミナントの深化
他の小売店と同様、当社のビジネスモデルにおいても、ドミナント化を進めることにより店舗運営の効率化を図ることが可能となります。
シェアショップ事業においては、地域ドミナントが深まることにより、既存の生産者にとっては、近隣の出品可能な店舗が増え販路拡大になるとともに、新規の生産者の商品が既存の店舗にも増えやすくなる傾向があり、既存のローカルサプライチェーンを新規出店に活用することができるため、出店効率を高めることが可能となります。
(b)未出店エリアへの拡大
シェアショップ事業においては、ローカルサプライチェーンを各店舗周辺で形成することが前提となっており、大規模なサプライチェーンの構築を必要としておりません。既存の店舗やサプライチェーンが無い未出店のエリアであったとしても、新規出店を通常の出店投資と同様の範囲で行う事が可能であるため、将来的なドミナント化を見込むことができる地域であれば出店し、出店エリアの拡大を進めてまいります。
当社では、生産者が「いつ・何を・いくつ・いくらで」出品するかを自由に決定できることから、商品力の強化のためには各店へ出品する生産者の数を増やしていくことが不可欠となります。そのため、生産者にとっての収入機会の場としての魅力を高めつつ、日本各地の生産者へのアプローチを担当部署のスタッフや各店舗従業員が継続することにより、登録生産者数を増やしていくことが商品力の強化につながると考えております。この点については、既存の店舗であったとしても、店舗周辺の登録生産者数を拡大していく余地があるため、継続的なアプローチを行っております。
また、新規の生産者を増やしていくことに加え、既存の生産者に対しては、自らの商品が「いつ・何が・いくつ・いくらで」売れたのかといった販売情報を見やすく使いやすい状態で積極的に開示し、出品を促す情報システムを提供しており、こうした情報発信の強化継続や、宅配便を利用した店舗への納品、当社が一部の地域で運営している物流センターの利用といった、生産者が出品しやすい・出品したくなる物流システムの提案により、生産者の出品意欲を高め、魅力的な商品がたくさん集まるプラットフォームとしての価値を向上させてまいります。
当社が推進するシェアショップ事業と類似する販売スタイルである農産物直売所関連の経営環境としては、農産物直売所経由での農業生産関連事業の販売金額は成長してきている(参考資料:農林水産省統計部「6次産業化総合調査報告」)一方で、スーパーマーケットでも野菜の産直コーナーの展開を進めている店舗も増加しており、競争環境は厳しさを増していると考えております。また、一般的な農産物直売所において中心的な商材である青果は、気候変動や天災といった要因により、価格変動の影響を受けやすい商材となっております。こうした環境の中、当社では単なる青果の直売所ではなく、「地域を結ぶ直売広場」としての機能を発揮して青果以外の産直商材の登録生産者数を増やし、品種の拡大を図ることで激化する競争環境において大きな優位性を発揮しております。
外部競争環境としては、上記の様な厳しい環境が継続していく見込みですが、一方で、シェアショップとしての機能を必要とする生産者は今後さらに増えていくと考えており、こうした生産者に新たな販路を提供することが、地域の活性化に貢献するという当社の社会的意義につながるものと考えております。
農業生産関連事業の年間総販売金額の推移(全国)

出典:農林水産省大臣官房統計部 令和3年度6次産業化総合調査
令和5年3月24日公表
当社では、流通総額、店舗数及び登録生産者数を重要な経営指標と考えております。
当社の成長に対して重要な上記の指標を伸長させていくためには、プラットフォームを利用する生産者を増やすとともに、より多くの商品を出品いただく環境づくりを行い、店頭に集まる商品を増やしていくことが、お客様にとって魅力のあるプラットフォーム、すなわち、売り場・店舗につながり、結果として営業収益・利益の拡大につながっていくと考えております。
また、生産者とお客様を結ぶプラットフォームである店舗数そのものを拡大させていくことで、より多くの生産者に販売機会を提供するとともに、お客様に魅力的な商品をお届けしていきたいと考えております。
(1)及び(2)に記載の、経営方針及び経営戦略を実行していく上で、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
店舗数を拡大させるためには、収益力のある店舗の新規出店を継続させていくための社内体制の整備等を進めることが課題と認識しております。この課題に対処するために、当社では、出店候補物件の評価プロセスの整備や出店意思決定後の出店プロセスの整備に取り組んでおります。
店舗数の拡大にあたっては、新たな地域への出店を行っていくことも重要な課題になっていくと認識しております。この課題に対処するために、当社では、これまでの経験を踏まえて事業が成立しやすいエリア・地域への新規出店を継続していくとともに、既存の商品構成にこだわらない店舗づくりと生産者の開拓を実施し、これまで出店の難しかった地域への出店も進めていきたいと考えております。
当社ではお客様の動向を常に把握し、現場スタッフによる機動的な判断により豊富な商品数とその魅力をお客様に訴求し続けることを、店舗運営にあたっての判断指針の第一に掲げ、従業員への浸透を図っております。また、お客様にとって魅力のある店舗が生産者にとっても商品を多く出品したいと感じるプラットフォームであるとの考えに基づき、店舗作りを継続的な課題として認識しております。
「わくわく広場」に出品される商品に関しては、生産者及び店舗スタッフが「食品表示法」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」等の各種法令に基づく商品表示・店頭表示を理解し、遵守することが課題であると認識しております。この課題に対処するために、当社では日頃からこれらの関連法令等に関する情報発信を社内外に行っておりますが、引き続き関連法令に基づく表示に努め、お客様に安心してお買い物をしていただけるよう、売り場の安全性の確保を図ってまいります。
継続的な成長の源泉である人財は、当社にとって重要な経営資源であると認識しております。この課題に対処するために、当社では、中途採用も含め、優秀な社員を継続的に雇用してその成長機会の提供及び教育・育成を実施し、更に人事評価制度の充実等の各種施策を進めてまいります。
当社の事業を成長させていくためには、プラットフォームとしての「わくわく広場」を利用する新たな生産者を、いかに効率的かつ効果的に獲得していくことができるかが課題と認識しております。この課題に対処するために、当社では生産者開拓を行う担当部署を設けており、スキル向上と人財の確保に注力しております。また、「わくわく広場」を利用することによって、販路の拡大により収入が増加するメリットを継続的に訴求して、生産者の登録拡大に向けた活動を続けてまいります。
当社事業の成長には、プラットフォーマーである当社の商品販売に対する努力だけではなく、魅力的な商品を生産者に多く出品してもらうことが課題であると認識しております。この課題に対処するために、当社では、生産者の出品を促すため、リアルタイムで詳細な販売データをスマートフォンやパソコンを通して確認できる情報システムを自社で構築・改善する体制を持つことにより、生産者が状況に応じたタイムリーな出品判断ができる仕組みを提供する等、生産者向けの情報発信体制の強化に引き続き取り組んでまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
当社では新鮮な野菜を提供することが他の店舗との差別化につながる点の一つであると考えており、青果の陳列期間を当社独自で定め、陳列期間を超える青果は店頭から撤去しております。これらの、まだ十分に食べられるにもかかわらず、「わくわく広場」の付加価値を維持するために廃棄せざるを得ない食品ロスは当社にとっての課題であると認識しております。この課題に対処するために、当社では、地方自治体とも連携し、店舗近隣のこども食堂をはじめとしたNPO法人等に対して、陳列から外れた食品を生産者の同意を得た上で無償提供しており、今後こうした連携をさらに増やすことで、食品ロスを少しでも削減してまいります。
「わくわく広場」に出品される主力商品の一つが、生産者が直接出品する青果ですが、台風や洪水、強風などの自然災害により生産者に被害が発生した場合、出品量が減るなどの影響が生じるといった課題があると認識しております。当社では、出店エリアの拡大に伴い、日本各地で登録生産者が増えており、自然災害の影響が軽微にとどまったエリアの生産者が宅配便などを活用して出品するスタイルを提供することにより、自然災害による物量の変動への対応を進めております。
③ コンプライアンス体制の強化
当社は社会的責任を果たすべく、また、食の安全・安心志向がより高まる中、全社的にコンプライアンス体制を整備強化していくことが、注力すべき課題と考えております。コンプライアンス統括責任者を任命し、法令等の遵守、懸念事象発生時の報告及び対応を行うとともに、取締役会において定期的に重要事項の審議及び報告を行うなどの対応をしております。法令遵守は企業存続の基本として全社的に更なる徹底が必要であると考えており、全従業員を対象にコンプライアンス意識の更なる醸成を進めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末時点において当社が判断したものであります。
当社は、事業活動を通じてサステナビリティを巡る課題の解決に取組むことが、中長期的な企業価値の向上に繋がると考えており、人的資本への投資をはじめとする経営資源の配分等について、中期経営計画の策定時に取締役会で実効性を含めて審議をおこなっております。
当社では、人財の多様性を確保するために、従業員の能力や適性等を総合的に評価する人事制度を導入しており、管理職への登用についても、性別、国籍、採用形態による制約は一切設けておりません。
人財の育成については、入社時研修、各種プログラムに沿ったeラーニング等の社内研修を実施しております。
当社は、取締役会を中心としたリスク管理体制を構築し、サステナビリティに関連したリスクの特定、分析、評価、対応等のプロセスを円滑に実施することにより、リスクの低減、インシデントの未然防止等を図っております。
上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関連する指標のデータ管理を行っております。当該指標に係る目標等は現在定めておりませんが、今後の課題として検討してまいります。当事業年度の実績については、「第1 主要な経営指標等の推移 5 従業員の状況 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差」に記載しております。
以下において、当社の事業、経営の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社シェアショップ事業ではお客様にお買い上げいただいた商品について、生産者が所有権を有したままであるため、出品商品の安全性についての責任は最終的に生産者が担うこととなっておりますが、店舗における温度管理、納品後の商品管理は当社従業員が行っております。
生産者に対する指導や、当社従業員による商品チェック及び売場の温度管理等、食の安全性には十分な配慮を行っておりますが、万が一、当社に出品している生産者の商品が原因となり食中毒や健康被害が発生した場合、当社の信用の低下等を招き、店舗売上が減少する可能性があります。当社では生産者へは食品の生産・製造に関する各種法令及び衛生管理等を徹底する様に指導しており、また売場管理マニュアルの作成や従業員への教育等により売場管理の徹底を図っておりますが、健康被害等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の店舗で販売している主力商品の一つである野菜については、産直野菜という付加価値を持ちますが、気候変動や天災といった要因により、一般的な野菜市況の価格変動の影響を受けます。当社では消化仕入方式を採用しておりますので、野菜市況の変動による野菜単価の変動は、販売数量が変わらなければ、営業収益及び利益に直接影響を及ぼすことになります。こうしたリスクに対応するため、当社では農産物以外の商品の流通構成比を高めるべく当該商品の生産者開拓に力を入れておりますが、当社の施策が十分に効果を発揮せず、かつ、野菜市況が低迷した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
台風や風水害、地震等といった重大な天災が生じた場合、当社が保有する店舗設備や当社が出店するショッピングセンター等に被害が生じ、施設の運営が行えなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、こうした天災によって生産者に被害が生じる可能性があります。当社では店舗展開のエリアを特定地域に限定することなく全国展開をすることでこうしたリスクを分散してまいりますが、天災が生じた場合、該当地域においては当社店舗への納品が減り、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
農産物をはじめとする直売ビジネスは、当社以外にも事業展開を行っている運営団体が各種あり、生産者は当社以外にもこれらの他の直売拠点への出品を自由に行うことが可能です。また、農産物以外でも飲食店にとってのフードデリバリーサービスや加工品生産者にとっての登録型ECサイトなど、出品に際しての選択肢は増えてきております。そのため、常に新たな生産者を新規に開拓し続け、店頭の商品の健全な入れ替えを進めております。当社は単店しか持たない直売所ビジネスと比較して直売所をネットワーク化することにより、本来供給が不安定になりがちな直売所ビジネスを安定させてきた点において競争優位性を有していると考えており、また、消費者に対しては、当社の店舗に実際に足を運ばないと買うことができない商品を揃えるデスティネーションストアを目指すことで、ナショナルブランドを中心とした品ぞろえの食品スーパーやネットスーパー、さらにはフードデリバリーサービスとの差別化を図っておりますが、当社の店舗が販売力や採算性の面で他の類似業種との差別化が十分に出来ない場合、生産者の流出や店舗売上の減少等を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リアルな店舗を持つプラットフォーム型のビジネスモデルの展開にあたっては、通常のリアル店舗型のビジネスモデル同様、出店立地の選定はその後の営業収益及び利益に大きな影響を持ちます。当社では、周辺の農地面積、農作物以外の食品生産者の分布状況、商圏人口、賃料等を総合的に分析・勘案した上で新規出店しておりますが、条件に合う物件が限られた場合や事前の分析と実際の状況に大きな乖離がある場合には当初の計画を達成できなくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は販売機会を生産者に提供するプラットフォーム型のビジネスモデルを展開していることから、生産者が「いつ・何を・いくつ・いくらで」出品するかを決定しており、商品の調達及び価格決定を当社が自らの責任と権限で全て行っているわけではありません。そのため、商品を出品したいと考える生産者を継続的に開拓しておりますが、登録生産者数が順調に伸びない場合や、生産者に十分な量の商品を出品して頂けない場合、適切な値付けがなされない場合、または、出品できる品目に偏りが発生する場合には、店頭に魅力的な商品を揃えることが難しくなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、直売ビジネスへのニーズは高いものと判断しており、引き続き継続的な出店を計画しておりますが、出店計画のスピードに、出店に必要な人財の確保が十分に追いつかない場合、当初の計画を達成できなくなる可能性があります。当社では、「地元の人の商品を、地元の人が、地元の人に売る」ことを目指し、地元のパートタイム従業員から契約社員・地域限定正社員への登用を推進することで優秀な人財確保を図っておりますが、十分な人財の確保が行えない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の情報システムが、不正侵入やコンピュータウィルスへの感染、または、自然災害・事故等による設備の損壊や通信回線のトラブル等による停止もしくは大規模なデータ破壊などの被害を受ける可能性があります。社内の各端末に最新のアンチウィルスソフトウェアを適用させるとともに、設備の堅牢性及びセキュリティレベルの高い外部ベンダーのデータセンターを利用するなど、各種対策を講じておりますが、情報システムに予期し難い不具合や障害が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、生産者、取引先及び従業員の個人情報を保有しております。特定個人情報管理規程及び個人情報管理規程を定め、個人情報漏洩防止に関して個人情報保護に関する法令を遵守すると共に、個人情報の管理に十分留意しております。しかしながら、個人情報の流出等の問題が発生した場合、当社への損害賠償請求や当社の信用の低下により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が所有する固定資産について、店舗利益の継続的な低迷、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損損失を計上することがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、当社の業績が事業計画に比して低調に推移した場合には、繰延税金資産の回収可能性を見直すことになり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社へ登録している生産者が出品する商品の多くに弁当、惣菜、和菓子等があり、お客様の中食需要に応える形で出品数が増加傾向にあり、これに伴い流通総額も増加傾向にあります。このような環境の中、当社は生産者の獲得拡大に努め、商品毎に生産者の特徴をお客様に訴求し、豊富な商品数を揃えて他社との差別化を図っておりますが、今後お客様の嗜好の変化や社会情勢の変動に伴い中食に対する需要が低下した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社へ登録している生産者が出品する商品は生産者が所有権を有したまま消費者へ販売される仕組みであるため、商品の味・価格については生産者が決定権を有しており、消費者の嗜好と異なる商品が店頭に出品される可能性があります。この様な状態が続いた場合、当社の運営する店舗を利用するお客様からの信頼を失い、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類移行により、国内での人の流れの回復や国外観光客の受け入れ拡大等、消費や雇用、所得環境の改善が進み、経済活動再開の動きが見られた一方、全世界的なインフレの長期化や為替相場の変動による消費者物価の上昇、頻発する異常気象等、経済活動の下振れリスクも残る不透明な状況が続いておりました。
このような環境のもと、「地域を結ぶ直売広場」をコンセプトとした運営店舗「わくわく広場」は、地域の食のセレクトショップとして、野菜・果物以外にも弁当・惣菜・パン、加工食品、和洋菓子、調味料、花といった様々なジャンルの生産者開拓を進め、スーパーマーケット等とは差別化した商品を取り揃えるとともに、生産者による対面イベントや、コンセプト毎のイベント等を各店舗で開催しました。また、積極的な新規出店と不採算店舗の閉鎖を行い、規模拡大と利益率向上に取り組んでまいりました。
これらの取組みにより、当社の重要な経営指標である流通総額(店舗におけるレジ通過額のほか、値札シールの販売代金や不動産賃貸収入等を含む総額の全体売上高)は24,966,573千円(前事業年度比13.3%増)となりました。店舗における販売商品の種類別割合は、弁当・惣菜・パン類が約35%、加工品等が約27%、野菜・果実等が約26%、その他が約12%となっており、農産物にとどまらず、地元のおいしい食品が集まる「地域の食のセレクトショップ」を実現しております。また、当事業年度において、39店舗の新規出店と9店舗の閉鎖を行い、店舗数は前事業年度末より30店舗増加し166店舗となりました。また、生産者に対しては継続した登録件数拡大に取り組み、登録生産者数は前事業年度末より2,662件増加し28,615件となりました。
以上の結果、営業収益は7,185,306千円(前事業年度比11.6%増)、営業利益は991,654千円(前事業年度比2.8%増)、経常利益は976,292千円(前事業年度比6.9%増)となり、当期純利益は483,643千円(前事業年度比2.6%増)となりました。
なお、当社事業は単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ938,578千円増加し、7,665,089千円となりました。これは主に、流通総額の増加等により売掛金が367,706千円増加、新規店舗の出店等により有形固定資産が222,205千円増加、基幹システム等への追加投資により無形固定資産が219,540千円増加したこと等によるものです。
当事業年度末における負債総額は、前事業年度末と比べ450,183千円増加し、5,377,401千円となりました。これは主に、営業収益の増加に伴い買掛金が178,587千円増加、未払金が174,044千円増加、長期借入金が134,531千円増加した一方、未払法人税等が148,922千円減少したこと等によるものです。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ488,394千円増加し、2,287,688千円となりました。これは主に、当期純利益が483,643千円となったこと等によるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ13,627千円増加し3,009,866千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は740,781千円(前事業年度は1,222,040千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が828,820千円、減価償却費が207,221千円、固定資産除却損が128,261千円となり、さらに仕入債務が178,587千円増加、未払金が199,618千円増加した一方、減少要因としては、法人税等の支払額が468,122千円となり、さらに売上債権が367,706千円増加したこと等によるものです。
投資活動により支出した資金は869,062千円(前事業年度は299,010千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が466,586千円、無形固定資産の取得による支出が271,281千円、敷金及び保証金の差入による支出が100,355千円あったこと等によるものです。
財務活動により得られた資金は141,908千円(前事業年度は854,025千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が500,000千円あった一方、長期借入金の返済による支出が265,469千円あったこと等によるものです。
当社は、シェアショップ事業の単一セグメントであるため、以下の事項は商品の分類別に記載しております。
当事業年度における仕入実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除して財務諸表に表示しているため、生産者商品に係る当期商品仕入高は「-」となっております。
2.「その他」には、当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の仕入高、生産者へ販売している値札シールの仕入代金等が含まれております。
当社は、シェアショップ事業を主体としており、受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績を商品の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
(注) 1.「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおり、生産者商品については、お客様から受領した販売代金を流通総額とし、生産者へ支払う仕入代金を流通総額から控除した純額を営業収益として財務諸表に表示しております。
2.「その他」には、当社が直接仕入れを行い店頭で販売している商品の販売額、生産者へ販売している値札シールの販売代金や不動産収入等が含まれております。
3.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
生産者が出品した商品(生産者商品)については、当社が所有権及び在庫リスクを有さずに販売する商品であるため、生産者商品に係る売上高は、お客様から受領した販売代金から生産者へ支払う仕入代金を控除した純額で財務諸表に表示しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後プラットフォームとしてさらなる成長と発展を遂げるためには、当社プラットフォームにおける「場」である店舗数及び「ユーザー」である登録生産者数を拡大させていくことが重要であると認識しております。
当社が今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社における主な資金需要は、継続的な生産者獲得及び継続的なサービス提供のための人件費や、知名度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費、サービスの拡充のための店舗の家賃等の維持費や設備投資資金であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は、継続的に事業を拡大していくために成長性を重視しており、成長性を示す指標として流通総額、店舗数及び登録生産者数を重視しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。