第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

現在、我が国の医療は、高齢化と医療の高度化による「社会保障関係予算の増大」と、財政維持のための「社会保障関係費用の抑制」という相反する課題に直面しています。当社の創業者である代表取締役社長の上野太郎は、誰もが必要な時に必要な医療や介護を受けられ、安心して暮らせる社会を創造したいという思いから2015年7月に当社を創業しました。

当社は、そのような創業者の思いのもと、医療が必要な全ての患者に最適な医療を提供し続けることができる、持続可能な社会の実現を目指して、IT技術と臨床現場のニーズとを有機的に融合させ、今までになかったソリューションを提供することで社会への価値を生み出し、現在の状況を変えるべく事業活動を行っております。

創業後は不眠障害をはじめ各疾患を対象とした治療用アプリの開発、汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムなどを通じて、未来に残すべき良質な医療システムを構築してきました。

医療は今後も進行する高齢化社会に向けて、様々な課題の解決や仕組みの整備が求められる分野であり、当社としては、更なるICTの活用及びデータ解析システムの開発を進めることで、医療従事者、患者双方のジレンマの解消、ひいては持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

現在、研究開発段階にある当社は、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりませんが、DTxプロダクト事業では、長期的視点での収益の最大化のために財務指標に先行する開発パイプラインの件数や臨床試験の進捗率を、DTxプラットフォーム事業では、収益の継続的な増加を実現するため契約件数を重要な経営指標として位置付けております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

DTxプロダクト事業では、DTxシーズの横断的な探索及び市場性の高い案件の選択と深耕が重要だと考えております。シーズの探索では、代表取締役社長の上野を中心に当社役職員が保有する業界内でのネットワークを最大限活用するとともに、機械学習自動分析システムの導入によるRWDの分析や販売後調査を通じて、医療機関・学術研究機関・製薬企業が抱えるDTxシーズの発掘を行ってまいります。案件の選択と集中については、高い収益性が見込まれる案件に十分なリソース配分を行うための投資判断基準を構築して、臨床試験の各相で案件の適切な取捨選択を行い、加えて、自社で完結することに固執せず販売権の導出等、他社との連携による早期収益化の方策を検討してまいります。

DTxプラットフォーム事業のうち汎用臨床試験システムでは、サンドボックス制度での研究成果とそれを踏まえたグレーゾーン解消制度での当社の確認に対する厚生労働省からの回答に基づき、臨床試験における実地モニタリングを省略するためのデファクトスタンダートを目指しております。実地モニタリングの省略に加え、被験者募集プロセスの効率化やデータ欠損の防止による臨床試験品質の向上の観点から、製薬企業や学術研究機関における研究開発コストのさらなる低減をシステム全体で実現してまいります。

さらに、機械学習自動分析システムでは、RWDを対象としたユースケースを蓄積しながら、新たな機能開発と使いやすいUI/UX(User Interface/User Experience)の改善を継続的に行い、新たな契約の獲得と顧客単価の向上を目指してまいります。

DTx開発支援においても、支援実績を積み上げると同時に、システム基盤の機能拡充を図り、更なる効率化を目指してまいります。

 

 

(4) 経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題

今後事業及び収益の拡大を図るために当社が対処すべきDTxプロダクト事業での主な課題は、開発中の治療用アプリそれぞれの医療機器承認の取得(不眠障害治療用アプリは製造販売承認を取得済み)と十分な収益が確保できる水準での保険収載を確実に実現することであります。併せて、臨床ニーズに対応した新たな治療用アプリの開発に着手し、それらを継続的に市場に投入していくことも長期的な課題として認識しております。

また、DTxプラットフォーム事業のうち汎用臨床試験システムでの課題は、規制に対応した上で臨床開発コストの低減に着実に寄与すること、機械学習自動分析システムでの課題は、長期にわたって利用してもらうために継続的なユーザーニーズの把握とそのニーズに即した機能拡充を行うことだと考えております。

新型コロナウイルス感染症の拡大は多くの事業にネガティブな影響を及ぼしましたが、外出自粛、医療機関への通院に対する抵抗感などが医療業界のデジタル化を促進した要因にもなっており、デジタル技術の活用で医療の効率化を目指す当社の事業展開にとってはポジティブな環境となっております。

その他、継続的な成長と企業価値の向上を目指す上で対処しなければならない各機能面での課題を以下のように考えております。

 

(営業活動における課題)

当社は、国内外の製薬企業や医療機関等と友好的かつ経済的な相互関係(共同研究開発体制)を築いており、今後さらなる共同研究開発契約を獲得・推進するために研究開発体制の整備・充実と連動した戦略的な営業活動が重要だと考えております。

 

(研究開発活動における課題)

当社は、DTxプロダクト事業において治療用アプリの治験システム、治療用アプリを搭載した端末装置、および治療用アプリのプログラムに関する特許技術を保有・活用しており、現時点においては大きな技術的優位性があると考えております。また、DTxプラットフォーム事業に分類される汎用臨床試験システムおよび機械学習自動分析システムは今後の活用に大きな可能性を秘めております。当社は、自社システムの優位性を確保し続けるため、国内外の製薬企業及び学術研究機関等との共同研究を推進しつつ、今後も自社内における研究開発及びその体制の強化を進めてまいります。

 

(内部管理・統制における課題)

当社は、継続的に企業価値を高めていくためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題の1つであると認識しております。経営の効率化を図りながら、一方でその健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に企業価値を向上させることが、株主をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様から信頼をいただく条件であると考えております。企業価値向上のために、俊敏さを備えた全社的に効率的な組織の構築を必要条件としつつ、業務執行の妥当性、管理機能の効率性・有効性を心がけ、改善に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

①ガバナンス及びリスク管理

当社は、「ICTの活用によって持続可能な医療(Sustainable Medicine)を社会に提供し続けること」をミッションに掲げており、当社の事業活動そのものを通じて社会の持続可能性の向上と当社の企業価値向上の両立に努めております。

当該ミッションを達成するためのガバナンス体制として、当社では、取締役会を中心に、経営戦略やミッションとの関連性を踏まえ、サステナビリティに関する重要課題や方針、具体的な対策等について議論を行っており、経営と一体となった、実効性のあるサステナビリティ活動を推進しております。なお、具体的な施策については、取締役会での議論をもとに、社内の関係部署において社内横断的に取り組んでおります。

また、サステナビリティに関する重要課題に関する各種リスクについては、リスク及び機会の識別及び評価を行い、その管理方法について検討の上、関係部署と連携し、対応することとしております。具体的には、原則として3ヶ月に1度の頻度でリスク管理委員会を開催し、リスク評価とモニタリング、リスクの見直しを実施し、その内容について取締役会へ報告を行なっております。取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有していることから、リスク管理委員会から報告のあった内容を含め、当社のサステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての討議・監督を行なっております。なお、具体的なリスクの内容、管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。

また、具体的なガバナンス体制及びリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

②戦略、指標及び目標

当社ではサステナビリティに関する重要課題を選定するとともに、それぞれに対する戦略を策定し、サステナビリティ活動に取り組んでおります。社会の持続可能性の向上と当社の企業価値向上を一体と考える当社では、これらの重要課題に適切に対応する戦略を定め、取り組んでいくことが、ひいては当社の企業価値向上にも寄与するものと考えております。

当社のサステナビリティに関する重要課題については、上記のガバナンス及びリスク管理を通じて以下のプロセスにより検討を行っております。

 

(特定のプロセス)

ステップ1 SASBやGRIなどが公表している各種指標やSDGs、ESG評価機関などの評価手法を参考に、当社の事業内容、経営計画を勘案の上、当社と関係するサステナビリティの課題項目を抽出(課題の抽出)

ステップ2 取締役会において、ステークホルダーにとっての重要度と、当社の経営戦略やミッションとの関連性など当社にとっての重要度の両観点から、その妥当性や網羅性を議論(抽出した課題の評価)

ステップ3 上記議論を踏まえ、重要課題及びその具体的な実施策を検討(重要課題の特定)

ステップ4 取締役会での審議、承認を経て決定(重要課題の決定)

 

上記プロセスを経て、当社では、サステナビリティに係るマテリアリティ及び当該マテリアリティに対する戦略の概要を以下のとおり確定しております。特定・整理を行った重要課題については、当社のサステナビリティ活動の基本とし、当該重要課題の解決に向けた具体的な取り組みを推進していきます。

 

 

分類

マテリアリティ

戦略の概要

E

(環境)

環境への貢献

自社事業の推進による持続的な医療の実現

医療課題解決のための製品・サービスの提供

自社アプリ・システムの開発、提供の推進

S

(社会)

人材育成・社内環境整備

社員の成長と活躍推進

多様な人材の活躍(多様な働き方)

社員の健康と安全

G

(ガバナンス)

コーポレート・ガバナンスの強化

コーポレート・ガバナンス

コンプライアンス(企業倫理・腐敗防止)

リスクマネジメント(BCP管理、個人情報・データセキュリティ)

知的財産の維持・強化

 

 

なお、人材育成・社内環境整備以外の各マテリアリティの取り組みの進捗を管理する指標及び目標については、現在検討中であります。また、サステナビリティに関する重要課題は当社の事業進捗や事業を取り巻く環境の変化に応じて、定期的に見直しを実施していきます。

上記枠組みを通じて特定された重要課題のうち、人材育成・社内環境整備に関する「戦略」及び「指標及び目標」については下記「(2)人的資本に関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(2) 人的資本に関する考え方及び取組

①戦略

当社は、医療現場におけるニーズとIT技術を有機的に組み合わせ、新しい医療をつくり、持続可能な医療(Sustainable Medicine)を実現することを使命としております。そのためには、医療を中心とした社会課題の解決に強い関心を持つ様々な分野のプロフェッショナルが協力し、一人ひとりが本来有している専門性を更に高めながら研究開発・事業化を推進していける環境の整備及び高い専門性を有した社員の貢献に報いるための制度の構築が重要だと考えております。

当社は、以下に示す5つの「行動指針」を定め、採用基準の1つとするとともに、これらの価値観に基づく環境整備、制度構築に取り組んでおります。

 


 

 

②指標及び目標

当社では、以下の3点を上記の戦略への取組における重点項目として、その状況を定量・定性両面の複数の指標で測定、評価しております。

 

a 社員の成長と活躍推進

b 多様な人材の活躍(多様な働き方)

c 社員の健康と安全

 

a 社員の成長と活躍推進

当社は、研究開発型の企業として、学会等での講演や論文発表、知的財産権の取得などを積極的に行っており、「本質的な成果にこだわる」「成長を楽しむ」という行動指針に示されているように、社員に対しても、職務発明規程を定め、研究開発の実施、研究成果の公表、知的財産権の出願等を推奨しております。

 

また、社員自身のスキルを高めることができる機会として副業を許可しており、当事業年度は、短期のものも含めて延べ8件の副業が行われました。副業に関する定量的な目標は設定しておりませんが、今後も社員のスキル獲得のための副業が可能となるような環境の整備を進めてまいります

 

b 多様な人材の活躍(多様な働き方)

当社は、「プロフェッショナルとして尊重する」という行動指針を定め、年齢や性別に限らず、異なる経験や専門性を持つメンバーがお互いにその多様性を認め、尊重し合う企業文化の醸成に取り組んでおります。

その一環として、働き方の多様性を確保するために、リモートワークと出社のハイブリット勤務、コアタイムのないフルフレックスタイム制度等を導入しております。働き方に関する指標は以下のとおりです。

 

・  年休取得率

67.3%

・  子の看護休暇取得日数

9.5日(延べ)

  リモートワーク率

100%(週3日以上53.3%)

・  フルフレックス制度を評価している

96.7%

 

 

今後、社員のライフステージの変化や組織体制の変更を視野に入れ、更に多様な働き方を可能とする環境を目指した制度づくりを推進します。

 

c 社員の健康・安全

医療分野で事業を行う企業として、まず働く社員が健康であることが重要と考えており、健康診断や健康増進イベントの参加率向上など、身近な取組から社員の健康対策を推進しています。また、現時点で導入義務はありませんが、ストレスチェックもすでに開始しており、社員のメンタル面での健康や安全のサポートを行っております。健康診断受診率、ストレスチェック受検率はともに100%です。

少数精鋭の組織体制のため社員数は多くありませんが、採用による体制強化を継続的に進めており、社員1人あたりの平均所定外労働時間は9時間5分/月と、効率良く安定した勤務環境の整備に留意しております。

 

 

以上の重点項目への取り組みの結果、今期実施したエンゲージメントサーベイでは、エンゲージメント率を示すeNPS®※(employee Net Promoter Score®)が+6.67と、日本企業では多くがマイナスポイントとなる中、プラスの結果となりました。eNPS®の更なる向上を目指すとともに、定着率についても指標の1つとし、80%程度(今期は79.2%)を目標として、組織運営を行っていきます。

 

※NPS及びNet Promoter Scoreは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標です。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 医療機器の研究開発・医療業界に関するリスク

① 研究開発の不確実性について

当社は治療用アプリ及びプラットフォームシステムの開発を事業領域としており、特に治療用アプリの開発には医薬品と同じく相当程度の時間と投資が必要となります。治療用アプリの開発では臨床試験の結果や、規制当局からの要望・指導、関連する法令の変更・改訂等によって計画に不確実性が生じ、開発方針の変更、開発の延期もしくは中止などを招くことによって当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。個々の治療用アプリの開発リスクの低減には限界があるため、学術研究機関との連携強化、治療用アプリ開発プラットフォームの活用によって、効率的なシーズ探索を行い、継続的に開発パイプラインの充実を図る方針としております。

 

② 副作用、製造物責任について

通常、医療機器は本来期待する効果と共に、期待されない副作用が生じる可能性があります。治療用アプリに関しては、一般の医薬品や医療機器と同様にその安全性に関して臨床試験の中で十分に検討され、また、侵襲性が低く副作用が発生した場合の深刻度も相対的に高くはありませんが、上市後に、より多く使用される段階で予期できない副作用が発現する可能性は否定できません。

当社は、上記の副作用発生に起因する補償又は賠償に対応するために、想定しうる範囲で治験保険や製造物責任保険への加入を予定しておりますが、補償範囲外の賠償責任を問われる可能性があります。さらに、重篤な副作用や死亡例の発生は、製品及び企業イメージを大きく損ね、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償等と併せて、当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 医薬品医療機器等法その他の規制について

当社が属する医療機器等の業界は研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、医薬品医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度並びにその他関係法令等により、様々な規制を受けています。当社が開発している治療用アプリは医療機器に該当し、厚生労働大臣による医療機器製造業あるいは医療機器製造販売業の登録が必要となります。この登録は5年ごとの更新が必要となるため、更新が認められない場合には、治療用アプリの開発を継続できなくなる可能性があります。当社では、人員体制の拡充強化、適正な業務フローの実施を継続的に行い、登録更新に必要な要件を満たしていく方針としております。

また、当社が開発した治療用アプリやシステムの使用が規制当局によって承認されない場合、それらの上市や他社へのサービス提供が困難になる可能性があります。さらに、承認を取得できた場合であっても健康保険の対象として保険収載されない、もしくは期待通りの保険点数が付与されない場合、当社の財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 不眠障害治療用アプリの販売計画について

当社は、これまでに実施した臨床試験等から、不眠障害治療用アプリについては有望な有効性および安全性データが得られていると判断しており、2023年2月にはそれらデータに基づいて製造販売のための承認・許可を取得することができました。

当社の事業計画については、承認後の保険収載を前提として作成しておりますが、上市に至る過程において様々な薬事規制に従う必要があり、仕様の変更や臨床試験の再実施など、事業計画のスケジュールに変更を及ぼす事象が発生した場合には、当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 事業活動に関するリスク

① 小規模組織及び少数の事業推進者への依存について

当社は、本書提出日現在において取締役6名(非常勤取締役2名を含む)、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員37名の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっていますが、今後、業容拡大に応じた継続的な管理部門の体制強化により内部管理体制の拡充を図る方針であります。

また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、もしくは人材の流出が生じた場合には、当社の中期的な事業活動に支障が生じ、財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社での人的資本に関する考え方及び取組は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本に関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

② 特定人物への依存について

当社の創業者であり代表取締役社長である上野太郎は、当社の経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、当社の最高責任者として影響力を有しております。このため当社は上野に過度に依存しない体制を構築すべく、複数の取締役による業務管掌領域の分担をはじめとした経営組織の強化を図っておりますが、上野が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の短期的な事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 治療用アプリ業界の競争環境について

治療用アプリやそれに類似する医療機器の開発に携わる企業は、我が国ではまだ少ないものの、海外では既に上場している企業もあり、日本の製薬企業が海外の治療用アプリを日本に導入して臨床試験を開始するなど、国内での競争環境は厳しくなりつつあります。当社が開発を進めているパイプラインを対象とした、競合企業との研究・開発、臨床試験、販売等の事業活動での競争結果により、当社の治療用アプリの上市が計画通りに進行しない場合、当社の中期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社では、知的財産権の獲得を中心とした参入障壁の構築により、競争優位性を維持していく方針としております。

 

④ 訴訟等について

当社は、本書提出日現在、提起されている訴訟はありませんが、将来、何らかの事由の発生によって訴訟等による請求を受ける可能性を完全には回避できません。こうした事態が生じた場合、当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権

当社では、研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を利用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。

一方で、当社が現在出願している特許が全て成立する保証はなく、さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える他社の優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社では、保有している知的財産の有効活用並びに新たな知的財産権の構築のために、一定規模の研究開発投資を安定的、継続的に実施していく方針としております。

また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 情報セキュリティについて

当社はシステム障害、セキュリティ侵害等を未然に防止するためにシステムの多重化をはじめとして様々な手段を講じておりますが、ウイルス、権限のないアクセス、自然災害、通信エラーあるいは電気障害などが引き起こす事故が発生する可能性を否定することはできません。システム障害、セキュリティ侵害等が発生した場合、当社が保有する臨床試験における重要な情報等が喪失又は流出する可能性があります。データの喪失あるいは機密情報の流出を招いた場合、データ復旧のために金銭的・時間的に多大な負担を余儀なくされ、特定の開発品の開発スケジュールが遅延することはもとより、損害賠償請求や当社の社会的信用の失墜、取引先企業との提携関係の解消など、当社の中期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業績・財務及び資本政策等に関するリスク

① マイナスの繰越利益剰余金の計上について

当社は、デジタル機器やIoT技術を治療に取り入れた治療用アプリの研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。治療用アプリの研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社も第2期(2017年6月期)から当事業年度(2023年6月期)については当期純損失を計上しております。

当社は、治療用アプリのシーズ獲得とパイプライン開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指していますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性があり、その場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。今後は、保有する開発パイプラインの他社への導出やマイルストン収入の獲得など、より早期に収益計上を可能とする方策についても検討していく方針であります。

 

② 剰余金の分配について

当社は、株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、当面は配当等による株主への還元は行わない方針としております。

また「① マイナスの繰越利益剰余金の計上について」に記載したとおり、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れた場合、剰余金の分配についても遅れる可能性があります。

 

③ 資金繰りについて

当社は、研究開発型企業として多額かつ長期にわたる研究開発費用の負担が続くため、継続的に営業損失を計上しており、現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。

このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。今後は、他社との共同研究開発体制の構築、保有する開発パイプラインの他社への導出、マイルストン収入の獲得など、多様な資金調達手段を確保していく方針であります。

 

④ 新株発行による資金調達について

当社は医療機器の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑤ 新株予約権の行使及び株式の追加発行等による株式価値の希薄化について

当社は、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用し、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、取締役会の承認により、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っております。今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。本書提出日現在において、これら新株予約権による潜在株式数は1,390,100株であり、発行済株式総数16,640,000株の10.5%に相当します。

また当社の取締役に対して、中長期的な企業価値の向上に対するインセンティブとして譲渡制限付株式を付与する制度を導入しており、今後も当該制度による譲渡制限付株式を付与する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合や譲渡制限付株式が発行された場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

⑥ 新型コロナウイルス感染拡大による影響について

現在、新型コロナウイルス感染拡大によるビジネス上の悪影響はなく、むしろ医療のデジタル化や治験のリモート化が議論されるきっかけとなっており治療用アプリの開発や臨床試験の効率化を目指す当社にとっては追い風となっております。

また、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、行動制限が緩和され、経済活動の回復に向けた動きが見られます。もっとも、再度感染が拡大する可能性もあり、今後の推移は依然として不透明な状態にあることから、仮に、当社の想定を超えて経済活動が長期的に停滞した場合には、当社の開発や臨床試験等の事業計画が遅延するなどの可能性があり、その結果、当社の長期的な経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、行動制限が緩和され、回復に向けた動きが見られました。また、世界経済においても多くの国で感染症による各種制限が解消され、経済活動は正常化に向かいつつあります。他方で、長引くウクライナ情勢やそれに伴うエネルギー価格の高騰、世界的な物価の上昇などが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行き不透明な状況が継続しています。

国内の医療用医薬品市場においては、ドラッグ・ラグや後発医薬品の供給不足で医薬品供給の土台が揺らぐ中、 薬価制度の抜本的見直しも議論されています。また、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの観点からは医薬品の開発に要する膨大な時間とコストが課題とされており、最先端のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)をはじめとしたデジタル技術の活用によって、新薬の研究や開発に必要となる期間やコストを圧縮することが期待されています。

こうした中、当社は「ICTの活用で“持続可能な医療”を目指す」というビジョンを掲げ、自社構築のデジタル医療プラットフォームを活用した治療用アプリ開発を行う「DTx(デジタル治療:Digital Therapeutics)プロダクト事業」、並びに汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの提供及びこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」を展開し、ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術の応用で業界に新たな価値を生み出し社会課題を解決することを目指して事業を推進しています。

DTxプロダクト事業では、医薬品に依存しない不眠障害治療の選択肢として欧米で推奨されている認知行動療法を実施する不眠障害治療用アプリを開発しております。本アプリについては、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、現在は保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。医療機器製造販売承認を取得したことを受け、塩野義製薬株式会社との間で締結した本アプリに関する販売提携契約に基づき、マイルストン4億円を受領いたしました。今後、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大41億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティの受領を予定しております。なお、本アプリに関連する特許については、成立済みの日本、米国、韓国、インドネシアに加えて欧州での特許査定を受け、さらなる知財基盤の強化を行っております。さらに、2022年11月に杏林製薬株式会社との間で耳鳴治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約を締結し、契約一時金1億円を受領しております。今後、杏林製薬株式会社からは開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大6億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。その他のパイプラインにつきましても、乳がん運動療法アプリでは検証的試験の開始に向けた準備を進めており、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリ、及び、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリではそれぞれ探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)において被験者登録を完了するなど、開発パイプラインは順調に進展しております。今後も長期的視点での収益の最大化のために、財務指標に先行する開発パイプラインの件数や、臨床試験の進捗を重要な経営指標と位置付けて事業運営を行ってまいります。

DTxプラットフォーム事業では、アキュリスファーマ株式会社において、ナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験が当社のブロックチェーン技術を活用した治験管理システム(SUSMED SourceDataSync®)を利用して開始されました。なお、ブロックチェーン技術の企業治験での活用は世界初の事例(当社調べ*)となります。また、同社では、SUSMED SourceDataSync®を利用した2例目の企業治験として閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験も開始されております。今後もブロックチェーン技術を用いた治験の実施により、新薬開発コストの適正化と治験データの信頼性向上を同時に実現することを目指してまいります。

アカデミア等との連携強化についても、当社が開発する治療用アプリやプラットフォームシステムの着実な普及のために重要な取り組みであると考えております。国立大学法人滋賀大学との間では「信頼されるAIシステムを実現するための因果探索基盤技術の確立と応用」として因果探索基盤技術に関する共同研究契約を新たに締結し、当該研究は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の2022年度戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択されております。また、公立大学法人名古屋市立大学との取組が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2022年度「革新的がん医療実用化研究事業」に、公立大学法人横浜市立大学との「若者の心の不調を改善するデジタルメディスンプログラムの開発」に関する取組及び国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターとの「全世代対応型遠隔メンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO-J)によるメンタルヘルスプラットフォームの開発・社会実装」に関する取組が、それぞれJSTの2022年度「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」として事業採択されております。これまで社内で蓄積してきた知見をベースに社外の知識も取り込んで新しい価値を創り出すべく、これからも多くの大学や研究機関との共同研究を積極的に推進してまいります。

 

こうした事業活動の結果、当事業年度における業績は、事業収益530,654千円(前事業年度比67.5%増加)営業損失48,316千円(前事業年度は229,152千円の損失)経常損失44,318千円(前事業年度は217,444千円の損失)当期純損失50,749千円(前事業年度は233,483千円の損失)となりました。

 なお、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に採択された共同研究の分担金の確定などによる「助成金等収入」3,065千円、当社役員による当社事業に関わる講演及び執筆について「講演料等収入」1,347千円を営業外収益に計上しております。

また、当社の全社資産について将来の回収可能性を検討した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ると判断し、減損損失を認識しております。減損損失の金額の内訳は工具器具備品で5,426千円となります。

 

* 医学文献情報DBであるPubMed、アメリカ国立衛生研究所の国立医学図書館によって管理される臨床試験情報DBであるClinicalTrials.gov、欧州医薬品庁の臨床試験情報DBであるEU Clinical Trials Register、その他リサーチツールに基づく当社調べ。

 

セグメント別の概況は、以下のとおりです。

(DTxプロダクト事業)

当セグメントは、治療用アプリ開発で構成されております。治療用アプリ開発では、不眠障害治療用アプリにおいて、医療機器製造販売承認を取得したことに伴い、塩野義製薬株式会社との間で締結した本アプリに関する販売提携契約に基づき、医療機器製造販売承認に関するマイルストン4億円を受領しております。また、新たな取組として製薬企業との共同開発に着手し、杏林製薬株式会社と耳鳴治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約を締結しております。その他のパイプラインにつきましても、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリ、及び、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリではそれぞれ探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)において被験者登録を完了しております。加えて、複数の医療機関と共同研究を行い、次のパイプラインの獲得を目指しております。販売段階にあるプロダクトはまだありません。

この結果、本報告セグメント事業収益は400,000千円(前事業年度は200,000千円)、セグメント利益は256,989千円(前事業年度は11,616千円となりました。

 

(DTxプラットフォーム事業)

当セグメントは、汎用臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの提供、並びにこれらシステムを活用したDTx開発の支援で構成されております。

 汎用臨床試験システムの提供に関しては、アキュリスファーマ株式会社との間で締結した治験の実施に関する契約に基づき、企業治験としては世界初(当社調べ)となるブロックチェーン技術を活用した治験が開始され、その後2例目の企業治験も同社において開始されました。また、機械学習自動分析システムの提供及びDTx開発の支援に関する活動につきましても継続利用に支えられ、収益はおおむね安定的に推移しております。

この結果、本報告セグメント事業収益は130,654千円(前事業年度は116,873千円)、セグメント利益は66,118千円(前事業年度は57,694千円のセグメント利益)となりました。

 

 

(資産)

当事業年度末における流動資産合計は、5,085,460千円となり、149,861千円増加いたしました。これは主に耳鳴治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約一時金1億円の受領及びストック・オプションの行使等により、現金及び預金が144,764千円増加したほか、前払費用が4,358千円増加したこと等によるものであります。

当事業年度末における固定資産合計は、15,664千円となり、前事業年度末に比べ7,540千円増加いたしました。これは主に無形固定資産が7,602千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債合計は、224,677千円となり、前事業年度末に比べ136,987千円増加いたしました。これは主に契約負債が121,593千円、未払金が21,848千円、未払消費税が20,625千円増加した一方、未払法人税が30,637千円減少したこと等によるものであります。

 当事業年度末における固定負債合計は、前事業年度末より増減はなく5,650千円となりました。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は4,870,797千円となり、前事業年度末に比べ20,413千円増加いたしました。これは、ストック・オプションの行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ30,951千円増加したほか、新株予約権が9,260千円増加した一方、当期純損失の計上に伴い利益剰余金が50,749千円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は95.3%(前事業年度末は98.1%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は5,048,838千円(前事業年度は4,904,074千円)となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は100,591千円(前事業年度は165,283千円の支出)となりました。これは主に、契約負債の増加121,593千円、未払金の増加21,392千円等により増加し、税引前当期純損失49,539千円、未払法人税等の減少30,637千円により減少したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は18,189千円(前事業年度は20,362千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出12,636千円及び有形固定資産の取得による支出5,553千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果増加した資金は62,362千円(前事業年度は3,463,075千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使に伴う新株式の発行による収入61,562千円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b 受注実績

当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

DTxプロダクト事業

400,000

200.0

DTxプラットフォーム事業

130,654

111.8

合計

530,654

167.5

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日

当事業年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

塩野義製薬株式会社

200,000

63.1

400,000

75.4

株式会社スズケン

43,980

13.9

株式会社コラボプレイス

18,525

5.8

76,740

14.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成において、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当事業年度の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、会計上の見積において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が、当社の業績に与える影響は軽微であると判断しております。

 

(固定資産の減損)

当社は、固定資産の減損について、事業用資産においては管理会計上の区分を基準に、本社等に関しては共用資産としてグルーピングし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フローを見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価格を回収可能価格まで減損処理をしております。

 

② 経営成績等に関する分析

(事業収益)

当事業年度の事業収益は、530,654千円(前事業年度は316,873千円)となりました。前事業年度からの増加の主な要因は、DTxプロダクト事業において塩野義製薬株式会社との不眠障害治療用アプリに関する販売提携契約に基づき、医療機器製造販売承認に関するマイルストン400,000千円が事業収益に計上されたこと等によるものです。

 

(事業費用、営業損失)

当事業年度の事業原価については7,988千円(前事業年度は10,374千円)となりました。前事業年度からの減少の主な要因は、システム提供など原価率の低い事業からの収益が増加したことなどによるものです。当事業年度の研究開発費は176,311千円(前事業年度は226,369千円)となりました。前事業年度からの減少の主な要因は、主に治験の終了等によるものです。当事業年度の販売費及び一般管理費は、394,671千円(前事業年度は309,282千円)となりました。前事業年度からの増加の主な要因は、事業規模の拡大による人件費の増加等によるものです。その結果、営業損失は48,316千円(前事業年度は229,152千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常損失)

当事業年度の営業外収益は、4,421千円(前事業年度は54,937千円)となりました。主な要因は、助成金等収入3,065千円等によるものです。また、当事業年度の営業外費用は422千円(前事業年度は43,229千円)となりました。その結果、経常損失は44,318千円(前事業年度は217,444千円)となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純損失)

当事業年度の特別利益は、634千円(前事業年度はなし)となりました。これは、新株予約権戻入益634千円によるものです。また、当事業年度の特別損失は、5,854千円(前事業年度は15,719千円)となりました。これは、固定資産の減損損失5,426千円、投資有価証券評価損406千円、及び固定資産除却損21千円を計上したことによるものです。当事業年度における法人税合計は1,210千円(前事業年度は319千円)となりました。その結果、当期純損失は50,749千円(前事業年度は233,483千円)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因に関しては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

当社の最重要課題は不眠障害治療用アプリの販売を確実に実現させることです。また、治療用アプリ開発のプラットフォームを活用し複数のパイプラインを組成し治療用アプリ開発に取り組むと同時に、汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの開発も継続して行っていきます。これらの研究開発での必要資金に関しては、自己資金にて充当する方針であります。加えて将来的には不眠障害治療用アプリの販売利益の再投資も行うことで、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針

経営者の問題意識と今後の方針に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 販売提携契約

相手方の名称

住所

契約の内容

地域

対価の受領

契約期間

塩野義製薬株式会社

大阪市中央区

不眠障害治療用アプリの販売提携契約

日本

・契約一時金

・マイルストン

・販売額に応じた

 ロイヤリティ

2021年12月27日~本アプリの販売開始日から10年が経過した日

 

 

(2) 共同研究開発及び販売に関する契約

相手方の名称

住所

契約の内容

地域

対価の受領

契約期間

杏林製薬株式会社

東京都千代田区

耳鳴治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約

日本

・契約一時金

・マイルストン

・販売額に応じた

 ロイヤリティ

2022年11月9日~本件アプリの上市日が属する事業年度から10事業年度が経過する日までの期間

 

   当社は2023年9月21日開催の取締役会において、あすか製薬株式会社との間で産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約(以下、「本契約」)を締結することを決議し、2023年9月25日付で本契約を締結いたしました。

 詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

当社は、治療用アプリ開発を行う研究開発型の企業として、経営資源を治療用アプリ及び医療業界向けのプラットフォームシステムの開発に集中しております。治療用アプリにおける開発のパイプラインについては「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。

 

当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は176,311千円で、事業費用全体の約30.5%と大きな割合を占めております。その内訳は、DTxプロダクト事業において主に治療用アプリの開発にかかる人件費として128,089千円、DTxプラットフォーム事業においてプラットフォーム機能開発にかかる人件費、外部委託費及びサーバ費用を中心として48,222千円となっております。当社としては、今後も研究開発活動を継続していく方針であり、相応の研究開発費用が発生していく見込みとなります。