当第1四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文章中の将来に関する事項は、当第1四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化に向けた動きが見られ、緩やかな回復が続きましたが、為替の変動やウクライナ情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の高騰に伴う物価上昇や海外景気の下振れリスクなどにより、先行きの不透明な状況が続いております。
国内の医療用医薬品市場においては、ドラッグ・ラグや後発医薬品の供給不足で医薬品供給の土台が揺らぐ中、 薬価制度の抜本的見直しも議論されています。また、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの観点からは医薬品の開発に要する膨大な時間とコストが課題とされており、最先端のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)をはじめとしたデジタル技術の活用によって、新薬の研究や開発に必要となる期間やコストを圧縮することが期待されています。
こうした中、当社は「ICTの活用で“持続可能な医療”を目指す」というビジョンを掲げ、自社構築のデジタル医療プラットフォームを活用した治療用アプリ開発を行う「DTx(デジタル治療:Digital Therapeutics)プロダクト事業」、並びに汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの提供及びこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」を展開し、ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術の応用で業界に新たな価値を生み出し社会課題を解決することを目指して事業を推進しています。
DTxプロダクト事業では、医薬品に依存しない不眠障害治療の選択肢として欧米で推奨されている認知行動療法を実施する不眠障害治療用アプリを開発しております。本アプリについては、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、現在は保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。今後は、塩野義製薬株式会社との間で締結した本アプリに関する販売提携契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大41億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティの受領を予定しております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリについては、特定臨床研究が開始されました。今後は、共同研究開発及び販売に関する契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大6億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。さらに、2023年9月にあすか製薬株式会社との間で産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約を締結し、契約一時金として2億円、今後の開発段階などに応じたマイルストン収入として総額最大25億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。その他のパイプラインにつきましても、乳がん運動療法アプリでは検証的試験の開始に向けた準備を進めており、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリ、及び、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリではそれぞれ探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)において被験者登録を完了するなど、開発パイプラインは順調に進展しております。今後も長期的視点での収益の最大化のために、財務指標に先行する開発パイプラインの件数や、臨床試験の進捗を重要な経営指標と位置付けて事業運営を行ってまいります。
DTxプラットフォーム事業では、当社のブロックチェーン技術を活用した治験管理システム(SUSMED SourceDataSync®)を利用し、アキュリスファーマ株式会社において、ナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験が開始されております。また、DTxプロダクト事業にて開始された耳鳴治療用アプリの特定臨床研究についても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。今後もブロックチェーン技術を用いた治験の実施により、新薬開発コストの適正化と治験データの信頼性向上を同時に実現することを目指してまいります。
アカデミア等との共同研究につきましては、当社が開発する治療用アプリやプラットフォームシステムの着実な普及のために重要な取り組みであると考えております。東北大学との間ではSUSMED SourceDataSync®を活用した静脈疾患レジストリの構築に関する基本合意書を締結しました。今後もこれまで社内で蓄積してきた知見をベースに社外の知識も取り込んで新しい価値を創り出すべく、多くの大学や研究機関との共同研究を積極的に推進してまいります。
これらの結果、当第1四半期累計期間における業績は、事業収益32,708千円(前年同四半期は31,392千円)、営業損失150,444千円(前年同四半期は91,787千円の損失)、経常損失145,014千円(前年同四半期は91,591千円の損失)、四半期純損失146,212千円(前年同四半期は92,991千円の損失)となりました。
なお、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)に採択された研究事業の精算金額確定などによる「助成金等収入」5,163千円を営業外収益に計上しております。
(DTxプロダクト事業)
当セグメントは、治療用アプリ開発で構成されております。治療用アプリ開発では、不眠障害治療用アプリにおいて、保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。また、杏林製薬株式会社と共同研究開発を行っている耳鳴治療用アプリについて、特定臨床研究を開始いたしました。その他のパイプラインにつきましても、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリ、及び、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリではそれぞれ探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)において被験者登録を完了しております。加えて、複数の医療機関と共同研究を行い、次のパイプラインの獲得を目指しております。販売段階にあるプロダクトはまだありません。
この結果、本報告セグメントの当第1四半期累計期間の事業収益の計上はなく(前年同四半期もなし)、セグメント損失は37,322千円(前年同四半期は19,858千円の損失)となりました。
(DTxプラットフォーム事業)
当セグメントは、汎用臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの提供、並びにこれらシステムを活用したDTx開発の支援で構成されております。汎用臨床試験システムの提供に関しては、アキュリスファーマ株式会社との間で締結した、治験実施に関する契約に基づき、企業治験としては世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験の実施を進めております。さらに、耳鳴治療用アプリの特定臨床研究においても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。機械学習自動分析システムの提供及びDTx開発の支援に関する活動につきましては、前期からの継続利用に支えられ、収益は安定的に推移しております。
この結果、本報告セグメントの当第1四半期累計期間の事業収益は32,708千円(前年同四半期は31,392千円)、セグメント損失は4,518千円(前年同四半期は22,324千円の利益)となりました。
(資産)
当第1四半期会計期間末における資産合計は、4,942,580千円となり、前事業年度末に比べ158,544千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が158,562千円及び前払費用が2,996千円減少、未収消費税等が2,204千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末における流動負債合計は、198,646千円となり、前事業年度末に比べ26,030千円減少いたしました。これは主に未払金が9,042千円増加した一方、未払消費税等が27,759千円、契約負債が4,135千円減少したこと等によるものであります。
当第1四半期会計期間末における固定負債合計は、5,650千円となり、前事業年度末からの変動はありませんでした。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産合計は4,738,283千円となり、前事業年度末に比べ132,513千円減少いたしました。これはストック・オプションの行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ5,637千円増加したほか、新株予約権が2,423千円増加した一方、四半期純損失の計上に伴い利益剰余金が146,212千円減少したことによるものであります。
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当第1四半期累計期間において発生した当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当第1四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は、58,311千円であります。なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 共同研究開発及び販売に関する契約