当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文章中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、治療用アプリ開発を行う「DTx(デジタル治療:Digital Therapeutics)プロダクト事業」、並びに汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの提供及びこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」の2つの事業を展開し、ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術の応用で業界に新たな価値を生み出し社会課題を解決することを目指して事業を推進しています。
DTxプロダクト事業では、医薬品に依存しない不眠障害治療の選択肢として欧米で推奨されている認知行動療法を実施する不眠障害治療用アプリを開発しております。本アプリについては、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、保険収載の手続きを進めておりましたが、令和6年度診療報酬改定において保険医療材料制度の見直しが行われたことから、2024年8月に製造販売承認事項一部変更承認を申請し、保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。今後は、塩野義製薬株式会社との間で締結した本アプリに関する販売提携契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大41億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティの受領を予定しております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を実施しております。今後は、共同研究開発及び販売に関する契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大5億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。さらに、あすか製薬株式会社と共同開発を行っている月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により本アプリの使用が開始されたことによりマイルストンを達成いたしました。これにより、当社はあすか製薬株式会社との間で締結した産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約で定められた開発マイルストン収入1億円を受領する予定です。今後は開発段階などに応じたマイルストン収入として総額最大24億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。その他のパイプラインにつきましても、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリでは、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、次の試験に向けて準備を進めております。本アプリについては、東京慈恵会医科大学と産学連携講座を開設し、社会実装を目指していくこととしています。また、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリでも、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、次の試験に向けて準備を進めております。さらに、持続性知覚性姿勢誘発めまいに対して国立大学法人 新潟大学と共同開発を行っている治療用アプリに関して臨床研究において被験者登録を開始するなど、開発は順調に進捗しております。今後も長期的視点での収益の最大化のために、財務指標に先行する開発パイプラインの件数や、臨床試験の進捗を重要な経営指標と位置付けて事業運営を行ってまいります。
DTxプラットフォーム事業では、当社のブロックチェーン技術を活用した治験管理システム(SUSMED SourceDataSync®)を利用し、アキュリスファーマ株式会社において、ナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験が実施されております。また、杏林製薬株式会社との共同開発において開始された耳鳴治療用アプリの特定臨床研究についても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。さらに、国立大学法人東北大学と進めていたSUSMED SourceDataSync®の活用による統合型静脈疾患レジストリシステムの構築が完了し、企業への提供を開始しました。 本レジストリシステムを医療機器の使用成績調査で利活用することにより、効率的に医療機器の使用成績の評価や適正使用の推進が可能となり、医療現場での作業負荷が大幅に軽減することが期待されます。加えて、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターが実施する筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群を対象とした医師主導治験においても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。また、あすか製薬株式会社との共同開発において開始された月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリの特定臨床研究についても、SUSMED SourceDataSync®を活用する予定です。今後も医療分野においてブロックチェーン技術を活用することで、医療データの信頼性向上及び臨床開発コストの適正化の実現を目指してまいります。
アカデミアとの取り組みにつきましては、今後もアンメットニーズや医療の持続可能性に寄与する研究開発活動を引き続き強化してまいります。
これらの結果、当中間会計期間における業績は、事業収益73,709千円(前年同期は265,190千円)、営業損失308,163千円(前年同期は97,599千円の損失)、経常損失309,842千円(前年同期は90,767千円の損失)、中間純損失313,158千円(前年同期は91,397千円の損失)となりました。
なお、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)に採択された研究事業の精算金額確定などによる「助成金等収入」5,089千円を営業外収益に計上しております。
また、譲渡制限付株式報酬の割当対象者が、本譲渡制限期間が満了する前に当社の取締役を退任したことに伴い、譲渡制限付株式割当契約書に基づき割当てた当社普通株式の全てを、当社が無償取得したことにより「譲渡制限付株式報酬償却損」6,595千円を営業外費用に計上しております。
報告セグメント別の実績は、以下のとおりです。
(DTxプロダクト事業)
当セグメントは、治療用アプリ開発で構成されております。治療用アプリ開発では、不眠障害治療用アプリにおいて、保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を実施しております。さらに、あすか製薬株式会社と共同開発を行っている月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により本アプリの使用が開始されたことによるマイルストン1億円を受領する予定です。当該マイルストンについては、本契約締結時に受領し契約負債に計上しておりました契約一時金2億円と併せて収益計上する予定です。その他のパイプラインにつきましても、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリ、及び慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリではそれぞれ探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、次の試験に向けて準備を進めております。また、国立大学法人 新潟大学と共同開発を行っている持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する治療用アプリにおいては、臨床研究における被験者登録を開始しております。販売段階にあるプロダクトはまだありません。
この結果、本報告セグメントの当中間会計期間の事業収益の計上はなく(前年同期は200,000千円)、セグメント損失は82,199千円(前年同期は118,512千円の利益)となりました。
(DTxプラットフォーム事業)
当セグメントは、汎用臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの提供、並びにこれらシステムを活用したDTx開発の支援で構成されております。汎用臨床試験システムの提供に関しては、アキュリスファーマ株式会社との間で締結した、治験実施に関する契約に基づき、企業治験としては世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験を実施しております。また、国立大学法人 東北大学との間ではSUSMED SourceDataSync®を用いた統合型静脈疾患レジストリシステムを構築し、医療機器の使用成績調査で活用されております。その他、SUSMED SourceDataSync®を活用した臨床試験の実施に関する提案活動を積極的に展開しております。機械学習自動分析システムの提供に関する活動につきましては、継続利用に支えられ、収益は安定的に推移しております。
この結果、本報告セグメントの当中間会計期間の事業収益は73,709千円(前年同期は65,190千円)、セグメント利益は3,933千円(前年同期は6,244千円の損失)となりました。
(資産)
当中間会計期間末における流動資産合計は、4,632,692千円となり、前事業年度末に比べ265,721千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が289,712千円減少した一方、前払費用が17,049千円、売掛金及び契約資産が9,254千円増加したこと等によるものであります。
当中間会計期間末における固定資産合計は、51,188千円となり、前事業年度末に比べ17,516千円増加いたしました。これは主に無形固定資産が8,138千円、投資その他の資産が9,378千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債合計は、339,534千円となり、前事業年度末に比べ18,135千円増加いたしました。これは主に契約負債が14,510千円増加したこと等によるものであります。
当中間会計期間末における固定負債合計は、6,390千円となり、前事業年度末からの変動はありませんでした。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は4,337,956千円となり、前事業年度末に比べ266,340千円減少いたしました。これは主に譲渡制限付株式報酬としての新株発行等により、資本金が16,240千円、資本剰余金が16,187千円、新株予約権が14,410千円増加した一方、中間純損失の計上に伴い利益剰余金が313,158千円減少したことによるものであります。
当中間会計期間における現金及び現金同等物の残高は4,557,208千円(前中間会計期間は5,081,649千円)となりました。当中間会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は275,242千円(前中間会計期間は21,447千円の増加)となりました。この主な減少要因としては、税引前中間純損失312,553千円、前払費用の増加9,524千円、売上債権及び契約資産の増加9,254千円等、主な増加要因としては、株式報酬費用23,983千円、契約負債の増加14,510千円、その他9,849千円等があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は14,092千円(前中間会計期間は3,697千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出12,432千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は378千円(前中間会計期間は15,061千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による支出357千円等によるものであります。
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間会計期間において、当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間会計期間における当社の研究開発費の総額は、135,661千円であります。なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。