第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループのミッション(使命)は「医療という希望を創る。」です。このミッションに基づき、当社グループは、患者に向けては「患者視点の医療をひとりでも多くの方へ提供できる環境を創る。」、医療機関に向けては「地域に求められ、働きがいのある職場環境を創る。」、そして社会に向けては「医療課題の解決によって健全で持続可能な社会を創る。」ことを目指して様々なサービスを展開しています。

 社名のシーユーシー(CUC)は、「変わるまで、変える(Change Until Change)」の頭文字から生まれました。変化を恐れず医療課題に挑戦する私たちの存在意義を表現しており、新しい挑戦に向かい続けるという強い意志を込めています。

 

(2)経営戦略

 医療機関支援セグメントでは、訪問診療クリニック、病院、透析クリニック、眼科クリニック、小児科クリニック等を運営する医療機関向けに経営支援サービス(経営戦略策定・経営管理支援、マーケティング支援、人材派遣、IT・経理・総務等支援、人事・採用機能支援等に加えて、新規クリニック開設支援、病床転換支援、M&A・PMI支援等のプロジェクト受注)を拡大するとともに、支援先医療機関数の増大を目指しています。更に、高齢化先進国である日本の医療機関に対する経営支援サービスのノウハウを海外にも展開すべく、現在展開しているベトナム及びインドネシアでの事業の更なる拡大を目指しています。直近では、上記の既存サービスに加え、経営支援サービスを提供する医療機関と連携し、地方自治体や企業向けの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスを展開しています。

 訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業では、利用者に提供するサービスの質を最重要視した上で、既存の訪問看護ステーションの利用者拡大に加えて、新規エリアへの訪問看護ステーションの新規開設を行い、居宅の利用者向けに訪問看護を提供していきます。また、同セグメントの在宅ホスピス事業では、同様に在宅ホスピス施設の入居者に提供するサービスの質を最重要視した上で、既存の在宅ホスピス施設の入居者増加に加え、看取り機能が脆弱な地域を中心に在宅ホスピス施設の新規展開を加速し、より多くの医療依存度の高い(がん末期、神経難病等を患う。)入居者向けに訪問看護及び訪問介護を提供していきます。直近では、上記の既存サービスに加え、新規サービスとして在宅治験(注1)や健康観察支援サービス(注2)も提供しており、新型コロナウイルス感染症により大きな変革が迫られた我が国の医療提供体制に貢献しました。

 今後も医療機関支援セグメントの顧客である支援先医療機関と、当社グループの訪問看護セグメントが連携することにより、各支援先医療機関の病院やクリニック等並びに訪問看護ステーション及び在宅ホスピス施設が位置する地域の地域包括ケアシステムが効率的に運営されるプラットフォームが構築されるよう事業を行っていきます。

(注)1.従来は定期的な通院や長時間の時間的拘束が必要であった治験被験者の負担を、訪問看護やオンライン診療を活用することにより軽減する取り組みである在宅治験において、当社グループが訪問看護サービスを提供。

2.新型コロナウイルス感染症患者の急増により医療機関や保健所機能がひっ迫する中で、自治体からの委託を受けて当社グループが自宅療養者への医療相談窓口や架電による健康観察等のサービスを提供。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業規模と収益性を測る指標として、売上収益、営業利益及びEBITDA(注)を重視しています。なお、これらの指標の着実な拡大を維持しながらも、中長期的な企業価値向上のため、新規事業の展開を継続することを企図しています。また、医療機関支援セグメントでは支援先医療機関が運営する病院及びクリニック等の主要拠点数を、訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業では利用者に提供したのべ総ケア時間(看護師及びセラピストが利用者にサービスを提供した時間の合計)を、在宅ホスピス事業では在宅ホスピス施設の定員数(訪問看護等サービスを提供可能な施設の定員数)及び稼働率(毎期の提供可能定員数に対するのべ入居者数の割合)をそれぞれ経営成績に影響を与える主要な経営指標として認識しています。

 また、財務の安定性を判断する指標としては、EBITDA有利子負債倍率及び親会社所有者帰属持分比率を用い、安定的かつ持続的に企業価値を拡大していくことを目指しています。

(注)EBITDAの計算式は次のとおりです。

EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用

 

(4)経営環境

 当社グループが主にサービスを提供する日本では、全人口に占める65歳以上人口の割合が2021年には約29%のところ2040年には約35%となり(注1)、急速な高齢化による医療費の増大が見込まれ、医療費は2019年の約44兆円から2040年には約78兆円まで拡大すると予想されています(注2)。そのような環境下で、超高齢社会に備えた医療機関の機能転換(急性期医療から回復期医療への転換)が求められ、厚生労働省も病院医療よりも医療費を大幅に抑えられる在宅医療の拡大を推進しており、訪問診療利用者数は2011年の44.9万人から2019年には79.5万人に増加しています(注3)。一方で、日本の労働人口は2017年の約67.2百万人から2040年には10%以上減少して約58.5百万人となると推計されており(注4)、需要の高まる医療サービス提供のための医療従事者の確保が危ぶまれています。

 また、2020年時点で日本における病院の68.5%が60歳以上の経営者により運営されており(注5)、2017年時点で後継者不在の病院が68.4%(注6)であるため、M&A等により後継者不在の医療機関を、安定的に運営できる医療機関に承継する流れが進むことが予想されます。

 当社が海外でサービスを提供するベトナム及びインドネシアでは、2020年時点で国民一人あたり医療費がそれぞれ166ドル、133ドル(注7)であり、双方とも2000年と比較すると8倍以上となっており、今後もより多くの人が良質な医療にアクセスできる環境を整備することが求められるものと当社は考えています。

 我が国における訪問看護利用者数は2011年時点の38.5万人から2019年の83.5万人へと、年平均で約10.1%増加しており(注8)、また、我が国におけるがん・難病患者数は569万人とされています(注9)。一方で、居宅訪問看護業界においては24時間365日体制で安定的な運営が可能な大規模事業所のニーズが高まっている中で、従業員5人未満の小規模訪問看護ステーションが42.7%を占め(注10)、十分なサービス供給がされている状況ではないと考えています。なお、在宅ホスピス業界においては、2030年時点の看取り難民推計数は約47万人(注11)であるのに対して、上場会社である在宅ホスピス事業者3社に当社グループを加えた4社の2023年3月末時点における在宅ホスピス定員数は約7,000名(注12)であり、需要に供給が追い付いていない状況であると当社は考えています。

(注)1.「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)。

2.「国民医療費の概況」(厚生労働省)、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」(内閣府、財務省、厚生労働省)。

3.「在宅医療の現状について」(厚生労働省、2022年3月9日)。在宅患者訪問診療料を月1回以上算定されていた患者の数。

4.「令和3年版厚生労働白書 資料編」(厚生労働省)。

5.「令和2年医師、歯科医師、薬剤師統計の概況」(厚生労働省、2020年3月17日)。

6.「医業承継の現状と課題」(日本医師会総合政策研究機構、2019年1月8日)。

7.Global Health Expenditure Database (World Health Organization.)。

8.「在宅医療の現状について」(厚生労働省 2022年3月9日)。医療保険と介護保険の合計数。

9.がん患者数466万人「令和2年患者調査(確定数)の概況」(厚生労働省)と指定難病患者数103万人「令和2年度衛生行政報告例」(厚生労働省)の合計。

10.「訪問看護のサービス提供の在り方に関する調査研究事業(結果概要)(案)」(厚生労働省、2018年3月5日)。

11.「今後の看取りの場所」(厚生労働省)。今後の看取りの場所が「その他」である人数。

12.当社グループ、株式会社アンビスホールディングス及び株式会社サンウェルズについては定員数、日本ホスピスホールディングス株式会社については部屋数を参照。株式会社サンウェルズはPDハウス及び医療特化型住宅の合計を参照。

 

(5)当社グループの強み

 当社グループは2014年の会社設立以来、高い成長性を維持しながら規模を拡大してきました。訪問診療クリニックの経営支援を起点として、病院や透析クリニック、外来クリニック等を運営する医療機関の経営支援、居宅訪問看護事業、在宅ホスピス事業、海外における医療機関への経営支援等の幅広い領域において事業を展開しています。また、特に2022年3月期においては、新規サービスとして新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験(直近では新型コロナウイルス感染症治療薬の在宅治験が売上収益の大半を占める)、健康観察支援サービス(新型コロナウイルス感染症の自宅療養者向け見守りサービスとして開始)等を既存サービスのプラットフォームを活用し、スピード感を持って取り組んできました。

 

 当社グループの強みは以下のとおりです。

 

① 既存の支援先医療機関の規模拡大及び新規の支援先医療機関の獲得を通じて安定成長を続ける医療機関支援事業

 当社は、経営人材が支援先医療機関に常駐することで、意思決定や戦略策定のサポートを現場の視点から行います。これにより顧客との継続的な関係を構築し高いリテンション率を維持しています。また、これまで培った医療機関の運営効率化ノウハウを生かし、支援先医療機関の安定的な事業運営に寄与しています。このようにして、規模拡大及び安定運営を実現した既存の支援先医療機関は、更なる規模の拡大のためにM&Aや新規クリニックの開設等を視野に入れ、当社が追加の経営支援を行う機会(新規の支援先医療機関の獲得)を得ることが可能になるという好循環が生まれています。

 これらの取り組みの結果、当社の支援先医療機関が運営する主要拠点数(注)は継続的に拡大しており、支援先主要拠点数(期中平均)の2019年3月期から2023年3月期の年平均成長率は30.9%となっています。

(注)病院、介護老人保健施設、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニックの合計数。

 

② 巨大な市場を背景に成長する訪問看護セグメント

 我が国における訪問看護利用者数は2011年時点の38.5万人から2019年の83.5万人に増加し、年平均で約10.1%成長しています(注1)。また、2020年度末の我が国におけるがん・難病患者数は569万人とされており(注2)、日本における急速な高齢化を背景に在宅医療市場は今後も継続的に拡大すると当社は考えています。当社の訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業の利用者数、及び在宅ホスピス事業でサービスを提供する定員数はいずれも大規模であり、高い成長が期待される市場において優位な地位を確立しています。居宅訪問看護事業の訪問看護ステーション数は、2023年3月末で86拠点であり、今後も積極的な新規拠点展開を予定しています。なお、居宅訪問看護事業は2023年3月末時点で看護師582名、セラピスト451名を擁しており(注3)、2023年3月に訪問実績がある居宅訪問看護事業の利用者数は12,704名、のべ総ケア時間数は2023年3月期において年間約954,000時間(注4)となっています。また、在宅ホスピス事業において、当社が訪問看護サービスを提供する在宅ホスピス施設の定員数は2023年3月末時点で1,358名であり、2023年3月期における既存の在宅ホスピス施設の年間平均稼働率は78.3%です(注5)。在宅ホスピス事業は、2023年3月末時点で看護師353名、介護士423名を擁し、訪問看護及び訪問介護サービスを提供しています。

 また、今後も集客効率化、採用力強化、拠点の相互補完等のシナジーを発揮し、高水準の安定稼働を確保するというドミナント戦略のもと、居宅訪問看護事業における訪問看護ステーションは半径2~5km圏内、在宅ホスピス事業における在宅ホスピス施設は半径10~15km圏内に複数拠点を出店することにより、展開を加速していきます。

(注)1.「在宅医療の現状について」(厚生労働省 2022年3月9日)。医療保険と介護保険の合計数。

2.がん患者数466万人「令和2年患者調査(確定数)の概況」(厚生労働省)と指定難病患者数103万人「令和2年度衛生行政報告例」(厚生労働省)の合計。

3.セラピストは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の総称。

4.看護師及びセラピストが利用者にサービスを提供した時間の合計。

5.2023年3月期における既存ホスピス(2023年3月末時点で開設以降12ヶ月超経過又はM&Aによる新規取得)ののべ提供可能定員数に対する、のべ入居者の割合。

 

③ 機動的且つ急速に事業を立ち上げる能力

 当社グループは「医療という希望を創る。」というミッションを中心に、「理念の求心力、社会の歪みを捉える力、迅速な意思決定力、やり切る力」という4つの力と、当社グループの事業プラットフォームを活用することにより、短期間で様々な新規サービスを生み出してきました。以下に記載の具体例のとおり、医療業界に蔓延する不・負の解消に対し志を持つ従業員により、社会のニーズを踏まえた新規サービスの計画が提案され、当社グループとして実行に向けた迅速な意思決定を行うことにより、社外関係者と密に連携をすることで当該新規サービスを実現してきています。

 

 例えば、医療機関支援事業で開始した新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスでは、ワクチン大規模接種会場の運営支援や、医療従事者(医師や看護師等)の採用支援等のサービスを行ってきました。当該サービスはその開始検討から約2か月という短期間でサービスの受注及び実行を開始しており、我が国のワクチン接種率の加速度的上昇に部分的ではあるものの貢献したと考えています。2023年3月末時点まで(累計)に当社がサービスを提供した会場におけるワクチン接種支援契約枠数は約388万回、支援先自治体数は22、支援先企業数は25社、ワクチン接種会場における医療従事者の採用支援数はのべ8,200名以上(注)となっています。

(注)データの集計期間は2021年6月から2023年3月まで。採用支援した医療従事者については、正規雇用以外も含むのべ人数。

 新規サービスである新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスは、短期間での事業化に成功した後、売上収益は2022年3月期で10,676百万円、2023年3月期で8,134百万円を計上しています。

 また、当社グループの居宅訪問看護事業で開始した新規サービスである在宅治験では、これまで我が国で普及が遅れていた在宅治験という仕組みにおいて訪問看護のサービスを提供することにより、従来は定期的な通院や長時間の時間的拘束が必要であった治験被験者の負担を軽減することが可能となりました。また、同事業で同じく開始した新規サービスである健康観察支援サービスは、新型コロナウイルス感染症患者の急増により医療機関や保健所機能がひっ迫する中で、自治体からの委託を受けて自宅療養者への医療相談窓口や架電による健康観察等のサービスを提供し、多くの自宅療養者の方に重症化が認められた際の訪問看護やオンライン診療の手配、配薬の仕組みづくりなどを行いました。

 在宅治験及び健康観察支援サービスも、短期間での事業化に成功した上で、売上収益は2022年3月期で4,307百万円、2023年3月期で2,653百万円を計上しています。

 今後も世の中に発生する医療課題を的確に捉え、迅速に意思決定を行い、徹底的に実行することにより、新規サービスを生み出して当社グループのミッション達成に近づけるように努力していきます。

 

④ 包括的なソリューションを提供する独自のアプローチ

 当社グループは医療機関支援セグメント、訪問看護セグメントに亘って医療・介護領域の様々な事業を展開しています。特に支援先医療機関が運営する病院や訪問診療クリニック、透析クリニック及び外来クリニック等と当社グループが運営する訪問看護ステーションや在宅ホスピスとの間でネットワークを強化することにより、医療機関支援から居宅訪問看護、在宅ホスピスまで垂直統合されたプラットフォームを構築し、患者、医療従事者及び社会に対して大きな価値提供ができると考えています。具体的には医療機関支援セグメント、訪問看護セグメントの双方で高度急性期病院に対する接点を持つことにより、KOL(Key Opinion Leader:医療業界において多方面に大きな影響力を持つ人物の意)である医師や、それらの病院に入院する患者へのアクセスを持つことが可能になります。また、当社グループから支援先医療機関に患者を紹介するケースや、逆に当社グループが紹介されるケースがあります。

 当社グループ内では、居宅訪問看護事業と在宅ホスピス事業の間での従業員の行き来もあり、従業員に多様なキャリア機会を提供することができています。

 支援先医療機関の運営する拠点が多く存在する地域では、当社グループの訪問看護ステーションや在宅ホスピス施設を、これら支援先医療機関が運営する拠点の周辺に出店することにより、それらを密に連携させる取り組みも始めています。

 また、当社グループが支援先医療機関と連携し、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験及び健康観察支援サービス等の新規サービスを創出できています。

 そして、医療機関支援事業により創出したキャッシュ・フローを在宅ホスピス事業の設備投資に充当することが可能です。

 

⑤ 独自の雇用モデルに基づく強力な採用力

 当社グループが事業を展開する医療・介護業界において、事業の根幹となるのは優秀な人材の確保と育成であると考えています。医療機関支援事業に携わる従業員、居宅訪問看護事業及び在宅ホスピス事業に携わる看護師、介護士、セラピスト等の専門職の採用力やリテンション力を高めるために、差別化されたプラットフォームを構築することに成功しています。具体的には当社グループの「医療という希望を創る。」というミッションを実現するために従業員が達成感ややりがいを実感することができるよう、平等かつ協力的な社風を醸成するように努めています。また、継続的かつ充実した教育制度や柔軟な労働体系を設けることにより、スキルを向上させつつ長期間勤務できるような制度を整備しています。その結果として2022年4月から2023年3月までにおいて、居宅訪問看護事業では302名の看護師・セラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の採用(注1)を行いつつ、2022年度の離職率は14.7%(注2)と、2021年度の神奈川県の離職率17.8%(注3)と比較しても低い水準に抑えています。また、在宅ホスピス事業では2022年4月から2023年3月まで405名の看護師・介護士の採用(注1)を行っています。医療機関支援事業において上述のような採用や企業風土醸成のノウハウを活用することにより、当連結会計年度における支援先医療機関に対する医師及びコメディカル(注4)採用支援業務の結果として、2022年4月から2023年3月までに支援先医療機関の医師343名、コメディカル689名の採用に貢献しています。

(注)1.非正規社員を含む。

2.2023年3月期における期中平均従業員数のうち、同期間中の退職者数の割合で算出。

3.「令和3(2021)年度看護職員就業実態調査結果(訪問看護ステーション)」(神奈川県)。当社グループが主に展開している関東地方における入手可能な最新のデータを使用。

4.医師を除く医療従事者(看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、管理栄養士等)。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記(2)に記載の経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

 

① 人材の確保、育成及び管理

 当社グループが事業の規模、範囲を安定的かつ持続的に拡大するためには、それに見合った人材を確保、育成する必要があります。医療機関支援事業の従業員、居宅訪問看護事業及び在宅ホスピス事業の看護師、介護士、セラピスト等の専門職、管理部門の経営企画・経営管理・経理・人事・IT等の要員の確保と育成が必要です。

 採用力強化については、採用担当者の増強や、リファーラル制度の設置、インターン制度やイベント開催等、新規卒業者への各種施策を実施しています。リテンション率向上のためには、当社グループの経営理念と接続した研修・育成制度、評価・表彰制度を敷く等、各種制度により従業員満足度の向上に努めています。

 

② 従業員の専門性向上

 当社の医療機関支援セグメントでは専門的な経営支援サービスを提供することにより支援先医療機関の規模拡大及び安定運営を実現しています。質の高いサービスを提供するためには、当社従業員の専門性向上が必要不可欠です。優秀な人材を数多く確保するために、医療業界での経験の有無を問わずに能力の高い人材を採用した上で、専門性向上のための教育を継続的に行っています。

 また、訪問看護セグメントにおいては、顧客に提供するサービスの質を最重要視して事業運営をしているため、看護師、介護士、セラピスト等の専門性向上には特に力を入れて取り組んでいます。一例として居宅訪問看護事業においては、入社時研修、役職別研修、管理者候補塾等、様々なプログラムを設けており、医療スキルを上げる研修のみならず、ホスピタリティや経営理念を学ぶ研修も行っています。

 

③ 拠点展開スピード

 訪問看護セグメントでは、知名度の向上と顧客獲得を実現し、必要とされている地域にいち早く当社グループのサービスを届けるために、拠点展開のスピードが求められています。早期の拠点展開を行うためには展開拠点の選定と開発、事業所の確保もしくは建設、拠点スタッフの採用、顧客獲得等を同時に行う必要があります。

 そのために拠点展開の開発を行う人員強化や採用チーム等のバックオフィス機能強化等に努めています。

 

④ 内部管理体制の強化

 当社グループが事業を継続し、ミッションを実現するためには、コンプライアンスを重視した経営を行う必要があると認識しています。そのためにも、事業の拡大に備えた管理部門の強化やリスク・コンプライアンス規程を始めとした各種規程の整備による内部統制の体制構築とその運用モニタリングを行っています。

 

⑤ 財務健全性の確保

 在宅ホスピス施設の建設にあたり資金調達が必要になるため、外部調達の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態又はキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。EBITDA有利子負債倍率及び親会社所有者帰属持分比率等といった財務の安定性を測る指標のモニタリング、また、金利動向の定期的な把握を通じた金利変動リスクの定量化を行うことで、財務健全性の確保に努めています。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)当社が目指すサステナビリティ経営

 当社グループは、「医療という希望を創る。」をミッションとして掲げ、患者・医療従事者・社会の不と負を解消し、希望を創り出す事業を目指しています。

 患者様に寄り添った医療を追求し、ひとりでも多くの方がこころから安心して暮らせる社会を創ること、そして、その社会を持続可能なかたちで子どもたちが生きる未来に繋いでいくことを使命としています。

 

①マテリアリティ(重要項目)

 当社はミッションである「医療という希望を創る。」をサステナブルな形で達成するために、SASBスタンダード(注1)、GRIスタンダード(注2)等の各種報告基準を参考に、社内取締役、執行役員、幹部社員が社会・ステークホルダーにとっての重要度と当社にとっての重要度を複合的に議論することにより、経営理念を実現するために必要な以下の5つのマテリアリティを特定しました。また、各マテリアリティに対して専任の担当取締役又は執行役員を任命し、長期的な価値の創造に向けて、これらのマテリアリティへの取り組みを推進しています。

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(注)1.SASBスタンダード:サステナビリティ会計基準審議会(SASB:Sustainability Accounting Standards Board)が2018年に公開した非財務情報公開の標準化に向けた基準。

2.GRIスタンダード:GRI(Global Reporting Initiative)により定められた国際基準。組織が経済、環境、社会に与えるインパクトを一般に報告する際に用いられる。

 

②SDGsアクション

 「医療という希望」は、患者様の希望、医療従事者の希望、社会の希望、という3つの希望を創ることにより実現します。3つの希望を創る私たちの活動は「持続可能な開発目標(SDGs)」(注)を実現する道と同義であると捉えています。

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(注)持続可能な開発目標(SDGs):2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能な開発のための2030アジェンダで掲げられる国際目標。

 

(2)ガバナンス体制

 当社は、グループの長期的な成長を支えるサステナビリティを重視しており、その達成のためにグループ主要各社横断でサステナビリティプロジェクトという取り組みを実施しており、当社代表取締役がプロジェクトオーナーを、当社執行役員がプロジェクトリーダーを務めています。サステナビリティプロジェクトでの協議事項やマテリアリティ毎の取組状況について取締役会に適宜報告することにより、取締役会が当社グループのサステナビリティ経営に関して監視の機能を持つことになります。

 

(3)リスク管理

 当社グループのマテリアリティを選定する過程においては、当社の常勤社内取締役、執行役員、幹部社員による複数回の検討会議を開催しました。会議の場では2030年までの政治経済、人口動態、環境、社会情勢、テクノロジー等の分野におけるメガトレンド、それらメガトレンドを踏まえた当社グループ及び当社グループのステークホルダーにとっての機会とリスクについて議論を行い、当社グループのマテリアリティを導き出しています。当社グループでは各マテリアリティの担当取締役又は執行役員が、各マテリアリティに紐づくリスクについて責任をもってグループ各社における対応方針を検討し、グループ各社、各部門が中心となって対応を進めています。また、当社グループではリスク・コンプライアンス委員会にて、リスクの適切な管理及びコンプライアンスの遵守やその体制整備のための意思決定を行っています。

 

(4)人的資本経営に関する取組

 当社グループのミッションである「医療という希望を創る。」の達成に向けて、最も重要なアセットは人材です。

経営理念に共感する優秀な人材が集い、お互いの働きかけによって能力を高め合い、行動指針(CUC Partners Way)に基づき活躍し続ける状態に導くために、各種の人事施策に取り組んでいます。

 

①ガバナンス

 当社グループの主要な人材戦略については、主要グループ各社の役員、部長及び人事部門のリーダーらが参加する「理念実現会議」、当社の代表取締役、業務執行取締役、執行役員が参加する「グループ情報共有会」等の会議体で討議された上で、当社の経営会議又は取締役会にて意思決定しています。

 また、当社の人事部門が主管する階層別の人材開発委員会、毎月実施している従業員サーベイ、個別のキャリア面談等を通じて社員情報を整理し、当社の代表取締役・人事管掌執行役員・人事部長が参加する隔週の定例会にて課題確認及び論点整理をした上で、各種の人事施策の検討につなげています。

 

②戦略

 当社グループにおける主な人事施策は、以下のとおりです。

(ⅰ)行動指針「CUC Partners Way」の設定と浸透の徹底

 当社グループではミッションである「医療という希望を創る。」を達成するために、行動指針である「CUC Partners Way」を設定しています。具体的には1.「自分の立場」ではなく「患者様の気持ち」で考える、2.「できない理由」ではなく「できる方法」を探して実行する、3.「既成概念」にとらわれず「理想」を追求する、4.「専門性」の前に「人間性」を重視する、5.「上下」ではなく「ひとつのチーム」として手を重ねる、の5つです。

 これらの行動指針を当社グループに浸透させるために、行動指針の採用基準への導入、入社時研修や入社3か月後、1年後研修における行動指針の教育、半年毎の社内取締役・執行役員・幹部社員・管理職に対する行動指針実践度の匿名フィードバック等の施策を実施しています。それらの取り組みの成果として、毎月当社社員を対象に計測している社員サーベイ(2023年3月実施分の回答率:93%)で確認できる行動指針の認知率は95%以上(注1)、共感率は70%以上(注2)となっています。

(注)1.行動指針について「5.実践している」、「4.共感している」、「3.理解している」、「2.認知している」、「1.内容を知らない」の選択肢のうち、5、4、3、2を選んだ比率。

2.行動指針について「5.実践している」、「4.共感している」、「3.理解している」、「2.認知している」、「1.内容を知らない」の選択肢のうち、5、4を選んだ比率。

 

(ⅱ)医療現場の働き方改革から生まれる、多様で柔軟な職場環境

 当社グループでは、看護師やセラピスト、介護職といった医療現場の最前線で働く医療従事者のスタッフが数多く在籍しています。少子高齢化により医療従事者の役割が増えているにも関わらず、医療現場の人材不足は深刻化しています。

 

 当社グループが目指すのは、患者や利用者の一番近くで働く医療従事者が、働きがいを持って医療現場に立ち続けられることです。そのために、当社グループは労働環境の整備やキャリア支援等、働き方改革を進めています。医療現場に多くの笑顔を増やすことで、患者や利用者へより良い医療を届けていきます。

 一例として、当社子会社であるソフィアメディ株式会社では働き方改革「ソフィアメディWOW!(Work for Our Wonderful life!)」と銘打ち、1時間単位の有給休暇、時短勤務制度拡充、ベビーシッター料金補助、LGBTQの結婚・育児・就労支援等の制度を設定し、異なるライフステージに移行した医療従事者が仕事を継続しやすい環境を整備しています。

 

当社グループにおける医療従事者数(注)

・看護師   935人

・セラピスト   451人

・介護職   423人

(注)2023年3月期における臨時従業員を除く人数。

 

(ⅲ)グループ内公募制度「Dream」による幅広いキャリアの選択肢の提供

 「Dream」は半年に一度行われている当社グループの各社・各事業部への異動を可能とするグループ内公募制度です。人材を求める部署やプロジェクトの募集に対して、上長の許可を問わずに面談を経て希望の会社・事業部へと異動を叶えることができます。社員一人ひとりの「挑戦したい」という気持ちを汲み、新たな挑戦を後押しする機会を提供しています。毎回多くの異動が実現しており、医療職からビジネス職への異動も行われる等、社員が前向きにキャリアの幅を広げることができています。

 

(ⅳ)称賛の文化によるポジティブな職場環境

 当社グループは創業以来、ミッション「医療という希望を創る。」を体現した社員や取り組みにスポットライトを当てる称賛の文化を大切にしています。年一回行われる当社グループ全体の大規模な表彰の場をはじめ、グループ各社や各事業部内でのベストプラクティスの共有会、月に一度の感謝メッセージ送付の仕組みなど、多くの称賛の機会を設けています。医療職からビジネス職まで、多様な職種が混在する当社グループでは、こうした取り組みによって異なる環境の社員同士で互いの仕事内容を知り、一体感を醸成しています。今後も、称賛の舞台を通して、グループの社員一人ひとりの士気を高め、前向きに成長できる環境を積極的に作っていきます。

 

(ⅴ)グループ横断の能力開発プログラム

 経営環境が大きく変化し、当社グループ横断での事業シナジー追及が求められる現在の環境下では、グループ各社の役職員の強固な人間関係構築や事業環境についての共通理解が求められています。そのために経営陣、マネジャー等の階層別に、グループ会社横断でリーダーシップやマネジメント力を高める研修プログラムを実施しています。現在「新任マネジャー向けのリーダーシップ初級研修」、「社内でお互い教え、学びあう自律学習」、「社外有識者から最新知見を学ぶ研修」等の新規能力開発プログラムを準備しており、2024年3月期中に順次従業員に展開する予定です。

 

③リスク管理

 当社グループの安定的な事業拡大において、ミッション実現のために主体的に行動できる優秀な人材の採用が計画通りに進まなくなること、人材育成の停滞、社員の離職による事業運営力の低下等が、主なリスクと捉えています。

 各種の人事施策を推進することで、働きがいの向上に努め、リスク低減へとつなげてまいります。

 

④指標と目標

 当社グループでは、期初に設定する採用人数予算及び離職率の想定等に対するモニタリング、毎月実施する従業員サーベイ、年1回実施する働きがいに関するサーベイ及び管理職以上を対象とした行動指針(CUC Partners Way)の体現状況の確認等を通じて、各種の人事施策の効果を確認しています。

 課題が確認された場合には、適宜対策を打つことで、安定的な事業拡大につなげてまいります。

 

(5)新型コロナウイルス対策における取り組み

 国内初の緊急事態宣言が発令された2020年4月、当社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目指す「チャレンジコロナプロジェクト」を発足させました。

 最初の一歩として始めたのが、大規模PCR検査ラボの開設支援です。2020年4月当時、国内の感染者急増により、PCR検査が追いつかず、陽性者の隔離を適切に行えないケースが相次いでいました。そこで当社は、国内に多くの支援先医療機関を持つ強みを活かし、PCRラボの立ち上げ支援を実施しました。1日1,200件の大規模検査が可能な検査体制を確立し、地域の人々がいつでもPCR検査を受けられる状態を目指しました。

 この時、当社が培ったPCR検査体制構築支援の経験を活かし、2021年6月当時に陽性患者のPCR検査体制がパンクしていたベトナムにおいて、検査ラボの急速立ち上げを支援し、2022年6月時点で累計約10万件の検査(抗原検査・PCR検査)を実施しました。

 2020年10月以降訪れた新型コロナウイルス感染症第3波では、自宅療養を余儀なくされる方が増加し、日本全国で医療体制のひっ迫が大きな課題でした。そうした状況を受けて、当社グループのソフィアメディ株式会社は、全国の行政機関と協働し、適切な療養生活のための情報提供や、看護師による電話での健康観察、重症化が認められた際の訪問看護、オンライン診療等の仕組みを構築しました。

 2021年6月、東京を含む多くの地域で緊急事態宣言が延長される中、当社グループは、自治体及び企業のワクチン接種会場のオペレーション支援を開始し、ワクチン接種会場の設営から、必要な医療物資の手配、医療職を含む当日の運営スタッフの調整まで包括的に支援しました。その結果、全国の22の自治体や25の企業が主催する接種会場にて388万回接種契約枠数の運営支援を実施しました(2023年3月までの累計)。

 

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

(1)事業環境について

① 医療ヘルスケア市場について

当社グループは医療ヘルスケア市場で事業を展開しています。現在の事業の中核となっている高齢者医療マーケットは今後も高齢者の増加に伴い拡大が見込まれています。また、当社グループは「医療という希望を創る。」というミッションの実現を目指し、医療を取り巻く「不・負」を解決する新たなサービスを創出していく所存です。しかしながら、長期的には高齢者人口は減少に転ずることが見込まれており、また当社の想定を超える医療保険制度の見直し等が発生することもありえるため、そのような事象が発生した場合には、医療ヘルスケア市場が縮小し、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 他社との競合について

当社グループは、医療機関、患者及び顧客(利用者及び入居者)のニーズに合った新しいサービスの拡充に常に取り組んでいます。競合については以下のとおりです。

 

(医療機関支援セグメント)

 医療機関支援事業は病院やクリニックの売上成長及び収益改善に資する各種サービスを包括的に提供するものであり、戦略・施策の立案から実行までをワンストップで提供できるという点で現在のところ直接的な競合の存在を認識していませんが、医療機関に対する支援サービスを事業として行う会社は複数存在します。資本力、顧客基盤、知名度、価格競争力、営業力などの点において当社グループよりも優れた企業が、新規参入、事業領域の拡大・強化、企業買収、提携などにより、当社グループと同等又はより優れたサービスを、より低い価格で提供した場合、当社グループの競争上の優位性が失われ、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(訪問看護セグメント)

 同セグメントの居宅訪問看護事業では、事業を展開している各地域で競合が存在します。基本的に小規模事業者が多く、現時点では経営の安定性やブランド力という点で当社グループに相対的に優位性があると考えています。また、同セグメントの在宅ホスピス事業では、株式会社アンビスホールディングス、日本ホスピスホールディングス株式会社、株式会社サンウェルズ(すべて上場会社)といった競合が存在し、地域によっては、これらの会社と競合する場合があります。既に競合が存在する地域において競争が激化した場合のほか、当社グループが優位な地域においても、上記の競合他社が当該地域に進出あるいは当該地域での事業を強化する場合や、競合他社が企業買収・提携などを活用して地域の垣根を超えた大規模な範囲でサービスを展開する場合等においては、当社グループの優位性が失われ、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社がこれまで事業を行っていなかった地域に新規に事業を展開するに際し、当該地域で先行して事業を展開する競合他社の顧客基盤が想定以上に強力であり、あるいは競合他社が先行者としての優位性を活用してサービス内容や事業展開を強化した場合には、当社グループが当該地域において期待どおりに顧客を獲得できないなど、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 以上のほか、各事業で他の有力企業との競争激化や、新規参入の増加、業界再編等により、当社グループが事業を行う業界の事業環境が大きく変化し、当社グループがこれに適時・適切に対応できなかった場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インフレと人件費高騰について

 当社グループは、主として労働集約型の事業を行っているため、賃金水準が急激に高騰した場合には人件費の負担増が発生します。また、特に在宅ホスピス事業では、その事業拡大のために新規施設を開設していくことが重要になりますが、インフレ等による建築資材の高騰や建設人材の不足等により調達コストが増加し、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業運営について

① 人材の採用、育成について

 当社グループが安定的に事業拡大するためには、ミッション実現のために主体的に行動できる優秀な人材を採用し、育成する必要があります。医療機関支援セグメントにおいては、支援先医療機関からの様々なニーズに対応可能な専門性の高いスタッフを確保・育成していく必要があるため、採用時における適性の見極めを行うことに加えて、社内業務の標準化、マニュアル化を進めることにより育成体制を強化しています。また、支援先医療機関向けの有資格者採用支援のために、医療職種別(医者、看護師など)の採用チームを組成しています。また、訪問看護セグメントに属する事業においては看護師、介護士、セラピストの採用、育成が事業の根幹となります。そのため、採用業務に経営資源を集中させ、積極的な採用活動を行っています。特にがん末期やALS等の難病のケアには高い専門性が求められることから、それらの専門性を持つ医療スタッフを採用することに加え、経験の浅い看護師、介護士、セラピストであっても安心して継続して働けるように教育体制も充実させ、安定した人員の確保に努めています。

 しかしながら、日本の労働人口は今後も減少することが見込まれており、医療・介護業界での慢性的な人材不足等により採用が予定どおり進まない場合や、適切な研修等を実施することにより育成することができない場合、既存社員の社外流出等が多く発生した場合には、顧客に対するサービスの提供が困難となったり、サービスの質の低下につながるおそれがあり、また、当社グループが計画する新規施設の開設に支障が生じる可能性があります。また、そのような状況に対応するため人材の確保に想定以上の支出が必要となるなど、当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 各種規制、許認可、指定について

 当社グループは、各事業所において法規制に基づいた許認可や指定を受け業務を遂行しています(表)。特に訪問看護セグメントに属する事業では、健康保険法、介護保険法、障害者総合支援法、老人福祉法、高齢者住まい法等に基づく看護及び介護サービスを提供しており、これらの法律及び関連諸法令の適用を受けます。当社グループは、各種許認可や指定を受けるために様々な要件に従う必要があり、その要件を満たすように細心の注意を払い事業を行っているほか、当社グループの内部監査部による内部監査において、これらの要件遵守について重点的に監査を実施しています。しかしながら、当社の想定を超える法制度の改正が行われたこと等により、当社グループがこれらの法律及び関連諸法令を遵守することができなかった場合又は診療報酬若しくは介護報酬等の不正請求や、人員基準違反、運営基準違反、虚偽報告といった事由が認められ、指定が取消又は停止となった場合には、当該事業の継続が困難となり、また、事業の一時停止を受けるなど、当社グループの事業活動に重大な支障が生じるほか、これらの事案への対応に要する大きな支出や風評被害等にもつながるため、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、介護保険法に基づく各種指定について指定取消を受けた場合、指定取消から5年以内における新たな指定の取得及び介護サービス事業所としての更新が出来なくなります。また、法律の改廃や適用基準の変更等により、診療報酬・介護報酬が減少する、保険適用者が減少し利用控えが進むなどの事象が生じた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、医療保険制度に基づく診療報酬は2年に1度、介護保険制度に基づく介護報酬は3年に1度の頻度で制度の改定が行われており、今後、診療報酬及び介護報酬の見直しにより、大幅な改定が行われた場合には、医療機関支援セグメントにおいては支援先医療機関の新規出店の減速や、支援先医療機関の業績悪化に伴う当社の業務受託報酬の支払遅延又は支払が行われないことにつながり、訪問看護事業セグメントにおいては直接的な売上収益の減少につながるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(表)当社グループの各事業所が受けている主な指定

取得

指定権者、届出先又は登録先

許認可名称

許認可内容

有効期限

主な許認可取消事由

当社グループの各事業所

厚生労働省

地方厚生局

指定訪問看護事業者

健康保険法の訪問看護事業

6年毎の更新

健康保険法第95条(指定訪問看護事業者の指定の取消)

都道府県又は政令指定都市

指定訪問看護事業者

介護保険法の訪問看護事業

6年毎の更新

介護保険法 第77条(指定の取消等)

都道府県又は政令指定都市

指定訪問介護事業者

介護保険法の訪問介護事業

6年毎の更新

介護保険法 第77条(指定の取消等)

 

都道府県又は政令指定都市

居宅介護・重度訪問介護事業

障害者総合支援法の居宅介護

6年毎の更新

障害者総合支援法 第50条(指定の取消等)

市区町村

介護予防・日常生活支援総合事業

介護保険法の総合事業

6年毎の更新

介護保険法 第115条の45の9(指定事業者の指定の取消等)

市区町村

居宅介護支援事業

介護保険法の居宅介護支援

6年毎の更新

介護保険法 第84条(指定の取消等)

都道府県又は政令指定都市

住宅型有料老人ホーム

老人福祉法の施設事業

なし

老人福祉法 第29条14項(届出等)※事業の制限又は停止に関する定めあり

都道府県又は政令指定都市

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法の施設事業

5年毎の更新

高齢者住まい法第26条(登録の取消し)

 

③ 情報管理について

 当社グループでは事業活動を通じて顧客に関する経営情報等の機密情報を受け取り、また一部事業では多数の顧客あるいはその家族の個人情報(既往症、病歴、治療状況などの要配慮個人情報を含みます。)を取り扱っています。当社グループの情報管理については、個人情報保護方針の策定や、社員教育の実施、担当者以外のサーバーへのアクセス制限等の社内体制の強化など、情報漏洩防止の厳重な対策を講じ、細心の注意を払っています。しかしながら、通信設備等の予期せぬトラブル等によりシステムが停止した場合や、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生した場合、また漏洩した情報が不正使用される等の機密情報の流出に伴う重大なトラブルが発生した場合、社会的信用の低下につながり、当社グループの事業、経営成績又は財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&Aについて

 当社グループでは、同業もしくは異業種の他社に対するM&A(子会社化や事業譲受等)や提携等を実施することにより、当社グループの事業を補完もしくは強化すること、又は新規事業の展開が可能であると考えています。その実施にあたっては、対象企業や対象事業について各種デューディリジェンスを行う等、慎重な検討の上で意思決定をし、可能な限りリスクの低減に努めています。しかしながら、M&A等の実施後に当社グループが事前に認識し得なかった問題が明らかになった場合や、取得した企業等や事業の経営が計画どおりに進まない場合、許認可を要する事業を事業譲渡等により譲り受け、譲受後に許認可を得られない場合、又は期待していたシナジー効果を生まずに戦略目的が達成できない場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定人物への依存について

 当社の代表取締役である濵口慶太は、創業者であると同時に創業以来当社グループの事業推進に深く関与しており、同氏は当社グループの経営戦略構築やその実行に重要な役割を果たしています。当社グループでは組織体制の強化を図り、特定の人物に過度に依存しない体制の整備を進めていますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける経営執行継続が困難になった場合には、当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 親会社グループとの関係について

 本書提出日現在、当社の親会社であるエムスリー株式会社は、当社の議決権の65.6%を所有しています。親会社グループは、国内における医師会員32万人以上(2023年4月28日現在)が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」、米国の「MDLinx」や英国の「Doctors.net.uk」等の医療従事者のプラットフォーム、医師の人材紹介事業等を中心に様々なサービスをグローバルに展開しており、当社グループは親会社のサイトソリューションセグメントに区分されています。

 したがって、エムスリー株式会社は、株主総会の特別決議を要する事項(例えば、吸収合併、事業譲渡、定款変更等を含みますが、これらに限りません。)を単独で可決することはできないものの拒否権を有するとともに、株主総会の普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません。)に関する決定権及び拒否権を有することになり、当社に重要な影響を及ぼしえます。また、親会社が当社グループの事業や経営方針に関して有する利益は、当社の他の株主の利益と異なる可能性があります。また、当社は親会社と良好な関係を有していますが、何らかの理由により下記に掲げる当社と親会社グループとの間の主な関係について、関係が悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業、経営成績又は財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、当社の独立性の維持のため、当社取締役会における親会社の役職員を兼務する取締役は6名中で1名のみであり、また、独立社外取締役が3分の1を占める構成としています。

 なお、当社と親会社グループとの間の主な関係等の詳細については、以下に記載のとおりです。

 

(ⅰ)親会社グループとの取引関係

 当社グループは、親会社と新型コロナウイルス感染症のワクチン接種支援サービス及び在宅治験等を協働して実施しているため、当該サービスに関連する業務の一部を親会社より受託しています。今後も当社グループのミッション実現に向け、親会社と事業を協働していく可能性があります。しかしながら、当社グループと親会社との資本関係が希薄化し又は失われた場合や、親会社にとって当社よりも適切な協業先企業が現れたような場合には、当該業務委託契約が解消されることで、当社グループの売上収益が減少し、事業、経営成績又は財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅱ)親会社との役員の兼任

 本書提出日現在、当社監査等委員である取締役の大場啓史は、エムスリー株式会社の執行役員を兼任しています。当該監査等委員である取締役は、様々なコーポレート機能に関する知見により当社グループの経営力を高めるべく、当社より就任を要請し、今後も継続して要請することを予定しています。

 親会社との役員の兼任がある状況を踏まえ、当社取締役会に占める親会社の役職員との兼務がある取締役は6名中で1名とし、独立社外取締役が3分の1を占める構成としてします。更に、当社の業務執行に係る意思決定に親会社からの承認は求められません。しかしながら、そのようなガバナンスが適切に機能しない場合には、親会社の意向が当社の経営判断に強く影響し、少数株主の利益が脅かされる可能性があります。

 他方、当社取締役に親会社の役職員との兼任者がいなくなり、期待していた知見が提供されず同等程度以上の会社経営に関する知見を有した取締役を招聘できない場合には、当社の事業、経営成績又は財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅲ)当社株式の流動性について

 本書提出日現在、当社の親会社であるエムスリー株式会社は、当社の議決権の65.6%を所有しています。当社は今後も流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により、新規上場時よりも流動性が低下する場合には、売買が停滞する可能性があり、当社株式の需給関係に悪影響を及ぼす可能性があります。今後は当社の親会社への一部売出しの要請やストックオプションや株式を活用したインセンティブプラン、事業規模、売上収益及び利益額の成長を通じた株主層の拡大等の組み合わせにより、必要に応じて流動性の向上を図っていく方針です。

 また、IPO時の公募による新株式発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連して、親会社よりロックアップに関する合意がなされていますが、当社株式の上場後、親会社が当社株式を市場内外で売却する場合又はその懸念が市場において認識される場合、当社株式の需給の悪化又はそのおそれにより、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業内容について

① 医療機関支援セグメントについて

(ⅰ)支援先医療機関について

 支援先医療機関においては、医師又はコメディカル(医師を除く看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、管理栄養士等の医療従事者)等の不足、各種法令、許認可、指定等の不遵守、情報漏洩、不正、医療事故又は感染症の流行等の事象が発生しないよう、常駐する経営支援人材や、支援先医療機関を横断で支援するコンプライアンス機能支援の上で事業を行っていると理解していますが、何らかの理由により支援先医療機関においてそれらの事象が発生した場合、又は想定外の大幅な診療報酬改定が行われた場合等には、当該支援先医療機関の事業運営や業績が悪化し、これにより当社グループが予定していた業務受託報酬を請求あるいは回収できなくなる可能性があるほか、支援先医療機関において不適切な事象等が発生したことで支援先医療機関に対して経営支援を行っている当社及び当社の事業に対する評価や社会的信頼に悪影響を及ぼすなど、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅱ)支援先医療機関との業務委託契約について

 当社は支援先医療機関に対する経営支援サービスの質の向上及びそのサービスメニューを拡大することで、支援先医療機関からの業務委託を継続していただけるよう日々取り組んでいます。しかしながら、支援先医療機関との関係が悪化した場合や支援先医療機関の経営方針の転換が生じた場合等には、業務委託契約が解除にいたる可能性があり、また、支援先医療機関の事情や判断で、業務委託契約が更新されない可能性があります。また、医療機関支援セグメントの売上収益は主に支援先医療機関からの報酬によって構成されますが、支援先医療機関の経営状態は様々な要因により悪化する可能性があり、支援先医療機関の経営状態が悪化した場合、当社の業務受託報酬を請求あるいは回収できなくなる可能性があります。そのような事象が重なるようなことがあれば当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、弁護士等の専門家との連携により、支援先医療機関との業務委託契約については医療法の剰余金配当の禁止に抵触していないと認識しています。

 

(ⅲ)海外での医療提供について

 当社グループは、国内では医療行為を直接提供していませんが、国外においては、今後当社グループが直接、医師や看護師を雇用し医療行為を提供する可能性があります。危機管理マニュアルの遵守を徹底し医療事故等が発生しないように最新の注意を払いながら医療行為の提供を行う予定ですが、現地の医療事情、法規制、慣習その他の理由により、万が一事故等が発生した場合には、国内を含む当社グループの事業に対する社会的信用が低下し、また、当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅳ)ファクタリングについて

 当社は医療機関が有する診療報酬債権を買取り、その債権の回収を行う診療報酬ファクタリングサービスを提供しています。当該債権に関しては、当社規程に基づき、診療報酬額のモニタリングを行い、リスク管理を実施しています。また、そのすべてが国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金に対するものであるため、債権の回収不能リスクは低いと考えていますが、何らかの事情によりその回収が遅延又は不能になるようなことが発生した場合には、当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 訪問看護セグメントについて

(ⅰ)診療報酬及び介護報酬について

 訪問看護セグメントに属する事業においては、健康保険制度に基づく医療保険収入と介護保険制度に基づく介護保険収入が収入の大部分を占めます。健康保険制度は2年に1度、介護保険制度は3年に1度の頻度で改定が行われ、当社グループでは、長期的な改定の方向を見据え収入源の分散や中重度対応等の取組をしています。しかしながら、想定外の大幅な減額改定が行われた場合には、当社グループが収受する診療報酬・介護報酬が減少するほか、当社グループのサービスの顧客数や利用頻度・利用額が減少するなどの事情が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)顧客の安全について

 訪問看護セグメントに属する事業においては、訪問看護師、訪問介護士、訪問セラピスト等に対し顧客の安全を守るための教育研修を実施し、事故の発生防止や緊急事態に対応出来るように取り組んでいます。しかしながら、医療依存度、介護依存度の高い高齢者、障害者及び新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等にサービスを提供する場合、サービス提供中の転倒・転落等の不慮の事故など、顧客の生命、安全にかかわる事故が発生する可能性は一定程度あります。また、当社グループでは、サービス提供者による顧客への身体的虐待、介護・看護の放棄・放任、心理的虐待等が発生しないよう役職員を対象とした教育研修やマニュアルの整備を行うとともに、そのようなことが起きない組織風土の醸成に取り組んではいますが、上記のような不適切な事象を完全に防止できる保証はありません。

 万が一これらの事象が発生し、訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じた場合、当社はかかる事態に備えて損害賠償責任保険を付保していますが、損害賠償義務が生じた場合には当社による金銭的な負担が生じるほか、当社や当社の運営する施設等に対する社会的信用が低下し、又は風評被害等によっても、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅲ)虐待等の防止について

 訪問看護セグメントに属する事業においては、訪問看護師、訪問介護士、訪問セラピスト等が在宅ホスピス施設を含む顧客の居宅においてそのサービスを提供します。当社グループでは、サービス提供者による顧客への身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待等の高齢者虐待が発生しないよう役職員を対象とした教育研修やマニュアルの整備を行うとともに、そのようなことが起きない組織風土の醸成に取り組んでいます。しかしながら、万が一そのような事象が発生し、顧客やその家族よりそのような訴えがあった場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があるほか、当社グループ及びそのサービスに対する社会的評価が失墜し、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅳ)顧客の逝去について

 訪問看護セグメントに属する事業においては、行政や医療機関等との連携によって、安定的な顧客の確保に努めており、高齢者の増加とともに市場が拡大し需要が増加している状況にあると認識しています。しかしながら、顧客には医療依存度の高い高齢者やがん末期及び難病患者等が多く含まれることから、当社グループが想定する以上の顧客の逝去が続いた場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅴ)システム障害について

 訪問看護セグメントに属する事業においては電子カルテを使用していますが、通信設備等の予期せぬトラブル等によりシステムが停止した場合や、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生した場合、また漏洩した情報が不正使用される等の機密情報の流出が生じた場合には、重大なトラブルが発生する可能性があります。災害時対応として紙媒体で顧客情報を保管する等の対応をしていますが、想定外の規模のシステム障害やその復旧の長期化等の事象が発生する場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅵ)居宅訪問看護事業における移動中の交通事故について

 居宅訪問看護事業において、訪問看護サービスを提供する従業員は、自転車又は自動車を使用して利用者の居宅へ訪問しています。当社グループは従業員の安全を守り、ひいては安定的に利用者へサービス提供をできる状態を確保するため、従業員に対し交通事故防止のための教育研修を実施しています。しかしながら、当社グループの従業員が悪質な交通事故等を起こした場合には、当社グループが使用者として損賠賠償の負担を余儀なくされる可能性があるほか、当社グループの社会的信用が低下するなど、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅶ)在宅ホスピス事業における新規開設遅延について

 在宅ホスピス事業では、その事業拡大のために新規施設を計画的に開設していくことが必要になります。しかしながら、他社との競合により好立地を確保できない場合、各種規制により新規施設が開設できない場合、その他例えば土地から埋蔵物が発見される場合や、工事期間中の台風や大雪といった不可抗力な事由等、予測困難な事由が発生する場合には、開設計画の実現性が不確実となります。そのため、以上の不確定要素をはじめ、建設人材や建材の不足等何らかの理由で開設時期遅延や事業計画進捗の大幅な乖離が生じた場合には、利益機会を逸失し当社グループの事業、経営成績又は財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅷ)在宅ホスピス事業における協働先との契約の早期終了について

 在宅ホスピス事業では、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅を運営する事業者との協働契約(相手方事業者は施設の運営のみを担当又は施設の運営と訪問介護を担当)を締結し、訪問看護又は、訪問看護及び訪問介護を提供している施設があります。相手先事業者の事業停止や倒産、協働契約の違反等何らかの事由で協働契約が早期に終了する場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅸ)地域との関係について

 在宅ホスピス事業では、独自の市場調査に基づき新規開設場所を選定しています。しかしながら、結果的に事業の収益性が当初見込みに届かず撤退を検討する可能性があり、更に当社グループ施設撤退後の入居者の転居先確保が困難な場合は当社グループの社会的評判が低下し、また、医療機関や行政機関との関係性維持の観点から即時撤退を行うことが困難な場合には、収益が確保できないまま事業を継続しなければならない可能性があり、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅹ)長期賃貸借契約について

 在宅ホスピス事業が運営する一部の施設について、土地又は建物もしくはその両方を当社グループ外の第三者より賃貸借契約に基づき賃借しています。事業の特性上、長期間の賃貸借契約を締結することが多く、この場合一定期間は撤退の制約が課されるとともに、もし契約期間内に撤退する場合には中途解約による違約金等の支払が発生するため、当社グループは契約締結に際し、当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす契約内容とならないよう細心の注意を払っています。しかしながら、事業の収益性が当初見込みに届かず中途解約し、撤退せざるを得ない状況が重なるような事象が発生する場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 資産の減損について

 当社グループではM&A(子会社化や事業譲受等)の結果として有形固定資産、のれん及び償却期間の定めのある無形固定資産等の資産を有しています。当社グループは事業の収益性及び成長性を考慮して事業やセグメントを構成しており、また、減損リスクの高い事業については適切なモニタリングを実施しています。しかしながら、2022年3月期において、新型コロナウイルス感染症に起因する収益減少を理由として医療機関支援セグメントのCHANGE UNTIL CHANGE MANAGEMENT SERVICES JOINT STOCK COMPANY(ベトナム)が持つ無形資産等に対して1,789百万円の減損損失を計上しています。今後も、将来的に予測不能な原因等による収益性の悪化、あるいは当社グループのモニタリング機能の不備等により、減損損失が発生した場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権について

 当社グループでは当社グループの持つ知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っていますが、他社からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社グループの事業又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが各種サービスを展開するにあたっては、他社の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っていますが、万が一、他社の知的財産権を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負い、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 非支配株主について

 当社子会社のCHANGE UNTIL CHANGE MANAGEMENT SERVICES JOINT STOCK COMPANY(ベトナム)、PT GRHAMEDS CUC HEALTHCARE及びPT CUC CIPTA HUSADA(インドネシア)は、それぞれ30.0%、33.0%、33.0%の持分を所有する非支配株主が存在します。当該非支配株主とは事業拡大に向け良好な関係を保っており、当該子会社等の意思決定に影響を及ぼすことは現時点で想定していませんが、万が一、当該非支配株主との関係が悪化した場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 海外展開について

 当社グループは、海外子会社を通じて現地での事業展開をしていますが、現地での関連法令・税制・政策の制定、改正又は廃止、政治的、経済的環境の変化、電力・輸送・通信等のインフラの停止・遅延、人件費の上昇、為替変動、地政学的な緊張の高まり又は伝染病の蔓延や自然災害発生等のカントリーリスクを内在しています。当社は社員が現地に常駐することで、現地の政府当局や弁護士事務所などからの情報連携を強化し、早期に情報収集をすることでリスクの低減に努めていますが、かかるリスクが顕在化し、現地での事業活動に悪影響が生じる場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ コンプライアンスについて

 当社グループでは、コンプライアンスの遵守を重要課題と位置づけ、健康保険法、介護保険法、障害者総合支援法、老人福祉法、高齢者住まい法、労働基準法、消防法等をはじめとする法令及び諸規程を遵守し、企業人、社会人として良識のある行動をするよう従業員の意識向上を図っています。しかしながら、万が一、コンプライアンス遵守に抵触する事象が発生した場合には、法令による処罰や提訴、社会的信用力の低下につながり、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 訴訟等について

 当社グループは、法令遵守を重視したサービスを提供しており、現時点において当社グループの事業、経営成績又は財政状態に影響を及ぼす訴訟が提起されている事実はありませんが、顧客やその家族等からの信頼が失われる事象の発生等により、当社グループが訴訟、係争、またこれらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたす恐れがあり、万が一、当社グループに不利な司法判断等がなされた場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、医療機関支援セグメントにおいては、当社グループが直接医療を提供しないものの、支援先医療機関で同様の事象が生じた場合には、支援先医療機関からの訴訟、係争、またこれらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。また支援先医療機関に対して経営支援を行っている当社及び当社の事業に対する評価や社会的信頼に悪影響を及ぼし、結果として当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 大規模な災害等について

 当社グループは、不測の事態に備え事業継続計画(BCP)の策定等を行っており、非常用物品の備蓄、各種研修、訓練等を行っていますが、大規模な地震、台風、津波、洪水、大雨等の災害又は感染症の拡大等により、事業所建物や看護師、介護士、セラピストを含む当社グループの従業員及び顧客が損害を被った場合、あるいは、当社の事業所の運営やサービス提供に制約が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新株予約権の行使について

 当社グループでは、役職員等に対するインセンティブを目的として、当社の新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は約2.1%となっています。また、今後も、役職員等に対してインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があり、2023年3月期に係る定時株主総会においても、インセンティブとしての新株予約権の発行を前提とした役員報酬議案が可決承認されています。その後の当社取締役会において、株主総会で可決承認された役員報酬の範囲内で実際に当社グループの役員に対し新株予約権が発行された場合、又は、その他当社グループの役職員等に対する新株予約権の発行が行われた場合には、潜在株式数の割合は更に上昇する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

⑨ 有利子負債について

 当社グループは、運転資金については自己資金で対応し、設備投資やM&A資金は株式上場時の調達資金に加え、借り入れなどにより外部調達することを基本方針としています。そのため、外部調達の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態又はキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 配当政策について

 当社グループは、中長期的かつ持続的な企業価値の向上を目指しており、そのためには、将来の成長を見据えた在宅ホスピス施設への先行投資や設備投資、新規事業や海外への先行投資等を積極的に行うことが重要であると認識しており、現時点では事業の拡大と効率化のために投資し、企業価値の増大を優先すべきだと考えています。しかしながら、今後は財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当を実施していく方針です。ただし、当社グループの業績が計画どおりに進展しない等、当社グループの業績が悪化した場合には、継続的に配当を行えない可能性があります。

 

⑪ 資金使途について

 株式上場時における調達資金の使途については、主に在宅ホスピス建設資金に充当する予定です。しかしながら、変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点での計画外の使途にも充当される可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性もあります。この場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新たな感染症について

 今後、新型コロナウイルス感染症又はこれと同様に生命に重要な影響を与える新たな感染症が発生した場合には、当社グループの提供するサービスへの需要の減少を招く事態となり得るとともに、感染状況によっては、行政からのサービス休止・縮小要請、従業員や顧客への感染による事業所の一時的な閉鎖等により、当社グループの事業又は業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新たな感染症による医療機関支援セグメントの支援先医療機関の売上高減少等により、予定していた業務受託報酬を請求あるいは回収できない場合には、当社グループの事業、経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 新型コロナウイルス関連の新規サービスによる業績トレンドの不連続について

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験、健康観察支援サービス(新型コロナウイルス自宅療養者向け見守りサービスで開始)等、新型コロナウイルス関連を含む新規サービスにスピード感を持って取り組んできました。その結果、新規サービスは当連結会計年度の業績に大きく寄与しています。一方で、当該サービスの多くは一過性の性質を持ち、今後同様の規模で継続してサービスを提供することは想定していません。そのため、当連結会計年度の業績は当社グループのこれまでの業績トレンドから不連続なものとなっています。

 

 

 

 

(補足情報)

 2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期における連結会計年度ごとの売上収益、営業利益、EBITDA、当期利益及び設備投資は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

売上収益

 

 

 

連結

16,606

35,314

35,210

連結(新規サービス除き)

16,606

20,331

24,423

医療機関支援セグメント

5,932

17,389

16,441

医療機関支援セグメント

(新規サービス除き)

5,932

6,713

8,307

医療機関支援セグメント

(新規サービス)

-

10,676

8,134

訪問看護セグメント

9,782

17,364

18,826

訪問看護セグメント

(新規サービス除き)(注)1

9,782

13,057

16,173

訪問看護セグメント

(新規サービス)

-

4,307

2,653

その他・調整額(注)2

892

562

△57

営業利益

 

 

 

連結(注)3

1,629

3,679

3,683

医療機関支援セグメント(注)3

1,421

1,401

2,955

訪問看護セグメント(注)4

438

2,728

1,542

その他・調整額(注)2

△229

△450

△814

EBITDA

 

 

 

連結

2,643

6,525

4,982

医療機関支援セグメント

2,043

3,596

3,492

訪問看護セグメント(注)5

821

3,360

2,295

その他・調整額(注)2

△221

△432

△805

当期利益(注)3

1,094

2,220

2,404

設備投資(注)6

486

848

5,583

(注)1. 在宅ホスピス事業の2021年3月期、2022年3月期、2023年3月期の売上収益はそれぞれ3,365百万円、5,018百万円、6,633百万円です。

2.その他・調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表・連結財務諸表注記 6.セグメント情報」のその他の区分及び調整額と同様の定義の数値をそれぞれ算出し、両者を合計した額です。

3. 2022年3月期において、1,789百万円の減損損失を計上しています。

4.在宅ホスピス事業の2021年3月期、2022年3月期、2023年3月期の営業利益はそれぞれ207百万円、332百万円、191百万円です。

5. 在宅ホスピス事業の2021年3月期、2022年3月期、2023年3月期のEBITDAはそれぞれ387百万円、575百万円、475百万円です。

6.連結キャッシュ・フロー計算書における有形固定資産及び投資不動産の取得による支出に、無形資産の取得による支出を加算した額です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2022年3月期及び2023年3月期における四半期連結会計期間ごとの売上収益、営業利益、EBITDA、当期利益及び設備投資は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

2022年3月期

2023年3月期

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

連結

5,356

11,848

8,471

9,639

10,136

8,559

8,751

7,765

連結(新規サービス除き)

4,942

5,000

5,239

5,150

5,785

5,805

6,146

6,687

医療機関支援セグメント

1,944

7,659

3,307

4,480

5,281

3,988

4,318

2,854

医療機関支援セグメント

(新規サービス除き)

1,727

1,564

1,667

1,756

2,078

1,913

2,089

2,227

医療機関支援セグメント

(新規サービス)

217

6,095

1,640

2,724

3,204

2,075

2,228

627

訪問看護セグメント

3,189

3,999

5,018

5,159

4,859

4,574

4,455

4,937

訪問看護セグメント

(新規サービス除き)(注)1

2,992

3,246

3,426

3,393

3,713

3,895

4,079

4,486

訪問看護セグメント

(新規サービス)

197

753

1,592

1,766

1,147

679

377

451

その他・調整額(注)2

223

191

147

1

△5

△4

△22

△26

営業利益

 

 

 

 

 

 

 

 

連結(注)3

545

2,150

1,886

△902

1,404

900

863

516

医療機関支援セグメント(注)3

637

1,723

726

△1,687

1,006

649

749

551

訪問看護セグメント(注)4

5

516

1,232

975

584

444

321

193

その他・調整額(注)2

△97

△90

△72

△191

△185

△194

△208

△228

EBITDA

 

 

 

 

 

 

 

 

連結

801

2,418

2,141

1,165

1,686

1,158

1,181

957

医療機関支援セグメント

740

1,819

823

215

1,102

732

889

769

訪問看護セグメント(注)5

155

679

1,387

1,140

765

617

498

415

その他・調整額(注)2

△93

△79

△69

△190

△181

△191

△207

△226

当期利益(注)3

320

1,430

1,236

△766

907

595

630

272

設備投資(注)6

5

469

207

166

626

682

949

3,325

 (注)1.在宅ホスピス事業の2022年3月期第1四半期、2022年3月期第2四半期、2022年3月期第3四半期、2022年3月期第4四半期、2023年3月期第1四半期、2023年3月期第2四半期、2023年3月期第3四半期、2023年3月期第4四半期の売上収益はそれぞれ1,126百万円、1,230百万円、1,307百万円、1,355百万円、1,478百万円、1,519百万円、1,615百万円、2,022百万円です。

2.その他・調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」のその他の区分及び調整額と同様の定義の数値をそれぞれ算出し、両者を合計した額です。

3.2022年3月期第4四半期において、1,789百万円の減損損失を計上しています。

4.在宅ホスピス事業の2022年3月期第1四半期、2022年3月期第2四半期、2022年3月期第3四半期、2022年3月期第4四半期、2023年3月期第1四半期、2023年3月期第2四半期、2023年3月期第3四半期、2023年3月期第4四半期の営業利益はそれぞれ95百万円、77百万円、177百万円、△17百万円、84百万円、112百万円、57百万円、△63百万円です。

5.在宅ホスピス事業の2022年3月期第1四半期、2022年3月期第2四半期、2022年3月期第3四半期、2022年3月期第4四半期、2023年3月期第1四半期、2023年3月期第2四半期、2023年3月期第3四半期、2023年3月期第4四半期のEBITDAはそれぞれ157百万円、141百万円、232百万円、45百万円、150百万円、175百万円、120百万円、30百万円です。

6.連結キャッシュ・フロー計算書における有形固定資産及び投資不動産の取得による支出に、無形資産の取得による支出を加算した額です。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態の概況

(資産)

 資産合計は、前連結会計年度末比5,224百万円増の39,750百万円となりました。流動資産については、主に新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が落ち着いたことにより営業債権及びその他の債権が2,274百万円減少し、前連結会計年度末比2,421百万円減の12,732百万円となりました。非流動資産については、主に在宅ホスピス施設の増加に伴い有形固定資産が4,307百万円増加、投資不動産が2,387百万円増加、使用権資産が1,075百万円増加したことにより前連結会計年度末比7,645百万円増の27,018百万円となりました。

(負債)

 負債合計は、前連結会計年度末比2,983百万円増の27,830百万円となりました。流動負債については、在宅ホスピス建設資金を主とした親会社からの借入金が5,356百万円増加した一方、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が落ち着いたことで営業債務及びその他の債務が1,791百万円減少、中間納付により未払法人所得税が1,291百万円減少したことにより前連結会計年度末比1,952百万円増の21,290百万円となりました。非流動負債については、主にリース負債が995百万円増加したことにより前連結会計年度末比1,031百万円増の6,540百万円となりました。

(資本)

 資本合計は、前連結会計年度末比2,241百万円増の11,920百万円となりました。主に親会社の所有者に帰属する当期利益2,423百万円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことによります。

 

② 経営成績の状況

 当社グループは、「医療機関支援」及び「訪問看護」の2つを報告セグメントとしていますが、以下では、既存サービスと新規サービスのセグメント売上収益についても記載しています。新規サービスは医療機関支援セグメントの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業における在宅治験及び健康観察支援サービスからなり、それ以外の2021年3月期以前より続くサービスを既存サービスとしています。当該新規サービスは主に新型コロナウイルスを起因としたサービスとなっており、翌連結会計年度以降は大きく縮小する見通しのため、売上収益について新規サービスと既存サービスに分けて記載しています。

 また、EBITDAの計算式は次のとおりです。

 EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用

(当期の業績)

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

比較増減

売上収益

35,314

35,210

△104

△0.3%

営業利益

3,679

3,683

+4

+0.1%

税引前利益

3,622

3,634

+12

+0.3%

当期利益

2,220

2,404

+184

+8.3%

EBITDA

6,525

4,982

△1,543

△23.6%

 

(セグメントの業績)

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

比較増減

医療機関支援

セグメント売上収益

17,389

16,441

△947

△5.4%

セグメント利益

1,401

2,955

+1,554

+111.0%

EBITDA

3,596

3,492

△104

△2.9%

訪問看護

セグメント売上収益

17,364

18,826

+1,462

+8.4%

セグメント利益

2,728

1,542

△1,186

△43.5%

EBITDA

3,360

2,295

△1,065

△31.7%

その他

セグメント売上収益

764

205

△558

△73.1%

セグメント利益

159

29

△130

△81.7%

EBITDA

177

39

△138

△77.8%

調整額

(注)

セグメント売上収益

△202

△263

△60

-

セグメント利益

△609

△843

△234

-

合計

セグメント売上収益

35,314

35,210

△104

△0.3%

セグメント利益

3,679

3,683

+4

+0.1%

EBITDA

6,525

4,982

△1,543

△23.6%

(注)調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しているものと同様です。

 

(既存サービスと新規サービスのセグメント売上収益)

(単位:百万円)

既存・新規

セグメント

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

比較増減

既存サービス

医療機関支援

6,713

8,307

+1,594

+23.7%

訪問看護

13,057

16,173

+3,116

+23.9%

その他

764

205

△558

△73.1%

調整額

(注)1

△202

△263

△60

-

合計

20,331

24,423

+4,091

+20.1%

新規サービス

医療機関支援

(注)2

10,676

8,134

△2,541

△23.8%

訪問看護

(注)3

4,307

2,653

△1,654

△38.4%

合計

14,983

10,787

△4,195

△28.0%

合計

35,314

35,210

△104

△0.3%

(注)1.調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しているものと同様です。

   2.自治体や企業向けの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス。

   3.在宅治験及び健康観察支援サービス。

 

(a)医療機関支援セグメント

当セグメントにおける既存の支援先医療機関によるM&A等により、当連結会計年度の支援先主要拠点数(期中平均)(注)は91(前期比20拠点増)となりました。これに加えて支援先医療機関の事業の拡大等により業務受託報酬が増加し、当セグメントの既存サービスによる売上収益は8,307百万円(前期比23.7%増)となりました。一方、前連結会計年度より開始した新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスの需要が前連結会計年度に比べて落ち着いたため、当セグメント全体の売上収益は16,441百万円(前期比5.4%減)となりました。

当セグメント全体の営業損益については、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスに係る利益が減少した一方、既存サービスに係る利益の増加及び前連結会計年度に計上した海外事業における減損損失の反動等により、2,955百万円(前期比111.0%増)の営業利益となりました。

 

(注)当社が経営支援を提供する病院、介護老人保健施設、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニックの合計数。

 

(b)訪問看護セグメント

居宅訪問看護事業においては、利用者数の増加に伴い、当連結会計年度ののべ総ケア時間(注)は954千時間(前期比151千時間増)となりました。また、在宅ホスピス事業においては、前連結会計年度に開設した在宅ホスピス施設の稼働率が上昇し、また、当連結会計年度において在宅ホスピス施設は8箇所増加しました。以上の結果、当セグメントの既存サービスによる売上収益は16,173百万円(前期比23.9%増)となりました。また、居宅訪問看護事業における新規サービスである在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が前連結会計年度に比べて落ち着いたものの、既存サービスによる売上収益の増加により、当セグメント全体の売上収益は18,826百万円(前期比8.4%増)となりました。

当セグメント全体の営業損益については、居宅訪問看護事業における新規サービスの縮小及び採用関連費用の増加等の影響に加え、在宅ホスピス事業における各施設のサービスレベル向上及び本社機能の強化に伴う要員増等の影響により、1,542百万円(前期比43.5%減)の営業利益となりました。

 

(注)当社グループの看護師及びセラピストが利用者に居宅訪問看護サービスを提供した時間の合計。

 

以上の結果、当社全体の売上収益は35,210百万円(前期比0.3%減)、営業利益は3,683百万円(前期比0.1%増)、当期利益は2,404百万円(前期比8.3%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高より235百万円減少し、4,120百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,357百万円の収入(前年同期は6,616百万円の収入)となりました。主に、税引前利益3,634百万円によるキャッシュ・フローの増加及び法人所得税の支払額2,640百万円によるキャッシュ・フローの減少によるものです。法人所得税の支払額の大幅な増加は、前連結会計年度の税引前利益が新規サービスにより大幅に増加したため、未払法人税等及び中間納付の金額が大幅に増加した影響です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6,682百万円の支出(前年同期は1,468百万円の支出)となりました。主に有形固定資産及び投資不動産の取得による支出5,452百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3,972百万円の収入(前年同期は4,433百万円の支出)となりました。主に短期借入金の純増加額5,254百万円、リース負債の返済による支出850百万円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

医療機関支援

16,179

△5.9

訪問看護

18,826

+8.4

報告セグメント計

35,005

+1.3

その他

205

△73.1

合計

35,210

△0.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務

諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、企業結合における無形資産の公正価値の測定、非金融資産の減損テスト、金融商品の公正価値の評価について、過去の実績や将来キャッシュ・フロー等を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積り及び予測を行っていますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合等の不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上収益)

 医療機関支援セグメントでは、既存の支援先医療機関によるM&A等により、当連結会計年度の支援先主要拠点数(期中平均)は91(前期比20拠点増)となりました。これに加えて支援先医療機関の事業の拡大等により業務受託報酬が増加しました。

 訪問看護セグメントでは、居宅訪問看護事業において、利用者数の増加に伴い、当連結会計年度ののべ総ケア時間は954千時間(前期比151千時間増)となりました。また、在宅ホスピス事業において、前連結会計年度に開設した在宅ホスピス施設の稼働率が上昇し、当連結会計年度において在宅ホスピス施設は8箇所増加しました。

 以上を主な要因として、既存サービスによる売上収益は24,423百万円(前期比20.1%増)となりました。

 一方、前連結会計年度から開始した医療機関支援セグメントの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業で実施している在宅治験、健康観察支援サービスを含んだ新規サービスの売上収益は10,787百万円(前期比28.0%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上収益は、35,210百万円(前期比0.3%減)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

 売上原価は、既存サービスの成長に伴い増加した一方、新規サービス関連費用が減少したため、21,434百万円(前期比1.7%増)となりました。この結果、売上総利益は13,776百万円(前期比3.3%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費や採用関連費用等の増加により、10,015百万円(前期比14.0%増)となりました。結果として、営業利益は3,683百万円(前期比0.1%増)となりました。

 

(金融収益、金融費用、税引前利益)

 金融収益は受取利息等により50百万円(前期比16.1%増)、金融費用は支払利息等の計上により99百万円(前期比1.0%減)となり、この結果税引前利益は3,634百万円(前期比0.3%増)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 法人所得税費用を1,230百万円(前期比12.3%減)計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,404百万円(前期比8.3%増)となりました。

 

③資金の源泉と流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、事業活動にかかる人件費、居宅訪問看護事業の新規拠点開設費用、在宅ホスピス事業の土地取得及び新規在宅ホスピス建設費用等です。必要な資金は主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと、エムスリー株式会社を頂点とする親会社グループのCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)からの借入により調達していました。現状はリファイナンスに切替え、外部より借入により資金調達を行っています。また、当社を頂点とする当社グループのCMSも導入しており、当社グループ内資金を当社が一元管理しています。各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針
 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のと

おりです。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。