第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】

1 本邦における受益権の事務等の概要

東京証券取引所に上場されている有価証券は、当社の普通株式を信託財産(受託有価証券)として信託受託者が発行する有価証券信託受益証券です。具体的には、当社は、JDR信託契約を2021年11月18日付で締結しており、JDR信託契約に基づき当社の普通株式が信託受託者に信託譲渡されることにより、本有価証券信託受益証券が発行されております。したがって、当社の普通株式は信託受託者が保有するものであり、当社の株主は信託受託者です。本有価証券信託受益証券を保有する投資家(以下、「受益者」といいます。)は当社の株主ではなく、日本の信託法及びJDR信託契約に基づく受益者としての権利を有することになります。また、信託受託者が、日本の信託法及びJDR信託契約に基づき、JDR信託契約に基づく信託の受託者として、本有価証券信託受益証券に関する事務を取り扱います。

(1)  証券の保管及び記録等(名義書換取扱場所及び名義書換代理人)

本有価証券信託受益証券は、原則としてその券面(受益証券)が発行されることはなく、社債、株式等の振替に関する法律第127条の2第1項に規定する振替受益権として、株式会社証券保管振替機構(以下、「証券保管振替機構」といいます。)により取り扱われます。具体的には、本有価証券信託受益証券が東京証券取引所において譲渡された場合には、東京証券取引所の会員である金融商品取引業者間では証券保管振替機構に開設した当該会員の口座間の振替が行われ、また、同一会員の顧客間の決済については、同会員に顧客が開設した証券取引口座間の振替が行われます。

本有価証券信託受益証券の譲渡は、信託受託者が保有する当社の普通株式の保有形態及び保有株式数に影響を与えるものではないため、本有価証券信託受益証券の譲渡がなされた場合でも、当社の株主名簿の変更は行われません。したがって、本邦において、名義書換取扱場所及び名義書換代理人は存在しません。

(2) 受益者に対する特典 …………なし。

(3) 受益権の譲渡制限  …………なし。

(4) その他の受益権の事務に関する事項

(イ)計算期間の終了

………

毎年12月末日

(ロ)権利確定日

………

信託受託者に対する配当及び信託受託者が有する議決権の行使等に関して受益者が有する権利については、信託受託者が当該権利が与えられる受益者を確定する日(以下、「権利確定日」といいます。)を設定し、権利確定日における受益者として証券保管振替機構から信託受託者に通知された者のみが、当該権利を与えられます。

(ハ)受益権の事務に関する手数料

………

信託受託者は、JDR信託契約に記載された信託報酬及び手数料並びに消費税及び地方消費税相当額を信託財産から収受することができます。また、受益者は、金融商品取引業者に証券取引口座を開設、維持するにあたり、証券取引約款に従って口座管理料等の支払をする必要がある場合があります。

 

 

2 受益者の権利行使方法

(1)  議決権行使に関する手続

信託受託者は、議決権行使に関して当社からの招集通知その他の一定の書面を受領した後、受益者のために作成した株主総会の招集通知及び議決権の行使にかかる指図書等の書面を受益権にかかる権利確定日時点の受益者に対して交付します。受益者は、所定の期日までに指図書を信託受託者に提出することにより信託受託者に指図を行い、信託受託者を通じて、その有する本有価証券信託受益証券が表章する当社の普通株式につき間接的に議決権を行使することができます。なお、受益者の指図がない場合には、その有する本有価証券信託受益証券が表章する当社の普通株式について原則として議決権は行使されませんが、信託受託者に対して当社の書面による要求がある場合には、信託受託者は、株主総会の定足数を満たすことを唯一の目的として、議決権等の行使につき指図を得られないすべての当社の普通株式にかかる議決権につき白票を投じます。白票として行使された議決権は、定足数の充足を確認するための有効投票数に算入されますが、議案に対する賛成票又は反対票のいずれにも算入されません。

(2) 剰余金の配当(株式の配当等を含みます。)に関する手続

ア 現金による配当

株主に配当金が支払われた場合には、信託受託者は、JDR信託契約に基づき、受領した配当金を円貨に変換し、変換された円貨総額から分配金支払に関する手数料(変換された円貨総額を本有価証券信託受益証券の総口数で除して得られる額のうち1円未満の端数に相当する額に本有価証券信託受益証券の総口数を乗じた額(消費税等が含まれます。)を上限とします。)を控除した残額を、本有価証券信託受益証券の総口数で除す方法により信託分配単価(1円未満の端数は切り上げます。)を算出し、これを基準として算出する信託分配額から源泉所得税(地方税を含みます。)を控除した残額を、受益者に分配します。

イ 株式配当・株式分割・株式無償割当て

株主に株式配当、株式分割、株式無償割当てが行われた場合には、信託受託者は、JDR信託契約に基づき、受領した株式に対応する新たな受益権を発行し、受益者に割り当てます。ただし、当該割り当てが困難であると合理的に見込まれる場合、信託受託者は、かかる株式配当、株式分割又は株式無償割当てにより取得した株式につき、当該受益者が保有する本有価証券信託受益証券の口数から、受益権付与率を除した口数の受託株式を受益者に対し交付するか、かかる株式配当、株式分割又は株式無償割当てにより取得した株式を適当な方法を用いてその裁量で処分して受領した金額を、他の金銭(もしあれば)と共に受益者に給付します。

ウ 新株予約権その他の権利

当社が株主にその他の権利(新株予約権を含みます。)の分配を希望する場合には、信託受託者は、当該権利の受益者への付与の適法性及び実行可能性について当社と協議し、JDR信託契約に定める一定の条件を満たす場合にはこれを受益者に分配します。他方、当該条件を満たさない場合にはこれを売却して受益者に分配するか、売却できない場合にはこれを放棄します。

(3) 本有価証券信託受益証券の移転に関する手続

受益者は本有価証券信託受益証券を東京証券取引所の取引により譲渡することができます。この場合、取引の決済は、上記1(1)の通り、証券保管振替機構に開設された金融商品取引業者の口座間の振替又は金融商品取引業者に開設された口座間の振替によって行われます。

(4) 配当等に関する課税上の取扱い 

ア 分配金

(ア)個人の受益者

個人が支払を受ける分配金については、以下の税率による源泉徴収が行われます。

2014年1月1日から
2037年12月31日まで

20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)

2038年1月1日以降

20%(所得税15%、地方税5%)

 

個人は、分配金の金額にかかわらず、申告不要とすること、確定申告により配当所得として申告分離課税とすること、又は総合課税とすることを選択することができます。申告不要とすることを選択した場合には、分配金の支払時に上記の税率による源泉徴収が行われ、源泉徴収された税額のみで課税関係は終了します。確定申告により配当所得として申告分離課税とすることを選択した場合には、上記の税率が適用されますが、上場株式や一定の公社債等の譲渡損失と損益通算をすることができます。

なお、少額投資非課税制度(NISA)につきましては、下記ウをご参照ください。

(イ)法人の受益者

法人が支払を受ける分配金については、以下の税率による源泉徴収が行われます。

2014年1月1日から
2037年12月31日まで

15.315%(所得税及び復興特別所得税のみ)

2038年1月1日以降

15%(所得税のみ)

 

分配金は、益金として法人税の課税所得に算入され、課税されます(源泉徴収された所得税の額は、法人税の額から控除されます)。

(ウ)租税の取扱い

上記(ア)及び(イ)に記載した課税とは別に、シンガポール企業から支払われる分配金や配当金を受領する際に現地源泉税は課されません。

イ 譲渡損益

(ア)個人の受益者

本有価証券信託受益証券の譲渡益については、源泉徴収を行う特定口座を選択した場合を除き、源泉徴収は行われず、以下の税率による申告分離課税となります。また、本有価証券信託受益証券の譲渡損失は、上場株式等に係る配当所得(申告分離課税を選択したものに限ります。)と損益通算をすることができます。

2014年1月1日から
2037年12月31日まで

20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)

2038年1月1日以降

20%(所得税15%、地方税5%)

 

他方、源泉徴収を行う特定口座を選択した場合には、譲渡時に上記の税率による源泉徴収が行われ、源泉徴収された税額のみで課税関係は終了します(確定申告は不要です。)。

なお、少額投資非課税制度(NISA)につきましては、下記ウをご参照ください。

(イ)法人の受益者

譲渡益は益金として法人税の課税所得に算入され、課税されます。他方、譲渡損は法人税の損金に算入されます。

(ウ)本有価証券信託受益証券の普通株式への交換

受益者が本有価証券信託受益証券を当社の普通株式に交換した場合には(下記「(6)普通株式への交換」を参照)、当該交換時において譲渡損益が認識され、①個人の受益者については、上記(ア)と同様に扱われ、②法人の受益者については、上記(イ)と同様に扱われます。

ウ 少額投資非課税制度(NISA)

少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」は、非課税制度の1つです。NISA(成長投資枠)をご利用の場合、成長投資枠の非課税保有限度額(総枠)1,200万円の範囲内で、毎年240万円を上限として新たに購入した上場株式等から生じる配当所得及び譲渡所得が非課税となります。ご利用になれるのは、成年の方で、非課税口座を開設するなど、一定の条件に該当する方が対象となります。ただし、NISAをご利用の場合において分配金を非課税とするためには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。他の口座で生じた配当所得及び譲渡所得との損益通算はできません。

エ 相続税

本有価証券信託受益証券を相続し又は遺贈を受けた日本の居住者である個人には、日本の相続税法に基づき相続税が課せられます。

※ 上記内容は、本書提出日現在において施行されている法令に基づくものであり、法令が改正された場合には、内容が変更される場合があります。

※ 課税上の取扱いの詳細につきましては、税務専門家に確認されることをお勧めします。

(5) その他の報告

信託受託者は、計算期間ごとに信託財産状況報告書を作成し、原則として東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスにより開示します。

(6) 普通株式への交換

受益者は、本有価証券信託受益証券が上場されている間(ただし、受託者がそのホームページ上で指定する時期又は期間を除きます。)、受託者の指定する金融商品取引業者(以下、「指定転換販売会社」といいます。)に申し込むことにより、自己の有する本有価証券信託受益証券について、受益権付与率に応じた株数の当社の普通株式と交換することができます。受益者は、かかる交換により当社の普通株式を取得した場合には、当社の株主となり、当社の株主としての権利を行使することができます。なお、当該交換時において譲渡損益が認識されるため、課税が発生する可能性があります(詳しくは、上記「(4)イ(ウ)本有価証券信託受益証券の普通株式への交換」を参照)。

もっとも、本有価証券信託受益証券と当社の普通株式との交換には、以下の制約があります。

まず、当該交換申込を行う本有価証券信託受益証券の口数に対応する当社株式の株数が整数でない場合には、整数になる限度においてのみ交換されます。

次に、法令等による制約又は実務上の理由により受益者又は指定転換販売会社が本有価証券信託受益証券の交換により交付される当社株式を受領することができない場合、交換は行われません。

さらに、受託者は、受益者が負担すべき手数料(受益者毎に1回あたり5,000円)並びにそれに係る消費税等の相当額の入金が確認できない場合その他信託契約に定める場合又は受託者が必要若しくは有用とみなした場合には、交換は行われません。