第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針と経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境は、Society5.0時代の到来と生成AIをはじめとする急速なデジタル化により、中長期的な追い風を受けています。特に日本のみならず世界規模で、企業が求める人材と実際に提供される人的資本とのミスマッチが社会的課題として顕在化しています。しかし、この課題に効果的な解決策を講じることが困難な理由は、多くの国や自治体、企業、教育機関がこの問題を定量的に捉える仕組みを有していないためです。

 このような背景のもと、日本では2023年3月期より有価証券報告書への人的資本情報の開示が義務付けられ、企業による人的資本の定量化と投資やその情報開示は今後ますます加速することが予想されています。また、教育分野においても、文部科学省が推進する学校におけるDXの加速化や生成AIの急速な進捗に伴い、社会で求められる能力の変化を背景に、新たな教育環境構築の機運が高まっています。

 当社グループは、こうした社会課題を解決するため、これまで人的資本を「GROW」という独自システムにより多面的に定量化し、小学生から企業経営層までをシームレスに繋ぐ「人的資本システム」を構築してきています。2025年3月末時点で120万人を超える累計ユーザーを持つ企業向けGROW360や学校向けAi GROWなどを中心に、個人の成長を定量的に把握し、個別最適化された教育・研修プログラムの提供や、企業内の人材マッチング、人的資本経営の支援サービスを展開しています。

 中長期的には、日本を起点に海外への展開を進め、当社グループが構築する人的資本システムを世界標準とすることを目指しています。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指す中で、売上高成長率及び営業利益率を重視しており、具体的には、売上高成長率30%台、営業利益率25%以上を経営目標として掲げております。

 また、海外売上比率の向上なども重視し、収益構造の強化に取り組んでまいります。HR領域でGROW360を継続利用いただく大手上場企業数を100社、教育領域でAiGROW利用学校数を1,000校、グループ海外売上比率を20%、といった目標数値を2028年3月期までに実現することを目指します。

 また、「誰しもが公平な評価を受け、平等な教育機会を得ることができ、自らの評価・教育の履歴を社会で活かし、活躍の機会を生み出すことができる。」世界を目指しています。そのために国内外の産官学連携を強化しつつ、多様な質の高い教育へのアクセス率や就業率向上を目指しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、人的資本課題を解決するGROWシステムを基盤とし、段階的な成長戦略を描いています。

 第1段階として、2026年3月期は日本国内での基盤強化を目指します。企業と学校の人的資本課題をGROWを中心に解決し売上を着実に伸ばしコスト構造を大幅に見直し、黒字化を目指します。

 GROW360やAi GROWに代表される人の多面的能力データの常時取得していくことに加え、ブロックチェーンのトレーサビリティ機能を利用し個人が自らの情報を主体的に安全にコントロールできるようにし、トークンを媒介とした個人の成長データの流通をもとに、持続可能な社会に向けて適切にインセンティブ設計を行える社会の実現を目指しています。

 また、AIを活用した能力評価と教育エンジンを搭載し、かつ個人が主体的に安全に情報をコントロールするプラットフォームの提供を通じて、幼少期から社会人までシームレスに能力成長を評価し、AIで個別化された教育や人材研修・配置、また企業間での人材紹介まで、持続可能な社会に向けたコミュニティの構築に努めてまいります。

 これらの戦略を推進するために、当社グループは、強力な参入障壁となるビッグデータ資産(約1.7億レコード)、独自開発のアルゴリズム・知的財産(特許取得済み6件・出願済み12件)、ネットワーク効果等を活用し競争優位性を高めています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社では、社会基盤たるプラットフォーマーへの変容を実現するために取り組むべき課題を下記のとおり認識しております。これら経営課題を克服するためにも、社会的信用度・知名度の向上、内部管理体制の整備・充実による経営管理体制の充実・強化等が重要と考えております。

① 優秀な人材の確保・育成

 当社グループは、事業領域の拡大に伴い高度化する人材ニーズに応えるため、採用・育成・活用を一体で推進する統合タレント戦略を採っています。外部採用については、専門性が不可欠なポジションに的を絞ることで採用単価の上昇を抑えつつ、即戦力を確保します。その一方で、既存社員のポテンシャルを最大限に引き出すことを成長エンジンと位置づけ、European Skills, Competences, Qualifications and Occupations(ESCO)を基盤としたスキルマップに自社独自のジョブレベルを重ね、全社員のスキルと期待水準のギャップを可視化しました。可視化したギャップに対しては、OJT・研修を組み合わせたリスキリング投資を短期集中で実行し、計画的な配置転換と連動させて組織全体のスキル底上げを図っています。さらに、柔軟な働き方を支えるリモートワーク制度や福利厚生を活用し、エンゲージメントと生産性を高めながら、中長期的には採用依存度の低減と総人件費の最適化を実現し、企業価値の持続的向上につなげてまいります。

 

② 組織体制の強化

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図り、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。

 

③ 積極的なサービス開発

 当社グループは、評価・教育という軸で多面的に個々人の成長をサポートすることを生業としております。

 生成AIをはじめとする先端テクノロジーの台頭により、人材育成の手法とスピードは刻々と進化しています。こうした変化を好機と捉え、当社は既存サービスの機能拡充を継続するとともに、最新技術を取り込んだ新サービスを適時・迅速に開発し、市場へ提供してまいります。

 

④ テクノロジーの強化

 AI、そしてWeb3領域の技術革新は加速度的に進展しており、競争優位を維持するには迅速かつ柔軟な対応が不可欠です。当社は、イ.高度人材の計画的採用・育成 ロ.生成 AI・ブロックチェーン/Web3・セキュアデータ基盤など先端技術への継続投資と外部連携 を二本柱に、革新的なサービスを安定的に供給できる技術体制を整備します。これにより、AIとWeb3を融合させた新たな顧客価値の創出を継続し、企業価値のさらなる向上につなげてまいります。

 

⑤ 財務基盤の強化

 当社グループは、成長と同時に継続的な事業の拡大を図るため、内部留保にとどまらず、金融機関との関係性に加え、戦略的パートナーの拡大を通じ、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

⑥ 海外展開

 当社グループは、国際機関やグローバル企業との連携のもと、グローバルサウスを中心に実証的な取り組みを既に進めており、一定の成果を上げています。今後は、これらの知見を活かしつつ、事業展開の地域をさらに拡大し、また海外の知見を利用した新しい事業可能性も探り、中長期的な成長機会を見据えたグローバル戦略を強化します。

 具体的には、徹底した市場調査により各地域のニーズや制度・商習慣を正確に把握し、競合他社との優位性を見極めたうえで、最適な事業モデルを構築します。また、現地の信頼できるパートナー企業や専門家との関係を強化し、持続可能な協業体制の構築を図ります。

 さらに、既にプロジェクト単位で確保しているグローバルな視点を持つ人材や社内の専門人材を効果的に活用しながら、製品やサービスのローカライズ、各国の法規制への対応を適切に行い、現地に根ざした展開を推進します。スキルマップや人材データを活用し、事業内容や地域ニーズに応じた適切な人材配置を行うことで、人的リソースの最適化を図ります。加えて、製品やサービスのローカライズと各国の法規制遵守を徹底し、現地市場に適したサービス提供体制を整備します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、企業価値を最大化する重要な要件として、社内外のサステナビリティ推進に積極的に取り組んでいます。

 「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことを企業パーパスとし、SDGsで掲げられる17の目標のうち、特に、「4. 質の高い教育をみんなに」、「5. ジェンダー平等を実現しよう」、「8. 働きがいも経済成長も」、「10. 人や国の不平等をなくそう」を優先課題としています。

 サステナビリティに係る方針や戦略の検討、立案については、取締役、執行役員及び代表取締役会長が指名した者をもって構成する経営会議及び執行会議にて行っております。執行会議には各部門の責任者が出席しており、各部門が連携し、サステナビリティへの取り組みを推進しております。また、重要な案件については取締役会で審議を行い、適切な意思決定と監督を行うことで、実効性を確保しております。

 当社は、「リスク管理規程」を設定し、その全社的な推進や情報の共有化等を検討する体制の強化を図っております。また、代表取締役会長を委員長とするリスク管理・コンプライアンス委員会を設置しています。原則として四半期に開催し、リスクの評価、対策等、サステナビリティを含めた広範なリスク管理に関する協議を行い、具体的な対応策を検討しております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して認識された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、事業にも密接にかかわる人的資本であると認識しています。人的資本に係る当社グループの戦略、指標及び目標は、次のとおりです。

① 戦略

 当社グループは、Beyond Education Company「評価×教育×金融で世界中に教育を届ける」をコンセプトに、国際機関等と連携し、グローバルサウスと日本を繋ぐ評価×教育×金融の持続可能な次世代人財育成基盤を作る事業を、当社グループの3事業の連携により推進していきます。

 市場拡大(グローバルサウス展開の実現・プラットフォーム/Web3事業におけるビジネスモデル拡張)、顧客基盤の拡充(クロスセリングとアップセリング戦略・パートナーシップと連携)、技術革新(DIDによる教育や職歴履歴の活用)を軸とした成長戦略を通じて、経営目標である売上収益成長率30%台、平均営業利益率25%以上の持続的な成長を実現していくためには多様かつ優秀な人財が不可欠です。人的資本の最大化を最優先課題とし、従業員一人ひとりの成長を支援することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

<人的資本戦略>

 当社グループは、優秀な人財の採用と育成を戦略的な投資と位置づけています。当社グループの事業は、社会全体の人的資本の成長に貢献するシステム構築を目指しており、全社一丸となって取り組んでいます。

 具体的には、企業価値への貢献を「人的資本(能力)」と「人的資本の発揮度(環境)」の掛け合わせと捉え、効果的な人財戦略を推進しています。これはベッカー教授の人的資本理論に基づき、一橋大学大学院の研究会が提唱するモデルです。企業戦略に基づき、スキルの習得と活用を含む人的資本(能力)を定義し、ROIを意識した投資を行うことで企業価値の最大化を図っています。また、人的資本を効果的に発揮するための環境整備とリスク管理にも力を入れています。

 

 

■ 人的資本と企業価値のフレームワーク

 

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[人的資本(能力)への投資]

 既存の従業員には、下記に示す通り中長期的な事業戦略実施を行う最適人的資本を目指し、継続的なスキルアップとキャリア開発のため積極的な投資をしています。営業・事業開発・カスタマーサクセス・開発・マネジメントの各領域で、それぞれの業務特性に合わせた専門研修を実施し、スキル水準の底上げを図っています。とりわけ営業力強化やBtoBマーケティング、アジャイル開発、ロジカルシンキング、経営基礎といった研修は、スキルアップに着実な改善傾向をもたらしました。なお、費用面では厚生労働省の「人材開発支援助成金」をはじめとする公的補助制度を積極的に活用し、研修費用の一部を補填することでコスト効率にも配慮しています。

 また、中期的な事業戦略と照合しスキルマップの点検を行いました。各職種やレベルで求められる要件を精緻化した新版スキルマップは、今期以降の評価制度や配置検討の指針として運用を始めています。人的資本に対する投資効果は中長期で顕在化すると見込んでおり、半期ごとにモニタリングを行っています。

 採用に関しては、足元の事業環境を踏まえ、新規採用を限定し、既存組織の育成と最適配置を優先することで、事業環境の変化に対応できる体制を構築しています。

 生産性向上に直結するスキル領域への重点的な投資を行い、個々の成長と組織成果の連動性を一層高め、中長期的な企業価値向上につなげてまいります。

 

[人的資本の発揮度(環境)への投資]

 ダイバーシティの推進も重視しています。現在、女性管理職の比率は44.4%と高水準を維持しており、さらに引き上げる計画です。持続的な成長のため、従業員の成長意識の向上や幸福度、目標に向けたコミットメントの向上にも積極的に取り組んでいます。

 

[人財投資のROIについて]

 当社は、人財投資のROIを、短期的な財務インパクトのみならず、中長期的な企業価値向上に繋がる非財務指標(先行指標)の変化も含めて多角的に測定しています。

 2025年3月期は、将来の成長基盤構築のため研修投資を大幅に拡大しました(トレーニング費用:前年比8.9倍、一人あたり平均研修時間:46%増)。この投資の成果は、以下の企業価値向上につながる先行指標の改善に表れています。

(ⅰ)スキルレベルの向上:  重点強化職種であるセールス/コンサルタント職において、研修によりジュニアレベル(レベル2以下)の割合が減少し、レベル3の層が厚くなるなど、スキル水準の着実な底上げが確認できました。個人のスキルレベルと売上額には強い正の相関(相関係数:0.61)があるため、このスキル底上げは将来の業績向上の基盤となります。

(ⅱ)エンゲージメントの向上:従業員エンゲージメントスコアは、前期の65.1ポイントから66.8ポイントへと1.7ポイント改善しました。エンゲージメントの向上は、生産性の向上や離職率の低下を通じて、中長期的な企業価値に貢献します。

 

 

a.人的資本(能力)の最大化に向けた取り組み

 当社グループでは、人的資本理論の実証化研究会のフレームワークに基づき、従業員のスキルを定量化して管理し、能力の最大化を目指しています。スキルマップを活用して、各従業員のスキルレベルを明確にし、必要なトレーニングやキャリア開発プランを提供しています。さらに、スキルと業績の関連性を分析し、人的資本のROIを最大化するための施策を講じています。このような体系的なアプローチにより、従業員の持つ能力を引き出し、企業の成長と持続可能な発展を支えています。

 

イ スキルマップに基づいた人的資本(能力)の測定

 事業戦略をもとにグローバル基準(ESCO*)に従い、事業戦略達成に特に重要とされる11のコア職種(セールス/コンサルタント、データアナリスト、プロダクトマネージャー、エンジニアなど)について、8段階のスキルマップを作成し、社員のスキルレベルを評価しています。

*ESCO(European Skills, Competences, Qualifications and Occupations)とは、ヨーロッパ連合(EU)が推進する分類システム。スキル、能力、資格、職業を標準化し、EU加盟国内での労働市場の透明性を高めることを目的としています。ESCOは、教育、訓練、職業案内の分野での相互理解を促進し、労働市場と教育・訓練システム間の連携を強化するための共通言語を提供しています。

・社員のスキルレベルの測定:   定期的な評価を行い、社員の現在のスキルレベルを把握しています。これにより、各社員の強みと改善点を明確にし、個別のキャリアプランを策定します。

・業績とスキルレベルの関係性分析:スキルレベルと業績データを分析し、各スキルレベルが企業の成果にどのように寄与しているかを把握しています。

・必要なレベルの人財の確保:   分析結果を基に、企業戦略達成に必要なスキルレベルの人財を確保するためのトレーニングプログラムや採用戦略を策定しています。

 

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ロ スキルレベルと業績の関係性分析

 コア職種の現状の充足状況を可視化するために、コア職種に必要なハードスキルとソフトスキルをESCO基準に基づいて選定しています。次に、当社独自のアセスメント「GROW」によって各従業員が持つハードスキルのレベルを定量化し、それぞれのコア職種におけるスキルレベルを明確にしています。スキルレベルは以下のように設定されています。

スキル

レベル

説 明

上席者の指示や指導に従って、作業ができる

上席者の指示に従い、計画的に業務遂行できる

業務の基礎知識があり、一般的な業務の一部を担当できる

業務の基礎知識があり、一般的な業務全体を担当できる。他者の一般的な業務をチェックできる

広範な業務知識があり、イレギュラーな業務にも対応できる。他者の一般的な業務を指導できる

イレギュラーな業務を監督・指導しながら、案件をハンドリングできる

複雑な案件であっても、今後を見据え、戦略的に対応しつつ、成果に結びつけられる

複数の複雑な案件について成果を生み出しつつ、長期視点でビジネスの発展や作業プロセス改善に貢献できる

 この方法により、スキルレベルと業績の関係性を定量的に評価し、社員一人ひとりのパフォーマンスを正確に把握しています。

 

重点強化職種:セールス/コンサルタントの分析結果~ROIの把握

 当社グループでは、売上に直結するセールス/コンサルタント職を「重点強化職種」と位置づけています。今年度の分析でも、スキルレベルと売上との間に正の相関が確認され、スキル向上が業績に寄与する傾向が改めて裏付けられました。こうした分析から、人財投資のROIを把握することができます。

 

・個人の売上額とスキルレベルには正の相関関係がある。(相関係数:0.61)

・特に、スキルレベル3から4への移行は大きな売上増加に繋がる。スキルレベル4以上になると、売上が顕著に増加するため、特にレベル4以上を目指したトレーニングや教育プログラムが重要。

 

 現状のスキルレベル4以上の割合は42.9%であり、これを2027年3月末までに80%に引き上げることを目標としています。

 2025年3月期においては、レベル4以上の退職者および育児休業取得者の影響で比率は一時的に低下したものの、営業力強化研修の実施により、将来のレベル4候補者であるレベル3の従業員層は着実に厚みを増しています。

 この目標達成に向け、当社は以下の3つの施策を柱として、計画的に取り組んでまいります。

(ⅰ)重点的な育成(ボトムアップ)

 最も重要な施策として、層が厚くなったレベル3の従業員をレベル4へ引き上げるための実践的なOJTプログラムや、ハイパフォーマーによる個別のメンタリング制度を導入し、育成を加速させます。

(ⅱ)ハイパフォーマーのリテンション(流出防止)

 レベル4以上の従業員に対しては、新たな役割や挑戦的なプロジェクトへのアサイン機会を増やすとともに、成果に報いる報酬制度の改定も視野に入れ、定着率の向上を図ります。

(ⅲ)戦略的な外部採用(トップアップ)

 新規採用は限定的ですが、事業計画上、特に必要とされる場合には、即戦力となるレベル4以上のスキルを持つ人材をターゲットとした採用を機動的に行います。

 これら「育成」「リテンション」「採用」の三位一体の取り組みを通じて、目標達成の蓋然性を高め、持続的な業績向上に繋げてまいります。

 

ハ 具体的な取り組みと投資額

 職種レベルの引き上げを目標に、全社的に多岐にわたる研修・教育プログラムを実施するとともに、特定のスキルを持つ人財の採用を強化していきます。2026年3月期においては、これらの全社的な取り組みに16百万円を投資する計画です。

 この投資の効果(ROI)は、部門の特性に応じて、以下の二つの側面から評価します。

(ⅰ)業績へ直結するROI(セールス部門等)

 一つは、セールス/コンサルタント職のような、業績に直接的に貢献する部門への投資効果です。これについては、既に分析したとおり、スキル向上が個人の売上を大幅に向上させることがデータで確認されており、極めて高いリターン(投資額の約4.4倍の売上増)が見込めるものと判断しています。

(ⅱ)将来の事業基盤を強化するROI(開発部門等)

 もう一つは、開発部門のような、将来の事業基盤を強化する部門への投資効果です。ここでの投資目的は短期的な売上増ではなく、生成AIやブロックチェーンといった先端技術の獲得を通じて、他社にない独自のサービス開発力を維持・強化し、中長期的な競争優位性を確立することです。このリターンは、将来の新製品による収益や、開発サイクルの短縮によるコスト削減といった形で現れる、極めて重要な戦略的投資と位置づけています。

 このように、短期的なリターンと中長期的なリターンの両輪で投資効果を最大化し、企業価値向上を目指します。

 

■ 人的資本(能力)の最大化に向けた取り組みと投資額

戦略

実施内容

詳細

人財戦略投資額

人的資本(能力)の向上

研修・教育プログラム

各職種のハードスキルとコンピテンシーのレベルアップのために、内部研修を導入。例えばセールス/コンサルタントについては、コミュニケーション、タイムマネジメント、ビジネス分析、プロジェクト管理、リーダーシップ、問題解決、交渉、戦略思考の研修を予定。

16百万円

(セールス部分ROIは投資額の約4.4倍の売上増)

採用戦略

足元の事業環境を踏まえ、新規採用を限定。特定のスキルや高いスキルレベルを持つ人財をターゲットにした採用活動を強化。

キャリアパスの構築

全社員が半期ごとに成果目標・行動目標及び学び支援制度活用の方向性・及びそれに紐づくキャリアプランを設定、半期末に目標に対する達成度等を確認するサイクルを通じて継続的なキャリアパス構築を支援。

 

b.人的資本を発揮しやすい環境作りに向けた取り組み

 当社グループでは、従業員が能力を最大限に発揮できる環境作りを重視しています。その一環として、多様性とインクルージョンを推進し、すべての従業員が安心して働ける職場環境を整えています。また、ハイブリッドワークモデルを導入し、柔軟な働き方を支援することで、ワークライフバランスの向上を図っています。マネージャーとの定期的な1on1やフィードバックセッションを通じて、従業員の意見を取り入れ、職場環境の改善に努めています。これにより、従業員のエンゲージメントと生産性を高め、企業の持続可能な成長を実現しています。

 

イ DEI(Diversity Equity & Inclusion)の推進

 イノベーションにおいてDEIの推進は必須条件であり、特に男女のダイバーシティに関しては積極的に取り組んでいます。「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」において開示のとおり、ダイバーシティに関する指標において、当社は既に一定の基準に達しています。今後も高い水準(管理職に占める女性労働者の割合は40%以上、労働者の男女の賃金の差は90%以上)を目指します。

・正規雇用労働者の男女の賃金の差異:2025年3月期実績は87.2%。90%以上の高水準を目指します。

・女性管理職比率:         2025年3月期実績は44.4%。今後も40%以上の高水準の維持を目指します。

 

ロ 働き方の柔軟性、企業文化の醸成

 オフィスとリモートのハイブリッドワークモデルを採用し、必要に応じて柔軟に働ける環境を提供することで、生産性とワークライフバランスの向上を図ります。

 また、全従業員が会社のビジョンとバリューを理解し共感するため全社イベントを定期的に開催することで企業文化の醸成・エンゲージメントの向上、縦横ナナメの関係構築強化、帰属意識の醸成、セクションをまたいだ交流によるナレッジの共有を行います。

 

ハ エンゲージメントの向上

 従業員のエンゲージメントは、人的資本(能力)の発揮度を表す重要な指標と位置付けており、様々な取り組みを通じて従業員エンゲージメントスコアの向上を推進しています。その結果、エンゲージメントスコアは前期の65.1ポイントから66.8ポイントへと1.7ポイント改善いたしました。また、特に「成長」のコンピテンシー項目で高い結果が得られ、従業員の成長意欲の向上が見られました。

 今後、さらなるエンゲージメント向上を図るにあたり、特に以下の施策を重点的に推進してまいります。

・上司によるコーチングの強化:部長職の重点開発コンピテンシーに「ビジョン」と「影響力の行使」を設定し、組織全体のリーダーシップとコーチング能力の向上を図ります。これにより、上司がメンバーの成長をより効果的に支援し、エンゲージメントを高める好循環を創出します。

・キャリア開発機会の充実:  従業員一人ひとりのキャリア開発の機会をさらに拡充するため、上司とメンバー間の1on1を強化します。これにより、個人の目標設定と成長支援をきめ細かく行い、自律的なキャリア形成を促進することで、エンゲージメントの向上に繋げてまいります。

② 指標及び目標

a.人的資本に関する指標と目標

戦略

取り組み

指標

実績

(2024年3月期)

実績

(2025年3月期)

目標

2026年3月期

人的資本(能力)の向上

研修・教育プログラム

ミドルレベル以上充足率

*1

53.2%

48.6

65

採用戦略

採用充足率

100%

100

100

人的資本(能力)の発揮度の向上

DEIの推進

管理職に占める女性労働者の割合

42.9%

44.4

40以上を維持

労働者の男女の賃金の差

90.1%

87.2

90以上

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントスコア

*2

65.1

66.8

70

*1 当社スキルマップにおけるレベル4以上を「ミドルレベル」と定義。2025年3月期は、重点強化職種におけるレベル4以上の退職者等の影響により、一時的に低下しました。

*2 当社独自のアセスメント「GROW」によって計測した各従業員のコンピテンシーの中でエンゲージメントに関連すると考えられる2つのコンピテンシー「成長」「組織へのコミットメント」の自己評価より計測(100点満点)。

 

b.効果検証方法

 定期的な評価とフィードバック:社内アンケート、パフォーマンスレビュー、360度フィードバックなど。

 データ分析:         離職率、従業員エンゲージメント調査結果、トレーニング効果の分析。

 人財投資のROI:        人財投資によってスキルレベルのミドルクラス充足率が10%向上したかどうかを検証し、さらにスキルレベルの向上が売上の増加に繋がったかを分析します。この分析により、投資が実際にどの程度の収益を生んだかを明確にし、ROIを評価します。

 

 

③ リスク管理

・従業員の離職リスク管理:   従業員エンゲージメントを定期的に調査し、離職の兆候を早期に発見します。調査結果に基づいて、問題点を迅速に解決するためのアクションプランを実施します。

・キャリアパスと成長機会の提供:従業員のキャリアパスを明確にし、成長機会を提供することで、離職リスクを低減します。

・健康管理プログラム:     従業員の健康を維持するための健康管理プログラムを提供し、メンタルヘルスサポートを含む健康相談窓口を設置します。

・コンプライアンス研修:    従業員全員を対象にコンプライアンス研修を定期的に実施し、法令遵守と倫理的行動の重要性を周知徹底します。

・パフォーマンスリスク管理:  従業員のパフォーマンスを定期的にレビューし、改善点をフィードバックします。個別の目標設定とその達成度を評価します。

 

 当社グループは、以上の取り組みにより持続可能な成長を実現し、従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる環境を整えます。持続可能な社会の実現に向けて、当社グループは人的資本の最大化を最優先課題とし、従業員の成長を支援していきます。

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業環境に関するリスクについて

① HR関連市場について

 当社グループは、企業における人材マネジメント課題の解決に向け、人材評価サービスの提供を通じて、採用のみならず、人材の配置・育成・組織開発といった広範な領域にソリューションを展開しております。

特に近年では、国による人的資本開示の義務化や「人的資本可視化指針」の整備など、人的資本に関する企業の開示責任が高まっており、当社グループはこうした政策的動向に即したサービス提供を進めております。

こうした事業環境は当社の成長機会となる一方で、今後、社会的要請や制度の変化に適切に対応できない場合、あるいは企業ニーズとの整合を欠いたサービス展開となった場合には、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。

 

② 教育関連市場について

 当社グループの教育事業におきましては、文部科学省が提唱するGIGAスクール構想を背景とした教育のオンライン化やICT活用の推進により、当社が提供する教育支援サービスやアセスメントサービスの市場規模は、今後も一定の成長が見込まれます。加えて、近年では、就学前段階の子どもを対象としたアセスメントサービスの提供を開始するなど、提供対象の拡大にも取り組んでおります。

しかしながら、国の教育政策や補助金等の予算措置の変動、あるいは教育現場における環境やニーズの急激な変化に当社グループが適切に対応できない場合には、当社の教育事業の成長が阻害され、ひいては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 暗号資産(仮想通貨)・Web3関連市場について

 プラットフォーム/Web3事業においては、日々進化する技術やサービスの動向を踏まえ、当社グループではWeb3人材育成に向けた企業研修や、暗号資産を活用した予測市場関連サービスを展開しております。

他方で、暗号資産市場は価格の変動が大きく、急激な市場のボラティリティが事業に与える影響は無視できません。加えて、各国の法規制は依然として整備途上であり、規制の変更や新設が当社のサービス提供に影響を及ぼす可能性もあります。また、当社グループ事業の特性上、ブロックチェーン技術や暗号資産に関する高度な知見を有する人材の確保が重要な課題となっており、競争環境の中で適切な人材を確保・維持できない場合、事業の継続的な成長が損なわれるリスクがあります。さらに、業界全体でハッキングや不正流出などのセキュリティリスクが顕在化している状況を踏まえ、当社グループとしても継続的な技術的対策とリスクマネジメント体制の強化が求められております。これらの対応が不十分であった場合、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合等について

 基幹サービスである「GROW」は、AIを活用した特許技術を数多く利用した当社独自の人材評価システムで、子どもから大人まで同じ枠組みで非認知能力の測定が可能です。能力を可視化するための適正テスト等の競合サービス・企業は複数存在しておりますが、対象に関わらず一貫した基準で非認知能力を測定できるサービスは他になく、当社が市場自体を開拓している状況です。近年では、当社が出願していた技術の一部が特許登録に至るなど、知的財産の保護体制も進展しております。一方で、非認知能力に対する社会的関心の高まりにより、類似のサービスを提供する企業の参入も見られ、今後さらなる競争の激化が予想されます。

また、非認知能力の可視化にあたっては個人データを取り扱う側面があるため、個人情報保護に対する社会的要請の高まりにも対応が求められます。これらのリスクに対しては、技術的優位性の維持、個人情報保護体制の強化、顧客ニーズに基づくサービス改善を通じて対応を図ってまいりますが、これらに適切に対応できない場合、当社グループの事業活動および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 少子化による影響について

 教育事業におきましては、主に、中学校、高等学校等の教育機関に対しサービスを提供しております。長期的には、少子化の影響により利用者が減少する可能性があるものの、上述のとおり、当社が提供しているサービスの市場規模は、今後拡大することが見込まれます。

 しかしながら、今後、少子化が急速に進展した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑥ 業績の季節偏重について

 HR事業におきましては、顧客企業の事業年度末に1年の報告や完了が求められる案件が多いことや、予算執行のタイミング、採用スケジュールの都合により、売上計上時期が3月に偏重する傾向があります。同様に、教育事業におきましても、主に、自治体から受注したプロジェクトにつきましては、事業年度末に報告や完了が求められるため、売上計上時期もしくは検収時期が3月に偏重しております。

 このため、検収時期の変動等により売上計上時期が翌期となった場合、もしくは3月度の売上が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 技術革新について

 当社はAIを活用した人材評価サービスを展開しておりますが、AIの分野は、全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社はそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めており、引き続きAIを活用したビジネスにより収益の拡大を図っていく所存でありますが、今後において技術革新のスピードやこれに伴う新たなビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化に、当社が適時適切に対応できない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 事業拡大に伴う継続的な設備・システム投資について

 当社は極めて速い技術革新のスピードに対応していくために、必要な研究開発資金を適時適切に投入するとともに、サーバ等の設備に順次投資を行っていく必要があります。

 今後、当社の想定を超える設備・システム投資が必要となった場合には、減価償却費の増加が利益を圧迫する可能性があります。また、設備・システム投資にもかかわらず、当社の想定を上回る急激な事業環境の変化等により、想定した投資効果を得ることができない場合には、固定資産に関して減損損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ システム障害について

 当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。そのため、自然災害や停電、事故等により通信ネットワークが遮断された場合には、サービスを提供することが不可能な場合があります。また、アクセスの一時的な増加による負荷増大によって、当社のサーバが停止し、サービス提供に支障が出る場合があるほか、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当社のシステムに重大な影響が出る場合があります。

 当社としましては、定期的なシステムのバックアップを実施するとともに、外部のデータセンターを利用することでセキュリティ強化や安定的なシステム運用ができるような体制の構築に努めておりますが、前述のような状況が発生した場合には、サービスの提供が困難になる可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 感染症の影響について

 当社では、HR事業において、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴うインターンシップの中止、企業収益の悪化による採用市場の停滞により、採用でのサービス利用に影響があった一方、教育事業においては、コロナ禍でのデジタル化が追い風となり、採用校が北海道から沖縄県まで全国に拡大いたしました。

 しかしながら、今後、同様のパンデミックの発生により社会経済活動が停滞し、営業活動が想定どおりに進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業運営・組織体制に関するリスク

① 特定人物への依存について

 当社創業者である代表取締役会長 福原正大は当社の経営において重要な役割を果たしておりますが、2024年6月の取締役会において、福原正大が代表取締役会長に就任し、長年取締役を務めてきた中里忍が新たに代表取締役社長に就任いたしました。中里社長は、これまで当社の経営や事業推進に深く関与しており、今回の社長就任により、当社の経営体制は一層強化され、持続的な成長を目指した体制が整ったものと考えております。

当社としては、代表取締役会長および代表取締役社長に過度に依存しない組織体制の構築を進めるとともに、人材育成及び経営基盤の強化に努めておりますが、両者が何らかの理由で業務執行できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、代表取締役会長の福原正大は慶應義塾大学及び一橋大学にて教授を兼務しておりますが、現状の講義数及び関与時間から見て、当社の事業運営に支障はないと考えております。

 

 

② 個人情報保護について

 当社は、人材評価システムを利用したサービスを提供しているため、顧客である企業の社員及び採用候補者及び顧客である学校・教育機関の生徒・学生に関する個人情報を扱っております。当社では、個人情報の保護に関する法令に従い個人情報の管理を行うとともに、情報セキュリティについて適切な保護体制を構築するため、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)及びプライバシーマークの認証を取得しております。しかしながら、個人情報の漏洩や不正利用等の事態が生じた場合、取引先からの契約の解除や損害賠償の請求、当社や当社のサービスに対する信頼性の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権について

 当社は、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っております。しかしながら、今後当社が属する事業分野において第三者の権利侵害が成立した場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社の知的財産が侵害された場合においても、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ONGAESHIプロジェクトに係る出資について

 当社は、2023年2月より、人材育成・採用一体型の新サービス「ONGAESHI」の実現に向けたONGAESHIプロジェクトに参画し、2023年10月より日本国内において事業を開始しております。その後、本プロジェクトの海外展開を見据えてシンガポールに設立されたBOUNDLESSEDU PTE.LTD.への出資を行い、さらに、同社の資金調達を目的とした匿名組合出資を実行いたしました。なお、当該匿名組合は連結の範囲に含めております。

 これらの出資は、本プロジェクトの海外展開推進を目的としており、当社グループの企業価値向上に資すると考えておりますが、同社の事業展開が想定どおりに進まなかった場合には、評価損等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 人材の確保・育成について

 当社が今後さらなる業容拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。現在も採用による人材の獲得に加え、入社後の社内研修や各種勉強会の開催、福利厚生の充実等、社員の育成および人材の流出に対応した各種施策を推進しております。なお、現時点では業績や経営環境を踏まえ、採用活動は選択的かつ慎重に進めておりますが、優秀な人材との出会いには柔軟に対応する方針です。加えて、社内における人材育成の強化にも注力しており、スキルマップに基づくジョブレベルの向上を通じて中核人材の育成を進めております。また、当社は社員の働きがいや組織への帰属意識の向上を重視しており、エンゲージメント向上に資する施策の導入や、社員の意見を可能な範囲で把握し一定の配慮を行う取り組みを推進しております。しかしながら、これらの施策が十分に機能せず、社員のモチベーションや組織への定着が低下した場合には、人材の流出や生産性の低下を招き、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。

 さらに、高度な技術を持つエンジニアやデータサイエンティスト等の人材の確保競争は激化しており、新規採用や社内育成が計画通りに進まない場合には、適正な人員配置が困難となり、競争力の低下や事業規模拡大の制約要因となる可能性があります。これらの状況は当社グループの事業及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

⑥ 小規模組織であることについて

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社では、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合やこれらの施策の遂行に要する費用等の負担が増大した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブ等を目的として、新株予約権を付与しているほか、今後も優秀な人材確保のため新株予約権を発行する可能性があります。現在付与されている、または今後付与する新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。また、新株予約権の行使により発行された株式が、一度に大量に市場に流入することになった場合等には、適切な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は688,000株であり、発行済株式総数4,509,300株の15.3%に相当します。

 

 

⑧ 配当政策について

 当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じた配当を実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当面の間は内部留保の充実を図り、内部留保資金につきましては、優秀な人材の確保や新技術の導入及び独自製品開発に向けた投資に充当し、企業価値の向上に努める方針であります。そのため、当社は、本書提出日現在では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

 

⑨ 訴訟等について

 当社グループは、現時点において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来において当社グループの取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、当連結会計年度において、想定と異なる市場環境やプロダクト上の課題に直面し、当初計画していた戦略を十分に適用できない状況が生じました。加えて、事業環境の変化に迅速に対応するための戦略転換が遅れたことや、これに伴う社内体制の再構築が期待された効果を十分に発揮しなかったことにより、前期比で大幅な減収となりました。その結果、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。また、新規事業であるプラットフォーム/Web3事業が外部環境の変化等により想定通りに進捗せず、3期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上いたしました。結果として、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 このような状況を打開し、財務状況及び事業基盤の早期健全化を図るべく、当社グループでは、以下の施策に重点的に取り組んでおります。

・プロダクトの安定供給

 HR事業におきましては、当連結会計年度において、開発業務を委託した海外外注先での品質・納期トラブルが売上未達の要因となりましたが、プロダクトの内製化により開発体制が安定し、人的資本コアサービス(コンピテンシー+スキル計測)の提供拡充を進めております。教育事業におきましては、生成AIを活用した探究指導モデルと「Ai GROW」を統合し、機能別プラン導入により、より多様な顧客ニーズに応えられる体制を整備してまいります。基幹プロダクトである「GROW360」及び「Ai GROW」の安定供給及びサービス品質の向上を図ることで、新規顧客の獲得及び既存顧客の継続率向上を実現し、既存事業の持続的な成長を確実なものとしてまいります。

・コスト構造の最適化

 役員報酬については2025年3月より20%の減額を行うとともに、プラットフォーム/Web3事業における転職支援サービスについては事業内容を抜本的に見直し、再構築を図っております。さらに、全社的なコスト構造改革を進めており、2026年3月期は前期比で15%のコスト削減を目標に掲げております。今後、これにより捻出される経営資源の一部を成長領域への再投資に充てることで、企業価値の持続的な向上を目指します。

・人的資本の強化と組織力の向上

 従業員一人ひとりの能力に応じたメリハリのある賃金体系の導入を進めるとともに、ROIの最大化を意識した採用・研修戦略の見直しを図っております。加えて、人員配置の最適化により、業務の効率化と戦略実行力の強化を図り、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織体制の確立に取り組んでまいります。

・財務基盤の強化

 キャッシュ・フローの安定化及び財務基盤の強化を目的として、資本提携を含む他企業との戦略的な提携関係の構築や、金融機関からの借入等、多様な資金調達手段について協議しております。これにより、将来の事業環境の変化に柔軟に対応可能な体制の整備を図るとともに、持続的な成長に向けた経営の安定性確保に努めてまいります。

 また、これらの取り組みに加え、当社グループは翌連結会計年度の資金繰り計画についても慎重に検討を行い、現時点において当面の資金繰りに重大な懸念はないものと判断しております。以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、768,846千円となり、前連結会計年度末に比べ323,410千円減少しました。これは主に、現金及び預金が310,045千円減少したことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、64,029千円となり、前連結会計年度末に比べ13,670千円減少しました。これは主に、未払金が4,887千円、未払費用が3,814千円、前受金が1,926千円、預り金が4,670千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、704,817千円となり、前連結会計年度末に比べ309,739千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が207,902千円減少したことによるものです。なお、減資及び欠損填補により、資本金が47,135千円、資本準備金が81,295千円減少し、利益剰余金が128,430千円増加しております。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が高水準を維持し、人材需要も全般的に堅調であるなど、緩やかな回復基調を示しました。一方で、日米金利差の拡大や米国の関税政策に起因する貿易摩擦、ガザ・ウクライナ情勢に伴う地政学リスクの高まりなどにより、企業の投資姿勢は慎重さを増し、不透明な経営環境が続きました。

 当社グループは、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」をパーパスとし、個人の能力を科学的に「見える化」し、その成長を支援するサービスを提供しています。具体的には、能力データを活用した学習教材や研修プログラムを学校・企業・自治体等に展開するとともに、個人が自身の能力データを安全に管理・活用できる次世代プラットフォームの構築にも注力しており、Web3技術を通じて、個人と組織の可能性を広げることを目指しております。

 人的資本投資については、2024年3月期より有価証券報告書における開示要件が拡充され、定量的情報開示の進展が見られましたが、実際の投資行動はなお限定的であり、人材採用や研修関連領域ではコスト抑制の動きが顕著となりました。その結果、当社のHR事業においても顧客企業の需要低下の影響を受け、一時的に業績が低迷いたしました。米国においてESG投資を巡る議論が分かれる一方、インパクト投資への注目が一層高まり、人的資本に対する期待が長期的には拡大する兆しを見せています。当社グループはこうした中長期的な市場動向を踏まえ、今後の持続的成長の基盤を整えるため、人材評価・育成サービスにおけるテクノロジー活用と、将来的な収益性改善に向けた取り組みを着実に進めています。

 教育市場においては、新学習指導要領を履修した第一期生が2025年度に卒業期を迎え、「探究的学習」と必修科目「情報Ⅰ」が定着しつつあり、大学入試でも探究型出題が拡大するなど、探究力とデジタルリテラシーへの需要が一段と高まっています。さらに、文部科学省・経済産業省等による「教育データの利活用」や「個別最適な学びの実現」に向けた政策支援が加速しており、各種補助金・実証事業を通じたEdTechの社会実装が進展しています。特に、生成AIや教育ビッグデータを活用した次世代教育モデルへの期待が高まる中、教育市場におけるデジタル評価ツールやオンライン学習サービスへの関心も拡大傾向にあります。当社グループはこうした市場環境の変化に対応し、学校・自治体・教育関連事業者との連携を強化し、データドリブンな教育支援の拡大を目指しています。

 暗号資産市場では、ビットコインやイーサリアムETFが米国証券取引委員会(SEC)によって承認され、さらに、米国大統領に再就任したドナルド・トランプ氏の政策的支援も追い風となり、市場の活況が期待されています。当社グループはブロックチェーン技術を活用した新規事業開発に取り組むことで、人材領域における一時的な業績低迷を補完するべく、新たな成長機会の創出に注力しております。

 売上高におきましては、想定と異なる市場環境やプロダクト上の課題に直面し、当初計画していた戦略を十分に適用できない状況が生じました。加えて、事業環境の変化に迅速に対応するための戦略転換が遅れたことや、これに伴う社内体制の再構築が期待された効果を十分に発揮しなかったことにより、前年同期比で減収となりました。

 コスト面におきましては、「GROW360」「Ai GROW」のAI精度向上や機能拡充、多言語対応、UI/UX改善等のソフトウエア開発及び研究開発活動や、サービス向上のためのマーケティング活動に加えて、人的資本(能力)の最大化に向けた人財戦略投資にも継続して取り組んでおります。一方で、テレワークを推奨し、コスト最適化に努めました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は602,926千円(前年同期比34.2%減)、営業損失303,135千円(前年同期は営業損失21,667千円)、経常損失295,946千円(同 経常損失21,012千円)、親会社株主に帰属する当期純損失336,333千円(同 21,171千円)となりました。

 

 セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。

 なお、報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。報告セグメントの利益(又は損失)は、営業利益(又は損失)ベースの数値であります。

HR事業

 HR事業では、AI搭載エンジンにより社員や採用候補者の気質・コンピテンシー・スキルを科学的に測定して能力を可視化する「GROW360」を利用したサービスを主に大手企業向けに提供しております。また、人的資本の情報開示に向けた政府の議論が加速する中、2023年3月期から3年連続で産学協働の「人的資本理論の実証化研究会」を運営支援しております。しかし、新プロダクトの品質・納期トラブルにより当連結会計年度の当プロダクトでのサービス提供を断念したことや研究会の参画企業数の減少等により、売上高が減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は238,249千円(前年同期比30.4%減)、セグメント損失は21,895千円(前年同期はセグメント利益130,209千円)となりました。

 

教育事業

 教育事業では、生徒の多様な能力とその成長に加え、各種教育活動の教育効果を可視化する評価システム「Ai GROW」、生徒のコンピテンシー育成のための動画コンテンツ「GROW Academy」、オンライン英語学習プラットフォーム「e-Spire」、高等学校含め全面実施となった新学習指導要領下で重視される探究型学習の効果を網羅的に評価する「探究力測定パッケージ」、株式会社JTBと開発した教育効果システム「J’s GROW」、株式会社内田洋行と開発した「Ai GROW Lite」を提供しております。経済産業省の「働き方改革支援補助金2024」、文部科学省の「最新先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業」にも採択されました。また、国際機関との連携によるアジア地域での非認知能力に関する共同研究、ヤマハ株式会社との連携によるコロンビアやインドをはじめとした国外市場における「Ai GROW」での海外展開を推進しております。

 この結果、当セグメントの売上高は308,698千円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益は97,862千円(前年同期比2.5%減)となりました

 

プラットフォーム/Web3事業

 Web3領域における市場環境の追い風を受け、2027年3月期でのIEOを目指して事業を推進しております。人材育成・採用一体型の「ONGAESHIプロジェクト」による転職支援サービスを提供するとともに、当プロジェクトの海外展開を見据えて設立されたシンガポール法人「BOUNDLESSEDU PTE.LTD.」に対し、資金調達を目的とした匿名組合出資を行い、当法人と連携し、コンサルティングサービスの展開を行っています。また、秘密計算、ゼロ知識証明といった先端技術への取組みを強化しております。しかしながら、転職支援サービスについては外部環境の変化等により想定通りに進捗せず、また、前年同期にシステム売却による売上高を計上した影響により、売上高は減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は55,978千円(前年同期比80.0%減)、セグメント損失は146,920千円(前年同期はセグメント損失38,912千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて310,045千円減少し、321,597千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は、225,078千円(前年同期は258,562千円の使用)となりました。これは主に、減損損失の計上38,096千円、売上債権の減少額92,253千円があったものの、税金等調整前当期純損失の計上334,043千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、83,946千円(前年同期は26,084千円の使用)となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入26,000千円があったものの、ソフトウエア開発に伴う固定資産取得による支出15,258千円、投資有価証券の取得による支出75,000千円、暗号資産の取得による支出19,687千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、1,022千円(前年同期は2,662千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の発行による収入450千円があったものの、新株予約権の発行による支出1,590千円があったことによるものです。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

HR事業

252,469

84.3

29,471

193.2

教育事業

302,824

92.4

130,047

95.7

プラットフォーム/Web3事業

57,247

20.2

4,158

143.9

合計

612,540

67.3

163,677

106.2

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

HR事業

238,249

69.6

教育事業

308,698

104.8

プラットフォーム/Web3事業

55,978

20.0

合計

602,926

65.8

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

BOUNDLESSEDU PTE.LTD.

250,000

27.3

32,405

5.4

経済産業省

99,673

10.9

59,271

9.8

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 売上高は602,926千円(前年同期比34.2%減)となりました。セグメント別の売上高については次のとおりとなっております。

HR事業

 HR事業では、AI搭載エンジンにより社員や採用候補者の気質・コンピテンシー・スキルを科学的に測定して能力を可視化する「GROW360」を利用したサービスを主に大手企業向けに提供しております。また、人的資本の情報開示に向けた政府の議論が加速する中、2023年3月期から3年連続で産学協働の「人的資本理論の実証化研究会」を運営支援しております。しかし、新プロダクトの品質・納期トラブルにより当連結会計年度の当プロダクトでのサービス提供を断念したことや研究会の参画企業数の減少等により、売上高が減少いたしました

 この結果、当セグメントの売上高は238,249千円(前年同期比30.4%減)となりました。

 

教育事業

 教育事業では、生徒の多様な能力とその成長に加え、各種教育活動の教育効果を可視化する評価システム「Ai GROW」、生徒のコンピテンシー育成のための動画コンテンツ「GROW Academy」、オンライン英語学習プラットフォーム「e-Spire」、高等学校含め全面実施となった新学習指導要領下で重視される探究型学習の効果を網羅的に評価する「探究力測定パッケージ」、株式会社JTBと開発した教育効果システム「J’s GROW」、株式会社内田洋行と開発した「Ai GROW Lite」を提供しております。経済産業省の「働き方改革支援補助金2024」、文部科学省の「最新先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業」にも採択されました。また、国際機関との連携によるアジア地域での非認知能力に関する共同研究、ヤマハ株式会社との連携によるコロンビアやインドをはじめとした国外市場における「Ai GROW」での海外展開を推進しております。

 この結果、当セグメントの売上高は308,698千円(前年同期比4.8%増)となりました。

 

プラットフォーム/Web3事業

 Web3領域における市場環境の追い風を受け、2027年3月期でのIEOを目指して事業を推進しております。人材育成・採用一体型の「ONGAESHIプロジェクト」による転職支援サービスを提供するとともに、当プロジェクトの海外展開を見据えて設立されたシンガポール法人「BOUNDLESSEDU PTE.LTD.」に対し、資金調達を目的とした匿名組合出資を行い、当法人と連携し、コンサルティングサービスの展開を行っています。また、秘密計算、ゼロ知識証明といった先端技術への取組みを強化しております。しかしながら、転職支援サービスについては外部環境の変化等により想定通りに進捗せず、また、前年同期にシステム売却による売上高を計上した影響により、売上高は減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は55,978千円(前年同期比80.0%減)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

 売上原価は、主に人件費245,043千円、外注費91,910千円の計上により、405,803千円(前年同期比17.6%増)となりました。この結果、売上総利益は197,122千円(前年同期比65.5%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 販売費及び一般管理費は、主に人件費225,956千円、広告宣伝費及び販売促進費52,389千円、支払報酬81,020千円の計上により、500,258千円(前年同期比15.7%減)となりました。

 この結果、営業損失は303,135千円(前年同期は営業損失21,667千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常損失)

 営業外収益は、主に補助金収入18,991千円の計上により19,258千円(前年同期は805千円)となりました。

 営業外費用は、主に暗号資産評価損10,331千円の計上により12,069千円(前年同期は151千円)となりました。

 この結果、経常損失は295,946千円(前年同期は経常損失21,012千円)となりました。

 

 

(特別損益、法人税等合計、当期純損失)

 特別利益は、発生しておりません(前年同期は発生なし)。

 特別損失は、減損損失の計上により38,096千円(前年同期は発生なし)となりました。

 法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税の計上により2,290千円(前年同期は158千円)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は336,333千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失21,171千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員の人件費、ソフトウエア開発に係る外注費、販売費及び一般管理費の営業費用であり、現在、運転資金は自己資金で賄っておりますが、キャッシュ・フローの安定化及び財務基盤の強化を目的として、資本提携を含む他企業との戦略的な提携関係の構築や、金融機関からの借入等、多様な資金調達手段について協議しております。これにより、将来の事業環境の変化に柔軟に対応可能な体制の整備を図るとともに、持続的な成長に向けた経営の安定性確保に努めてまいります。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は321,597千円であり、当社グループの事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のための客観的な指標として、売上高、営業利益の成長性を重視しております。

 HR事業では、売上高を「顧客企業数」×「顧客あたりの売上」と捉え、高い売上高成長率の継続に向けて、「顧客数の最大化」と、「複数階層・全社利用や複数のサービスの提供による顧客あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 教育事業では、売上高を「採用学校数」×「顧客あたりの売上」と捉え、売上高と営業利益の両方で高い成長率を継続するべく、特に「採用学校数の積み上げ」と、「複数のサービスの提供による学校あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 プラットフォーム/Web3事業は、事業の立ち上げ期であり、短期的には計画どおりに事業を進めることを最優先に取り組んでまいります。

 セグメント別の各指標の推移は以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

売上高

(千円)

増減率

(%)

営業利益又は損失(△)

(千円)

増減率

(%)

HR事業

238,249

△30.4

△21,895

教育事業

308,698

4.8

97,862

△2.5

プラットフォーム/Web3事業

55,978

△80.0

△146,920

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの将来の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、今後更なる業容拡大と成長を遂げるには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。また、当社グループを取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は26,543千円であります。その内訳は、自社利用サービスのためのソフトウエアの機能拡充やUI/UX改善等であり、HR事業では、2,595千円、教育事業では、12,689千円、プラットフォーム/Web3事業では、10,817千円、全社費用が、440千円であります。

 なお、当社グループはHR事業、教育事業及びプラットフォーム/Web3事業の各セグメントから構成されておりますが、自社のビジネス開発部門にて全セグメントで共通して研究開発活動を行っているため、セグメント別の研究開発活動の概要は記載しておりません。