文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「報恩」を合言葉に「喜びや成長の糧となる環境を人々から与えられている事に感謝し、不撓不屈の精神で価値ある未来の創造に挑戦し続ける」ことを経営理念として掲げ、「不動産IT革命により不動産取引に関わる全ての人の満足を創造する」ことを事業理念としております。
当社は20年以上にわたって三大都市圏における新築マンションに関するパンフレット等の資料を収集し不動産データベースとして蓄積することで、新築マンションデベロッパー、不動産仲介事業者、不動産販売事業者、戸建て業者等の不動産に関わる事業者様に不動産マーケティングシステムを提供しております。一物四価と言われ価値の測定が困難な性質を持つ不動産に対して、当社は正確な裏付けのある不動産データベースとして整備することで、顧客が正確な不動産価値分析を行うことができ不動産取引を行う上での選択に確信を持っていただける不動産マーケティングシステムとして長年にわたりご活用いただいております。
また、当社は新築マンションのデータベースを日々更新・蓄積しており、保有する不動産データベースは、データ棟数62,241棟、住戸数2,645,495戸、パンフレット数40,024通、間取り数615,217件(2021年11月30日現在)となっております。当社では、この不動産データベースとAI(人工知能)や画像解析等のテクノロジーを活用し、不動産業界に変化を起こすイノベーターを目指し今後も新たな付加価値の創造に向けたチャレンジを続けて参ります。
(2)目標とする経営指標等
当社は持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な指標として売上高及び営業利益を重視しております。
また、当社は主力事業と位置付けるプラットフォーム事業において目標とする経営指標を設定しております。主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)においては平均顧客単価、平均顧客数、ARR及び解約率を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては平均顧客単価及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。
サマリネット及びリアナビは月額課金制サービスの比率が93.8%(2021年2月期実績)と高いことから、ARRを伸長させることが営業利益確保のために重要であると考えております。従ってARRを目標とする経営指標に設定するとともに、ARRの構成要素として平均顧客単価、平均顧客数及び解約率を目標とする経営指標に含めております。平均顧客単価を上げるためには、顧客の利便性の高いサービスを追加するとともに、SaaS型サービスへ移行していない賃貸サマリ、売買サマリ、統計サマリ等のSaaS型サービスへの移行を推進することで顧客単価向上を図って参ります。
データダウンロードサービスは従量課金制でありますが、売上高の構成要素として平均顧客単価と平均顧客数を目標とする経営指標に設定しております。当サービスにおいては、現在はパンフレット画像を中心に提供を行っておりますが、今後は顧客が求めるコンテンツをサービスに追加することで利用頻度を高めて一顧客当たりの単価の向上を狙っていく方針であるため、利用頻度を測定する意味で平均顧客単価を目標とする経営指標としております。
(注)サマリネット・リアナビ及びデータダウンロードサービスの経営指標の算定方法は以下のとおりです。
(3)経営環境
当社は、不動産マーケティングソリューション事業を行っており、当社の主要な顧客は新築マンションデベロッパー、不動産仲介事業者、不動産販売事業者、戸建て業者等であり、その大半が不動産業に関わっております。不動産業は、国民生活や経済活動の基礎となる住宅・オフィス・商業施設等の開発・流通・管理等を通じ我が国の豊かな国民生活経済成長等を支える重要な基幹産業であり、その産業規模は2017年度では売上高43.4兆円、法人数約33万社、従業者数134万人、国内総生産61.8兆円であります。(出典:不動産業ビジョン2030、国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会)
居住用不動産を取り巻く環境として、昨今少子高齢化に伴う人口減少及びそれに伴う空き家問題などが将来的な懸念として社会問題化しておりますが、政府が閣議決定した「住生活基本計画」(2021年3月)において「新たな日常」やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現や脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成等の目標が掲げられ、住宅の供給の在り方の大きな転換点を迎えております。
足元では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により景気の後退懸念や先行き不透明感が増しておりますが、低金利環境の継続と建築資材や人件費の高騰を受けて新築マンションの平均価格は2018年度5,786万円、2019年度5,955万円、2020年度6,039万円(首都圏の各年度に発売された新築マンションが対象、当社調べ)と堅調な推移を見せております。新築マンションの価格高騰により、中古マンション業界も活況を呈しており、首都圏の中古マンションの価格は、2010年度を100とする不動産価格指数において2018年度136.4、2019年度141.6、2020年度147.2(南関東圏におけるマンションが対象、出典:国土交通省)と値上がりが続いております。
また、金融政策においては日銀の物価上昇見通しは緩やかであり金融緩和政策が継続される(日本銀行『経済・物価情勢の展望』)と想定されており、引き続き既存住宅流通の拡大が後押しされる環境にあると認識しております。
かかる環境を踏まえ、当社ではプラットフォーム事業において新築マンション事業者(新築マンション領域)向けのサービスと不動産仲介事業者(中古マンション領域)向けの両方において売上高及び営業利益の向上を目指して参ります。
(4)経営戦略等
上記の経営環境を踏まえたそれぞれの領域における具体的な経営戦略は以下のとおりであります。
新築マンション領域においては、不動産マーケティングシステムとしてサマリネット及びリアナビを提供しておりますが、これらのサービスは主に用地仕入れや企画・マーケティング部門においてご活用いただいております。用地仕入れ時の事業計画策定、市場調査レポートの作成、競合物件調査等を短時間で行うことができる利便性の高いシステムであることから、新築マンションの年間供給戸数ランキング(2020年度、当社調べ)における上位50社中48社に導入いただいております。
2021年2月期より、従来クライアントサーバ型システムにて提供しておりました不動産マーケティングシステムの主力サービスである「マンションサマリ」のSaaS型サービスへの移行を進めており、顧客が場所や端末を選ぶことなく業務を行うことができる環境を整備いたしました。コロナ禍にあって当社の顧客企業においてもリモートワーク等のオフィス以外で業務を行うニーズが急速に高まっておりますが、そうしたニーズへの対応として当社のサービスのSaaS型へのリプレイスが進んでおります。このSaaS型サービスへのリプレイスにより、月額課金制サービスの年間売上高(ARR)の増加を見込んでおります。今後は、「マンションサマリ」以外のサービスについても順次SaaS型サービスへのリプレイスを進めて参りますが、SaaS化により当社サービスの利用者(利用アカウント)の増加を図ることによってクロスセルの機会として活用し、平均顧客単価の向上を推進して参ります。
中古マンション領域においては、当社が長年収集してきた新築マンションの販売時のパンフレットを仲介業者向けにデータとして提供しているもので、売上高は2020年2月期には前期比177%、2021年2月期には前期比185%と成長しております。当社は新築マンション分譲時のコンセプトブックと図面集を含むパンフレット画像を提供しており、不動産仲介事業者様には物件チラシや需要事項説明書の作成、顧客への営業資料作成、広告出稿用の間取り作成、物件査定等にご活用いただいております。類似サービスを提供している競合企業が1社ございますが、サービスのコンセプトが若干異なること及びそれぞれが従量課金制のサービスを提供していることから、共存可能な状況あると認識しております。また、独自性の高いサービスであることから、競合企業の新規参入は想定しておりません。
中古マンション領域における今後の成長戦略としては、①契約社数の増加、②コンテンツの増加の二つの軸での成長を見込んでおります。
①契約社数の増加について
現在2,044社(2021年11月30日現在)のサービス契約社数を引き上げることにより、データダウンロードサービスの売上拡大を図って参ります。当サービスを共同運営している株式会社ワンノブアカインドと協力しながら、三大都市圏でのサービス認知度を高めて利用を促進していく方針です。三大都市圏における宅地建物取引業者数は約73,000業者(注1)ございますが、中古マンションの仲介事業を積極的に行っている約36,000業者(注2)をターゲットとして想定しております。
②提供コンテンツの増加について
データダウンロードサービスの契約社数を増やす活動と並行して、ご利用いただけるコンテンツを追加することにより顧客単価の向上を図って参ります。当社が保有しているデータベースを元に、仲介事業者様が広告作成用の素材として利用可能なコンテンツの追加を計画しております。現時点では顧客の広告用の図面作成業務を不要とする間取り図面や広告・資料等に利用できる物件の外観写真等の追加を予定しておりますが、将来的には仲介事業者様の業務効率向上に貢献するコンテンツを提供するためのプラットフォームとして発展させていく方針です。
(注)1.一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表データから埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の宅地建物取引業者数を集計しております。
2.三大都市圏にて中古マンションの仲介事業を行っている事業者を、当社独自に抽出・集計しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 安定的な収益基盤の強化
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により景気の先行き不明感が増す中で、既存サービス品質の維持及び機能強化を図ると同時に、顧客のニーズにあった新たなサービスの開発を行うことで、継続的な収益を確保しつつ、今後の持続的な成長実現のための、安定的な収益基盤の確保と強化が必須であると考えております。
今後、特に注力していくのは、当社の中核事業であり今後も高い成長が期待されるプラットフォーム事業でありますが、新築マンション領域と中古マンション領域のそれぞれにおいて収益拡大を進めて参ります。
② 優秀な人材の確保及び教育研修の実施
当社は、今後より一層の事業拡大のために優秀な人材の採用、育成が重要な課題であると認識しております。当社はこれまで、少人数での効率的な組織運営を優先し人材採用を積極的には実施してきませんでしたが、リモートワーク可の勤務形態への転換及び四半期毎の人事評価制度の導入等、従業員が主体的に勤務できる魅力ある職場づくりを推進してきました。
今後、プラットフォーム事業における業容拡大が見込まれることから、中途採用を積極的に実施していく方針であります。特に重点を置いているのがシステム開発部門の技術職の採用であり、システム開発要員の増員を通じてサービス開発力を一層強化していきたいと考えております。また、新たに入社した社員に対しての研修・教育制度を整備することで、短期間で成長し活躍できるような体制づくりを行って参ります。
③ 内部管理体制の強化
当社は、今後より一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築・運用を通じて、企業価値の最大化に努めて参ります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1)事業環境等に関するリスク
①業界及び顧客の動向に関するリスク
当社は不動産業界に特化したプラットフォーム事業及びデジタルマーケティング事業等を行っており、当社顧客は不動産業界に集中している状況にあります。不動産業界の中でも新築マンションデベロップ事業者、新築戸建て事業者及び不動産仲介事業者等に向けたサービスを創業以来提供しておりますが、不動産業界全般の景気や、不動産業界におけるシステム投資の状況によって、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後において、不動産業界に対する規制環境の変化や業界各社の対応に何らかの変化が生じた場合、同様に当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社としましては、新築マンション業界と中古マンション流通業界の両方をターゲットとしてリスク分散を図ること及びより利便性の高い新規サービスを提供することにより、上記のリスクへの対応を図って参ります。
②インターネット広告商品の変化について
当社がデジタルマーケティング事業で取り組んでいるインターネット広告は、その手法が日々進化しておりますので、当社の取り扱うリスティング広告及びディスプレイ広告等のインターネット広告商品の相対的価値が低下することで、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。その対応策として、当社ではスマートフォンなどの新たなデバイス向けの広告商品やFacebook広告やYoutube広告等のSNS広告の取扱いもスタートして、顧客ニーズをいち早く捉えるべく新規広告商材への取り組みを進めるなど対応を図っております。しかしながら、これらの広告商品への対応が著しく遅れてしまった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③新型コロナウイルスの影響について
新型コロナウイルスの感染再拡大により、経済活動が規制されたり停滞したりすることが懸念されております。当社は、主として不動産会社向けにオンラインによるデータ提供サービスを行っていることから新型コロナウイルスの影響を受けにくいと考えておりますが、想定を超える感染拡大が発生した場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④技術革新について
当社のサービス提供にはインターネット環境が不可欠ですが、インターネット業界は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が激しく、新しいサービスが逐次産み出されている中、当社も積極的に最新の情報の蓄積、分析及びサービスへの新技術の導入に取り組んでおります。その一例として、従来はクライアントサーバ型システムにより運営していたサマリネットのマンションサマリを、SaaS型システムにて提供できるようシステム開発を行っております。この変更に伴い、顧客がテレワーク環境においても当社サービスを利用できるようになり、利便性を高めております。
しかしながら、当社が予期しない技術革新等によりインターネット環境に急激な変化があり、そうした変化への対応が遅れた場合には、当社のサービスの陳腐化や競争力の低下を引き起こし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤システムリスクについて
当社の事業はインターネット環境において行われており、サービスの安定供給のために当社として適切と考える以下のセキュリティ対策を施しております。
イ.ISO27001情報セキュリティマネジメントシステムの認証取得による情報管理体制の整備
ロ.各サービスの運用サーバ及びネットワーク等の冗長化
ハ.ウイルスやアタックを防止するファイアウォールの設置
ニ.SSL(Secure Socket Layer)等を用いた外部との通信の暗号化
ホ.継続的な脆弱性診断の実施
ヘ.セキュリティの担保された通信を実施するためのVPN設置
ト.セキュリティリスクに対応したソフトウエア及び機器の定期的なアップデート
チ.メール誤送信防止ソフトの導入
リ.ウイルス対策ソフトの導入
ヌ.大規模クラウドサービスプラットフォーム AWS(Amazon Web Service)環境におけるサービス運用
こうした対策にもかかわらず、ハードウェア・ソフトウエアの不具合、人為的なミス、コンピュータウィルス、第三者によるサーバやシステムへのサイバー攻撃、自然災害等の予期せぬ事象の発生によって、当社の想定しないシステム障害等が発生した場合は、当社の事業活動に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥自然災害・不測の事故等について
当社は東京本社のほか大阪及び名古屋に支社を置き営業活動を行っておりますが、リモートワーク環境を構築してこれら営業拠点に依存しない業務遂行体制を整備しております。しかしながら、当該エリアにおいて地震、火災、津波、大型台風等の自然災害が発生して営業活動や情報収集活動等が制約を受ける場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容等に関するリスク
①新規サービスについて
当社は、事業規模の拡大の収益源の多様化を実現するために、新規サービスの拡充への取り組みを進めていく方針であります。新規サービスの拡充にあたっては、当社の不動産業界における顧客基盤や当社の保有データ・技術等を踏まえて確度の高いサービス開発に取り組んで参りますが、新規サービスが安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。
また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社としましては、顧客とのヒアリング及びリサーチを実施することによりサービスに対する顧客ニーズを明確に把握し、優先順位づけを適切に行うことで本リスクを軽減させていく方針です。
②パンフレット画像の利用に係る契約について
当社のデジタルマーケティング事業におけるデータベースにおいては、新築マンション販売時のパンフレット画像等を契約に基づき収集しておりますが、当該契約の解消または変更等により当該パンフレット画像等が利用できなくなった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社としては、新築マンションのパンフレット画像等の提供元である新築マンションデベロッパーの顧客満足度向上に努め、関係維持を図ることにより本リスクを軽減させていくこととしております。
③インターネット広告収入への依存について
当社のデジタルマーケティング事業では、一部インターネット広告代行により収入を得ております。当社顧客の不動産事業者は今後もマーケティング投資全体におけるインターネット広告の比率を高めていくと推察され、当社の売上高も安定的に推移するものと考えております。
しかしながら、経済情勢等の変化により顧客企業のマーケティング活動が縮小した場合、デジタルマーケティング事業の売上高が減少して当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④解約について
当社がプラットフォーム事業において主に提供している不動産マーケティング情報は月額課金制となっており、安定的な収益を実現しております。その一方で、顧客企業の利用状況の低迷や不動産事業からの撤退等の経営方針の変化などの理由により、サマリネットやリアナビなどのマーケティングシステムにおいて2020年2月期以降金額ベースで毎年0.2%程度の解約が発生しております。当社の予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約を見込んでおりますが、競合他社に対する競争力の低下や、トラブル等の何らかの要因により当社の想定を超える解約が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
顧客が不動産事業から撤退する場合には解約を防ぐことが困難ですが、競合他社に対する当社サービスの競争力の低下を防ぐために情報の正確性・網羅性及び即時性を高く保ち顧客満足度を高めることで継続利用を促進しております。
⑤契約不適合責任について
当社では当社が受託したリフォーム工事に対し、民法の規定に基づく契約不適合責任を負っております。当社においては、リフォーム工事が完工した際には必ず独自のチェックリストを用いてリフォーム完了チェックを行い、そのうえで施主の完工確認を実施して契約不適合が生じないよう品質管理を行っております。しかし、万が一、当社のリフォーム工事が契約の内容に適合しないと判断された場合には、追加工事費用の負担、損害賠償等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥提供する情報の正確性について
当社のプラットフォーム事業では、三大都市圏における新築分譲マンションの情報を主軸に不動産に関する様々な情報を収集し、独自のノウハウで正確性の高いビッグデータとして提供しております。これらの情報は用地仕入れの意思決定には不可欠の情報であることから、高い正確性のほか網羅性と即時性が求められております。当社においては組織的な情報管理体制を整備することにより、正確性、網羅性及び即時性の担保に努めております。具体的には、正確性については専用のデータ入力システムを開発し複数の担当者による確認を実施し、網羅性については公開義務のある公的な情報に基づき網羅的な情報収集活動を実施し、また即時性については情報取得後から約2営業日でシステム反映を行い顧客が最新のデータを閲覧できる状態を保っております。
しかしながら、当社が提供している情報に誤りが含まれていたこと等に起因して顧客に対して不正確な情報を提供する場合や、不正確な情報を提供していると誤認される場合には、当社の契約件数の減少、ブランドイメージや社会的信用力の低下、サービス価格の減額等により、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社においては情報収集・登録業務を仕組化していることに加えて、データマネジメントシステムの採用等により管理精度を高く保つべく努めておりますので、本リスクの発生可能性は低いと考えております。
(3)組織体制等に関するリスク
①人材の確保及び育成について
当社は、事業の拡大に伴い、継続的な人材の確保が必要となるため、優秀な人材を適切に確保するとともに、人材の育成に努めて参ります。しかしながら、人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合は、当社の事業展開に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②コンプライアンス体制について
当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンスに関する社内規程として「コンプライアンス規程」、「リスク・コンプライアンス管理委員会規程」、「内部通報規程」、「インサイダー取引防止規程」、「広告・広報等管理規程」及び「知的財産管理規程」等を策定するとともに四半期に一度コンプライアンス研修を実施し、社内規程の周知徹底とコンプライアンス意識の醸成を図っております。
しかしながら、これらの取り組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の事業及び業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。
③特定の経営者への依存について
当社は、代表取締役社長である陣隆浩に当社の経営の重要な部分を依存しております。現在、当社では同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行う等体制の整備に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難となった場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
④大株主について
当社代表取締役社長である陣隆浩の本書提出日現在での議決権所有割合は、直接所有分として52.7%であります。また、同氏の資産管理会社である株式会社JINXの議決権を合算した所有割合は77.8%となっております。同氏及び株式会社JINXは引続き当社の株式を保有する見通しでありますが、議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針であります。
しかしながら、何らかの事情によって、同氏または当該資産管理会社が当社株式をやむを得ず売却することとなった場合、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤小規模組織であることについて
当社は小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)事業に関する法的規制等に関するリスク
①知的財産権におけるリスクについて
当社ではサービス提供にあたり、契約に基づきパンフレット等の情報収集を行っております。当社による第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、ロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、当社の事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
②個人情報の保護について
当社は、当社の提供するサービスを通じて、利用者本人を識別することができる個人情報を一部保有しております。当社は、JISQ15001プライバシーマーク認証を取得の上、信頼性の高い外部サーバで当該個人情報を保護するとともに、個人情報保護に関するフローを整備し、個人情報の保護に努めております。
こうした対策にもかかわらず、個人情報が当社の関係者等の故意又は過失により外部に流出した場合には、当社が損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社の運営するサービスの信頼性等が毀損し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③法的規制について
現時点において、当社事業そのものを規制する法的規制はないものと認識しておりますが、情報サービス業界の変化は激しいことから、今後新たな法令等の整備が行われる可能性は否定できず、当該内容によっては当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産に関わる分野におけるインターネット上の表示項目等が規制の対象になる可能性も否定できず、その場合には当社の事業が制約される可能性があります。
(5)その他リスク
①資金使途について
当社が計画している公募増資による調達資金の使途については、①システム人材の採用費、②不動産マーケティングシステムの開発費用、③不動産仲介事業者(中古領域)向けの新規サービスの開発費用、④社内業務効率化のためのRPA導入費用等に充当する予定でありますが、当社の遂行する業務においては急速に事業環境が変化することも考えられ、環境変化に柔軟に対応することを優先し、現時点における資金計画以外の使途へ充当する可能性があります。
また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性があります。
②ソフトウエアの減損について
当社は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として資産計上しております。このうち、プラットフォーム事業に係るソフトウエアについては、技術革新のスピードの早いインターネットを使ったSaaS型サービスであることを鑑み、見込利用可能期間を3年と保守的に設定しております。このソフトウエアについて、クライアントニーズへの適切な対応を実施することにより減損を発生させないよう努める方針ですが、重大な将来計画、使用状況等の変更やサービスの陳腐化等により、収益獲得又は費用削減効果が大幅に損なわれ、ソフトウエアの減損が必要となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③繰延税金資産について
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社では、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、2021年10月末における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は10.1%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
⑤訴訟について
当社では、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的に、コンプライアンス規程を整備し従業員へ周知することで、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。なお、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や係争は生じておりません。
⑥配当政策について
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する配当による利益還元は重要な経営課題として認識しております。しかし、当社は現在成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当の実施時期については未定であります。
⑦当社株式の流動性について
当社の株主構成は当社代表取締役社長陣隆浩、同氏の資産管理会社、事業法人、当社役員等であり、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしており、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において34.8%となる見込みです。一方、㈱東京証券取引所は流通株式比率の定義の見直しを公表しており、その適用以降の上場維持基準は25%であるところ当社の流通株式比率は25.2%にとどまる見込みです。
今後は、役員への一部売出しの要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
第30期事業年度(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられます。先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、感染症拡大による社会経済活動への影響が内外経済を下振れリスクが依然として残っています。
このような環境の下、東京・大阪及び名古屋に拠点をおいて不動産情報サービスの提供を行っている当社は、プラットフォーム事業において当期にリリースした新サービス(主力サービスであるマンションサマリをクライアントサーバ型システムからSaaS型システムへ切り替えたもの)がテレワークの普及や働き方改革のニーズをとらえて顧客単価向上につながっております。その一方で、一部顧客がコロナ禍でのコスト削減を図るために解約となったことから、顧客数は減少しております。デジタルマーケティング事業においては、期初には一時的に需要が落ち込んだものの、後半には需要が回復に向かい通期では増収となっております。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の自粛に伴い、リフォーム及びタウンマンションプラスにおいて売上高が減少しております。
また、当社でもコロナウイルス感染防止対策及び従業員のライフワークバランス向上のためテレワークを推進することとし、テレワーク推進によって稼働率が落ちた本社オフィスからより面積の小さいオフィスへと移転することで固定費を削減するべく本社オフィスの移転を実施しました。
この結果、当社の当事業年度の売上高は1,254,860千円(前事業年度比6.4%減)、営業利益は63,083千円(同44.7%増)、経常利益は62,506千円(同40.2%増)及び当期純利益は43,727千円(同10.0%減)となりました。
なお、当社は、不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第31期第3四半期累計期間(自 2021年3月1日 至 2021年11月30日)
当第3四半期における我が国の景気動向は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いております。
当社が事業展開している不動産業界におきましては、金融緩和政策の継続による不動産価格の高止まりや感染拡大防止のためのテレワークの推進に伴う新たな住宅需要の創出等を背景として、住宅建設はおおむね横ばいとなっております。当社が事業展開している三大都市圏においては新築マンションの平均価格が年々上昇を続けており、新築マンション業界においては底堅い推移となっております。
このような事業環境の下、不動産情報サービスの提供を行う当社は、成長事業と位置付けている不動産仲介事業者向けのサービスであるデータダウンロードサービスの利用促進のため専門部署を2021年3月に設置して専任の担当者を配置することで営業体制を強化するとともに、前期にリリースしたマンションサマリのSaaS型サービスのリプレイス営業を積極的に推進して参りました。
この結果、当第3四半期の売上高は1,048,544千円、営業利益は168,050千円、経常利益は172,261千円及び四半期純利益は112,785千円となりました。
なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
②財政状態の状況
第30期事業年度(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は443,301千円となり、前事業年度末に比べ32,176千円減少しております。これは主に売上高の減少に伴い売掛金が28,306千円減少したこと等によるものであります。売掛金の減少は、主としてコロナウイルスの感染拡大によりリフォーム事業の売上高が大幅に減少したことによるものであります。コロナ禍において当社のリフォーム事業の売上高が大幅に減少したことを受け、事業の継続に関して十分に検討を実施した結果、2022年2月期からは規模を縮小して事業を継続することといたしました。
当事業年度における固定資産は164,228千円となり、前事業年度末に比べ47,404千円増加しております。これは主にソフトウエアが31,817千円、及びソフトウエア仮勘定が16,501千円それぞれ増加したこと等によるものであります。ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加は、当社の主力サービスであるマンションサマリをSaaS型サービスへ移行するためのシステム開発を進めていることに伴い、その開発費用をソフトウエア及びソフトウエア仮勘定として計上したことによるものです。
以上の結果、当事業年度末における資産合計は607,530千円となり、前事業年度末に比べ15,228千円増加しております。
(負債)
当事業年度末における流動負債は293,464千円となり、前事業年度末に比べ40,562千円減少しております。これは主に短期借入金の返済により短期借入金が42,600千円減少したこと等によるものであります。前事業年度末から期央にかけては不測の事態に備えるために手元流動性を高めておりましたが、当事業年度末にかけては返済を進めたことにより短期借入金が減少したものであります。
当事業年度末における固定負債は131,347千円となり、前事業年度末に比べ10,414千円増加しております。これは主にコロナ融資による長期借入金が17,791千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当事業年度末における負債合計は424,811千円となり、前事業年度末に比べ30,148千円減少しております。
(純資産)
当事業年度末における純資産は182,718千円となり、前事業年度末に比べ45,377千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上による利益剰余金の増加43,727千円及び新株予約権の発行による新株予約権の増加1,650千円によるものであります。
第31期第3四半期累計期間(自 2021年3月1日 至 2021年11月30日)
(資産)
当第3四半期累計期間末の流動資産は406,935千円となり、前事業年度末に比べ36,365千円減少しました。これは主に売上高の伸長に伴い売掛金が17,235千円増加したものの、借入金の返済に伴い現預金が39,508千円減少したことによるものです。
当第3四半期累計期間末の固定資産は190,323千円となり、前事業年度末に比べ26,095千円増加しております。これは主に経営セーフティ共済の解約により保険積立金が8,000千円減少した一方、ソフトウエアが32,327千円及びソフトウエア仮勘定が5,384千円それぞれ増加したこと等によるものです。ソフトウエア及びソフトウェア仮勘定の増加は、前事業年度に引き続きマンションサマリをSaaS型サービスへ移行するためのシステム開発を進めていることによるものであります。
以上の結果、当第3四半期累計期間末の資産合計は597,259千円となり、前事業年度末に比べ10,270千円減少しました。
(負債)
当第3四半期累計期間末の流動負債は266,728千円となり、前事業年度末に比べ26,736千円減少しました。これは主に未払法人税等が26,992千円増加した一方、一年以内返済予定の長期借入金が51,518千円及び短期借入金が14,900千円それぞれ減少したこと等によるものです。
当第3四半期累計期間末の固定負債は34,986千円となり、前事業年度末に比べ96,361千円減少しました。これは主に長期借入金の返済により95,234千円減少したことによるものです。
以上の結果、負債合計は301,714千円となり、前事業年度末に比べ123,097千円の減少となりました。
(純資産)
当第3四半期累計期間末における純資産は295,545千円となり、前事業年度末に比べ112,826千円増加いたしました。これは、四半期純利益の計上による利益剰余金の増加112,785千円及び新株予約権の発行による新株予約権の増加41千円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
第30期事業年度(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,135千円減少し、当事業年度末には224,745千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は97,976千円(前事業年度は79,528千円の獲得)となりました。主な増加要因はリフォーム事業においてコロナウイルス感染拡大に伴う自粛により、当社が営業活動を実施していたホームセンターでの営業活動ができなくなってしまったための売上高減少に伴う売上債権の減少額28,306千円(前事業年度は34,201千円の増加)、雇用調整助成金等の助成金受取額11,355千円(前事業年度は2,130千円)、主な減少要因はリフォーム事業の売上高減少に伴う外注費の減少による仕入債務の減少13,896千円(前事業年度は20,190千円の増加)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は59,934千円(前事業年度は108,100千円の獲得)となりました。当事業年度においては、サマリネットのSaaS型サービスへのリプレイスのための投資に資金を使用しております。
なお、前事業年度においては、保険料の見直しに伴う役員保険の解約による収入57,643千円及び有形固定資産の売却による収入46,400千円等があったことから108,100千円の資金獲得となりました。この太陽光発電設備の売却は、財務体質を健全化するとともに将来の減損リスクを回避するための施策として実施いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は39,178千円(前事業年度は76,298千円の使用)となりました。これは主に借入金による収入265,000千円があった一方借入金の返済による支出290,393千円があったことによるものであります。当事業年度は、期初においてはコロナウイルス感染拡大に伴う不測の事態に備えるため手許流動性を高めておりましたが、期央から期末にかけては借入金の返済を進めたことから資金使用となっております。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第30期事業年度及び第31期第3四半期累計期間における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績の分析
第30期事業年度(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、1,254,860千円(前事業年度比6.4%減)となりました。事業別にはプラットフォーム事業813,106千円、デジタルマーケティング事業310,981千円及びその他130,772千円でありました。
プラットフォーム事業においては、コロナ禍におけるテレワーク需要を捉えたクライアントサーバ型システムからSaaS型システムへのリプレイスがスタートしたほか、データダウンロードサービスも増収となったことを受けて、前事業年度比1.8%増の売上増加となりました。また、サマリネット・リアナビの月額課金制サービスのARRは621,081千円(前事業年度比0.2%増)と僅かな伸びとなりましたが、SaaS型システムへのリプレイスが想定よりも遅れ気味であったことが影響したものと認識しております。解約率は0.1%と低水準であり、適切に対応できていると認識しております。データダウンロードサービスの増収要因は、大手仲介事業者が新規契約となり多くの店舗において利用いただけるようになったことによるものです。
デジタルマーケティング事業では、2020年4月からの緊急事態宣言発出を受けてモデルルームの閉鎖等の販売自粛の動きが広がったことに伴い、当社が主に受託しているモデルルーム集客向けのリスティング広告運用についても一時的に需要が落ち込みました。ただし、年度後半にはこうした販売自粛は徐々に解除され需要は回復に向かい、通期では前事業年度比4.1%増の売上高増加となりました。
その他は、前事業年度比46.4%減と不振でしたが、その主な要因はリフォーム事業において、当社の受注の大部分を占めていたホームセンターでの催事による営業活動がコロナ禍において全く実施できなくなってしまったことから、売上高が62,290千円(前事業年度比57.1%減)と大幅に落ち込んだことによるものです。新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期は想定ができないことを踏まえて、2022年2月期以降はリフォーム事業の体制を縮小しております。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は572,602千円(前事業年度比9.8%減)となりました。
プラットフォーム事業においては変動費が少なく原価の大半を固定費が占めていますが、売上原価はほぼ横ばいの212,573千円(前事業年度比0.0%減)となり、原価率は26.6%から26.1%へと低下しております。
デジタルマーケティング事業においては、売上増加に伴い支払手数料が増加したもののリスティング広告運用業務の効率化により、原価率は88.5%から85.6%へと2.9ポイント低下しております。支払手数料はGoogleやYahoo!等の広告出稿のプラットフォームに支払う手数料で、売上高に連動する性質があり削減の余地が乏しいものであります。
その他では、リフォーム及びタウンマンションプラスの売上高の減少に伴いこれらのサービスを提供するための外注費が減少し、売上原価が93,758千円(前事業年度比40.6%減)となりました。
以上より、当期の売上総利益は682,257千円(前事業年度比3.4%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、619,173千円(前事業年度比6.6%減)となりました。主な要因は、当期首にRealnetをリリースしたことに伴い、Realnet開発費用を資産計上したことにより研究開発費が97,450千円減少したことによるものであります。
この結果、営業利益は63,083千円(前事業年度比44.7%増)となりました。売上原価と販売費及び一般管理費を抑えることにより営業利益は前期を上回る水準となっております。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、15,599千円(前事業年度比26.7%増)、営業外費用は16,176千円(前事業年度比42.6%増)となりました。営業外収益の主な内訳は、助成金収入13,555千円であります。営業外費用の主な内訳は、本社オフィス移転費用10,534千円及び支払利息3,494千円であります。
この結果、経常利益は62,506千円(前事業年度比40.2%増)となりました。
本社オフィス移転に関しては、新宿住友ビル43階にあった旧オフィスから、新宿住友ビル42階の新オフィスへ移転したものであります。この移転の理由ですが、当社ではコロナ禍を機に全従業員にリモートワークを推奨しており、旧オフィスの利用者が減少しておりました。そこで無駄な固定費を圧縮する目的でオフィス移転を検討していたところ、同ビル内にてより小さい面積で契約が可能なフロアが検討対象に上り、同ビルの43階から42階への移転を実施いたしました。本社オフィス移転の効果として、本社オフィス賃借料の削減効果が2022年2月期から本格的に寄与するほか、従業員のリモートワークを今後も継続することによるワークライフバランスの向上や求人面での訴求等のメリットが大きいと判断しております。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別損失は501千円(前事業年度比97.6%減)でしたが、その内容は固定資産除却損501千円であります。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は18,277千円となりました。
この結果、当事業年度の当期純利益は43,727千円(前事業年度比10.0%減)となりました。
第31期第3四半期累計期間(自 2021年3月1日 至 2021年11月30日)
(売上高)
当第3四半期累計期間における売上高は、1,048,544千円となりました。事業別にはプラットフォーム事業668,000千円、デジタルマーケティング事業258,471千円及びその他122,072 千円でありました。
プラットフォーム事業においては、コロナ禍におけるテレワーク需要を捉えたSaaS型システムへのリプレイスが好調に推移したほか、データダウンロードサービスが大幅増となり売上増加に寄与しております。当第3四半期累計期間ベース(9か月)のサマリネット・リアナビの月額課金制サービスのARRは494,045千円となり、前事業年度(12か月)のARRと比較して79.5%となっておりSaaS型システムへのリプレイスの効果が表れていると認識しております。データダウンロードサービスにおいては新規契約の伸びにより顧客数が増加しておりますが、主な増収要因は大手仲介事業者によるデータ一括納入があったことによるものです。
デジタルマーケティング事業においては、大型分譲マンションの取扱い開始及び戸建て業者向けの取扱い増加により広告運用業務の受注が底堅く推移しました。広告運用業務の受注拡大に伴いサイト制作の引き合いも増加しており、売上高伸長に寄与しております。
その他においては、コロナ禍の影響が残るリフォーム及びタウンマンションプラスでは低調だった前期並みの売上高にとどまっておりますが、システム受託については顧客のシステム開発ニーズを捉え57,092千円と好調に推移しております。リフォーム及びタウンマンションプラスはコロナウイルスの感染状況に影響を受ける可能性がありますが、システム受託は外部要因の影響を受けにくい性質があることから今後も底堅く推移する可能性が高いと分析しております。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間における売上原価は502,667千円となりました。主な原価の増減は以下の通りです。
プラットフォーム事業においてはシステム開発要員の採用等に伴い労務費が増加したほか、ソフトウエア償却費も増加したことから売上原価は192,124千円となりました。
デジタルマーケティング事業においては、広告運用業務の外注費を削って業務の一部を内製化したことから売上原価は215,746千円となっております。広告運用業務の内製化の効果により粗利率は改善傾向を示しておりますが、更なる業務効率化を進めることにより粗利率の改善を図っていくことが課題であると認識しております。
その他では、リフォーム及びタウンマンションプラスの売上低下に伴い外注費が連動して減少し、売上原価が94,796千円となりました。
以上より、当第3四半期累計期間の売上総利益は545,876千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、377,825千円となりました。前事業年度に実施したオフィス移転により本社オフィス賃借料が大幅に削減されたこと及び業務委託手数料をはじめとする各種経費削減等により、販管費は前期に比べて減少しております。
この結果、営業利益は168,050千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当第3四半期累計期間における営業外収益は、8,258千円でしたが、このうち6,871千円は雇用調整助成金の収入によるものです。
また、当第3四半期累計期間における営業外費用は4,047千円であり、主な内訳は支払利息1,300千円及び上場関連費用2,000千円であります。
この結果、経常利益は172,261千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
当第3四半期累計期間における特別損益は、固定資産除却損0千円でした。法人税等(法人税等調整額を含む)は見積実効税率により計算した税金費用59,476千円を計上しております。
この結果、当第3四半期累計期間の四半期純利益は112,785千円となりました。
③目標とする経営指標等の達成状況について
当社は、全社的に重視する指標として売上高及び営業利益を設定しております。
また、サービス毎には、主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)における平均顧客単価(サマリネット)、平均顧客数(サマリネット)、ARR(サマリネット・リアナビ)及び解約率(サマリネット・リアナビ)を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては平均顧客単価及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。
それぞれの指標の推移は下表のとおりであります。
売上高については、第30期事業年度において前期比で減少しており、1,342,912千円の予算に対して達成率93.4%と予算未達の結果となりました。この要因はコロナウイルス感染拡大に伴うリフォーム及びタウンマンションプラスの不振によるものと認識しております。この二つの事業は外部環境に左右されやすい性質を持つことが確認されたことを受けて、第31期事業年度においては両事業の体制を縮小することを決め、要員を外部環境に左右されにくいプラットフォーム事業に配置転換しております。
また、第31期第3四半期累計期間においては、マンションサマリのSaaS型サービスへのリプレイスによりARRの積み上げを進めたほか、データダウンロードサービスにおけるデータ一括納入等により売上高は増加しております。デジタルマーケティング事業及びシステム開発は安定的に推移しており、1,033,478千円の予算に対して101.5%の達成率となっております。
営業利益については、SaaS型サービスのリリースにより前事業年度において研究開発費として計上していたサービス開発費用がソフトウエアとして資産化されたことにより全事業年度比で増益となりました。しかしながら、売上高の予算未達が響き90,130千円の営業利益予算に対して70.0%と予算未達の結果となりました。また、第31期第3四半期累計期間においては、プラットフォーム事業及びデジタルマーケティング事業の増収による粗利増加、並びに本社オフィスの移転による賃借料の削減等により伸長しており、166,673千円の予算に対して100.8%の達成率となっております。
サマリネットについては、平均顧客単価が増加傾向にあります。これは第31期において本格化しているSaaS型サービスへのリプレイスによる契約金額の増加によるものと認識しております。平均顧客数は、解約に伴い減少しておりますがARRは順調に増加しております。顧客におけるテレワーク等のニーズの高まりを背景として、SaaS型サービスが顧客に一定の評価を受けているものと考えております。解約率は足元で増加傾向にありますが、解約となった原因を分析することでサービスの一層の改良につなげて参ります。
データダウンロードサービスについては、大手仲介事業者のサービス利用開始に伴い平均顧客単価及び平均顧客数とも着実な増加を辿っております。しかしながら、大手仲介事業者等の一部の顧客に利用が偏っている状況も確認できており、今後の成長のためにはサービスの利用促進に向けた顧客への働きかけを強化していく必要があると認識しております。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金の手許流動性や財務健全性を考慮したうえで、原則として自己資金を財源とする方針に基づき事業運営、設備投資を実施しております。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローに関して重要な資本的支出はありませんが、引き続き上記方針に基づき実施してまいります。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の財政状態及び経営成績の分析については、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、新規住宅及び既存住宅の流通動向や不動産会社の販売促進動向があります。また、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
⑦経営者の問題意識と今後の方針
当社が今後更なる成長を遂げるために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。そのため、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因に対応すべく、当社では新規住宅及び既存住宅を含めた不動産全体の流通市場の動向を鑑みて、顧客のニーズに合わせたサービスを開発・提供していく方針であります。
該当事項はありません。
当社は、顧客に対して新たな価値を提供するための新サービスの開発のために、自社において研究開発を行っております。
なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第30期事業年度(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
当事業年度においては、マンションバリューの研究開発費として14,921千円を計上しております。マンションバリューは当社が所有する不動産データを元に、すでにマンションを購入しているマンションオーナーに対して情報提供を行っていくサービスですが、このサービスの立ち上げのためのサイト構築費用及びマーケティング費用として支出したものであります。
第31期第3四半期累計期間(自 2021年3月1日 至 2021年11月30日)
当第3四半期累計期間においては、7,094千円の研究開発費を計上しております。この内訳は、前期に引き続きマンションバリューのサービスの立ち上げのためのサイト構築費用として4,994千円、及び不動産仲介事業者向けに提供しているデータダウンロードサービスにおける新サービスの立ち上げのためのプログラム開発費用2,100千円であります。