(1)経営方針
当社グループは、「中期経営計画2022ローリングプラン」において、2023年5月期終了時点でのありたい姿を「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」として位置づけしました。

「根元」とは、当社の事業の根幹である、20年以上の実績がある既存事業(コンタクトセンター・BPOサービス)のことを表現しており、「新芽」とはビジネスの次世代化に向けた新規事業(Omnia LINK外販等)のことを表現しております。「根元」は更に深く、「新芽」は更なる広がりを持って、両面で「健康」に成長し続けていくこと、これが当社の経営ビジョンです。
また、この経営ビジョンを達成するために以下の「5つの取組方針」を定めております。
i. ビジネスの継続的価値向上(根元)
コンタクトセンター・BPOにおける、顧客業界ごとの営業方針の策定、顧客ポートフォリオの改善、既存顧客に向けた領域拡大提案等を行ないます。
ii. ビジネスの次世代化(新芽)
Omnia LINK外販強化や、コンタクトセンター・BPOにおけるデジタル活用による生産性の向上、顧客業界を理解し、コンタクトセンター・BPOの延長にとどまらない新たな事業展開の検討などを行ないます。
iii. 事業基盤の強化
ビジネスを支える、コーポレート基盤の強化を行ないます。
iv. ダイバーシティ&インクルージョン
女性活躍推進、障がい者雇用、外国人採用、若年層の育成などを通じて、多様性のある会社を目指します。
v. ESG経営の推進
SDGsの推進、コーポレートガバナンスの強化、地域貢献等を積極的に実行します。
当社の成長戦略は、経営ビジョンに「根元から新芽まで」とあるように、コンタクトセンター・BPOサービスとOmnia LINKを始めとするシステムソリューションの販売を両面で成長させることにあります。その成長の在り方として、コンタクトセンター・BPOサービスは事業規模及び売上高の成長、システムソリューション販売は利益額・利益率の成長のドライバとして位置づけております。
コンタクトセンター・BPOにおいては、重点戦略グループ(金融業界・小売流通業界・ライフライン業界・情報通信業界)を設定し、重点戦略グループにおける顧客の新規獲得や、取引開始済の顧客の深耕等を通じて、事業規模及び売上高の成長を牽引する方針です。
システムソリューション販売においては、Omnia LINKの外販拡大によるユーザー数の拡大、音声認識などのオプション販売の拡大によるユーザー当たりの売上高の拡大、また、オフィス向けのOmnia LINKの販売開始によるターゲットユーザーの拡大の他、新たなソリューション開発を行ないます。新たなソリューション開発として、現在は「CXプラットフォーム」ならびに、滋賀大学との共同で「声の印象評価システム」の研究開発を行なっております。CXプラットフォームは、保険や不動産契約等、本人確認を伴うために非対面化ができていない接客をオンラインで完結させるための顧客対応システムです。滋賀大学との研究開発は、Qua-cleですでに実現している電話応対品質の自動評価をさらに高度化するものです。
システムソリューション販売は、コンタクトセンター・BPOサービスと比較し、人件費などをはじめとした必ず発生する変動コストが少なく、販売数が増加することで固定費を回収し、利益が逓増する収益モデルとなっております。これらの取り組みを通じて、システムソリューション販売における売上高を拡大させるとともに、全社利益への貢献を図ります。
なお、上記の当社の今後の成長戦略を図示すると、以下のようなイメージとなります。

(3)目標とする経営指標
当社は堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しています。当社が経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標は売上高成長率、営業利益成長率です。
「コールセンターサービス/コンタクトセンターソリューション市場の調査(2021年)」(㈱矢野総合研究所・2021年11月2日発表)によると、2020年度の広義のテレマーケティング市場規模(注1)は、前年度比5.2%増の1兆421億円と推計されております。同市場は、同研究所によると今後についても堅調に推移することが見込まれております。
(注1)㈱矢野総合研究所において、「テレマーケティング売上高及びその他関連サービスの合算」と定義。
その背景として、企業が昨今の労働力不足、人材不足を背景とした働き方改革やDX推進による自社内人的リソースの再構築を加速化させており、ノンコア業務をアウトソースする機運が高まっている点があげられ、また、改正労働契約法や改正労働者派遣法の2018年4月の適用開始に合わせて、自社雇用のパートや派遣スタッフからBPOに切り替えをする企業も増加していることで市場拡大が後押しされていると当社は考えております。
また、近年はAIやRPAなどのデジタル技術と人材によるオペレーションを組み合わせたサービスニーズが増加しており、当該市場へのプラス効果として働いております。特に、新型コロナウイルスの発生以降は、外出自粛に伴い企業のテレワークが急速に普及しており、各社で業務プロセス変革を余儀なくされていることが多いため、デジタル化やアウトソーシングニーズの増加につながっていると当社は考えております。合わせて、「顧客体験価値(注:商品やサービスの「価格」や「機能性」といった物理的な価値だけではなく、それらを通して得られる「満足感」や「喜び」というような感情や経験の価値も含めた概念)」を追求する企業が増加しており、顧客接点として重要な役割を持つコンタクトセンターにおいては、「窓口のマルチチャネル化による問い合わせ方法の多様化」や「ワンストップ化による問題解決力の向上」など、1つのセンターで対応しなければならない範囲の拡大と、問題解決力向上に向けた業務への深い理解が求められ、運営難易度が高まる傾向にあると考えております。そのため、専門業者の知見への期待から、アウトソーシングニーズの増加につながっております。
また、コンタクトセンターを自社運営している企業群は、上記の「広義のテレマーケティング市場規模」と別に1.3兆円超が存在すると見込んでおり、潜在市場として認識しております。(注2)
(注2)当社推定値。当社席数と「コールセンターサービス/コンタクトセンターソリューション市場の調査(2021年)」(㈱矢野総合研究所・2021年11月2日発表)における当社シェアにより、日本のコンタクトセンターアウトソーシング事業者席数を算出。コールセンターの運用形態(コールセンター白書2021 ㈱リックテレコム)より、自社運営コンタクトセンター席数を算出し、当社の1席あたり売上高を乗じて算出。
外部へ販売するシステムとしてのOmnia LINKの市場であるSaaS型サービス市場規模及びソフトウエア市場規模は合計で1,533億円(「コールセンター市場総覧 2021」㈱矢野総合研究所・発刊日2021年10月)となっております。特にSaaS型サービス市場は2020年度において、前年度比11.6%の成長率となっております。
また、現在のところOmnia LINKはコンタクトセンター向けの専門システムとなっておりますが、今後の展開としてオフィス内でのビジネスコラボレーションツールとしての機能を2023年5月期以降に展開する予定です。その場合、ビジネスコラボレーション市場規模1,264億円(「テレワーク/ニューノーマルを支えるコラボレーション・モバイル管理ソフトの市場規模 2020年度版」デロイト トーマツ ミック経済研究所㈱ 発刊日2020年10月5日)、非対面接客市場(WEB会議システム市場)197億円(㈱アイ・ティー・アール ITR Market Viewコラボレーション市場2020)も見据えることができ、その合計の顕在市場は0.3兆円と見込んでおります。
なお、新型コロナウイルス感染症の発生によって、当社を取り巻く環境は、官公庁案件の増加や、巣籠需要によるコンタクトセンターニーズの増加が見られ、需要が高まっている状況にあります。一方、コンタクトセンター・BPO事業は労働集約型ビジネスの性質も有しているため、就業中の従業員による感染拡大リスクの増加が懸念され、事業の継続と従業員の安全配慮の両軸での運営が求められております。そのような需要の拡大と従業員の安全性の確保の観点から、両課題を解消する手法として在宅コンタクトセンターが広まりつつあると考えており、当社においてもすでに全国1,200名以上(2022年5月現在)の在宅オペレーターが在籍しております。
上記経営環境において、当社が対処すべき課題は下記のとおりです。
当社グループは、2020年に東京証券取引所への株式上場を見据えた3カ年の経営計画を策定しました。その後、2022年5月度取締役会にて、中期経営計画の最終年度の取り組みを盛り込んだ「中期経営計画2022ローリングプラン」を決議しております。
中期経営計画においては、具体的な取り組み事項として「5つの取り組み方針」を決定しております。「5つの取り組み方針」を通じて、企業価値の最大化と社会的信用力の向上の両立に取り組んでまいります。
① ビジネスの継続的価値向上(根元)
当社グループの売上の基盤を支えるコンタクトセンター・BPOサービスの営業力強化に向けて、営業活動の可視化・効率化に取り組んでおります。必要受注数からの逆算により、各パイプラインのKPIを定めることで現実とのギャップを明確化し、より効果の高いアクションを行うことを目的としております。また、本取り組みとの整合性を図るため、営業人事制度の改定も行う予定です。
既存顧客においては、受託案件へのSpeech To Textの追加導入や、在宅コンタクトセンターサービス「Bewith Digital Work Place」の導入、コンサルティングサービスの提供など、契約済サービスだけでなく複数のメニューを積極的に提案することで、付加価値の向上及び1社あたりの売上高の向上に向けて取り組んでまいります。
② ビジネスの次世代化(新芽)
Omnia LINK外販は、当社の成長ドライバとして位置付けており、販売ライセンス数は年80%の成長を目指しております。2023年5月期からは、Omnia LINK事業本部として新組織を組成し、営業・マーケティング体制の強化を図っております。さらに、オフィスでの活用を想定した「オフィス向けOmnia LINK」の開発も進めております。Omnia LINKをコンタクトセンターだけでなくオフィスユースに拡大することでターゲット市場を拡張し、さらなるOmnia LINKの拡販と知名度向上に努めてまいります。
また、非対面接客の拡大需要を背景として、非対面での資料の共有・本人確認・申し込み・電子契約までを可能とするシステムである「CXプラットフォーム」についても、開発を進めております。本システムはコンタクトセンターにおける対応範囲を拡充し、これまで対面でなければ実現できなかったビジネスプロセスを非対面で実現する取り組みです。このシステムを通じて、コンタクトセンターの新しいあり方を提案し、市場自体のさらなる拡大を進めてまいります。
③ 事業基盤の整備
当社グループは2022年3月2日に東京証券取引所市場第一部へ上場いたしました。当連結会計年度は上場に向けた課題解消のための制度設計や上場後の事業運営のため、コーポレート部門の体制強化を図って参りました。来期は上場後はじめて迎える年度となりますが、上場に向けて導入した制度の運用の徹底とブラッシュアップを図ってまいります。また、上場企業としてのさらなる事業基盤の強化を目指すとともに、販管費率の削減にも取り組んでまいります。
④ ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループはダイバーシティ&インクルージョンを(1)ジェンダーフリー(女性活躍)、(2)マルチカルチャー(多様な国籍の人材の活躍)、(3)ディスアビリティ(障がい者の活躍)、(4)ジェネレーションフリー(すべての年代の活躍)の4つの視点でとらえております。働き方や教育面、やりがいの醸成など、継続して環境の整備を進めていくことで、性別や年齢・国籍・文化・価値観など、様々なバックグラウンドを持つ人材を活用し、多様なニーズに対応することで新たな価値を創造、提供できるよう努めてまいります。
⑤ ESG経営の推進
当社グループは、「ミライのために『今』できること」をスローガンに、持続可能な社会づくりに向けて、取り組んでおります。重点テーマとして「デジタルを活用した社会課題解決と新たな価値の創造」「働きがいの創出と多様性を尊重し合う社会の実現」「持続可能な地域・社会づくりへの貢献」の3つを定め、当連結会計年度に組成した「SDGs推進委員会」を中心に活動をさらに加速してまいります。
(ア)環境
世界共通の課題である気候変動については、持続可能な社会づくりにおける重要課題の1つとして認識しております。当社グループにおいては、CO2排出量の可視化から環境貢献度の公表までを実現するCO2排出量可視化ツール『CO-KAN ~CO2削減で環境に貢献~』を当連結会計年度にリリースしております。引き続き当社の開発力を活かした気候変動に関する課題を解決するプロダクトの開発等、ご提供するサービスを通じて顧客企業の課題解消へ寄与する取り組みを進めてまいります。
(イ)社会
当社グループは、全国15拠点で約8,000名の従業員を雇用しております。1人1人の従業員が健康で働きがいを持ち、能力がより発揮できる適切な労働環境の提供を目指しております。具体的には、Bewith Digital Work Placeの拡充による働きやすさの提供や適切な労働時間の管理、女性活躍推進に向けた取り組みや、次世代リーダーの育成等、幅広い取り組みを進めてまいります。
(ウ)ガバナンス
当社グループは、コーポレート・ガバナンスを透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための重要な経営の仕組みとして認識し、上場企業にふさわしいコーポレート・ガバナンス体制の構築をしてまいりました。引き続き、構築した仕組みの適切な管理サイクルの運用とさらなるガバナンス強化に取り組んでまいります。
⑥ 流動性の確保及び企業価値の拡大
当連結会計年度末における当社株式の流通株式比率はプライム市場の上場維持基準を充たしているものの、流通株式時価総額は基準を充たしておりません。今後の当社株式の流通株式数は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後において上場維持基準を充足し続けるために、当面の間、㈱パソナグループとの連結関係を維持できる範囲において実施可能な資本政策を検討し、大株主(親会社等)と連携の上で流動性確保に努めるとともに、当社グループの経営方針・経営戦略に沿い、事業規模・売上高ならびに利益額・利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させることで流通株式時価総額の拡大にも努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント体制
当社は当社グループの事業活動における諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、取締役会で任命された取締役及び執行役員が、リスク管理基本規程に従い以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。
当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、取締役及び執行役員の職務分掌に基づき、それぞれの担当管掌ごとに管理することとしております。リスクマネジメント委員会は全社横断的視点で、経営上の重要なリスクの管理に対する全社方針の決定、個々のリスクの抽出、評価、見直し、対応策の検討、管理状況の定期的な確認を行います。また、リスクマネジメント委員会の円滑かつタイムリーな運用を推進するために、経営企画部がリスクマネジメント委員会事務局を担い、各部門のリスク管理部門責任者とも連携してリスクの低減にあたっております。

(2)リスクマネジメントの運用プロセス
当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年7回)及び必要に応じて臨時に開催しております。委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応方針を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。各担当執行役員管掌下のリスクに対しても、それが当社全体に及ぼすシナリオや他のリスクとの関連性について横断的視点をもって過不足なく点検し、リスクの低減を図っております。
具体的には、当社グループを取巻くビジネス上の環境や、当社グループ固有のオペレーションフローなど内外様々な要因から個別のリスクを抽出・検討し、その重要度等から取組むべき優先順位をつけ、特に重要と認識するリスクを全社リスク管理重点項目とし、経営計画の中に組入れております。重点項目は、年度計画の進捗確認のため、リスク対策の実行やモニタリング状況を四半期ごとにリスクマネジメント委員会にて報告しております。委員会では、必要に応じて適宜、リスク対策についての確認や修正が行われます。
リスク管理の状況については第2四半期の終了時点で中間報告を、連結会計年度終了後に年間の総括報告を取締役会へ行っております。また、リスクマネジメント委員会には監査等委員も出席し、リスクの管理状況について確認を行っております。

(3)リスクの抽出・評価プロセス
当社グループが認識する各個別のリスクは、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性がありますが、反面、事業成長の機会にもなり得るため、単に脅威だけではなく好機をも含め、バランスをもった視点でとらえ抽出いたします。当連結会計年度内において抽出したリスクは159項目であり、類型ごとに整理し、リスクマップとして一覧化いたします。一覧化した個々のリスクの大きさを表すために、そのリスクが発生する可能性と、発生した場合に事業に与える影響度の二軸で個々のリスク値を算出しております。また、単にリスク値の大きさだけでは判断せずに、リスクアセスメント表を用いて各リスクの特性を総合的かつ多角的に評価・プロットし、当社のリスク対策の優先度とリスク管理重点項目を決定しております。


(4)主要なリスク項目
① 顧客企業の事業環境変化によるリスク
当社グループが提供するコンタクトセンター・BPOサービスは、アウトソーシングというビジネスの性質上、顧客企業の属する業界での競争激化や法規制の強化などによる経営方針の転換、また顧客企業の業績悪化等によるコストの低減などの事情で、当社グループの受託業務量が大幅に変動する可能性があり、その場合は少なからず当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの継続的な取引先である顧客企業とは長期の契約が多く、短期間で大きな変動は比較的発生しにくいものの、当リスクは常に発生する可能性があると認識しております。
顧客ポートフォリオの多様化や個々の顧客企業からの受託領域拡大、また時流や企業のニーズにあった新サービスやソリューションの開発を迅速に進めることで取引を拡大し、リスクの低減を図ってまいります。
② 特定の顧客企業への依存度によるリスク
当社グループの当連結会計年度における売上高に対して、東京電力エナジーパートナー株式会社様との取引の構成比は17.4%となっております。また、売上高上位5社では、総売上高の約38%を占めており、当該顧客企業との取引動向が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。これに対して、営業戦略を加速し、新規取引先の拡大、既存の顧客企業へのDXソリューション提案やクロスセルによる取引領域の拡大、またOmnia LINKをはじめとした社会の変化に適応する新たなソリューションの提供を通じ、全社収益の拡大を進めることで、特定顧客企業への依存度を低下させ、リスクの低減を図ってまいります。
③ 大型スポット業務受託に関するリスク
当社グループが受託する業務は、その多くが中長期の継続的な契約でありますが、社会情勢によるニーズの発生や顧客企業の要請によって期間が限定されたスポット業務も例年発生しており、そのうち規模が大きいものを受託した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
大型スポット業務を受託した場合、一時的に売上高が拡大する他、当社グループの人員や保有するスペースの稼働率向上により収益性が上がり、売上高、利益に著しいプラス要因が発生することがあります。さらに当該業務が終了し、拡大した収益が剥離することで前述の稼働率が通常レベルに回帰し、翌年度の収益性が低下する可能性をもたらします。スポット業務は毎年発生しておりますが、当社グループにおいてはビジネス拡大の機会でもあります。大型スポット業務の発生は、顧客企業の要請や社会情勢の変化、国家レベルでの制度変更などが要因であることも多いため、予測することは非常に困難です。
当社グループでは当該リスクを認識し、スポット業務の売上高比率が高まりすぎないように基準を定めて受注案件の判断を行うとともに、中長期での契約継続が期待できる業務の新規受託の推進や、既存業務の採算性確保によって、大型スポット受託の多寡による経営成績の変動を抑制するべく努めております。
④ 契約に関するリスク
当社グループが提供するサービスは、顧客企業のビジネスプロセスの一部を請け負い改善を図っていく性質上、また、顧客企業の属する業種業態によって競合する企業群との競争状態や関連する法規も異なることから、その内容は一様ではなく、業務ごとに最適な業務プロセスを個々に設計し提供しております。その際、実際の業務構築段階において、顧客企業との事前の打合せ時による見込みから業務の難易度や工数が乖離することがあり、また、受託業務として運営中の業務においても、環境変化に伴う顧客企業の急な要請により業務要件の変更等が発生する可能性があります。これらの変更要因により、当社グループが顧客企業に請求する項目、単価、数量等にも変更が生じ、その結果、請求内容の誤謬が発生する可能性があり、その内容によっては当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの要件変更等によりKPIの変更・追加や業務の目的自体が洗替されることもあります。顧客企業の目的達成のために、当社グループが当初用意した経営資源の範囲を越え、より難易度の高い業務となった場合、生産性が低下し採算性が悪化するほか、努力しても顧客企業の満足するKPI基準に到達できず、業務の遂行に支障をきたした結果、業務の打ち切りや損害賠償請求となる可能性もあり、当社グループの信用の失墜や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクへの対策として、業務内容の変更が発生した場合には、顧客企業と密接な協議とともに、仕様変更による条件変更に対しての交渉を行い、リスクの低減を図っております。
⑤ 人材の確保及び人件費高騰によるリスク
当社グループが提供する各サービスにおいて、高度な専門知識や経験を有する人材の確保は経営の重要課題と考えております。さらには、新規サービスの開発やDXに精通している人材等は引く手あまたであり、国内企業だけでなく世界的にも人材がひっ迫しています。当社グループが必要とする、知識や経験を有し、顧客企業の要望や社会の変化に応え続けることの出来る人材が、必要な時期に必要なだけ確保できる保証はなく、人員計画に基づく採用が行えなかった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが受託する業務を行うためには、その業務に従事する多数のオペレーターの確保が必要となります。しかしながら、労働人口の減少、少子高齢化といった日本の構造的な問題や、景気などの社会情勢によって十分な労働力を継続的に確保できない可能性があり、採用に係る費用の増加、人件費の上昇が想定されます。近時、最低賃金改定や働き方関連法の施行などにより人件費には上昇圧力がかかり続けており、こうした状況が続いた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを認識し、必要な人材を確保するために、様々な採用手法を駆使するとともに、働きやすい環境としての在宅勤務の推進(制度の完備、セキュリティの確保、顧客企業の承諾等)にも取り組んでおります。一人ひとりの従業員が長く働きたいと思えるように、社内資格制度や表彰制度を設けるなど定着率の改善施策にも取り組んでおります。
⑥ システム障害の発生によるリスク
当社グループは、受託しているコンタクトセンター業務において、自社開発を行っているクラウド型PBX「Omnia LINK」を多数利用しているとともに、顧客企業へのライセンス販売も行っております。当該サービスが各種の障害、故障、ならびに重大な欠陥、または外部事業者により提供される通信インフラにおけるネットワーク障害の発生等によって正常に稼働しない状態が継続した場合、コンタクトセンター業務の遂行に重大な支障をきたすだけでなく、それらを起因として顧客企業に発生した逸失利益等に係る損害の賠償請求を受けるなど、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、各種の契約締結において損害賠償上限を定めるなど、損害の拡大の防止を行うとともに、システム開発時の品質保証レビューや稼働前後のシステム点検等によって、機密性・障害許容性・回復性・安定性といった品質特性の向上に努めリスクの低減を図っております。また、システム障害が発生した際の障害報告フローを明確化し、迅速に対応することで早期の復旧ができるように努めております。
⑦ セキュリティと情報漏洩リスク
当社グループはその事業の特性として、顧客企業の営業上及び技術上の機密に該当する情報のほか、顧客企業が保有するエンドユーザー等の個人情報を含む情報資産をお預かりし、業務を行っております。万が一、これらの情報の漏洩事故を発生させた場合、顧客企業との間における取引関係の終了、また、顧客企業やエンドユーザーから損害賠償請求等を受けることによって、当社グループの社会的信用、経営成績、財務状態に影響が発生する可能性があります。年々、サイバーリスクは高度化、巧妙化しており、これらセキュリティリスクへの対応は重要な経営課題となっております。
このような状況を踏まえて、当社グループでは「セキュリティポリシー」及び「プライバシーポリシー」を制定し、その遵守に努めております。また、2004年に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を、2009年にはプライバシーマーク認証を取得し、情報管理体制の構築・維持に努めるとともに、人的・物理的・技術的といった様々な観点から機密情報管理対策を講じております。また、万が一の情報流出における損害賠償請求へ対応するため、一定額までのサイバーセキュリティ保険を付保しております。
⑧ 内部管理体制におけるリスク
当社グループの急激な事業成長等の変化により、内部管理体制の構築の遅滞や不備が生じた場合や、構築した内部統制システムに重大な欠陥が認められた場合、またこれを逸脱するような事態に至った場合、当社グループの適正な業務運営に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの社会的評価が毀損する恐れがあり、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限されることによって、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して、当社グループでは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件に則り、「財務報告に係る内部統制評価の基本規程」を制定し、基本方針の設定・展開、内部統制の整備・運用及び評価における全社的な管理体制、手順、ならびに手続きに関する人員及びその編成等を定め、内部統制やコーポレート・ガバナンスの体制を構築するとともに、当該体制が有効に機能するよう取り組んでおります。
⑨ 法規制等に係るリスク
当社グループは、自己の事業活動および顧客企業からの業務を受託する過程において、個人情報保護法や消費者保護関連法のほか、各種労働関係法令、税法、特定商取引法等の様々な法令の適用を受けております。当社グループが、これらの適用法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、経営成績および社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、一定の事業を行う上で取得する許認可等については、行政当局の監督を受けておりますが、当社グループがこれら許認可等の維持要件に違反し、当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受けた場合には、対象事業を行うことができなくなる可能性があります。さらには、将来、当社グループに適用される法令等の新設または改正、司法や行政の解釈に変更がある場合において、複雑化する法規制への対応の遅れにより、事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営や業績、社会的信用に悪影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、事業上遵守が必要となる法令の改定について、法務部門が中心となり常に情報収集を行い、法規制への対応の遅れが出ないよう取り組んでおります。また、法令の新設や改正等に伴い、規程類の改定を行う際には、必要に応じて専門家のレビューを受け、解釈に齟齬が出ないように留意しております。
⑩ 係争・訴訟等に関するリスク
当社グループの受託業務等において、業務に必要な内外の経営資源を確保出来ないこと等により、顧客企業との受託契約に基づく当社グループとしての責務を果たせず、顧客企業に生じる損害の一部又は全部につき請求を受ける可能性があります。この場合、法令や契約に対する違反の有無に関わらず、これらが訴訟問題となり、当社グループの責に帰すものと認められた場合には、当社グループの経営成績、社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、何らかの理由で当社グループ従業員、または元従業員から労務問題等を理由に訴訟の提起や、それによる損害賠償金の支払いを求められる可能性があります。これらが係争となり、当社グループに大きな責がある等の司法判断がなされた場合には、当社グループの経営成績、社会的信用に影響を与える可能性があります。
このリスクを認識し、当社グループでは各種の契約締結時においては、法務部門により入念に内容を精査しており、必要に応じて専門家に確認をとり、リスクの低減に努めております。
⑪ 労務管理に関するリスク
当社グループでは、受託業務の遂行のため、パートタイム・アルバイトを含む多様な雇用形態の有期雇用従業員を多く雇用しており、これら従業員もしくは元従業員との間で雇用に関する紛争が発生する可能性があります。また、仮に法令への抵触、ハラスメントなどによって当社グループの責が認められる場合、監督官庁からの指導や処分を受けるほか、訴訟を提起される可能性もあり得ます。このような場合において、当社グループの社会的信用や事業運営に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、労働関係法令の遵守にとどまらず、各種のハラスメント行為の撲滅や、従業員同士が互いを尊重し働きやすい職場環境を整えることが、ダイバーシティの推進においても極めて重要であると認識しております。コンプライアンス遵守のための体制整備に努めるとともに、ハラスメント防止規程を制定し、定期的に役職員、従業員に対して発信し、教育の機会を多く持つことで労務管理におけるトラブルやハラスメント発生の防止に努めております。その他、専門の本社相談窓口、社外通報窓口等を設置することで、就業上のトラブルが発生してしまった場合でも、従業員が気兼ねなく相談できる体制の確立と、即座に対応が可能な体制を整えております。
⑫ 大規模自然災害等に関するリスク
当社グループでは、全国に事業拠点を分散配置するとともに在宅勤務体制の整備を行うことで、大規模な自然災害等が発生した場合においても、被災していない地域の経営資源をもって被災地域の一部業務運営を補うことを可能としております。顧客企業の事業の継続性を支援する事業者として、有事においても可能な限り事業を継続できる環境を整備することは経営の重要課題であると認識しております。
しかしながら、大規模な地震をはじめとする津波、風水害、火災などの自然災害、電気・通信網の遮断などの社会インフラの混乱、また未知のウイルス等感染症の流行等の発生によって、当社グループの事業運営、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは予期せぬ事態の発生に備え、事業継続計画を制定しております。災害等の発生要因別に有事における手順書を備え、定期的な見直しや訓練を行う等、体制整備とリスクの低減に努めております。
⑬ 株式会社パソナグループとの関係について
(ア)資本関係
当社の親会社である㈱パソナグループは、当連結会計年度末現在において当社の発行済株式総数の57.24%を保有しております。当社の総議決権数の過半数を保有しており、当社の役員の選任・解任、他社との合併等の組織再編、定款変更等の当社の株主総会決議の結果に重大な影響力を及ぼす可能性を有します。当社には親会社による事前の承認事項等は存在しておらず、また、議長を含めて独立社外取締役のみで構成される任意の指名報酬委員会を設けるなど、独立性の担保を図っておりますが、それでもなお、当社の株主総会の承認を必要とする事項に関して㈱パソナグループが影響を及ぼす可能性があります。
(イ)㈱パソナグループにおける当社グループの位置づけ
㈱パソナグループを頂点とする企業グループは、連結子会社の㈱パソナを中核とし、「エキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)、キャリアソリューション(人材紹介・再就職支援)、福利厚生アウトソーシング」等の人材関連事業や地方創生事業等を行っております。
当社グループの「コンタクトセンター・BPO事業」は、㈱パソナグループの連結グループの事業セグメントでは「HRソリューション:エキスパートサービス、BPOサービス他」に属しております。当社は親会社グループの中では「コンタクトセンターサービス」を専門的に提供している唯一の事業会社であり、あわせて「アウトソーシングサービス(自社の経営資源にて運営)を中心としたBPOサービス」を提供しておりますが、「派遣法に基づく人材派遣業務(人材の供給)」を主軸とした事業の変遷としてBPOサービスを提供している親会社及びグループ各社とは異なり、創業・事業開始時点から「カスタマーサービス及びBPOサービスの専門家集団としての業務設計等のノウハウによるBPOサービス(業務運営)」を主軸として事業を展開しております。
なお、企業グループの中には「総務系業務のBPOサービス」を担うパソナ・パナソニックビジネスサービス㈱や、「福利厚生代行サービス」を担う㈱ベネフィット・ワンが存在しておりますが、当社グループのBPOサービスでは、これらはサービスの対象外となっております。
事業展開の変遷は異なりますが、「コンタクトセンターサービスが含まれず、かつ業務設計等のノウハウが必要とならない定型的なBPOサービス」に関しては、親会社グループ会社(㈱パソナ)でも一部提供しているケースがあり、その点について事業競合が生じている又は生じる可能性を有しております。この事業競合が生じている又は生じる可能性を有している部分の当社の連結売上高に占める割合は、各会計年度で変動するものの、概ね10%前後となっております。当社グループのサービスにおいて親会社グループ内での事業競合が一部生じているものの、当社は親会社グループ内において「コンタクトサービスを専門的に提供する唯一の事業会社」として明確な棲み分けがなされており、自社開発のクラウド型PBX「Omnia LINK」を強みとした、国内でも特徴のあるコンタクトセンターサービスを展開するとともに、これまで培ってきた「業務の運営」を主軸としたBPOサービスの経験・ノウハウ等により、親会社グループ内外に関わらず、独立性と競争優位性を持って事業を展開しており、親会社グループ内での事業競合によって当社グループの経営の独立性を損なうような状況にはありません。
今後も当社グループは経営の独立性を維持しながら、事業競合するサービスを含めて、親会社グループ各社と時には競い合い、時には連携することで当社グループの事業拡大を目指すと共に親会社グループ全体の事業拡大にも寄与し、人材サービス業界におけるプレゼンスを高め、当社グループ及び親会社グループの双方の企業価値向上を目指してまいります。
(ウ)パソナグループ各社との人的関係
当連結会計年度末現在、当社の取締役である若本博隆氏は㈱パソナグループの取締役副社長執行役員を兼務しております。同氏については、同氏の経験豊富な経営知見を当社の経営に活用すること等を目的に当社が招聘したものであり、当社の独立性は確保されております。なお、当連結会計年度末現在、当社グループにおいて、同氏のほかに、㈱パソナグループおよび、当社グループを除く同社のグループ会社からの人材受け入れはありません。
(エ)パソナグループ各社との取引関係
当社グループと㈱パソナグループを頂点とするパソナグループ各社は、独立第三者間取引で適用される取引条件又は社会通念上合理的な見積りによる公正妥当な取引条件により、営業取引等を行っております。また、当社グループの連結売上高にはパソナグループ各社からの紹介案件によるものが一部含まれますが、当社グループの新規案件獲得の商流は、90%程度が既存取引先からの紹介や、当社グループが開催する各種ビジネスセミナー、展示会、インターネット広告、自社WEBサイト経由でのお問合せ等からによるものであり、パソナグループ各社への依存度は小さい状況にあります。また、パソナグループ各社からの紹介案件かどうかに関わらず、個別案件における取引開始の可否判断や取引条件交渉は、当社グループが独立した立場で実施しております。
当連結会計年度における当社グループと当社以外のパソナグループ各社との主な取引は 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (関連当事者情報) に記載しております。
なお、パソナグループ各社との取引を行う場合は、一般株主との間に利益相反関係が生じるリスクが存在することを認識し、取引条件の適切性を確保するために、当社グループが定める関連当事者等管理規程に基づき、取引開始前に、取引の相手方が関連当事者等に該当しないかを関連当事者等管理部門が確認しております。さらに、取引の合理性(事実上の必要性)及び取引条件の妥当性等について経営会議にて審議・検討し、監査等委員会での見解を踏まえた上で、取締役会で決議するものとしております。また、継続的に発生する取引についても、過去の取引実績から予め取引金額等を定め、新規取引と同様に合理性、妥当性等の審議及び監査等委員会での見解伺いを行い、取締役会にて実施可否を決議しておりますが、取引の開始後においても定期的なモニタリングを実施の上、次年度以降の更新、及び当該年度内における取引内容又は条件等が変更もしくは超過等が見込まれる場合、あらためて取締役会にて決議するものとしております。
(オ)親会社が存在していることを踏まえたガバナンス強化の取組み
当社グループの独立性を継続的に確保していくための取り組みとして、常勤監査等委員と監査部による関連当事者等取引申請書類の査閲や独立性監査等の実施等を通じて、内部監査部門及び監査等委員会におけるモニタリングを強化しております。モニタリングでは、関連当事者等取引や不当な事業調整の有無をはじめとした、独立性を毀損するような実態が生じていないかどうかを、定期的及び必要に応じて随時に確認を行うことで、ガバナンスの確保を行うとともに、株式市場・投資家によるモニタリングも可能となるように親会社グループとの各関係内容等を丁寧に開示してまいります。
⑭ 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症は、沈静期と拡大感染期を繰返しながら未だ収束を見ない状況でありますが、当社グループでは、その対応として「感染拡大防止への社会的責任」と「安全配慮義務に則った従業員の安全確保」を最優先とし、さらには着実な業務継続を行うことを基本方針としております。
(ア)顧客企業の状況
感染拡大により、人々の外出・移動等に行動制限や自粛ムードがかかることによって直接・間接を問わず影響を受け、収益に大幅な減収作用が係っている業界もあれば、逆に感染期が長引くことによって恩恵を受け、収益を拡大させている業界もあります。当社グループの顧客企業は、様々な業種、業態に分布しているものの、新型コロナウイルス感染の長期化によって、一部には著しく業績悪化を生じている顧客企業もあります。これらの顧客企業の業績悪化が長期化することで当社グループの受託業務量等が大きく減少した場合、当社グループの財政状況および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)コンタクトセンター運営現場
当社グループでは、新型コロナ感染症の拡大当初より、政府や行政機関からの指示や要請に従い、テレワークの推進、時差通勤の推奨、職場における基本的な感染防止対策(三密対策/換気・消毒等の徹底/飛沫防止パネルの設置/リモート会議の活用/不要不急の出張制限等)を行うことで感染予防に努め、リスクの低減を図ってまいりました。また、感染者が発生時(もしくはその疑いのある場合)の対応手順を明確にした上で、従業員への周知徹底を図ってまいりました。これらの対応は本社に新型コロナ感染症対策本部を設置し、最新の感染対策や、変異株等の流行情報、保健所の状況把握、各自治体の指示や推奨事項の周知、検査薬等の手配などを進めることで、従業員への感染拡大を最小限に留めるための対策を講じております。
しかしながら、受託業務を運営するコンタクトセンター・BPOセンター内で集団感染(いわゆるクラスター)が発生し、業務の一部又は全部を停止せざるをえない事態に至った場合には、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大状況が落ち着きを見せつつあり、インバウンド回復など経済復興への期待が高まる一方、ウクライナ危機を発端とした原材料価格の高騰や、日米金利差による為替の変動、中国経済の低迷などにより、先行き不透明な状況が続いています。
当社の属するコンタクトセンター・BPO業界は、新型コロナウイルス環境下における非対面接客の需要の高まりを背景に、堅調に推移しております。また、技術革新を背景として、「業務のデジタル化による生産性の向上」や「データの蓄積と分析による業務の付加価値化」等、一層のサービスの高度化が求められております。
このような経営環境の下、当社グループは2023年5月期までを対象期間とする「中期経営計画2022」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」をビジョンとし、既存(根元)事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」と、新規(新芽)事業である「クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売」の両面での成長を掲げております。
(コンタクトセンター・BPOサービス)
コンタクトセンター・BPOサービスにおいては、「ライフライン」「金融」「流通」「情報通信」業界を重点戦略グループとして、営業とオペレーションを顧客業界ごとに専任化した製販一体組織での活動を継続いたしました。各担当者の顧客業界における専門性を高め、業界に必要とされるサービスの企画や、提案力の向上、品質の向上を図ることで順調に受託数を伸ばしております。
また、採用の強化策として、在宅コンタクトセンターサービスであるBewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)において、全国から応募が可能なロケーションフリー採用を開始いたしました。場所の制限がなく自宅で勤務が可能であることから、多くの応募があり、採用コストの削減も実現しております。この取り組みを一層推進することによって、応募者や従業員の多様な働き方へのニーズにも応えられるものと考えております。
(クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売)
新型コロナウイルス感染拡大状況下での在宅コンタクトセンターニーズの需要拡大から、場所を問わずに利用が可能なPBXのクラウド化が加速し、Omnia LINKを自社で利用したいという引き合いが増加しました。また、「Speech To Text(注)」の精度向上や、顧客接点部門であるコンタクトセンターの機能強化を背景に、Omnia LINKの高付加価値機能である「音声のリアルタイムテキスト化」の受託も伸びております。
(注)Speech To Text:音声認識を活用した音声からテキストへの変換
Omnia LINKは当初、当社自身のコンタクトセンター・BPOサービスの機能高度化とコスト削減を目的に開発されました。そして2020年ごろよりOmnia LINK外販の強化を開始し、当連結会計年度末においては1,000ライセンス以上の販売を実現しております。このOmnia LINKは、当社グループにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例と捉えております。このような取り組みが評価され、2022年4月1日付で経済産業省から「DX認定事業者」の認定を受けることとなりました。引き続き第2、第3のOmnia LINKの創出を目指し、デジタルテクノロジーと人の融合による「顧客接点としての顧客体験価値の最大化」や「生産性向上」を実現する所存です。
なお、今後のさらなるDXの推進に向けては、開発人材の採用・育成が当社の成長のキーポイントと位置付けております。この取り組みの一環として、2022年4月1日付で開発人材の採用・育成の拠点として長崎県長崎市に「デジタルラボ長崎」を設立しました。長崎での開発人材の採用・育成を行うことで、ビジネスの次世代化に向けた新たなデジタルテクノロジーの自社開発を目指しております。
上記の取り組みの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高においては32,405,568千円(前期比12.3%増)となりました。利益状況においては、営業利益2,565,250千円(前期比20.3%増)、経常利益2,591,487千円(前期比19.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,776,891千円(前期比7.3%増)となりました。前期に続き過去最高売上高および最高益を達成するとともに、6年連続の2桁成長を遂げております。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益への影響は軽微であります。
また、当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(単位:千円)
(資産)
当連結会計年度末における総資産額は、10,490,692千円となり、前連結会計年度末比2,003,469千円増加となりました。これは主に、新規上場による資金調達に伴う現金及び預金の増加1,801,100千円、売上高増加に伴う売掛金の増加47,622千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における総負債額は、3,884,918千円となり、前連結会計年度末比388,221千円減少となりました。これは主に、前期末のコンタクトセンター拠点新設や増床等に伴う設備関連の未払金及び連結法人税個別帰属額の未払金の減少583,563千円、従業員給与等による未払費用の増加119,826千円、未払法人税等の増加105,196千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産額は、6,605,774千円となり、前連結会計年度末比2,391,691千円増加となりました。これは主に、配当金の支払569,600千円があり、一方で親会社株主に帰属する当期純利益1,776,891千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと、新規上場のための株式発行による資本金の増加592,200千円及び資本剰余金の増加592,200千円によるものであります。
(単位:千円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、4,429,714千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,586,673千円(前年同期は1,476,453千円の資金の獲得)となりました。主な増加要因として税金等調整前当期純利益2,590,056千円(前年同期2,164,291千円)があった一方で、減少要因として法人税等の支払額1,074,254千円(前年同期607,545千円)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、366,266千円(前年同期は302,396千円の支出)となりました。主な減少要因としてコンタクトセンター拠点の新設及び増床に伴う有形固定資産の取得による支出184,843千円(前年同期174,167千円)、無形固定資産の取得による支出87,977千円(前年同期31,556千円)、敷金及び保証金の差入による支出94,013千円(前年同期96,251千円)等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、580,693千円(前年同期は713,864千円の支出)となりました。主な増加要因として新規上場による株式発行による収入1,171,154千円(前年同期なし)があった一方で、配当金の支払額569,600千円(前年同期460,800千円)等があったことによるものであります。
当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
当社グループは、受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
(注)なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は32,405,568千円、売上高成長率は、12.3%となりました。重点戦略グループ(ライフライン・金融・小売流通・情報通信)の需要拡大に対し、営業とオペレーションの一体組織による専門性の高い提案を行い、当該業界からの受注を重ねました。その他業界においても自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの活用等によって、需要を逃さずに柔軟な対応を実現しております。上記の取り組みの結果、新規案件の獲得及び既存顧客の案件拡大を実現したことにより、コンタクトセンター・BPOサービスの売上高が増加しました。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は27,048,658千円(前期比112.4%)となりました。売上原価については、人件費総額は増加したものの、オペレーターの派遣比率の低減や、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んだ結果、当連結会計年度における売上原価率は83.5%となり、前連結会計年度の売上原価率83.5%と同水準を維持しました。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は5,356,910千円(前期比112.3%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,791,660千円(前期比105.7%)となりました。増加の主な要因は事業拡大による従業員の増加で人件費が増加したことによるものです。ただし、売上高に対する販売費及び一般管理費の割合は8.6%となり、前連結会計年度の9.2%より0.6ポイントの減少となりました。これは、事業拡大による人件費の増加はあるものの、コーポレート部門の業務効率化やデジタル化に取り組み、人件費の増加を一定程度抑制できたこと、人件費以外の費用を低減したことが要因になります。結果、当連結会計年度における営業利益は2,565,250千円(前期比120.3%)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当連結会計年度において主に新型コロナウイルス感染症に関する補助金収入53,906千円等により営業外収益は61,263千円(前期比153.5%)、上場関連費用20,861千円、株式交付費13,246千円により営業外費用は35,026千円(前期比841.2%)となりました。結果、経常利益は2,591,487千円(前期比119.6%)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度において固定資産除却損1,431千円、法人税等合計は813,165千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,776,891千円(前期比107.3%)となりました。
② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しており、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。
当連結会計年度における売上高は32,405,568千円となり前年同期比からの成長率は12.3%となっており、6年連続の2桁成長を達成しております。当社の売上高の成長には、新規案件の獲得や既存案件の拡大が必要なことはもちろんですが、その実現を支える要素として、人材、オフィス等のファシリティ、システムの3つの要素が重要でありますが、人材やファシリティについては事業拡大に備えた事前の対応が、当社のキャパシティを左右することになるため、適切な備えを継続して実施しております。システムについては、特にコンタクトセンターサービスに必須となるPBXについて、自社開発のOmnia LINKにより、事業拡大に柔軟に対応できる環境を実現しております。これらの取り組みを引き続き進めることで、さらなる新規案件の獲得に取り組み、成長率の維持・向上を図ります。
営業利益は2,565,250千円で前年同期比の成長率は20.3%となっております。2021年5月期に高利益率であった特定のコロナウイルス関連案件の終了による創出利益の反動減はあったものの、それを上回る売上高の増加や、売上原価率を低減させるため人材派遣の起用を縮小させる取り組みに伴い、売上総利益率については売上高と同水準の成長率となりました。また、コーポレート部門の業務の効率化及びデジタル化や人件費以外の費用低減を通じた販売費及び一般管理費の抑制によって、営業利益成長率についても3年連続で2桁成長を実現しております。
④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び流動性に係る内容
当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」および銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手元流動性資金、国内金融機関2行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、既存事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」の高度化を図り、顧客の環境に合わせた新たな価値創造型DXをご提供する「Bewith3.0」の実現に向けた研究に取り組んでおります。
具体的な体制としては、顧客とすり合わせをしながら、顧客課題に合わせたサービス展開を行なうことを前提として、特定の研究開発部門を持たず、顧客対応部門にて研究開発に取り組んでおります。各部門が新たに研究開発するべきテーマを持ちサービス企画を行うための枠組みとして「新規事業開発プログラム」を実施しております。新規事業開発プログラムは顧客ニーズを十分に理解した営業部門やオペレーション部門の部門長を中心に取り組んでおります。
Omnia LINKについては、当社と子会社のアイブリット双方が参加する月に1回の「開発会議」において、新たな機能拡充の方針について協議し、研究開発の方針や方向性、優先順位を決定しております。参加者は、当社取締役、子会社取締役(当社との兼務者含む)、当社Omnia LINK外販事業の営業責任者、当社マーケティング責任者、当社経営企画部員となっております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、