4 【コーポレート・ガバナンスの状況等】

 

(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】

① コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、2022年4月1日に、株式会社青森銀行(以下、「青森銀行」という。)と株式会社みちのく銀行(以下、「みちのく銀行」という。)の共同株式移転完全親会社として設立されました。当社グループは、グループ経営理念を定め、その実現を通じて、地域産業の更なる発展と地域住民の生活の向上を目指し、地域とともに持続的な成長を果たしてまいります。

また、当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っていくためには、実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の構築が経営の重要な課題であると認識し、経営の透明性及び健全性を高め、コーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。

〔経営理念〕

・地域の未来を創る

・お客さまと歩み続ける

・一人ひとりの想いを実現する

〔経営理念に込めた想い〕

・私たちは、健全性を堅持するとともに、地域の課題や可能性に積極的に挑戦することで、明るく豊かな未来を創ります。

・私たちは、専門性を高めるとともに、期待を超えるサービスを追求することで、お客さまの信頼に応え、成長と発展に向けてともに歩み続けます。

・私たちは、自主性を尊重するとともに、多様な個性を力に変えることで、自信と誇りに満ちたやりがいのある組織を築き、一人ひとりの溢れる想いを実現します。

 

② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由

当社は、複数の社外取締役を含む監査等委員である取締役に取締役会における議決権を付与することにより、監査・監督機能の強化を図るとともに、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させ、更なる企業価値向上を図ることができると考えることから、監査等委員会設置会社の機関設計を採用しております。

(取締役会)

取締役会は、提出日現在において、取締役(監査等委員である取締役を除く)10名(うち社外取締役2名)、監査等委員である取締役4名(うち社外取締役3名)の計14名で構成されております。原則として毎月1回開催し、経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役の職務の執行状況を監督しております。

2024年3月期の取締役会は臨時取締役会を含め合計20回開催され、「取締役会規程」に基づき、当社の経営に関する基本方針、重要な業務執行に関する事項のほか法令及び定款に定められた事項を決議し、法令及び定款に定められた事項及び重要な業務の執行状況について報告を受けております。加えて、公的資金返済に向けた対応や人的資本を含むサステナビリティに関する事項、また基盤的サービス維持計画の達成状況や2025年1月に予定している両子銀行合併に向けた諸課題への対応等についても決議、報告を受けております。

また取締役会の諮問機関として「指名・報酬等委員会」及び「基盤的サービス諮問委員会」を設置しております。両委員会とも構成員の過半数は社外取締役等で構成され、持株会社から独立性が認められる社外取締役を委員長としております。

 

・本報告書提出日時点において取締役会は以下の14名で構成されており、個々の取締役の出席状況は以下のとおりとなっております。

氏名

常勤/社外区分

2024年3月期

取締役会出席状況

(全20回)

取締役会諮問委員会の兼務状況

成田 晋

常勤

20回

指名・報酬等委員会

基盤的サービス諮問委員会

藤澤 貴之

常勤

20回

基盤的サービス諮問委員会

石川 啓太郎

常勤

20回

基盤的サービス諮問委員会

田村 強

常勤

20回

 

森 庸

常勤

20回

 

白鳥 元生

常勤

20回

 

須藤 慎治

常勤

20回

 

大川 英幸(※1)

常勤

16回

 

三國谷 勝範

社外

19回

指名・報酬等委員会

樋口 一成

社外

20回

指名・報酬等委員会

基盤的サービス諮問委員会

葛西 俊介(※2)

常勤

 

岩木川 雅司

社外

20回

指名・報酬等委員会

若槻 哲太郎

社外

20回

指名・報酬等委員会

石田 深恵

社外

20回

指名・報酬等委員会

 

(※1)大川英幸は取締役に就任以降開催された取締役会の全てに出席しております。

(※2)葛西俊介は2024年6月25日の株主総会で選任されております。

 

(監査等委員会)

監査等委員会は、監査等委員である取締役4名で構成され、原則として毎月1回開催します。監査等委員会監査につきましては、監査等委員会監査等基準に基づき監査等委員会で決議した監査方針及び年度監査計画に従って、取締役会等における取締役の職務執行状況の監視・検証を行うとともに、内部監査部門とも連携しながら業務監査等を実施しております。そのほか、内部統制部門及び会計監査人と意見交換を行い、内部統制システムの整備・運用状況について監視・検証を行っております。

 

(会計監査人)

会計監査につきましては、会計監査人にEY新日本有限責任監査法人を選任し、定期的な監査のほか、会計上の課題については随時確認を行い会計処理の適正性の確保に努めております。

 

(指名・報酬等委員会)

当社取締役の指名・報酬の決定プロセスに関し透明性及び客観性を高めるため設置しており、社外取締役および取締役社長で構成されております。2024年3月期については4回開催され、主な審議・協議事項は以下のとおりであります。

 審議・協議内容

・定時株主総会以降の役員報酬について

・取締役選任に関する指針等の確認について

・両子銀行の業績連動指標の適用について

 

 

(基盤的サービス諮問委員会)

不当な不利益防止策の実施状況及びその実効性等の審議結果について取締役会へ意見・提言を行うことを目的として設置しております。2024年3月期の内容については2回開催され、主な審議・報告内容は以下のとおりであります。

審議・報告内容

・貸出金利及び保証条件の事前確認の運用状況・事後モニタリングの状況

・お客さまアンケートの集計・分析結果

・市場金利上昇に伴う適用金利のあり方について

 

(その他)

取締役会から委任を受けた事項や業務全般の重要事項を協議・決定し、業務全般の運営状況を管理するほか、取締役会が取締役に委任した事項について審議を行う機関として経営会議を設置しております。また、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるため、経営会議の下部組織として、ALM・収益管理委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会等を設置しております。

 

・本報告書提出日時点における機関毎の構成員は次のとおりであります。(◎は議長、委員長を表示)

役職名

氏名

取締役会

監査等

委員会

指名・報酬

等委員会

基盤的サービス諮問委員会

(※1)

経営会議

代表取締役社長

成田 晋

 

代表取締役副社長

藤澤 貴之

 

 

代表取締役副社長

石川 啓太郎

 

 

取締役

田村 強

 

 

 

取締役

森 庸

 

 

 

取締役

白鳥 元生

 

 

 

取締役

須藤 慎治

 

 

 

取締役

大川 英幸

 

 

 

取締役(社外)

三國谷 勝範

 

 

 

取締役(社外)

樋口 一成

 

 

取締役監査等委員

葛西 俊介

 

 

(※2)

取締役監査等委員

(社外)

岩木川 雅司

 

 

取締役監査等委員

(社外)

若槻 哲太郎

 

 

取締役監査等委員

(社外)

石田 深恵

 

 

 

※1.「基盤的サービス諮問委員会」の構成員については、上記のほか、当社の経営基盤である青森県内企業の代表等を務める子銀行の社外取締役3名を構成員としており、合計7名(うち社外4名)となっております。

2.取締役監査等委員である葛西俊介については、経営会議の構成員ではないものの、経営会議に出席できるものとしております。

 

 

【コーポレート・ガバナンス体制図】


 

③ 取締役会の実効性評価

当社では、取締役会の機能向上を図るため、取締役会の実効性評価・分析を以下の通り実施しております。

<評価方法>

・評価にあたっては、各取締役に対し、取締役会実効性評価のための自己評価アンケートを実施しております。

・アンケートの分析結果については、指名・報酬委員会や監査等委員会、取締役会で議論・評価を行っております。

<アンケート項目>

2024年3月期アンケートの大項目は以下の通りとなります。設問ごとに4段階で評価する方式とし、当該項目に関するコメント欄を設けております。

イ.取締役会の機能・役割

ロ.取締役会の構成・規模

ハ.取締役会の運営

ニ.経営陣とのコミュニケーション

ホ.株主・投資家との関係

ヘ.総括

<評価結果の概要>

2024年3月期アンケート、指名・報酬委員会、監査等委員会、取締役会での議論の結果、当社の取締役会は概ね適切に運営され、実効性は確保されており、また、昨年度のアンケートにおいて認識された課題についても概ね改善されていると評価いたしました。

一連のプロセスを通じて、今回確認された意見は以下の通りとなります。

・「取締役会の機能・役割」について、合併後の新銀行の将来を見据え、十分な議論が行われているといった意見が寄せられた一方、サステナビリティ経営に関してより実践的な議論が望まれるといった意見や、グループ全体の収益とリスクコントロールの整合性ある議論はさらなる高度化が求められるとの意見が確認されました。

・「取締役会の構成・規模」について、取締役会全体として必要なスキル・経験及び知識を十分に有しているといった意見が寄せられております。

・「取締役会の運営」について、活発な議論を促す議事運営がなされているといった意見が寄せられた一方で、より効率的な運営を心がけるべきであるといった意見も確認されました。

・「株主・投資家との関係」について、株主や投資家の評価に関する情報について一層共有されることが望ましいといった意見を確認しております。

<更なる実効性向上に向けた取り組み>

・サステナビリティに関する議論や、財務情報・非財務情報を一体的に捉えた戦略的・総合的、且つ実践的な視座に立った議論に努めてまいります。

・取締役会において議論すべき主要議題について骨太の議論を行うことができるよう、審議時間確保に向けた効率的な議事運営に努めてまいります。

・経済情勢や社会的課題等に関して、取締役会以外の場においても社外取締役と積極的な意見交換を行うなど、経営陣のより緊密なコミュニケーションを図ってまいります。

・株主・投資家等との建設的な対話機会の増加に努め、対話を通じて認識される企業評価や諸課題に関して、取締役会へ情報提供を行ってまいります。

 

当社取締役会は、上記の点を含め、取締役会の実効性をさらに高めるべく引き続き取り組み、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

④ 企業統治に関するその他の事項

イ.内部統制システムの整備の状況

内部統制システムにつきましては、業務の適正を確保するため、取締役会において「内部統制システムの整備に関する基本方針」を決議し、「当社およびグループ会社の取締役および職員等の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」「当社取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制」など9項目について体制の整備を図っております。

 

ロ.リスク管理体制の整備の状況

リスク管理体制につきましては、「リスク管理方針」を制定し、当社およびグループ会社のリスク管理に関する方針を決定するとともに、リスク全体の統括部署としてリスク統括部を設置しております。加えて、経営企画部担当役員を委員長とする「ALM・収益管理委員会」および、リスク統括部担当役員を委員長とする「リスク管理委員会」等を設置し、リスク管理態勢強化に向けた施策の企画立案・推進・管理を行っております。また各委員会においては、担当部、関連部及び経営陣が直接審議に参加することとしており、相互牽制のもと、当社全体のリスク管理水準の向上に努めております。

 

ハ.提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況

当社およびグループ会社は、経営理念に基づき、企業集団としての事業戦略を共有し、グループー体となった経営を行っております。グループ会社の統括部署である経営企画部は、法令等遵守体制やリスク管理体制の整備等内部統制システムの整備を目的に、グループ会社の管理に関する規程を制定し、業務管理部署を定め、当社への協議および報告ならびにモニタリング等の体制を整備しております。

グループ会社が策定する事業年度毎の経営計画について、その業務執行状況の報告体制を整備するとともに、必要な規程等を整備するよう管理・指導し、業務が効率的に行われる体制を確保しております。また、グループ会社の役職員等が法令等違反に関する重要な事実を発見した場合には、リスク統括部に報告する体制を整備するとともに、監査部がグループ会社の業務執行状況について監査を実施し、その結果を取締役社長及び常勤監査等委員へ報告しているほか、取締役会及び監査等委員会に報告する体制としております。

 

ニ.責任限定契約の内容の概要

当社は、会社法第427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、同法第423条第1項に規定する取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)の損害賠償責任を限定する契約を締結することができる旨を定款に定めております。

当社は、定款の規定に従い、取締役である三國谷勝範、樋口一成、岩木川雅司、若槻哲太郎及び石田深恵各氏と、同法第425条第1項各号に定める額の合計額を賠償責任の限度額とする契約を締結しております。

 

ホ.役員等賠償責任保険契約に関する事項

当社は、当社並びに子会社である青森銀行、みちのく銀行及びあおもり創生パートナーズの取締役、監査役及び執行役員を被保険者として、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険(D&O保険)契約を締結しております。

保険料は全額当社が負担しております。

当該保険契約では、被保険者である役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと、または、当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害について填補することとされています。ただし、法令違反の行為であることを認識して行った行為に起因して生じた損害は填補されないなど、一定の免責事由があります。

 

 

へ.取締役の定数

a.取締役(監査等委員である取締役を除く)の員数及び任期

取締役(監査等委員である取締役を除く)は12名以内、任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定款に定めております。

b.監査等委員である取締役の員数と任期

監査等委員である取締役は6名以内、任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定款に定めております。

 

ト.取締役の選任の決議要件

取締役は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して選任する旨、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨、及び累積投票によらない旨を定款に定めております。

 

チ.取締役会で決議できる株主総会決議事項

a.自己株式の取得

当社は会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得できる旨を定款に定めております。これは、機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的とするものであります。

また、会社法第459条の規定により、取締役会の決議によって、同法第160条第1項の規定による決定をする場合以外の場合における同法第156条第1項各号に掲げる事項を定め、自己の株式を取得することができる旨を定款に定めております。

b.中間配当

当社は会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これは、株主への安定的な利益還元を目的とするものであります。

 

リ.株主総会の特別決議要件

当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。