第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは「世界を虜にする」をビジョンに掲げ「世界に“楽しみ”を増やす」というミッションを実現するために、「漫画全巻ドットコム」をはじめとするマンガビジネスを展開しております。

また、上記理念のもと、当社グループの役員及び従業員全員の共通価値観として以下5つを定め日々の活動を行っております。

1.「遊び」にマジメに、2.とにかく速い、3.自分ゴト化する、4.日々挑戦、日々進化、5.隣人を饗す

 

(2) 経営環境

当社グループの経営環境の認識は、以下の通りであります。

 

2021年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことに伴い徐々に経済活動の正常化への動きがみられましたが、2022年1月以降のオミクロン株による感染の再拡大など感染者数は増減を繰り返しており、いまだ収束は見通せていない状況にあります。またウクライナ情勢により国内外において経済活動への影響が懸念され、物価の上昇や円安の進行など、先行きは不透明な状況にあります。

一方で当社グループが主に事業を行う出版流通業界におけるコミック市場の概況は、公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2021年のコミック市場(紙と電子合計)は推計6,759億円と発表されており、2018年の1.9%増から、2019年は12.7%増、2020年は23.0%増、2021年は10.3%増と前年をピークに増加率は下がったものの2年連続で過去最高を更新しております。当社グループの主力サービスが属する紙コミックス市場(コミック誌を除く)も、2018年の△4.6%と中長期的な減少傾向にあった市場が、2019年は「鬼滅の刃」のブームの発生により4.8%と増加傾向に転じ、2020年は巣ごもり需要と「鬼滅の刃」のブームの双方の後押しもあり24.9%と増加率はピークを迎えたものの、2021年も「呪術廻戦」「東京卍リベンジャーズ」等の継続的なヒットの発生もあり、0.4%増の2,087億円と、増加の勢いを持続しております。

2021年度の経営環境については、前2020年度の当社グループの大幅な売上・利益の拡大要因になった新型コロナウイルス感染症拡大防止のための在宅勤務や外出自粛に伴って生じた、巣ごもり需要はゆるやかに減速しているものと思われますが、そのような条件下においても引き続き前年を上回る需要を持続しております。

このような当社グループのサービス成長持続の要因としては、巣ごもり需要が一時的な現象ではなくコロナの長期化に伴い人々のライフスタイルの変容として定着している事、また漫画を原作とするアニメ、テレビドラマ、映画等の各種メディアコンテンツ展開の継続的な活性化が原作漫画の全巻買い需要を強く支えている事、近年の当社グループのサービス認知度の向上が世の中の漫画作品の認知の仕方、買い方の変化と相まって当社グループのサービスへの需要拡大に繋がっている事、の3点が要因となったと当社は考えております。

 

(3) 中期経営戦略

当社グループは、マンガ事業の単一セグメントでありますが、主要サービスごとの中期経営戦略は以下のとおりであります。

 

(ECサービス)

当社グループの主力サービスであるECサービスについては、まず近年見られる現象として、マンガ作品のメディア化(TVアニメ、TVドラマ、映画、動画配信サービス、ゲーム、演劇等)が老若男女幅広い層への認知を生み出し、強いブーム性のある新たなコミック需要を喚起するという傾向が続いており、今後もメディア作品の原作としてのコミックのニーズは高まっていくと思われます。

また、足元では新型コロナウイルス感染症対策における、在宅での可処分時間の増加やいわゆる「巣ごもり消費」の長期持続が想定される中で、自宅におけるエンターテイメントの選択肢として、マンガが存在感を増していることが、マンガ全巻買いへの需要の拡大の要因となっていると見込んでおります。

そのような、経営環境を背景に、当社グループは現時点でコミックを全巻セットで販売するサービスにおいては優位な販売シェアを獲得できていると想定しており、以下に掲げる強みを武器に、サービス競争力をさらに高めてゆくことを基本戦略としております。

 


 

強み
① ロングテール戦略による差別化

当社グループは「コミックのまとめ買い」サービス事業者のパイオニアとして、事業開始以来15年にわたりデータを蓄積、更新し続けることで独自のデータベースを構築してまいりました。このデータベースと全巻セットに特化した倉庫運営によって、漫画全巻ドットコム内での2022年4月末時点の購入可能コミック全巻セット数は29,194セットと、競合他社を引き離し優位なポジションを築いていると考えております。

最新の人気コミックから他社では取り扱いが無いような往年の名作コミックまで幅広い品揃えを持つことによって、今後も「コミックのまとめ買い」という購入方法、ライフスタイルを広げていき、紙コミックの市場規模拡大に貢献し、拡大した市場成長を享受できる立場にあると自負しております。

 

② 好循環をもたらす販売力と仕入力

15年にわたる出版社との強いネットワーク、独自データベースと経験値がもたらす低返本率により、出版社は返本リスクの低減、出版取次は返本物流コスト負担の軽減に繋がっています。また、出版取次からの配本数は返本率・販売量が反映されており、当社の安定的な仕入力 は他社がすぐに到達し得ない参入障壁であると自負しております。

この仕入力に、既存購入会員(469,379名/2022年4月末)のリピート購入、既存データを活かした新規顧客の獲得による販売力が加わることで、「返本することなく大量に販売する」ことが「在庫を切らさない安定的な仕入れ」につながるという好循環を継続的に生み出しています。


 

③ マンガを軸足としたサービス横断による相乗効果

当社グループは、紙コミック、電子コミック、マンガ関連イベント運営とフォーマットに囚われない多面的なサービスを提供しているため、様々なマンガファンとのコンタクトポイントを有しております。単一サービスでは成し得ない各サービス間のユーザーの循環によって、ユーザーに対し継続的に価値を提供し、長期的な収益を目指してまいります。

 


 

具体的な戦略、施策としては以下を推進していく予定です。

 

施策
① 広告宣伝/広報/マーケティング強化によるブランド認知度向上

TV、ラジオ、ネットニュース、ネット広告等メディアでの露出を通じて「漫画全巻ドットコム」の認知度は徐々に広がりつつありますが、「コミックのまとめ買い」の手軽さ、楽しさの認知を一層広げていくことが売上拡大を図るにあたり重要であると認識しております。特に45歳以上の中高年層はマンガ世代であるにも関わらず現状アクセス数が少なく、今後の売上拡大の余地として考えております。

 

② データベース活用による売上拡大・コスト削減

データベースを最大限活用することによって、サービスの利便性向上、顧客満足度の向上、欠品/過剰在庫の回避、効果的な新規サービスの開発等を実行することが、今後の売上拡大・コスト削減への大きな要素であると考えます。また、更なるデータ活用の精度向上は当社グループの成長余地であると認識しています。

 

③ 自社物流倉庫機能の強化

ブーム性のあるコミックから年に数回しか注文のないコミックまで幅広い顧客需要へ対応すべく、随時、倉庫オペレーションの効率化・自動化、必要に応じて増床していくことによって機会損失を最大限回避して参ります。また、欠品の減少、注文から出荷までの時間短縮を更新し続ける組織体制の構築を推進して参ります。

 

(イベントサービス)

2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で店舗における売上計画の見直しを行う一方でグッズの自社企画力、製造力を高めてEC販売での売上増加と収益性の改善を図る戦略を進めております。2021年度以降は、イベントビジネスの環境改善が予測される中で、当社イベントサービスの特徴である、アニメ化される人気作品から熱量の高いファンを抱えるニッチ作品までを幅広く企画実施できる事と、自社でのグッズ企画・製造能力が向上する事で、イベントサービスの潜在的な成長性は高いと考えており、特に店舗物件の空室率が上昇する中で新規出店できるビジネスモデルを持つ優位性を最大限発揮することで売上成長を加速して参ります。また、同ビジネスにおいては海外マンガファンのニーズも高く、強く支持されていることから海外市場への進出も積極的に推進していく予定です。

マンガがアニメ化されネット動画で拡散されることで、マンガ作品の認知度は世界的に高いものの紙コミック、電子コミックは言語の違い、海賊版等の障壁でビジネスを拡大出来ていない一方で、グッズに関してはどの地域であっても手軽に購入出来る非言語商材であるため世界的なニーズが存在していると考えます。

 


 

また、現在、当社グループの店舗は国内に限られますが、国内店舗でのイベントにおいて中国の電子決済サービスであるWeChatPay(微信支付)による決済が百回を超える月が複数発生しており、渡航が制限されている期間であることを考慮すると中国経済圏現地での可能性はかなり高いと考えております。


 


 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的な成長と企業価値の拡大を図るために、事業規模の拡大を重視しており「売上高」を重要な指標と考えております。

また、当社は、紙コミックのECサービスを主としており、売上総利益率はある程度、固定化されているものの、倉庫物流業務の効率化などの企業努力と、各種マーケティング施策等で、顧客にどれだけ付加価値のある楽しみを提供できたかを測る指標として「売上高経常利益率」を重要な指標としております。売上高経常利益率は、営業活動が効率的に行われたかどうかを見るために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、業界構造の観点から書店平均的数値は1%以下と推測されるなかで、当社では常に業界平均を上回る利益率の水準を実現する事を中期計画における経営目標の目安としております。

また当社の取締役会等でサービスの月次推移を報告するにあたっては、販売者数や月間アクティブユーザー数、コンバージョンレート、顧客単価等をKPIとして使用しており、2023年3月期利益計画における各KPIは、販売者数(約61.5万人)や月間アクティブユーザー数(約355万MAU)、コンバージョンレート(約1.44%)、顧客単価(約8,500円)を計画に達成に必要な目安と定めその推移を確認しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、これまで培ってきたビジネス基盤をさらに強化することで成長の持続を図ると共に、新規マンガビジネスの領域への積極的な取り組みを行うことで、高い成長率を維持することが重要と認識しております。また、コーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題と認識しております。

 

① サービスのブランド価値向上

当社のコミック全巻セットECサービスは、国内の紙のコミック書籍市場全体が近年減少し続けるトレンドの中で、大きな成長を継続しており、且つ「コミックのまとめ買い」サービス需要においては、当社は同様のサービスを専業的に供給する事業者として、2022年3月期においては、年間で約48億円規模のサービス売上を実現できている供給者となっております。当社はこのような販売実績のアドバンテージをさらに強化すべく「漫画全巻ドットコム」をはじめとする各サービスのブランド価値向上に努めて参ります。

 

② 海外事業展開の推進

当社は、日本国内で展開するマンガビジネスの需要が、世界のマンガファンにも同様に大きな潜在需要があることを、これまで国内に訪れた外国人顧客の消費行動や、海外からのアクセスで利用されたサービス実績から認識しています。コロナ禍で外国人の往来に制限が生じている状況も踏まえながら、当社のビジネスノウハウを活かして国内からの発信のみならず、海外拠点を通じたEC、イベントビジネスを積極的に進めることで収益機会の拡大を図っていく方針であります。まずは文化的に親和性の高いアジアを足掛かりとして、将来的には全世界への事業拡大を目指して参ります。

 

③ システム技術及び物流機能の強化

当社は、多くのサービスをインターネット上で提供しており、サービス提供にあたりシステム稼働の安定性を確保することが重要な課題と認識しております。そのため、各サービスへのアクセス増大時の負荷分散や顧客満足度の向上に向けた機能開発、設備投資等の継続的な実施を行って参ります。また、商品取扱量の増加に合わせた物流倉庫機能の強化が重要であり、安定性・安全性の向上に取り組んで参ります。

 

④ 優秀な人材の確保及び内部統制、コンプライアンス体制の強化

当社は、今後更なる事業拡大を推進するにあたり、従業員のモチベーションを高める人事施策や労働環境の構築に努めながら、当社のミッションやバリューに共感し、今後の事業展開に賛同し、積極的に活躍できる優秀な人材の採用に取り組んで参ります。また、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図って参ります。

 

⑤ M&Aの活用

新規事業及び周辺事業の拡大の為には、M&Aも有効な手段であると考えております。M&Aを行うにあたっては、投資対効果はもちろん、対象企業の将来性や当社ビジネスとのシナジーの有無を十分に検討した上で、積極的に取り組んで参ります。

 

⑥ 持続可能な社会への取り組み

当社は、今後の企業活動が長期的な視点で社会に与える影響を考慮し、経済価値のみならず持続的に社会価値を創出する企業を目指し経営を進めていくことが必要だと考えております。特に全ての従業員に対して年齢、性別、国籍に関わらない公平な賃金の支払いに努めるとともに、ジェンダー・ペイ・ギャップの解消を目指していく事や、各自の能力を十分に発揮できる成長機会の提供と入社時の雇用形態に捉われない公平な評価を目指していく事を重視しております。

 

⑦ 流動性の確保及び企業価値の拡大
当社が上場に伴い実施する公募及び売出しによって当社の流通株式比率は取引所が定める形式要件を充足する見込みです。当社株式の流通株式数は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後においても取引所が定める株式要件を充足し続けるために、流動性確保に努める方針です。また、本書提出日現在において想定する、当社の上場時の流通株式時価総額は、取引所が定める形式要件に近い水準ですが、当社の経営方針・経営戦略に沿い、事業規模・売上高ならびに利益額・利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させることで流通株式時価総額の拡大に努める方針です。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。また、当社グループとして必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。また当社グループのリスク管理に関する規程及びその他体制については、4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1) コーポレート・ガバナンスの概要、③ 企業統治に関するその他の事項、イ.内部統制システムの整備の状況、(3) 損失の危険の管理に関する規程及びその他体制、に記載しております。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① 紙コミック市場について

当社グループの主力ビジネスが属する最近5年間における国内コミック市場(紙コミック(コミックス+コミック誌)+電子コミック)の売上高は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

合計

前年度比

紙コミック

前年度比

電子コミック

前年度比

2021年度

6,759

110.3%

2,645

97.7%

4,114

120.3%

2020年度

6,126

123.0%

2,706

113.3%

3,420

131.8%

2019年度

4,980

112.7%

2,387

98.9%

2,593

129.5%

2018年度

4,415

101.9%

2,413

93.4%

2,002

114.5%

2017年度

4,329

97.1%

2,582

87.1%

1,747

117.1%

 

(注) 出典:公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所『出版月報』2022年2月号

 

全体として横這いトレンドから増加に転じている紙コミック市場において、同期間において当社グループの売上がコンスタントに拡大できているのは、国内コミック市場において、EC比率の継続的な拡大と、その中でもマンガのメディア化という追い風を受けた「コミックのまとめ買い」市場が相対的に伸びていることによると推定しております。当社グループの業績計画は上記のような市場トレンドの予測の基に成り立っておりますが、将来コミックEC市場やマンガ全巻買い需要のトレンドについて、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、予測しえない不測の事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 電子コミック市場について

当社グループのデジタルコミック配信サービスの背景となる電子書籍市場は、スマートフォン・タブレット端末が普及したことにより、大きく成長しております。一方で、競合他社の参入により競争は激化してきております。当社グループはこうした電子書籍市場の拡大や幅広い表示端末に対応し、各種サービス内容の拡充と整備を進めていく所存でありますが、万が一、電子書籍市場の拡大が想定どおりに進まなかった場合、法制度の改定等により当社グループが行うサービスが規制対象となった場合、その他予測し得ない不測の事象が発生した場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ウェブ・アプリ広告の動向について

当社グループが運営するデジタルコミック配信サービスでは、数多くの広告主及び広告代理店(以下「広告主等」という)へ広告の掲載を委託しており、広告の収益性は経済状況、市況、広告主等の経営状況によって変動する可能性があります。当社グループといたしましては、新しい広告システムの情報収集を積極的に行い、常に安定かつ高収益の広告が配信できるよう努めております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、広告主等の状況により広告出稿意欲の減衰があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ Apple、Googleの動向について

当社グループの売上の一部は、スマートフォンアプリを利用した課金売上及び広告売上(2022年3月期で当該アプリ売上は約16百万円で売上全体の0.3%)であり、当社グループの事業モデルは、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2社のプラットフォーム運営事業者に依存しております。現状の影響は軽微ではありますが、これらプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、手数料率等の変動等何らかの要因により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、プラットフォーム運営事業者の方針変更などにより、当社グループの提供するアプリや当社グループのアカウントがプラットフォーム運営事業者により停止又は削除された場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① 商品ニーズ、ユーザー嗜好の変化

当社グループのビジネス商材であるコミック市場においては、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、特にマンガ全巻売りビジネスにおいては、マンガを原作とするコンテンツのメディア化やヒットの発生を的確に捉えた需要の予測を的確に行う必要があり、ユーザー嗜好の変化に機敏に対応する必要があります。そうしたユーザーの嗜好の変化や、需要の的確な予測ができない場合、予測に遅れが生じた場合は、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、十分な商品の確保と供給が行えずに、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定事業への依存について

当社グループは、主力サービスであるコミック全巻売りを中心としたECサービスの売上規模(2022年3月期売上高5,123百万円)及び全体売上に占める比率(同95.0%)が大きく、仕入、販売、出荷配送の商流運営において、多くの経営資源を集中させております。一方で付帯する様々なマンガビジネスを展開しており、今後はイベントビジネス等、新たな柱となるサービスを育成し、収益構造の多様化を図って参りますが、事業環境の変化等により、主力のECサービスが停滞又は縮小した場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合他社の影響について

当社グループが行うマンガビジネスは、ECサービス、コミック配信サービス、イベントサービス等全般について、特許等による特別な参入障壁が存在しない業界であります。そのため、特に電子コミックを用いたサービスにおいては近年多数の企業が参入し、競争が激化しております。このような環境の下、当社グループは、紙コミックの全巻売りを主とするネット書店運営をコアビジネスとし、競合他社とは違う戦略路線で積極的にサービスの拡充及びサービスの差別化を図り、当社グループならではの付加価値を増やしてきました。ただし、今後の当社グループの戦略が模倣され、紙コミックの全巻売りビジネスにおいても、競争が激化した場合は、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定取引先への依存について

当社グループは、主力のマンガ全巻売りのECサービスの商流においては、紙コミックの仕入れの取次会社として楽天ブックスネットワーク株式会社と、電子コミックの仕入れの取次会社として株式会社メディアドゥと、出店モールについては、楽天グループ株式会社、アマゾンジャパン合同会社、ヤフー株式会社等と、販売商品の出荷配送においては佐川急便株式会社と、それぞれ取引契約を締結しており、これら主要取引先への依存度が高まっております。しかしながら、これら取引先との永続的な取引が確約されているものではなく、仕入料率や、出店手数料率、配送費用等の改定等の契約条件の変更等があった場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システム障害について

当社グループの事業は、携帯電話やPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、当社グループのコンピュータ・システムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、当社グループの運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 当社グループ物流機能の運営及び在庫管理について

当社グループの主力ビジネスである紙コミックのECサービスにおいて、当社グループは自社で倉庫を持ち、商品の仕入れ納品から、受注後の出荷配送迄の、物流機能を有しております。日々の在庫管理においては、過剰在庫の発生や売上機会損失の発生(不足)のない適正な水準で、在庫のコントロールを行っておりますが、在庫水準のバランスが崩れた場合には、資金コントロールに影響を及ぼす可能性があります。

また、適切な在庫保管業務や、商品受発注時の迅速な物流機能の提供の為に、売上の拡大に応じた十分な人員の確保と、施設、設備の拡張等の対応、維持、メンテナンスの実施を行っておりますが、将来的に十分な人員・人材が確保できない事等が発生した場合は、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 再販売価格維持制度に関するリスク

当社グループの主力ビジネスであるコミックのECサービスは、出版業界に属しますが、同業界は再販売価格維持制度と委託(販売)制度下にあり、商品の供給元である出版社が小売業者の売価変更を許容せず、定価販売を指示する一方で、定められた期間内であれば書店は売れ残ったものについて返品が認められる出版物販売方法を行っております。当社グループのサービスは一般的な書店と比較して返品率の低いサービス運営を行っている為、他の書店と比較してのマイナス面での影響は小さいと考えてはおりますが、今後、再販売価格維持制度の改正又は廃止等が行われた場合は、委託販売制度への影響も含めて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 著作物の利用許諾契約について

当社グループは、電子コミックの配信にあたり、著作権者等の取引先(法人及び個人)との間で著作物利用許諾契約を締結するとともに、これら取引先との良好な信頼関係を築いております。サービスの拡大においては、これら契約の継続を前提としておりますが、版権元自身が同様の事業展開を行うことにより版権を獲得できなくなった場合等、何らかの事情により版権元から使用許諾が得られなかった場合や、契約の更新ができなかった場合、または著作物の利用料が変動した場合は、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 海外展開について

当社グループは、今後の事業展開として、これまで国内で培ったマンガファン向けのマンガ関連イベントの企画、開催ノウハウを用いて、海外のマンガファンを対象に、イベントビジネスを展開することを企図しております。しかし、当社グループは海外ビジネスの経験が少ない中で、海外においてはユーザーの嗜好や法令等が、日本国内と異なることがあり、必要な人材の確保を含めて当社グループの想定通りに事業展開できない場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 組織体制に関するリスクについて

① 組織規模が小さいことについて

当社グループ組織は、従業員数が2022年3月末現在で67名(臨時従業員を除く)と規模が小さく、現在の社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業推進、展開、拡大に対応して人材の採用、育成と管理体制の強化を進めて参りますが、必要な人材の確保や社内教育等が順調に進まなかった場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業拡大に影響を与え、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の採用育成について

当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上、技術革新への対応に当たっては開発部門を中心に高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。しかしながら、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて

当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定人物(創業者)への依存に係るリスクについて

当社代表取締役である安藤拓郎は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において、重要な役割を果たしております。このため当社グループでは安藤拓郎に依存しない体制を作るために、経営体制の強化を図っております。しかし、現状において、何らかの理由により安藤拓郎が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制に関するリスクについて
① コンプライアンス体制について

当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として年一回以上の社内研修を実施し、周知徹底を図っていく予定です。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの企業価値及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権について

当社グループは、電子コミックの配信にあたり、著作権をはじめとする知的財産権を侵害しないよう、取引先との間で締結する著作物の利用許諾契約を遵守し事業を展開しております。しかしながら、電子書籍の販売は新しい業態であるため、今後の法改正や解釈の変更、並びに海外展開による権利処理の複雑化等により、第三者から知的財産権に関する侵害を主張される可能性があります。このような場合、解決までに多くの時間と費用が発生する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 「個人情報の保護に関する法律」について

当社グループは、サービス提供にあたり、取引先、コンテンツ利用者等の個人情報を取得する場合があります。これらの情報を適切に保護するため、Pマークを取得し、情報へのアクセス制限や不正侵入防止のためのシステム対応、「プライバシーポリシー」等の情報管理に関する規程の作成等、個人情報保護のための諸施策を講じるとともに、個人情報の取得は必要最小限にとどめております。しかしながら、外部からの不正アクセス、故意または過失等による情報漏洩に関するリスクは完全には排除できないことから、個人情報が流出する可能性があります。このような場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、損害賠償の請求や信用低下等によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 「特定商取引に関する法律」について

当社グループは、「特定商取引に関する法律」の定義する販売事業者に該当するため、サイト上で「特定商取引に関する法律」に基づく表示を行っております。今後、上記法令の改正等により規制の範囲が拡張した場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 「製造物責任法(PL法)」について

当社グループは、イベントサービスにおいて、開催イベントに関連するグッズの企画から一部製造を、また軽飲食物のコラボメニューの企画と加工食品の提供を行っており、商品の欠陥に起因する事故が生じた場合には、「製造物責任法(PL法)」により損害賠償問題が発生する可能性があります。当社グループでは、このような事故が生じないよう、品質管理、生産管理体制を整備しておりますが、万が一の事故に備えてPL保険に加入しております。過去に「製造物責任法(PL法)」に抵触した問題は生じておりませんが、問題が生じた場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 「食品衛生法」について

当社グループが提供する商品・サービスにおいて、協力会社先等の「食品衛生法」の遵守体制を確認したのち取引を開始しておりますが、当社グループが提供する食品が食品衛生法に抵触することが発見された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 「資金決済に関する法律」について

当社グループは、「資金決済に関する法律」の定義する事業者に該当するため、サイト上で「資金決済に関する法律」に基づく表示を行っております。今後、上記法令の改正等により規制の範囲が拡張した場合には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 青少年保護に関連する法令について

本書提出日現在、当社グループは「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等の法令等の遵守に努めております。なお、当社グループのデジタルコミック配信サービスは「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」及び各地方公共団体が制定する青少年健全育成条例等が規制対象とする事業に当たりません。しかしながら、当社グループではコミックを配信する前に、東京都の青少年有害指定図書等における指定状況の確認、各プラットフォーム運営事業者の基準や当社グループの基準に照らし合わせ、表現の健全性を確保するように努めております。これらの法令が改正・解釈の変更または新たな法令の制定により、何らかの制約を受けることとなった場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) その他のリスクについて

① 自然災害、事故等について

当社グループでは、自然災害、事故に備えて、データの定期的なバックアップ、システム稼働状況の監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地周辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの設備の損壊や物流網のストップ、電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事業が発生して、当社グループの事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 伝染病・感染症等について

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年に政府が発令した二度の緊急事態宣言により、所謂巣ごもり需要の増加に伴うサービス利用者が増加した一方で、中長期的には国内景気の悪化による消費の冷え込みへの懸念等、先行きの不透明感は増しており、その影響の分析について、継続して注視して参ります。特に、当社グループが付帯的に展開するマンガイベントビジネスについては、緊急事態宣言下では開催を自粛せざるを得ない時期も発生しており、感染拡大の状況や政府自治体の対応に対して直接的な影響を受けやすいビジネスとなっております。

また、新型コロナウイルス感染症等の感染症が長期間にわたり拡大・蔓延した場合、当社グループの従業員の感染リスクや人材の確保への影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループでは、これらの影響を回避又は軽減するために、取引先とも協力しながら事業所内における感染防止対策を徹底し、従業員の安全確保に努めるとともに、感染者が発生した場合の対応を検討する等、危機管理の徹底に取り組んでおります。また、在宅環境における業務・開発環境の整備を行う等、テレワークの推進にあたっております。しかしながら当社グループにおいて、伝染病・感染症等に対し適切に対応できなかった場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 風評被害に係るリスク

当社グループの風評や評判は、当社グループのサービスを利用する顧客、取引先、投資家、従業員及びその家族等のステークホルダーとの信頼関係を良好に築くために非常に重要です。当社グループは、サービス利用顧客及び取引先企業等に丁寧に対応し信頼関係の構築に努めております。また今後は、当社グループに対する理解を深めていただくように、適時適切な開示を行っていく方針です。しかしながら、予期せぬ事態が発生した際に適切な対処が行えなかった場合はステークホルダーからの信頼を損なうことになり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等に係るリスク

当社グループは、本書提出日現在において、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、当社グループが提供するサービスの不備、当社グループが提供するサービスアプリケーションの不具合、個人情報等の漏洩等により、訴訟を受けた場合には、当社グループの社会的信用が毀損され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 会計上の見積りに関するリスク

当社グループは、連結財務諸表の作成にあたり会計上の見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、金額の見直しや実際の結果と異なる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

なお、2022年3月末現在でこれらの新株予約権による潜在株式数は204,000株であり、発行済株式総数1,208,400株の16.9%に相当しております。

 

⑦ 資金使途について

今回計画している公募増資による資金調達の使途につきましては、運転資金(エンジニア増員採用費用)、運転資金(事業拡大に伴う在庫拡充資金及び売掛金増加分)に充当する予定であります。しかしながら、変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点での計画以外に充当される可能性もあります。尚、公募増資による資金調達の使途が変更になった場合には、適時適切に開示を行います。

 

⑧ 配当政策について

当社グループは現在、成長過程にあると考えており、更なる財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。当社の配当に関する基本方針は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、現時点においては、内部留保の充実を図り、事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えており、設立以来、配当は実施しておりません。将来的には、その時点における経営成績及び財務状態を勘案しつつ株主に対し利益還元を実施していく方針ではありますが、今後の配当実施の可能性及び実施時期等につきましては未定であります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計期年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことに伴い徐々に経済活動の正常化への動きがみられましたが、2022年1月以降のオミクロン株による感染の再拡大など感染者数は増減を繰り返しており、いまだ収束は見通せていない状況にあります。またウクライナ情勢により国内外において経済活動への影響が懸念され、物価の上昇や円安の進行など、先行きは不透明な状況にあります。

一方で当社グループが主に事業を行う出版流通業界におけるコミック市場の概況は、公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2021年のコミック市場(紙と電子合計)は推計6,759億円と発表されており、2018年の1.9%増から、2019年は12.7% 増、2020年は23.0%増、2021年は10.3%増と前年をピークに増加率は下がったものの2年連続で過去最高を更新しております。当社グループの主力サービスが属する紙コミックス市場(コミック誌を除く)も、2018年の△4.6%と中長期的な減少傾向にあった市場が、2019年は「鬼滅の刃」のブームの発生により4.8%と増加傾向に転じ、2020年は巣ごもり需要と「鬼滅の刃」のブームの双方の後押しもあり24.9%と増加率はピークを迎えたものの、2021年も「呪術廻戦」「東京卍リベンジャーズ」等の継続的なヒットの発生もあり、0.4%増の2,087億円と、増加の勢いを持続しております。

当連結会計年度の経営環境については、前連結会計年度の当社グループの大幅な売上・利益の拡大要因になった新型コロナウイルス感染症拡大防止のための在宅勤務や外出自粛に伴って生じた、巣ごもり需要はゆるやかに減速しているものと思われますが、そのような条件下においても引き続き前年を上回る需要を持続しております。

このような当社グループのサービス成長持続の要因としては、巣ごもり需要が一時的な現象ではなくコロナの長期化に伴い人々のライフスタイルの変容として定着している事、また漫画を原作とするアニメ、テレビドラマ、映画等の各種メディアコンテンツ展開の継続的な活性化が原作漫画の全巻買い需要を強く支えている事、近年の当社グループのサービス認知度の向上が世の中の漫画作品の認知の仕方、買い方の変化と相まって当社グループのサービスへの需要拡大に繋がっている事、の3点が要因となったと当社は考えております。

このような経営環境の中で、当社グループは「漫画全巻ドットコム」でのコミック全巻セットの販売を基幹サービスとするECサービスにおいては、今連結会計年度よりECアプリをリリースし、アプリ経由での注文増加を図った事や、楽天市場やPayPayモール等の出店モールの大型キャンペーンでの販売拡大施策を実施した事、倉庫機能の拡大による仕入及び出荷体制の強化を継続した事で、大幅成長した前連結会計年度からさらに増収傾向を維持し、堅調な売上水準を継続しております。

また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度におきましては、緊急事態宣言の解除によってリアルイベントが徐々に復調する中で、2022年3月に名古屋に新規店舗をオープン致しました。また来期からの海外進出に向けた台湾店舗の出店準備を行っております。またECの活用によるイベントグッズ販売の拡大にも注力する事で、コロナ禍でもリアルイベントに依存しない耐性の高いサービス構築を行いました。

上記の施策の結果、当連結会計年度における売上高は5,390,861千円と前年に比べ399,691千円(前年同期比8.0%増)の増収となりました。一方で、利益面につきましては、人員等の増加による販管費の増加により営業利益は、前年に比べ59,144千円減少し、199,546千円(前年同期比22.9%減)、経常利益は前年に比べ、65,936千円減少し、207,733千円(前年同期比24.1%減)となりました。また、前連結会計年度において税務上の繰越欠損金が解消されたことなどにより、法人税等合計が増加し、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、前年に比べ、101,523千円減少し、152,783千円(前年同期比39.9%減)となりました。

注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。

 

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は1,930,277千円(前連結会計年度末比426,721千円増)となりました。総資産の内訳は、流動資産が1,767,688千円(前連結会計年度末比349,676千円増)、固定資産が162,588千円(前連結会計年度末比77,554千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動資産は、取引増加及び資本金増加等に伴い、現金及び預金が188,248千円増加、売掛金が37,958千円増加、商品が127,230千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、本社事務所増床及び倉庫の拡張、新規イベント店舗の出店により建物附属設備等が増加したことにより、有形固定資産が31,038千円増加しました。また、自社サービス関連の開発活動の実施でソフトウェア仮勘定等が増加したことにより、無形固定資産が6,478千円増加しました。また新店舗等の差入保証金等が増加したことにより、投資その他の資産が40,037千円増加しました。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は858,909千円(前連結会計年度末比44,565千円増)となりました。負債の内訳は、流動負債が706,304千円(前連結会計年度比25,802千円増)、固定負債は152,605千円(前連結会計年度末比18,763千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動負債は、前年度において税務上の繰越欠損金が解消されたことなどにより未払法人税等が73,130千円増加したことと、ポイント引当金が契約負債への計上科目の変更により40,612千円減少したこと等によるものであります。 固定負債は、長期借入金が18,763千円増加したことによるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は1,071,367千円(前連結会計年度末比382,155千円増)となりました。主な変動要因は、東証マザーズ上場に伴う公募増資及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ110,556千円増加したことや、当期純利益等の計上に伴い利益剰余金が158,803千円増加したことによるものであります。

以上の結果、財務指標としては、流動比率が250.3%、自己資本比率が55.4%になっております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、188,248千円増加し、737,259千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は、24,208千円(前年同期は288,598千円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益207,733千円、減価償却費19,176千円等による資金の増加と、売上債権の増加37,958千円、棚卸資産の増加127,230千円、ポイント引当金の減少40,612千円等による資金の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、78,077千円(前年同期は29,310千円)となりました。 これは、有形固定資産の取得による支出46,722千円、無形固定資産の取得による支出9,682千円、差入保証金の差入による支出21,673千円等による資金の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果得た資金は、242,117千円(前年同期は△9,111千円)となりました。 これは、株式の発行による収入221,112千円、長期借入金による収入50,000千円と長期借入金の返済による支出21,241千円等によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載がなじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載がなじまないため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

当社事業はマンガ事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業の名称

金額(千円)

前年比(%)

マンガ事業

5,390,861

108.0

合計

5,390,861

108.0

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。尚楽天グループ株式会社、アマゾンジャパン合同会社、ヤフー株式会社、に対する販売実績は、当社が同社等の運営するショッピングモールを介して、当社運営店舗が一般消費者へ販売した商品売上の総額であります。

相手先

第16期連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

第17期連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

楽天グループ株式会社

1,479,684

29.7

1,677,007

31.1

アマゾンジャパン合同会社

602,142

12.1

834,822

15.5

ヤフー株式会社

562,891

11.3

978,109

18.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。なお、重要な会計上の見積りはありません。

 

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績

(売上高)

当社グループは、当連結会計年度において、「漫画全巻ドットコム」でのコミック全巻セットの販売を基幹サービスとするECサービスにおいては、今連結会計年度よりECアプリをリリースし、アプリ経由での注文増加を図った事や、楽天市場やPayPayモール等の出店モールの大型キャンペーンでの販売拡大施策を実施した事、倉庫機能の拡大による仕入及び出荷体制の強化を継続した事で、大幅成長した前連結会計年度からさらに増収傾向を維持しました。

また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度におきましては、緊急事態宣言の解除によってリアルイベントが徐々に復調する中で、2022年3月に名古屋に新規店舗をオープン致しました。また来期からの海外進出に向けた台湾店舗の出店準備を行っております。またECの活用によるイベントグッズ販売の拡大にも注力する事で、コロナ禍でもリアルイベントに依存しない耐性の高いサービス構築を行いました。

その結果、当連結会計年度における売上高は5,390,861千円と前年に比べ399,691千円(前年同期比8.0%増)の増収となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は3,562,034千円となり、前連結会計年度に比べ339,406千円増加いたしました。主に主力ECサービスの売上拡大に伴うコミックの仕入が増加した事によります。結果として売上総利益は1,828,826千円となり、前連結会計年度に比べ60,285千円増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費の主な増加項目として、人員増加に伴い給料手当217,313千円(前連結会計年度に比べ46,064千円の増加)、取引増加に伴いオンラインショップ運営費381,227千円(前連結会計年度に比べ80,692千円の増加)及び支払手数料167,898千円(前連結会計年度に比べ11,550千円の増加)、倉庫の増設等に伴い地代家賃63,366千円(前連結会計年度に比べ17,284千円の増加)を計上した結果、販売費及び一般管理費合計で1,629,279千円(前連結会計年度に比べ119,429千円の増加)となりました。

結果として、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引きました営業利益は199,546千円(前連結会計年度に比べ59,144千円の減少)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益の主な減少項目として、前連結会計年度に計上した、キャッシュレス決済推進に関する補助金収入(前連結会計年度に比べ6,237千円の減少)及びコロナ感染症対策に関する助成金収入(前連結会計年度に比べ3,378千円の減少)が減少した事により、営業外収益で11,428千円(前連結会計年度に比べ6,464千円の減少)となりました。営業外費用の主な増加項目として、借入金増加に伴う支払利息2,105千円(前連結会計年度に比べ305千円の増加)を計上した結果、営業外費用で3,242千円(前連結会計年度に比べ328千円の増加)を計上しました。結果として経常利益は207,733千円(前連結会計年度に比べ65,936千円の減少)となりました。

 

(特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

前連結会計年度に繰越欠損金が解消された事により、当連結会計年度は法人税等合計で54,949千円(前連結会計年度に比べ36,658千円の増加)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は152,783千円(前連結会計年度に比べ101,523千円の減少)となりました。

 

 

b.財政状態

主な増減内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れ、荷造り運賃やECサイトの運営費用等があり、主な資金の源泉は、営業活動による純現金収入及び株式の発行及び借入によります。当社グループでは、継続して売上高が増加しているため、万一不足が見込まれる運転資金は銀行からの長期借入金及び短期借入金を活用して手当てしております。

当社グループでは過去の業績の拡大とそれにより発生した資金需要等を勘案し、事業拡大に必要となる資金は借入等を効率的に活用して調達する予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 紙書籍取次業者との契約

相手先の名称

相手先の
所在国名

契約名称

契約期間

契約内容

楽天ブックスネットワーク株式会社

日本

継続的基本取引契約書

平成29年4月1日より、
期限の定めなし。

紙書籍取次に関する継続的基本取引に関する契約書

 

 

(2) 電子書籍取次業者との契約

相手先の名称

相手先の
所在国名

契約名称

契約期間

契約内容

株式会社メディアドゥ

日本

電子書籍取次契約書

平成26年8月1日から
平成28年7月31日まで
(自動更新条項つき)

電子書籍の取次契約

 

 

(3) 本社オフィスの賃貸借契約

相手先の名称

相手先の
所在国名

契約名称

契約期間

契約内容

株式会社秋田書店

日本

定期建物賃貸借契約書

2021年10月1日から
2023年3月31日まで

本社オフィスの賃貸借契約書

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。